JP4782562B2 - 方向性結合器、空中線整合器及び送信機 - Google Patents

方向性結合器、空中線整合器及び送信機 Download PDF

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Description

本発明は、無線通信、特に1.6MHz〜30MHzの中短波帯の無線通信に使用するものであって、アンテナの入力インピーダンスと送信電力増幅器の出力インピーダンスとのインピーダンス整合を図るために、送信電力増幅器からの送信波とアンテナからの反射波とを比較するために送信波及び反射波を抽出する目的で使用する方向性結合器と、該方向性結合器を含む空中線整合器と、該空中線整合器を含む無線通信用の送信機に関する。
300KHz〜3MHzの中波帯の波長は、約100m〜1000mで、約100kmの高度に形成される電離層のE層に反射して伝わることができる。また、3MHz〜30MHzの短波の波長は、約10m〜100mで、約200〜400kmの高度に形成される電離層のF層に反射して、地表との反射を繰り返しながら地球の裏側まで伝わっていくことができる。以上の中短波帯は、長距離の通信が簡単に行えることから、ラジオ放送、遠洋の船舶通信、国際線航空機用の通信、国際放送及びアマチュア無線に広く利用されている。
従来、遠洋の船舶通信などの中短波帯の送受信機では、昼間、夜間などの電波の伝搬状態に応じて運用中に送受信周波数を、1.6〜30MHzの範囲内の複数のチャネル周波数に切り換えて通信が行われている。
無線通信の送信電力を効率よくアンテナから放射させるために、送信電力を増幅する送信電力増幅器の出力インピーダンスとアンテナの入力インピーダンスとを整合する空中線整合器が使用されている。
インピーダンス整合は、方向性結合器によって、送信電力増幅器から出力される進行波電力の一部を抽出するとともに、アンテナから反射される反射波電力を抽出して、その進行波と反射波との定在波比を計り、定在波比に応じて、可変のリアクタンス素子を調整し整合インピーダンスを変更できるように制御する方法が採られている。
前記遠洋の船舶通信などの中短波帯における複数の帯域を利用する無線通信の送信機に用いられる方向性結合器は、波長が長いため中心周波数の波長の4分の1の長さ(λ/4)のマイクロストリップラインを使用するとなると、30MHz帯の波長は約10mであり、その4分の1の長さ(λ/4)のマイクロストリップラインは導体長さが2.5mとなってしまうため利用されず、専らCM結合による結合器が使用されていた。
しかしながら、従来のCM結合による方向性結合器は、周波数が高くなるに従い結合度が大きくなるため、結合される信号は、低域周波数信号と高域周波数信号とでダイナミックレンジが大きくなり、その後のA/D変換処理が困難であるという欠点があった。
そこで、本発明は上述の問題を解決するためになされたものであり、
本発明は、空中線整合器に使用する方向性結合器の結合度を低域周波数から高域周波数にわたりある程度平均化することにより、低域周波数信号と高域周波数信号とのダイナミックレンジを低く抑え、広帯域で使用可能な空中線整合器を構成するためのA/D変換処理を容易にすることを目的としている。
上記の課題を解決するために、本発明は、マイクロストリップラインを利用した複数の副線路を備えて、各副線路間を遅延回路で結び、主線路を通る電力信号を各副線路で結合し、さらに遅延回路で合成することとした。具体的には以下のとおりである。
本発明の方向性結合器は、
裏面を全面導体とした基板と、
前記基板の表面に所定の長さと幅を有する導電性のパターンが形成された主線路と、
前記主線路に近接して配置される所定の長さと幅を有する導電性のパターンが形成された複数の副線路と、
前記複数の副線路の間にそれぞれ接続される複数の遅延回路と
を備え、
前記複数の副線路は、それぞれ前記各遅延回路により接続されて一つの副線路群を構成し、
前記主線路は入力ポートと出力ポートとを有し、
前記副線路群はカップリングポートとアイソレーションポートとを有し、
前記複数の副線路の長さは、結合する1.6MHz〜30MHzの中短波帯の高周波信号の波長の1/4よりも短く、且つ、前記複数の副線路は、それぞれ結合度が異なること
