JP4265789B2 - セメント組成物、空洞充填材、及びその使用方法 - Google Patents
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Description
従来、裏込め材として、通常、セメント−ベントナイトが用いられてきたが、流動性が大きすぎ、裏込め材が遠方まで不必要に逸流する、湧水があると裏込め材が流出するなどの課題があった。
しかしながら、いまだにその利用方法については確立されていないのが実状である。
なお、本発明でいう部や%は特に規定のない限り質量基準である。
廃白土の化学成分の平均的な値は、強熱減量が約50%、SiO2が30〜40%、Fe2O3が1〜2%、Al2O3が3〜10%、CaOが1〜2%、MgOが1〜5%、Na2Oが0.1〜0.3%、K2Oが0.1〜1%、及びSO3が0.1〜1%である。約50%の強熱減量のうち、湿分は1〜3%であり、残りが油分や有機分である。
本発明では、油分を含む廃白土をそのまま使用することも可能であり、加熱処理を施し、油分を除去したものを使用することも可能である。初期の強度発現性の面からは、加熱処理を施し、油分を除去したものを使用することが好ましいが、この処理を行うことはコスト高となる。使用する目的に応じていずれを選択することも可能である。
廃白土の粉末度は、ブレーン比表面積値(以下、ブレーン値という)に換算すると3,000〜50,000cm2/gであり、平均粒径は1〜30μmである。
廃白土の使用量は、廃白土の種類や品質により変わるため一義的に規定することはできないが、一般的には、セメント100部に対して、25〜300部が好ましく、50〜200部がより好ましい。25部未満では粘度が上昇せず、フローが大きくなり、水中不分離性が悪くなる場合があり、300部を超えると強度発現が悪くなる場合がある。
不飽和カルボン酸類とエチレン性不飽和化合物の重合方法としては、乳化重合、懸濁重合、溶液重合、又は塊状重合等の方法により、共重合する方法等が挙げられる。
これらの中では、反応活性の面で、非晶質のアルミン酸カルシウムが好ましく、12CaO・7Al2O3組成に対応する熱処理物を急冷した非晶質のアルミン酸カルシウムがより好ましい。
アルミン酸カルシウムの粒度は、ブレーン値で3,000cm2/g以上が好ましく、5,000cm2/g以上がより好ましい。3,000cm2/g未満では初期強度発現性が低下する場合がある。
本発明では、本発明の目的を阻害しない範囲でClやFなどのハロゲン類等を含有していても差し支えない。
なお、本発明において、アルミン酸カルシウムは硫酸塩と併用せず、単独でも本エマルジョンの可塑化助剤として使用することが可能である。
硫酸カルシウムとしては、無水石膏、半水石膏、又は二水石膏等が挙げられ、これらのなかでは、強度発現性の面で、無水石膏が好ましい。
硫酸塩の粒度は、ブレーン値で3,000cm2/g以上が好ましく、5,000cm2/g以上がより好ましい。3,000cm2/g未満では強度発現性が低下する場合がある。
空洞充填材の混合方法は特に限定されるものではないが、セメントと廃白土をあらかじめ水と混合したセメント−廃白土液をA液とし、本エマルジョンと水とを混合してなる本エマルジョン液をB液とし、使用直前にA液とB液とを混合することにより粘度を急激に上昇させる方法が好ましい。
なお、本エマルジョンをあらかじめ水と混合して溶液又は懸濁液とすることは、混合性が良好となり、増粘性の面から好ましい。
その場合の水の使用量は特に限定されるものではないが、本エマルジョンの場合は、本エマルジョンの固形分の5〜20倍の水で希釈することが好ましく、硬化促進剤の場合は、その1〜3倍に希釈することが好ましい。水の量がこれより少ないと粘性が高くなり混合性が悪くなる場合があり、水の量が多くなると、その希釈水の希釈効果が多くなり、水中不分離性が悪くなる場合がある。
また、空洞充填材をより均一に混合するため、合流混合後の管中にスパイラル状のミキサをセットし、さらに空洞充填材を混合する方法も挙げられる。
次に、セメント100部に対して、固形分換算で0.5部のエマルジョンαと水5部を混合してB剤とし、A剤に、B剤を投入し、5秒間混練し、混練物を調製した。
調製した混練物の、フロー、水中不分離性、及び圧縮強度を測定した。結果を表1に併記する。
なお、比較のため、廃白土の代わりにベントナイトを用いて同様な実験を行った。結果を表1に併記する。
セメント :普通ポルトランドセメント、市販品
廃白土A :油分を含むもの、ブレーン値3,000cm2/g、強熱減量50%、SiO2 36%、Fe2O3 1.5%、Al2O3 6%、CaO 1.5%、MgO 3%、Na2O 0.2%、K2O 0.5%、及びSO3 0.4%
廃白土B :廃白土Aを500℃で加熱処理を行って油分を除去したもの、ブレーン値3,000cm2/g、強熱減量0.3%、SiO2 72%、Fe2O3 3%、Al2O3 12%、CaO 3%、MgO 6%、Na2O 0.4%、K2O 1%、及びSO3 0.8%
エマルジョンα:本エマルジョン、固形分濃度30%、エチルアクリレート/メタクリル酸=45/55のエチルアクリレート/メタクリル酸共重合ポリマーエマルジョン
ベントナイト:市販品
フロー :内径80mm×高さ80mmのシリンダーに混練物を入れ、シリンダーを引き抜いた後の広がりを2分後に測定
水中不分離性:土木学会の水中不分離コンクリート設計施工指針付属書の水中分離度試験に準じて実施、水の濁りが全くない場合を優、水の濁りがわずかにある場合を良、水の濁りはあるが実用可能の場合を可、材料が分離し、水の濁りが大の場合を不可とした。
圧縮強度 :JIS R 5201に準じて測定
なお、比較のため、本エマルジョンの代わりにアルカリ増粘性を有さない非本エマルジョンを用いて同様な実験を行った。結果を表2に併記する。
エマルジョンβ:本エマルジョン、固形分濃度30%、エチルアクリレート/メタクリル酸=45/55のエチレン/酢酸ビニル共重合ポリマーエマルジョン70部と、エチレン/酢酸ビニル=18/82のエチルアクリレート/アクリル酸共重合ポリマーエマルジョン30部の混合物
エマルジョンγ:非本エマルジョン、固形分濃度30%、スチレン/2-エチルヘキシルアクリレート=45/55のスチレン/2-エチルヘキシルアクリレート共重合ポリマーエマルジョン
硬化促進剤:12CaO・7Al2O3組成に対応する熱処理物を急冷した非晶質で、ブレーン値6,000cm2/gのアルミン酸カルシウム4部と、ブレーン値5,400cm2/gの無水石膏の1部の混合物
Claims (5)
- セメント、廃白土、及び可塑剤のアルカリ増粘型ポリマーエマルジョンを含有してなり、廃白土がセメント100部に対して25〜300部であるセメント組成物。
- アルカリ増粘型ポリマーエマルジョンが、不飽和カルボン酸類とエチレン性不飽和化合
物の共重合により得られるポリマーエマルジョンであることを特徴とする請求項1に記載
のセメント組成物。 - さらに、硬化促進剤を含有してなる請求項1又は請求項2に記載のセメント
組成物。 - 請求項1〜請求項3のうちの一項に記載のセメント組成物を含有してなる空洞充填材。
- セメント、廃白土、及び水をあらかじめ混合してA液とし、可塑剤と水とを混合してB
液とし、使用直前に、A液とB液とを混合することを特徴とする請求項4に記載の空洞充
填材の使用方法。
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