JP4785712B2 - 殺菌処理された食品の製造方法および包装食品の製造方法 - Google Patents

殺菌処理された食品の製造方法および包装食品の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、殺菌処理された食品の製造方法および包装食品の製造方法に関し、特に、10℃以下の低温で流通される加熱調理済み食品であって、密閉包装前において殺菌処理を行う殺菌処理された食品の製造方法、およびその加熱調理済み食品が包装された包装食品の製造方法に関する。
スーパーマーケットやコンビニエンスストア等の小売店において、惣菜などの加熱調理済みの食品がプラスチック製の容器等に入れられ透明の蓋が被せられたものが販売されている。このような惣菜は、一般に、冷凍食品やレトルト食品に比べて手作り感があり、食感や味も優れている。また、解凍や煮沸をすることなくすぐに食べられるため利便性が高い。さらに、透明な蓋が用いられていることにより、消費者は中身を確認できるため、食べたいものを選ぶのが簡単であり、また安心して購入することができる。言い換えれば、透明蓋を用いた包装容器は、惣菜のおいしさを消費者の視覚に訴えることができる。
一方で、上記のような加熱調理済み食品は、品質保持期間が1〜3日程度と短いので、作り置きすることができない。加熱調理済み食品に酢酸ナトリウムやグリシン等の静菌剤を添加して、その品質保持期間を延ばす方法もあるが、昨今好まれる傾向にある添加物削減や無添加という観点から必ずしも薦められるものではない。
そのため、加熱調理済み食品を包装した包装食品(以下、単に、加熱調理済み食品という。)の製造工場では、小売店等からの注文があってから生産を開始する必要があり、計画的な生産ができず、注文数が多量の場合には生産が逼迫してしまうという問題が有る。また、加熱調理済み食品の製造工場から十分な品質保持期間を残して配送できる範囲は限られるため、狭い地域ごとに比較的小規模な工場を配置し、各地域ごとにその限られた地域の生産要求に対応しているのが実状である。さらに、小売店等では、売れ残った商品を廃棄処分としたり、値引きした処分価格で販売したりすることもあり、長期保管可能な冷凍食品やレトルト食品に比べ無駄が多いという問題が有る。
従来の加熱調理済み食品(惣菜)は、図8に示す工程で製造されている。すなわち、惣菜が加熱調理され(ステップS11)、冷却エアーの吹付けによって冷却された後(ステップS12)、人手で容器に盛り付けられ(ステップS13)、包装されて(ステップS14)、出荷される。
この製造方法において、惣菜は、加熱調理(ステップS11)により殺菌されていると言える。しかし、その後の冷却工程(ステップS12)および盛付け工程(ステップS13)では、いずれも大気に曝されているため、所定のレベルの衛生管理がなされていても、惣菜の表面が大気中の浮遊菌によって汚染される可能性がある。従来の加熱調理済み惣菜の品質保持期間が短いのは、これらの原因によるものと言える。
冷凍食品やレトルト食品のように、殺菌処理後、冷凍状態で保存し、または密封包装をしてレトルト処理をすれば、殺菌や菌の増殖を抑制することができ、品質保持期間を伸ばすことができる。例えば、食品の殺菌方法としては、容器内に密封された食品を予め100℃以下の温度で加温し、その後、120℃〜150℃のレトルト処理を施すという技術が知られている(例えば、特許文献1参照。)。
また、本発明の発明者の一部およびその余が先になした発明であるが、加熱調理済食品の外観、食味および食感を損なうことなく、手作業による容器への充填の際の加熱調理済食品の二次汚染による腐敗を防止し、保存性を向上させることができる、小分け包装された加熱調理済食品の殺菌処理方法が知られている(特許文献2参照。)。
特開昭52−66643号公報 特開2006−109737号公報
しかしながら、冷凍食品やレトルト食品では、冷凍工程や過度の熱処理工程を経ているため、食感の劣化や色調の変化を招くという根本的な問題がある。また、中身が見えないものが多く、惣菜のおいしさを消費者の視覚に訴えることはできない。さらに、食べるためには消費者が解凍や煮沸または電子レンジ加熱などを行う必要がある。すなわち、冷凍食品やレトルト食品では、上述したような、出来立てと遜色のない食感や色調、食べるときの便利さ、中身を確認できること、味や食感や盛付け状態の手作り感といった、加熱調理済み食品(惣菜)の利点が得られない。
また、特許文献2に記載の発明は、加熱調理済食品を容器に小分けした後、特定の水蒸気雰囲気下で再加熱処理を行うものであり、その再加熱条件として、雰囲気の蒸気温度と処理時間だけが示されているが、再加熱処理後の食品の品質は必ずしも満足できるものではなかった。
