JP2008219151A - アンテナ整合方式 - Google Patents
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Abstract
【課題】最適なアンテナ条件により短波回線の高品質なデータ通信を実現する。
【解決手段】短波送受信機1とアンテナ2との中間に第1の整合器3Aおよび第2の整合器3Bを直列に接続し、第2の整合器3Bはインダクタンス、キャパシタンス値を固定として軽量化しアンテナ給電点21近傍に設置するとともに、アンテナ2には扇形多条形のものを採用して、送信、受信ともに最適なアンテナ状態を実現する。
【選択図】図4
【解決手段】短波送受信機1とアンテナ2との中間に第1の整合器3Aおよび第2の整合器3Bを直列に接続し、第2の整合器3Bはインダクタンス、キャパシタンス値を固定として軽量化しアンテナ給電点21近傍に設置するとともに、アンテナ2には扇形多条形のものを採用して、送信、受信ともに最適なアンテナ状態を実現する。
【選択図】図4
Description
本発明は、短波送受信システムにおけるアンテナ整合方式に関する。
従来の短波送受信システムにおけるアンテナ整合方式においては、アンテナ整合用のインダクタンス(以下Lと略記することがある)、キャパシタンス(同じく以下Cと略記することがある)は固定素子を選択してL、C回路を構成していたためハードウエアも大型になり重量も重く、かりにL、C値を変化させて整合を図る場合には周波数チャネルを切り替える都度進行波/反射波監視用のメータによりL、C値を設定していたので、最適な整合回路を構成することが困難であり、アンテナ放射効率も悪くかつL、C値設定に長時間を要するため、選択周波数によって時々刻々回線品質が変化するような遠距離データ通信では、最適周波数チャネル変更が現実問題として困難であった。
また、船舶等では設置場所に制約があり、送受信機とアンテナ給電点までの距離が長くなる場合や、送信出力が例えば1kW以上と大きく、回路素子も大きいために整合器が大型になって重量や寸法が大きくなった場合に、設置が困難であるという問題点があった。また、これらの場合には送受信機の送信出力側からアンテナをみたVSWR(電圧定在波比)が規格設定値に収まらないため、アンテナ放射効率が満足できる値に到達しないまま送受信機を接続するのでアンテナ放射効率が低く、十分な回線品質が得られないという問題点もあった。VSWRが大きいと短波帯における整合範囲がせまくなり、周波数の選定にも制約があった。
さらに、アンテナの種類によっては、アンテナが設置不可能なほど長くなったり、良好な放射特性が得られないという問題もあった。
本発明は、送信が大出力で、また送受信機とアンテナ給電点までの距離が長い場合に、整合器の大きさや重量を軽減して設置スペースの問題を解決し、最適な整合回路を迅速に構成してアンテナ放射効率を改善するとともに、最適な種類のアンテナを選定することによって、最適なアンテナ状態による短波帯の低い周波数帯域の高品質なデータ通信を実現することを目的とする。
本発明は、短波送受信機とアンテナとの中間に整合器を接続してなる短波送受信システムにおけるアンテナ整合方式において、送受信機とアンテナとの中間に整合器を2台直列に配置し、送受信機の近傍に配置する第1の整合器は進行波/反射波、負荷抵抗、位相の各検出部ならびに並列インダクタンス、直列インダクタンス、並列キャパシタンスの各可変部をそれぞれCPUに接続してなるインダクタンス、キャパシタンス値が可変のものであり、アンテナの給電点近傍に配置する第2の整合器はインダクタンス、キャパシタンス値が固定の小型のものであり、整合周波数範囲内において、前記第1の整合器からアンテナをみたVSWRが規格値以下となるように第2の整合器を設定した後、前記第1の整合器の各検出部の出力により各可変部のインダクタンス、キャパシタンスをくり返し変化、収束させて、送信、受信ともに最適なアンテナ整合状態を実現できるようにしたことを特徴とする短波送受信システムにおけるアンテナ整合方式において、前記アンテナが、上が開いた扇形多条のアンテナ素子がマストを中心に左右両側に対称に配置され、短波帯の低い周波数帯域に適したものであり、前記アンテナの水平面からの展張角度を最適な角度に設定し、送信機出力がアンテナから効率よく広角に放射されるようにしたことを特徴とする短波送受信システムにおけるアンテナ整合方式である。
本発明では送受信機近傍に設置する第1の整合器に加えて、アンテナ給電点近傍に第2の整合器を設け、これら第1、第2の整合器を直列に接続することにより個々の整合器の大型化を回避するとともに、距離や設置スペースの問題をクリアし、アンテナ近傍の第2の整合器の作用によって第1の整合器からアンテナ側をみたVSWRを規格設定値以下に低下させ、アンテナ効率が改善される。
また、第1の整合器のインダクタンス、キャパシタンス値を可変としたことにより、最適周波数チャネルを迅速、かつ容易に変更でき、送信時にはアンテナからの放射効率が大きく改善され、受信時には送信時に設定された整合回路を効率よく使用することができる。
さらにアンテナとして上が開いた扇形多条のアンテナ素子がマストを中心に左右両側に対称に配置され、短波帯の低い周波数帯域に適したものを選定することによりアンテナの占用スペースを小さくし、前記アンテナの水平面からの展張角度を最適な角度に設定し、送信機出力がアンテナから効率よく広角に放射されるようにすることができ、特に短波帯の低い周波数帯においてデータ通信の品質を大きく向上させるという、すぐれた効果を奏する。
さらにアンテナとして上が開いた扇形多条のアンテナ素子がマストを中心に左右両側に対称に配置され、短波帯の低い周波数帯域に適したものを選定することによりアンテナの占用スペースを小さくし、前記アンテナの水平面からの展張角度を最適な角度に設定し、送信機出力がアンテナから効率よく広角に放射されるようにすることができ、特に短波帯の低い周波数帯においてデータ通信の品質を大きく向上させるという、すぐれた効果を奏する。
