JP2008091949A - 窒化物系化合物半導体素子及びその作製方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】高密度欠陥領域を周期的に有するという半導体基板の特質を利用した窒化物系化合物半導体素子及びその作製方法を提供する。
【解決手段】本GaN系半導体レーザ素子50は、低密度欠陥領域と基板面内に周期的に配列された高密度欠陥領域とからなるn型GaN基板12上に、n型GaN層14、n型AlGaNクラッド層16、活性層20、p型GaN光導波層22、p型AlGaNクラッド層24及びp型GaNコンタクト層26の積層構造を備えている。高密度欠陥領域のコア部12aに貫通孔32を設ける。貫通孔32の延長方向線上の前記積層構造の少なくとも上部に結晶が変質し電気抵抗が高くなったイオン注入領域52を形成する。GaN系半導体レーザ素子50の注入電流領域はイオン注入領域52により狭窄する。n側電極30は貫通孔32の間に設け、p側電極28はn側電極30の真上に設ける。
【選択図】図5

Description

本発明は、窒化物系化合物半導体レーザ素子、窒化物系化合物半導体発光ダイオード、窒化物系化合物半導体電子素子等の窒化物系化合物半導体素子及びその作製方法に関し、更に詳細には、作製容易な構成の電流狭窄構造を備える窒化物系化合物半導体素子及びその作製方法に関するものである。
GaN、AlGaN、GaInN、AlGaInN、AlBGaInNなどのナイトライド化合物半導体(以下、窒化物系化合物半導体と言う)は、AlGaInAs系やAlGaInP系などのIII −V族化合物半導体に比べて、一般に、バンドギャップエネルギーEgが大きく、かつ直接遷移型半導体であるという特徴を有している。
この特徴により、これらの窒化物系化合物半導体は、紫外線から赤色に至る広い波長領域において発光する半導体レーザ素子や、発光ダイオード(LED;Light Emitting Diode)などの半導体発光素子を作製する材料として注目されている。
そして、これらの半導体発光素子は、高密度光ディスクの記録/再生光ピックアップ用の光源、フルカラー・ディスプレイの発光素子、その他、環境・医療などの分野の発光デバイスとして、広く応用されつつある。
また、これらの窒化物系化合物半導体には、例えば高電界域でGaNの飽和速度が大きいこと、或いはMIS(Metal-Insulator-Semiconductor )構造の作製に際し、半導体層として窒化物系化合物半導体を、絶縁層として窒化アルミニウム(AlN)を用い、半導体層及び絶縁層を連続して結晶成長させることが出来るというような特徴がある。
この特徴により、窒化物系化合物半導体素子は、飽和ドリフト速度や静電破壊電圧が大きく、高速動作性、高速スイッチング性、大電流動作性などに優れた電子素子として注目されている。
更に、窒化物系化合物半導体は、(1)熱伝導性がGaAs系などより高いので、GaAs系に比べて高温下の高出力素子の材料として有利である、(2)化学的に安定した材料であり、また硬度も高いので、信頼性の高い素子材料であると評価できる。
一般に、半導体膜を基板上に成長させる時には、成長膜と同類あるいは格子定数の近いバルク基板を基板として用いる。従って、窒化物系半導体素子の場合には、例えば同じ窒化物系半導体からなるGaN基板等が望ましいが、GaN基板の作製は超高圧、超高温のもとで小さなサイズの基板ができているに過ぎず、実用的に大きなサイズの基板を作製することは極めて困難である。
窒化物系半導体素子の基板としてSiC基板、ZnO基板、MgAl2 4 基板も使用されてきたが、一般的には、窒化物系半導体素子はサファイア基板上に作製されることが最も多い。
サファイア基板は、高品質かつ安価で2インチ以上のサイズのものが供給されているが、窒化物系半導体の典型であるGaNとは、格子不整合と熱膨張係数差が大きいという問題を有する。また、サファイア基板は、劈開性がなく、電気伝導性が小さく電気的に絶縁である。
例えば、サファイアとGaNとの格子不整合は約13%であって大きいので、サファイア基板とGaN層の間に緩衝層を設けて不整合を緩和し、良好な単結晶のGaN層をエピタキシャル成長させるようにしているものの、その欠陥密度は、例えば108 〜109 cm-2程度にも達していて、半導体素子の動作信頼性にとって悪影響を与えている。
更に、(1)サファイア基板とGaN層との熱膨張係数の差が大きいので、結晶成長膜が厚いと、室温でも基板反りが大きくなって、クラックの発生が心配される等の素子形成プロセス上で制約が多く、また、(2)サファイア基板には劈開性が無く、鏡面性の高いレーザ端面を安定して形成することが難しい、更には、(3)サファイアが絶縁性のために、GaAs系半導体レーザ素子のように基板裏面に一方の電極を設けることが難しく、p側電極及びn側電極の双方を基板上の窒化物系化合物半導体の積層構造側に設けることが必要となり、素子面積が広くなり、工程が複雑になる。
そこで、窒化物系化合物半導体、特にGaN系化合物半導体と格子整合するGaN単結晶基板を工業的に容易な方法で作製する研究が盛んに行われている。
その一つとして、例えば、特開2001−102307号公報は、気相成長の成長表面が平面状態でなく、三次元的なファセット構造を持つようにし、ファセット構造を持ったまま、ファセット構造を埋め込まないで成長させることにより転位を低減するようにした単結晶窒化ガリウムの結晶成長方法を開示している。本方法によれば、窓付きマスクを介してGaAs基板上にGaN単結晶層を成長させ、成長させたGaN単結晶層をスライシングすることにより、GaN単結晶基板を作製することができる。
