JP4808525B2 - アレイアンテナ装置および送受信モジュール - Google Patents
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Description
図1はこの発明の各実施の形態に共通なアレイアンテナ装置の機能構成例を示すブロック図である。
アレイアンテナ装置は、電力分配・合成器10、複数の送受信モジュール20、アレイアンテナ30から構成されている。
アレイアンテナ30は、図7に示すように、ダイポールアンテナ32,33を直交させて構成したクロスダイポールアンテナ31を、直線状または平面状に複数個並べて配置した送受信用のアンテナである。電力分配・合成器10は、図示していない送受信機から入力される送信信号を複数の送受信モジュール20に分配供給し、かつ受信時には送受信モジュール20からの受信信号を合成して送受信機側に出力する手段である。
送信時に送受信機で発生させた送信信号が入力されると、電力分配・合成器10で、この信号を分配し、複数の送受信モジュール20に供給する。各送受信モジュール20において、移相器21により、電力分配・合成器10からの送信信号は、アレイアンテナ30で所定の送信ビームを形成するためにモジュールごとに割当てた位相に変えられる。移相器21で位相が調整された送信信号は、送受切替器22を経て1個のアンプまたは複数のアンプで構成された電力増幅器23に送られ電力増幅される。電力増幅器23で所要の出力に増幅された送信信号は90度ハイブリッド24に供給される。90度ハイブリッド24では、供給された送信信号は電力で1/2ずつ、位相として互いに90度ずれた状態の2つの信号に分けられ、クロスダイポールアンテナ31の対応するダイポールアンテナ素子32,33に供給される。クロスダイポールアンテナ31では、90度位相差を持つ同一レベルの信号を給電されたことにより、空間に対し円偏波の電波を放射する。
90度ハイブリッド回路は、出力位相差が90度で当分配する方向性結合器で、4個のポートP1,P2,P3,P4を持つ。例えばポートP1に信号を入力すると、この1/2の電力の信号がポートP3に出力され、同時に、この出力と90度位相差を持つ信号がポートP4に出力される。しかし、このときポートP2には出力は殆どない。この原理は、ポートP3,P4に入力した場合にも当てはまる。クロスダイポールアンテナ31で円偏波を受信すると、構成している2つのダイポールアンテナ素子それぞれから得られる信号(正弦波)は互い90度位相差を持つから、これらをポートP3,P4に対応させて入力すると、合成された受信信号がポートP2に現れる。
したがって、この回路を、クロスダイポールアンテナへの送信信号の分配給電、受信信号の合成に用いる90度ハイブリッド回路24として使用することにより、送信信号の周波数に対しては、一般的な90度ハイブリッド回路と同等なインダクタンスを持つため、従来と同等な動作を行い、かつ不要な高調波(2倍波)に対しては、並列共振し回路的に遮断の状態となるので、高いアイソレーションを確保できる。すなわち、高調波の抑圧機能を実現できる。
実施の形態1では、高調波抑圧を、クロスダイポールアンテナへの分配給電、受信信号の合成に用いる90度ハイブリッド回路24において行うことについて説明したが、この実施の形態2では、電力増幅器23において高調波抑圧を行うことについて述べる。
図1において、電力増幅器23は、クロスダイポールアンテナ31に給電する送信信号を電力増幅するものであるが、この電力増幅器に図4に示すような平衡増幅器(Balanced Amp)を適用する。
図4において、この平衡増幅器は、分配器、合成器として使用される第1、第2の90度ハイブリッド回路101,104と、その中間に平衡に設けられた第1、第2の増幅器102,103で構成されている。入力された送信信号は、第1の90度ハイブリッド回路(分配器)101で2つの信号に分配され、それぞれ位相、振幅共に一致した特性の第1、第2の増幅器102,103で増幅され、第2の90度ハイブリッド回路(合成器)104により合成されて出力される。ここで、位相関係を見ると、第1の90度ハイブリッド回路101により分配されて第2の増幅器103に与えられる信号は、第1の増幅器102に与えられる信号に対して、位相が90度遅れる。一方、第1の増幅器102を通って第2の90度ハイブリッド回路104で合成された信号は、第2の増幅器103を通って合成された信号より90度遅れて出力されるため、両信号は最終的には同相で合成されることになる。