アンテナの長さは使用する波長の1/4以上が必要とされているが、長波、中波帯では波長が数百m以上であり、アンテナの高さを1/4波長とすることは現実的でない。そこでアンテナを共振させるために回路にインダクタンスLを挿入して共振周波数を1/4波長よりも低いものとしている。
一方、短波帯の場合は、波長が数十m以下となるので、アンテナの長さを波長の1/2あるいは1/4とすることが可能である。
一方、短波帯の場合は、波長が数十m以下となるので、アンテナの長さを波長の1/2あるいは1/4とすることが可能である。
本発明では上記の短波帯の低い周波数帯域を使用する送受信機において、アンテナがいかなる条件下においても送信時にはその出力が効率よくアンテナに共振して出力し、受信時にはアンテナからの入力を受信部に効率よく入力するようにすることを目的としている。
アンテナ導線の中央から給電する形式のアンテナをタブレットアンテナといい、特に図12に示すようにアンテナ2の長さが選択した波長λの1/2のものを「半波長ダイポールアンテナ」という。半波長ダイポールアンテナは通常の短波通信で一般的に使用される。このアンテナは図12にみられるように一対のλ/4長さの導線を一直線に並べ、中央の端部21A、21B(給電点という)に給電線を接続して給電するもので、2本の導線の中央端部における間隔は平行な給線の間隔と同じにする。
アンテナ導線の中央から給電する形式のアンテナをタブレットアンテナといい、特に図12に示すようにアンテナ2の長さが選択した波長λの1/2のものを「半波長ダイポールアンテナ」という。半波長ダイポールアンテナは通常の短波通信で一般的に使用される。このアンテナは図12にみられるように一対のλ/4長さの導線を一直線に並べ、中央の端部21A、21B(給電点という)に給電線を接続して給電するもので、2本の導線の中央端部における間隔は平行な給線の間隔と同じにする。
半波長ダイポールアンテナにおいてアンテナからもっとも効率よく電波が発射されるときは、電圧、電流ともに正弦波の定常流で、位相差は90度(π/4)である。また、給電点21A、21Bからアンテナを見たインピーダンスが給電点インピーダンスである。給電点では電圧がゼロになる筈であるが、アンテナの放射抵抗があるためゼロとはならず、最小値を示している。半波長ダイポールアンテナの給電点インピーダンスは通常実数部と虚数部とからなり、およそ(73+j43)Ωである。ここでjで表わした項はインピーダンスのリアクタンス分を表わす符号であり、+jとなっているのでインダクタンス分を示しているが、もし−jとなっていればキャパシタンス分を意味する。
短波用のアンテナとしては図13に示すように半波長ダイポールアンテナの一端から給電する方法もある。このときの給電点インピーダンスは、2Z0 2/Zとなる。ここにZ0はアンテナ導線の特性インピーダンスであって、波長λと線直径dとにより決定され、Zは半波長ダイポールアンテナの放射インピーダンスであって、(100+j63)Ωである。
短波用のアンテナとしてはこれら図12、図13に示すものが基本であるが、変形としてコニカルアンテナ、インバーテッドコーンアンテナ、指向性を持たせてアンテナ利得を上げたログペリアンテナなどがある。
いずれの場合でも短波用のアンテナの給電点インピーダンスは実数部と虚数部とからなり、R+jωL、またはR−jωC(ω=2πf、Lはインダクタンス、Cはキャパシタンス)となる。本発明は上記のあらゆる短波用のアンテナに適用できる。
いずれの場合でも短波用のアンテナの給電点インピーダンスは実数部と虚数部とからなり、R+jωL、またはR−jωC(ω=2πf、Lはインダクタンス、Cはキャパシタンス)となる。本発明は上記のあらゆる短波用のアンテナに適用できる。
給電点インピーダンスをベクトル図で表わすと図14のようになる。OZ1は虚数部がリアクタンス分のとき、OZ2は虚数部がキャパシタンス分のときのインピーダンスで、前記したように送信機からの出力がアンテナに最も効率よく共振してアンテナからの輻射電力が限りなく100%に近づくのはθ1=θ2≒0のときであり、送受信機からアンテナ側を見たときに実効抵抗Rに限りなく等しいときである。
上記のように送受信機からアンテナに最大電力が供給できるようにするためには、図15に示すように送受信機1とアンテナ2との間に整合器3を接続する。
この整合器3を使って送受信機1側からアンテナ2側を見たインピーダンスを限りなく図14のベクトル図において実効抵抗Rに近づけるため、整合器の内部は通常L、Cの直列、あるいは並列回路の組み合わせで構成される。
この整合器3を使って送受信機1側からアンテナ2側を見たインピーダンスを限りなく図14のベクトル図において実効抵抗Rに近づけるため、整合器の内部は通常L、Cの直列、あるいは並列回路の組み合わせで構成される。
短波通信においては、選択周波数により、たとえば周波数チャネルをf1からf2に変えたときに、整合条件におけるL、Cの値が大きく変化する。特に選択周波数が高い方に変わる場合にL、Cの変化が大きい。
したがって短波帯の中で近接周波数、例えばf1≒f2≒f3の間で送受信を行う場合には整合回路は固定回路で構成できるが、f1、f2、f3が短波帯の中で大きく離れている場合には、その選択したチャネル周波数によって、追って説明するようにL、Cを可変としてその値を周波数に応じて適宜変更することが必要となる。
したがって短波帯の中で近接周波数、例えばf1≒f2≒f3の間で送受信を行う場合には整合回路は固定回路で構成できるが、f1、f2、f3が短波帯の中で大きく離れている場合には、その選択したチャネル周波数によって、追って説明するようにL、Cを可変としてその値を周波数に応じて適宜変更することが必要となる。
公知の事実として知られているように、アンテナ整合の理論は下記のとおりである。
