以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。
図1乃至図5は、本発明によるICタグの配置装置(ICタグ配置済シートの製造装置とも呼ぶ)およびICタグ配置済シートの製造方法の一実施の形態を説明する図であり、図6乃至図12は、ICタグ、ICタグ付シート、および被搭載体を説明する図である。
〈ICタグ、ICタグ付シート〉
最初に、図6乃至図11を用いて、ICタグ20およびICタグ付シート10について説明する。
このうち、図6はICタグ付シート10およびICタグ20を示す平面図であり、図7は図6の線7−7に沿った断面図であり、図8はICタグ付シートの製造装置50および製造方法を示す概略斜視図である。
なお、上述したように、本願におけるICタグ20とは、それ自体が外部のリーダ・ライタとの間において非接触でデータの授受を行なうことができる非接触ICタグだけでなく、アンテナ回路に接続して用いられるインターポーザーも含んだ概念として用いられる。
図6および図7に示すように、ICタグ付シート10は、帯状に延びる剥離シート14と、剥離シート14上に接着層18を介して設けられた複数のICタグ20と、を備えている。剥離シート14は、例えば、紙やPET等からなり、接着層18に対面する側の面が剥離処理されている。剥離処理は、例えば、シリコン粒子を塗布すること等により行われる。したがって、剥離シート14上に配置された接着層18をICタグ20とともに剥離シート14からきれいに剥がし取ることができ、この場合、ICタグ20は接着層18を介して被搭載体40等へ、所謂シールにように貼り付けられ得る。この接着層18は、例えば、アクリル系粘着剤等からなり、ICタグ20を剥離シート14上に取り剥がし自在に固定している。
図6および図7に示すように、ICタグ20は、一対の拡大電極24,24と、一対の拡大電極24,24に跨るようにして配置され、接着材料18を介し拡大電極24に対して固定されたICチップ26と、を備えている。また、本実施の形態において、ICタグ20は、一対の拡大電極24,24を支持する非導電体22を、さらに備えている。
このうちICチップ26は先端が平坦状の一対の電極26a,26aを有しており、各電極26aは異なる拡大電極24,24に導通(電気的に接続)させられている(図7)。また、拡大電極24は導電性材料、例えば、銅やアルミニウム等からなり、一対の拡大電極24,24間に設けられたスリット12を介し、互いに絶縁されている。一方、非導電体22の材料としては、非導電性材料である紙等を用いることもできるが、後述するように、例えば、ポリエチレンや塩化ビニル等の融点の低い非導電性の樹脂を用いることが好ましい。
なお、図6および7に示す、上述したICタグ付シート10およびICタグ20の構成は単なる例示であり、これに限定されるものではない。例えば、剥離シート14上における非導電体22、拡大電極24およびICチップ26の積層順の変更、あるいは、さらなる別の層、例えば、ICチップ26を保護するための保護層を設けるような変更が可能である。
また、ICチップ26の電極26aは、図7に示される平坦状の電極に限られず、先端が尖った形状となっていてもよい。この場合、電極26aを拡大電極24に突き刺すことにより、ICチップ26の電極26aと拡大電極24とを確実に電気的に接続させることができる。
さらに、図6および図7には、ICチップ26と拡大電極24とを接着材料28によって固定する例を示したが、これに限られず、超音波接合等の他の手段を用いて固定するようにしてもよい。
さらに、図6および図7には、ICタグ20が平面視において略長方形状からなる例を示しているが、これに限られず、図9に示すように、ICタグ20が平面視において略V字状を有するようにしてもよい。なお、図9に示すICタグ付シート10は、図6および図7に示すICタグ付シートと、ICタグの平面視における形状が異なるだけであり、その他の構成は同一である。同一部分には同一符号を付して、重複する詳細な説明は省略する。
図9に示すICタグ付シート10において、剥離シート14上で隣接するICタグ20は、剥離シート14の長手方向において互いに重複して配置されている。さらに詳しくは、各ICタグ20は、そのV字の頂点部分29が隣接するICタグ20のV字の谷部分に入り込むように接近して配置されている。すなわち、ここでいう「重複」とは、隣接するICタグ20が剥離シート14上において上下に重ね合わせられていることをいうのではなく、長手方向に直交する幅方向に沿って隣接するICタグ20が配置されている重複部分16を有するようにICタグ20が配置されていることを意味する。このようなICタグ付シートによれば、1個辺りのICタグ20に要する材料費を増大させることなく、ICタグの送り方向長さLを長くすることができる。ここで、「送り方向長さ」とは、ナイフエッジ80に送り込む際の方向の長さを意味しており、上述したように、送り方向長さLが長ければ、ICタグ20をナイフエッジ80の頂部82aから長く突出させることができるという利点をもたらす。
次に、図8により、このような構成からなるICタグ付シート10の製造方法について説明する。
図8において、左側から右側へ工程が進んでいく。
図8に示すように、まず、帯状に延びるシート状の非導電体22が連続的に供給され、その長手方向に沿うようにして一対のローラー52,52間に送られるとともに、帯状に延びるシート状の導電体23が連続的に供給され、その長手方向に沿うようにして一対のローラー52,52間へと送られる。この間、非導電体22と導電体23との間に図示しない加圧接着タイプの接着材料が塗布される。その後、非導電体22と導電体23とが一対のローラー52,52によって圧着されることにより、非導電体22と導電体23とが互いに接着固定され、導電体23が非導電体22上に積層される。図8に示すように、本実施の形態において、導電体22の幅と非導電体シート20の幅とは同一になっている。