を特徴としている。
また、本発明の方向性結合器は、
裏面を全面導体とした基板と、
前記基板の表面に所定の長さと幅を有する導電性のパターンが形成された主線路と、
前記主線路に近接して配置される所定の長さと幅を有する導電性のパターンが形成された第1の複数の副線路と、
前記第1の複数の副線路の間にそれぞれ接続される複数の遅延回路と
を備え、
前記第1の複数の副線路は、それぞれ前記各遅延回路により接続されて第1の副線路群を構成し、
前記主線路に近接し且つ前記主線路に対して第1の副線路群とは反対側に配置される所定の長さと幅を有する導電性のパターンが形成された第2の複数の副線路と、
前記第2の複数の副線路の間にそれぞれ接続される複数の遅延回路と
を備え、
前記第2の複数の副線路は、それぞれ前記各遅延回路により接続されて第2の副線路群を構成し、
前記主線路は、入力ポートと出力ポートとを有し、
前記第1の副線路群及び前記第2の副線路群は、それぞれカップリングポートとアイソレーションポートを有し、
前記主線路に供給される高周波信号の進行波電力が前記第1の副線路群の各副線路に電磁的に結合され、
前記主線路に供給される高周波信号の反射波電力が前記第2の副線路群の各副線路に電磁的に結合され、
前記第1の副線路群の各副線路がそれぞれ前記各遅延回路により接続されることにより、前記第1の副線路群の各副線路に結合された前記進行波電力を一つの電力信号に合成し、
前記第2の副線路群の各副線路がそれぞれ前記各遅延回路により接続されることにより、前記第2の副線路群の各副線路に結合された前記反射波電力を一つの電力信号に合成し、
前記第1の副線路群及び前記第2の副線路群の各副線路の長さは、結合する1.6MHz〜30MHzの中短波帯の高周波信号の波長の1/4よりも短く、且つ、前記第1の副線路群の各副線路は、それぞれ結合度が異なり、且つ、前記第2の副線路群の各副線路は、それぞれ結合度が異なること
を特徴としている。
また、本発明の空中線整合器は、
電力増幅器と空中線との間に挿入接続され、
前記電力増幅器からの送信信号を通過させるとともに
前記電力増幅器の出力インピーダンスと前記空中線のインピーダンスとを整合させる空中線整合器であって、
前記請求項に記載の方向性結合器と、
A/D変換器と、
位相検出器と、
CPUと、
半導体記憶装置と、
複数のリアクタンス素子と、
前記複数のリアクタンス素子を選択的に切り換えるリレースイッチと、
前記リレースイッチを制御するリレードライバと、
を備え、
前記A/D変換器は、前記方向性結合により結合された前記進行波電力と、
前記反射波電力と
をそれぞれデジタル信号に変換し、
前記CPUは前記デジタル信号を用いて電圧定在波比の計算を行い、予め設定した規格値以内であるかを判定して制御信号をリレードライバに出力し、
前記複数のリアクタンス素子の組合せの中から前記電圧定在波比が最適になる組合せを求めてリレースイッチを切り替えることにより前記複数のリアクタンス素子の組合せを選択する手段を有すること
を特徴としている。
また、本発明の送信機は、
発振部と、
変調部と、
周波数選択部と、
電力増幅部と、
空中線結合器と、
を備え、
前記空中線結合器は、
送信電力増幅器と空中線との間に挿入接続され、
前記電力増幅器からの送信信号を通過させるとともに
前記電力増幅器の出力インピーダンスと前記空中線のインピーダンスとを整合させる空中線整合器であって、
前記請求項に記載の方向性結合器と、
A/D変換器と、
位相検出器と、
CPUと、
半導体記憶装置と、
複数のリアクタンス素子と、
前記複数のリアクタンス素子を選択的に切り換えるリレースイッチと、
前記リレースイッチを制御するリレードライバと、
を備え、
前記A/D変換器は、前記方向性結合により結合された前記進行波電力と、
前記反射波電力と
をそれぞれデジタル信号に変換し、
前記CPUは前記デジタル信号を用いて電圧定在波比の計算を行い、予め設定した規格値以内であるかを判定して制御信号をリレードライバに出力し、
前記複数のリアクタンス素子の組合せの中から前記電圧定在波比が最適になる組合せを求めてリレースイッチを切り替えることにより前記複数のリアクタンス素子の組合せを選択する手段を有すること