ところで、III−V族化合物半導体レーザ素子、あるいはII−VI族化合物半導体レーザ素子等の半導体レーザ素子80は、図9に示すように、第1導電型、例えばn型の化合物半導体基板82上に、順次、少なくともn型の第1クラッド層84、ノンドープあるいは低不純物濃度の第1導電型もしくは第2導電型つまりp型の活性層86、第2導電型、即ちp型の第2クラッド層88、及びp型の高不純物濃度のキャップ層90の積層構造を有する。
一方の電極(p側電極)92がキャップ層90上にオーミックに接続され、半導体基板82の裏面には、他方の電極、すなわちn側電極94がオーミックに接続されている。
半導体レーザ素子から出射されるレーザ光を光源として使用するとき、横モードが単一モード(単峰性)であることが要求されるものの、上述の積層構造のままでは、発光層中のキャリア濃度の変化が利得や屈折率に大きな変化を及ぼして横モードの単一モード性を実現することが難しい。
そこで、発光層の一部のみに光を閉じ込めて横モードを制御するために、ストライプ構造を形成して、ストライプ構造に光を閉じ込めることが多い。光閉じ込めのためのストライプ構造には、利得導波型と屈折率導波型の2種類がある。
そして、利得導波型のストライプ構造は、図10(a)に示すように、p型層96及びn型層98からなるpn接合分離を適用して注入電流を狭窄する電流狭窄構造を形成している。
また、屈折率導波型のストライプ構造は、積層構造を部分的に、例えば図10(b)に示すように、キャップ層90及び第2クラッド層88の上部を除去して横方向の実効屈折率が異なるリッジ構造100を形成し、実効屈折率差により横方向の光閉じ込めを行っている。図10(b)中、102はSiO2 膜等の絶縁膜である。
このような利得導波型及び屈折率導波型の半導体レーザ素子を形成するには、例えば、複数回の結晶成長とエッチングプロセスの組み合わせ、あるいはイオン注入などのプロセス工程により作製されている。
特開2001−102307号公報
ところで、エッチングに際し、窒化物系化合物半導体は、GaAs系、InP系等の化合物半導体に比べて、耐薬品性が著しく強いために、ウエットエッチングを適用することが難しい。
例えば、典型的な窒化物系化合物半導体である窒化ガリウム(GaN)などは、反応性イオンエッチング(RIE:Reactive Ion Etching)などのスパッタエッチングが一般的である。この方法では、エッチングガスに含まれている反応種が活性ラジカルやイオンに解離し、これらの化学反応及び基板への衝突によってエッチングが進行する。このためダメージが残り素子特性を悪化させる要因となることが危惧されてきた。
また、窒化物系化合物半導体は、一般に、結晶結合が強く、イオン注入を円滑に行うことが難しい。
そこで、窒化物系化合物半導体の横モードを制御する電流狭窄構造を容易に作製できる方法が望まれている。
以上の説明では、窒化物系化合物半導体レーザ素子を例にして説明したが、これは、窒化物系化合物半導体素子全般に該当することである。
よって、本発明の目的は、半導体基板の特質を利用して、窒化物系化合物半導体の横モードを制御する電流狭窄構造を有し、作製容易な構成の窒化物系化合物半導体素子及びその作製方法を提供することである。
本発明者は、上述の課題を解決する研究の過程で、低密度欠陥領域中に高密度欠陥領域が規則的、例えば周期的に配列されている、新規な構成の半導体基板として開発されたGaN単結晶基板に注目した。
このGaN単結晶基板は、特開2001−102307号公報に開示された技術を改良し、低密度欠陥領域中に発生する高密度欠陥領域の位置を制御することにより、開発されたものである。
開発された半導体基板の高密度欠陥領域の配列パターンは、自在であって、例えば、図8に示すような正方形格子状の配列、図11(a)に示すような長方形格子状の配列、図11(b)に示すように六方格子状の配列等がある。図8(a)及び(b)は、高密度欠陥領域を説明するGaN基板の平面図及び断面図である。
また、高密度欠陥領域の配列パターンは、上述のような分散型パターンだけではなく、例えば図12(a)に示すように、点状の高密度欠陥領域が断続して線状に配置されたもの、更には図12(b)に示すように、高密度欠陥領域が線状に連続しているものも作製可能である。
ここで、GaN単結晶基板の作製方法を説明する。
GaN単結晶の基本的な結晶成長メカニズムは、ファセット面からなる斜面を有して成長し、そのファセット面斜面を維持して、成長することで、転位を伝播させ、所定の位置に転位を集合させる。このファセット面により成長した領域は、転位の移動により、低欠陥領域となる。
一方、そのファセット面斜面下部には、明確な境界を持った高密度の欠陥領域を有して成長が行われ、転位は、高密度の欠陥領域の境界あるいはその内部に集合し、ここで消滅あるいは蓄積する。
この高密度の欠陥領域の形状によって、ファセット面の形状も異なる。欠陥領域が、ドット状の場合は、そのドットを底として、ファセット面が取り巻き、ファセット面からなるピットを形成する。
また、欠陥領域が、ストライプ状の場合は、ストライプを谷底として、その両側にファセット面傾斜面を有し、横に倒した3角形のプリズム状のファセット面となる。
この高密度の欠陥領域は、いくつかの状態があり得る。例えば、多結晶からなる場合がある。また、単結晶であるが、周りの低欠陥領域に対して、微傾斜している場合もある。また、周りの低欠陥領域に対して、C軸が反転している場合もある。こうして、この高密度の欠陥領域は、明確な、境界を有しており、周りと区別される。