図16は図15の構成図に対応する回路図である。この図において、送信時に送受信機1の信号源Vgから整合器3を経てアンテナ2(負荷)ZLに最大の電力を供給するための整合条件は次のようになる。
図16で整合回路を流れる電流Iは、
I=Vg/(Zt+Z1) ・・・・・・・・(1)
である。ここで信号源、すなわち送受信機Vgの内部インピーダンスZtは、
Zt=Rt+jXt ・・・・・・・(2)
とする。
図16は図15の構成図に対応する回路図である。この図において、送信時に送受信機1の信号源Vgから整合器3を経てアンテナ2(負荷)ZLに最大の電力を供給するための整合条件は次のようになる。
図16で整合回路を流れる電流Iは、
I=Vg/(Zt+Z1) ・・・・・・・・(1)
である。ここで信号源、すなわち送受信機Vgの内部インピーダンスZtは、
Zt=Rt+jXt ・・・・・・・(2)
とする。
図16の整合回路の(a)、(b)点から負荷側を見たインピーダンスを
Z1=R1+jX1 ・・・・・・・(3)
で表わせば、整合回路側に供給される平均電力PLは、
PL=1/2|I|2Re(Z1)
=1/2|Vg/(Zt+Z1)|2・R1
=1/2|Vg|2・R1/((Rt+R1)2+(Xt+X1)2) ・・・(4)
である。(4)式でRe(Z1)は(3)式における実数部を表わす。
Z1=R1+jX1 ・・・・・・・(3)
で表わせば、整合回路側に供給される平均電力PLは、
PL=1/2|I|2Re(Z1)
=1/2|Vg/(Zt+Z1)|2・R1
=1/2|Vg|2・R1/((Rt+R1)2+(Xt+X1)2) ・・・(4)
である。(4)式でRe(Z1)は(3)式における実数部を表わす。
アンテナに供給される電力PLが最大になる条件のR1およびX1は、
∂PL/∂R1=1/2|Vg|2・((Rt+R1)2+(Xt+X1)2−2(Rt+R1)R1)/((Rt+R1)2+(Xt+X1)2)2
=0 ・・・・・・・(5)
より
R1=Rt ・・・・・・・・・・・・・(6)
X1=−Xt ・・・・・・・・・・(7)
により、
Z1=Zt ・・・・・・・・・・(8)
となり、両者は共役複素数の関係である。
∂PL/∂R1=1/2|Vg|2・((Rt+R1)2+(Xt+X1)2−2(Rt+R1)R1)/((Rt+R1)2+(Xt+X1)2)2
=0 ・・・・・・・(5)
より
R1=Rt ・・・・・・・・・・・・・(6)
X1=−Xt ・・・・・・・・・・(7)
により、
Z1=Zt ・・・・・・・・・・(8)
となり、両者は共役複素数の関係である。
そして、このとき整合回路側に供給される最大電力(PL)maxは、
(PL)max=|Vg|2/8Rg=Vge 2/4Rg ・・・・・・・・(9)
ただしVgeはVgの実効値で、
Vge=Vg/21/2 ・・・・・・・・(10)
である。以上の中で式(8)が整合条件を満たす基本的条件である。
(PL)max=|Vg|2/8Rg=Vge 2/4Rg ・・・・・・・・(9)
ただしVgeはVgの実効値で、
Vge=Vg/21/2 ・・・・・・・・(10)
である。以上の中で式(8)が整合条件を満たす基本的条件である。
前記したように整合回路はインダクタンスLとキャパシタンスCにより構成される。最も簡単な回路例を図17に示す。
前記の式(8)により、
Z1=Zt=((jωL+RL+jXL)・1/jωC)/(jωL+1/jωC+RL+jXL) ・・・・・・・・・(11)
ここでZL=RL+jXL、Xa=ωL、Bc=ωCとおけば、式(11)は式(6)〜(8)から、
Rt−jXt=((jXa+RL+jXL)・1/jBc)/(jXa+1/jBc+RL+jXL) ・・・・・・・・・(12)
さらに変形して
(XL+Xt+Xa−Bc(RLRt+XtXa+XtXL))+j(Rt−RL−Bc(XaRt+XLRt−XtRL))=0 ・・・・・・・・・・・(13)
となり、整合条件においてはこの式は各々実数部=0、虚数部=0の条件から、
XL+Xt+Xa−Bc(RLRt+XtXa+XL)=0 ・・・(14)
Rt−RL−Bc(XaRt+XLRt−XtRL)=0 ・・・(15)
となり、この両式と先のXa=ωL、Bc=ωCとから、
Bc=((Xt±(Rt/RL(Rt 2+Xt 2)−Rt 2)1/2)/(Rt 2+Xt 2)
・・・・・(16)
Xa=1/Bc−(RL(1−BcXt)/BcRt−XL ・・・・・(17)
と求めることができる。
前記の式(8)により、
Z1=Zt=((jωL+RL+jXL)・1/jωC)/(jωL+1/jωC+RL+jXL) ・・・・・・・・・(11)
ここでZL=RL+jXL、Xa=ωL、Bc=ωCとおけば、式(11)は式(6)〜(8)から、
Rt−jXt=((jXa+RL+jXL)・1/jBc)/(jXa+1/jBc+RL+jXL) ・・・・・・・・・(12)
さらに変形して
(XL+Xt+Xa−Bc(RLRt+XtXa+XtXL))+j(Rt−RL−Bc(XaRt+XLRt−XtRL))=0 ・・・・・・・・・・・(13)
となり、整合条件においてはこの式は各々実数部=0、虚数部=0の条件から、
XL+Xt+Xa−Bc(RLRt+XtXa+XL)=0 ・・・(14)
Rt−RL−Bc(XaRt+XLRt−XtRL)=0 ・・・(15)
となり、この両式と先のXa=ωL、Bc=ωCとから、
Bc=((Xt±(Rt/RL(Rt 2+Xt 2)−Rt 2)1/2)/(Rt 2+Xt 2)
・・・・・(16)
Xa=1/Bc−(RL(1−BcXt)/BcRt−XL ・・・・・(17)
と求めることができる。
これらの条件を満たすインダクタンスL、キャパシタンスCが選択できれば、インピーダンスの整合がとれ、アンテナから最大輻射電力が発射されることになる。