次に、導電体23を積層された非導電体22が、送り方向に沿って幅方向の中央を切断手段54により切断される。これにより、幅方向中央に送り方向に沿ったスリット12が形成され、導電体23は一対に分断される。この場合、導電体23は、スリット12の幅がICチップ26の電極26a,26a間の離間距離より小さくなるように分断される(図7)。また、図7に示されているように、切断手段54による切断はいわゆるハーフカットであり、切断手段54は非導電体22まで入り込むが、導電体23と非導電体22との積層体の全厚みを切り込むのではなく、導電体23のみが分断され、非導電体22は分断されない。このようにして、帯状に延びる非導電体22と、非導電体22上に設けられ非導電体22の長手方向に延びて互いに離間する一対の導電体23と、を有する導電体形成済シート11が形成される。なお、切断手段54は、例えば、カッターや旋盤用の切削バイト等から構成することができる。
次に、図8に示すように、ディスペンサやスクリーン印刷機等から構成される接着材料供給装置56により、導電体形成済シート11の導電体22上に接着材料28が供給される。その後、ICチップ26を吸着保持して導電体22上まで搬送し、導電体22上に配置する吸着ノズル57を用いて、導電体形成済シート11上の接着材料28を塗布された部分に、一対の電極26a,26aを有するICチップ26が順次配置される。このとき、各ICチップ26は、吸着ノズル57により、その各電極26a,26aがそれぞれ異なる導電体23に対面するように位置決めされた後、導電体23上に配置される。これにより、ICチップ26は、ICチップ26と導電体22との間に介在する接着材料28によって、導電体22上に仮固定された状態となる。その後、固定装置58により、ICチップ26が導電体23に向けて押圧されながら、ICチップ26と導電体23との間に介在する接着材料28が硬化させられる。これにより、ICチップ26が導電体23上に固定されるとともに、ICチップ26の電極26aが導電体23に電気的に接続される。
本実施の形態において、接着材料28は非導電性の熱硬化性樹脂からなっている。したがって、接着材料供給装置56により、接着材料28が導電体形成済シート11のスリット12を跨いで両側の導電体23上に塗布されたとしても、一対の導電体23,23同士を導通させてしまうことはない。また、固定装置58の構成は、用いられる接着材料の種類によって決定され、熱硬化性樹脂からなる接着剤を採用している本実施の形態においては加熱機構を有する押圧装置を用いることができる。この固定装置58を用いて、ICチップ26の電極26aと導電体22とを接触させる、すなわち、電気的に接続させる(導通させる)とともに、その状態において熱硬化性樹脂からなる接着剤を加熱して硬化させることができる。
なお、用いられる接着材料28は非導電性接着剤に限られず、異方性導電性接着剤や通常の導電性接着剤を用いることができる。ただし、導電性接着剤を用いる場合には、一対の導電体23,23同士を導通させてしまわないように塗布しなければならない。また、用いられる接着材料28は熱硬化性樹脂からなる接着剤に限られず、熱可塑性樹脂やUV硬化性樹脂からなる接着材を用いることができる。ただし、熱硬化性樹脂以外の接着剤を用いる場合には、用いられる接着剤を硬化させることができるよう固定装置58の構成を選択しなければならない。例えば、熱可塑性樹脂からなる接着材料28を用いる場合、固定装置58は接着材料28を迅速に硬化させるために接着材料28を冷却する機能を有していることが好ましい。また、UV硬化性樹脂からなる接着材料28を用いる場合、固定装置58は接着材料28を硬化させるために接着材料28にUV光を照射する機能を有している必要がある。
さらに、接着材料28の種類の如何にかかわらず、固定装置58に超音波ホーンを接続し、ICチップ26を導電体23に向けて押圧するとともに、ICチップ26を導電体23の表面上において超音波振動させることができるような構成にしてもよい。この場合、ICチップ26を導電体23上に超音波接合させることができる。
その後、剥離シート14が非導電体22の導電体23に対面しない面側に送り込まれる。上述したように、剥離シート14の非導電体22に対面する側の面には、シリコン粒子を塗布する等の剥離処理が施されている。また、剥離処理が施された剥離シート14と非導電体22との間に図示しない加圧接着タイプの接着材料が塗布される。その後、非導電体22と導電体23とが一対のローラー60,60によって圧着されることにより、剥離シート14と非導電体22とは互いに接着され、剥離シート14が非導電体22に積層される。
この場合、図8に示すように、ローラー60はICチップ26に対応する部分に環状の凹部60aを有していることが好ましい。この凹部60aによって、ICチップ26が、ローラー60間を通過する際に、ローラー60によって加圧されて破損してしまうことを防止することができる。
なお、この剥離シート14と非導電体22との間に塗布される接着材料により、上述したICタグ20と剥離シート14との間に介在する接着層18が形成される。
次に、打ち抜き機やカッター等から構成されるICタグ形成装置64により、非導電体22と導電体23とがICチップ26毎に順次ハーフカットされる。すなわち、図7に示されているように、ICタグ形成装置64により切り込み13が形成され、この切り込み13は、非導電体22と導電体23と接着層18とを貫通して剥離シート14まで入り込んでいるが、剥離シート14を貫通していない。これにより、非導電体22と、導電体23から形成された一対の拡大電極24,24と、拡大電極24に接続されたICチップ26とを有するICタグ20が、ICタグ20の形状に対応する外形を有した接着層18によって接着された状態で、帯状に延びる1枚の剥離シート14上に順次長手方向に沿って形成される。
なお、図8に示すように、本実施の形態において、ICタグ形成装置64は平面視において略長方形状からなるICタグ20を形成しているが、例えば、打ち抜き刃の形状を変更することにより、図9を用いて説明した平面視において略V字状からなるICタグを剥離シート14上に形成することもできる。
その後、ICタグ20に対応する部分が抜き取られた非導電体22と導電体23と接着層18とからなるカス38がICタグ付シート10から分離されて回収される。
このようにして、上述したICタグ付シート10を製造することができる。