本発明の目的は、上記従来技術の問題点を解消し、出来立てと遜色のない食感や色調、すぐに食べられるという利便性、中身の視認性、味や食感や盛付け状態の手作り感などの加熱調理済み食品(惣菜)の利点を維持しつつ、品質保持期間の延長を可能にし、それにより、生産効率の向上および食品の廃棄の削減を図ることができ、尚且つ惣菜のおいしさを消費者の視覚に十分に訴えることのできる殺菌処理された食品の製造方法および包装食品の製造方法を提供することにある。
また、本発明の目的は、特に惣菜を対象とし、それらの小分け包装された加熱調理済み食品の殺菌処理を再現性良く行うことのできる殺菌処理方法を用いた殺菌処理された食品の製造方法および包装食品の製造方法を提供することにある。
本発明者らは、殺菌処理された加熱調理済食品の更なる品質向上の追及の結果、加熱調理済食品の乾きやタレ落ちといった品質の低下を招くことなく再加熱処理することのできる条件を見出すに至った。すなわち、本発明者らは、鋭意研究の結果、加熱調理済み食品の殺菌処理方法として、加熱雰囲気の湿度条件や加熱処理される食品自体の実温度条件を制御することにより、安定かつ確実な殺菌を再現性良く行えることを見出すとともに、食品の外観を加熱調理後の状態に近いまま維持できることをも見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、上記課題を解決するために、本発明は、第1の態様として、包装容器に盛り付けられた後密閉されて10℃以下で流通される加熱調理済みの食品の製造方法あって、
包装容器に盛り付けられた密閉前の前記加熱調理済み食品を、乾球温度70℃以上120℃以下かつ湿球温度80℃±10℃の環境下で、前記食品の表面が60℃以上90℃以下となるように1分間以上15分間以下保つ本加熱工程を有することを特徴とする、殺菌処理された食品の製造方法を提供する。
ここで、前記本加熱工程は、前記乾球温度70℃以上120℃以下かつ湿球温度80℃±10℃の範囲において、相対的に高温低湿である所定の環境下で加熱する第1の加熱工程と、前記第1の加熱工程よりも低温高湿の環境下で加熱する第2の加熱工程とを含むのが好ましい。
また、前記本加熱工程に先立って、前記本加熱工程よりも低い湿球温度下で加熱する予備加熱工程を有するのが好ましい。
また、本発明は、第2の態様として、10℃以下で流通される、加熱調理済み食品を包装した包装食品の製造方法であって、
包装容器に盛り付けられた前記加熱調理済み食品を、乾球温度70℃以上120℃以下かつ湿球温度80℃±10℃の環境下で、前記食品の表面が60℃以上90℃以下となるように1分間以上15分間以下保つことにより殺菌処理する殺菌処理工程と、
殺菌処理された前記食品を、浮遊粉塵制御下で冷却する冷却工程と、
浮遊粉塵制御下で、冷却された前記食品が盛り付けられた包装容器に蓋材を被せ、前記包装容器と前記蓋材とを接着または嵌合して前記食品を密閉する包装工程と、を有することを特徴とする包装食品の製造方法を提供する。
本発明によれば、上記構成としたことにより、加熱調理済み食品の品質保持期間を延長することができ、且つ、加熱調理済み食品の表面の状態(外観)を加熱調理後の状態に近い状態とすることができる。そのため、殺菌処理後の食品を透明な蓋を用いた包装容器に盛り付けて包装することにより、出来立てと遜色のない食感や色調、すぐに食べられるという利便性、中身の視認性、味や食感や盛付け状態の手作り感などの加熱調理済み食品(惣菜)の利点を維持するとともに、生産効率の向上および食品の無駄の削減を図ることができ、尚且つ惣菜のおいしさを消費者の視覚に十分に訴えることができる。
本発明に係る殺菌処理された食品の製造方法および包装食品の製造方法を、添付の図面に示す好適実施例に基づいて、以下に詳細に説明する。
図1は、本発明の包装食品の製造方法を採用した包装食品の製造システムの一実施形態を模式的に示す上面図である。同図に示す包装食品の製造システム10は、包装容器に盛り付けられた加熱調理済み食品を加熱殺菌処理し、冷却した後、容器に蓋をし密閉包装して製品とするものであり、殺菌処理装置12、クリーンブース14および18、冷却庫16、自動移載装置20ならびに包装機22を有している。殺菌処理装置12は、本発明の特徴的部分である殺菌処理方法を実施する殺菌処理装置の一例である。
まず、包装食品の製造システム10によって製造される包装食品(製品)について説明する。本発明が対象とするのは、加熱調理済みの惣菜等の食品であって、容器に盛り付けられて包装された状態で、10℃以下で流通されて販売されるものであり、開封してそのまま食べられるものである。
包装される食品としては、食べられる状態にまで加熱調理された加熱調理済みの食品であれば各種の食品を対象とすることができる。具体的には、野菜、肉または魚等の、煮物、焼き物、蒸し物、揚げ物または炒め物や、汁物、米飯、麺類などが例示される。中でも、煮物、焼き物、蒸し物は、本発明が対象とする包装形態に適しており、本発明の効果が特に高く、包装食品(惣菜)としてのニーズも高い。
