JP4786634B2 - 窒化物系化合物半導体素子及びその作製方法 - Google Patents
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Description
この特徴により、これらの窒化物系化合物半導体は、紫外線から赤色に至る広い波長領域において発光する半導体レーザ素子や、発光ダイオード(LED;Light Emitting Diode)などの半導体発光素子を作製する材料として注目されている。
そして、これらの半導体発光素子は、高密度光ディスクの記録/再生光ピックアップ用の光源、フルカラー・ディスプレイの発光素子、その他、環境・医療などの分野の発光デバイスとして、広く応用されつつある。
この特徴により、窒化物系化合物半導体素子は、飽和ドリフト速度や静電破壊電圧が大きく、高速動作性、高速スイッチング性、大電流動作性などに優れた電子素子として注目されている。
窒化物系半導体素子の基板としてSiC基板、ZnO基板、MgAl2 O4 基板も使用されてきたが、一般的には、窒化物系半導体素子はサファイア基板上に作製されることが最も多い。
例えば、サファイアとGaNとの格子不整合は約13%であって大きいので、サファイア基板とGaN層の間に緩衝層を設けて不整合を緩和し、良好な単結晶のGaN層をエピタキシャル成長させるようにしているものの、その欠陥密度は、例えば108 〜109 cm-2程度にも達していて、半導体素子の動作信頼性にとって悪影響を与えている。
その一つとして、例えば、特開2001−102307号公報は、気相成長の成長表面が平面状態でなく、三次元的なファセット構造を持つようにし、ファセット構造を持ったまま、ファセット構造を埋め込まないで成長させることにより転位を低減するようにした単結晶窒化ガリウムの結晶成長方法を開示している。本方法によれば、窓付きマスクを介してGaAs基板上にGaN単結晶層を成長させ、成長させたGaN単結晶層をスライシングすることにより、GaN単結晶基板を作製することができる。
一方の電極(p側電極)92がキャップ層90上にオーミックに接続され、半導体基板82の裏面には、他方の電極、すなわちn側電極94がオーミックに接続されている。
そこで、発光層の一部のみに光を閉じ込めて横モードを制御するために、ストライプ構造を形成して、ストライプ構造に光を閉じ込めることが多い。光閉じ込めのためのストライプ構造には、利得導波型と屈折率導波型の2種類がある。
また、屈折率導波型のストライプ構造は、積層構造を部分的に、例えば図10(b)に示すように、キャップ層90及び第2クラッド層88の上部を除去して横方向の実効屈折率が異なるリッジ構造100を形成し、実効屈折率差により横方向の光閉じ込めを行っている。図10(b)中、102はSiO2 膜等の絶縁膜である。
このような利得導波型及び屈折率導波型の半導体レーザ素子を形成するには、例えば、複数回の結晶成長とエッチングプロセスの組み合わせ、あるいはイオン注入などのプロセス工程により作製されている。
例えば、典型的な窒化物系化合物半導体である窒化ガリウム(GaN)などは、反応性イオンエッチング(RIE:Reactive Ion Etching)などのスパッタエッチングが一般的である。この方法では、エッチングガスに含まれている反応種が活性ラジカルやイオンに解離し、これらの化学反応及び基板への衝突によってエッチングが進行する。このためダメージが残り素子特性を悪化させる要因となることが危惧されてきた。
また、窒化物系化合物半導体は、一般に、結晶結合が強く、イオン注入を円滑に行うことが難しい。
以上の説明では、窒化物系化合物半導体レーザ素子を例にして説明したが、これは、窒化物系化合物半導体素子全般に該当することである。
このGaN単結晶基板は、特開2001−102307号公報に開示された技術を改良し、低密度欠陥領域中に発生する高密度欠陥領域の位置を制御することにより、開発されたものである。
