JP3160525B2 - トランジスタ増幅回路 - Google Patents
トランジスタ増幅回路Info
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はAM放送やFM放送
などの放送、通信などの受信用に用いられるトランジス
タ増幅回路に関する。さらに詳しくは、たとえばAM放
送帯やFM放送帯のようにある周波数帯の中に複数の周
波数の受信信号が存在する場合に、これらの基本波およ
びその高調波の和周波数信号や差周波数信号である相互
変調積のノイズの影響を少なくすることができるトラン
ジスタ増幅回路に関する。
などの放送、通信などの受信用に用いられるトランジス
タ増幅回路に関する。さらに詳しくは、たとえばAM放
送帯やFM放送帯のようにある周波数帯の中に複数の周
波数の受信信号が存在する場合に、これらの基本波およ
びその高調波の和周波数信号や差周波数信号である相互
変調積のノイズの影響を少なくすることができるトラン
ジスタ増幅回路に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、たとえば放送や通信などの受信信
号の増幅に用いられる増幅回路は、トランジスタのエミ
ッタとアース間にバイアス用抵抗を接続したトランジス
タ増幅回路が用いられている。このトランジスタを用い
る増幅回路の出力においては、トランジスタの非線形効
果により大きな入力に対して歪みが生じる性質を有して
いる。
号の増幅に用いられる増幅回路は、トランジスタのエミ
ッタとアース間にバイアス用抵抗を接続したトランジス
タ増幅回路が用いられている。このトランジスタを用い
る増幅回路の出力においては、トランジスタの非線形効
果により大きな入力に対して歪みが生じる性質を有して
いる。
【0003】一般にトランジスタ増幅回路などにおい
て、大きな入力による歪みが生じると、受信した信号の
周波数の整数倍である高調波信号が発生しやすい。さら
にこのようなトランジスタ増幅回路において、同じ周波
数帯の僅かに周波数が異なる複数の信号が入力すると、
発生した高調波同士、または高調波と基本波との任意の
組み合わせの周波数混合作用が生じ、複数の信号の各周
波数の和周波数信号または差周波数信号である相互変調
積が発生しやすい。相互変調積により生じる擬信号の周
波数f3 は、たとえば2つの基本波の周波数をf1 、f
2 とし、m、nを正の整数とすると、一般に f3 =m・f1 ±n・f2 として表され、(m+n)次の相互変調積と呼ばれる。
て、大きな入力による歪みが生じると、受信した信号の
周波数の整数倍である高調波信号が発生しやすい。さら
にこのようなトランジスタ増幅回路において、同じ周波
数帯の僅かに周波数が異なる複数の信号が入力すると、
発生した高調波同士、または高調波と基本波との任意の
組み合わせの周波数混合作用が生じ、複数の信号の各周
波数の和周波数信号または差周波数信号である相互変調
積が発生しやすい。相互変調積により生じる擬信号の周
波数f3 は、たとえば2つの基本波の周波数をf1 、f
2 とし、m、nを正の整数とすると、一般に f3 =m・f1 ±n・f2 として表され、(m+n)次の相互変調積と呼ばれる。
【0004】たとえば76〜90MHzの範囲のFM放
送帯において、f1 =80MHz、f2 =84MHzの
2つの入力信号に基づく相互変調積が生じた場合、m、
nをそれぞれ1〜5として差周波数信号の周波数f3 を
計算すると表1のようになる(和周波数信号の周波数は
FM放送帯より非常に大きくなるため省略する)。
送帯において、f1 =80MHz、f2 =84MHzの
2つの入力信号に基づく相互変調積が生じた場合、m、
nをそれぞれ1〜5として差周波数信号の周波数f3 を
計算すると表1のようになる(和周波数信号の周波数は
FM放送帯より非常に大きくなるため省略する)。
【0005】
【表1】 表1から明らかなように、m=1、n=2またはm=
2、n=1のときの3(=m+n)次の相互変調積の周
波数がそれぞれ88MHzおよび76MHzとなり、F
M放送帯の中の他の周波数の信号と同じ周波数の擬信号
が発生する。また、m、nがそれぞれ2と3の組み合わ
せである5次の相互変調積や、m、nがそれぞれ3と4
の組み合わせである7次の相互変調積などの奇数次の相