を特徴としている。
また、前記発振部は、1.6MHz〜30MHzの中短波帯の周波数信号を発振する回路を備え、
前記周波数選択部は、前記中短波帯の周波数信号を選択する回路を備えてもよい。
本発明によれば、中短波帯の広帯域に使用する方向性結合器であっても、従来のCM結合による方向性結合器によることなく、マイクロストリップラインを利用した複数の副線路を備えて、各副線路間を遅延回路で接続し、主線路を通る電力信号を各副線路で結合し、さらに遅延回路で合成することにより、結合度を低域周波数から高域周波数にわたり、平均化することが可能となる。また、低域周波数信号と高域周波数信号とのダイナミックレンジを低く抑えることができ、直接その後のA/D変換処理をすることができる。さらに、このような方向性結合器を用いてA/D変換処理をすることにより広帯域で高速動作をする空中線整合器を構成することができる。
以下、図面を参照して本発明の望ましい実施形態を詳細に説明する。但し、本発明は多くの異なる態様で実施することが可能であり、以下に示す実施の形態の記載内容に限定して解釈されるものではない。
図1は、本発明の実施形態の方向性結合器を示す回路図である。主線路102は、マイクロストリップラインであり送信機の電力増幅器の送信電力の伝送路である。副線路11〜14は、マイクロストリップラインであり前記送信電力の進行波電力または反射波電力を結合分岐するために使用される。主線路102及び副線路11〜14は、裏面が全面導体である基板上にパターンが形成されており、電磁界によって結合している。また、主線路102と各副線路11〜14との間隔は、一端から他端にかけて同一ではなく、若干間隔が広がるように配置されている。本実施形態においては、主線路102に対して副線路11〜14を階段状に配置することによって、主線路102と副線路11〜14との間隔が一端から他端にかけて広がるような配置を実現している。これにより、各副線路11〜14の結合度は異なり、主線路との間隔が狭い方が結合度は高く、主線路との間隔が広がるに従い結合度は低くなる。なお、主線路102に対して副線路11〜14を斜めに配置してもよい。
15〜17は、インダクタンスとコンデンサからなる遅延回路であり、前記副線路11〜14の間に挿入され、前記副線路11〜14それぞれを接続している。図1では副線路の数を4、遅延回路の数を3としたが、最低限の構成は、副線路の数が3、遅延回路の数が2である。
21は入力ポート、22は出力ポート、23はカップリングポート、24はアイソレーションポートである。主線路102の入力ポート21から入力した信号は、出力ポート22により出力される。一方、電磁的に結合された信号は副線路のカップリングポート23より出力される。アイソレーションポート24には信号は出力されない。
一般的にマイクロストリップラインを用いた電磁界結合方式の方向性結合器は、結合度を高めるため使用中心周波数の波長に対し1/4の長さとなるものが用いられる。
しかしながら、本発明の実施形態のマイクロストリップラインを利用した副線路は、使用中心周波数の波長に対し1/4の長さより十分短く、且つ複数配置されている。このため結合度が低いが、高電力信号を扱う機器の場合には結合度が低くても十分実用可能である。
図2は、マイクロストリップラインを使用した方向性結合器のマイクロストリップライン長と結合度との関係を示した図である。図2で結合度がピークとなっている点は、副線路のマイクロストリップラインの長さが1/4λとなった点である。ピークより左側は、副線路のマイクロストリップラインの長さが1/4λより短い場合の結合度を示している。
本発明の実施形態のマイクロストリップラインを利用した副線路の長さは、使用周波数信号(1.6MHz〜26MHz)の波長(約11.5m〜187.5m)の1/4よりも短い。従って、図2に示す1/4λの点よりも左側のカーブのところ(点線で囲んだ部分)で使用する条件となり、周波数が高くなるに従い結合度が大きくなる。例えば1.6MHz(波長187.5m)の信号に対する結合度は小さく、26MHz(波長11.5m)の信号に対する結合度は大きくなる。