この高欠陥密度領域を有して成長することにより、その周りの、ファセット面を埋め込むことなく、ファセット面を維持して成長を進行することができる。
その後、GaN成長層の表面を研削、研磨を施すことにより、表面を平坦化し、基板として、使用できる形態とすることができる。
この高密度の欠陥領域を形成する方法は、下地基板上に、GaNを結晶成長する際に、高密度欠陥領域を形成する場所に、種を予め形成しておくことにより、発生させることができる。その種としては、種となる微小領域に非晶質、あるいは多結晶の層を形成する。その上から、GaNを成長することで、丁度その種の領域に、高密度の欠陥領域を形成することが出来る。
GaN単結晶基板の具体的な製造方法としては、次の通りである。まず、GaN層を成長させる下地基板を用いる。下地基板は、必ずしも特定せず、一般的なサファイア基板でも良いが、後工程で下地基板を除去することを考慮すると、GaAs基板等が好ましい。
下地基板の上に、例えば、SiO2 層からなる種を規則的に、例えば周期的に形成する。種の形状は、高密度欠陥領域の配列、形状に従って、ドット状、あるいはストライプ状である。
その後、Hydride Vapor Phase Epitaxy(HVPE) にて、GaNを厚膜成長する。成長後、表面には、種のパターン形状に応じた、ファセット面が形成される。例えば、種がドット状のパターンの場合は、ファセット面からなるピットが規則正しく形成され、種がストライプ状の場合は、プリズム状のファセット面が形成される。
GaN層を成長させた後、下地基板を除去し、さらに、GaNの厚膜層を、研削加工、研磨加工して表面を平坦化する。それによって、GaN基板を製造することができる。GaN基板の厚さは、自由に設定出来る。
この様にして作製された、GaN基板は、C面が主面であり、その中に、所定のサイズのドット状あるいはストライプ状の高欠陥密度領域が規則正しく、形成された基板となっている。高欠陥密度領域以外の単結晶領域は、高欠陥密度領域に比べ、転位密度が著しく低い低転位密度領域となっている。
本発明者は、上述のようにして作製されたGaN基板上に積層された窒化物系化合物半導体の積層構造は、高密度欠陥領域の結晶欠陥が直上の積層構造に伝搬するので、GaN基板の高密度欠陥領域の直上部分の積層構造は、結晶欠陥密度が高い領域となっていること、従って高密度欠陥領域上の積層構造部分は、本来、レーザ構造の一部として取り扱えない部分であることに注目した。
そこで、本発明者は、GaN基板の高密度欠陥領域を電流狭窄領域とすることを着想し、実験の末に、本発明を発明するに到った。
上記目的を達成するために、上述の知見に基づいて、本発明に係る窒化物系化合物半導体素子(以下、第1の発明と言う)は、結晶欠陥密度が周囲より高い領域として、周期的な基板面上配列で基板を貫通している高密度欠陥領域を有する半導体結晶基板上に、窒化物系化合物半導体の積層構造を備える窒化物系化合物半導体素子であって、
基板が、高密度欠陥領域内で欠陥密度が最も高いコア領域を貫通する、又は未貫通するように基板に設けられた孔と、高電気抵抗物質で孔を埋め込んでなる高抵抗部とを備え、
窒化物系化合物半導体素子の注入電流領域は、基板に設けられた高抵抗部により狭窄されていることを特徴としている。
本発明で、孔は貫通孔でも、基板の途中まで開孔されている未貫通の孔でも良い。
本発明の窒化物系化合物半導体素子は、窒化物系半導体レーザ素子、窒化物系半導体発光ダイオード、窒化物系半導体電子素子等を含む概念である。また、半導体結晶基板とは、結晶欠陥密度が周囲より高い領域として、周期的な基板面上配列で基板を貫通している高密度欠陥領域を有する限り、その組成に制約はない。窒化物系化合物半導体とは、Ala b Gac Ind N(a+b+c+d=1、0≦a、b、c、d≦1)を言う。
第1の発明の好適な実施態様では、一方の電極が基板裏面の高抵抗部間に設けられ、能動領域及び他方の電極が、それぞれ、高抵抗部の延長方向線間の窒化物系化合物半導体の積層構造内及び積層構造上に設けられている。
また、本発明に係る別の窒化物系化合物半導体素子(以下、第2の発明と言う)は、結晶欠陥密度が周囲より高い領域として、周期的な基板面上配列で基板を貫通している高密度欠陥領域を有する半導体結晶基板上に、窒化物系化合物半導体の積層構造を備える窒化物系化合物半導体素子であって、
基板が、高密度欠陥領域内で欠陥密度が最も高いコア領域を貫通する、又は未貫通するように基板に設けられた孔と、基板の導電型と異なる導電型の材料で孔を埋め込んでなる異種導電型部を備え、
窒化物系化合物半導体素子の注入電流領域は、基板に設けられた異種導電型部により狭窄されていることを特徴としている。
第2の発明の好適な実施態様では、一方の電極が基板裏面の異種導電型部間に設けられ、能動領域及び他方の電極が、それぞれ、異種導電型部の延長方向線間の窒化物系化合物半導体の積層構造内及び積層構造上に設けられている。
また、本発明に係る更に別の窒化物系化合物半導体素子(以下、第3の発明と言う)は、結晶欠陥密度が周囲より高い領域として、周期的な基板面上配列で基板を貫通している高密度欠陥領域を有する半導体結晶基板上に、窒化物系化合物半導体の積層構造を備える窒化物系化合物半導体素子であって、
基板が、高密度欠陥領域内で欠陥密度が最も高いコア領域を貫通する、又は未貫通するように基板に設けられた孔とを備え、
孔の延長方向線上の積層構造の少なくとも上部が、イオン注入により結晶が変質し、電気抵抗が高くなったイオン注入領域として形成され、
窒化物系化合物半導体素子の注入電流領域は、積層構造の少なくとも上部に設けられたイオン注入領域により狭窄されていることを特徴としている。