互変調積が、本来の信号の基本波の周波数と近い周波数
の擬信号となる(次数が大きくなる程相互変調積の周波
数は本来の信号の周波数帯から離れ、問題はなくな
る)。
2、n=1のときの3(=m+n)次の相互変調積の周
波数がそれぞれ88MHzおよび76MHzとなり、F
M放送帯の中の他の周波数の信号と同じ周波数の擬信号
が発生する。また、m、nがそれぞれ2と3の組み合わ
せである5次の相互変調積や、m、nがそれぞれ3と4
の組み合わせである7次の相互変調積などの奇数次の相
互変調積が、本来の信号の基本波の周波数と近い周波数
の擬信号となる(次数が大きくなる程相互変調積の周波
数は本来の信号の周波数帯から離れ、問題はなくな
る)。
【0006】その結果、放送や通信などの与えられた周
波数帯域内に複数の周波数の信号が存在する場合、トラ
ンジスタ増幅回路の非線形効果による歪みが発生する
と、相互変調積が発生し、取分け3次の相互変調積は本
来の信号にノイズとして混入したり、本来の信号を打ち
消してしまい、本来の信号を受信できないという問題が
ある。とくに、カーラジオなどの移動無線による受信で
は、信号の送信元に近づくとその信号の入力が非常に大
きくなり、トランジスタの歪みに基づく相互変調積が発
生し、遠くからの本来の放送を受信できなくなる。
波数帯域内に複数の周波数の信号が存在する場合、トラ
ンジスタ増幅回路の非線形効果による歪みが発生する
と、相互変調積が発生し、取分け3次の相互変調積は本
来の信号にノイズとして混入したり、本来の信号を打ち
消してしまい、本来の信号を受信できないという問題が
ある。とくに、カーラジオなどの移動無線による受信で
は、信号の送信元に近づくとその信号の入力が非常に大
きくなり、トランジスタの歪みに基づく相互変調積が発
生し、遠くからの本来の放送を受信できなくなる。
【0007】従来の3次などの相互変調積によるノイズ
の問題は、受信すべき信号の周波数帯と同じ周波数帯で
あるため、増幅回路の後にフィルタを挿入するなどの方
法では解決することができない。そのため、トランジス
タの動作電圧を高くして線形部分を広くするなどのダイ
ナミックレンジを大きくする方法や、入力信号が大きく
なり、歪みに基づく3次の相互変調積などが問題になる
レベルに到達すると入力波を抑圧するAGC(自動利得
制御)回路などを挿入する方法などが用いられている。
の問題は、受信すべき信号の周波数帯と同じ周波数帯で
あるため、増幅回路の後にフィルタを挿入するなどの方
法では解決することができない。そのため、トランジス
タの動作電圧を高くして線形部分を広くするなどのダイ
ナミックレンジを大きくする方法や、入力信号が大きく
なり、歪みに基づく3次の相互変調積などが問題になる
レベルに到達すると入力波を抑圧するAGC(自動利得
制御)回路などを挿入する方法などが用いられている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】従来のダイナミックレ
ンジを大きくする方法は、増幅回路の動作電圧が高くな
り、最近の電子機器の低電圧駆動化の方向に逆行した
り、トランジスタの性能アップに伴うコストの上昇とい
う問題があると共に、トランジスタの非線形特性を完全
に解消するということはできない。
ンジを大きくする方法は、増幅回路の動作電圧が高くな
り、最近の電子機器の低電圧駆動化の方向に逆行した
り、トランジスタの性能アップに伴うコストの上昇とい
う問題があると共に、トランジスタの非線形特性を完全
に解消するということはできない。
【0009】また、大きな入力信号のときに入力波を抑
圧する回路を挿入することは、AGCなどの特別の回路
を組み込む必要があり、コストが上昇し、装置も大型化
して安価で小形の機器に使用することができないと共
に、全体の利得が小さくなるため、相互変調積と同じ周
波数の本来の小さい信号を受信することができないとい
う問題がある。
圧する回路を挿入することは、AGCなどの特別の回路
を組み込む必要があり、コストが上昇し、装置も大型化
して安価で小形の機器に使用することができないと共
に、全体の利得が小さくなるため、相互変調積と同じ周
波数の本来の小さい信号を受信することができないとい
う問題がある。
【0010】本発明は、このような問題を解決してトラ
ンジスタの非線形効果に基づく歪みが生じても、相互変
