JP4783752B2 - レゾルバ - Google Patents
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Description
自動車のモータ軸の検出には、耐高温性、耐ノイズ性、耐振動性、耐高湿性等の機能を満足するために、レゾルバが使用されている。レゾルバは、モータの内部に組み込まれて、モータのロータ軸に直接取り付けられている。
この種のレゾルバとしては、可変リラクタンス型レゾルバ(VR型レゾルバ)が使用されている。VR型レゾルバとは、磁路中に設けたギャップの変動によりトランスの効率が変化することを利用したレゾルバである。ギャップが回転角に対して周期的に変化するようにロータの形状を設定することにより、回転子側の巻線無しで角度出力を検出することができる。
励磁コイルに印加する正弦波の周波数を高くすれば、巻線数を少なくでき、レゾルバを小型化できるのであるが、周波数を高くすると、回転角を読取処理する電気回路が複雑となり、検出精度の安定性が低下する問題がある。
一方、レゾルバを小型化する方法としては、特許文献1に示す技術が提案されている。すなわち、励磁コイルに印加する高周波信号を振幅変調して、かつ、高周波信号の極性を励磁信号の極性反転位置で反転させた変調信号を入力させることが開示されている。これによれば、励磁コイルと検出コイルとして、プリントパターンを利用できるため、コストダウンできることが開示されている。
(1)VR型レゾルバは、数KHzの周波数の励磁信号を使用しているため、巻線数が多くなり、また、ロータも堅牢なものとなるため、レゾルバを小型化することが難しいという問題があった。また、特許文献1に記載されたレゾルバは、ロータリィトランスを巻線で構成し、かつロータリィトランスを軸心と並行方向に配置しているため、モータの軸心方向に長くなり、主として自動車用に用いるレゾルバを小型化することが難しい問題があった。
VR型レゾルバは、可動部が金属製のロータのみであるため、漏洩磁束の影響を受けることが、特許文献1に記載されたれレゾルバと比較して、少ない。
しかし、特許文献1に記載されたレゾルバは、励磁コイル及び検出コイルがプリントパターンで構成され、ステータとロータの双方に取り付けられている。特に、ロータに取り付けられた励磁コイルまたは検出コイルは、モータの漏洩磁束の影響を受けて、検出する回転角度のS/N比を低下させる問題がある。
特に、自動車駆動用モータは、増速時と減速時とでは大きく漏洩磁束が変化するため、S/N比の低下が大きく問題となる。
(1)モータのロータ軸の回転角度を検出するレゾルバであって、モータに供給される電流量を検知する電流量検知手段と、電流量をモータに流したときの漏洩磁束により発生する、レゾルバの検出角度誤差を電流量−検出角度誤差関係データとして記憶する記憶手段と、記憶手段が記憶する電流量−検出角度誤差関係データに基づいて、レゾルバの検出角度を補正する補正手段とを有する。
ここで、電流量−検出角度誤差関係データを、実際に自動車にモータとレゾルバを組み込んで、実験により求めると良い。このとき、中間パラメータとして、モータからの漏洩磁束、レゾルバの受けるノイズ量を用いても良い。すなわち、漏洩磁束−ノイズ量関係データとして記憶して、そのデータを用いて、電流量からノイズ量を演算し、補正係数を算出して、補正に用いても良い。
(3)(1)または(2)に記載するレゾルバにおいて、前記モータが、ハイブリッド自動車用駆動用モータまたは電気自動車用駆動モータであることを特徴とする。
(6)(4)に記載するレゾルバにおいて、前記モータが、ハイブリッド自動車駆動用モータまたは電気自動車駆動用モータであり、前記偏差記憶手段、及び前記補正手段が、前記モータを駆動制御するためのECUに記憶されていることを特徴とする。
ハイブリッド自動車駆動用モータ、及び電気自動車駆動用モータは、高出力を必要とすると同時に、小型化が要求される。そのため、通常のモータと比較して高電圧を供給することが行われている。一方、モータのロータ軸の回転角度を検出するためのレゾルバは、モータのすぐ近くに取り付けられている。すなわち、レゾルバは、モータから漏洩する磁束にさらされた状態で使用されている。そのため、レゾルバ内のコイルにモータからの漏洩磁束によるノイズが発生し、レゾルバの回転角度検出の精度を低下させる恐れがある。
