JP4786918B2 - セメント組成物およびその使用方法 - Google Patents

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Description

本発明は、土木・建築分野で使用するセメント組成物およびその使用方法、特に、シラス、フライアッシュを有効利用するセメント組成物およびその使用方法に関する。
トンネルの覆工において、施工時や施工後に、覆工コンクリート背面に空洞が発生する場合がある。
この空洞をそのまま放置すると、空洞部への地山の崩落に伴い、地表面が沈下する、地山崩落が激しい場合には、覆工コンクリートの変形や破壊、特に、トンネルの崩落が発生する、空洞への地下水の流入により、覆工コンクリートが劣化する、及びそれに伴う劣化コンクリート片の走行車線への落下や、クラック部からの漏水により、冬季に走行車線が凍結するなどの課題があった。
近年、施工件数が増加しているトンネル補修工事の中に、覆工コンクリート背面の空洞に注入材を充填する裏込め注入工法がある。
裏込め注入工法は、この空洞部へ注入材を充填し、トンネルの安定化を図るもので、ここで使用される注入材を裏込め材という。
従来、この裏込め材として、通常、セメント−ベントナイトが用いられてきたが、流動性が大きすぎ、裏込め材が遠方まで不必要に逸流したり、湧水があると裏込め材が流出したり、希釈されて物性が低下したりするなどの課題があった。
そこで、セメントとベントナイトとの主材に、高吸水性樹脂を添加して、その粘度を大きくする方法や、水ガラスを添加して硬化促進する方法が提案された(特許文献1、特許文献2参照)。
しかしながら、いずれの方法も粘度が上昇するまでに時間がかかるうえ、高吸水性樹脂を添加する方法は高吸水性樹脂自体が高価であり、また、初めから注入材に投入して練混ぜると、主材の粘度が高くなるため、圧送距離を短くせざるを得ず、注入箇所が限定されるという課題があった。
一方、水ガラスを添加する方法は、水ガラスのpHが13以上と強アルカリであるため、作業が相当制限される、硬化体からの溶出水が環境に負荷を与える、及び硬化体の長期強度が低下するなどの課題があった。
また、最近では裏込め材の持つ課題を解決する方法として、セメント−ベントナイトやセメント−石炭灰(フライアッシュ)の主材に、可塑化材としてポリマーを添加することにより瞬時に可塑化して、水中不分離性や安全性を改善したものが提案されている(特許文献1、特許文献3、及び特許文献4参照)。
一方、南九州に多量に存在する火山堆積物としてシラスがある。シラスの産出地において、掘削等の土木工事が行われ、大量のシラスが発生しても通常の土砂とは異なり、有効利用が困難であるため、その多くが建設発生土として埋立処分されていた。
シラスの利用法としては、コンクリートへの添加や、低強度モルタル充填材として利用する提案がなされている(非特許文献1、特許文献5参照)。
しかしながら、シラスは未だそのまま埋立廃棄処分されることが多く、その処分に多大な費用を要するため、さらなる利用方法の確立が望まれている。
また、火力発電所で石炭を燃焼させた後に発生する副産物として、フライアッシュがある。
フライアッシュは、流動性の改善やポゾラン反応による長期強度の増進、水和熱の低減の目的でコンクリート混和材として一部利用されている。
しかしながら、初期強度が小さい、フライアッシュ中の未燃カーボンにより連行空気量が減少するなどの問題があるため、その利用が充分に進んでおらず、さらに広範囲な利用法が望まれていた(非特許文献2参照)。
特開平10−237446号公報 特開平11−061123号公報 特開平10−238289号公報 特開2000−280231号公報 社団法人日本コンクリート工学協会「コンクリート工学年次論文集」、第22巻、第2号、pp.877〜882、2000 特開2004−002203号公報 社団法人セメント協会「C&C エンサイクロペディア」、pp.92〜93、1996
本発明は、ベントナイトや高吸水性樹脂を使用した注入材より長距離圧送性に優れ、また、可塑化材添加後は速やかに増粘し、例えば、裏込め材等の空隙充填材が遠方まで不必要に逸流したり、湧水があっても空隙充填材が流出したり、希釈されて物性が低下したりすることなく、さらに、水ガラスのように溶出水が強アルカリとなるものでもないセメント組成物を提供することを目的とする。
