JP4786231B2 - 難燃性樹脂組成物 - Google Patents
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Description
本発明の式(I)で示される難燃剤は末端基にエポキシ基を有しており、エポキシ当量として、700〜1,500g/eqの範囲にある。エポキシ当量700g/eq未満では、コンパウンド作成時に重合を起こし、粘度が増加することで成形加工性が悪くなり、生産性が悪くなる。また、1,500g/eqを越えると流動性の悪化、耐光性の悪化など物性低下がみられる。
本発明に於いて用いられる三酸化アンチモンの配合量はスチレン系樹脂100重量部に対して1〜20重量部であり、20重量部を超えると機械特性が著しく低下する。特に好ましい配合比率は1〜8重量部であり、三酸化アンチモンの配合比率が8重量部よりも多い場合に比べ燃焼時のグローイング挙動をより低下させることが出来る。また、三酸化アンチモンの平均粒子径は3μm以下であり、好ましくは1μm以下が効果的である。平均粒子径が3μmを超えると機械特性が著しく低下する。
溶融混練にも特に制限はなく公知の溶融技術を適用出来る。好適な溶融混練装置として、バンバリー型ミキサー、ニーダー、ロール、単軸押出機、特殊単軸押出機、及び二軸押出機等がある。更に押出機等の溶融混練装置の途中から難燃化剤等の添加剤を別途に添加する方法がある。
難燃剤を添加し溶融混練する際の樹脂温度は、分散に必要な最低温度が望ましく、通常260℃以下、更に好ましくは250℃以下で混練することが適当である。
(1)分子量
装置 :HLC−8120(東ソー社製)
カラム:SuperHZ2000×1本+SuperHZ3000×1本+SuperHZ4000×1本(東ソー社製)
温度 :40℃
溶離液/流量:THF 0.35ml/min
検出器:RI
較正法:標準ポリスチレンによる換算
(2)エポキシ当量 :JIS K−7236。
(3)ガラス転移温度 :SII社製 EXTER DSC6200を使用して、20℃から10℃/分の昇温速度により測定した。
(4)軟化点 :JIS K−7234の環球法で測定した。
(5)臭素含有量 :水酸化カリウム、エタノールを用いて400℃にて溶融分解し、イオン交換水に溶解、硝酸により中和後、硝酸銀水溶液による電位差滴定により生成する臭化カリウムを定量した。
(6)押出性 :本特許の樹脂組成物を二軸押出機(池貝製PCM30、スクリュー径30mm、L/D=37.5)を使い混練した際のベント口からの樹脂の溢れ出しが無いかを確認した。溢れ出しの発生し易い樹脂組成物を×の評価とした。主な運転条件は下記の通り。
シリンダー設定温度:180℃(搬送部位)〜230℃(混練り〜計量部位)
スクリュー回転数:300rpm
押出速度:20kg/h
樹脂温度:240〜250℃
(7)面衝撃強度 :計装化多軸衝撃試験機(東洋精機製 落錘グラフィックインパクトテスタ)を使用し、ストライカー直径12.7mm、ホルダー直径76mm、衝撃速度3.5m/sで2mm肉厚の縦横90mmの角板で評価した。
(8)シャルピー衝撃強さ :JIS K7111に準拠し、ISO179/1eA方法でシャルピー衝撃強さを測定した。
(9)メルトフローレート(MFR):JIS K7210に準拠し、200℃、49N荷重で測定した。
(10)滞留熱安定性 :日本製鋼所製の射出成形機J−75SAIIを使用して本発明の樹脂組成物のプレートを成形し、通常の成形品の色相と射出シリンダヒーターの設定温度260℃で30分間滞留させた直後の成形品の色相を測定し、色差を比較し変化度合いを求めた。色差測定には、日本電色製のSZ−IIΣ80測色色差計を使用した。
