JP6629147B2 - 空洞充填材料、及びそれを用いた空洞充填工法 - Google Patents
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Description
この際、セメントと水を混合したセメントミルクや骨材を配合したモルタル等を空洞に充填して埋める方法がある(非特許文献1、2)。特に山岳トンネルや都市部の地下構造物等の空洞を施工する場合、施工場所が限定され、空洞充填材料を長距離圧送する必要がある。従来はセメント減水剤等を配合して流動化していた。地盤に直接充填する場合は、六価クロムの溶出が出来るだけ少ない方が好ましい。従来は高炉スラグを配合したり、高炉セメントを用いていたが、施工場所によっては材料の調達が困難な場合がある。一方、自動車道の路盤下や空港の滑走路下の空洞を充填する場合、出来るだけ収縮量が小さいほど好ましい。
近年、セメント産業が各方面の産業副産物を原料に受け入れており、産業副産物に由来する微量成分が、セメントの品質に大きな影響を及ぼし、六価クロムの溶出量などにも大きな違いが出てくる。この微量成分の影響を抑制する方法が強く求められている。
例えば、特許文献4には、亜硫酸カルシウムが、六価クロム還元剤として良く知られている。特許文献5には、亜硫酸カルシウムが、スランプロスを低減する効果も知られている。一般的に試薬の亜硫酸カルシウムは、pH8.0以下の中性塩である。また、石炭火力発電の排煙脱硫工程から生成する、セッコウ中に含まれている亜硫酸カルシウム半水和物があるが、この物質のpHは酸性領域にある。
なお、本発明で使用する部や%は特に規定のない限り質量基準である。
また、本発明で言うセメントスラリーとはセメントミルク、セメントモルタル、セメントコンクリートの総称である。
pH9以上の亜硫酸カルシウムを製造する方法としては、石灰硫黄合剤を製造する際同時に製造することができる。
石灰硫黄合剤は、農薬の1種であり、主に果樹の農薬として用いられ、生石灰と硫黄と水を原料とし、オートクレーブで反応させる。その後、固液分離した液体が石灰硫黄合剤となる。その時に亜硫酸カルシウム半水和物が製造される。その亜硫酸カルシウム半水和物は粉末X線回折法で確認することができる。この亜硫酸カルシウム半水和物の含有量は乾燥質量100部中に75部以上が好ましい。すなわち、本発明の亜硫酸カルシウムは、亜硫酸カルシウム半水和物を主成分として含むものである。
なお、本発明で言うpHとは、石灰硫黄合剤の副産物である亜硫酸カルシウム半水和物10gに純水100mlを加え攪拌した後の上澄み液のpHを意味し、イオン電極式pH計で測定することが出来る。
なお、本発明で言うORPとは、石灰硫黄合剤の副産物である亜硫酸カルシウム半水和物10gに純水100mlを加え攪拌した後の上澄み液のORPを意味する。
ちなみに、試薬の亜硫酸カルシウムのORPは、ほぼ100mvである。
流動性の評価方法は特に限定されるものではないが、例えば、JHS A 313(旧日本道路公団)のシリンダー法で評価することが出来る。この方法で測定すると、フロー値が35cm±15cmが好ましい。20cm以下になると長期圧送性が悪くなる場合があり、50cm以上になると材料が分離する場合がある。
硫酸塩類としては、特に限定されるものではないが、一般に市販されている硫酸アルミニウムや硫酸ナトリウム等が用いることができる。
アルカリ増粘エマルジョン類としては、アルカリと接触すると増粘するものであればよく、特に限定されるものではないが、アクリル酸エステル共重合体エマルジョンがある。
セメント鉱物類としては、例えば、カルシウムアルミネート、カルシウムフロロアルミネート、アルミナセメント、C2AS(ゲーレナイト)を含有したカルシウムアルミネート等がある。また、石膏と組み合わせることもできる。
これら可塑化材の添加量は特に限定されるものではなく、空洞充填率(歩留まり)を良くなる量を添加すればよい。例えば、JHS A 313(旧日本道路公団)のシリンダー法で、フロー値が8cmから15cmになるように添加するのが好ましい。8cm以下になると充填性が悪くなる場合があり、15cm以上になると材料が流れ出る場合がある。
得られた空洞充填材料の施工方法は、一般的なスネーク式やプランジャー式やダイヤフラム式等のポンプを用いて空洞に充填する空洞充填工法できる。
可塑化材の添加は空洞に充填する手前に添加する方法が好ましい。