本発明者は、種々検討を重ねた結果、特定のセメント組成物を用いることにより、急激な粘度上昇を示す、強度発現性に優れる、水中不分離性がある、pH値が水ガラスを用いた場合に比べて低くできるなどの知見を得て、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明は、セメント100部、シラス30〜300部、アルカリ増粘型ポリマーエマルジョン、及び硬化促進剤を含有してなるセメント組成物であり、さらにフライアッシュを含有してなる該セメント組成物であり、シラスとフライアッシュとの合計がセメント100部に対して、30〜500部である該セメント組成物であり、アルカリ増粘型ポリマーエマルジョンが、不飽和カルボン酸類とエチレン性不飽和化合物との共重合により得られるポリマーエマルジョンである該セメント組成物であり、硬化促進剤がアルミン酸塩及び/又は硫酸塩を含有してなる該セメント組成物であり、フライアッシュの使用量が、セメント100部に対して、30〜400部である該セメント組成物であり、フライアッシュの使用量が、セメント100部に対して、50〜200部である該セメント組成物であり、さらに遅延剤を含有してなる該セメント組成物であり、水の量が、セメント100部に対して、100〜300部である該セメント組成物であり、該セメント組成物を用いてなる注入材であり、セメント100部、シラス30〜300部、フライアッシュ、及び水をあらかじめ混合してA液とし、硬化促進剤と水とを含有してなる混合物と、アルカリ増粘型ポリマーエマルジョンと水とを混合してなる混合物とを混合してB液として、使用直前に、A液とB液とを混合する該セメント組成物の使用方法であり、セメント100部、シラス30〜300部、フライアッシュ、及び水をあらかじめ混合してA液とし、硬化促進剤と水とを含有してなる混合物をB液とし、アルカリ増粘型ポリマーエマルジョンと水とを含有してなる混合物をC液として、使用直前に、A液、B液、及びC液を混合する該セメント組成物の使用方法である。
本発明のセメント組成物を用いることにより、シラス、フライアッシュを有効利用でき、急激な粘度上昇を示す、強度発現性に優れる、水中不分離性がある、pH値が水ガラスを用いた場合に比べて低いという特性を持つ裏込め材等の空隙充填材等が得られる。
以下、本発明を詳細に説明する。
なお、本発明でいう部や%は特に規定のない限り質量基準である。
また、本発明でいうセメントコンクリートとは、セメントミルク、モルタル、又はコンクリートを総称するものである。
本発明で使用するセメントは特に限定されるものではなく、通常のセメントが使用可能であり、具体的には、普通、早強、超早強、中庸熱、及び低熱等の各種ポルトランドセメント、これらのポルトランドセメントに、高炉スラグ、フライアッシュ、又はシリカを混合した各種混合セメント、また、石灰石微粉末や高炉徐冷スラグ微粉末等を混合したフィラーセメント、廃棄物利用型セメント、いわゆるエコセメントなどが挙げられ、これらのうちの一種又は二種以上が併用可能である。
本発明で使用するシラスは、南九州に広く分布する軽石流や、降下軽石の非溶結火砕流堆積物である。その大部分は砂分やシルトからなり、鉱物組成としては、火山ガラスや斜長石を主成分とし、輝石、石英、及び磁鉄鉱等が含まれる。化学組成の平均的な値はSiO2が約70%、Al2O3が約14%、及びアルカリ酸化物が約8%である。
シラスの粒度は産地により様々であり一義的に決定されるものではないが、30μm程度の微粉から5mm程度の粗粒までを含み、幅広い粒度分布を示すものが多い。
本発明で使用するフライアッシュは、火力発電所において石炭の燃焼により発生し、燃焼ガスに伴ってボイラー外に排気され、集塵器によって回収される微粉分である。
フライアッシュの化学成分は、炭種、ボイラーの構造、運転状態、及び集塵器の形式等によって異なるが、一般的にSiO2が約60%を占めて最も多く、次いでAl2O3が25%程度、Fe2O3やCが少量含まれる。密度は2.0〜2.5g/cm3程度で、粉末度はブレーン比表面積値(以下、ブレーン値という)で2,500〜4,000cm2/gのものが多く、分級により粉末度を高めたものもあり、粉末度が高いほど可塑性の点で好ましい。形状は、一般的には表面が滑らかなガラス質で、球状をしている。
