JP2021001006A - Pc大型容器 - Google Patents

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【課題】縦締めPC鋼棒が不要で補強材等を多く配設する必要もなく、従来にない極めて大きなサイズのタンクをより低廉かつより容易に作製できるPC大型容器1を提供する。【解決手段】本発明のPC大型容器1は、底版2と側壁3とを有したPC大型容器であって、側壁3は、高さ方向の中間に最細径部4を有した筒状体5を備え、筒状体5の上部にはPC鋼材6によりプレストレスされた上部リング7が設けられ、筒状体5の下部にはPC鋼材6によりプレストレスされた下部リング8が設けられている。【選択図】図1

Description

本発明は、PC鋼材によりコンクリートがプレストレスされて構築され、例えば、配水池や渇水対策用、農業用または漁業用貯水池、LNG(液化天然ガス)タンクなどとして使用して好適なPC大型容器に関するものである。
従来のPC容器としては、例えば図8に示すような側壁51と底版52とが固定(剛接合)されたPC容器50(特開2014−8983号公報)が一般的である。このPC容器50は内部に水が注入されると、側壁51に外側に向かって引張するモーメントと側壁51の下端付近に内側に向かって圧縮するモーメントが発生するため、これらのモーメントに対して、側壁51内に周方向に配設されたPC鋼材54によるプレストレスによって水圧に耐え得る力が付加され、上記のように発生するモーメントを打ち消すように構成されている。
しかし、側壁51と底版52とを固定(剛接合)すると、底版52に拘束された側壁51の下端付近には内側に向かって圧縮するモーメントが発生するため、下端付近には十分なプレストレス力が作用しないという問題があった。また、底版52と側壁51との接合部位に鉄筋等の補強材を多く配設すると共に、縦締めPC鋼棒53は必須であり施工コストが増大する一方、PCタンクのサイズ制限の一要因となっていた。
これらの問題を解決するものとして、本件出願人は、図9に示すように、底版62と側壁64とが固定されず、側壁64内において高さ方向に配された縦締めPC鋼棒65が側壁64の厚さ方向の中心より内側に偏心して配されることで、より低廉に大型タンクを構築できるPC大型タンク60を先に提案した(特開2019−64717号公報)。
特開2014−8983号公報 特開2019−64717号公報
後者のPC大型タンクも5万m程度の大型タンクを構築可能であるが、以前としてPC鋼材の多数配置を要するため、それ以上の大型タンクは構築不能であった。
そこで、本願発明者は、従来型の倍(10万m)程度のPC大型タンクも構築可能な発明を想起したものであり、すなわち、本発明の課題は、縦締めPC鋼棒が不要で補強材等を多く配設する必要もなく、従来にない極めて大きなサイズのタンクをより低廉かつより容易に作製することができるPC大型容器を提供することにある。
上記課題を解決するものは、底版と側壁とを有したPC大型容器であって、前記側壁は、高さ方向の中間に最細径部を有した筒状体を備え、該筒状体の上部にはPC鋼材によりプレストレスされた上部リングが設けられ、該筒状体の下部にはPC鋼材によりプレストレスされた下部リングが設けられていることを特徴とするPC大型容器である(請求項1)。
前記筒状体は、前記下部より前記最細径部に向かって徐々に縮径する縮径部を有すると共に、前記最細径部から前記上部に向かって徐々に拡径する拡径部を有していることが好ましい(請求項2)。前記筒状体は、縦断面視で内側に向かって弓状に窪んだ両側部を有していることが好ましい(請求項3)。前記筒状体の前記縮径部は、縦断面視で斜め上方内側に向かって直線状に延びる下側両側部を有すると共に、前記筒状体の前記拡径部は、縦断面視で斜め上方外側に向かって直線状に延びる上側両側部を有していてもよい(請求項4)。前記筒状体の前記最細径部は、高さ方向に長さを有していてもよい(請求項5)。
請求項1に記載したPC大型容器によれば、縦締めPC鋼棒が不要で補強材等を多く配設する必要もなく、従来にない極めて大きなサイズのタンクをより低廉かつより容易に作製できる。