通常短波通信で使用される整合器においては、L、Cの可変にはインダクタンスLはステッピングモータ、キャパシタンスCは真空コンデンサまたはギヤステップによる可変コンデンサで駆動する。またアンテナに供給される電力は通常図18に示すような電力ベクトル図で実数部に供給される電力Pfが進行波電力で、虚数部Prが反射波電力となり、Prは送信機内部で無効電力となって熱放射される。すなわち、送受信機に接続された整合器で、図14に示したベクトル図において虚数部を限りなくゼロにするようにL、C回路を設定することができれば図18に示した電力ベクトル図θL≒0となり、アンテナ放射電力OPは最大となる。
通常短波通信で使用される整合器においては、L、Cの可変にはインダクタンスLはステッピングモータ、キャパシタンスCは真空コンデンサまたはギヤステップによる可変コンデンサで駆動する。またアンテナに供給される電力は通常図18に示すような電力ベクトル図で実数部に供給される電力Pfが進行波電力で、虚数部Prが反射波電力となり、Prは送信機内部で無効電力となって熱放射される。すなわち、送受信機に接続された整合器で、図14に示したベクトル図において虚数部を限りなくゼロにするようにL、C回路を設定することができれば図18に示した電力ベクトル図θL≒0となり、アンテナ放射電力OPは最大となる。
反射波電圧Vrと進行波電圧Vfとの比を反射係数Γとすると、
Γ=Vr/Vf ・・・・・・・(18)
Γ2=Vr 2/Vf 2=Pr/Pf ・・・・・・・(19)
であり、Prは図18で示した反射波電力、Pfは進行波電力である。
VSWR(電圧定在波比、電圧反射係数ともいう)は次式によって定義される1より大きい数値である。
Γ=Vr/Vf ・・・・・・・(18)
Γ2=Vr 2/Vf 2=Pr/Pf ・・・・・・・(19)
であり、Prは図18で示した反射波電力、Pfは進行波電力である。
VSWR(電圧定在波比、電圧反射係数ともいう)は次式によって定義される1より大きい数値である。
VSWR=(1+|Γ|)/(1−|Γ|) ・・・・・(20)
これを変形すると、
Γ=(VSWR−1)/(VSWR+1) ・・・・・・・・・ (21)
となり、VSWR =1のときΓ=0となって、反射波電力は0である。
通常、短波帯においてアンテナから出力される電力の目安としては、
アンテナ効率=(Pf−Pr)/Pf
=1−|Γ|2 ・・・(22)
が使用される。この式からも、反射係数が小さいほどアンテナ効率はよく、VSWR =1のとき全電力がアンテナから輻射されることになる。
これを変形すると、
Γ=(VSWR−1)/(VSWR+1) ・・・・・・・・・ (21)
となり、VSWR =1のときΓ=0となって、反射波電力は0である。
通常、短波帯においてアンテナから出力される電力の目安としては、
アンテナ効率=(Pf−Pr)/Pf
=1−|Γ|2 ・・・(22)
が使用される。この式からも、反射係数が小さいほどアンテナ効率はよく、VSWR =1のとき全電力がアンテナから輻射されることになる。
これまでの各式を使用してVSWR、Γ、Γ2およびアンテナ効率を計算してみると表1のようになる。例えばVSWR=3.0のとき、送信出力の25%が送信機側に反射していることがわかる。目標とするアンテナ効率を75%以上とすれば、VSWRの規格設定値を3以下とするのがよい。
構成として先の図15に示したように送受信機1とアンテナ2との中間に整合器3を接続する。整合器3は、送信時には送受信機1の出力とアンテナ2間のインピーダンス整合を取り、VSWRを限りなく1に近づけてアンテナ効率を良好に保持する。受信時も、送信時と同条件とすることにより、アンテナ2から送受信機1を見た場合にインピーダンス整合が取れ、受信電力を効率よく受信することができる。
以下、送信時について説明するが、送信時に整合器3のインピーダンス整合が取れていれば、受信時も同条件で受信し、アンテナ効率がよい。
図7は整合器3の機能を示すブロック図である。整合周波数範囲が大きく、かつアンテナ自身のインピーダンス特性の虚数部分が周波数によって大きく変化する場合、すなわちVSWRの変化が大きい場合は、固定定数のL、C回路では良好な整合が取れない。そこで選択された送信周波数によりL、Cを適正値とするため、可変L、C回路構成とする。
図7は整合器3の機能を示すブロック図である。整合周波数範囲が大きく、かつアンテナ自身のインピーダンス特性の虚数部分が周波数によって大きく変化する場合、すなわちVSWRの変化が大きい場合は、固定定数のL、C回路では良好な整合が取れない。そこで選択された送信周波数によりL、Cを適正値とするため、可変L、C回路構成とする。
図7において、送信時には左側のRF INは送信切替スイッチK1が送信部に接続され、右側のRF OUTはスイッチK2がアンテナ入力部に接続される。逆に受信時は、右側のK2はそのままであるが、K1は受信部の高周波入力部に接続される。なお、送受信機1の送信出力が例えば1kW以上の大電力の場合、周波数切替時に右側のK2リレーはまずR(=50Ω)終端で作動させてL、C値の粗調整を行い、それからK2を切り替えてアンテナに接続して微調整を行うようにする。これによって終端のパワーアンプをインピーダンス解放状態で使用することが回避され、送信部終段半導体を保護することができる。以下はアンテナ接続後の状況について説明する。
図7において、進行波/反射波検出部31では進行波Pfと反射波Prを検出し、Pf/Prの値を、負荷抵抗検出部32はアンテナの負荷抵抗分Rを検出し、位相検出部33は送受信機からアンテナ側を見た場合の位相差を直流電圧分で検出し、それぞれCPU37に入力し記憶させる。
並列インダクタンス可変部34、直列インダクタンス可変部35、並列キャパシタンス可変部36は、前記の記憶された直流電圧値から、可動インダクタンスの場合にはステッピングモータを、可変空気コンデンサの場合はギヤステップを駆動して値を決定する。真空コンデンサの場合は直接直流電圧を印加する。通常は直流電圧の大きさによりL、Cそれぞれが一義的に対応して駆動され、最適値が選択される。