シラスとフライアッシュとの使用量は、それらの品質により変わるため一義的に規定することはできないが、一般的には、シラス単独使用の場合、シラスとフライアッシュとの併用の場合、いずれも、セメント100部に対して、30〜500部が好ましく、50〜300部がより好ましい。30部未満では粘度が上昇しない場合や、流動性が大きくなったり、水中不分離性が小さくなったりする場合があり、500部を超えると粘性が高くなりすぎ、セメント組成物の練混ぜが困難になる場合がある。
本発明で使用するアルカリ増粘型ポリマーエマルジョン(以下、本エマルジョンという)は、アルカリにより増粘するポリマーエマルジョンをいう。
本エマルジョンとしては、例えば、不飽和カルボン酸類、エチレン性不飽和化合物、及び不飽和カルボン酸類とエチレン性不飽和化合物との共重合物等、種々挙げられるが、より優れた効果を示す面で、不飽和カルボン酸類とエチレン性不飽和化合物との共重合により得られるポリマーエマルジョンが好ましい。
不飽和カルボン酸類とエチレン性不飽和化合物との重合方法としては、乳化重合、懸濁重合、溶液重合、又は塊状重合等の方法により、共重合する方法等が挙げられる。
不飽和カルボン酸類としては、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、アコニット酸、及びクロトン酸等の不飽和カルボン酸、無水マレイン酸や無水シトラコン酸等の不飽和カルボン酸無水物、並びに、イタコン酸モノメチル、イタコン酸モノブチル、及びマレイン酸モノエチルなどの不飽和カルボン酸エステルが挙げられ、これらの中では、より増粘性に優れる面で不飽和カルボン酸が好ましく、アクリル酸及び/又はメタクリル酸がより好ましい。
エチレン性不飽和化合物としては特に限定されるものではないが、より増粘性に優れる面でアクリル酸エステルモノマー及び/又はメタクリル酸エステルモノマーが好ましい。アクリル酸エステルとしては、メチルアクリレート、エチルアクリレート、ブチルアクリレート、ヘキシルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、オクチルアクリレート、ヒドロキシエチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、及びグリシジルアクリレートなどが挙げられ、メタクリル酸エステルとしては、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、ブチルメタクリレート、ヒドロキシエチルメタクリレート、及びグリシジルメタクリレートなどが挙げられる。
本エマルジョンの不飽和カルボン酸類とエチレン性不飽和化合物との共重合比は、より増粘性に優れる面で、不飽和カルボン酸類:エチレン性不飽和化合物=20:1〜1:20が好ましく、5:1〜1:5がより好ましい。この範囲外では良好なアルカリ増粘性が得られない場合がある。
本エマルジョンの使用量は、セメント100部に対して、固形分換算で0.1〜2部が好ましく、0.2〜1部がより好ましい。0.1部未満では増粘効果が少なくなり、流動性が大きくなり、水中不分離性が小さくなる場合があり、2部を超えると初期強度発現性が小さくなる場合がある。
セメント組成物の硬化が遅れると、材料分離の一種であるブリーディング(浮き水)が起こり、硬化後に空隙が生成して構造的な欠陥となる。
本発明で使用する硬化促進剤は、セメント組成物の硬化を促進してブリーディングを低減し、空隙の生成を抑制するとともに、強度発現性に寄与する。
硬化促進剤としては、硫酸リチウム、硫酸ナトリウム、硫酸カリウム、硫酸マグネシウム、硫酸カルシウム、硫酸アルミニウム、カリウム明礬、及び硫酸鉄等の硫酸塩、炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、及び炭酸カリウムなどの炭酸塩、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、水酸化カリウム、及び水酸化カルシウムなどの水酸化物、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、及び塩化鉄等の塩化物、アルミン酸リチウム、アルミン酸ナトリウム、アルミン酸カリウム、及びアルミン酸カルシウムなどのアルミン酸塩、ケイ酸リチウム、ケイ酸ナトリウム、及びケイ酸カリウムなどのケイ酸塩、ジエタノールアミンやトリエタノールアミンなどのアミン類、ギ酸カルシウムや酢酸カルシウムなどの有機酸のカルシウム塩、並びに、シリカゾルやアルミナゾルなどのコロイドなどが挙げられ、これらの一種又は二種以上を併用することも可能である。これらの中では、硬化促進と強度発現性とに優れる面で、アルミン酸塩及び/又は硫酸塩が好ましく、アルミン酸塩と硫酸塩とを併用したものがより好ましい。