請求項2に記載したPC大型容器によれば、上記請求項1の効果をより確実に奏することができるPC大型容器を作製できる。
請求項3に記載したPC大型容器によれば、上記請求項1の効果に加え、充填された水の水圧が上下方向に向かって滑らかに移行するPC大型容器を作製できる。
請求項4または5に記載したPC大型容器によれば、上記請求項1の効果を奏するPC大型容器をより容易に作製できる。
本発明のPC大型容器の一実施例の正面図である。 図1に示したPC大型容器のA−A線断面図である。 図1に示したPC大型容器のB−B線断面図である。 図1に示したPC大型容器の上部付近の部分拡大断面図である。 本発明のPC大型容器の他の実施例の縦断面概略図である。 本発明のPC大型容器の他の実施例の縦断面概略図である。 本発明のPC大型容器の他の実施例の縦断面概略図である。 従来のPC大型容器の縦断面概略図である。 従来のPC大型容器の縦断面概略図である。
本発明は、底版2と側壁3とを有し、側壁3は高さ方向の中間に最細径部4を有した筒状体5を備え、筒状体5の上部にはPC鋼材6によりプレストレスされた上部リング7が設けられ、筒状体5の下部にはPC鋼材6によりプレストレスされた下部リング8が設けられていることで、縦締めPC鋼棒が不要で補強材等を多く配設する必要もなく、従来にない極めて大きなサイズのタンクをより低廉に作製できるPC大型容器1を実現した。
本発明のPC大型容器を図1ないし図4に示した一実施例を用いて説明する。
この実施例のPC大型容器1は、底版2と側壁3とを有したPC大型容器であって、側壁3は高さ方向の中間に最細径部4を有した筒状体5を備え、筒状体5の上部にはPC鋼材6によりプレストレスされた上部リング7が設けられ、筒状体5の下部にはPC鋼材6によりプレストレスされた下部リング8が設けられている。以下、各構成について順次詳述する。
この実施例のPC大型容器1は、渇水対策用、農業用または漁業用の貯水池を構成するためのものであり、貯蔵した水を底部で支持する底版2と、底版2と共に水の貯蔵空間を形成する側壁3とを備えている。
この実施例の底版2は円盤状の鉄筋コンクリート層にて構成されており、図3に示すように平面視円形に形成されている。そして、地盤の弱いところでは、この実施例のように、底版2の下方に基礎版9(円盤状の鉄筋コンクリート層)が打設され構成されていることが好ましい。
側壁3は、底版2の上方に設けられており、高さ方向の中間に最細径部4を有し、鉄筋コンクリートにて形成された筒状体5を備えている。筒状体5は、図2に示すように、下部5aより最細径部4に向かって徐々に縮径する縮径部5bを有すると共に、最細径部4から上部5cに向かって徐々に拡径する拡径部5dを有している。本発明のPC大型容器は、側壁3の筒状体5が中間に最細径部4を有し中絞り構造に構成されていることで、筒状体5にかかる水圧による水平力が全て上下方向に移行するため、縦締めPC鋼棒が不要で補強材等を多く配設する必要もなく、さらに、筒状体5の上下方向の全体に渡ってPC鋼材(横締めPCストランド)を配する必要もなく、従来にない極めて大きなサイズのタンクをより低廉かつより容易に作製できる。
より具体的には、この実施例の筒状体5は、図2に示すように、縦断面視で内側に向かって弓状に窪んだ両側部5A,5Bをそれぞれ有している。これによって、充填された水の水圧が上下方向により滑らかに移行するよう構成されている。
上部リング7は、筒状体5に最細径部4が設けられることにより上方に移行する水圧(内圧)を受け止めるための部位であり、上部リング7内には、図4に示すように、PC鋼材(横締めPCストランド)6が設けられている。PC鋼材6としては、例えば鋼線、鋼より線、鋼線や鋼より線を束ねたケーブル等のフレキシブルな鋼材が好適に使用できる。
具体的には、上部リング7内には、図4に示すように、周方向に沿ってPC鋼材(横締めPCストランド)6が配設(埋設)され上部リング7全体にプレストレスが導入されている。図4中、hは必要に応じて1〜3m程度、Wは0.5〜1m程度、PC鋼材(横締めPCストランド)6は縦に1、2列で各10〜20本程が好適であるが、適宜設計変更可能である。