なお、このようなICタグ付シート10の製造方法は単なる例示であり、様々な変更を加えることが可能である。例えば、非導電体22に帯状に延びる1枚の導電体23を加圧圧着して積層し、その後、導電体23を一対に分断することにより、非導電体22上に一対の導電体23,23を形成する例を示したが、これに限られない。予め分断された一対の帯状に延びる導電体23,23を非導電体22に積層するようにしてもよい。
また、印刷機によって導電性インキを印刷することにより、あるいはエッチング装置によって金属箔をエッチングすることにより、あるいは転写装置によって金属箔を非導電体シートに転写することにより、非導電体22上に導電体23を設け、これにより、導電体形成済シート11を製造するようにしてもよい。これらの方法を用いた場合、図10に示すように、帯状に延びるシート状の非導電体22の幅方向に離間して対をなす導電体23を、非導電体シート20の長手方向に沿って連続して多数対配置することもできる。すなわち、印刷機、エッチング装置、または転写装置を用いることにより、帯状に延びる非導電体22と、非導電体22上に設けられ非導電体22の長手方向に沿って配置された多数対の導電体23と、を有する導電体形成済シート11を得ることができる。そして、上述した方法を用いて導電体形成済シート11から、図11に示すようなICタグ付シート10を製造することができる。
さらに、上述したように、図6および図7に示すICタグ付シート10およびICタグ20の構成は単なる例示であり、これに限定されるものではない。したがって、剥離シート14を非導電体22に積層した後、ICチップ26を保護するための保護層等をさらに設けてもよい。この場合、ICタグ形成装置64によって形成される切り込み13が保護層をも貫通するようにし、ICタグ20上にない保護層をカス38として回収するようにすることが好ましい。また、剥離シート14を非導電体22上の導電体23に対面する側に積層してもよい。この場合、ICタグ形成装置64によるハーフカットは非導電体22側、すなわち図8における下側から実施される。
〈被搭載体〉
次に、被搭載体40について説明する。
ICタグ20を配置される被搭載体40とは、例えば、断裁されてカードを構成するプラスチックシートや断裁されて包装袋を構成するビニルシート等である。そして、これら被搭載体40上の所望の位置にICタグ20が配置され、これにより、ICタグ配置済シート1が作製される。
また、上述したように、ICタグ20がインターポーザーとして用いられる場合もある。この場合の被搭載体40は、図12に示すような、基材シート42と、基材シート42上に配置され、一対の接点44a,44aを有した複数のアンテナ回路44と、を有するアンテナ回路形成済シート40とすることもできる。このようなアンテナ回路形成済シート40上にICタグ(インターポーザー)20を配置する場合、ICタグ20は図12において二点鎖線で示す位置に配置され、さらにインターポーザーの一対の拡大電極24,24が異なる接点44a,44aに導通(電気的に接続)させられる。
このようなアンテナ回路形成済シート40は、紙やPET等からなる非導電性の基材シート42上に、導電性インキを印刷することにより、あるいはアルミニウムや銅等の箔を転写またはエッチングすること等により得られる。
なお、図8に示す渦巻き状のアンテナ44を有するアンテナ回路形成済シート40は例示に過ぎず、これに限定されるものではない。リーダ・ライタとの間におけるデータの送受信に用いられる電磁波によっては、アンテナ回路が、例えば、一対の板状材から構成されることもあり、この場合、板状材がアンテナとして機能するとともにICタグ20の拡大電極に接続される際の接点としても機能する。
〈ICタグの配置装置、およびICタグ配置済シートの製造方法〉
次に、特に図1乃至5を用いて、図6および7に示すICタグ付シート10からICタグ20を剥離させて、図12に示す被搭載体40へICタグ20を配置するICタグの配置装置(ICタグ配置済シートの製造装置とも呼ぶ)70、およびICタグ配置済シート1の製造方法について説明する。このうち図1は本発明によるICタグの配置装置70およびICタグ配置済シート1の製造方法を示す概略側面図であり、図2はICタグの配置装置70およびICタグ配置済シート1の製造方法を示す概略平面図である。
なお、本実施の形態においては、ICタグ20をインターポーザーとして用い、アンテナ回路形成済シートからなる被搭載体40にICタグ20を配置する例を示している。
まず、ICタグの配置装置70について説明する。
図1および図2に示すように、ICタグの配置装置70は、剥離シート14と、剥離シート14上に接着層18を介して設けられ、ICチップ26と一対の拡大電極24,24とを有する複数のICタグ20と、を有するICタグ付シート10を供給するICタグ付シート供給部72と、鋭角状に突出した突出部82を有し、供給されるICタグ付シート10を突出部82の頂部82aにおいて折り返して剥離シート14から接着層18とともにICタグ20を剥離させるナイフエッジ80と、ICタグ付シート供給部72から供給され、ナイフエッジ80で折り返されることによってICタグ20を剥離されたICタグ付シート10の剥離シート14を回収する剥離シート回収部74と、剥離シート14から剥離させられたICタグ20を受け取る被搭載体(本実施の形態においてはアンテナ回路形成済シート)40を供給する被搭載体供給部76と、剥離シート14から剥離させられるICタグ20に接触して、ICタグ20を剥離シート14上から被搭載体40上へ案内する回転自在な案内ロール86と、被搭載体40にICタグ20を配置してなるICタグ配置済シート1を回収するICタグ配置済シート回収部78と、を備えている。
また、本実施の形態において、ICタグの配置装置70は、アンテナ回路形成済シート(被搭載体)40上に配置されたICタグ20をアンテナ回路形成済シート40上に向けて押圧する押圧部90をさらに備えており、本実施の形態において、押圧部90は、回転自在な押圧ロール91と、アンテナ回路形成済シート40を挟んで押圧ロール91に対向して配置された回転自在な受けロール97と、をさらに備えている。
