JP4792441B2 - フレキシブル燃料内燃機関の燃料噴射制御装置 - Google Patents
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Description
請求項1に記載の発明は、燃料タンクの燃料を燃料ポンプによってデリバリパイプに供給するためのメイン通路と、過剰な燃料を前記デリバリパイプから前記燃料タンクに戻すリターン通路とを備え、排気通路に設けられた酸素濃度センサの検出値に基づいて求められるアルコールの濃度偏差および前回算出されたアルコールの濃度に基づいてアルコールの濃度を更新し、この更新されたアルコールの濃度に応じた値を燃料噴射量の補正に用いられる濃度学習値とする濃度学習処理と、空燃比が理論空燃比となるように前記濃度学習値に基づいて前記デリバリパイプに接続されるインジェクタの燃料噴射量を補正する燃料噴射量算出処理とを実行するフレキシブル燃料内燃機関の燃料噴射制御装置において、前記燃料タンクに給油操作がなされたことを検出する給油検出手段と、前記給油検出手段により給油操作がなされた旨検出されたときにその給油操作後の最初の機関始動開始から所定期間が経過するまで前記リターン通路を通じて前記デリバリパイプの燃料が前記燃料タンクに戻されることを制限する制限処理を実行する制限手段とを備え、前記制限手段の実行中、前記濃度学習処理ではその実行条件が成立するまで給油操作前の同濃度学習処理を通じて得られた前記濃度学習値に基づいて前記燃料噴射量の補正を行うことをその要旨とする。
図1はV型の気筒配列を有した8気筒の車載内燃機関、及びその燃料噴射制御装置の概略構成を示している。同図1に示されるように、内燃機関にはその左右バンクに対応する一対のデリバリパイプ14R,14Lがそれぞれ設けられている。これらデリバリパイプ14R,14Lには各気筒に対応して4つのインジェクタ15がそれぞれ接続されている。なお、この内燃機関は、ガソリンにエタノールが混合された混合燃料を燃料として運転することのできるフレキシブル燃料内燃機関である。ちなみに、混合燃料のエタノール濃度は、それまでの給油操作履歴、換言すれば燃料タンク11に残存する燃料のエタノールの濃度と給油操作により燃料タンク11に新たに注入される燃料のエタノール濃度とに応じてその都度異なるものとなる。具体的にその濃度は、0%(ガソリンのみ)〜85%の範囲内で変化する。
まず、インジェクタ15から噴射される燃料噴射量の算出手順について図2のフローチャートを参照して説明する。なお、このフローチャートに示す一連の処理は、電子制御装置41によって所定の周期をもって繰り返し実行される。
一方、酸素濃度センサ44により排気の酸素濃度DOが検出することができない旨判断された場合は(ステップS201:NO)、空燃比フィードバック補正係数FAFが「1.0」に設定され(ステップS202)、空燃比学習値KG及びエタノール濃度学習値KALCが読み込まれる(ステップS207)。また、空燃比学習の実行条件が成立していない旨判断された場合にも(ステップS204:NO)、空燃比学習値KG及びエタノール濃度学習値KALCが読み込まれる(ステップS207)。
この燃料噴射量算出処理を通じて算出される最終燃料噴射量QFINと燃圧センサ46により検出される燃料噴射圧Pとに基づいて燃料噴射時間TAU、すなわちインジェクタ15の開弁時間が算出される。そして、電子制御装置41はこの燃料噴射時間TAUに基づいてインジェクタ15を開弁駆動する。その結果、最終燃料噴射量QFINに相当する量の燃料がインジェクタ15から噴射される。
図3はエタノール濃度学習処理の手順を示すフローチャートである。このフローチャートに示す一連の処理は、電子制御装置41によって所定の周期をもって繰り返し実行される。なお、このエタノール濃度学習処理の実行中は、燃料噴射量算出処理における空燃比の学習処理(ステップS203〜ステップS207)の実行が禁止される。
これに対して、給油操作が行われた旨判断されると(ステップS300:YES)、次にエタノール濃度学習の実行条件が成立しているか否かが判断される(ステップS301)。ここで、以下の条件(1)及び条件(2)が成立したときに、エタノール濃度学習の実行条件が成立した旨判断される。
(条件1)酸素濃度センサ44が活性化している
(条件2)空燃比フィードバック補正係数FAFの絶対値≠1.0
