JP4792675B2 - 密閉型圧縮機 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、冷蔵庫、エアーコンディショナー、冷凍冷蔵装置等に使用される密閉型圧縮機に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、冷凍冷蔵装置等に使用される密閉型圧縮機は高効率、低騒音が強く望まれると共に、製造コストの低減が望まれている。
【0003】
従来の密閉型圧縮機としては、米国特許第5,228,843号公報や特表2001−503833号公報に記載されているものがある。
【0004】
以下、図面を参照しながら、上述した従来の密閉型圧縮機について説明する。
【0005】
図12は、従来の密閉型圧縮機の縦断面図である。図13は、従来の密閉型圧縮機の要部断面図である。図12、図13において、1は密閉容器で、巻線部3aを保有する固定子3と回転子4からなる電動要素5と、電動要素5によって駆動される圧縮要素6を収容する。8は密閉容器1内に貯留したオイルである。
【0006】
10はクランクシャフトで、回転子5を圧入固定した主軸部11および主軸部11に対し、偏心して形成された偏心部12を有するとともに、主軸部11の内部には、オイルポンプ13がオイル8中に開口するよう設けてある。20はシリンダーブロックで、略円筒形の圧縮室22を有するとともに、主軸部11を軸支する軸受け部23を有し、電動要素5の上方に形成されている。30はピストンでシリンダーブロック20の圧縮室22に往復摺動自在に挿入され、偏心部12との間を連結手段31によって連結されている。35は圧縮室22の端面を封止するバルブプレートで、可動弁34aの開閉により圧縮室22と連通する吸入孔34bを有し、吸入孔34bと可動弁34aとによって吸入バルブ機構34が構成される。36はヘッドで高圧室を形成し、バルブプレート35の圧縮室22の反対側に固定される。39は吸入チューブで密閉容器1に固定されるとともに、冷凍サイクルの低圧側(図示せず)に接続され、冷媒ガス(図示せず)を密閉容器1内に導く。40は吸入マフラーで、バルブプレート35とヘッド36に挟持されることで固定され、一端がバルブプレート35の吸入孔34bと連通し、他端40bが消音空間42に開口する吸入路40aと、消音空間42内と密閉容器1内とを連通し吸入管39近傍に開口する開口部41とから形成される。
【0007】
以上のように構成された密閉型圧縮機について、以下その動作を説明する。
【0008】
電動要素5の回転子4は、クランクシャフト10を回転させ、偏心部12の回転運動が連結手段31を介してピストン30に伝えられることで、ピストン30は圧縮室22内を往復運動することにより、冷却システム(図示せず)から吸入管39を通して密閉容器1内に冷媒ガスが流入する。流入した冷媒ガスは、吸入マフラー40の開口部41から吸入され、消音空間42に開放した後連通路40a、吸入孔34bを通り、吸入バルブ34の開いた時に圧縮室22内に流入し、そして圧縮し、冷却システムへと吐き出される。
【0009】
ここで、圧縮室22内へ冷媒が吸い込まれる際に発生する冷媒の圧力脈動は、上記冷媒流れの逆向きに伝播していき、吸入マフラー40内の容積と、ガス入口部分41及び連通路40aの流路径と長さにより膨張、縮流を繰り返して減衰し、消音する。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら上記従来の構成では、吸入マフラー40で最も圧力脈動の大きい連通路開口端40bの位置が消音空間42端部にある。消音空間42内部では、ある特定の周波数に対し、音の伝播を行う疎密波が反射し、定在波を形成するが、この定在波の密の部分(以後、腹と呼ぶ)は音圧が高く、疎の部分(以後、節と呼ぶ)は音圧が低い。この定在波の分布の中で、消音空間42内においては、さまざまな位置に節が形成されているが、消音空間42端部には定在波が節を形成する可能性は少ない。したがって、上記従来の構成では、その端部に節が形成される周波数の音のみに効果が期待できるものの、減衰させたい特定の周波数の音に対し、十分な騒音の減衰効果を備えていないという問題点を有していた。