図1に示すように、このうちICタグ付シート供給部72は上述したICタグ付シート10を巻き取った巻体を回転自在に保持して順次供給するICタグ付シート供給コア72aを有しており、剥離シート回収部74は剥離シート14を巻き取って回収する回転自在な剥離シート巻取コア74aを有している。また、剥離シート回収部74は巻取コア74aを回転駆動する剥離シート巻取コア駆動部75をさらに有しており、これに対してICタグ付シート供給部72の供給コア72aはICタグ付シート10を巻き戻す向きに回転テンションを掛けられている。すなわち、剥離シート回収部74が、ICタグ付シート供給部72の供給コア72aに負荷された回転テンションに抗し、駆動部75を用いて巻取コア74aを回転させることにより、ICタグ付シート供給部72の供給コア72aからICタグ付シート10が繰り出される。このとき、ICタグ付シート供給部72の供給コア72aは、ICタグ付シート10を巻き戻す方向の回転テンションを負荷されていることから、ICタグ付シート供給部72と剥離シート回収部74との間において、ICタグ付シート10およびICタグ付シート10からICタグ20を剥離させられた剥離シート14は張った状態となっている。
同様に、図1に示すように、被搭載体供給部76は上述したようなアンテナ回路形成済シート40を巻き取った巻体を回転自在に保持して順次供給する被搭載体供給コア76aを有しており、ICタグ配置済シート回収部78はICタグ配置済シート1を巻き取って回収する回転自在なICタグ配置済シート巻取コア78aを有している。また、ICタグ配置済シート回収部78は巻取コア78aを回転駆動するICタグ配置済シート巻取コア駆動部79をさらに有しており、これに対して被搭載体供給部76の供給コア76aはアンテナ回路形成済シート40を巻き戻す向きに回転テンションを掛けられている。すなわち、ICタグ配置済シート回収部78が、被搭載体供給部76の供給コア76aに負荷された回転テンションに抗し、駆動部79を用いて巻取コア78aを回転させることにより、被搭載体供給部76の供給コア76aからアンテナ回路形成済シート40が繰り出される。このとき、被搭載体供給部76の供給コア76aは、アンテナ回路形成済シート40を巻き戻す方向の回転テンションを負荷されていることから、被搭載体供給部76とICタグ配置済シート回収部78との間において、アンテナ回路形成済シート40およびアンテナ回路形成済シート40にICタグ20を配置してなるICタグ配置済シート1は張った状態となっている。
なお、図1に示すように、被搭載体供給部76から繰り出されるアンテナ回路形成済シート40は、ナイフエッジ80の突出部82の頂部82aに向けて供給され、ICタグ20を受け取った後、押圧部90の押圧ロール91と受けロール97との間を通過してICタグ配置済シート回収部78に回収されるようになっている。ここで、「ナイフエッジ80の突出部82の頂部82aに向けて」とは、図1から明らかなように、厳密には突出部82の頂部82aからわずかに離間した頂部82a近傍を意味している。本願において、単に「突出部(の頂部)に向けて」とは、このような「突出部(の頂部)近傍に向けて」ことを含む概念である。
次に、図1、図2、および図3を用いてナイフエッジ80についてさらに詳述する。なお、図3はナイフエッジ80を示す部分斜視図である。
図3に示されているように、ナイフエッジ80の突出部82の頂部82aは、曲面面取りされている。今般、本発明者らは、この曲面面取りの大きさについて鋭意研究を重ね、以下のような知見を得ることができた。曲面面取りがR0.6mmより大きくなると、上述した長手方向長さL(図6)が3mm以下のICタグ20を剥離シート14から剥離させようとしても、剥離させることができないことがあり、また、剥離させることができたとしてもICタグ20がナイフエッジ80の頂部82aから十分に突出せず、ICタグ20をアンテナ回路形成済シート40(被搭載体)上に確実に転載することができないことがある。一方、曲面面取りがR0.2mmより小さくなると、ナイフエッジに沿ったICタグの送り込み速度を調整したとしても、頂部82aでICタグ付シート10が切断されてしまったり、ICチップ20が割れてしまったりする等の不具合が生じた。
すなわち、ナイフエッジ80の突出部82の頂部82aにおける曲面面取りの大きさについては適正値があり、本実施の形態においては、適正値であるR0.2mm〜R0.6mmの範囲内となるようにした。
なお、ここでいう曲面面取りとは、R面取りとも呼ばれるものであり、ナイフエッジ80をICタグ付シート10の送り方向に沿って切断した断面において、略円弧状の輪郭を有するよう頂部82aを形成することである。また、曲面面取りの大きさは「R○○」と表示され、○○には略円弧状輪郭部分に対応する半径の大きさが記入される(JIS Z 8317)。
また、図3に示すように、ナイフエッジ80のICタグ付シート10に接する表面には、凹状溝84がICタグ付シート10の送り方向に沿って突出部82の頂部82aまで設けられている。この凹状溝84は、ナイフエッジ80の突出部82の表面上を移動するICタグ付シート10のICチップ26に対応する部分を受けるようになっている。
このようなナイフエッジ80は、剥離シート14から剥離させられるICタグ20を被搭載体40上の所望の位置に配置することができるように、被搭載体40の移動経路上に保持される。図2に示すように、本実施の形態においては、アンテナ回路形成済シート40のアンテナ回路44の接点44aの移動経路上に突出部82の頂部82aが配置されるよう、ナイフエッジ80が保持されている。これにより、ICタグ20の一対の拡大電極24,24をアンテナ回路形成済シート40のアンテナ回路44の接点44a上に配置することができる。
次に、図1および図4を用いて案内ロール86についてさらに詳述する。なお、図4は案内ロール86を示す斜視図である。
図4に示すように、案内ロール86は略円柱状からなり、本実施の形態において、その外径dは3.0mm〜6.0mmの範囲内となるようになっている。このような案内ロール86は、両側方に突出した保持軸86aを介して回転自在に保持されており、また、平面視においてアンテナ回路形成済シート40のICタグ20が転載される位置の上方に配置されている。案内ロール86の外周は、好ましくはゴム等の摩擦係数の値が大きい材料から構成されていることが好ましい。また、図3に示すように、案内ロール86の外周に、環状の案内ロール外周溝86bが設けられている。この外周溝86bは、ICタグ20のICチップ26に対応する部分を受けるようになっている。