このように空洞に充填した空洞充填材料は、硬化後の収縮の少ないのが特徴である。また、普通セメントを用いた場合でも六価クロムの溶出量を抑えることが可能となる。
この他に水中での分離抵抗性を出すため、水中不分離混和剤やポンプ圧送性を良くするため、分散剤等を併用することが出来る。
セメント100部に対して水80部、A〜Fのいずれかの亜硫酸カルシウムをセメント100部に対して0.5部混合して空洞充填材料を作製する。得られた空洞充填材料の流動性の経時掲示変化を測定する。一方、直径5cm×高さ10cmの型枠に詰めて、六価クロム溶出量と圧縮強度を測定する。結果を表1に示す。
セメント:普通ポルトランドセメント、市販品
亜硫酸カルシウムA:石灰硫黄合剤製造時、固形分として生成する副産物。亜硫酸カルシウム半水和物含有量82%、pHが10.5、酸化還元電位30mv、MgO含有量が1.0%、ブレーン比表面積2420cm2/g。
亜硫酸カルシウムB:石灰硫黄合剤製造時、固形分として生成する副産物。亜硫酸カルシウム半水和物含有量80%、pHが10.0、酸化還元電位35mv、MgO含有量が1.0%、ブレーン比表面積2380cm2/g。
亜硫酸カルシウムC:石灰硫黄合剤製造時、固形分として生成する副産物。亜硫酸カルシウム半水和物含有量79%、pHが9.5、酸化還元電位45mv、MgO含有量が1.0%、ブレーン比表面積2450cm2/g。
亜硫酸カルシウムD:石灰硫黄合剤製造時、固形分として生成する副産物。亜硫酸カルシウム半水和物含有量88%、pHが9.0、酸化還元電位50mv、MgO含有量が1.0%、ブレーン比表面積2610cm2/g。
亜硫酸カルシウムE:石灰硫黄合剤製造時、固形分として生成する副産物。亜硫酸カルシウム半水和物含有量76%、pHが10.0、酸化還元電位35mv、MgO含有量が1.0%、ブレーン比表面積2570cm2/g。
亜硫酸カルシウムF:試薬1級の亜硫酸カルシウム含有量90%、pHが7.7、酸化還元電位100mv、MgO含有量が0.1%未満、ブレーン比表面積2910cm2/g。
液体減水剤G:ナフタレンスルホン酸塩系、デンカ社製、商品名「FT−500V」、ナフタレンスルホン酸含有率40%
流動性:得られた空洞充填材料の流動性を直径8cm×高さ8cmのフローコーンで測定。(目標フロー値:20cmから50cm)測定方法はJHS A 313(旧日本道路公団)のシリンダー法に準拠した。
六価クロム溶出量:得られた空洞充填材料を直径5cm×高さ10cmの型枠に詰めて、水が飛ばないようにビニール袋で封緘にして20℃で材齢7日まで養生する。その後、環境庁台46号法に従って測定
圧縮強度:得られた空洞充填材料を直径5cm×高さ10cmの型枠に詰めて、水が飛ばないようにビニール袋で封緘にして20℃で材齢28日まで養生後に耐圧試験機にて測定
亜硫酸カルシウムAを使用し、セメント100部に対しての使用量を表2に示すように変化したこと以外は実験例1と同様に行った。結果を表2に示す。
実験No.1-2(亜硫酸カルシウムAを0.5部)を使用し、可塑化材の種類とセメント100部に対しての使用量を表3に示すように変化させたこと以外は実験例1と同様に行った。その結果を表3に示す。
可塑化材H:3号水ガラス(富士化学社、3号水ガラス)、市販品
可塑化材I:硫酸アルミニウム水溶液(Al2O3換算で8.2%))、市販品
可塑化材J:アクリル酸エステル共重合体エマルジョン、市販品(デンカ社、CG−1000)の5%溶液
可塑化材K:セメント鉱物系可塑化材、市販品(デンカ社、CG−2000)の25%スラリー
可塑性:得られた空洞充填材料の可塑性を直径8cm×高さ8cmのフローコーンで測定。測定方法はJHS A 313(旧日本道路公団)のシリンダー法に準拠した。
流動性:直径8cm×高さ8cmのフローコーンで可塑化材を添加した空洞充填材料の流動性を練り上がり直後に測定した。
Claims (3)
- セメントとpH9以上で酸化還元電位(ORP)が50mv以下のMgO含有量が0.5%以上である亜硫酸カルシウムと水を含有してなり、セメント100質量部に対して亜硫酸カルシウムを0.05〜2質量部である空洞充填材料。
- さらに、ケイ酸塩類、硫酸塩類、アルカリ増粘エマルジョン類、セメント鉱物類の群の中から選ばれる1種又は2種の可塑化材を含有してなる請求項1に記載の空洞充填材料。
- 請求項1又は2記載の空洞充填材料を空洞に充填してなる空洞充填工法。
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