調積を効率よく防止し、ラジオ、テレビなどの放送や通
信の受信に悪影響を及ぼさないトランジスタ増幅回路を
提供することを目的とする。
ンジスタの非線形効果に基づく歪みが生じても、相互変
調積を効率よく防止し、ラジオ、テレビなどの放送や通
信の受信に悪影響を及ぼさないトランジスタ増幅回路を
提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明による増幅回路
は、近接した異なる周波数の2以上の信号が同時に入力
するトランジスタの増幅作用を利用したトランジスタ増
幅回路であって、トランジスタのエミッタまたはコレク
タの少なくとも一方側に前記2以上の信号におけるそれ
ぞれの高調波の周波数帯で共振する並列共振回路が直列
に接続され、該トランジスタにより発生する高調波を減
衰させることにより、前記2以上の信号と該信号の高調
波とにより発生し得る相互変調積によるノイズの発生を
抑制する構成にされている。
は、近接した異なる周波数の2以上の信号が同時に入力
するトランジスタの増幅作用を利用したトランジスタ増
幅回路であって、トランジスタのエミッタまたはコレク
タの少なくとも一方側に前記2以上の信号におけるそれ
ぞれの高調波の周波数帯で共振する並列共振回路が直列
に接続され、該トランジスタにより発生する高調波を減
衰させることにより、前記2以上の信号と該信号の高調
波とにより発生し得る相互変調積によるノイズの発生を
抑制する構成にされている。
【0012】前記並列共振回路は、前記トランジスタに
より増幅される所望の信号の周波数帯の2倍の周波数帯
で共振するように、並列接続されるインダクタおよびキ
ャパシタのインダクタンスおよびキャパシタンスが設定
されていることが、とくに問題となる3次または5次の
相互変調積を有効に抑制したり、軽減することができる
ため好ましい。
より増幅される所望の信号の周波数帯の2倍の周波数帯
で共振するように、並列接続されるインダクタおよびキ
ャパシタのインダクタンスおよびキャパシタンスが設定
されていることが、とくに問題となる3次または5次の
相互変調積を有効に抑制したり、軽減することができる
ため好ましい。
【0013】前記トランジスタのエミッタ側にバイアス
用抵抗が接続され、該バイアス用抵抗と並列に前記所望
の信号の基本波をバイパスさせるバイパスキャパシタが
接続されていることが、トランジスタの動作点を最適に
設定でき、歪みの発生を最低限に抑えることができるた
め、とくに相互変調積を防止するのに都合がよい。
用抵抗が接続され、該バイアス用抵抗と並列に前記所望
の信号の基本波をバイパスさせるバイパスキャパシタが
接続されていることが、トランジスタの動作点を最適に
設定でき、歪みの発生を最低限に抑えることができるた
め、とくに相互変調積を防止するのに都合がよい。
【0014】
【発明の実施の形態】一般に、放送や通信などにおいて
は、ある周波数帯域が設定され、その周波数帯の中で各
周波数が割り当てられる。たとえば、AM放送帯は50
0〜1650kHz、FM放送帯は76〜90MHzの
周波数帯域が割り当てられ、その周波数帯の中で各放送
局の周波数がさらに割り当てられる。これらの信号を受
信するために、増幅回路により小さな受信信号を増幅す
るが、この増幅回路は、通常その周波数帯の中のどの信
号も受信でき、他の周波数帯の信号は除外されるように
設計される。しかし、前述のように、トランジスタの非
線形効果により相互変調積が発生し、同じ周波数帯の中
に本来の信号と異なる擬信号が生じ、本来の信号の受信
に悪影響を及ぼす。
は、ある周波数帯域が設定され、その周波数帯の中で各
周波数が割り当てられる。たとえば、AM放送帯は50
0〜1650kHz、FM放送帯は76〜90MHzの
周波数帯域が割り当てられ、その周波数帯の中で各放送
局の周波数がさらに割り当てられる。これらの信号を受
信するために、増幅回路により小さな受信信号を増幅す
るが、この増幅回路は、通常その周波数帯の中のどの信
号も受信でき、他の周波数帯の信号は除外されるように
設計される。しかし、前述のように、トランジスタの非
線形効果により相互変調積が発生し、同じ周波数帯の中
に本来の信号と異なる擬信号が生じ、本来の信号の受信
に悪影響を及ぼす。
【0015】本発明者らは、相互変調積に基づくノイズ
はトランジスタのベース・エミッタ間での高調波などの