図1に示すように、案内ロール86の回転軸86aは案内ロール駆動部87に連結されており、この駆動部87によって案内ロール86は、ナイフエッジ80の突出部82および供給される被搭載体40の移動経路に接近した位置(図1における実線の位置)と、突出部82および被搭載体40の移動経路から離間した位置(図1における二点鎖線の位置)との間を移動自在となっている。このような案内ロール86は、突出部82および被搭載体40に接近した位置において、転載されるICタグ20を介して突出部82および被搭載体40のいずれにも接することができるようになっていることが好ましい。本発明者は、案内ロール86が、上述した3.0mm〜6.0mmの範囲内となる外径dを有していれば、長手方向長さL(図6)が3mm以下であって昨今用いられているICタグ20を転載する際に、案内ロール86がICタグ20を介して突出部82および被搭載体40のいずれにも接することができるとの知見を得た。
ところで、図1に示すように、本実施の形態において、保持軸86aは案内ロール駆動部87に連結されており、この駆動部87はさらに案内ロール86を回転駆動することもできるようになっている。しかしながら、案内ロール86はこの態様に限定されるものではなく、単に回転自在に保持されているだけでもよい。
次に図1、図2、および図5を用い、押圧ロール91と受けロール97とを有する押圧部90についてさらに詳述する。図5は図2における線5−5に沿った断面図である。
図1および図2に示すように、押圧ロール91は、案内ロール86と同様に、略円柱状からなっている。押圧ロール91は、両側方に突出した押圧ロール保持軸91aを介して回転自在に保持されており、平面視においてアンテナ回路形成済シート40のICタグ20が配置(転載)される位置の上方に配置されている(図2)。図1および図2に示すように、保持軸91aは押圧ロール駆動部92に連結されており、この駆動部92を介して押圧ロール91を回転駆動することができる。また、この駆動部92によって、押圧ロール91を、アンテナ回路形成済シート40に接近させること、およびアンテナ回路形成済シート40から離間させることができるようになっている。すなわち、駆動部92は、押圧ロール91をアンテナ回路形成済シート40に近づけて、対向して配置された受けロール97との間でICタグ20を転載(配置)された被搭載体40を押圧することができ(図1)、その一方で、搬送されるアンテナ回路形成済シート40から離間させることもできるようになっている。
また、図1、図2および図5に示すように、押圧ロール91の外周には、環状の押圧ロール外周溝91bが設けられている。この外周溝91は、ICタグ20のICチップ26に対応する部分を受けるようになっている。
さらに、特に図5に示されているように、押圧ロール91の外表面のうち、アンテナ回路形成済シート40のアンテナ回路44の各接点44a上方に配置される部分に、外方に突出する刃を周状に配置してなるかしめ刃93が設けられている。このかしめ刃93は、ICタグ20の拡大電極24をアンテナ回路形成済シート40に向けて引き伸ばしながら貫通または押圧して、非導電体22を突き破るとともに、アンテナ回路44の接点44aまで突き刺ささるまたは押圧するようになっている。そして、ICタグ20とアンテナ回路形成済シート40とが押圧ロール91と受けロール97との間で押圧された状態となっていることから、ICタグ20とアンテナ回路形成済シート40とを圧縮して接合する、言い換えると、ICタグ20とアンテナ回路形成済シート40とを塑性変形させて噛み合わせる、すなわち、かしめて互いに固定するとともに、アンテナ回路形成済シート40側に向けて引き伸ばされたICタグ20の拡大電極24とアンテナ回路44の接点44aとを電気的に接続させる(導通させる)ことができる。
なお、かしめ刃93を構成している外方に突出する刃は、押圧ロール91の回転軸に沿った方向に2つ以上並べられて配置されていることが好ましく、また、3つ以上並べられて配置されていることがさらに好ましい。図5に示すように、本実施の形態においては、3つの外方に突出する刃が押圧ロール91の回転軸に沿った方向に並べられてかしめ刃93が構成されている。
また、図1および図5に示すように、本実施の形態において、押圧ロール91には外周を加熱する、とりわけかしめ刃93およびその周囲を加熱するための加熱機構94が内蔵されている。同様に、受けロール97にも、押圧ロールの91の加熱機構に対向した位置に、外周を加熱するための加熱機構98が内蔵されている。
なお、本実施の形態においては、図1および図5に示すように、かしめ刃は受けロール97に設けられていないが、これに限られず、受けロール97を搬送されるアンテナ回路形成済シート40に対して接離自在に保持するとともに、押圧ロール91に設けられたかしめ刃93と噛み合うかしめ刃を受けロール97の外周面に設けるようにしてもよい。
次に、主に図1および図2により、このようなICタグの配置装置70を用いて、ICタグ付シート10からICタグ20を剥離させて被搭載体40に配置してICタグ配置済シート1を製造する方法について説明する。
まず、剥離シート回収部74の剥離シート巻取コア駆動部75により剥離シート巻取コア74aが回転駆動され、これにより、ICタグ付シート供給部72のICタグ付シート供給コア72aからICタグ付シート10が繰り出される。このとき、ICタグ付シート供給コア72aは、ICタグ付シートを引き戻す方向に回転テンションを負荷されていることから、剥離シート回収部74とICタグ付シート供給部72との間において、ICタグ付シート10またはICタグ20を剥離させられた剥離シート14が弛んでしまうことはない。