また、高密度欠陥領域の配列パターンは、上述のような分散型パターンだけではなく、例えば図12(a)に示すように、点状の高密度欠陥領域が断続して線状に配置されたもの、更には図12(b)に示すように、高密度欠陥領域が線状に連続しているものも作製可能である。
GaN単結晶の基本的な結晶成長メカニズムは、ファセット面からなる斜面を有して成長し、そのファセット面斜面を維持して、成長することで、転位を伝播させ、所定の位置に転位を集合させる。このファセット面により成長した領域は、転位の移動により、低欠陥領域となる。
一方、そのファセット面斜面下部には、明確な境界を持った高密度の欠陥領域を有して成長が行われ、転位は、高密度の欠陥領域の境界あるいはその内部に集合し、ここで消滅あるいは蓄積する。
また、欠陥領域が、ストライプ状の場合は、ストライプを谷底として、その両側にファセット面傾斜面を有し、横に倒した3角形のプリズム状のファセット面となる。
この高欠陥密度領域を有して成長することにより、その周りの、ファセット面を埋め込むことなく、ファセット面を維持して成長を進行することができる。
その後、GaN成長層の表面を研削、研磨を施すことにより、表面を平坦化し、基板として、使用できる形態とすることができる。
下地基板の上に、例えば、SiO2 層からなる種を規則的に、例えば周期的に形成する。種の形状は、高密度欠陥領域の配列、形状に従って、ドット状、あるいはストライプ状である。
その後、Hydride Vapor Phase Epitaxy(HVPE) にて、GaNを厚膜成長する。成長後、表面には、種のパターン形状に応じた、ファセット面が形成される。例えば、種がドット状のパターンの場合は、ファセット面からなるピットが規則正しく形成され、種がストライプ状の場合は、プリズム状のファセット面が形成される。
この様にして作製された、GaN基板は、C面が主面であり、その中に、所定のサイズのドット状あるいはストライプ状の高欠陥密度領域が規則正しく、形成された基板となっている。高欠陥密度領域以外の単結晶領域は、高欠陥密度領域に比べ、転位密度が著しく低い低転位密度領域となっている。
そこで、本発明者は、GaN基板の高密度欠陥領域を電流狭窄領域とすることを着想し、実験の末に、本発明を発明するに到った。
基板が、高密度欠陥領域内で欠陥密度が最も高いコア領域を貫通する、又は未貫通するように基板に設けられた孔と、高電気抵抗物質で孔を埋め込んでなる高抵抗部とを備え、
窒化物系化合物半導体素子の注入電流領域は、基板に設けられた高抵抗部により狭窄されていることを特徴としている。
本発明の窒化物系化合物半導体素子は、窒化物系半導体レーザ素子、窒化物系半導体発光ダイオード、窒化物系半導体電子素子等を含む概念である。また、半導体結晶基板とは、結晶欠陥密度が周囲より高い領域として、周期的な基板面上配列で基板を貫通している高密度欠陥領域を有する限り、その組成に制約はない。窒化物系化合物半導体とは、Ala Bb Gac Ind N(a+b+c+d=1、0≦a、b、c、d≦1)を言う。
第1の発明の好適な実施態様では、一方の電極が基板裏面の高抵抗部間に設けられ、能動領域及び他方の電極が、それぞれ、高抵抗部の延長方向線間の窒化物系化合物半導体の積層構造内及び積層構造上に設けられている。
基板が、高密度欠陥領域内で欠陥密度が最も高いコア領域を貫通する、又は未貫通するように基板に設けられた孔と、基板の導電型と異なる導電型の材料で孔を埋め込んでなる異種導電型部を備え、
窒化物系化合物半導体素子の注入電流領域は、基板に設けられた異種導電型部により狭窄されていることを特徴としている。
基板が、高密度欠陥領域内で欠陥密度が最も高いコア領域を貫通する、又は未貫通するように基板に設けられた孔とを備え、
孔の延長方向線上の積層構造の少なくとも上部が、イオン注入により結晶が変質し、電気抵抗が高くなったイオン注入領域として形成され、