混合作用により発生することに着目し、トランジスタの
電流経路に並列共振回路を挿入し、混合作用の基となる
高調波信号を減衰させてその電流をベース・エミッタ間
に流さなくすることにより、問題となる相互変調積の発
生を抑制できることを見出した。
はトランジスタのベース・エミッタ間での高調波などの
混合作用により発生することに着目し、トランジスタの
電流経路に並列共振回路を挿入し、混合作用の基となる
高調波信号を減衰させてその電流をベース・エミッタ間
に流さなくすることにより、問題となる相互変調積の発
生を抑制できることを見出した。
【0016】すなわち、たとえば一番問題となる3次の
相互変調積は、本来の信号(基本波)と基本波の2倍の
周波数の2次の高調波との混合作用により発生するた
め、2次の高調波を減衰させることにより3次の相互変
調積を抑制することができる。この2次の高調波を減衰
させることにより、前述の表1に示される2次の高調波
と3次の高調波との差周波数信号である5次の相互変調
積の発生も軽減することができる。その結果、表1に示
されるFM帯の周波数帯域にノイズとして入りやすい3
次の相互変調積の発生を抑制することができると共に、
その周波数帯域近傍の周波数の5次の相互変調積の発生
も減少させることができる。
相互変調積は、本来の信号(基本波)と基本波の2倍の
周波数の2次の高調波との混合作用により発生するた
め、2次の高調波を減衰させることにより3次の相互変
調積を抑制することができる。この2次の高調波を減衰
させることにより、前述の表1に示される2次の高調波
と3次の高調波との差周波数信号である5次の相互変調
積の発生も軽減することができる。その結果、表1に示
されるFM帯の周波数帯域にノイズとして入りやすい3
次の相互変調積の発生を抑制することができると共に、
その周波数帯域近傍の周波数の5次の相互変調積の発生
も減少させることができる。
【0017】つぎに、図面を参照しながら本発明のトラ
ンジスタ増幅回路について詳細に説明をする。
ンジスタ増幅回路について詳細に説明をする。
【0018】図1は本発明のトランジスタ増幅回路の主
要部の一実施形態の等価回路図である。図1において、
1はトランジスタで、そのエミッタ1eにキャパシタC
1 およびインダクタL1 の並列接続からなる並列共振回
路2およびバイアス用抵抗R 1 とが直列に接続されてい
る。バイアス用抵抗R1 には、基本波のバイパス用のバ
イパスキャパシタC2 がバイアス用抵抗R1 と並列に接
続されている。L2 は負荷インピーダンスで、たとえば
キャパシタC3 を介して出力端子Oから出力を取り出
す。なお、出力端子Oはエミッタ側から取り出すことも
できる。
要部の一実施形態の等価回路図である。図1において、
1はトランジスタで、そのエミッタ1eにキャパシタC
1 およびインダクタL1 の並列接続からなる並列共振回
路2およびバイアス用抵抗R 1 とが直列に接続されてい
る。バイアス用抵抗R1 には、基本波のバイパス用のバ
イパスキャパシタC2 がバイアス用抵抗R1 と並列に接
続されている。L2 は負荷インピーダンスで、たとえば
キャパシタC3 を介して出力端子Oから出力を取り出
す。なお、出力端子Oはエミッタ側から取り出すことも
できる。
【0019】本発明のトランジスタ増幅回路は、図1に
その一形態が示されるように、トランジスタ1の、たと
えばエミッタ1e側に並列共振回路2が直列に接続され
ており、その並列共振回路2はこの増幅回路により増幅
される信号の基本波の周波数帯の、たとえば2倍の周波
数帯で共振するように並列共振回路2のインダクタL 1
およびキャパシタC1 のインダクタンスおよびキャパシ
タンスが設定されていることに特徴がある。
その一形態が示されるように、トランジスタ1の、たと
えばエミッタ1e側に並列共振回路2が直列に接続され
ており、その並列共振回路2はこの増幅回路により増幅
される信号の基本波の周波数帯の、たとえば2倍の周波
数帯で共振するように並列共振回路2のインダクタL 1
およびキャパシタC1 のインダクタンスおよびキャパシ
タンスが設定されていることに特徴がある。
【0020】並列共振回路2は、共振周波数でインピー
ダンスが最大となる。したがって、減衰させたい信号の
周波数で共振するように、並列に接続されたインダクタ