【0011】
また、上記従来の構成では、圧縮機の機種変更や冷媒等の変更といった場合には、圧縮機の騒音特性が変動する可能性がある。このケースでは、圧縮機として例えば吸入マフラー40の連通路開口端40bの位置変更によって、ある特定の周波数域の騒音を減衰する場合では、吸入マフラー40本体と連通路40aとが別体でないために、吸入マフラー4
0全体形状の変更が必要であり、吸入マフラー40を製造する際、新規の金型が必要となり、製造コストが増加するといった問題点があった。
【0012】
また、上記従来の構成では、吸入マフラー40の連通路40aの長さ及び径で決定する連通路40aの共鳴周波数が適正でないと、共鳴周波数によって変化する連通路40a内の圧力脈動変化、つまり吸入バルブ直前圧力が最大となるタイミングと吸入バルブの開時タイミングが合わないことになり、圧縮室22内へ流入する冷媒ガス量が減少し、冷凍能力や効率が低下するといった問題点があった。
【0013】
また、上記従来の構成では、密閉型圧縮機のインバータ化によって低い回転周波数で運転することがあり、気筒容積の小さいもので運転する場合には、吸入ガスの流速低下や受熱によるガス密度の低下等による影響によって体積効率が低下し、冷凍能力や効率が低下するといった問題点があった。
【0014】
本発明は、従来の課題を解決するもので、消音空間内における消音効果を有効に使い、かつ、吸入マフラー内にある連通路の開口端位置の変更が容易であり、かつ圧縮室内への冷媒流入量を増加させることで、冷凍能力や効率の低下を防止し、かつ、冷媒の循環量が少ない場合における体積効率の低下を抑え、冷凍能力や効率の低下を防止できる密閉型圧縮機を提供することを目的としている。
【0015】
【課題を解決するための手段】
本発明の請求項1に記載の発明は、吸入マフラーの消音空間内に、第1空間と、前記第1空間と直接連続し、かつ前記第1空間よりも狭い第2空間を形成するとともに、吸入バルブと前記第1空間とを連通させる第1連通路と、前記第1連通路とは別体部品で構成され、かつ一端が前記第1空間内に延出開口し、他端が前記第1連通路に連結された延出開口部と、一端が前記吸入マフラーの前記第2空間内に延出し、かつ密閉容器内と前記第2空間とを連通させる第2連通路とを有する構成とし、さらに、前記消音空間内に形成され、かつ前記圧縮室内へ冷媒が吸い込まれる際に発生した脈動音の定在波において、前記第1空間内の定在波における特定した周波数の音の節に、前記延出開口部の開口端を位置させたことで、吸入バルブからの吹き返しによる圧力脈動の大きい延出開口部の開口端を、消音効果の高い広い空間部に開口させ、且つ、延出開口部の開口端を、消音したい特定の周波数の音の節に位置させることができ、高い消音効果を得るといった作用を有する。また、前記延出開口部を別体部品としていることから、前記延出開口部のみの差し替えで吸入マフラー内にある連通路の開口端位置の変更ができるため、機種変更や冷媒変更等における消音特性の変化に対し、サクションマフラー本体の新規の金型が不要となる。
【0016】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、前記延出開口部に溶着突起を設けるとともに、前記溶着突起と溶着結合する孔を前記吸入マフラーの壁面に設けたことにより、前記延出開口部の固定に際し、簡便な外部加熱方式の溶着が可能なため、設備や部品のコストが小さくて済むといった作用を有する。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、本発明による圧縮機またはポンプの参考例および実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
【0018】
(参考例1)