窒化物系化合物半導体素子の注入電流領域は、積層構造の少なくとも上部に設けられたイオン注入領域により狭窄されていることを特徴としている。
高密度欠陥領域内で欠陥密度が最も高いコア領域を貫通する孔又は未貫通する孔を基板に設ける工程と、
孔を高抵抗物質で埋め込んで基板内に高抵抗部を設ける工程と、
基板上に窒化物系化合物半導体の積層構造を形成する工程と
を有することを特徴としている。
高密度欠陥領域内で欠陥密度が最も高いコア領域を貫通する孔又は未貫通する孔を基板に設ける工程と、
基板の導電型と異なる導電型の材料で孔を埋め込んで基板内に異種導電型部を設ける工程と、
基板上に窒化物系化合物半導体の積層構造を形成する工程と
を有することを特徴としている。
高密度欠陥領域内で欠陥密度が最も高いコア領域を貫通する孔又は未貫通する孔を基板に設ける工程と、
基板上に窒化物系化合物半導体の積層構造を形成する工程と、
孔の延長方向線上の積層構造の少なくとも上部にイオン注入して結晶を変質させ、電気抵抗の高いイオン注入領域を形成する工程と
を有することを特徴としている。
つまり、イオン注入領域を形成する工程では、イオン注入領域を制限するマスクを設けることなく、基板全面にイオン注入することもできる。
尚、高密度欠陥領域は、基板に貫通する柱状又は柱が横方向に連続して繋がっている板状の領域であり、高密度欠陥領域の断面形状は任意である。
第1から第3の発明方法によるときは、1回のエピタキシャル成長によって横モードを制御できる窒化物系化合物半導体素子を作製することができるから、その作製工程を従来に比べて著しく簡略化することができる。
本発明及び本発明方法で、高密度欠陥領域の配列パターンは自在であって、具体的には、高密度欠陥領域が、半導体結晶基板の基板面上で周期的に、例えば正方形格子状、長方形格子状、及び六方格子状のいずれかの配置で点在していても良い。
また、高密度欠陥領域が、半導体結晶基板の基板面上で相互に離隔して平行に、かつ周期的に配置された線状の高密度欠陥領域であって、点状の高密度欠陥領域が相互に接して、又は断続して線状に配置されてなる高密度欠陥領域、又は高密度欠陥領域が連続して線状に延在してなる高密度欠陥領域であっても良い。
抵抗物質で孔を埋め込んで高抵抗部を形成している。
これにより、窒化物系化合物半導体素子の注入電流領域を高抵抗部により狭窄する電流狭窄構造を備えた窒化物系化合物半導体素子を実現している。
第2の発明によれば、結晶欠陥密度が周囲より大きい高密度欠陥領域を周期的構造として有する半導体基板上に窒化物系化合物半導体の積層構造を形成する際、高密度欠陥領域内で欠陥密度が最も高いコア領域を貫通する、又は未貫通する孔を基板に設け、基板の導電型と異なる導電型の材料で孔を埋め込んで異種導電型部を形成する。
これにより、窒化物系化合物半導体素子の注入電流領域を異種導電部により狭窄する電流狭窄構造を備えた窒化物系化合物半導体素子を実現している。
第3の発明によれば、結晶欠陥密度が周囲より大きい高密度欠陥領域を周期的構造として有する半導体基板上に窒化物系化合物半導体の積層構造を形成する際、高密度欠陥領域内で欠陥密度が最も高いコア領域を貫通する、又は未貫通する孔を基板に設け、孔の延長方向線上の積層構造の少なくとも上部にイオン注入してイオン注入領域を形成している。
これにより、窒化物系化合物半導体素子の注入電流領域をイオン注入領域により狭窄する電流狭窄構造を備えた窒化物系化合物半導体素子を実現している。
第1から第3の発明方法は、第1から第3の発明に係る窒化物系化合物半導体素子を作製する好適な方法を実現している。
第1から第3の発明に係る窒化物系化合物半導体素子は、横モードの制御が可能な利得導波型あるいは屈折率導波型素子を1回のエピタキシャル成長によって容易にかつ経済的に作製することができる。また、作製工程は極めて簡略化され、製品の歩留向上やコスト低減が図れるなど、工業的に多大な利益をもたらすことができる。