アルミン酸塩の中では、硬化促進と強度発現性との面でアルミン酸カルシウムが好ましい。
アルミン酸カルシウムはカルシアを含む原料と、アルミナを含む原料等とを混合して、キルンでの焼成や電気炉での溶融等の熱処理をして得られる、CaOとAl2O3とを主成分とする化合物を総称するものであり、具体例としては、CaO・2Al2O3、CaO・Al2O3、12CaO・7Al2O3、11CaO・7Al2O3・CaF2、3CaO・Al2O3、及び3CaO・3Al2O3・CaSO4などで表される結晶性のカルシウムアルミネート類や、CaOとAl2O3とを主成分とする非晶質の化合物が挙げられ、いずれも使用可能である。これらの中では、強度発現性の面で非晶質の12CaO・7Al2O3組成のものがより好ましい。
アルミン酸カルシウムの粉末度は、ブレーン値で3,000cm2/g以上が好ましく、5,000cm2/g以上がより好ましい。3,000cm2/g未満では初期強度発現性が小さい場合がある。
硫酸塩の中では、硬化促進と強度発現性との面で硫酸カルシウム及び/又は硫酸アルミニウムが好ましい。
硫酸カルシウムとしては、無水石膏、半水石膏、又は二水石膏等が挙げられ、これらの中では、硬化促進と強度発現性との面で、無水石膏が好ましい。
硫酸塩の粉末度は、ブレーン比表面積で3,000cm2/g以上が好ましく、5,000cm2/g以上がより好ましい。3,000cm2/g未満では強度発現性が小さい場合がある。
硬化促進剤としてアルミン酸塩と硫酸塩とを併用した場合、硫酸塩の使用量は、アルミン酸塩100部に対して、20〜500部が好ましく、50〜150部がより好ましい。20部未満では初期強度発現性が小さくなる場合があり、500部を超えると流動性が大きくなり、水中不分離性が小さくなり、長期強度発現性が小さくなる場合がある。
硬化促進剤の使用量はその種類によって異なるため一義的に規定することはできないが、一般的には、セメント100部に対して、1〜30部が好ましく、2〜20部がより好ましい。1部未満では流動性が大きくなり、水中不分離性が小さくなり、強度発現性が小さくなる場合があり、30部を超えると粘度が高くなり、圧送距離が短くなる場合がある。
本発明のセメント組成物に、砂や砂利等の骨材、減水剤、及び防凍剤等を併用することも可能である。
本発明でセメントと混合する水の量は特に限定されるものではないが、セメント100部に対して、100〜300部が好ましく、150〜200部がより好ましい。100部未満ではセメント組成物の練混ぜが困難になる場合があり、300部を超えると流動性が大きくなり、水中不分離性が小さくなる場合がある。
本発明のセメント組成物は、セメント、シラス、フライアッシュ、本エマルジョン、及び硬化促進剤を混合して得られる。
その混合方法は特に限定されるものではないが、セメントとシラス、フライアッシュとをあらかじめ水と混合したセメント−シラス−フライアッシュ液をA液とし、硬化促進剤と水との混合物(以下、硬化促進剤液という)と、本エマルジョンと水との混合物(以下、本エマルジョン液という)とを混合してB液とし、使用直前にA液とB液とを混合することにより、あるいは、セメント−シラス−フライアッシュ液をA液とし、硬化促進剤液をB液とし、本エマルジョン液をC液として、使用直前にA液、B液、及びC液を混合することにより粘度を急激に上昇させる方法が好ましい。
本エマルジョンと硬化促進剤とをあらかじめ水と混合して溶液又は懸濁液とすることは、混合性が良好となり、増粘性の面から好ましい。その場合の水の使用量は特に限定されるものではないが、本エマルジョンの場合は、本エマルジョンの固形分の5〜20倍の水で希釈することが好ましく、硬化促進剤の場合は、その1〜3倍の水で希釈することが好ましい。水の量がこれより少なくなると、粘度が高くなって混合性が小さくなる場合があり、水の量が多くなると、流動性が大きくなって水中不分離性が小さくなる場合がある。