図1は、本発明の参考例1による密閉型圧縮機の縦断面図であり、図2は、同参考例1の吸入マフラー側面図であり、図3は、同参考例1の吸入マフラー断面図である。図4は、同参考例1の吸入マフラー音響特性である。
【0019】
図1において、101は密閉容器で、巻線部103aを保有する固定子103と回転子104からなる電動要素105と、電動要素105によって駆動される圧縮要素106を収容する。108は密閉容器101内に貯留したオイルである。
【0020】
次に、圧縮要素106の詳細を以下に説明する。
【0021】
110はクランクシャフトで、回転子105を圧入固定した主軸部111、および主軸部111に対し偏心して形成された偏心部112を有するとともに、主軸部111の内部には、オイルポンプ113がオイル108中に開口するよう設けてある。120はシリンダーブロックで、略円筒形の圧縮室122を有するとともに、主軸部111を軸支する軸受け部123を有し、電動要素105の上方に形成されている。130はピストンで、シリンダーブロック120の圧縮室122に往復摺動自在に挿入され、偏心部112との間を連結手段131によって連結されている。135は圧縮室122の端面を封止するバルブプレートで、可動弁134aの開閉により圧縮室122と連通する吸入孔134bを有し、吸入孔134bと可動弁134aとによって吸入バルブ機構134が構成される。136はヘッドで、高圧室を形成し、バルブプレート135の圧縮室122の反対側に固定される。139は吸入チューブで、密閉容器101に固定されるとともに冷凍サイクルの低圧側(図示せず)に接続され、冷媒ガス(図示せず)を密閉容器1内に導く。
【0022】
143は吸入マフラーで、バルブプレート135とヘッド136に挟持されることで固定され、主にガラス繊維を添加したポリブチレンテレフタレート(PBT)やポリフェニレンサルファイド(PPS)などの合成樹脂で作られている。
【0023】
図2、図3において、吸入マフラー143は、空間内容積を広く形成した第1空間143aと、密閉容器101内のモーター103やクラスター103c、シリンダーブロック106、シリンダーヘッド136、密閉容器101等の配置の制約上、図2、図3に示す如く第1空間143aと仕切り等を介することなく直接連続し、かつ第1空間143aよりも狭く形成した第2空間143bを有している。さらに、吸入マフラー143は、一端が密閉容器101内に連通し、他端144aが狭い第2空間143bに延出しながら開口する第2連通路144と、一端がバルブプレート135の吸入孔134bと連通し、他端145aが広い第1空間143aに延出しながら開口する第1連通路145を有する。
【0024】
図4において、横軸は周波数、縦軸は消音機の消音効果をデシベルdBで表わし、破線が従来例の吸入マフラーの消音特性で、実線が本発明品の消音特性を表わしている。
【0025】
以上のように構成された密閉型圧縮機について、以下その動作を説明する。
【0026】
電動要素105の回転子104は、クランクシャフト110を回転させ、偏心部112の回転運動が連結手段131を介してピストン130に伝えられることで、ピストン130は、圧縮室122内を往復運動する。この動作により、冷却システム(図示せず)から密閉容器101内に冷媒ガスが流入し、吸入管139を通して密閉容器101内に導かれる。吸入された冷媒ガスは、吸入マフラー143の開口部141から吸入され、第2連通路144を経て第2空間143bに開放した後、第1空間143aから第1連通路145を経て吸入孔134bを通り、吸入バルブ134の開いた時に圧縮室122内に流入し、そして圧縮され、冷却システムへと吐き出される。
【0027】
ここで、圧縮室122内へ冷媒が吸い込まれる際に発生する冷媒の圧力脈動は、上記冷媒流れの逆向きに伝播していく。この際、吸入マフラー143内で最も脈圧の大きい部位は、圧縮室から最も近い連通路の他端145aである。しかしながら、第1連通路145の他端145aは、消音空間内で圧力脈動の減衰効果の高い広い第1空間143aの内に