窒化物系化合物半導体素子の実施形態例1
本実施形態例は、第1の発明に係わる窒化物系化合物半導体素子をGaN系半導体レーザ素子に適用した実施形態の一例であって、図1は本実施形態例のGaN系半導体レーザ素子の要部の構成を示す断面図である。図8(a)及び(b)は、それぞれ、本実施形態例のGaN系半導体レーザ素子のGaN基板の高密度欠陥領域の配置を示す平面図及び断面図である。
本実施形態例のGaN系半導体レーザ素子10のGaN基板12は、GaN基板76上で、図13(a)に示すような配置で区画されている。図13(a)中、110はGaN系半導体レーザ素子10のレーザストライプを示している。
そして、n側電極30は、コア部12aと隣のコア部12aとの間に位置するように設けてあり、また、p側電極28は、n側電極30のほぼ真上に設けてある。
本実施形態例のGaN系半導体レーザ素子10の電流狭窄構造は、リッジによる横方向光閉じ込め構造の形成、或いは従来のイオン注入法による高抵抗層の形成、pn接合分離法による電流ブロック層の形成に比べて、著しく構造が簡単である。
本実施形態例は、第1の発明方法に係わる窒化物系化合物半導体素子の作製方法を上述のGaN系半導体レーザ素子の作製に適用した実施形態の一例であって、図2(a)から(c)及び図3(d)と(e)は、それぞれ、本実施形態例の方法によりGaN系半導体レーザ素子を作製する際の工程毎の断面図又は斜視図である。
先ず、図2(a)に示すように、結晶欠陥密度が周囲の領域より高い高密度欠陥領域を周期的に有するn型GaN基板12の高密度欠陥領域のコア部12aに貫通孔32を設ける。コア部12aは、高密度欠陥領域内でも特に結晶欠陥密度が高い部分であり、コア部12aとコア部12aとの間の領域は結晶欠陥密度が低い低密度欠陥領域である。
貫通孔32を開孔するに当たっては、結晶欠陥密度の大小を利用して、例えばKOH又はリン酸をエッチャントとして用いたウエットエッチングによりコア部12aを貫通する直径50μmの貫通孔32を容易に形成することができる。
次に、図2(c)に示すように、フッ酸とフッ化アンモニウムの混合液などによるウエットエッチングあるいはCF4 ガスなどによるドライエッチングにより高抵抗膜36を除去するとともに、貫通孔32をSiO2 あるいはSiNx で埋めて高抵抗層34にしたn型GaN基板12を容易に作製することができる。
続いて、成長温度800℃で、例えばGa1-x Inx N(井戸層)およびGa1-y Iny N(障壁層)よりなる多重量子井戸構造を有する活性層20を膜厚40nm成長させる。
更に、成長温度1000℃で、順次、Mgドープp型GaN光導波層22を0.1μm、Mgドープp型AlGaNクラッド層24を膜厚0.5μm、及びMgドープp型GaNコンタクト層26を膜厚0.5μm成長させる。
また、窒素の原料ガスとして、アンモニアガス(NH3 )、ケイ素の原料ガスとして、モノシランガス(SiH4 )、及び、マグネシウムの原料ガスとして、メチルビス=シクロペンタジエニルマグネシウム(MeCP2 Mg)、またはビス=シクロペンタジエニルマグネシウム(CP2 Mg)をそれぞれ用いることができる。
所定の大きさに劈開して、共振器端面に端面反射膜(図示せず)を成膜し、これにより、図1に示す半導体レーザ素子10を完成することができる。
なお、劈開する際には、2個の高抵抗層34からなる電流狭窄構造をn型GaN基板12に備えるように、劈開又はスクライプしてチップを作製する。
さらに、化合物半導体層のエピタキシャル成長は、MOCVD法によらず、MBE(Molecular Beam Epitaxy)法等によって形成することもできるなど、種々の変更を行うことができる。
本実施形態例は、第2の発明に係わる窒化物系化合物半導体素子をGaN系半導体レーザ素子に適用した実施形態の別の例であって、図4は本実施形態例のGaN系半導体レーザ素子の要部の構成を示す断面図である。