図2に、包装容器3の一例を示す。包装容器3は、容器(本体)1と透明蓋2とからなる。容器1は、殺菌処理装置12における加熱殺菌処理に十分耐えられる耐熱性を有する材料によって構成される。また、容器1は、消費者が食べるときの利便性のために、電子レンジによる加熱にも十分耐えるものであるのが好ましい。
容器1は、透明であっても不透明であってもよい。また、本実施形態においては、包装機22において容器1と透明蓋2とを熱溶着(ヒートシール)する方法を選択しているため、ここでは、容器1としては、透明蓋2との溶融接着性のある材料が用いられ、そのような特性を持つ食品包装容器であれば何れでもよい。
容器1の形状は、盛り付けられる内容物(惣菜)の種類に応じたものが選択される。例えば、内容物が煮汁等の汁を含むものであれば深い容器が、焼き魚などの平たいものであれば浅い容器が、包装性の点でも外観の点でも適している。
透明蓋2は、容器1に盛り付けられた惣菜が見えるように、透明な樹脂材料で構成されており、ドーム形状(外側に盛り上がった形状)を有している。このような形状を採用することにより、容器1への惣菜の盛り付けを、皿に盛り付けるように小高くすることもでき、また、売り場に並べられたときに包装容器3の内部が良く見えるため、消費者の視覚に訴えることが出来る。さらに、透明蓋2は、容器1と同様に電子レンジ加熱耐性を有することが好ましい。
また、ここでは、透明蓋2には容器1との溶融接着性のある材料が用いられ、そのような特性を持つ食品包装容器であれば何れでもよい。
なお、容器1および透明蓋2は、全体が同一の材料で構成されるものには限定されず、例えば、容器1と透明蓋2との接着部分が全体とは異なる溶融接着性に優れた材料とされていてもよい。
また、本実施形態では、容器1と透明蓋2を熱溶着してシールしているが、本発明はそれに限定されず、両者を嵌合させる方式を採用してもよい。この場合には、嵌合後の包装容器3の内部に粉塵や浮遊菌が入るのを防止するように、嵌合を開封可能な範囲できつくして、ほぼ密閉状態とするのが好ましい。
所定量の加熱調理済み食品が盛り付けられた容器1は、トレイ4の上に並べられる。容器1への食品の盛り付けは、食品が機械充填に適したものであれば公知の充填装置を利用してもよいし、形の崩れ易いものや自動計量の困難なものなど、機械充填に不適なものであれば、従来と同様に、衛生管理下で人手によって行えばよい。
トレイ4は、金属性材料で構成されている。トレイ4は、衛生上の観点から、特に、ステンレス製とするのがよい。トレイ4には、プレート状の部材に容器1に対応する大きさの穴が設けられており、容器1のフランジ部分から下がトレイ4に嵌り、フランジ部分がトレイ4に引っ掛かって保持されるようになっている。1つのトレイ4には、複数(例えば、12〜24個)の容器1が並べられる。トレイ4の外周部分には、トレイ4に嵌め込まれた容器1の高さよりも高い支持部材が設けられており、この支持部材がトレイ4全体を支持する。トレイ4は、ネットコンベヤに載せられて殺菌処理装置12へ搬送される。
殺菌処理装置12は、搬入されたトレイ4上の食品を加熱することでその殺菌処理を行うもので、第1オーブン24(予備加熱部)、第2オーブン26(第1の加熱部)および第3オーブン28(第2の加熱部)と、これらの第1〜第3オーブン24〜28を制御する制御部30とを備えている。各オーブン24〜28は、温度および湿度の範囲が制御可能なものであり、例えば、連続加湿オーブンやスチームコンベクションオーブンが用いられる。これらのオーブンは、熱気および蒸気を加熱庫内に供給することにより、加熱および加湿を行うものである。各オーブン24〜28の温度および湿度は、制御部30により制御される。制御部30による第1〜第3オーブン24〜28の制御方法およびそれによる食品の加熱殺菌処理方法は、本発明の特徴とするところであり、これについては、後に詳述する。
殺菌処理装置12を通過したトレイ4は、ラック5に多段に収納され、ラック5ごとクリーンブース14に収容される。
クリーンブース14は、空気中の浮遊粉塵の量が管理された空間であり、本実施形態においては、クラス10,000(1ft3 当たり(すなわち約0.028m3 当たり)の粒径0.5μm以上の粒子数が10,000個以下。)のクリーンルームである。
クリーンブース14から、冷却庫16、クリーンブース18および包装機22までは、クリーンブース14と同様に、クリーン環境に制御されている。殺菌処理装置12によって殺菌処理された容器1は、速やかにクリーンブース14に収容され、冷却から包装までがクリーン環境下で行われるので、食品の表面が大気に触れて大気中の浮遊菌により汚染される可能性を大幅に抑えることができる。