ICタグ付シート供給部72から繰り出されたICタグ付シート10は、ナイフエッジ80の突出部82の表面に沿って、突出部82の頂部82aへと送り込まれる。図3を参照して上述したように、ナイフエッジ80の表面には凹状溝84が頂部82aまで形成されており、ICタグ付シート10のICチップ26に対応する部分はこの凹状溝82a上を移動する。すなわち、ICチップ26が配置され、他の部分に比べて厚みが厚いICタグ付シート10上のICチップ26に対応する部分は、凹状溝82a内に逃げることができる。したがって、ICタグ付シート10に張力がかかり、張った状態でICタグ付シート10がナイフエッジ80の表面上を送られても、ICチップ26に対応する部分が局所的に押圧され、ICチップ26が割れる等して破損してしまうことを防止することができる。
その後、ICタグ付シート10がナイフエッジ80の突出部82の頂部82aまで送り込まれると、ICタグ付シート10の剥離シート14が突出部82の頂部82aに沿って折り返される。そして、この頂部82aは、上述したようにICタグ20を剥離シート14から剥離させるのに適した大きさに曲面面取りされている。したがって、剥離シート14上のICタグ20は突出部82の頂部82aに達すると、ICタグ20の送り方向前端20aを剥離シート14から確実に剥離し始めさせることができる。このとき、案内ロール駆動部87により、案内ロール86はナイフエッジ80に接近するように移動させられ、剥離し始めたICタグ20を介してナイフエッジ80の突出部82に接する位置へと配置される。
このようなICタグ20の剥離シート14からの剥離は、ICタグ20の曲げ剛性を利用したものであり、剥離シート14に送り方向に沿った張力をかけながら、剥離シート14を鋭角状に突出したナイフエッジ80の突出部82の頂部82aにおいて折り返すことが必要である。本実施の形態によるナイフエッジ80の表面には突出部82の頂部82aまで凹状溝84が延在しており、ICタグ付シート10に張力がかけられたとしても、突出部82においてICチップ26を破損してしまうことはない。
一方、このようなICタグ付シート10の送り込みに並行して、ICタグ配置済シート回収部78のICタグ配置済シート巻取コア駆動部79によりICタグ配置済シート巻取コア78aが回転駆動され、これにより、被搭載体供給部76の被搭載体供給コア76aからアンテナ回路形成済シート40が繰り出される。このとき、被搭載体供給コア76aは、アンテナ回路形成済シート40を引き戻す方向に回転テンションを負荷されていることから、ICタグ配置済シート回収部78と被搭載体供給部76との間において、アンテナ回路形成済シート40およびアンテナ回路形成済シート40にICタグ20を配置してなるICタグ配置済シート1が弛んでしまうことはない。
このようにしてアンテナ回路形成済シート40が送り込まれ、アンテナ回路形成済シート40のICタグ20を配置されるべき部分、すなわちアンテナ回路44の接点44aがナイフエッジ80の突出部82a下方に到達するタイミングに合わせて、上述した、ICタグ20の剥離シート14からの剥離が開始するようになっている。
なお、ICタグ20はICタグ20を配置される製品等に比べて微小であることが多く、ICタグ付シート10上におけるICタグ20は短ピッチで配置されるのに対し、被搭載体40上においてICタグ20を配置されるべき位置はそれに比べて長ピッチとなる。このことは、図2に示されているように、ICタグ20をアンテナ回路形成済シート40上に配置する本実施の形態においても当てはまる。
したがって、ICタグ20の剥離シート14が剥離し始めると、ICタグ付シート10の送り込み速度がアンテナ回路形成済シート40の送り込み速度に同期するよう、剥離シート回収部74の駆動部75が巻取コア74aの回転速度を加速させる。このとき、案内ロール駆動部87によって、案内ロール86の回転速度も、アンテナ回路形成済シート40およびICタグ付シート10の送り込み速度に同期するように回転させられる。
このようにして、ナイフエッジ80の突出部82に達していないICタグ20の送り方向後端20b側部分が剥離シート14上に貼り付けられた状態で、突出部82の頂部82aを通過したICタグ20の送り方向前端20a側部分がナイフエッジ80から突出し始める。
上述したように、ナイフエッジ80の突出部82の頂部82aは曲面面取りを施され、ICタグ20を頂部82aから十分に突出させることができるようになっている。また、案内ロール86は転載されるICタグ20を介してナイフエッジ80の突出部82と搬送されるアンテナ回路形成済シート40に接することができるような位置に配置され、かつ、ICタグ付シート10およびアンテナ回路形成済シート40の移動速度に同期して回転している。これらにより、図1に示すように、ナイフエッジ80から突出し始めたICタグ20を案内ロール86によってアンテナ回路形成済シート40上へと案内し、ICタグ20の前端20a部分をアンテナ回路形成済シート40上に接着層18を介して貼り付けることができる。
その後、ICタグ付シート10およびアンテナ回路形成済シート40の送り込みが続けられ、ICタグ付シート10のICタグ20が剥離シート14から完全に剥離するとともに、アンテナ回路形成済シート40上に配置(転載)される。また、アンテナ回路形成済シート40上に配置されたICタグ20は接着層18を介してアンテナ回路形成済シート40に固定される。
このようにして、ICタグ20をアンテナ回路形成済シート40上に配置する間、案内ロール86はICタグ付シート10およびアンテナ回路形成済シート40の移動速度に同期して回転している。したがって、剥離シート14からアンテナ回路形成済シート40上へ案内されている間にICタグ20がずれたり、斜めになったりすることを防止し、ICタグ20をアンテナ回路形成済シート40上の所望の場所、すなわち、アンテナ回路44の接点44a上に精度良く配置することができる。また上述したように、案内ロール86の表面がゴム等の摩擦係数が大きい材料からなっている場合、より精度良くICタグ20をアンテナ回路形成済シート40上の所望の位置に配置することができる。
また、図4を用いて上述したように案内ロール86の外周には、案内ロール外周溝86bが形成されており、ICタグ付シート10のICチップ26に対応する部分はこの凹状溝86b上を移動する。すなわち、ICチップ26が配置され、他の部分に比べて厚みが厚いICタグ付シート10上のICチップ26に対応する部分は、凹状溝86b内に逃げることができる。したがって、ICチップ26に対応する部分が局所的に押圧され、ICチップ26が割れる等して破損してしまうことを防止することができる。