第3の発明の好適な実施態様では、一方の電極が基板裏面の孔間に設けられ、能動領域及び他方の電極が、それぞれ、孔の延長方向線間の窒化物系化合物半導体の積層構造内及び積層構造上に設けられている。
本発明に係る窒化物系化合物半導体素子の作製方法(以下、第1の発明方法と言う)は、結晶欠陥密度が周囲より高い領域として、周期的な基板面上配列で基板を貫通している高密度欠陥領域を有する半導体結晶基板上に、窒化物系化合物半導体の積層構造を備える窒化物系化合物半導体素子を作製する方法であって、
高密度欠陥領域内で欠陥密度が最も高いコア領域を貫通する孔又は未貫通する孔を基板に設ける工程と、
孔を高抵抗物質で埋め込んで基板内に高抵抗部を設ける工程と、
基板上に窒化物系化合物半導体の積層構造を形成する工程と
を有することを特徴としている。
本発明に係る窒化物系化合物半導体素子の作製方法(以下、第2の発明方法と言う)は、結晶欠陥密度が周囲より高い領域として、周期的な基板面上配列で基板を貫通している高密度欠陥領域を有する半導体結晶基板上に、窒化物系化合物半導体の積層構造を備える窒化物系化合物半導体素子を作製する方法であって、
高密度欠陥領域内で欠陥密度が最も高いコア領域を貫通する孔又は未貫通する孔を基板に設ける工程と、
基板の導電型と異なる導電型の材料で孔を埋め込んで基板内に異種導電型部を設ける工程と、
基板上に窒化物系化合物半導体の積層構造を形成する工程と
を有することを特徴としている。
本発明に係る窒化物系化合物半導体素子の作製方法(以下、第3の発明方法と言う)は、結晶欠陥密度が周囲より高い領域として、周期的な基板面上配列で基板を貫通している高密度欠陥領域を有する半導体結晶基板上に、窒化物系化合物半導体の積層構造を備える窒化物系化合物半導体素子を作製する方法であって、
高密度欠陥領域内で欠陥密度が最も高いコア領域を貫通する孔又は未貫通する孔を基板に設ける工程と、
基板上に窒化物系化合物半導体の積層構造を形成する工程と、
孔の延長方向線上の積層構造の少なくとも上部にイオン注入して結晶を変質させ、電気抵抗の高いイオン注入領域を形成する工程と
を有することを特徴としている。
窒化物半導体の結晶が良好な領域は、極めて堅固で、結晶間結合が強く、イオンを注入することが容易でない。一方、高密度欠陥領域は結晶間結合が弱く、イオン注入され易い。これを利用して、自己整合的に、高密度欠陥領域にイオン注入することができる。
つまり、イオン注入領域を形成する工程では、イオン注入領域を制限するマスクを設けることなく、基板全面にイオン注入することもできる。
尚、高密度欠陥領域は、基板に貫通する柱状又は柱が横方向に連続して繋がっている板状の領域であり、高密度欠陥領域の断面形状は任意である。
第1から第3の発明方法によるときは、1回のエピタキシャル成長によって横モードを制御できる窒化物系化合物半導体素子を作製することができるから、その作製工程を従来に比べて著しく簡略化することができる。
本発明及び本発明方法で、高密度欠陥領域の配列パターンは自在であって、具体的には、高密度欠陥領域が、半導体結晶基板の基板面上で周期的に、例えば正方形格子状、長方形格子状、及び六方格子状のいずれかの配置で点在していても良い。
また、高密度欠陥領域が、半導体結晶基板の基板面上で相互に離隔して平行に、かつ周期的に配置された線状の高密度欠陥領域であって、点状の高密度欠陥領域が相互に接して、又は断続して線状に配置されてなる高密度欠陥領域、又は高密度欠陥領域が連続して線状に延在してなる高密度欠陥領域であっても良い。
第1の発明によれば、結晶欠陥密度が周囲より大きい高密度欠陥領域を周期的構造として有する半導体基板上に窒化物系化合物半導体の積層構造を形成する際、高密度欠陥領域内で欠陥密度が最も高いコア領域を貫通する、又は未貫通する孔を基板に設け、高電気
抵抗物質で孔を埋め込んで高抵抗部を形成している。
これにより、窒化物系化合物半導体素子の注入電流領域を高抵抗部により狭窄する電流狭窄構造を備えた窒化物系化合物半導体素子を実現している。
第2の発明によれば、結晶欠陥密度が周囲より大きい高密度欠陥領域を周期的構造として有する半導体基板上に窒化物系化合物半導体の積層構造を形成する際、高密度欠陥領域内で欠陥密度が最も高いコア領域を貫通する、又は未貫通する孔を基板に設け、基板の導電型と異なる導電型の材料で孔を埋め込んで異種導電型部を形成する。
これにより、窒化物系化合物半導体素子の注入電流領域を異種導電部により狭窄する電流狭窄構造を備えた窒化物系化合物半導体素子を実現している。
第3の発明によれば、結晶欠陥密度が周囲より大きい高密度欠陥領域を周期的構造として有する半導体基板上に窒化物系化合物半導体の積層構造を形成する際、高密度欠陥領域内で欠陥密度が最も高いコア領域を貫通する、又は未貫通する孔を基板に設け、孔の延長方向線上の積層構造の少なくとも上部にイオン注入してイオン注入領域を形成している。
これにより、窒化物系化合物半導体素子の注入電流領域をイオン注入領域により狭窄する電流狭窄構造を備えた窒化物系化合物半導体素子を実現している。
第1から第3の発明方法は、第1から第3の発明に係る窒化物系化合物半導体素子を作製する好適な方法を実現している。
第1から第3の発明に係る窒化物系化合物半導体素子は、横モードの制御が可能な利得導波型あるいは屈折率導波型素子を1回のエピタキシャル成長によって容易にかつ経済的に作製することができる。また、作製工程は極めて簡略化され、製品の歩留向上やコスト低減が図れるなど、工業的に多大な利益をもたらすことができる。