他方、下部リング8は、筒状体5に最細径部4が設けられることにより下方に移行する水圧(内圧)を受け止めるための部位であり、下部リング8内にも、上部リング7と同様、PC鋼材6が設けられプレストレスが導入されている。
具体的には、下部リング8内にも、上部リング7と同様にして、周方向に沿ってPC鋼材(横締めPCストランド)6が配設(埋設)され下部リング8全体にプレストレスが導入されている。なお、筒状体5の下方の方が上方に比して水圧が次第に高くなることから、それに応じて、下部リング8内のPC鋼材(横締めPCストランド)6の本数を上部リング7内のPC鋼材(横締めPCストランド)6の本数より多くするなどして、下部リング8に導入されるプレストレスの方が、上部リング7に導入されるプレストレスより大きくなるように構成されている。
なお、上部リンク7と下部リング8の外周部には、周方向に等間隔離間して定着柱(図示しない)が数十箇所設けられており、これらの定着柱が設けられることにより、上部リンク7または下部リング8に対するPC鋼材(横締めPCストランド)6によるプレストレスが導入可能に構成されている。他方、上部リンク7の上方はフリーとなって開いており、以上の構造により、側壁4のモーメントは横方向も縦方向も減少する構造となっている。ただし、上部リンク7の上方に蓋体を有するものも本発明の範疇に包含される。
上記のように、本発明のPC大型容器1は、側壁3の本体部である筒状体5が中絞り構造(最細径部)4を有していることから、筒状体5にかかる水圧による水平力(水圧)は上部リンク7および下部リンク8に伝わる構造であり、それらの圧力を上部リンク7および下部リンク8に配されたPC鋼材(横締めPCストランド)6により受け止める構造となっている。このため、側壁内において高さ方向に沿って配される縦締めPC鋼棒も不要であり、必要なければより大きなタンクをより容易に作製できると共により低廉にPC大型タンクを構築することができる。また、筒状体5も従来同様、例えば湯呑茶碗のように壁が円筒状に繋がっているため、非常に壊れにくい構造となっており、内圧(水圧)がかからない時も構造物として安全である。
PC大型容器1の構築方法としては、まず、主鉄筋(図示しない)を配置した後、コンリートを打設して底版2を構成する。必要に応じて、底版2の下方に基礎版9(円盤状の鉄筋コンクリート層)を構成する。
つぎに、底版2の上方、側壁3を構成する部位には、まず、高さ方向の中間に最細径部4が形成されるように主鉄筋(図示しない)を配した後、コンクリートを打設して筒状体5を構成する。さらに、主鉄筋(図示しない)およびPC鋼材(横締めPCストランド)6を配設した後、コンクリートを打設して上部リンク7および下部リング8を完成させた後、必要なプレストレス力をPC鋼材6に付与して、PC大型容器1を構築する。
上記のように、本発明のPC大型容器1は、底版2と側壁3とを有し、側壁3は高さ方向の中間に最細径部4を有した筒状体5を備え、筒状体5の上部にはPC鋼材6によりプレストレスされた上部リング7が設けられ、筒状体5の下部にはPC鋼材6によりプレストレスされた下部リング8が設けられていることで、縦締めPC鋼棒が不要で補強材等を多く配設する必要もなく、従来にない極めて大きなサイズのタンクをより低廉かつより容易に作製できるため、有用性および産業上の利用可能性に極めて優れたものである。
つぎに、図5に示した本発明のPC大型容器の他の実施例のPC大型容器20について説明する。
この実施例のPC大型容器20と前述したPC大型容器1との基本的な相違点は、PC大型容器1の筒状体5が、縦断面視で内側に向かって弓状に窪んだ両側部5A,5Bを有しているのに対して、PC大型容器20の側壁23の本体部である筒状体25の縮径部25aは、縦断面視で斜め上方内側に向かって直線状に延びる下側両側部25A,25Bを有すると共に、筒状体25の拡径部25bは、縦断面視で斜め上方外側に向かって直線状に延びる上側両側部25C,25Dを有している点である。PC大型容器1と同一構成部分については同一符号を付し説明を省略する。