L1およびキャパシタC1 のインダクタンスおよびキャ
パシタンスを調整することにより、その周波数の信号を
減衰させることができる。一方、共振周波数と離れた受
信信号の基本波の周波数に対してはインピーダンスは小
さく、殆ど減衰しない。図1に示されるトランジスタ増
幅回路を、たとえばFM放送受信用の増幅回路とする場
合、FM放送帯は前述のように、76〜90MHzであ
るため、たとえばその2倍の152〜180MHz帯で
共振するように前述のインダクタンスおよびキャパシタ
ンスを設定する。この場合、ある範囲の帯域でインピー
ダンスを大きくするためには、並列共振回路2にさらに
抵抗を並列に接続したり、並列共振回路2のインダクタ
L1 などと直列に抵抗を接続することにより、共振回路
のQが低下し、広い帯域でインピーダンスを大きくする
ことができる。
ダンスが最大となる。したがって、減衰させたい信号の
周波数で共振するように、並列に接続されたインダクタ
L1およびキャパシタC1 のインダクタンスおよびキャ
パシタンスを調整することにより、その周波数の信号を
減衰させることができる。一方、共振周波数と離れた受
信信号の基本波の周波数に対してはインピーダンスは小
さく、殆ど減衰しない。図1に示されるトランジスタ増
幅回路を、たとえばFM放送受信用の増幅回路とする場
合、FM放送帯は前述のように、76〜90MHzであ
るため、たとえばその2倍の152〜180MHz帯で
共振するように前述のインダクタンスおよびキャパシタ
ンスを設定する。この場合、ある範囲の帯域でインピー
ダンスを大きくするためには、並列共振回路2にさらに
抵抗を並列に接続したり、並列共振回路2のインダクタ
L1 などと直列に抵抗を接続することにより、共振回路
のQが低下し、広い帯域でインピーダンスを大きくする
ことができる。
【0021】FM放送受信用のトランジスタ増幅回路に
おいて、152〜180MHzで共振するような並列共
振回路2をトランジスタ1のエミッタ1e側に接続する
と、たとえ大きな信号が入力してトランジスタの非線形
効果により高調波が発生しても、その第2次の高調波は
並列共振回路2のインピーダンスにより電流が殆ど流れ
ず減衰する。その結果、トランジスタ1のベース・エミ
ッタ間で混合作用が生じても第2次の高調波は非常に小
さく、前述の3次の相互変調積は発生しない。また、第
2次の高調波と第3次の高調波との混合に基づく5次の
相互変調積も減少する。そのため、FM放送帯内および
その近傍でのノイズ信号は発生せず、本来のFM放送の
受信に悪影響を及ぼすことがない。
おいて、152〜180MHzで共振するような並列共
振回路2をトランジスタ1のエミッタ1e側に接続する
と、たとえ大きな信号が入力してトランジスタの非線形
効果により高調波が発生しても、その第2次の高調波は
並列共振回路2のインピーダンスにより電流が殆ど流れ
ず減衰する。その結果、トランジスタ1のベース・エミ
ッタ間で混合作用が生じても第2次の高調波は非常に小
さく、前述の3次の相互変調積は発生しない。また、第
2次の高調波と第3次の高調波との混合に基づく5次の
相互変調積も減少する。そのため、FM放送帯内および
その近傍でのノイズ信号は発生せず、本来のFM放送の
受信に悪影響を及ぼすことがない。
【0022】図1に示される回路例では、トランジスタ
1のエミッタ1e側に並列共振回路2と直列にバイアス
用抵抗R1 が接続されると共に、バイパスキャパシタC
2 が抵抗R1 と並列に接続されている。そのため、トラ
ンジスタ1の動作点を最適に設定することができ、歪み
の発生を最低限に抑えることができると共に、受信する
信号に対してはバイパスキャパシタC2 により減衰せ
ず、共振回路2と併用することにより一層ノイズの発生
を抑制することができる。
1のエミッタ1e側に並列共振回路2と直列にバイアス
用抵抗R1 が接続されると共に、バイパスキャパシタC
2 が抵抗R1 と並列に接続されている。そのため、トラ
ンジスタ1の動作点を最適に設定することができ、歪み
の発生を最低限に抑えることができると共に、受信する
信号に対してはバイパスキャパシタC2 により減衰せ
ず、共振回路2と併用することにより一層ノイズの発生
を抑制することができる。
【0023】図1に示される例では、並列共振回路2を
トランジスタ1のエミッタ1e側に接続したが、図2に