ここでエタノール濃度学習の実行条件が成立していないと判断された場合(ステップS301:NO)、この一連の処理は一旦終了される。
ALC ← ALC+ΔALC …(1)
その後、図4(b)に示される演算用マップを通じてエタノール濃度ALCに応じたエタノール濃度学習値KALCが算出される(ステップS303)。なお、これら演算用マップは実験等を通じて得られた結果に基づいて予め作成されたものであり、記憶部41aのROMに記憶されている。また、このようにして算出された濃度学習値KALCは記憶部41aのバックアップRAMに記憶される。
上述したように、フレキシブル燃料内燃機関においては、今回給油した燃料と前回給油した燃料との間で含有するエタノールの濃度が異なることがあり、給油後に燃料のエタノール濃度が変化することが少なくない。このような場合、給油操作後の機関運転においてインジェクタ15から噴射される燃料のエタノール濃度が急変することとなり、エタノール濃度の学習処理が完了して給油操作により変化した燃料のエタノール濃度が正確に把握されるようになるまで、エタノール濃度に即した燃料噴射量のフィードバック補正を適切に行うことができず、空燃比の悪化を招いてしまう。
同図5は本実施形態における燃圧切替弁開閉駆動処理の手順を示すフローチャートである。このフローチャートに示す一連の処理は、電子制御装置41により機関始動毎に実行される。
ΣQFIN ← ΣQFIN+QFIN …(2)
次に、演算式(3)により算出される最終燃料噴射量QFINの積算値ΣQFINに気筒数n(=8)を乗じて総燃料噴射量QTOTALが算出される(ステップS505)。
QTOTAL ← n・ΣQFIN …(3)
この演算式(3)により算出される総燃料噴射量QTOTALを機関停止時にメイン配管13及びデリバリパイプ14L,14Rに残留可能な燃料の量である基準燃料量QTHと比較し、総燃料噴射量QTOTALが基準燃料量QTHを上回ったか否かが判断される(ステップS506)。
図6(ii)に示されるように、イグニッションスイッチをONにすることによって機関が再始動されると、燃圧切替弁33が駆動され開状態から閉状態となる(タイミングt2)。そして酸素濃度センサ44が活性化し、空燃比フィードバック制御が開始される(タイミングt3)。機関始動から空燃比フィードバック制御が開始されるまでの時間は、図6(i)に示す低温再始動時と比較して短いが、その間にインジェクタ15から噴射される燃料のエタノール濃度ALCは急激に変化する(タイミングt2〜タイミングt3間)。
(1)本実施形態においては給油操作が検出された場合には、電子制御装置41により低圧リターン配管31に設けられた燃圧切替弁33が開かれて低圧リターン配管31がメイン配管13に接続されるため、デリバリパイプ14R,14Lの燃料圧力、換言すれば燃料噴射圧が高圧リターン配管21に設けられた高圧調圧弁22の開弁圧に達する前に、低圧リターン配管31に設けられた低圧調圧弁32が開弁し、低圧リターン配管31を通じて燃料ポンプ12から吐出された燃料の一部が燃料タンク11に戻されるようにした。これにより、デリバリパイプ14R,14Lの燃料が高圧リターン配管21を通じて燃料タンク11に戻されることを制限することができるようになる。その結果、デリバリパイプ14R,14Lやメイン配管13に残留している給油操作前の燃料、すなわち燃料のエタノール濃度学習処理を通じてエタノールの濃度に応じた濃度学習値KALCが既に設定されている燃料を用いて所定期間燃料噴射を継続することができるようになる。したがって、インジェクタ15の噴射燃料に含まれるエタノールの濃度を給油操作前の濃度から給油操作によって変化した濃度にまで徐々に変化させることができる。その結果、エタノールの濃度学習処理が完了するまでの期間に、同濃度学習処理を通じて検出されたエタノール濃度ALCと実際のエタノール濃度との間に大きな乖離が生じることを回避することができ、そうした乖離に起因する空燃比の悪化、ひいては排気性状の悪化を抑制することが可能となる。
・燃料タンク11の燃料量センサ47によって検出された燃料量が前回検出された量と比較して所定量以上増加している場合に、機関停止中に給油操作が行われた旨判断するようにしている。これに限らず、給油口の蓋の開閉操作を検出する検出手段を設け、同蓋の開閉に基づいて給油操作の有無を判断してもよい。また給油ガンを給油口に差込む操作を検出する手段を設け、その差込の有無に基づいて給油操作の有無を判断してもよい。