延出開口し、且つ、消音空間内で発生する例えば騒音の問題となりうる3kHz〜4kHz域の音の節に他端145a位置を延出しているため、図4に矢印で示したような、特定の周波数帯における消音効果を得ることができる。この3kHz〜4kHz域の音の節は、吸入マフラー143の設計諸元に基づく計算、および実験等の一般的な手法で求めることができる。また、広い第1空間143aで減衰された圧力脈動は、狭い第2空間143bと第2連通路144の内径と長さによる圧力損失によってさらに減衰されるので、より高い消音効果を得ることが出来る。
【0028】
以上のことから、吸入マフラー143は、第1空間143aと第1空間143aよりも狭い第2空間143bとを消音空間に含むとともに、吸入バルブ134と第1空間143aとを連通させ、第1空間143a内に延出開口する第1連通路145と、密閉容器1内と第2空間143bとを連通させる第2連通路144とを備えたものであり、圧縮機の小型化等によって吸入マフラー143のスペースが狭くなっても、収まるべく形状に成形し、圧縮室122からの吹き返しによる圧力脈動の大きい第1連通路145の他端145aを、消音効果の高い広い第1空間143a内で消音したい特定周波数域の騒音の節に延出開口して、更に第2連通路の他端144aを狭い第2空間143b側に延出することによって、限られた空間においても効率的に高い消音効果を得ることができる。
【0029】
(実施の形態1)
図5は、本発明の実施の形態1による密閉型圧縮機の縦断面図であり、図6は、同実施の形態1の吸入マフラー組立工法を示した斜視図である。図7は、同実施の形態1の吸入マフラー側面図であり、図8は、同実施の形態1の吸入マフラー正面図である。
【0030】
図5、図6、図7、図8において、146は吸入マフラーであり、図6の反圧縮室122側パーツA147と圧縮室122側のパーツB148を嵌合し、超音波等により溶着結合することから、内部に、図5と図7に示した第1空間146aと第2空間146bが形成される。この第1空間146aと第2空間146bは連続しており、先の参考例1と同様に、第2空間146bが第1空間よりも狭く形成されている。そして、第2連通路149は、第2空間146bに開口している。
【0031】
パーツA147には、密閉容器101内と第2空間146bとを連通する第2連通路149と、一端がバルブプレート135の吸入孔134bと連通した第1連通路150を有する。第1連通路150は、開口端151aが第1空間146aと連通し、かつ溶着突起152を有した延出開口部151と結合される。
【0032】
パーツB148には、溶着突起152と溶着結合する孔148aが設けられている。図7、図8の153は、図6の溶着突起152がパーツB148に溶着結合した溶着部である。
【0033】
以上のように構成された密閉型圧縮機の吸入マフラー146の組立て手順を説明する。
【0034】
吸入マフラー146の組み立て手順は、図6に示したように、先にパーツA147の第1連通路150に延出開口部151を嵌合した後に、延出開口部151の溶着突起152をパーツB148の孔148aに挿入し、パーツA147とB148を嵌め合わせて溶着した後に、溶着突起152をパーツB148に溶着固定する。
【0035】
ここで、溶着突起152とパーツB148との溶着には、インパルス溶着、こて溶着、熱板溶着、熱風溶着等による簡易的な外部加熱による手法を用いることが出来る。
【0036】
以上のように構成された密閉型圧縮機について、以下その動作を説明する。
【0037】
圧縮機の各部品例えば、気筒容積の変更に伴う密閉容器101の形状変更や、冷媒の変更、例えばハイドロフルオロカーボン(HFC)からハイドロカーボン(HC)等への変更といった場合には、冷媒の音速が例えばR134aで170m/sec、R600aでは225m/secといった違いにより、吸入マフラー内の消音特性が変化するため、圧縮機からの騒音特性も変化する。
【0038】
この時、第1連通路150に延出開口部151が別体部品で結合されるため、延出開口部151の開口端151aの位置変更のみで、例えば消音したい周波数帯の音の節に開口端151aを設けるといった簡易的な方法により、消音特性の変更が可能である。