本発明において、セメント、シラス、フライアッシュ、及び水を混合したセメント−シラス−フライアッシュ液のA液と、硬化促進剤液−本エマルジョン液のB液とを別々に圧送し、ノズル先端で合流混合させて使用することも可能であるが、セメント−シラス−フライアッシュ液のA液、硬化促進剤と水とを混合した硬化促進剤液のB液、及び本エマルジョンを水で希釈した本エマルジョン液のC液の三種類の液を別々に圧送し、ノズル先端で合流混合させて使用することがより好ましい。
また、硬化促進剤は、水と混合してから1時間以内に硬化する場合があるため、遅延剤を併用することが好ましい。
遅延剤としては、クエン酸、酒石酸、グルコン酸、及びリンゴ酸等のオキシカルボン酸又はそれらのナトリウム塩やカリウム塩、ホウ酸、トリポリリン酸塩、並びに、ピロリン酸塩等が挙げられ、これらの一種又は二種以上を併用することが可能である。これらの中では遅延効果が大きい面で、オキシカルボン酸及び/又はオキシカルボン酸塩が好ましく、クエン酸及び/又はクエン酸ナトリウムがより好ましい。
遅延剤の使用量は、セメント100部に対して、0.01〜10部が好ましく、0.05〜5部がより好ましい。0.01部未満では遅延効果が小さい場合があり、10部を超えると強度発現性が小さくなる場合がある。
セメント組成物の合流混合の方法としては、Y字管等の混合管を使用する方法、三重管を使用する方法、及び硬化促進剤液のB液と本エマルジョン液のC液とを、それぞれシャワー状にセメント−シラス−フライアッシュ液のA液に合流混合させるためのインレットピースを使用する方法等が挙げられる。
また、セメント組成物をより均一に混合するため、合流混合後の管中にスパイラル状のミキサーをセットし、さらにセメント組成物を混合する方法も挙げられる。
以下、実施例により本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
実験例1
セメント100部に対して、表1に示す量のシラス、フライアッシュと水とをミキサーで練混ぜてA液を調製した。
次に、セメント100部に対して、硬化促進剤a5部と水10部とを混合してB液とし、固形分換算で0.5部のエマルジョンαと水5部とを混合してC液とした。
A液、B液、及びC液をミキサーに続けて投入して5秒間練混ぜて注入材を調製した後、フロー値、水中不分離性、及び圧縮強度を測定した。結果を表1に併記する。
<使用材料>
セメント :普通ポルトランドセメント、市販品
シラス :鹿児島県産、表乾密度2.0g/cm3
フライアッシュ:石炭火力発電所産、JIS II種適合品、密度2.3g/cm3、ブレーン値3,500cm2/g
エマルジョンα:本エマルジョン、固形分濃度30%、エチルアクリレート:メタクリル酸=45:55のエチルアクリレート/メタクリル酸共重合ポリマーエマルジョン
硬化促進剤a:12CaO・7Al2O3組成のアルミン酸カルシウム、ガラス化率95%、ブレーン値6,000cm2/gのアルミン酸塩と、無水石膏、ブレーン値5,400cm2/gの硫酸塩との等量混合物
<測定方法>
フロー値 :内径80mm×高さ80mmのシリンダーに練混ぜ後の注入材を入れ、シリンダーを引き抜いた後の広がりを2分後に測定
水中不分離性:土木学会の水中不分離コンクリート設計施工指針付属書の水中分離度試験に準じて実施、水の濁りが全くない場合を優、水の濁りがわずかにある場合を良、水の濁りはあるが、実用可能の場合を可、材料が分離し、水の濁りが大の場合を不可とした。
圧縮強度 :JIS R 5201に準じて測定
Figure 0004786918
実験例2
セメント100部、シラス100部、フライアッシュ100部、及び水180部をミキサーで練混ぜてA液を調製し、セメント100部に対して、硬化促進剤a5部と水10部とを混合してB液とし、表2に示すエマルジョンと、エマルジョンの10倍量の水とを混合してC液としたこと以外は実験例1と同様に行った。
なお、比較のため、本エマルジョンの代わりにアルカリ増粘性を有さない非本エマルジョンを用いて同様に行った。結果を表2に併記する。
<使用材料>