並列インダクタンス可変部34、直列インダクタンス可変部35、並列キャパシタンス可変部36は、前記の記憶された直流電圧値から、可動インダクタンスの場合にはステッピングモータを、可変空気コンデンサの場合はギヤステップを駆動して値を決定する。真空コンデンサの場合は直接直流電圧を印加する。通常は直流電圧の大きさによりL、Cそれぞれが一義的に対応して駆動され、最適値が選択される。
図8は図7の左側半分に示した検出部、すなわち整合器3における進行波/反射波検出部31、負荷抵抗検出部32、位相検出部33の各検出部をさらに具体的に示したもの、図9は同じく図7の右側半分に示した各可変部、すなわち並列インダクタンス可変部34、直列インダクタンス可変部35、並列キャパシタンス可変部36の各可変部をさらに具体的に示したものである。
進行波/反射波検出部31では、送信出力をトランスT11を通して2次側トランスの対アース電圧によってCR11、CR12で交流分を検波した際に出力される直流電圧により進行波電力Pf、反射波電力Prが決定される。各rはCRのアノード側電圧設定用の抵抗、各CはCRの直流電圧出力を決定する設定用コンデンサ、VRはPf、Prの電圧比を設定するための可変直流抵抗である。最適アンテナ整合がとれた条件ではPfはPrよりもはるかに大きい値となる。
負荷抵抗検出部32では、負荷抵抗Rを検出する。アンテナの実効負荷抵抗Rは通常50Ωが標準であるが、送受信機からアンテナ側を見た負荷抵抗は0〜数kΩまで変化する。そこで先に示した図14のインピーダンスベクトル図において横軸R分が50Ωに近づくように、ベクトル合成の負荷抵抗Rを検出する。
トランスT21とコンデンサC21、C22によって抵抗r20の両端に誘起されるアンテナ負荷抵抗による高周波電圧が決定され、CRにおいて検波の後、入力抵抗を介して差動アンプA21に直流電圧が入力され、抵抗r24から負荷抵抗Rが出力される。抵抗r20の両端に誘起される電圧は、送受信機からアンテナ側を見たとき図14における実効抵抗分Rが大きいほど大であり、出力も大きくなる。小さい場合は限りなく0に近づき、出力も0に近い値となる。
トランスT21とコンデンサC21、C22によって抵抗r20の両端に誘起されるアンテナ負荷抵抗による高周波電圧が決定され、CRにおいて検波の後、入力抵抗を介して差動アンプA21に直流電圧が入力され、抵抗r24から負荷抵抗Rが出力される。抵抗r20の両端に誘起される電圧は、送受信機からアンテナ側を見たとき図14における実効抵抗分Rが大きいほど大であり、出力も大きくなる。小さい場合は限りなく0に近づき、出力も0に近い値となる。
位相検出部33では、送信機側からアンテナ側を見たとき、図14に示したインピーダンスベクトル図で横軸の抵抗分の位相θがどの値であるかを検出する。アンテナからの実効輻射効率を向上させるためには、θ1、θ2をできるだけ0に近づけることが必要である。図8においてトランスT31、コンデンサC31、C32は位相検出のためにチャネル切替を行う際の送信高周波出力を取り出し、各抵抗および可変抵抗で構成される抵抗分でコンデンサCから位相変差に相当する電圧成分を取り出す。図10は位相対電圧のカーブである。これをCPU37に記憶させておき、図8におけるインダクタンスL31、コンデンサC36を介して出力された位相変化分を電圧で取り出すのである。
図10の位相検出特性によれば、横軸と縦軸の交点は位相検出値が0であるから、図14におけるインピーダンス特性ではθ1=θ2=0となり、抵抗分Rのみとなる。図10における+V成分はインダクタンス、−V成分はキャパシタンスとなり、V13でθ13、−V13で−θ13の位相となる。位相検出回路より出力される直流により、図7に示すCPU37の内部で記憶し、図10の特性で直流電圧によって位相検出を行い、整合器のインダクタンスLおよびキャパシタンスCを駆動する。位相検出電圧により、前記図7、図8の回路構成で得られた直流電圧によってL、Cの変化量をCPU内部で演算し、図9に示す各駆動回路、すなわち並列インダクタンス可変部34、直列インダクタンス可変部35、並列キャパシタンス可変部36のそれぞれのL、Cをステッピングモータ、可変コンデンサ、大電力の場合は耐圧の大きいコンデンサをアンテナ整合がとれるまで駆動する。なお図7のCPU37と図9のCPU37とは同じものである。
図15、図16では説明のため整合回路は省略して示しているが、実際の回路は少なくとも図7〜9に示すような直並列の組み合わせによる複雑な回路である。アンテナのインピーダンス特性によってその回路構成は異なり、短波帯で整合すべき周波数帯域をどの範囲で選択するかにより回路構成が異なるものとなる。L、Cの大きさ、重量等によって駆動するモータの規格も変わってくる。図14のインピーダンスベクトル図で限りなく実効抵抗分が50Ωに近づくまで、CPU内部で設定されたVSWRの最終収束値は繰り返し計算される。図9における並列インダクタンス可変部34、直列インダクタンス可変部35、並列キャパシタンス可変部36のそれぞれのL、Cを変化させながら演算を繰り返す。そして収束条件すなわち停止条件は図7において、Pf、Pr、R、θに相当する各出力の直流電圧が全てCPU内部に設定された規定値以下に到達したときである。
なお、同じ周波数で2回目以降の整合を行うときは、CPU内部の学習効果により整合時間が早くなる。
図9の並列インダクタンス可変部34に示されているM41は可変インダクタンスL41を駆動するための直流ステッピングモータで、CPUからのVL1出力により駆動される。L42はL41の可変範囲を少なくするための固定インダクタンスで、C41、C42は高周波バイパスコンデンサである。
図9の並列インダクタンス可変部34に示されているM41は可変インダクタンスL41を駆動するための直流ステッピングモータで、CPUからのVL1出力により駆動される。L42はL41の可変範囲を少なくするための固定インダクタンスで、C41、C42は高周波バイパスコンデンサである。