【0039】
従って、吸入マフラー146本体を構成する他の部品パーツA147やパーツB148の金型変更をしなくとも、延出開口部151のみの差し替えで開口端151aの変更が出来るため、新規の金型が不要であり、また簡便な外部加熱方式による溶着が可能なため、設備や部品のコストが小さくて済む。
【0040】
以上のことから、吸入マフラー146は、第1空間146aと第2空間146bとを形成する本体と、吸入バルブ134と第1空間146a内とを連通させる第1連通路150と、密閉容器101内と第2空間146b内とを連通させる第2連通路149とからなり、第1連通路150と第2連通路149の少なくとも一方に、第1空間146a内に延出開口するとともに別体部品で形成された延出開口部151を有し、延出開口部151に溶着突起152を設けるとともに、溶着突起152に継合する孔148aをパーツB148に設けたものであり、機種変更や冷媒変更等における消音特性の変化に対し、延出開口部151のみの差し替えで吸入マフラー146内にある第1連通路150或は第2連通路149の開口端位置の変更ができるため、新規の金型が不要であり、また簡便な外部加熱方式の溶着が可能なため、設備や部品のコストが小さくて済む。
【0041】
なお、本実施の形態1において、第1連通路150に溶着突起152を設けて吸入マフラー146と溶着する構成としたが、第2連通路149に同様の溶着突起152を設けて吸入マフラー146と溶着結合する構成においても、同様の効果が得られる。
【0042】
また、上記した構成による作用は、冷媒の他それに組み合わされるオイルの種類を問わず、普遍的である。
【0043】
(参考例2)
図9は、本発明の参考例2による特性図である。
【0044】
本参考例2は、参考例1の図1から図3における吸入マフラー143の第1連通路145の共鳴周波数が、可動弁134aの固有振動数の4倍以下となるように、第1連通路145の断面積及び長さを決定している。
【0045】
図9において、横軸は、吸入バルブ134の可動弁134aの固有振動数に対する吸入マフラー143の第1連通路145の共鳴周波数との比率を表わし、縦軸は、効率を比率で表わしている。
【0046】
以上のように構成された圧縮機について、以下その動作を説明する。
【0047】
圧縮機の運転中に、ピストン130が往復運動すると、吸入バルブ134を構成する可動弁134aは、ほぼその固有振動数に応じてクランクシャフト110の1回転中にn回(n=1、2、3、・・・)の振動を行う。また、圧縮室122内へ冷媒が吸い込まれる
時には、冷媒の圧力脈動が発生し、第1連通路145内は、ほぼ第1連通路145の長さと径で決まる共鳴周波数に応じた膨張、縮流をクランクシャフト110の1回転中にn回(n=1、2、3、・・・)繰り返される。
【0048】
従って、可動弁134aの開いているタイミング、つまり開時直後から閉時直前間のいずれかで、可動弁134aの直前の圧力が増大する様に第1連通路145の共鳴周波数を設定することにより、圧縮室内に流入する冷媒ガス量が増大し、体積効率が増大して冷凍能力や効率の向上が図れる。
【0049】
本発明では、例えば、第1連通路145の共鳴周波数が可動弁134aの固有振動数の4倍以下で使用することにより、可動弁134aの開いているタイミングに可動弁134aの直前の圧力を増大することができ、図9に示したような冷凍能力や効率の向上を図る事が出来る。
【0050】
以上のことから、第1連通路145の共鳴周波数を、可動弁134aの固有振動数の4倍以下としたものであり、第1連通路154の共鳴周波数と同等の圧力脈動と、可動弁134aの固有振動数と同等のバルブ開閉タイミングとを近づけることで、圧縮室122内への流入冷媒量を増やすことができ、冷凍能力や効率の低下を防止する。
【0051】
(参考例3)
図10は、本発明の参考例3による密閉型圧縮機の縦断面図である。図11は、同参考例3の冷凍能力変化時の効率特性図である。