具体的には、PC大型容器20は、下側両側部25A,25Bが縦断面視で最細径部24まで斜め上方内側に向かって直線状に延びるように構成されていると共に、上側両側部25C,25Dが最細径部24から斜め上方外側に向かって直線状に延びるように構成されている。これによって、筒状体25を曲線状ではなく、直線状に作製することができるため、より容易かつ低廉に本発明の効果を奏する筒状体ならびにPC大型容器を構築することができる。また、下側両側部25A,25Bの方が上側両側部25C,25Dに比して短く形成されているのは、筒状体25の下方の方が水圧が高くなるからであり、このような構造とすることによって、より水圧に強い安定したPC大型容器20を構築することができる。
また、図6に示した本発明のPC大型容器の他の実施例のPC大型容器30について説明する。
この実施例のPC大型容器30と前述したPC大型容器20との基本的な相違点は、PC大型容器20の筒状体25における最細径部24が高さ方向に長さを有していないのに対して、PC大型容器30の筒状体35の最細径部34は高さ方向に長さを有している点である。PC大型容器1と同一構成部分については同一符号を付し説明を省略する。
具体的には、PC大型容器30は、下側両側部35A,35Bが縦断面視で最細径部34まで斜め上方内側に向かって直線状に延びるように構成されていると共に、上側両側部35C,35Dが最細径部34から斜め上方外側に向かって直線状に延びるように構成されている。これらの点はPC大型容器20と同様であるが、それらに加えて、PC大型容器30の筒状体35の最細径部34は高さ方向に長さを有している。これによって、傾斜部が減少して、より容易かつ低廉に本発明の効果を奏する筒状体ならびにPC大型容器を構築することができる。
さらに、図7に示した本発明のPC大型容器の他の実施例のPC大型容器40について説明する。
この実施例のPC大型容器40と前述したPC大型容器30との基本的な相違点は、PC大型容器30の下側両側部35A,35Bが縦断面視で最細径部34まで斜め上方内側に向かって直線状に延びるように構成されていると共に、上側両側部35C,35Dが最細径部34から斜め上方外側に向かって直線状に延びるように構成されているに対して、PC大型容器40の筒状体45の下側両側部45A,45Bは最細径部34まで斜め上方内側に向かって曲線状に延びるように構成されていると共に、上側両側部45C,45Dが最細径部34から斜め上方外側に向かって曲線状に延びるように構成されている点である。このようなPC大型容器40も本発明の範疇に包含される。PC大型容器30と同一構成部分については同一符号を付し説明を省略する。
1 PC大型容器
2 底版
3 側壁
4 最細径部
5 筒状体
6 PC鋼材
7 上部リング
8 下部リング
9 基礎版

Claims (5)

  1. 底版と側壁とを有したPC大型容器であって、前記側壁は高さ方向の中間に最細径部を有した筒状体を備え、該筒状体の上部にはPC鋼材によりプレストレスされた上部リングが設けられ、該筒状体の下部にはPC鋼材によりプレストレスされた下部リングが設けられていることを特徴とするPC大型容器。
  2. 前記筒状体は、前記下部より前記最細径部に向かって徐々に縮径する縮径部を有すると共に、前記最細径部から前記上部に向かって徐々に拡径する拡径部を有している請求項1に記載のPC大型容器。
  3. 前記筒状体は、縦断面視で内側に向かって弓状に窪んだ両側部を有している請求項1または2に記載のPC大型容器。
  4. 前記筒状体の前記縮径部は、縦断面視で斜め上方内側に向かって直線状に延びる下側両側部を有すると共に、前記筒状体の前記拡径部は、縦断面視で斜め上方外側に向かって直線状に延びる上側両側部を有している請求項2に記載のPC大型容器。
  5. 前記筒状体の前記最細径部は、高さ方向に長さを有している請求項1ないし4のいずれかに記載のPC大型容器。
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