同じく図9の直列インダクタンス可変部35では、M51は可変インダクタンスL52を駆動する直流ステッピングモータで、CPUからのVL2出力により駆動される。一般にM41、M51とも印加される電圧が大きければモータの可変範囲は大きくなり、それに伴ってL41、L52の可変範囲も大きくなる。
図9の並列キャパシタンス可変部36では、送信出力が小さい場合はVLC1の電圧により可変コンデンサに連動するモータからのギヤを使用してコンデンサC61、C62、C63を駆動し、L61の固定インダクタンスと並列の整合回路を構成して整合をとる。大電力の場合には前記のようにこの可変コンデンサに代えて真空コンデンサを使用する。
図9の並列キャパシタンス可変部36では、送信出力が小さい場合はVLC1の電圧により可変コンデンサに連動するモータからのギヤを使用してコンデンサC61、C62、C63を駆動し、L61の固定インダクタンスと並列の整合回路を構成して整合をとる。大電力の場合には前記のようにこの可変コンデンサに代えて真空コンデンサを使用する。
なお、前記L、Cの可変動作は最初のスタート時から図7の進行波/反射波検出部31の直流電圧をCPU37に取り込んで一時記憶させ、つづいて負荷抵抗検出部32によって直流電圧をCPU37に一時記憶させ、順次上記の検出した直流電圧の大きさにより並列インダクタンス可変部34、直流インダクタンス可変部35、並列キャパシタンス可変部36のL、Cを駆動する前記作動を検出回路直流電圧によりくり返し行い、収束するまで作動させる。
なお、周波数に対するL、Cの値は2回目以降はCPUが学習してあるので、2回目以降の同じ近辺の周波数ではL、Cの収束が早くなる。
図11は整合器を設けることにより、横軸の整合範囲の周波数に対してVSWRがどのように改善されているかを示すグラフである。曲線(1)は整合器が接続されていない場合の送受信機側から見たアンテナ側のVSWRの一例で、いま規定値(規格設定値)を3とすれば、この例では短波帯の低い周波数帯で特にVSWRが規定値以上となっている。曲線(2)は整合器を接続した場合であり、使用する周波数帯においてVSWRを規定値以下に確保できることがわかる。
図11は整合器を設けることにより、横軸の整合範囲の周波数に対してVSWRがどのように改善されているかを示すグラフである。曲線(1)は整合器が接続されていない場合の送受信機側から見たアンテナ側のVSWRの一例で、いま規定値(規格設定値)を3とすれば、この例では短波帯の低い周波数帯で特にVSWRが規定値以上となっている。曲線(2)は整合器を接続した場合であり、使用する周波数帯においてVSWRを規定値以下に確保できることがわかる。
以上説明した整合器3の回路構成により、整合周波数の範囲内でVSWRを限りなく1に近づけることができ、送信時には送信出力側から整合器3を通してアンテナ側を見たインピーダンス整合が良好にとれ、受信時には受信アンテナから送受信機1の受信部側を見たインピーダンス整合がとれて受信電力を最大に入力でき、短波帯における良品質のデータ伝送が可能となる。
以上が本発明の基本となる整合方式の説明であるが、前記したように本発明においては解決すべきさらなる課題がある。
すなわち従来の整合方式において、ハードウエアが大型で重量も重く、L、C値を変化させて整合を図る場合にも周波数チャネルを切り替える都度進行波/反射波監視用のメータによりL、C値を設定していたので、設定に長時間を要していたという問題と、
船舶等で設置場所の制約から送受信機とアンテナ給電点までの距離が長くなり、かつ送信出力が大きく、回路素子も大きいために整合器が大型になって重量や寸法が大きくなった場合に、設置が困難であるばかりでなく、前記の式(20)により、アンテナインピーダンスのVSWR値が大きくなってしまうという問題である。例えば送受信機の出力が1kW以上で、送受信機近傍の整合器からアンテナまでの距離が10m以上の場合、規定値を3とすれば、短波帯の低い周波数帯ではVSWR値が規定値を大きく超え、整合器のL、C回路を構成することが困難である。また、短波周波数帯に整合周波数範囲を大きく取りたい場合にも、1台の整合機のみでVSWRを規格設定値以下とすることが困難である。
すなわち従来の整合方式において、ハードウエアが大型で重量も重く、L、C値を変化させて整合を図る場合にも周波数チャネルを切り替える都度進行波/反射波監視用のメータによりL、C値を設定していたので、設定に長時間を要していたという問題と、
船舶等で設置場所の制約から送受信機とアンテナ給電点までの距離が長くなり、かつ送信出力が大きく、回路素子も大きいために整合器が大型になって重量や寸法が大きくなった場合に、設置が困難であるばかりでなく、前記の式(20)により、アンテナインピーダンスのVSWR値が大きくなってしまうという問題である。例えば送受信機の出力が1kW以上で、送受信機近傍の整合器からアンテナまでの距離が10m以上の場合、規定値を3とすれば、短波帯の低い周波数帯ではVSWR値が規定値を大きく超え、整合器のL、C回路を構成することが困難である。また、短波周波数帯に整合周波数範囲を大きく取りたい場合にも、1台の整合機のみでVSWRを規格設定値以下とすることが困難である。
本発明では、整合器を送受信機近傍のみでなく、アンテナ近傍にも接続することにより前記の諸問題を解決するとともに、最適な整合回路を迅速に構成してアンテナ放射効率を改善し、最適なアンテナ状態による短波回線の高品質なデータ通信を実現するようにした。この第2の整合器はインダクタンス、キャパシタンスが固定で、軽量、小型であるから設置場所の制約も少なく、アンテナ給電点のすぐ近傍に設置できる。この結果、送受信機近くに接続する第1の整合器から第2の整合器およびアンテナを見たVSWRを規格設定値以下とすることができる。