クリーンブース14は、冷却庫16の入口に接続されており、クリーンブース14に収容されたラック5は、順次、冷却庫16へ搬入される。
冷却庫16は、殺菌処理装置12において殺菌処理された食品を冷却する冷却装置である。上述したように、冷却庫16の内部および冷却庫16内に導入される冷却用エアーは、浮遊粉塵の量が、例えば、クラス10,000のクリーンルーム程度に管理されている。冷却庫16は、容器1内の食品を、包装機22で透明蓋2を被せたときに透明蓋2が曇るのを防止できる程度、すなわち、室温程度にまで冷却すればよい。流通温度程度(10℃以下)まで冷却しても良いが、冷却に時間を要すると、その分食品が空気に接触する時間が増え、浮遊粉塵制御下であっても汚染の可能性は増えるので、必要最小限の冷却とするのが好ましい。
図示例では、冷却庫16は、ラック5を所定速度で搬送しながら冷却庫16の内部に所定時間保ち、ラック5に収納されたトレイ4の各容器1内の食品を冷却するものである。しかし、冷却庫16は、このような形態には限定されず、ラック5を1つずつ所定時間収容して冷却するバッチ式のものであってもよい。また、殺菌処理装置12から搬出されたトレイ4をラック5に収納することなく、ベルトコンベヤ等によってそのまま冷却庫16内に搬送するように構成してもよい。この場合にも、殺菌処理装置12の直後に冷却庫16の搬入口と接続するクリーンブース14を設けるのが好ましい。殺菌処理装置12と冷却庫16との間で搬送速度の調整が必要な場合には、このクリーンブース14の内部に速度調整機構(バッファー等)を設けて調整を行えばよい。
冷却庫16の出口部分から包装機22の入口部分への接続部には、クリーンブース18が設けられている。クリーンブース18は、上述したクリーンブース14と同様のクリーンルーム(本実施形態では、クラス10,000)である。
ラック5に収納されたトレイ4は、自動で、または人手によって、ラック5から降ろされて自動移載装置20に載せられる。
自動移載装置20は、トレイ4に嵌め込まれた複数の容器1を取り出し、各容器1を包装機22へ送るものである。自動移載装置20としては、トレイ4から容器1を、水平状態を保ったまま取り出すことができるものであれば、各種の方式のものを用いることができる。
例えば、トレイ4の下方から支持部材を上昇させることにより、容器1の底部を押し上げて、容器1の底部がトレイ4の上面の位置にくるまで上昇させた後、その容器1を水平バーによって水平方向に移動させて、包装機22のベルトコンベヤ上に移載する形式のものが利用可能である。また、例えば、支持部材の上昇によって容器1を押し上げてトレイ4から抜き出した後、容器1をロボットハンドで捕らえて包装機22のベルトコンベヤ上に移載する形式のものも利用可能である。容器1のトレイ4からの抜き出しや包装機22への移動は、1個ずつ行われてもよいし、トレイ4の1列分または複数列分などの複数個について同時に行われてもよい。
包装機22は、各容器1に透明蓋2を被せて、容器1と透明蓋2とを熱溶着(ヒートシール)して密閉し、包装容器3の形の製品8とする。なお、容器1と透明蓋2の接着方法は、容器1および透明蓋2(包装容器3)の内部を密閉でき、内容物である食品に影響がなければ特に制限は無く、接着剤や接着部材を用いる方法等であってもよい。また、上述したように、ほぼ密閉状態とすることができれば、容器1と透明蓋2を嵌合して閉じてもよい。
包装機22で密閉包装されて得られた製品(包装食品)8は、適宜梱包されて出荷される。
次に、包装食品の製造システム10で実施される本発明の包装食品の製造方法を、図3のフローチャートに沿って説明する。
まず、包装される食品である惣菜が、煮る、焼く、蒸す等の調理方法により加熱調理される(ステップS1)。このとき、食材がその内部まで加熱されることにより、殺菌も同時に行われる。この工程では、食されるのに最適な状態まで完全に調理を行ってもよいが、後述する殺菌処理工程(ステップS4〜S6)での加熱を考慮し、完全な状態よりも僅かに手前の状態で調理を止めておいてもよい。
次に、調理後の惣菜は、充填(盛付け)が容易となる程度の温度まで冷却される(ステップS2)。冷却後の惣菜は、衛生管理下で、人手によって、または充填装置によって、トレイ4に並べられた各容器1に充填(盛付け)される(ステップS3)。各容器1への充填が済んだ後、それらがトレイ4に並べられてもよい。
次に、トレイ4が殺菌処理装置12へ搬送され、トレイ4に載せられた各容器1の食品(惣菜)が殺菌処理される(ステップS4〜S6)。本実施形態において、殺菌処理工程は、予備加熱工程(ステップS4)、ならびに、本加熱工程を構成する第1加熱工程(ステップS5)および第2加熱工程(ステップS6)を有している。
以下、本発明の特徴的部分である殺菌処理方法およびこの殺菌処理方法を実施する殺菌処理装置12について詳細に説明する。