使用する周波数が中短波帯で例えば1.6MHz〜26MHzの範囲にかかる場合、1.6MHzの信号を分岐して得られる電力値と26MHzの信号を分岐して得られる電力値とのダイナミックレンジが大きすぎるという問題が生じる。
そこで、本発明の実施形態は、以下のような構成、手段を用いた。
図1を用いて説明する。
まず、主線路102と副線路11〜14との間隔を均一とするのではなく、カップリングポート23側の副線路11と主線路102との間隔は短く密結合とし、アイソレーションポート24側に向けて副線路と主線路との間隔を広くして疎結合となるように主線路102と副線路11〜14とを配置している。これにより各副線路で結合される信号の結合度は異なることになる。
次に、副線路11と副線路12との間に遅延回路15を、副線路12と副線路13との間に遅延回路16を、副線路13と副線路14との間に遅延回路17をそれぞれ介在させて接続している。これにより各副線路で結合される信号の位相は異なる。
従って、複数の副線路が一端の副線路11から他端の副線路14にかけて段々と主線路との間隔が広がるように配置され、かつ、各副線路間を、遅延回路を介して接続することにより、各副線路で結合度と位相の異なる信号が合成されることになる。
本発明の実施形態をベクトルで示すと図3のとおりとなる。
図3(a)のベクトル1からベクトル4は各副線路に結合される信号を示す。ベクトル1からベクトル4にかけて次第に結合度が小さくなっている。これは図1に示したように、主線路と副線路との間隔が一端の副線路11から他端の副線路14にかけて段々と広がるようになるに従い結合度が小さくなることを示している。また、ベクトル1からベクトル4にかけてベクトルの向きがずれている。これは前記各副線路の間に遅延回路が介在していることによる。図3(a)に示すベクトル5はベクトル1からベクトル4を合成したベクトルである。
次に図3(b)は、図3(a)よりも高い周波数の信号を結合したときの本発明の実施形態をベクトルで表した図である。図2の点線部分に示したように本発明の方向性結合器では、副線路のマイクロストリップラインの長さが、使用周波数範囲の波長の1/4λに対して十分に短いことを前提としているから、使用周波数帯域内では周波数が高くなるに従い結合度は大きくなる。図3(b)は、図3(a)よりも高い周波数の信号を結合したときの図であるから、図3(b)に示すベクトル6〜ベクトル9の長さは、図3(a)に示すベクトル1〜ベクトル4の長さよりも長い。また、周波数が高くなると位相遅れが異なりベクトルの回転速さが異なるため、図3(b)に示すベクトル6〜ベクトル9それぞれの間隔は、図3(a)に示すベクトル1〜ベクトル4それぞれの間隔よりも広くなる。
本発明の実施形態の方向性結合器を、高い周波数で使用した場合の合成ベクトル10と低い周波数で使用した場合の合成ベクトル5とを比較すると、高い周波数で使用した場合には、一方で各ベクトルの長さが長いが他方で各ベクトルの回転が進んでいるため、合成するとそれぞれのベクトルが打ち消し合い、結果として低い周波数の合成ベクトル5と高い周波数で使用した場合の合成ベクトル10との偏差は少なくなる。
つまり、マイクロストリップラインを利用した方向性結合器において、副線路の長さが使用周波数範囲の1/4λより十分短い場合、図3(a)、(b)のベクトルで示したように、結合度が異なり、間に遅延回路を介在させた複数の副線路を接続して結合した信号を合成すると、使用周波数内においては、周波数が高くなっても、一方的に結合度が大きくなるということはなく、ある限定された結合度範囲となりダイナミックレンジを抑えることができる。
以上に示した本発明の実施形態の方向性結合器を中短波帯に使用することによって、分岐して得られる信号は、周波数によるダイナミックレンジを気にすることなく、その後のA/D変換などの信号処理が容易となる。