本実施形態例の半導体レーザ素子40は、図4に示すように、実施形態例1の高抵抗層34に代えて、n型GaN基板12と異なる導電型の材料、例えばp型GaN層で貫通孔32を埋め込んでなる異種導電型部42を備えている。
尚、n型GaN基板12と異なる伝導型である半導体層は、必ずしもGaN層である必要はなく、AlGaN層、InGaN層、AlGaInN層などであってもよい。
本実施形態例のGaN系半導体レーザ素子40の電流狭窄構造は、リッジによる横方向光閉じ込め構造の形成、或いは従来のイオン注入法による高抵抗層の形成、pn接合分離法による電流ブロック層の形成に比べて、著しく構造が簡単である。
本実施形態例は、第3の発明に係わる窒化物系化合物半導体素子をGaN系半導体レーザ素子に適用した実施形態の一例であって、図5は本実施形態例のGaN系半導体レーザ素子の要部の構成を示す断面図である。
本実施形態例の半導体レーザ素子50は、図5に示すように、貫通孔32が高抵抗層とか異種導電型層で埋め込まれていないこと、及び電流ブロック層の構成が実施形態例1及び実施形態例2の電流ブロック層の構成と異なることを除いて、実施形態例1及び実施形態例2の構成と同じ構成を備えている。
更に、半導体レーザ素子50は、n型GaN基板12上に、n型GaN層14、n型AlGaNクラッド層16、n型GaN光導波層18、活性層20、p型GaN光導波層22、p型AlGaNクラッド層24、及びp型GaNコンタクト層26の積層構造を備えている。
イオン注入領域52は、ボロン(B)、窒素(N)、プロトン(H)等をイオン注入することにより結晶が変質し、電気抵抗が高くなり、電流ブロック層として機能する。
本実施形態例のGaN系半導体レーザ素子50の電流狭窄構造は、リッジによる横方向光閉じ込め構造の形成、或いは従来のイオン注入法による高抵抗層の形成、pn接合分離法による電流ブロック層の形成に比べて、著しく構造が簡単である。
本実施形態例は、第3の発明方法に係わる窒化物系化合物半導体素子の作製方法を上述のGaN系半導体レーザ素子50の作製に適用した実施形態の一例であって、図6(a)から(c)は、それぞれ、本実施形態例の方法によりGaN系半導体レーザ素子を作製する際の工程毎の断面図又は斜視図である。
先ず、実施形態例1と同様にして、結晶欠陥密度が周囲の領域より高い高密度欠陥領域を周期的に有するn型GaN基板12の高密度欠陥領域のコア部12aに貫通孔32を設ける。
次いで、実施形態例1と同様に、図6(a)に示すように、n型GaN基板12上に、例えばMOCVD法により、例えば成長温度1000℃で、順次、Siドープn型GaN層14を膜厚3.0μm、Siドープn型AlGaNクラッド層16を膜厚0.5μm、Siドープn型GaN光導波層18を膜厚0.1μm成長させる。
更に、成長温度1000℃で、順次、Mgドープp型GaN光導波層22を膜厚0.1μm、Mgドープp型AlGaNクラッド層24を膜厚つ0.5μm、及びMgドープp型GaNコンタクト層26を膜厚0.5μm成長させる。
続いて、図6(c)に示すように、パターンマスク54上からボロン(B)、窒素(N)、プロトン(H)等をイオン注入して、少なくともp型GaNコンタクト層26内の貫通孔32の上方位置部分を、結晶が変質したイオン注入領域52として形成する。
本実施形態例の方法によるときは、1回のエピタキシャル成長によって横モードを制御できるGaN系半導体レーザ素子を作製することができるから、その作製工程を著しく簡略化することができる。
ところで、窒化物系化合物半導体は、結晶が極めて堅固で、かつ結晶結合が強く、容易にイオン注入されないことを逆に利用して、イオン注入のマスクを形成することなく、図7に示すように全面にイオン注入するようにしても良い。
この時、イオン注入領域52を除く、結晶欠陥密度の小さな領域では、材料特有の結晶堅固さのために結晶性に特段の変化はないが、結晶欠陥の大きい貫通孔32の上方領域、その周辺領域の結晶だけが選択的に変質して、イオン注入領域52となる。