以下に、添付図面を参照し、実施形態例を挙げて本発明の実施の形態を具体的かつ詳細に説明する。尚、以下の実施形態例で示した膜種、膜厚、成膜方法、その他寸法等は、本発明の理解を容易にするための例示であって、本発明はこれら例示に限定されるものではない。
窒化物系化合物半導体素子の実施形態例1
本実施形態例は、第1の発明に係わる窒化物系化合物半導体素子をGaN系半導体レーザ素子に適用した実施形態の一例であって、図1は本実施形態例のGaN系半導体レーザ素子の要部の構成を示す断面図である。図8(a)及び(b)は、それぞれ、本実施形態例のGaN系半導体レーザ素子のGaN基板の高密度欠陥領域の配置を示す平面図及び断面図である。
本実施形態例のGaN系半導体レーザ素子10が形成されるGaN基板76は、図8(a)及び(b)に示すように、結晶欠陥密度が周囲の領域より高い、いわゆる高密度欠陥領域78がGaN基板76を貫通して、かつ、平面的には基板面上で周期的な正方形格子状配列で存在しているという特質を有している。
本実施形態例のGaN系半導体レーザ素子10のGaN基板12は、GaN基板76上で、図13(a)に示すような配置で区画されている。図13(a)中、110はGaN系半導体レーザ素子10のレーザストライプを示している。
本実施形態例のGaN系半導体レーザ素子10は、例えば、図1に示すように、n型GaN基板12上に、膜厚3.0μmのSiドープn型GaN層14、膜厚0.5μmのSiドープn型AlGaNクラッド層16、膜厚0.1μmのSiドープn型GaN光導波層18、Ga1-x Inx N(井戸層)およびGa1-y Iny N(障壁層)よりなる多重量子井戸構造を有する膜厚40nmの活性層20、膜厚0.1μmのMgドープp型GaN光導波層22、膜厚0.5μmのMgドープp型AlGaNクラッド層24、及び膜厚0.5μmのMgドープp型GaNコンタクト層26の積層構造を備えている。
Mgドープp型GaNコンタクト層26上には、例えば、Pd(パラジウム)、Pt(白金)、Au(金)を順次蒸着させてなる多層金属膜のp側電極28、及びn型GaN基板12の裏面には、例えば、Ti(チタン)、Pt(白金)、Au(金)を順次蒸着させてなる多層金属膜のn側電極30が設けてある。
ところで、本実施形態例では、n型GaN基板12の高密度欠陥領域のコア部12aには、図1に示すように、直径50μmの貫通孔32が設けられ、高抵抗層34、例えばSiO2 層又はSiNx 層で埋め込まれている。コア部12aは、高密度欠陥領域のなかでも、特に結晶欠陥密度が高い部位であり、コア部12aと隣のコア部12aとの間の領域は、低密度欠陥領域である。
そして、n側電極30は、コア部12aと隣のコア部12aとの間に位置するように設けてあり、また、p側電極28は、n側電極30のほぼ真上に設けてある。
以上の構成により、高抵抗層34が電流ブロック層となって、電流注入領域を高抵抗層34で挟まれた領域に制限する。また、GaN系半導体レーザ素子10の発光領域は、活性層20のうち高抵抗層34の延長方向線で挟まれた領域である。
本実施形態例のGaN系半導体レーザ素子10の電流狭窄構造は、リッジによる横方向光閉じ込め構造の形成、或いは従来のイオン注入法による高抵抗層の形成、pn接合分離法による電流ブロック層の形成に比べて、著しく構造が簡単である。
窒化物系化合物半導体素子の作製方法の実施形態例1
本実施形態例は、第1の発明方法に係わる窒化物系化合物半導体素子の作製方法を上述のGaN系半導体レーザ素子の作製に適用した実施形態の一例であって、図2(a)から(c)及び図3(d)と(e)は、それぞれ、本実施形態例の方法によりGaN系半導体レーザ素子を作製する際の工程毎の断面図又は斜視図である。
先ず、図2(a)に示すように、結晶欠陥密度が周囲の領域より高い高密度欠陥領域を周期的に有するn型GaN基板12の高密度欠陥領域のコア部12aに貫通孔32を設ける。コア部12aは、高密度欠陥領域内でも特に結晶欠陥密度が高い部分であり、コア部12aとコア部12aとの間の領域は結晶欠陥密度が低い低密度欠陥領域である。
貫通孔32を開孔するに当たっては、結晶欠陥密度の大小を利用して、例えばKOH又はリン酸をエッチャントとして用いたウエットエッチングによりコア部12aを貫通する直径50μmの貫通孔32を容易に形成することができる。
貫通孔32を開孔する際のエッチング方法は、KOH又はリン酸をエッチャントとして用いたウエットエッチング法に限らず、ドライエッチング法或いはサーマルエッチング法を適用することができる。
次に、図2(b)に示すように、CVD法、蒸着法、スパッタ法などを使って、例えばSiO2 膜又はSiNx 膜等の高抵抗膜36をn型GaN基板12の裏面に成膜する。
次に、図2(c)に示すように、フッ酸とフッ化アンモニウムの混合液などによるウエットエッチングあるいはCF4 ガスなどによるドライエッチングにより高抵抗膜36を除去するとともに、貫通孔32をSiO2 あるいはSiNx で埋めて高抵抗層34にしたn型GaN基板12を容易に作製することができる。
次に、n型GaN基板12上に、図3(d)のように、例えばMOCVD法(Metalorganic Chemical Vapor Deposition:有機金属化学気相成長法)により、例えば成長温度1000℃で、順次、Siドープn型GaN層14を膜厚3.0μm、Siドープn型AlGaNクラッド層16を膜厚0.5μm、Siドープn型GaN光導波層18を膜厚0.1μm成長させる。
続いて、成長温度800℃で、例えばGa1-x Inx N(井戸層)およびGa1-y Iny N(障壁層)よりなる多重量子井戸構造を有する活性層20を膜厚40nm成長させる。