さらにアンテナとして上が開いた扇形多条のアンテナ素子がマストを中心に左右両側に対称に配置され、短波帯の低い周波数帯域に適したものを選定することによりアンテナの占用スペースを小さくし、前記アンテナの水平面からの展張角度を最適な角度に設定し、送信機出力がアンテナから効率よく広角に放射されるようにした。
本発明の実施例を説明する。
図1は実施例における無線系統図である。送受信機1とアンテナ2との距離が長いので、送受信機近傍に第1の整合器3A、アンテナ近傍に第2の整合器3Bを設けている。ちなみに第1の整合器3Aはさきに図7〜9に示したような構成で、インダクタンス、キャパシタンス値は可変であるが、第2の整合器3Bは第1の整合器3Aに比較してハードウエアが軽く、かつ整合能力からみてもやや劣る簡易なものである。第2の整合器3Bの内部回路を図2に示す。固定値インダクタンスL71L72、固定値キャパシタンスC71C72を組み合わせて構成されている。このようにすれば整合器3Bは小型、軽量であるから設置場所も自由に選択でき、アンテナ2の近傍の高い位置でも設置可能である。一方整合器3Aは送受信機1の近傍に設置して、整合器3Aから整合器3B側、すなわちアンテナ側を見たVSWRを規格設定値以下とすることができる。
図1は実施例における無線系統図である。送受信機1とアンテナ2との距離が長いので、送受信機近傍に第1の整合器3A、アンテナ近傍に第2の整合器3Bを設けている。ちなみに第1の整合器3Aはさきに図7〜9に示したような構成で、インダクタンス、キャパシタンス値は可変であるが、第2の整合器3Bは第1の整合器3Aに比較してハードウエアが軽く、かつ整合能力からみてもやや劣る簡易なものである。第2の整合器3Bの内部回路を図2に示す。固定値インダクタンスL71L72、固定値キャパシタンスC71C72を組み合わせて構成されている。このようにすれば整合器3Bは小型、軽量であるから設置場所も自由に選択でき、アンテナ2の近傍の高い位置でも設置可能である。一方整合器3Aは送受信機1の近傍に設置して、整合器3Aから整合器3B側、すなわちアンテナ側を見たVSWRを規格設定値以下とすることができる。
図3はこの実施例における周波数対VSWR改善効果を示すグラフで、横軸は整合周波数、縦軸はそのときのVSWR値である。
(1)は整合器を全く装備しない場合の送受信機1からアンテナ側を見たときのVSWR値で、低い周波数帯では規定値をオーバーする。(2)は図1、2に示した本実施例において整合器3Aから整合器3B側、すなわちアンテナ側を見たVSWR値で、図2に示した第2の整合器3Bをアンテナ近傍に設置したことにより、上記周波数帯においてもVSWRが規格設定値以下となっている。(3)は送受信機1からアンテナ側を見たVSWR値で、第1の整合器3Aによって(2)よりもさらにVSWR値が改善されている。第2の整合器3Bを設けることによって第1の整合器3Aの能力が存分に発揮され、アンテナ放射効率が大きく向上する。
(1)は整合器を全く装備しない場合の送受信機1からアンテナ側を見たときのVSWR値で、低い周波数帯では規定値をオーバーする。(2)は図1、2に示した本実施例において整合器3Aから整合器3B側、すなわちアンテナ側を見たVSWR値で、図2に示した第2の整合器3Bをアンテナ近傍に設置したことにより、上記周波数帯においてもVSWRが規格設定値以下となっている。(3)は送受信機1からアンテナ側を見たVSWR値で、第1の整合器3Aによって(2)よりもさらにVSWR値が改善されている。第2の整合器3Bを設けることによって第1の整合器3Aの能力が存分に発揮され、アンテナ放射効率が大きく向上する。
受信時にもアンテナから受信機側を見たインピーダンス整合が図られるので受信電力を最大に入力でき、短波帯における遠距離データ通信において高品質な無線回路を実現することができる。
図4は、船舶、大型車両等の移動体に図1の構成の短波送受信システムを配置した例を示す船首側から見た概念図で、アンテナとして上が開いた扇形多条のアンテナ素子がマストを中心に左右両側に対称に配置されたもの(以下、「扇形多条アンテナ」という)を採用している。Sは船体、Mはマストである。送受信機1およびこの近傍に接続する第1の整合器3Aは例えば船室内の比較的広いスペースに設置する。一方マストMに高周波ケーブルを沿わせ、例えば海面上高さ約20mの位置にアンテナの給電点21を設け、その近傍に第2の整合器3Bを設置する。
図4は、船舶、大型車両等の移動体に図1の構成の短波送受信システムを配置した例を示す船首側から見た概念図で、アンテナとして上が開いた扇形多条のアンテナ素子がマストを中心に左右両側に対称に配置されたもの(以下、「扇形多条アンテナ」という)を採用している。Sは船体、Mはマストである。送受信機1およびこの近傍に接続する第1の整合器3Aは例えば船室内の比較的広いスペースに設置する。一方マストMに高周波ケーブルを沿わせ、例えば海面上高さ約20mの位置にアンテナの給電点21を設け、その近傍に第2の整合器3Bを設置する。
扇形多条アンテナ2の形状は図5に示すようにマストMを対称軸として平面上対称にn本(nは2〜5)のアンテナ素子22を扇形に張った形状である。マストM自体がその一部として作用し、アンテナ素子22が比較的短くても固有振動数が低いので周波数付近の実効抵抗値は標準値50Ωに近付く。また、アンテナ素子22が扇形多条であることから、帯域幅もさきの図13で示した半波長のダイポールアンテナよりも広い。
このアンテナの整合方法は、第2の整合器3Bを図2で示した固定値の回路構成とし、キャパシタンスC71およびインダクタンスL72をアンテナに直列に、またキャパシタンスC72およびインダクタンスL71をアンテナに並列に挿入し、使用する周波数帯でのVSWRを目標とする規定値以下になるようにする。すなわち選択した周波数毎にCおよびLに連動するダイヤルで最適値を設定するか、整合特性を多少犠牲にして固定値を設定する。