また、この平衡増幅器は、第1、第2の増幅器102,103の反射特性が悪くても、第1の増幅器102の入力側から見た反射特性が改善されるという特徴を持っている。
以上のように、この実施の形態2によれば、電力増幅器として平衡増幅器を用い、当該平衡増幅器の90度ハイブリッド回路の構成に、送信信号の高調波を抑圧する手段を設けるようにしたので、高調波を抑圧するために従来用いていた帯域通過型あるいは低域通過型のフィルタを不要とし、アレイアンテナ装置の効率向上、小型化を図ることができる。なお、この高調波の抑圧機能を持つ平衡増幅器だけで十分に高調波を取り除けない場合には、実施の形態1のクロスダイポールアンテナに対する送受切替えを行う、高調波の抑圧機能を持つ90度ハイブリッド回路と組み合わせて送受信モジュールを構成するようにしてもよく、不要な高調波の抑制を高めることができる。
上記実施の形態2では、高調波の抑圧機能を備えた90度ハイブリッド回路を構成に持つ平衡増幅器を電力増幅器として使用することについて説明したが、この実施の形態3では、ウイルキンソンディバイダ(以下、単に「ディバイダ」とする。)を用いた平衡増幅器を電力増幅器として使用することについて述べる。
図1に示される電力増幅器23に、図5に示すような、ディバイダを用いた平衡増幅器(Balanced Amp)を適用する。この平衡増幅器は、分配器、合成器として使用される第1、第2のディバイダ201,204と、その中間に平衡に設けられた第1、第2の増幅器202,203で構成されている。入力された送信信号は、第1のディバイダ(分配器)201で2つの信号に分配され、それぞれ位相、振幅共に一致した特性の第1、第2の増幅器202,203で増幅され、第2のディバイダ(合成器)204により合成されて出力される。
また、この平衡増幅器は、増幅器の1つが故障しても、もう一方が動作していれば、正常値から利得の劣化はあるものの、ある程度の利得は確保できるので、信頼性の高い用途に適するという特徴を持っている。
図6の回路を分配回路として考えた場合、P10が入力、P20,P30が出力となる。P20,P30には、負荷Rが接続され、今これを50Ωと仮定する。今、Z1,Z2の伝送線路がないとすると、P10側から出力側を見た場合、a点から右側を見たインピーダンスは、50Ωが並列に接続されているので25Ωとなる。そこで、a−b間、a−c間に伝送線路による100Ω−50Ωインピーダンス変換回路Z1,Z2を挿入する。スミスチャートなどを用いて、これらの変換部分のインピーダンスを求めると、70.7Ωとなる。スミスチャート上の円を100Ωから50Ωへ移動するには、λ/4だけ動かすことになるので、伝送線路の長さはλ/4となる。これで、a点から右側を見れば、100Ωが二つ並列に接続された形になるので、50Ωとなりマッチングが取れたことになる。
次に、P20から信号を入力する場合を考えると、半分はa点を通ってP10へ出力されるが、一方、残りの半分はa点を通ってc点に戻る。ところが、b→a→cの経路は線路長がλ/2となり、b点からRを通って直接c点へ伝わる信号と比較すると、位相が反転することになる。すなわち、この2つの経路の合成信号は、お互いに打ち消しあい、P20から入力された信号はP30には出力されない。結果として、P20から入力した信号は、P10とRに半分ずつ分配されて、P30には出力されないので、Rで電力が吸収されることになる。
以上のように、この実施の形態3によれば、電力増幅器として平衡増幅器を用い、当該平衡増幅器のディバイダの構成に高調波を抑圧する手段を設けたので、高調波を抑圧するために従来用いていた帯域通過型あるいは低域通過型のフィルタを不要とし、アレイアンテナ装置の効率向上、小型化を図ることができる。なお、この高調波の抑圧機能を持つ平衡増幅器だけで十分に高調波を取り除けない場合には、実施の形態1のクロスダイポールアンテナに対する送受切替えを行う、高調波の抑圧機能を持つ90度ハイブリッド回路と組み合わせて送受信モジュールを構成するようにしてもよく、不要な高調波の抑制を高めることができる。