更に、成長温度1000℃で、順次、Mgドープp型GaN光導波層22を0.1μm、Mgドープp型AlGaNクラッド層24を膜厚0.5μm、及びMgドープp型GaNコンタクト層26を膜厚0.5μm成長させる。
上述のGaN系化合物半導体層の成長工程では、例えば、アルミニウム(Al)の原料ガスとして、トリメチルアルミニウム((CH3 3 Al)、ガリウム(Ga)の原料ガスとして、トリメチルガリウム((CH3 3 Ga)またはトリエチルガリウム((C2 5 3 Ga)、インジウム(In)の原材料ガスとして、トリメチルインジウム((CH3 3 In)をそれぞれ用いることができる。
また、窒素の原料ガスとして、アンモニアガス(NH3 )、ケイ素の原料ガスとして、モノシランガス(SiH4 )、及び、マグネシウムの原料ガスとして、メチルビス=シクロペンタジエニルマグネシウム(MeCP2 Mg)、またはビス=シクロペンタジエニルマグネシウム(CP2 Mg)をそれぞれ用いることができる。
次に、図3(e)に示すように、p型コンタクト層26の上に例えばパラジウム、白金、金を順次蒸着して、p側電極28を形成する。次いで、n型GaN基板12の裏面を研磨して薄くし、続いて基板裏面に、例えばチタン、白金、金を順次蒸着してn側電極30を形成する。
所定の大きさに劈開して、共振器端面に端面反射膜(図示せず)を成膜し、これにより、図1に示す半導体レーザ素子10を完成することができる。
なお、劈開する際には、2個の高抵抗層34からなる電流狭窄構造をn型GaN基板12に備えるように、劈開又はスクライプしてチップを作製する。
本実施形態例の方法によるときは、1回のエピタキシャル成長によって横モードを制御できるGaN系半導体レーザ素子を作製することができるから、その作製工程を著しく簡略化することができる。
さらに、化合物半導体層のエピタキシャル成長は、MOCVD法によらず、MBE(Molecular Beam Epitaxy)法等によって形成することもできるなど、種々の変更を行うことができる。
窒化物系化合物半導体素子の実施形態例2
本実施形態例は、第2の発明に係わる窒化物系化合物半導体素子をGaN系半導体レーザ素子に適用した実施形態の別の例であって、図4は本実施形態例のGaN系半導体レーザ素子の要部の構成を示す断面図である。
本実施形態例の半導体レーザ素子40は、図4に示すように、実施形態例1の高抵抗層34に代えて、n型GaN基板12と異なる導電型の材料、例えばp型GaN層で貫通孔32を埋め込んでなる異種導電型部42を備えている。
尚、n型GaN基板12と異なる伝導型である半導体層は、必ずしもGaN層である必要はなく、AlGaN層、InGaN層、AlGaInN層などであってもよい。
以上の構成により、異種導電型層42がpn接合分離による電流ブロック層となって、電流注入領域を異種導電型層42で挟まれた領域に制限する。また、GaN系半導体レーザ素子40の活性領域は、活性層20のうち異種導電型層42の延長方向線で挟まれた領域である。
本実施形態例のGaN系半導体レーザ素子40の電流狭窄構造は、リッジによる横方向光閉じ込め構造の形成、或いは従来のイオン注入法による高抵抗層の形成、pn接合分離法による電流ブロック層の形成に比べて、著しく構造が簡単である。
窒化物系化合物半導体素子の実施形態例3
本実施形態例は、第3の発明に係わる窒化物系化合物半導体素子をGaN系半導体レーザ素子に適用した実施形態の一例であって、図5は本実施形態例のGaN系半導体レーザ素子の要部の構成を示す断面図である。
本実施形態例の半導体レーザ素子50は、図5に示すように、貫通孔32が高抵抗層とか異種導電型層で埋め込まれていないこと、及び電流ブロック層の構成が実施形態例1及び実施形態例2の電流ブロック層の構成と異なることを除いて、実施形態例1及び実施形態例2の構成と同じ構成を備えている。
つまり、本実施形態例の半導体レーザ素子50は、n型GaN基板12の高密度欠陥領域のコア部12aに直径50μmの貫通孔32を備えている。
更に、半導体レーザ素子50は、n型GaN基板12上に、n型GaN層14、n型AlGaNクラッド層16、n型GaN光導波層18、活性層20、p型GaN光導波層22、p型AlGaNクラッド層24、及びp型GaNコンタクト層26の積層構造を備えている。
そして、積層構造のうちの少なくともp型GaNコンタクト層26内であって、貫通孔32の上方位置のp型GaNコンタクト層部分が、イオン注入により、結晶が変質し、電気抵抗が高くなったイオン注入領域52となっている。
イオン注入領域52は、ボロン(B)、窒素(N)、プロトン(H)等をイオン注入することにより結晶が変質し、電気抵抗が高くなり、電流ブロック層として機能する。
本実施形態例のGaN系半導体レーザ素子50の電流狭窄構造は、リッジによる横方向光閉じ込め構造の形成、或いは従来のイオン注入法による高抵抗層の形成、pn接合分離法による電流ブロック層の形成に比べて、著しく構造が簡単である。
窒化物系化合物半導体素子の作製方法の実施形態例2
本実施形態例は、第3の発明方法に係わる窒化物系化合物半導体素子の作製方法を上述のGaN系半導体レーザ素子50の作製に適用した実施形態の一例であって、図6(a)から(c)は、それぞれ、本実施形態例の方法によりGaN系半導体レーザ素子を作製する際の工程毎の断面図又は斜視図である。
先ず、実施形態例1と同様にして、結晶欠陥密度が周囲の領域より高い高密度欠陥領域を周期的に有するn型GaN基板12の高密度欠陥領域のコア部12aに貫通孔32を設ける。