【0052】
図10において、157は参考例1の図1から図3における構成で、かつ合成樹脂からなる吸入マフラーであり、バルブプレート135の吸入孔134bと吸入マフラー157内の消音空間160とを連通する第1連通路158を有する。156aは吸入バルブ機構156を構成する可動弁であり、圧縮機運転時に開閉を繰り返し、開時に第1連通路158と圧縮室122とを連通せしめる。第1連通路158は、第1連通路158内の共鳴周波数が、可動弁156の固有振動数の4倍以下となるような断面積、及び長さを構成している。また、消音空間160は、cm3で表した容積とJISB8606の試験方法で吸込み飽和温度−30℃、吐出し飽和温度40℃の条件におけるワットで表した冷凍能力との比が2.5以上としている。
【0053】
図11において、横軸は、JISB8606の試験方法で吸込み飽和温度−30℃、吐出し飽和温度40℃の条件における冷凍能力を表わし、縦軸は、効率を比率で表わしている。
【0054】
尚、本参考例3において、密閉型圧縮機はインバータ駆動され、最低運転周波数時の冷凍能力がJISB8606の試験方法において、吸込み飽和温度−30℃、吐出し飽和温度40℃の条件において65W以下である。
【0055】
以上のように構成された密閉型圧縮機について、以下その動作を説明する。
【0056】
冷凍冷蔵庫などの冷凍能力が65W以下といった低冷凍能力運転を行う密閉型圧縮機の吸入マフラー157の内容積は、予め冷凍能力の1/4の約26cm3としており、最小冷凍能力の低下に伴い、小さいボリュームで構成される。そのため、吸入マフラー157内の圧力脈動の減衰効果が低化することで、可動弁156直前に伝播する圧力脈動が増加し、可動弁156の開時に圧縮室122内へと押し出される冷媒流入量がより増加する。
【0057】
これに加え、圧縮機の運転中に、ピストン130が往復運動すると、吸入バルブ156
を構成する可動弁156aは、ほぼその固有振動数に応じてクランクシャフト110の1回転中にn回(n=1、2、3、・・・)の振動を行う。また、圧縮室122内へ冷媒が吸い込まれる時には、冷媒の圧力脈動が発生し、第1連通路158内は、ほぼ第1連通路158の長さと径で決まる共鳴周波数に応じた膨張、縮流をクランクシャフト110の1回転中にn回(n=1、2、3、・・・)繰り返される。
【0058】
従って、可動弁156aの開いているタイミング、つまり開時直後から閉時直前間のいずれかで、可動弁156aの直前の圧力が増大する様に第1連通路158の共鳴周波数を設定することにより、圧縮室内に流入する冷媒ガス量が増大し、体積効率が増大して冷凍能力や効率の向上が図れる。
【0059】
従って、特に低冷凍能力運転時において、図11に示したように、より顕著な効率向上効果を得ることができる。
【0060】
以上のことから、吸入マフラー157は、消音空間160を形成する本体と、可動弁156aと消音空間160内とを連通させる第1連通路158と、密閉容器101内と消音空間160内とを連通させる第2連通路159とからなり、消音空間160の容積(cm3)と標準条件における冷凍能力(W)との比が2.5以上で、かつ第1連通路158の共鳴周波数を、可動弁156aの固有振動数の4倍以下としたものであり、密閉型圧縮機のインバータ化により、低周波数域で運転する場合や、気筒容積の小さい仕様で運転する場合でも、吸入マフラー157内の圧力脈動を有効に利用することが出来、圧縮室122内への冷媒流入量が増加し、冷凍能力や効率が向上する。
【0061】
【発明の効果】