殺菌処理工程(ステップS4〜S6)は、ステップS2の冷却工程およびステップS3の盛付け工程において、食品が、空気中の浮遊粉塵または浮遊菌がその表面に付着することによって汚染(二次汚染)された場合にも、その浮遊菌を殺菌して、食品の表面についた細菌の菌数を所定数以下に抑えるための処理である。
すなわち、食品の表面についた細菌に対しては、食品の表面部分の温度を60℃以上90℃以下に1分間以上保つことで、殺菌効果が得られる。また、この範囲において、さらに、食品の表面部分の温度を65℃以上に保つのが好ましく、70℃以上に保つのがより好ましい。なお、該温度が65℃以下であっても殺菌は可能であるが、殺菌できないものの頻度が確率的に高くなるので、あまり好ましくはない。
また、上記範囲において、さらに、食品の表面部分の温度を80℃以下に保つのがより好ましい。これにより、再加熱による食品への影響を抑えて、食品の味や食感を維持しながら品質保持期限を延長できる。
また、上記範囲の中でも、特に、食品の表面部分の温度を約75℃に1分間以上保つことが好ましく、これにより、食品の味や食感を良好に維持しつつ、十分な殺菌効果を得ることができる。
ここで、食品の表面部分の温度(表面温度)の測定条件について説明する。図4(A)および(B)は、容器1に充填された食品の表面温度の測定方法を説明する図である。符号6は、温度計を示している。
例えば、小芋煮などの比較的大きな固形物が主要な惣菜の場合には、図4(A)に示すように、表面温度は、食品(小芋)7aの表面から約5mmの位置(図4(A)においてPa≒5mmの位置)を測定点とした。また、例えば、ひじき煮などの比較的細かな固形物からなる惣菜の場合には、盛り付けられた惣菜の中央部にある食品(ひじき)の表面が、外側にある食品の表面よりも温まりにくいため、容器1内の食品全体が殺菌される条件として、図4(B)に示すように、最も温まりにくい部分である惣菜の中央部(図4(B)において、惣菜全体の表面からPbの位置)の食品7bの表面温度または表面付近の温度を測定点とした。
上記の殺菌処理条件は、図3に示す包装食品の製造方法のフローチャートにおける本加熱工程の第1加熱工程(ステップS5)および第2加熱工程(ステップS6)のいずれかにおいて達成されればよい。あるいは、第1加熱工程および第2加熱工程の通算で達成されてもよい。
上述のように、食品の表面温度を上記の範囲とすることによって、良好な殺菌効果が得られる。しかし、実際の製造において、加熱殺菌条件を、加熱殺菌処理中の食品の表面温度の実測値に基づいて管理するのは困難である。そこで、本発明の殺菌処理方法においては、殺菌処理条件をオーブン内(加熱庫内)の乾球温度および湿球温度によって管理する。
図7は、大気下における乾球温度および湿球温度と相対湿度との関係を示す図である。図7において、下側の横軸は乾球温度を、上側の横軸は湿球温度を、縦軸は相対湿度を示している。図中の曲線は、等湿球温度線であり、同一の線上では湿球温度が等しいことを表す。
ここで、乾球温度は、オーブン内(加熱庫内)の雰囲気温度に等しい。一方、湿球温度は、食品(惣菜)がその環境で最終的に到達する温度であると言える。
例えば、乾球温度が70℃で相対湿度が100%のときは、湿球温度も70℃となり、その環境で加熱された食品の表面温度は、所定時間後に約70℃に到達する。また、例えば、乾球温度が70℃で相対湿度が60%のときは、湿球温度は約60℃となり、食品の表面温度は約60℃までしか上昇しない。
そして、湿球温度を所定の温度に保つような環境で食品の加熱処理を行えば、その処理の間、食品の表面温度はほぼ一定に保たれることになる。
上述したように、食品の殺菌処理条件として、その表面温度を60℃以上90℃以下となるように1分間以上保つことが必要である。食品の表面温度は、短時間では湿球温度にまで到達しないので、表面温度60℃を確保できる設定温度としては、湿球温度は70℃以上とするのが好ましい。さらに、湿球温度を80℃±10℃とすることにより、表面温度の好ましい範囲である約75℃を安定して確保できるので、特に好ましい。
さらに、加熱時の湿度が極端に低いと、食品の表面が乾燥して味や外観を劣化させるので、相対湿度を15%以上100%以下とするのが好ましい。湿球温度80℃±10℃(そのうち下限の70℃)において、湿度15%以上100%以下となる乾球温度は、70℃以上120℃以下と求められる。
このような関係から、殺菌の効果を得るための殺菌処理条件であって、食品の表面の過度の乾燥を防止できる条件として、本加熱工程(第1加熱工程(ステップS5)および第2加熱工程(ステップS6))における食品の殺菌処理条件の範囲は、図7に太線で囲いハッチングを付して示す範囲、すなわち、乾球温度70℃以上120℃以下かつ湿球温度80℃±10℃(70℃以上90℃以下)の範囲と定められる。この範囲において、実質的に食品の表面が60℃以上90℃以下、特に好ましくは約75℃に1分以上保たれることによって、食品の味や食感を良好に維持しつつ、食品の品質保持期間を2日以上延長できる程度に十分に殺菌することができる。