次いで、実施形態例1と同様に、図6(a)に示すように、n型GaN基板12上に、例えばMOCVD法により、例えば成長温度1000℃で、順次、Siドープn型GaN層14を膜厚3.0μm、Siドープn型AlGaNクラッド層16を膜厚0.5μm、Siドープn型GaN光導波層18を膜厚0.1μm成長させる。
続いて、成長温度800℃で、例えばGa1-x Inx N(井戸層)およびGa1-y Iny N(障壁層)よりなる多重量子井戸構造を有する活性層20を膜厚40nm成長させる。
更に、成長温度1000℃で、順次、Mgドープp型GaN光導波層22を膜厚0.1μm、Mgドープp型AlGaNクラッド層24を膜厚つ0.5μm、及びMgドープp型GaNコンタクト層26を膜厚0.5μm成長させる。
次いで、p型GaNコンタクト層26上にSiO2 膜又はSiNx 膜を成膜し、図6(b)に示すように、次いでフォトリソグラフィ及びエッチングにより貫通孔32の上方に貫通孔32とほぼ同じ形状、寸法の開口を有するパターンマスク54を形成する。
続いて、図6(c)に示すように、パターンマスク54上からボロン(B)、窒素(N)、プロトン(H)等をイオン注入して、少なくともp型GaNコンタクト層26内の貫通孔32の上方位置部分を、結晶が変質したイオン注入領域52として形成する。
貫通孔32の上方の積層構造は、コア部12aの結晶欠陥の影響により結晶欠陥密度が高い。そこで、元来、結晶構造が堅固で結晶結合の強い窒化物系化合物半導体層であっても、貫通孔32の上方の結晶欠陥密度が高いp型GaNコンタクト層26部分は、イオン注入により結晶変質が進行して、結晶変質層52となり、電流ブロック層を形成する。
以上の構成により、結晶変質層52が電流ブロック層となって、電流注入領域をイオン注入領域52で挟まれた領域に制限する。また、GaN系半導体レーザ素子50の活性領域は、活性層20のうち結晶変質層52の延長方向線で挟まれた領域である。
所定の大きさに劈開し、共振器端面に端面反射膜(図示せず)をコーティングすることにより、半導体レーザチップが完成する。なお、チップ化する際、最初に作製した高抵抗層が埋まった穴を電流の流れない領域として、電流狭窄をさせるように劈開或いはスクライプしてチップを作製する。
本実施形態例の方法によるときは、1回のエピタキシャル成長によって横モードを制御できるGaN系半導体レーザ素子を作製することができるから、その作製工程を著しく簡略化することができる。
尚、上述の実施形態例3では、図6(c)に示すように、貫通孔32の上方領域を除く結晶欠陥密度の小さな領域をマスク54で覆い、貫通孔32の上方領域にボロンや窒素やプロトンなどでイオン注入して、イオン注入領域52を形成している。
ところで、窒化物系化合物半導体は、結晶が極めて堅固で、かつ結晶結合が強く、容易にイオン注入されないことを逆に利用して、イオン注入のマスクを形成することなく、図7に示すように全面にイオン注入するようにしても良い。
この時、イオン注入領域52を除く、結晶欠陥密度の小さな領域では、材料特有の結晶堅固さのために結晶性に特段の変化はないが、結晶欠陥の大きい貫通孔32の上方領域、その周辺領域の結晶だけが選択的に変質して、イオン注入領域52となる。
また、実施形態例1から実施形態例3の半導体レーザ素子では、GaN基板12が、結晶欠陥密度が周囲より大きい領域を貫通する貫通孔32を有するが、必ずしも孔は貫通孔である必要はなく、成長した窒化物系化合物半導体層の孔上の部分が、高密度欠陥領域となる限り、孔は基板途中で止まる未貫通の孔でも良い。
実施形態例を上げて本発明を説明したが、本発明は上述した実施形態例の数値例に限られるものではなく、本発明の技術思想の範囲内である限り、種々の変更を行うことができる。
例えば、窒化物系化合物半導体層のエピタキシャル成長は、MOCVD法によらず、MBE(Molecular Beam Epitaxy)法等によって形成することもできるなど、種々の変形変更を採用することができる。
上述の実施形態例では、GaN基板として、高密度欠陥領域が正方形格子状に配列されているGaN基板76を用いているが、これに限らず、例えば図13(b)に示すように、高密度欠陥領域が長方形格子状に配置されているGaN基板112、また、図13(c)に示すように、高密度欠陥領域が六方格子状に配置されているGaN基板114を用いることができる。
更には、図14(a)及び(b)に示すように、高密度欠陥領域が線状に配置されているGaN基板116、118を用いることができる。図13及び図14は高密度欠陥領域とレーザストライプとの位置関係を示している。尚、図13及び図14中、110はレーザストライプである。
実施形態例1のGaN系半導体レーザ素子の構成を示す断面図である。 図2(a)から(c)は、それぞれ、実施形態例1の方法によりGaN系半導体レーザ素子を作製する際の工程毎の断面図又は斜視図である。 図3(d)と(e)は、それぞれ、図2(c)に続いて、実施形態例1の方法によりGaN系半導体レーザ素子を作製する際の工程毎の断面図又は斜視図である。 実施形態例2のGaN系半導体レーザ素子の構成を示す断面図である。 実施形態例3のGaN系半導体レーザ素子の構成を示す断面図である。 図6(a)から(c)は、それぞれ、実施形態例2の方法によりGaN系半導体レーザ素子を作製する際の工程毎の断面図又は斜視図である。 実施形態例2の方法でイオン注入する際の別の態様を示す断面図である。 図8(a)及び(b)は、高密度欠陥領域を説明するGaN基板の平面図及び断面図である。 半導体レーザ素子のレーザ積層構造の構成を示す断面図である。 図10(a)及び(b)は、それぞれ、利得導波型及び屈折率導波型の半導体レーザ素子を示す断面図である。 図11(a)及び(b)は、それぞれ、高密度欠陥領域の長方形格子状の配列、及び六方格子状の配列を示す図である。 図12(a)及び(b)は、それぞれ、点状の高密度欠陥領域が断続して線状に配置された配列、高密度欠陥領域が線状に連続して配列を示す図である。 図13(a)から(c)は、それぞれ、高密度欠陥領域が、正方形格子状配置、長方形格子状配置、及び六方格子状配置のGaN基板でのGaN系半導体レーザ素子の区画を示す図である。 図14(a)及び(b)は、それぞれ、高密度欠陥領域が線状に配置されているGaN基板でのGaN系半導体レーザ素子の区画を示す図である。