なお、整合以前の問題として、アンテナ自体のインピーダンス特性が整合範囲内であることが重要である。移動体が船舶の場合、アンテナの艤装条件によっては周囲の構造物の影響でアンテナ特性が著しく変化する場合がある。マストMの構造にもよるが、図5において、アンテナ素子22の長さ(G+H)が16〜19m、追って説明する展張角度θが約40度、展張スパン(上側)がB、Cは1〜1.5m、展張スパン(下側)がDは2.6〜5.5m、E、Fは0.3〜0.5mに設計する。Aは給電点からアンテナ素子への給電線で2〜4mである。
このアンテナでは2台の整合器により、送信時には第2の整合器によって第1の整合器から見たVSWRが3以下となり、送受信機の出力側から見たVSWRは1.3以下となる。このように、送信電力の放射効率および受信の際のVSWRが改善されるので受信利得も大きく向上する。
図6(a)は実施例の短波送受信システムを搭載した船体の主要部を示す部分側面図で、Mはマスト、2はアンテナ(アンテナ素子も同じ)である。アンテナ2は展張角度θで傾斜して張られている。傾斜させることにより、図6(b)の放射特性図に示すように斜め上方に最大放射され、送信機出力がアンテナから効率よく広角に放射される。
図6(a)は実施例の短波送受信システムを搭載した船体の主要部を示す部分側面図で、Mはマスト、2はアンテナ(アンテナ素子も同じ)である。アンテナ2は展張角度θで傾斜して張られている。傾斜させることにより、図6(b)の放射特性図に示すように斜め上方に最大放射され、送信機出力がアンテナから効率よく広角に放射される。
このように、本発明によれば短波帯における遠距離データ通信において高品質な無線回路を実現することができる。
1 送受信機
2 アンテナ
3、3A、3B 整合器
21 給電点
22 アンテナ素子
31 進行波/反射波検出部
32 負荷抵抗検出部
33 位相検出部
34 並列インダクタンス可変部
35 直列インダクタンス可変部
36 並列キャパシタンス可変部
37 CPU
M マスト
S 船体(移動体)
2 アンテナ
3、3A、3B 整合器
21 給電点
22 アンテナ素子
31 進行波/反射波検出部
32 負荷抵抗検出部
33 位相検出部
34 並列インダクタンス可変部
35 直列インダクタンス可変部
36 並列キャパシタンス可変部
37 CPU
M マスト
S 船体(移動体)
Claims (1)
- 短波送受信機とアンテナとの中間に整合器を接続してなる短波送受信システムにおけるアンテナ整合方式において、
送受信機とアンテナとの中間に整合器を2台直列に配置し、送受信機の近傍に配置する第1の整合器は進行波/反射波、負荷抵抗、位相の各検出部ならびに並列インダクタンス、直列インダクタンス、並列キャパシタンスの各可変部をそれぞれCPUに接続してなるインダクタンス、キャパシタンス値が可変のものであり、アンテナの給電点近傍に配置する第2の整合器はインダクタンス、キャパシタンス値が固定の小型のものであり、
整合周波数範囲内において、前記第1の整合器からアンテナをみたVSWRが規格値以下となるように第2の整合器を設定した後、
前記第1の整合器の各検出部の出力により各可変部のインダクタンス、キャパシタンスをくり返し変化、収束させて、
送信、受信ともに最適なアンテナ整合状態を実現できるようにしたことを特徴とする短波送受信システムにおけるアンテナ整合方式において、
前記アンテナが、上が開いた扇形多条のアンテナ素子がマストを中心に左右両側に対称に配置され、短波帯の低い周波数帯域に適したものであり、前記アンテナの水平面からの展張角度を最適な角度に設定し、送信機出力がアンテナから効率よく広角に放射されるようにしたことを特徴とする
短波送受信システムにおけるアンテナ整合方式。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2007050195A JP2008219151A (ja) | 2007-02-28 | 2007-02-28 | アンテナ整合方式 |
Applications Claiming Priority (1)
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Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
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ID=39838723
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---|---|---|---|
JP2007050195A Pending JP2008219151A (ja) | 2007-02-28 | 2007-02-28 | アンテナ整合方式 |
Country Status (1)
Country | Link |
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JP (1) | JP2008219151A (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN112285440A (zh) * | 2020-10-26 | 2021-01-29 | 深圳市卓睿通信技术有限公司 | 一种天线测试工装及天线测试设备 |
CN114430101A (zh) * | 2021-12-18 | 2022-05-03 | 中国电波传播研究所(中国电子科技集团公司第二十二研究所) | 一种小型化无盲区短波框架偶极天线 |
-
2007
- 2007-02-28 JP JP2007050195A patent/JP2008219151A/ja active Pending
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