次に、本発明者らは、更なる研究により、上記の条件で殺菌処理を行うことにより目的とする殺菌の効果は得られるが、単にその条件を満たす殺菌条件としただけでは、食品の外観が劣化する場合があることを知見した。すなわち、例えば、煮た小芋にタレや葛餡が掛けてある場合に、加熱条件によっては、水分が小芋の表面に凝集してタレが小芋から滑り落ちてしまうことがある。また、別の加熱条件では、タレの掛かっていない部分などにおいて、水分が蒸発して表面が乾いてしまうことがある。このことは、次のように説明できる。
図5は、殺菌処理装置12の1つのオーブンにおいて、小芋煮の加熱を行ったときの加熱特性を示す図である。この実験では、加熱庫内の温度を105℃に設定し、加湿(蒸気の供給)を湿度が約85%となる条件に設定し、小芋煮を盛り付けた容器1を搬送しながら小芋煮の加熱を行った。図5において、横軸は加熱時間を、縦軸は温度を示している。また、図中の実線は、オーブンに搬入された品温すなわち小芋煮の表面温度の遷移を、破線は、小芋煮の周辺の雰囲気温度の遷移を示している。この雰囲気温度は、オーブン内(加熱庫内)ではオーブンの設定温度とほぼ等しい。
図5において、約150[s]のところで小芋煮がオーブン内に搬入されると、雰囲気温度はオーブン内の温度に急上昇する。それとともに、小芋煮の温度も比較的急激に上昇している。これは、図6(A)に示すように、熱伝導による温度上昇に加えて、冷えた小芋煮が高湿度のオーブン内に入ることによって、小芋煮の表面で水分凝縮が起こり、その潜熱で温度が上昇するためであると考えられる。例えば、オーブン内の蒸気の供給を止めると、小芋煮の温度の上昇は緩やかになる。
この水分凝縮の現象を利用することにより、図5に示すように小芋煮の表面温度を早く上昇させることができ、短時間で加熱できる。しかし、水分凝縮が多く起こると、小芋煮の表面にタレが掛かっていた場合には、タレが落ちてしまう。したがって、特に、加熱の最初の段階では、水分凝縮を抑制し、もっぱら熱伝導によって加熱するために、高温低湿度で加熱するのが好ましい。
また、図5において、約400[s]から約600[s]の範囲で、小芋煮の表面温度は、雰囲気温度(オーブン内の設定温度)よりも低い約80〜85℃でほぼ一定に保たれている。これは、図6(B)に示すように、熱伝導による加熱と、水分蒸発による減熱のバランスで、温度が見かけ上一定に保たれているためであると考えられる。
このとき、あまり水分を蒸発させすぎると、小芋煮の表面が乾いてしまう。したがって、特に、加熱の終わりの段階では、水分蒸発を抑制するために、低温高湿度とするのが好ましい。
このことから、第1加熱工程(ステップS5)は、上記の乾球温度および湿球温度の範囲において、相対的に高温低湿度の加熱条件とし、第2加熱工程(ステップS6)は、上記の乾球温度および湿球温度の範囲において、相対的に低温高湿度の加熱条件とする。すなわち、第1加熱工程から第2加熱工程へは、加熱条件を、図7において、符号Aから符号Bへ向かう方向に推移させる。
または、第1加熱工程(ステップS5)と第2加熱工程(ステップS6)における温度を略同一とし、前者における湿度を相対的に低く、後者における湿度を相対的に高い加熱条件としてもよい。
これにより、惣菜のタレ落ちを防止し、かつ、惣菜の表面が乾燥するのを防ぐことができ、惣菜の外観を調理後の状態に近いものとすることができる。
また、本実施形態においては、惣菜の上に掛かっているタレなどが落ちるのをより効果的に防ぐために、本加熱工程(第1加熱工程および第2加熱工程)に先立って、本加熱工程よりも低い湿球温度で加熱する予備加熱工程(ステップS4)を設けている。予備加熱工程(ステップS4)の乾球温度は、本加熱工程と同等であってもよいし、それよりも低くてもよい。
図1の包装食品の製造システム10においては、予備加熱部である第1オーブン24は、加熱温度110℃、蒸気停止に設定されており、この第1オーブン24により、乾球温度115℃、湿球温度75℃で予備加熱工程(ステップS4)が実行される。
本加熱部の第1の加熱部である第2オーブン26は、加熱温度115℃、蒸気圧0.10MPaに設定されており、この第2オーブン26により、乾球温度115℃、湿球温度80℃で本加熱工程の第1加熱工程(ステップS5)が実行される。
本加熱部の第2の加熱部である第3オーブン28は、加熱温度110℃、蒸気圧0.12MPaに設定されており、この第3オーブン28により、乾球温度110℃、湿球温度85℃で本加熱工程の第2加熱工程(ステップS6)が実行される。
第1オーブン24〜第3オーブン28の温度・湿度条件は、制御部30によって制御される。