図4は、従来方式のCM結合型方向性結合器と本発明の実施形態の方向性結合器の周波数対結合度特性を比較した図であり、本発明の実施形態の方向性結合器を中短波帯に使用し、横軸に周波数、縦軸に結合度を示した特性図である。本発明の実施形態のマイクロストリップライン型方向性結合器の特性Aと従来方式のCM型方向性結合器の特性Bと比較すると、従来方式のCM結合型方向性結合器の特性Bは、周波数が高くなるに従い比例して結合度が高っている。これに対し本発明の実施形態のマイクロストリップライン型方向性結合器の特性Aでは、周波数により結合度の高低にリップルが生じるものの、低域周波数から高域周波数にかけてトータルで見たダイナミックレンジは低く抑えられている。
無線通信機で使用される周波数の中でも、波長が比較的長い中短波帯において、複数の周波数を使用する場合に、本発明の実施形態のマイクロストリップライン型方向性結合器を使用することによって低域周波数から高域周波数にかけてトータルで見たダイナミックレンジは低く抑えられるため、その後のA/D変換などの信号処理が直接行うことができるなどの利点が生じる。
次に本発明の方向性結合器を使用した無線機の送信機に使用する空中線整合器について説明する。
図5は、本発明の実施形態の方向性結合器100を示す回路図であり、図6は、本発明の方向性結合器100を使用した空中線整合器の要部の回路図である。空中線整合器は、大きく分けるとマッチング部201とコントロール部101とから構成される。
マッチング部201は、送信機の電力増幅器の出力インピーダンスと空中線の入力インピーダンスとの整合をとる回路であり、複数のインダクタ204及びキャパシタ205などのリアクタンス素子、複数のリレースイッチ206・207などで構成される。
複数のインダクタ204及びキャパシタ205などのリアクタンス素子を複数の異なる組合せで、異なるリアクタンス値を選択することが可能となるように、複数のリレースイッチ206を備えている。さらに、テスト用に空中線をショートさせたり、送信機の負荷をショートさせたり、送信機の負荷をダミー負荷208に接続させるためのリレースイッチ207を備えている。
コントロール部101は、本発明に係るマイクロストリップ型の方向性結合器100と、検波ダイオード105・106と、位相検出器109・110と、A/D変換器を内蔵したCPU113、リレードライバ114などから構成される。なお、図5ではA/D変換器を内蔵したCPUを使用しているが、A/D変換器を外部に独立して設けてもよい。
本発明に係るマイクロストリップ型の方向性結合器100により、送信機の電力増幅器の出力から入力される進行波電力111は第1の副線路群103に結合され、空中線から反射して戻ってくる反射波電力112は第2の副線路群に電磁的に結合される。
進行波電力111と反射電力112は、コンパレータ107・108及び位相検出器を109・110介してCPU113に入力される。CPU113は位相誤差を算出する。
また、進行波電力111と反射電力112は、検波ダイオード105・106を介してCPU113に入力される。CPU113は電圧定在波比を算出する。
CPU113は、電圧定在波比が予め設定してある規格値以内であるかを判定し、規格値外である場合は規格値以内となるようにリレードライバ114に制御信号を出力する。
また、半導体記憶装置115に、電圧定在波比が最適となったときの値を記憶させテーブルを作成するようにしてもよい。CPU113はこのテーブルを使用して、リレードライバ114に出力する制御信号を選択して最適なインピーダンス整合が得られるかを決定することができる。
以上に述べたように、本発明の方向性結合器100を使用することにより、進行波電力と反射波電力の結合度を低域周波数から高域周波数にわたるダイナミックレンジを低く抑えることができ、回路構成が簡素化され直接その後のA/D変換処理をすることができる。また、本発明の方向性結合器100を使用した空中線整合器は、空中線(アンテナ)の入力インピーダンスと送信電力増幅器の出力インピーダンスの整合最適値を算出し、制御する処理速度が従来よりも高速化される。