なお、上記例では平衡増幅器に同相型分配器としてウイルキンソンディバイダを用いているが、これ以外の同相分配器、例えばT分岐などを用いてもよく、同様な効果を得ることができる。
Claims (3)
- 送信信号を増幅する電力増幅器と、
受信信号を増幅する低雑音増幅器と、
第1のポートが前記電力増幅器の出力側に接続され、第3および第4のポートがクロスダイポールアンテナを構成する各ダイポールアンテナに接続され、送信時に、前記電力増幅器により増幅された送信信号を第1のポートを通じて入力し、互いに90度の位相差を持つ2つの信号を生成して第3および第4のポートを通じて各ダイポールアンテナに給電し、受信時に、当該各ダイポールアンテナにより受信され、第3および第4のポートを通じて入力された互いに90度の位相差を持つ2つの信号を合成して受信信号を得て、第2のポートを通じて出力する第1の90度ハイブリッド回路と、
前記低雑音増幅器および前記第1の90度ハイブリッド回路の第2のポート間に接続され、送信時に前記第1の90度ハイブリッド回路から前記低雑音増幅器への信号を遮断し、受信時に前記第1の90度ハイブリッド回路から前記低雑音増幅器への信号を導通するスイッチとを備え、
前記第1の90度ハイブリッド回路は、
第1および第2のポート間、第1および第3のポート間、第3および第4のポート間、および第2および第4のポート間に、それぞれ不要周波数を共振周波数とする並列共振回路を接続したことを特徴とする送受信用モジュール。 - 送信信号を増幅する電力増幅器と、
受信信号を増幅する低雑音増幅器と、
第1のポートが前記電力増幅器の出力側に接続され、第3および第4のポートがクロスダイポールアンテナを構成する各ダイポールアンテナに接続され、送信時に、前記電力増幅器により増幅された送信信号を第1のポートを通じて入力し、互いに90度の位相差を持つ2つの信号を生成して第3および第4のポートを通じて各ダイポールアンテナに給電し、受信時に、当該各ダイポールアンテナにより受信され、第3および第4のポートを通じて入力された互いに90度の位相差を持つ2つの信号を合成して受信信号を得て、第2のポートを通じて出力する第1の90度ハイブリッド回路と、
前記低雑音増幅器および前記第1の90度ハイブリッド回路の第2のポート間に接続され、送信時に前記第1の90度ハイブリッド回路から前記低雑音増幅器への信号を遮断し、受信時に前記第1の90度ハイブリッド回路から前記低雑音増幅器への信号を導通するスイッチとを備え、
前記電力増幅器は、
送信信号を増幅する第1の増幅器と、
前記第1の増幅器と共に平衡増幅器を構成し、送信信号を増幅する第2の増幅器と、
第2のポートが前記第1の増幅器の入力側に接続され、第3のポートが前記第2の増幅器の入力側に接続され、送信信号を第1のポートを通じて入力し、同相の2つの信号を生成して第2および第3のポートを通じて前記第1および前記第2の増幅器に分配する第1のディバイダと、
第2のポートが前記第1の増幅器の出力側に接続され、第3のポートが前記第2の増幅器の出力側に接続され、前記第1および前記第2の増幅器により増幅された信号を第2および第3のポートを通じて入力し、2つの信号を同相で合成して第1のポートを通じて前記第1の90度ハイブリッド回路に出力する第2のディバイダとを備え、
前記第1および前記第2のディバイダのうちの少なくともいずれか一方は、
第1および第2のポート間、および第1および第3のポート間に、それぞれ不要周波数を共振周波数とする並列共振回路を接続したことを特徴とする送受信用モジュール。 - 請求項1または請求項2記載の送受信用モジュールを複数備え、
各送受信用モジュールに送信信号を分配すると共に、各送受信用モジュールからの受信信号を合成する電力分配・合成器を備えたことを特徴とするアレイアンテナ装置。
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