トレイ4に並べられた容器1の中の加熱調理済み食品は、第1オーブン24、第2オーブン26および第3オーブン28を順に通過することにより、ステップS4〜S6の各工程の殺菌処理がなされて、殺菌処理装置12から排出される。第1オーブン24から第3オーブン28までの通過時間は約11分であり、そのうち、第3オーブン28において加熱調理済み食品の表面温度が約75℃に1分間以上保たれている。なお、殺菌処理工程における食品の加熱時間は、あまり長いと食品の風味が落ち、また生産効率が低下することから、食品の表面温度を60℃以上90℃以下に保つ時間、すなわち本加熱工程の時間は、15分以下とするのが好ましく、予備加熱工程をも含めた殺菌処理工程の時間を15分以下とするのがより好ましい。
殺菌処理工程(ステップS4〜S6)が終わると、次に、殺菌処理後の食品が冷却庫16において冷却され(ステップS7)、続いて包装機22において容器1に透明蓋2が被せられて接着され、密閉されて(ステップS8)、製品8とされる。
以上のようにして製造した包装食品は、容器への盛り付け後に本発明の殺菌処理が行われて密閉されていることにより、従来のものよりも品質保持期間が2日以上延長できる。また、包装容器としては、従来どおり、透明蓋を用いることができ、さらに、包装された食品は、タレが流れ落ちることや、乾燥することが防止されているため、味や食感や盛付け状態の手作り感などの加熱調理済み食品(惣菜)の利点を維持しつつ、惣菜のおいしさを消費者の視覚に十分に訴えることができる。
また、品質保持期間が延長されたことにより、十分な品質保持期間を残してより広域に配送でき、生産工場の集約化による生産効率の向上が可能となり、さらには廃棄ロスの低減が可能となる。
なお、上記の例では、殺菌処理工程として、予備加熱工程、本加熱工程である第1加熱工程および第2加熱工程の3つの工程を設けたが、本発明はこれには限定されない。例えば、水分凝縮の影響が出にくい惣菜(タレが掛かっていない惣菜等)であれば、予備加熱工程を設けず、本加熱工程である第1加熱工程および第2加熱工程のみとしてもよいし、タレ落ちを防止するための予備加熱工程と、乾燥を防ぎつつ殺菌する1の本加熱工程によって構成してもよい。また、水分凝縮の影響も水分蒸発の影響も出にくい惣菜であれば、殺菌処理工程を1の本加熱工程のみとしてもよい。
また、本加熱工程は、3以上の工程としてもよいし、高温低湿度側から低温高湿度側へ徐々に乾球温度および湿球温度を変化させるようにしてもよい。
以上、本発明に係る殺菌処理された食品の製造方法および包装食品の製造方法について詳細に説明したが、本発明は上記種々の実施例に限定されず、本発明の主旨を逸脱しない範囲において、種々の改良や変更をしてもよいのはもちろんである。
ひじき煮、筑前煮、南瓜煮の3種類の惣菜(加熱調理済み食品)について、本発明の殺菌処理された食品の製造方法および包装食品の製造方法を適用し、殺菌処理後の惣菜を包装した包装食品を製造して、経時試験を行った。
試験に先立って、まず、上記3種類の惣菜を下記のようにして製造した。
(1)ひじき煮
・油を熱した釜に水で戻した乾燥芽ひじき30kgを入れて加熱する。
・一度ボイルして冷却してあった人参9kg、油揚げ5kgを加えて炒める。
・調味料(醤油、砂糖、だし等)を加える。
・煮汁がほとんどなくなるまで中火で煮た後ごま油を加えて加熱し、ひじき煮を完成させる。
(2)筑前煮
・油を熱した釜に鶏肉5kgを入れて加熱し、加熱した鶏肉を一旦釜から取り出す。
・釜にこんにゃく5kg、水戻しした椎茸4.5kg、牛蒡6kg、水煮筍6kg、人参4.5kg、蓮根6kgを入れて加熱する。
・その後調味料(だし、砂糖、醤油、水あめ等)を加え、先に取り出してあった鶏肉を加え更に加熱する。
・煮汁が少なくなるまで煮詰め、筑前煮を完成させる。
(3)南瓜煮
・釜に南瓜22.5kgと調味料(砂糖、水あめ、醤油、だし等)を入れて加熱する。
・煮立ったら火を弱め更に煮込み、南瓜煮を完成させる。
このようにして製造した惣菜を、PP製の容器1に充填した。充填の際には、容器1の透明蓋2とのシール面に惣菜や煮汁等が載らないようにした。
惣菜を容器1への充填した後、図1の包装食品の製造システム10によって、本発明の加熱殺菌処理を施した。
殺菌処理装置12は、スチームコンベクションオーブンを3台連結して製造した。各オーブン24〜28の加熱条件、すなわち惣菜の加熱殺菌処理条件は、次の表1に示す通りとした。
Figure 0004785712
この条件に制御することにより、各オーブンの内部の乾球温度および湿球温度を次の表2に示す範囲に制御した。
Figure 0004785712
次に、殺菌処理後の惣菜を冷却庫16において、雰囲気温度(惣菜の容器1を載せたトレイ4の周囲の環境温度)で15℃まで冷却した。本実施例では、冷却庫16として、バッチ式の冷却庫を用いた。