符号の説明
10……実施形態例1のGaN系半導体レーザ素子、12……n型GaN基板、12a……コア部、14……Siドープn型GaN層、16……Siドープn型AlGaNクラッド層、18……Siドープn型GaN光導波層、20……Ga1-x Inx N(井戸層)およびGa1-y Iny N(障壁層)よりなる多重量子井戸構造を有する活性層、22……Mgドープp型GaN光導波層、24……Mgドープp型AlGaNクラッド層、26……Mgドープp型GaNコンタクト層、28……p側電極、30……n側電極、32……貫通孔、34……高抵抗層、36……高抵抗膜、40……実施形態例2の半導体レーザ素子、42……異種導電型部、50……実施形態例3の半導体レーザ素子、52……イオン注入領域、54……パターンマスク、76……GaN基板、78……高密度欠陥領域、80……半導体レーザ素子、82……n型の化合物半導体基板、84……n型の第1クラッド層、86……活性層、88……p型の第2クラッド層、90……p型のキャップ層、92……p側電極、94……n側電極、96……p型層、98……n型層、100……リッジ構造、102……絶縁膜、110……レーザストライプ、112……高密度欠陥領域が長方形格子状に配置されているGaN基板、114……高密度欠陥領域が六方格子状に配置されているGaN基板、116、118……高密度欠陥領域が線状に配置されているGaN基板。

Claims (9)

  1. 半導体結晶基板上に、窒化物系化合物半導体の積層構造を備える窒化物系化合物半導体素子であって、
    前記半導体結晶基板は低密度欠陥領域と当該低密度欠陥領域内に前記半導体結晶基板面内に周期的に配列された高密度欠陥領域とからなり、
    前記高密度欠陥領域は前記半導体結晶基板を貫通し、
    前記半導体結晶基板が、前記高密度欠陥領域内で欠陥密度が最も高いコア領域を貫通する、又は未貫通するように前記半導体結晶基板に設けられた孔を備え、
    当該孔の延長方向線上の前記積層構造の少なくとも上部が、イオン注入により結晶が変質し、電気抵抗が高くなったイオン注入領域として形成され、
    前記窒化物系化合物半導体素子の注入電流領域は、前記積層構造の少なくとも上部に設けられた前記イオン注入領域により狭窄されていることを特徴とする窒化物系化合物半導体素子。
  2. 一方の電極が前記半導体結晶基板裏面の前記孔間に設けられ、能動領域及び他方の電極が、それぞれ、前記孔の延長方向線間の前記積層構造内及び前記積層構造上に設けられていることを特徴とする請求項1に記載の窒化物系化合物半導体素子。
  3. 前記高密度欠陥領域が、前記半導体結晶基板の基板面上で正方形格子状、長方形格子状、及び六方格子状のいずれかの配置で点在していることを特徴とする請求項1または2に記載の窒化物系化合物半導体素子。
  4. 前記高密度欠陥領域が、前記半導体結晶基板の基板面上で相互に離隔して平行に、かつ周期的に配置された線状の高密度欠陥領域であることを特徴とする請求項1または2に記載の窒化物系化合物半導体素子。
  5. 前記線状の高密度欠陥領域は、点状の高密度欠陥領域が相互に接して、又は断続して線状に配置されてなる高密度欠陥領域であることを特徴とする請求項4に記載の窒化物系化合物半導体素子。
  6. 半導体結晶基板上に、窒化物系化合物半導体の積層構造を備える窒化物系化合物半導体素子の作製方法であって、
    前記半導体結晶基板は低密度欠陥領域と当該低密度欠陥領域内に前記半導体結晶基板面内に周期的に配列された高密度欠陥領域とからなり、
    前記高密度欠陥領域は前記半導体結晶基板を貫通しており、
    前記高密度欠陥領域内で欠陥密度が最も高いコア領域を貫通する孔又は未貫通する孔を前記半導体結晶基板に設ける工程と、
    前記半導体結晶基板上に前記積層構造を形成する工程と、
    前記孔の延長方向線上の前記積層構造の少なくとも上部にイオン注入して結晶を変質させ、電気抵抗の高いイオン注入領域を形成する工程とを有することを特徴とする窒化物系化合物半導体素子の作製方法。
  7. 前記イオン注入領域を形成する工程では、イオン注入領域を制限するマスクを設けることなく、前記半導体結晶基板全面にイオン注入することを特徴とする請求項6に記載の窒化物系化合物半導体素子の作製方法。
  8. 前記高密度欠陥領域が、前記半導体結晶基板の基板面上で正方形格子状、長方形格子状、及び六方格子状のいずれかの配置で点在していることを特徴とする請求項6または7に記載の窒化物系化合物半導体素子の作製方法。
  9. 前記高密度欠陥領域が、前記半導体結晶基板の基板面上で相互に離隔して平行に、かつ周期的に配置された線状の高密度欠陥領域であることを特徴とする請求項6または7に記載の窒化物系化合物半導体素子の作製方法。
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