示されるように、トランジスタ1のコレクタ1c側に接
続しても同様にその共振周波数の高調波などを減衰させ
ることができ、受信に問題となる相互変調積の発生を抑
制することができる。また、エミッタ1e側およびコレ
クタ1c側の両方に並列共振回路を直列に接続すれば、
一層ノイズの抑制効果が大きい。なお、図2において、
図1と同じ部分には同じ符号を付してその説明を省略す
る。
トランジスタ1のエミッタ1e側に接続したが、図2に
示されるように、トランジスタ1のコレクタ1c側に接
続しても同様にその共振周波数の高調波などを減衰させ
ることができ、受信に問題となる相互変調積の発生を抑
制することができる。また、エミッタ1e側およびコレ
クタ1c側の両方に並列共振回路を直列に接続すれば、
一層ノイズの抑制効果が大きい。なお、図2において、
図1と同じ部分には同じ符号を付してその説明を省略す
る。
【0024】前述の例では、並列共振回路の共振周波数
を、受信する信号の周波数帯の2倍の周波数帯にする例
であったが、前述の例のように、3次の相互変調積がと
くに問題になる場合には、受信信号の周波数帯の2倍の
周波数帯で共振する並列共振回路を挿入することにより
解決できる。しかし、共振周波数は受信信号の周波数帯
の2倍に限定されるものではなく、その受信回路で問題
になる相互変調積の基になる高調波の周波数帯などに合
わせれば、望ましくない相互変調積を効率よく抑制する
ことができる。この場合、望ましくない相互変調積の元
になる高調波の周波数帯が2種類以上ある場合には、共
振周波数帯の異なる並列共振回路を直列に接続して、ト
ランジスタのエミッタ側および/またはコレクタ側に挿
入することにより所望の不要ノイズを抑制することがで
きる。
を、受信する信号の周波数帯の2倍の周波数帯にする例
であったが、前述の例のように、3次の相互変調積がと
くに問題になる場合には、受信信号の周波数帯の2倍の
周波数帯で共振する並列共振回路を挿入することにより
解決できる。しかし、共振周波数は受信信号の周波数帯
の2倍に限定されるものではなく、その受信回路で問題
になる相互変調積の基になる高調波の周波数帯などに合
わせれば、望ましくない相互変調積を効率よく抑制する
ことができる。この場合、望ましくない相互変調積の元
になる高調波の周波数帯が2種類以上ある場合には、共
振周波数帯の異なる並列共振回路を直列に接続して、ト
ランジスタのエミッタ側および/またはコレクタ側に挿
入することにより所望の不要ノイズを抑制することがで
きる。
【0025】さらに、前述の例ではFM放送帯の受信の
例であったが、AM放送や、VHF、UHFなどの他の
放送帯の受信、放送以外の通信用周波数帯の受信などに
おいても同様にトランジスタの非線形効果に基づくノイ
ズを抑制することができる。
例であったが、AM放送や、VHF、UHFなどの他の
放送帯の受信、放送以外の通信用周波数帯の受信などに
おいても同様にトランジスタの非線形効果に基づくノイ
ズを抑制することができる。
【0026】
【発明の効果】本発明によれば、増幅用トランジスタの
エミッタ側およびコレクタ側の少なくとも一方に並列共
振回路を直列に接続することにより、トランジスタの非
線形効果により発生し、相互変調積の基となる高調波を
減衰している。そのため、トランジスタに混合作用があ
ってもその基になる高調波がなくなり、受信信号の周波
数帯と重複する相互変調積の発生を抑制することができ
る。
エミッタ側およびコレクタ側の少なくとも一方に並列共
振回路を直列に接続することにより、トランジスタの非
線形効果により発生し、相互変調積の基となる高調波を
減衰している。そのため、トランジスタに混合作用があ
ってもその基になる高調波がなくなり、受信信号の周波
数帯と重複する相互変調積の発生を抑制することができ
る。
【0027】その結果、放送や通信の受信時に強い入力
があっても受信する信号帯にノイズが入ったり、受信す
る信号が打ち消されたりすることがなく、小さな受信信
号でも正確に受信をすることができる。
があっても受信する信号帯にノイズが入ったり、受信す
る信号が打ち消されたりすることがなく、小さな受信信
号でも正確に受信をすることができる。
【図1】本発明のトランジスタ増幅回路の一形態の主要
部の等価回路図である。
部の等価回路図である。