冷却した惣菜を冷却庫16から取り出した後、自動移載装置20によって容器1をトレイ4から列単位で取り出し、包装機22のベルトコンベヤへ移載した。
包装機22によって、容器1にPP製の透明蓋2を被せ、容器1と透明蓋2とをヒートシールして密閉して、製品(包装食品)8を完成させた。
このようにして、上記3種類の惣菜についてそれぞれ100個の包装食品を製造し、製造した包装食品を、10℃の室内で8日間保管して、8日後の容器内の惣菜について一般生菌数を測定した。
測定結果は次の表3に示すとおりであった。なお、表3の一般生菌数の範囲表示において、左側の値はその範囲に含まれ、右側の値はその範囲に含まれない。例えば102〜103は102以上103未満の意である。
Figure 0004785712
一般に、惣菜としてそのまま食すのに問題があるのは、一般生菌数108以上であり、106は、食しても何ら問題のない、通常の食品のレベルである。
上記表3に示した通り、本発明の殺菌処理方法を適用した結果、全数を問題のない一般生菌数レベルに抑えることができ、特に、96%以上を一般生菌数103未満に抑えることができた。
以上より、本発明の殺菌処理方法を適用した惣菜(加熱調理済み食品)は、10℃の環境で8日間保存した場合でも、十分な安全性を確保できることが確認された。
比較例
上記の実施例と同様にして、ひじき煮、筑前煮、南瓜煮の3種類の惣菜を製造し、容器1に充填し、殺菌処理をせず、透明蓋2を被せてヒートシールしたものを、上記3種類の惣菜について5個ずつ製造し、上記の実施例と同様に、10℃の室内で8日間保管して、8日後の容器内の惣菜について一般生菌数を測定した。
測定結果は次の表4に示すとおりであった。
Figure 0004785712
上記表4に示した通り、サンプル数が少ない中でも104以上が大半を占めていた。この結果から、本発明の殺菌処理方法を実施しない場合、十分な安全性を保障した包装食品を得ることはできないことが確認された。
本発明の包装食品の製造方法を採用した包装食品の製造システムの一実施形態の概略構成を示す上面図である。 包装容器の一例を示す斜視図である。 本発明の包装食品の製造方法のフローチャートである。 (A)および(B)は、容器に充填された食品の表面温度の測定方法を説明する模式的断面図である。 小芋煮の加熱における加熱特性を示す図である。 (A)は、加熱初期の、(B)は、加熱終期の、小芋煮の温度変化のメカニズムを示す模式図である。 大気下における乾球温度および湿球温度と相対湿度との関係を示す図である。 従来の包装食品の製造方法のフローチャートである。
符号の説明
1 容器
2 透明蓋
3 包装容器
4 トレイ
5 ラック
6 温度計
7a、7b 食品
8 製品(包装食品)
10 包装食品の製造システム
12 殺菌処理装置
14、18 クリーンブース
16 冷却庫
20 自動移載装置
22 包装機
24 第1オーブン
26 第2オーブン
28 第3オーブン
30 制御部

Claims (4)

  1. 包装容器に盛り付けられた後密閉されて10℃以下で流通される加熱調理済みの食品の製造方法あって、
    包装容器に盛り付けられた密閉前の前記加熱調理済み食品を、乾球温度70℃以上120℃以下かつ湿球温度80℃±10℃の環境下で、前記食品の表面が60℃以上90℃以下となるように1分間以上15分間以下保つ本加熱工程を有することを特徴とする、殺菌処理された食品の製造方法。
  2. 前記本加熱工程は、前記乾球温度70℃以上120℃以下かつ湿球温度80℃±10℃の範囲において、相対的に高温低湿である所定の環境下で加熱する第1の加熱工程と、前記第1の加熱工程よりも低温高湿の環境下で加熱する第2の加熱工程とを含むことを特徴とする請求項1に記載の殺菌処理された食品の製造方法。
  3. 前記本加熱工程に先立って、前記本加熱工程よりも低い湿球温度下で加熱する予備加熱工程を有することを特徴とする請求項1または2に記載の殺菌処理された食品の製造方法。
  4. 10℃以下で流通される、加熱調理済み食品を包装した包装食品の製造方法であって、
    包装容器に盛り付けられた前記加熱調理済み食品を、乾球温度70℃以上120℃以下かつ湿球温度80℃±10℃の環境下で、前記食品の表面が60℃以上90℃以下となるように1分間以上15分間以下保つことにより殺菌処理する殺菌処理工程と、
    殺菌処理された前記食品を、浮遊粉塵制御下で冷却する冷却工程と、
    浮遊粉塵制御下で、冷却された前記食品が盛り付けられた包装容器に蓋材を被せ、前記包装容器と前記蓋材とを接着または嵌合して前記食品を密閉する包装工程と、を有することを特徴とする包装食品の製造方法。
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