さらに、上述したように案内ロール86を用いてICタグ20をスムースに剥離シート14からアンテナ回路形成済シート40上に案内することができるので、ICタグ付シートに対して突発的に過度の応力を負荷してしまうこと等を防止し、またICタグ付シート10の移動をスムースにすることができる。これにより、上述した範囲内で曲面面取りを施されたナイフエッジ80の突出部82aにおいてICタグ付シート10を切断してしまうことを防止することができる。
さらに、上述したように、案内ロール86は転載されるICタグ20を介してアンテナ回路形成済シート40に接するように配置されていることから、ICタグ20は押圧ロール86によってアンテナ回路形成済シート40に向けて軽く押圧される。したがって、接着層18を介して確実に固定されるように、ICタグ20をアンテナ回路形成済シート40上に配置することができる。
このようにして、1つのICタグ20の転載が終了すると、案内ロール86は駆動部87により、ナイフエッジ80の突出部82およびアンテナ回路形成済シート40から離間するよう移動させられる。また、ICタグ付シート10は、次にICタグ20を配置すべきアンテナ回路形成済シート40上のアンテナ回路44がナイフエッジ80の突出部82下方に送り込まれるタイミングまで、送り込み速度を落として移動させられ、あるいは一旦停止させられる。
このようにして1つのICタグ20のアンテナ回路形成済シート40上への配置が終了し、以後、同様にしてICタグ20がアンテナ回路形成済シート40上へ順次配置されていく。なお、被搭載体40として、断裁されてカードを構成するプラスチックシートや断裁されて包装袋を構成するビニルシート等を用いている場合には、この時点でICタグ20をアンテナ回路形成済シート40上に配置してなるICタグ配置済シート1が得られる。
次に、ICタグ20を配置されたアンテナ回路形成済シート40は、押圧部90へと送り込まれていく。
アンテナ回路形成済シート40上のICタグ20を配置された部分が、押圧部90に送り込まれるタイミングに合わせて、押圧ロール駆動部92によって、押圧ロール91がアンテナ回路形成済シート40の送り込み速度と同期して回転駆動されるとともに、アンテナ回路形成済シート40に向けて接近するよう移動させられる。そして、図5に示すように、押圧ロール91はICタグ20をアンテナ回路形成済シート40に向けて押圧する。このとき、ICタグ20とアンテナ回路形成済シート40とが押圧ロール91と受けロール97との間で押圧された状態で、押圧ロール91のかしめ刃93が、ICタグ20の拡大電極24を導電体形成済シート40に向けて引き伸ばすようにして貫通または押圧して、比較的軟らかい材料からなるICタグ20の非導電体22および接着層18を突き破るとともに、アンテナ回路形成済シート40の基材シート42まで突き刺さる。これにより、ICタグ20とアンテナ回路形成済シート40とが圧縮されて、ICタグ20がアンテナ回路形成済シート40に噛み込む、すなわち、かしめられて接合される。またこのとき、ICタグ20の拡大電極24は引き伸ばされながら、比較的軟らかい非導電体22を突き破ってアンテナ回路44の接点44aに接触する。このようにして、かしめ刃93を有する押圧部90により、ICタグ20がアンテナ回路形成済シート40にかしめられて接合されるとともに、ICタグ20の一対の拡大電極24,24がアンテナ回路44の異なる一対の接点44a,44aにそれぞれ電気的に接続(導通)させられていく。
なお、かしめ刃93が拡大電極24を貫通するとともに、かしめ刃93と拡大電極24とがすべり、かしめ刃93が拡大電極24をアンテナ形成済シート40に向けて十分に引き延ばせないことも考えられる。しかしながら、本実施の形態によれば、かしめ刃93を構成する刃が押圧ロール91の回転軸にそって3つ並べて配置されている(図5)。したがって、例えば、中央の刃が拡大電極24に貫通して、拡大電極24が中央の刃で引き伸ばされることなく中央の刃の両側に逃げたとしても、両外方に配置された刃によりアンテナ形成済シート40に向けて引き伸ばすことができる。これにより、より確実に拡大電極24をアンテナ回路44の接点44aに接触させることができる。
また、本実施の形態において、押圧部90の押圧ロール91と受けロール97は加熱機構94,98を有している。そして、上述したように、非導電体22が融点の低い樹脂からなっていると、押圧ロール91と受けロール97との間にICタグ20が配置された際にICタグ20の非導電体22を溶融させることができる。この場合、かしめ刃93がICタグ20に突き刺さる際に、溶融された非導電体22をかしめ刃93の直下から周辺外方に押し出して排除することができる。これにより、ICタグ20の拡大電極24をアンテナ回路44の接点44aへ確実に接触させることができるとともに、溶融した非導電体22が再凝固することによりICタグとアンテナ回路形成済シート40とを溶着させ、両者を確実に接合することができる。
このようにして1つのICタグ20がアンテナ回路44にかしめられると、押圧ロール駆動部92によって、押圧ロール91がアンテナ回路形成済シート40から離間するように移動させられ、搬送されるアンテナ回路形成済シート40の上方へ再び配置される。以後、同様にしてICタグ20がアンテナ回路44に順次かしめられていき、ICタグ20をアンテナ回路形成済シート40に配置してなるICタグ配置済シート1が得られる。
以上のように本実施の形態によれば、ナイフエッジ80の鋭角状に突出した突出部82の頂部82aであって、R0.2〜R0.6mmの範囲内に曲面面取りされた頂部82aにおいて、供給されるICタグ付シート10を折り返している。これにより、ICタグ付シート10のICタグ20を剥離シート14からより確実に剥離させることができるとともに、剥離させられたICタグ20を突出部82の頂部82aから大きく突出させることができる。