エマルジョンβ:本エマルジョン、固形分濃度30%、エチルアクリレート:メタクリル酸=45:55のエチルアクリレート/メタクリル酸共重合ポリマーエマルジョン70部と、エチレン:酢酸ビニル=18:82のエチレン/酢酸ビニル共重合ポリマーエマルジョン30部との混合物
エマルジョンγ:非本エマルジョン、固形分濃度30%、スチレン:2−エチルヘキシルアクリレート=45:55のスチレン/2−エチルヘキシルアクリレート共重合ポリマーエマルジョン
Figure 0004786918
実験例3
セメント100部、シラス100部、フライアッシュ100部、及び水180部をミキサーで練混ぜてA液を調製し、セメント100部に対して、固形分換算で0.5部のエマルジョンαと水5部とを混合してC液を調製した。セメント100部に対して表3に示す硬化促進剤と、その2倍量の水、及び遅延剤0.1部とを混合してB液としたこと以外は実験例1と同様に行った。結果を表3に併記する。
<使用材料>
硬化促進剤b:硫酸塩、硫酸アルミニウム、市販品
硬化促進剤c:炭酸塩、炭酸ナトリウム、市販品
硬化促進剤d:水酸化物、水酸化カルシウム、市販品
硬化促進剤e:アルミン酸塩、アルミン酸ナトリウム、市販品
硬化促進剤f:コロイド、シリカゾル、市販品
遅延剤 :クエン酸、市販品
Figure 0004786918
本発明のセメント組成物は、地山の空洞や空隙部分の裏込め材、シールドセグメントの充填材、また、二重管単相又は複相の注入工法での瞬結性注入材、さらに、二重管ダブルパッカー工法でのシール材や一次注入材等、セメントコンクリートの粘度を急激に上昇させる必要がある用途などに使用することが可能である。

Claims (12)

  1. セメント100部、シラス30〜300部、アルカリ増粘型ポリマーエマルジョン、及び硬化促進剤を含有してなるセメント組成物。
  2. さらにフライアッシュを含有してなる請求項1に記載のセメント組成物。
  3. シラスとフライアッシュとの合計が、セメント100部に対して、30〜500部である請求項1又は請求項2に記載のセメント組成物。
  4. アルカリ増粘型ポリマーエマルジョンが、不飽和カルボン酸類とエチレン性不飽和化合物との共重合により得られるポリマーエマルジョンである請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載のセメント組成物。
  5. 硬化促進剤が、アルミン酸塩及び/又は硫酸塩を含有してなる請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載のセメント組成物。
  6. フライアッシュの使用量が、セメント100部に対して、30〜400部である請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載のセメント組成物。
  7. フライアッシュの使用量が、セメント100部に対して、50〜200部である請求項1〜請求項6のいずれか1項に記載のセメント組成物。
  8. さらに遅延剤を含有してなる請求項1〜請求項7のいずれか1項に記載のセメント組成物。
  9. 水の量が、セメント100部に対して、100〜300部である請求項1〜請求項8のうちのいずれか1項に記載のセメント組成物。
  10. 請求項1〜請求項のうちのいずれか1項に記載のセメント組成物を用いてなる注入材。
  11. セメント100部、シラス30〜300部、フライアッシュ、及び水をあらかじめ混合してA液とし、硬化促進剤と水とを含有してなる混合物と、アルカリ増粘型ポリマーエマルジョンと水とを混合してなる混合物とを混合してB液とし、使用直前に、A液とB液とを混合する請求項1〜請求項9のうちのいずれか1項に記載のセメント組成物の使用方法。
  12. セメント100部、シラス30〜300部、フライアッシュ、及び水をあらかじめ混合してA液とし、硬化促進剤と水とを含有してなる混合物をB液とし、アルカリ増粘型ポリマーエマルジョンと水とを含有してなる混合物をC液とし、使用直前に、A液、B液、及びC液を混合する請求項1〜請求項9のうちのいずれか1項に記載のセメント組成物の使用方法。
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