図7は、本発明の一実施例である方向性結合器及び空中線整合器を備えた送信機300のブロック図である。周波数選択部307は、複数の送信周波数チャンネルの中から選択した送信周波数の制御信号を発振部304に伝える。発振部304は、周波数選択部307からの制御信号を受けて、可変リアクタンス素子などにより所定の送信周波数信号を発振する。変調部305は、音声信号308などをSSB波,DSB波に変換するものであり、アンテナ301で放射する周波数に変換する。電力増幅器304は、アンテナ301で放射する送信信号を必要なレベルまで増幅する。ローパスフィルター(LPF)303は、発振部306や電力増幅器により生じた高調波やスプリアスを除去する。空中線整合器は、電力増幅器とアンテナとの整合をとり送信信号をアンテナに供給する。雷サージ吸収回路308はアンテナからの雷サージを吸収する電圧クリッパーである。
本発明の方向性結合器、空中線整合器及び送信機は、無線通信に利用するものである。特に1.6MHz〜30MHzの中短波帯の無線通信に使用するものであって、例えば、船舶用無線機、GMSS、ソーラス、狭帯域直接印刷(NBDD;Narrow Band Direct Print)用無線機などに利用することができる。
本発明の実施形態の方向性結合器を示す回路図。 マイクロストリップラインを使用した方向性結合器のマイクロストリップライン長と結合度との関係を示す図。 本発明の実施形態をベクトルで示した図。 従来方式のCM結合型方向性結合器と本発明の実施形態の方向性結合器の周波数対結合度特性を比較した図。 本発明の実施形態の方向性結合器を示す回路図。 本発明の方向性結合器を使用した空中線整合器の要部の回路図。 本発明の方向性結合器を使用した送信機のブロック図。
符号の説明
A 本発明の実施形態のマイクロストリップライン型方向性結合器の特性

1〜4、6〜9 ベクトル
5、10 合成ベクトル
11〜14 副線路
15〜17 遅延回路
21 入力ポート
22 出力ポート
23 カップリングポート
24 アイソレーションポート
100 方向性結合器
101 コントロール部
102 主線路
103 第1の副線路群
104 第2の副線路群
105、106 検波ダイオード
107、108 コンパレータ
109、110 位相検出器
111 進行波電力
112 反射波電力
113 CPU(A/D変換器を内内蔵したもの)
114 リレードライバ
115、116 半導体記憶装置
201 マッチング部
202、203 マッチング回路
204 インダクタ
205 キャパシタ
206、207 リレースイッチ
208 ダミー負荷
300 送信機
301 アンテナ
302 空中線整合器
303 ローパスフィルター(LPF)
304 電力増幅器
305 変調部
306 発振部
307 周波数選択部
308 雷サージ吸収回路

Claims (5)

  1. 裏面を全面導体とした基板と、
    前記基板の表面に所定の長さと幅を有する導電性のパターンが形成された主線路と、
    前記主線路に近接して配置される所定の長さと幅を有する導電性のパターンが形成された複数の副線路と、
    前記複数の副線路の間にそれぞれ接続される複数の遅延回路と
    を備え、
    前記複数の副線路は、それぞれ前記各遅延回路により接続されて一つの副線路群を構成し、
    前記主線路は入力ポートと出力ポートとを有し、
    前記副線路群はカップリングポートとアイソレーションポートとを有し、
    前記複数の副線路の長さは、結合する1.6MHz〜30MHzの中短波帯の高周波信号の波長の1/4よりも短く、且つ、前記複数の副線路は、それぞれ結合度が異なること
    を特徴とする方向性結合器。
  2. 裏面を全面導体とした基板と、
    前記基板の表面に所定の長さと幅を有する導電性のパターンが形成された主線路と、
    前記主線路に近接して配置される所定の長さと幅を有する導電性のパターンが形成された第1の複数の副線路と、
    前記第1の複数の副線路の間にそれぞれ接続される複数の遅延回路と
    を備え、
    前記第1の複数の副線路は、それぞれ前記各遅延回路により接続されて第1の副線路群を構成し、
    前記主線路に近接し且つ前記主線路に対して第1の副線路群とは反対側に配置される所定の長さと幅を有する導電性のパターンが形成された第2の複数の副線路と、
    前記第2の複数の副線路の間にそれぞれ接続される複数の遅延回路と
    を備え、
    前記第2の複数の副線路は、それぞれ前記各遅延回路により接続されて第2の副線路群を構成し、