すなわち、モータにレゾルバが組み込まれた状態で、モータが使用される全ての状態において、モータに通電する電流量と、そのとき発生する漏洩磁束により、レゾルバに発生するノイズ量を測定して、関係マップ等を製作する。そして、この漏洩磁束−ノイズ量関係マップを記憶手段に記憶する。このとき、全ての状態におけるノイズ量の測定が難しい場合もある。そのような場合には、シミュレーションにより、ノイズ量を求めても良い。
ハイブリッド自動車等のモータは、加速時または減速時に大きな漏洩磁束を出すと考えられる。加速時に特にドライバビリティが問題となるため、その補正を行うことにより、運転者のドライバビリティを向上させることができる。
また、モータが、ハイブリッド自動車駆動用モータまたは電気自動車駆動用モータであり、偏差記憶手段、及び補正手段が、前記モータを駆動制御するためのECUに記憶させることにより、レゾルバの記憶手段を小容量とすることができ、レゾルバ自体のコストを低減することができる。
エンジン50のエンジン軸53が、変速機54を介して、モータ軸11に接続されている。エンジン軸53は、ハウジング62のベアリング63、ハウジング66のベアリング59により回転可能に保持されている。モータ軸11は、ハウジング13のベアリング14、ハウジング55のベアリング58により回転可能に保持されている。モータ軸11は、モータ本体56の中心を貫通している。エンジン軸53は、発電機本体51の中心を貫通している。
ハウジング13、ハウジング55とモータ本体56とで囲まれた空間は、密閉空間であり、オイルが封入されている。オイルは、モータの巻線コイルで発生した熱を冷却するためのものである。
ハイブリッド自動車で使用されるレゾルバは、モータの内部に組み込まれて、モータのロータ軸に直接取り付けられている。モータの内部には、モータ冷却用のオイルが封入されており、オイルが、ロータ回転板やトランスミッションにより、掻き揚げられて滴下するため、レゾルバは、オイルにさらされて使用されている。
本発明の第1実施例であるレゾルバの構造を、図1に中央断面図で示す。ハイブリッド自動車の駆動用モータのロータ軸であるモータ軸11の一端は、密閉式のベアリング14により、ハウジング13に回転可能に保持されている。ハウジング13には、ステータプリント基板23が、位置決めブラケットであるステータ板24を介して取り付けられている。ステータ板24は、ステータプリント基板23をハウジング13に対して位置決めするためのものである。ステータプリント基板23の表面には、モータ軸11に近い面にロータリィトランスの一方22が環状に形成されている。また、モータ軸11から遠いほうの面に、励磁コイルパターン20が形成されている。
ロータ回転板15の、ステータプリント基板23に対向する面、対向する位置に、ロータプリント基板18が配置されている。ロータプリント基板18は、ロータ回転板15に対して、位置決めされて取り付けられている。ロータプリント基板18の表面には、モータ軸11に近い面にロータリィトランスの一方22と対向する位置に、ロータリィトランスの他方のパターン21が環状に形成されている。また、モータ軸11から遠いほうの面上で、励磁コイルパターン20と対向する位置に、検出コイルパターン19が形成されている。
励磁コイルパターン20は、90度位相をずらせた一対のコイルパターン46、47から構成されている。
コイルパターン46に供給される励磁電圧について説明する。7.2KHzの正弦波(図中Aで示す)が変調器45に供給される。同時に、720KHzの高周波正弦波(図中Bで示す)が変調器45に供給される。変調器45において、720KHzの高周波正弦波が、7.2KHzの正弦波により、振幅変調される。このとき、7.2KHz正弦波の極性反転位置で、720KHz高周波の極性を反転させる。これにより、被変調波に極性を与えられ、復調したときに元の7.2KHz正弦波と同様な極性をもった復調波が得られる(図中Dで示す)。
図6に示すように、従来のVR型レゾルバでは、レンジで約3度の幅で誤差が発生している。本発明のレゾルバでは、レンジで約1度以下の幅で誤差が発生している。従来のVR型レゾルバの誤差のレンジが約3度であるのと比較して、本発明のレゾルバの誤差のレンジが1度以下であり、誤差が1/3以下となっている。