以上説明したように請求項1に記載の発明は、吸入マフラーの消音空間内に、第1空間と、前記第1空間と直接連続し、かつ前記第1空間よりも狭い第2空間を形成するとともに、吸入バルブと前記第1空間とを連通させる第1連通路と、前記第1連通路とは別体部品で構成され、かつ一端が前記第1空間内に延出開口し、他端が前記第1連通路に連結された延出開口部と、一端が前記吸入マフラーの前記第2空間内に延出し、かつ密閉容器内と前記第2空間とを連通させる第2連通路とを備えた構成とし、さらに、前記消音空間内に形成され、かつ前記圧縮室内へ冷媒が吸い込まれる際に発生した脈動音の定在波において、前記第1空間内の定在波における特定した周波数の音の節に、前記延出開口部の開口端を位置させたものであり、圧縮機の小型化等によって吸入マフラーのスペースが狭くなっても、効率的な形状に成形し、圧縮室からの吹き返しによる圧力脈動の大きい第1連通路の開口端を、消音効果の高い広い第1空間内において、消音したい周波数の音の節にまで延出開口し、且つ、第2連通路の開口端を狭い第2空間側に延出することによって、高い消音効果を得ることができる。また、機種変更や冷媒変更等における消音特性の変化に対し、前記延出開口部のみの差し替えで吸入マフラー内にある第1連通路の開口端の位置の変更ができるため、新規の金型が不要であり、コストが小さくて済む。
【0062】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、前記延出開口部に溶着突起を設けるとともに、前記溶着突起と溶着結合する孔を前記吸入マフラーの壁面に設けたものであり、前記延出開口部の固定に際し、簡便な超音波溶着が可能なため、設備や部品のコストが小さくて済む。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明における参考例1による密閉型圧縮機の縦断面図
【図2】 同参考例1の吸入マフラー側面図
【図3】 同参考例1の吸入マフラー断面図
【図4】 同参考例1の吸入マフラー音響特性図
【図5】 本発明の実施の形態1による密閉型圧縮機の縦断面図
【図6】 同実施の形態1の組立工法を説明した斜視図
【図7】 同実施の形態1の吸入マフラー側面図
【図8】 同実施の形態1の吸入マフラー正面図
【図9】 本発明における参考例2による特性図
【図10】 本発明における参考例3による密閉型圧縮機の縦断面図
【図11】 同参考例3の冷凍能力変化時の効率特性図
【図12】 従来の圧縮機の縦断面図
【図13】 従来の圧縮機の吸入マフラーの断面図
【符号の説明】
101 密閉容器
105 電動要素
106 圧縮要素
120 シリンダーブロック
134 吸入バルブ
135 バルブプレート
143 吸入マフラー
143a 第1空間
143b 第2空間
144 第2連通路
145 第1連通路
146 吸入マフラー
146a 第1空間
146b 第2空間
148a 孔
149 第2連通路
150 第1連通路
151 延出開口部
152 溶着突起
156 吸入バルブ
156a 可動弁
157 吸入マフラー
158 第1連通路
159 第2連通路
160 消音空間
Claims (2)
- 密閉容器内にオイルを貯留するとともに電動要素によって駆動される圧縮要素を収容し、圧縮室を有するシリンダーブロックと、前記シリンダーブロックの圧縮室開口端を封止するとともにその端面に吸入バルブを形成するバルブプレートと、消音空間を形成する吸入マフラーとを前記圧縮要素の構成に含み、前記吸入マフラーの前記消音空間内に、第1空間と、前記第1空間と直接連続し、かつ前記第1空間よりも狭い第2空間を形成するとともに、前記吸入バルブと前記第1空間とを連通させる第1連通路と、前記第1連通路とは別体部品で構成され、かつ一端が前記第1空間内に延出開口し、他端が前記第1連通路に連結された延出開口部と、一端が前記吸入マフラーの前記第2空間内に延出し、かつ前記密閉容器内と前記第2空間とを連通させる第2連通路とを有する構成とし、さらに、前記消音空間内に形成され、かつ前記圧縮室内へ冷媒が吸い込まれる際に発生した脈動音の定在波において、前記第1空間内の定在波における特定した周波数の音の節に、前記延出開口部の開口端を位置させた密閉型圧縮機。
- 前記延出開口部に溶着突起を設けるとともに、前記溶着突起と溶着結合する孔を前記吸入マフラーの壁面に設けた請求項1に記載の密閉型圧縮機。
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