(11)耐光性 :東洋精機製のキセノンウェザーメータを使用し、ブラックパネル温度55℃、照射エネルギー0.3W/m2(340nm)、フィルター内側ボロシリケートガラス及び外側ソーダライムガラス、雨無し状態で300時間照射後の色差をプレート成形品で比較した。色差計は滞留熱安定性と同じものを使用した。
(12)難燃性 :米国UL規格のUL94に規定されている垂直燃焼性試験に準拠し、厚み1.5mmの試験片を評価した。
実施例、及び比較例の難燃化助剤には、日本精鉱株式会社の平均粒子径0.8μmの三酸化アンチモン(日本精鉱株式会社製、PATOX−M)を使用した。実施例、及び比較例の添加剤には、エチレンビスステアリン酸アマイド、ポリテトラフルオロエチレン共重合体、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤とアミン系光安定剤の1:1ブレンド品、酸化チタン系無機顔料をそれぞれ共通して使用し、OA機器の外装カバーを想定した白系の着色ペレットとした。
温度計、攪拌機コンデンサーを備えたフラスコにTBA(テトラブロモビスフェノールA)型フェノキシ樹脂YPB−43C(東都化成社製、臭素含有量53%、重量平均分子量50,000)400gとTBA(デッドシーブルミン社製 水酸基当量272g/eq)100gとアルキルグリシジルエーテル、エピオールM(日本油脂社製メチルグリシジルエーテル、エポキシ当量92g/eq)34g、YDB−400(東都化成社製臭素化エポキシ樹脂、臭素含有量48%、重量平均分子量800)、467g触媒としてTPP(トリフェニルホスフィン)0.3gを仕込み、160℃で5時間反応させて難燃剤aを得た。
温度計、攪拌機コンデンサーを備えたフラスコにTBA(前述)型フェノキシ樹脂YPB−43C(前述)350gとTBA(前述)121gとアルキルグリシジルエーテル、エピオールM(前述)41g、YDB−400(前述)を488g、触媒としてTPP(前述)0.3gを仕込み、160℃で5時間反応させて難燃剤bを得た。
温度計、攪拌機コンデンサーを備えたフラスコにTBA(前述)型フェノキシ樹脂YPB−43C(前述)300gとTBA(前述)218gとアルキルグリシジルエーテル、エピオールM(前述)74g、YDB−400(前述)を408g、触媒としてTPP(前述)0.3gを仕込み、160℃で5時間反応させて難燃剤cを得た。
温度計、攪拌機コンデンサーを備えたフラスコにTBA(前述)型フェノキシ樹脂YPB−43C(前述)250gとTBA(前述)140gとアルキルグリシジルエーテル、エピオールM(前述)47g、YDB−360(東都化成社製臭素化エポキシ樹脂、臭素含有量49%、数平均分子量760)を563g、触媒としてTPP(前述)0.3gを仕込み、160℃で5時間反応させて難燃剤dを得た。
温度計、攪拌機コンデンサーを備えたフラスコにTBA(前述)型フェノキシ樹脂YPB−43C(前述)250gとTBA(前述)140gとアルキルグリシジルエーテル、エピオールM(前述)47g、YDB−400(前述)を563g、触媒としてTPP(前述)0.3gを仕込み、160℃で5時間反応させて難燃剤eを得た。
温度計、攪拌機コンデンサーを備えたフラスコにTBA(前述)型フェノキシ樹脂YPB−43C(前述)150gとTBA(前述)318gとアルキルグリシジルエーテル、エピオールM(前述eq)107g、YDB−400(前述)を425g、触媒としてTPP(前述)0.3gを仕込み、160℃で5時間反応させて難燃剤fを得た。
温度計、攪拌機コンデンサーを備えたフラスコにTBA(前述)型フェノキシ樹脂YPB−43C(前述)350gとTBA(前述)243gとアルキルグリシジルエーテル、エピオールM(前述)82g、YDB−400(前述)を325g、触媒としてTPP(前述)0.3gを仕込み、160℃で5時間反応させて難燃剤gを得た。