例えば、窒化物系化合物半導体層のエピタキシャル成長は、MOCVD法によらず、MBE(Molecular Beam Epitaxy)法等によって形成することもできるなど、種々の変形変更を採用することができる。
更には、図14(a)及び(b)に示すように、高密度欠陥領域が線状に配置されているGaN基板116、118を用いることができる。図13及び図14は高密度欠陥領域とレーザストライプとの位置関係を示している。尚、図13及び図14中、110はレーザストライプである。
Claims (9)
- 半導体結晶基板上に、窒化物系化合物半導体の積層構造を備える窒化物系化合物半導体素子であって、
前記半導体結晶基板は低密度欠陥領域と当該低密度欠陥領域内に前記半導体結晶基板面内に周期的に配列された高密度欠陥領域とからなり、
前記高密度欠陥領域は前記半導体結晶基板を貫通し、
前記半導体結晶基板が、前記高密度欠陥領域内で欠陥密度が最も高いコア領域を貫通する、又は未貫通するように前記半導体結晶基板に設けられた孔を備え、
当該孔の延長方向線上の前記積層構造の少なくとも上部が、イオン注入により結晶が変質し、電気抵抗が高くなったイオン注入領域として形成され、
前記窒化物系化合物半導体素子の注入電流領域は、前記積層構造の少なくとも上部に設けられた前記イオン注入領域により狭窄されていることを特徴とする窒化物系化合物半導体素子。 - 一方の電極が前記半導体結晶基板裏面の前記孔間に設けられ、能動領域及び他方の電極が、それぞれ、前記孔の延長方向線間の前記積層構造内及び前記積層構造上に設けられていることを特徴とする請求項1に記載の窒化物系化合物半導体素子。
- 前記高密度欠陥領域が、前記半導体結晶基板の基板面上で正方形格子状、長方形格子状、及び六方格子状のいずれかの配置で点在していることを特徴とする請求項1または2に記載の窒化物系化合物半導体素子。
- 前記高密度欠陥領域が、前記半導体結晶基板の基板面上で相互に離隔して平行に、かつ周期的に配置された線状の高密度欠陥領域であることを特徴とする請求項1または2に記載の窒化物系化合物半導体素子。
- 前記線状の高密度欠陥領域は、点状の高密度欠陥領域が相互に接して、又は断続して線状に配置されてなる高密度欠陥領域であることを特徴とする請求項4に記載の窒化物系化合物半導体素子。
- 半導体結晶基板上に、窒化物系化合物半導体の積層構造を備える窒化物系化合物半導体素子の作製方法であって、
前記半導体結晶基板は低密度欠陥領域と当該低密度欠陥領域内に前記半導体結晶基板面内に周期的に配列された高密度欠陥領域とからなり、
前記高密度欠陥領域は前記半導体結晶基板を貫通しており、
前記高密度欠陥領域内で欠陥密度が最も高いコア領域を貫通する孔又は未貫通する孔を前記半導体結晶基板に設ける工程と、
前記半導体結晶基板上に前記積層構造を形成する工程と、
前記孔の延長方向線上の前記積層構造の少なくとも上部にイオン注入して結晶を変質させ、電気抵抗の高いイオン注入領域を形成する工程とを有することを特徴とする窒化物系化合物半導体素子の作製方法。 - 前記イオン注入領域を形成する工程では、イオン注入領域を制限するマスクを設けることなく、前記半導体結晶基板全面にイオン注入することを特徴とする請求項6に記載の窒化物系化合物半導体素子の作製方法。
- 前記高密度欠陥領域が、前記半導体結晶基板の基板面上で正方形格子状、長方形格子状、及び六方格子状のいずれかの配置で点在していることを特徴とする請求項6または7に記載の窒化物系化合物半導体素子の作製方法。
- 前記高密度欠陥領域が、前記半導体結晶基板の基板面上で相互に離隔して平行に、かつ周期的に配置された線状の高密度欠陥領域であることを特徴とする請求項6または7に記載の窒化物系化合物半導体素子の作製方法。
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