・機関再始動に際して給油操作が行われた旨検出された場合には、低圧リターン配管31に備えられた燃圧切替弁33を開くことによって高圧リターン配管21を通じてデリバリパイプ14R,14Lの燃料が燃料タンク11に戻されることを制限し、デリバリパイプ14R,14Lやメイン配管13に給油操作前の燃料をある程度の量残留させるようにしている。これに限らず、燃料ポンプ12の吐出圧を給油操作が検出されなかった場合と比較して小さくすることによってデリバリパイプ14R,14Lの燃料が燃料タンク11に戻されることを制限するようにしてもよい。
Claims (6)
- 燃料タンクの燃料を燃料ポンプによってデリバリパイプに供給するためのメイン通路と、過剰な燃料を前記デリバリパイプから前記燃料タンクに戻すリターン通路とを備え、
排気通路に設けられた酸素濃度センサの検出値に基づいて求められるアルコールの濃度偏差および前回算出されたアルコールの濃度に基づいてアルコールの濃度を更新し、この更新されたアルコールの濃度に応じた値を燃料噴射量の補正に用いられる濃度学習値とする濃度学習処理と、空燃比が理論空燃比となるように前記濃度学習値に基づいて前記デリバリパイプに接続されるインジェクタの燃料噴射量を補正する燃料噴射量算出処理とを実行するフレキシブル燃料内燃機関の燃料噴射制御装置において、
前記燃料タンクに給油操作がなされたことを検出する給油検出手段と、
前記給油検出手段により給油操作がなされた旨検出されたときにその給油操作後の最初の機関始動開始から所定期間が経過するまで前記リターン通路を通じて前記デリバリパイプの燃料が前記燃料タンクに戻されることを制限する制限処理を実行する制限手段とを備え、
前記制限手段の実行中、前記濃度学習処理ではその実行条件が成立するまで給油操作前の同濃度学習処理を通じて得られた前記濃度学習値に基づいて前記燃料噴射量の補正を行う
ことを特徴とするフレキシブル燃料内燃機関の燃料噴射制御装置。 - 請求項1に記載のフレキシブル燃料内燃機関の燃料噴射制御装置において、
前記デリバリパイプに残留する燃料の温度を推定する推定手段と、
前記推定手段によって推定される燃料温度が所定温度以上であるときには前記制限手段による前記制限処理を禁止する禁止手段とを更に備える
ことを特徴とするフレキシブル燃料内燃機関の燃料噴射制御装置。 - 請求項2に記載のフレキシブル燃料内燃機関の燃料噴射制御装置において、
濃度学習処理を通じて、燃料のアルコール濃度が最も低い場合に設定される低濃度学習値と、アルコール濃度が最も高い場合に設定される高濃度学習値との間の値を初期値とし、既に設定されている濃度学習値を同初期値に置換することにより初期化を実行する初期化手段を更に備える
ことを特徴とするフレキシブル燃料内燃機関の燃料噴射制御装置。 - 請求項3に記載のフレキシブル燃料内燃機関の燃料噴射制御装置において、
前記初期化手段は前記濃度学習値の初期化に際して前記低濃度学習値と前記高濃度学習値との平均値を初期値とする
ことを特徴とするフレキシブル燃料内燃機関の燃料噴射制御装置。 - 請求項1〜4のいずれか一項に記載のフレキシブル燃料内燃機関の燃料噴射制御装置において、
前記制限手段は前記制限処理の実行に際して機関始動時からの燃料噴射量積算値が前記メイン通路及び前記デリバリパイプに残留可能な燃料の量を上回ったときに前記所定期間が経過した旨判断して前記制限処理を終了する
ことを特徴とするフレキシブル燃料内燃機関の燃料噴射制御装置。 - 請求項1〜5のいずれか一項に記載のフレキシブル燃料内燃機関の燃料噴射制御装置において、
前記リターン通路は前記デリバリパイプの燃料圧力を高圧に調節する高圧用調圧弁が設けられた高圧リターン通路であり、
前記制限手段は、前記メイン通路に接続されて前記高圧用調圧弁よりもその開弁圧が低い低圧用調圧弁が設けられた低圧リターン通路と、前記メイン通路から前記低圧リターン通路に燃料が流入可能な状態と流入不能な状態とを切り替える切替弁と、前記給油検出手段により給油操作が検出されたときに前記低圧リターン通路が前記メイン通路に接続された状態となるように前記切替弁を制御する制御部とを備える
ことを特徴とするフレキシブル燃料内燃機関の燃料噴射制御装置。
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