    前記主線路は、入力ポートと出力ポートとを有し、
    前記第1の副線路群及び前記第2の副線路群は、それぞれカップリングポートとアイソレーションポートを有し、
    前記主線路に供給される高周波信号の進行波電力が前記第1の副線路群の各副線路に電磁的に結合され、
    前記主線路に供給される高周波信号の反射波電力が前記第2の副線路群の各副線路に電磁的に結合され、
    前記第1の副線路群の各副線路がそれぞれ前記各遅延回路により接続されることにより、前記第1の副線路群の各副線路に結合された前記進行波電力を一つの電力信号に合成し、
    前記第2の副線路群の各副線路がそれぞれ前記各遅延回路により接続されることにより、前記第2の副線路群の各副線路に結合された前記反射波電力を一つの電力信号に合成し、
    前記第1の副線路群及び前記第2の副線路群の各副線路の長さは、結合する1.6MHz〜30MHzの中短波帯の高周波信号の波長の1/4よりも短く、且つ、前記第1の副線路群の各副線路は、それぞれ結合度が異なり、且つ、前記第2の副線路群の各副線路は、それぞれ結合度が異なること
    を特徴とする方向性結合器。
  3. 電力増幅器と空中線との間に挿入接続され、
    前記電力増幅器からの送信信号を通過させるとともに
    前記電力増幅器の出力インピーダンスと前記空中線のインピーダンスとを整合させる空中線整合器であって、
    前記請求項に記載の方向性結合器と、
    A/D変換器と、
    位相検出器と、
    CPUと、
    半導体記憶装置と、
    複数のリアクタンス素子と、
    前記複数のリアクタンス素子を選択的に切り換えるリレースイッチと、
    前記リレースイッチを制御するリレードライバと、
    を備え、
    前記A/D変換器は、前記方向性結合により結合された前記進行波電力と、
    前記反射波電力と
    をそれぞれデジタル信号に変換し、
    前記CPUは前記デジタル信号を用いて電圧定在波比の計算を行い、予め設定した規格値以内であるかを判定して制御信号をリレードライバに出力し、
    前記複数のリアクタンス素子の組合せの中から前記電圧定在波比が最適になる組合せを求めてリレースイッチを切り替えることにより前記複数のリアクタンス素子の組合せを選択する手段を有すること
    を特徴とする空中線整合器。
  4. 発振部と、
    変調部と、
    周波数選択部と、
    電力増幅部と、
    空中線結合器と、
    を備え、
    前記空中線結合器は、
    送信電力増幅器と空中線との間に挿入接続され、
    前記電力増幅器からの送信信号を通過させるとともに
    前記電力増幅器の出力インピーダンスと前記空中線のインピーダンスとを整合させる空中線整合器であって、
    前記請求項に記載の方向性結合器と、
    A/D変換器と、
    位相検出器と、
    CPUと、
    半導体記憶装置と、
    複数のリアクタンス素子と、
    前記複数のリアクタンス素子を選択的に切り換えるリレースイッチと、
    前記リレースイッチを制御するリレードライバと、
    を備え、
    前記A/D変換器は、前記方向性結合により結合された前記進行波電力と、
    前記反射波電力と
    をそれぞれデジタル信号に変換し、
    前記CPUは前記デジタル信号を用いて電圧定在波比の計算を行い、予め設定した規格値以内であるかを判定して制御信号をリレードライバに出力し、
    前記複数のリアクタンス素子の組合せの中から前記電圧定在波比が最適になる組合せを求めてリレースイッチを切り替えることにより前記複数のリアクタンス素子の組合せを選択する手段を有すること
    を特徴とする送信機。
  5. 前記発振部は、1.6MHz〜30MHzの中短波帯の周波数信号を発振する回路を備え、
    前記周波数選択部は、前記中短波帯の周波数信号を選択する回路を備えることを特徴とする請求項4に記載の送信機。
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