温度計、攪拌機コンデンサーを備えたフラスコにTBA(前述)型フェノキシ樹脂YPB−43C(前述)250gとTBA(前述)420gとアルキルグリシジルエーテル、エピオールM(前述)142g、YDB−400(前述)を188g、触媒としてTPP(前述)0.3gを仕込み、160℃で5時間反応させて難燃剤hを得た。
温度計、攪拌機コンデンサーを備えたフラスコにTBA(前述)型フェノキシ樹脂YPB−43C(前述)250gとTBA(前述)280gとアルキルグリシジルエーテル、エピオールM(前述)95g、YDB−400(前述)を375g、触媒としてTPP(前述)0.3gを仕込み、160℃で5時間反応させて難燃剤iを得た。
ゴム変性スチレン系樹脂としてH650(東洋スチレン製、以下HIPSと略す)100重量部に、合成例1で得られた難燃剤aを20重量部、三酸化アンチモンを5重量部、添加剤をヘンシェルミキサーで混合した後に、二軸押出機(池貝製PCM30)にて溶融混練し難燃性樹脂組成物を作製した。
HIPS(前述)を100重量部、合成例2で得られた難燃剤bを20重量部、三酸化アンチモンを5重量部、添加剤を実施例1と同様に溶融混練し難燃性樹脂組成物を作製した。
HIPS(前述)を100重量部、合成例3で得られた難燃剤cを20重量部、三酸化アンチモンを5重量部、添加剤を実施例1と同様に溶融混練し難燃性樹脂組成物を作製した。
HIPS(前述)を100重量部、合成例4で得られた難燃剤dを20重量部、三酸化アンチモンを5重量部、添加剤を実施例1と同様に溶融混練し難燃性樹脂組成物を作製した。
HIPS(前述)を100重量部、合成例5で得られた難燃剤eを20重量部、三酸化アンチモンを5重量部、添加剤を実施例1と同様に溶融混練し難燃性樹脂組成物を作製した。
HIPS(前述)を100部、YDB474A(東都化成製、臭素含有量49%数平均分子量1,170)20部、三酸化アンチモンを5部、添加剤を実施例1と同様に溶融混練し難燃性樹脂組成物を作製した。
HIPS(前述)を100重量部、合成例6で得られた難燃剤fを20重量部、三酸化アンチモンを5重量部、添加剤を実施例1と同様に溶融混練し難燃性樹脂組成物を作製した。
HIPS(前述)を100重量部、合成例7で得られた難燃剤gを20重量部、三酸化アンチモンを5重量部、添加剤を実施例1と同様に溶融混練し難燃性樹脂組成物を作製した。
HIPS(前述)を100重量部、合成例8で得られた難燃剤hを20重量部、三酸化アンチモンを5重量部、添加剤を実施例1と同様に溶融混練し難燃性樹脂組成物を作製した。
HIPS(前述)を100重量部、合成例9で得られた難燃剤iを20重量部、三酸化アンチモンを5重量部、添加剤を実施例1と同様に溶融混練し難燃性樹脂組成物を作製した。
HIPS(前述)を100部、TB−60(東都化成社製、臭素含有量59%数平均分子量960)20部、三酸化アンチモンを5部、添加剤を実施例1と同様に溶融混練し難燃性樹脂組成物を作製した。
HIPS(前述)を100部、YDB−406(東都化成社製、臭素含有量51%数平均分子量1,100)20部、三酸化アンチモンを5部、添加剤を実施例1と同様に溶融混練し難燃性樹脂組成物を作製した。
表中の記号は次を表す。
◎:優れる、○:良い、△:やや劣る、×:劣る
Claims (1)
- スチレン系樹脂100重量部に対して、下記一般式(I)で表される、エポキシ当量が700〜1,500g/eqで、軟化点が100℃〜150℃であり、分子量2,000〜10,000の成分が20重量%以下および、分子量2,000未満の成分が10〜75重量%、なおかつ分子量10,000を越える成分が5重量%以上である分子量分布を有する、数平均分子量が500〜1,300である難燃剤を5〜50重量部、難燃化助剤を1〜20重量部配合してなることを特徴とするスチレン系樹脂を含む難燃性樹脂組成物。
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