誤差が減少した理由は、プリントパターンで構成される励磁コイルパターン20と、プリントパターンで構成される検出コイルパターン19とが、対向する平面上に、対向する位置に、ある幅で配置されているので、モータ軸11に半径方向の少しのずれが発生しても、ずれ量とパターン幅との比率が大きく変化することがないためである。
モータ本体56には、モータ駆動用電流を制御するモータドライバ71が接続している。モータドライバ71とモータ本体56とを接続する電線には、電流検出器81が取り付けられている。電流検出器81は、電流検出部72に接続している。レゾルバ80には、レゾルバ80を制御して回転角度を得るためのR/D処理部73が接続されている。
電流検出部72は、補正係数演算部76に接続している。R/D処理部73は、補正部77及び補正係数演算部76に接続している。PROM74には、電流量−検出角度誤差関係データ75が記憶されている。PROM74は、補正係数演算部76に接続している。補正係数演算部76は、補正部77に接続している。補正部77は、CPU79に接続している。CPU79は、モータドライバ71に接続している。
また、図10にモータの電流が比較的大きいときの、角度真値と検出角度との関係を示す。横軸はモータ軸11の回転角度の真の値であり、縦軸はレゾルバ80が検出した検出角度を示している。点線Bで示した値が、正しいデータであるが、モータ本体56の漏洩磁束が図9と比較して大きいため、レゾルバ80が受ける影響も大きくなるため、実際の検出角度は、実線Aで示すように、図9と比較して、真の値データである点線Bとの偏差が大きくなっている。
図11に示すデータは、ハイブリッド自動車に搭載された、エンジン50、モータ本体56、変速機54、レゾルバ80により、実際に計測したデータに基づいて製作したデータである。そのとき、真の角度は、高精度ロータリィエンコーダ等を用いて計測している。また、一部のデータは、シミュレーションにより、求めたものを利用している。
そして、電流値を5A刻みで採り、角度を5度刻みで採っているが、各々その中間値の場合には、直線補完を行っている。
電流検出部72は、常にモータ本体56に流されている電流の電流値を検出し、補正係数演算部76に電流値を送る。R/D処理部73がレゾルバ80の検出角度を補正部77及び補正係数演算部76に送る。補正係数演算部76は、電流検出部72から得た電流値、及びR/D処理部73から得たレゾルバ80の検出角度に基づいて、PROM74の電流量−検出角度誤差関係データ75から、補正係数を読み出す。このとき、補正係数演算部76が、直線補完も行っている。補正係数演算部76は、演算した補正値を補正部77に送る。補正部77は、R/D処理部73から得たレゾルバ80の検出角度を、補正係数演算部76から得た補正値により補正して、CPU79にレゾルバ80の検出角度として送る。CPU79は、その検出角度に基づいて、モータドライバ71の制御を行う。
また、ハイブリッド自動車等のモータにおいて、特に加速時及び減速時に、運転者のドライバビリティを向上させることができる。
エンジン50の軸にモータ本体56が接続し、モータ本体56の軸に変速機54とレゾルバ80(図7における64,65)が取り付けられている。
モータ本体56には、モータ駆動用電流を制御するモータドライバ71が接続している。レゾルバ80には、レゾルバ80を制御して回転角度を得るためのR/D処理部73が接続されている。R/D処理部73は、補正部77に接続している。PROM74には、補正データ78が記憶されている。PROM74は、補正部77に接続している。補正部77は、レゾルバ信号処理回路CPU79に接続している。CPU79は、モータドライバ71に接続している。
レゾルバ80は、単体で高精度のものであっても、組み付け時のロータとステータとの軸芯ずれ等により、検出誤差を発生する。そこで、組み付け終了後、ロータリィエンコーダ等の高精度の検出器をレゾルバ80の軸に直接取り付け、ロータリィエンコーダを用いて、レゾルバ80の出力との偏差を、各角度に対して求める。すなわち、図3に計測結果を示す。横軸はロータリィエンコーダの検出角度であり、縦軸はレゾルバ80の検出角度である。図中実線Aがレゾルバ80の出力であり、点線Cがロータリィエンコーダの出力である。実線Aと点線Cとの縦方向の差が偏差であり、その偏差が、レゾルバ80の検出角度毎に、補正データ78としてPROM74に記憶される。