また、本実施の形態によれば、剥離シート14から剥離させられるICタグ20に接触する回転自在な案内ロール86によって、ICタグ付シート10のICタグ20が剥離シート14上からアンテナ回路形成済シート40上へ案内される。したがって、案内ロール86は回転しながらICタグ20をアンテナ回路形成済シート40上に案内することができる。すなわち、ICタグ20は剥離シート14からアンテナ回路形成済シート40へスムースに案内され、途中でずれたり、ねじれたりすることがない。これにより、ICタグ20をアンテナ回路形成済シート40上に安定して精度良く配置し、接着層18を介して固定することができる。
さらに、本実施の形態によれば、案内ロール86は3.0〜6.0mmの外径を有しており、このような案内ロール86は、長手方向長さLが3mm以下であって昨今用いられているICタグ20を転載する際に、ICタグ20を介してナイフエッジ80の突出部82およびアンテナ回路形成済シート40のいずれにも接することができる。したがって、ICタグ20を剥離シート14からアンテナ回路形成済シート40上へより確実に案内することができる。
さらに、本実施の形態によれば、アンテナ回路形成済シート40上に配置されたICタグが、押圧部90によって、アンテナ回路形成済シート40のアンテナ回路44に順次かしめられていくようになっている。すなわち、ICタグ20のアンテナ回路44への電気的な接続を、連続的に行うことができるので生産効率的に非常に好ましい。
なお、本実施の形態において、図1、図2、および図5を用いて押圧部90の構成について説明したが、このような構成は単なる例示であって、押圧部90がかしめ刃93を有し、ICタグ20の拡大電極24をアンテナ回路44の接点44aに電気的に接続させることができる限りにおいて、例えば、以下に示すように適宜変更することができる。
まず、上述したように、押圧ロール91のみでなく、受けロール97の外周にも押圧ロール91のかしめ刃93と噛み合うかしめ刃を設けるようにしてもよい。これにより、ICタグ20の拡大電極24をアンテナ回路44の接点44aにより確実に導通させることができる。
また、本実施の形態において、押圧ロール91がアンテナ回路形成済シート40に対して接離(進退)自在に保持されている例を示したが、これに限られない。押圧ロール91の外径を大きくするとともに、アンテナ回路形成済シート40上におけるアンテナ回路44の配置ピッチに合わせて押圧ロール91の外周にかしめ刃を突設するようにしてもよい。この場合、押圧ロール91はアンテナ回路形成済シート40に対して接離自在に保持されなくてもよい。すなわち、押圧ロール91が定位置で回転することにより、突出したかしめ刃がICタグ20をアンテナ回路形成済シート40に向けて押圧してかしめることができる一方で、押圧ロール91の外周の内のかしめ刃が設けられていない部分がアンテナ回路形成済シート40に接触することはない。これにより、押圧ロール91がアンテナ回路形成済シート40を損傷してしまうことはない。あるいは、押圧ロール91を偏心保持することにより、押圧ロール40が回転中に、アンテナ回路形成済シート40上のICタグ20が設けられた部分のみに当接するようにしてもよい。いずれの変形においても押圧ロール91の制御が格段に容易となる。
さらに、本実施の形態において、押圧部90が回転自在な押圧ロール91と受けロール97とを有する例を示したが、これに限られない。受けロール97を受け台に変更してもよい。また、受けロール97を受け台に変更するとともに、押圧ロールを受け台に向かい進退自在であって、受け台に対面する側にかしめ刃93を有した押圧部材に変更することもできる。
また、本実施の形態において、ICタグ20をアンテナ回路形成済シート40上に案内する工程の後に、ICタグ20の拡大電極24をアンテナ回路44の接点44aに導通させる工程を設けた例を示したが、これに限られない。本実施の形態において、押圧部90の押圧ロール91に設けられたかしめ刃93を、案内ロール86の外周面に設けることによって、ICタグ20をアンテナ回路形成済シート40上に案内すると同時に、ICタグ20の拡大電極24をアンテナ回路44の接点44aに導通させるようにしてもよい。すなわち、ICタグ20をアンテナ回路形成済シート40上に案内する工程と、ICタグ20の拡大電極24をアンテナ回路44の接点44aに導通させる工程と、を同時に行うようにしてもよい。この場合、図3に点線で示すように、ナイフエッジ80の突出部82のうち、案内ロール86に設けられたかしめ刃93に対向する部分に、かしめ刃93を受ける逃がし溝85を形成しておくことが好ましい。ナイフエッジ80に逃がし溝85を設けることにより、案内ロール86に設けられたかしめ刃93がICタグ付シート10を貫通してナイフエッジ80に突き刺さること、あるいはかしめ刃がナイフエッジ80に接触すること等を防止することができる。
さらに、本実施の形態において、ICタグ20をインターポーザーとして用い、被搭載体40をアンテナ回路形成済シートとした例を示したが、これに限られない。上述した方法および装置を用い、アンテナ回路形成済シート以外の被搭載体40、例えば、断裁されてカードを構成するプラスチックシートや断裁されて包装袋を構成するビニルシート等にICタグ20を安定して精度良く配置することができる。この場合には、押圧部90における工程が不要となり、被搭載体上にICタグ20が配置された時点でICタグ配置済シート1が得られる。
さらに、本実施の形態において、供給されるICタグ付シート10をナイフエッジ80で折り返して剥離シート14からICタグ20を剥離させるとともに、剥離させられたICタグ20を案内ロール86を用いて被搭載体40上まで案内し、ICタグ20を被搭載体40上に配置する例を示したが、これに限られない。剥離シート14上に設けられたICタグ以外のラベルやフィルム等からなる被剥離体を、剥離シート14から剥離させて被搭載体40上に配置する場合にも、上述した方法および装置を用いることができる。この場合の被剥離体とは、所謂、キャンペーンラベル、保護フィルム、容器端面封止(ヒートシール)、ディスプレイ用フィルム等であり、剥離シート14に接着層18を介して配置されている限りにおいて、すなわち、剥離シート14上に配置された所謂シール状のものである限りにおいて特に限定されない。