【図2】本発明のトランジスタ増幅回路の他の形態の主
要部の等価回路図である。
要部の等価回路図である。
1 トランジスタ 2 並列共振回路
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平5−191176(JP,A) 実開 昭49−114836(JP,U) 実開 昭55−72324(JP,U) 特公 昭45−2427(JP,B1) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H03F 1/00 - 3/72
Claims (3)
- 【請求項1】 近接した異なる周波数の2以上の信号が
同時に入力するトランジスタの増幅作用を利用したトラ
ンジスタ増幅回路であって、トランジスタのエミッタま
たはコレクタの少なくとも一方側に前記2以上の信号に
おけるそれぞれの高調波の周波数帯で共振する並列共振
回路が直列に接続され、該トランジスタにより発生する
高調波を減衰させることにより、前記2以上の信号と該
信号の高調波とにより発生し得る相互変調積によるノイ
ズの発生を抑制するトランジスタ増幅回路。 - 【請求項2】 前記並列共振回路は、前記トランジスタ
により増幅される所望の信号の周波数帯の2倍の周波数
帯で共振するように、並列接続されるインダクタおよび
キャパシタのインダクタンスおよびキャパシタンスが設
定されてなる請求項1記載の増幅回路。 - 【請求項3】 前記トランジスタのエミッタ側にバイア
ス用抵抗が接続され、該バイアス用抵抗と並列に前記所
望の信号の基本波をバイパスさせるバイパスキャパシタ
が接続されてなる請求項1または2記載の増幅回路。
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---|---|---|---|
JP07029796A JP3160525B2 (ja) | 1996-03-26 | 1996-03-26 | トランジスタ増幅回路 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP07029796A JP3160525B2 (ja) | 1996-03-26 | 1996-03-26 | トランジスタ増幅回路 |
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Publication Number | Publication Date |
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JPH09260963A JPH09260963A (ja) | 1997-10-03 |
JP3160525B2 true JP3160525B2 (ja) | 2001-04-25 |
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JP07029796A Expired - Fee Related JP3160525B2 (ja) | 1996-03-26 | 1996-03-26 | トランジスタ増幅回路 |
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US9035703B2 (en) * | 2012-12-17 | 2015-05-19 | Qualcomm Incorporated | Tunable wide band driver amplifier |
CN112968678B (zh) * | 2021-02-10 | 2024-06-28 | 广州慧智微电子股份有限公司 | 一种射频功率放大器及通信终端 |
-
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- 1996-03-26 JP JP07029796A patent/JP3160525B2/ja not_active Expired - Fee Related
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JPH09260963A (ja) | 1997-10-03 |
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