R/D処理部73がレゾルバ80の検出角度を補正部77に送る。補正部77は、R/D処理部73から得たレゾルバ80の検出角度に基づいて、PROM74の補正データ78から、偏差を読み出す。このとき、補正部77は、直線補完も行っている。補正部77は、PROM74の補正データ78から得た偏差によりレゾルバ80の検出角度を補正して、レゾルバ信号処理回路CPU79にレゾルバ80の検出角度として送る。レゾルバ信号処理回路CPU79は、その検出角度に基づいて、モータドライバ71の制御を行う。
これにより、正確な検出角度を用いてモータを制御することができる。
また、モータが、ハイブリッド自動車駆動用モータまたは電気自動車駆動用モータであり、補正データ78、及び補正部77を、モータを駆動制御するためのECUに記憶させることにより、レゾルバの記憶手段を小容量とすることができる。
例えば、本実施例では、電流値を5A刻みとし、検出角度を5度刻みとしたが、より細分化してデータを持つことにより、よりレゾルバ80の検出角度の精度を高めることができる。自動車は、高温、低温、高湿、乾燥等の様々な環境条件下で使用されるため、全ての環境条件で、モータ電流値とノイズ量の関係を実験により求めることは、困難な場合がある。その場合には、シミュレーションにより、実験値を補正するようにしても良い。
また、本実施例では、モータの電流値毎に角度補正マップデータを記憶して、漏洩磁束やノイズ量を求めることなく、直接、レゾルバ80の検出角度を補正しているが、モータの電流値と漏洩磁束との関係データ、漏洩磁束とノイズ量との関係データ、及びノイズ量と検出角度との関係データを各別に持って、順次演算を行っても良い。
13 ハウジング
15 ロータ回転板
16,17 リング
19 検出コイルパターン
20 励磁コイルパターン
21、22 ロータリィトランスパターン
24 ステータ板
25,26 ロータリィトランスパターン
56 モータ本体
71 モータドライバ
72 電流検出部
74 PROM
75 電流量−検出角度誤差関係データ
76 補正係数演算部
77 補正部
79 レゾルバ信号処理回路CPU
81 電流検出器
Claims (6)
- モータのロータ軸の回転角度を検出するレゾルバにおいて、
前記モータに供給される電流量を検知する電流量検知手段と、
前記電流量を前記モータに流したときの漏洩磁束により発生する、レゾルバの検出角度誤差を電流量−検出角度誤差関係データとして記憶する記憶手段と、
前記記憶手段が記憶する前記電流量−検出角度誤差関係データに基づいて、レゾルバの検出角度を補正する補正手段とを有することを特徴とするレゾルバ。 - 請求項1に記載するレゾルバにおいて、
電流量−検出角度誤差関係データが、前記モータに前記レゾルバを設置した状態における、実験またはシミュレーションにより予め得られたデータであることを特徴とするレゾルバ。 - 請求項1または請求項2に記載するレゾルバにおいて、
前記モータが、ハイブリッド自動車用駆動用モータまたは電気自動車用駆動モータであることを特徴とするレゾルバ。 - モータのロータ軸の回転角度を検出するレゾルバにおいて、
前記ロータ軸に高精度ロータリィエンコーダを取り付けて、少なくとも一回転させたときの、前記高精度ロータリィエンコーダの出力と、レゾルバの出力とを比較して検出した偏差を記憶する偏差記憶手段と、
前記レゾルバの出力を、記憶手段が記憶する偏差により補正する補正手段とを有することを特徴とするレゾルバ。 - 請求項4に記載するレゾルバにおいて、
前記偏差記憶手段がPROMであり、
前記PROM、及び前記補正手段が、レゾルバ信号処理回路に記憶されていることを特徴とするレゾルバ。 - 請求項4に記載するレゾルバにおいて、
前記モータが、ハイブリッド自動車駆動用モータまたは電気自動車駆動用モータであり、
前記偏差記憶手段、及び前記補正手段が、前記モータを駆動制御するためのECUに記憶されていることを特徴とするレゾルバ。
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