JP4779134B2 - 導電ペースト用の導電フイラーおよびその製法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は,導電性能が良く且つ粘性の低い導電ペーストを得るための導電フイラー(銀含有銅粒子粉末)に関する。
【0002】
【従来の技術】
絶縁基板上に導電ペーストをスクリーン印刷して厚膜回路基板を作製する場合,その導電ペーストとして銀粉を導電フイラーとした銀系ペーストが主として使用されてきたが,銅粉を導電フイラーとした銅系ペーストも使用される傾向にある。銅系ペーストは,銀系ペーストに比べて,マイグレーションが起き難い,導体抵抗および高周波損失が小さいので回路の微細化が可能,耐半田性に優れる,低コスト化が可能である,等の利点があるからである。このような利点をもつ銅系の導電ペーストは,粒径が0.1〜10μm程度の銅粉を適切な樹脂バインダーに分散させることによって得られる。
【0003】
とくに最近では,積層基板に小孔状またはスリット状のスルーホール或いはビア(VIA)ホールを設け,そこに導電ペーストを充填して加熱硬化することにより,基板中に高密度に導電回路を形成するいわゆる高密度実装用多層基板が製作されるようになったが,このような小孔状またはスリット状の小さな空隙に充填する導電ペーストとして特に銅ペーストが注目されている。
【0004】
他方,銀ペーストと銅ペーストの特徴を併せもつものとして,銅粒子の表面に銀を被覆した銀被覆銅粉を導電フイラーとしたものも提案されており,例えば特開平1−201486号公報には,厚さ5μm以下に偏平加工された銅粉末の表面に銀を10〜60重量%付着させた銀被覆銅粉が提案されており,この銀被覆銅粉を導電フイラーとした導電ペーストは耐マイグレーション性に優れるとされている。
【0005】
このような銅系のフイラーを製造するための銅粉の製造法としては,機械的粉砕法,溶融銅を噴霧するアトマイズ法,陰極への電解析出法,蒸発蒸着法,湿式還元法等が知られている。これらはそれぞれ得失があるが,湿式還元法はペースト用に適する粒径の微細粉を比較的容易に得ることができるので,導電ペースト用銅粉を製造する場合の主流となっている。しかし,湿式還元法は工程が多く,各工程の管理も複雑であることは否めない。これに対してアトマイズ法は粒径と粒子形状の制御はある程度ラフにならざるを得ないが,大量生産性に適し,製造コストも安価であるという利点がある。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
導電ペーストはその基本的性能として硬化塗膜の導電性が優れること(電気抵抗が低いこと)が第一義に重要であるが,その電気抵抗は金属フイラーの特性によるところが大きい。すなわち,同一純度の金属フイラーであっても,これを樹脂に同一充填率で分散させた場合に,その粒度分布や粒子形状などの違いにより,電気抵抗も異なる値を示すようになる。電気抵抗を少なくするには,粒子同士が密に接触すること,換言すれば,粒子同士の接触界面が多くなるように,樹脂中に高い充填率をもって金属粒子が分散していることが重要であろうことは当然に考えられるが,導電ペーストに要求される他の性質例えば良好な粘性を保持しながら,これを実現しようとすると,実際には容易なことではない。
【0007】
特開平1〜201486号公報に提案されたように偏平加工した金属粉は,これを樹脂に分散させた場合に粒子同士の接触面積を多くすることができるので電気抵抗は小さくなり,且つ銀は銅より導電性に優れるので,偏平加工した銅粉に銀被覆したものは,さらに電気抵抗は小さくできる。しかし,このものは,その塗膜の電気抵抗が小さくなっても,導電ペーストの粘性が偏平であればあるほど高くなる。すなわち,粒子形状の点から,偏平加工などを施して電気抵抗を小さくしようとするとペーストの粘性が増加するという相反結果を招くことになり,電気抵抗と粘性を同時に低下させることは困難である。また該公報のものは銀量を多く必要としており高コストでもある。
【0008】
ところが、最近では、硬化塗膜の電気抵抗が極度に低く、しかも極めて微細な空隙に充填できるような低い粘性を示す導電ペーストが、前述した多層基板のスルーホールやビヤホール充填用として要求されるようになった。これまでのものにはない流動性の良いペーストが形成でき且つ優れた導電性の塗膜が形成できる導電フイラーであって、しかも安価であることが要求されるのである。本発明は、この困難な課題を解決することを目的としたものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明によれば,電気抵抗と粘性を同時に低下させることができた導電ペースト用フイラーを提供するもので,その要旨とするところは,1〜10重量%未満の銀を含有する銅粉であって,銀の殆んどが粒子表面に存在した銀含有銅粒子からなり,且つ該銀含有銅粒子の平均長軸長さ/平均短軸長さの比が1.1〜5の範囲にある導電ペースト用の導電フイラーである。ここで,銀含有銅粒子は平均粒径が1〜8μmの範囲の或る値を有するのが好ましく,特に,該銀含有銅粒子は,該粒子同士を機械的に接触させる表面平滑化処理が施されたものであるのが一層好ましい。
【0010】
この銀含有銅粒子粉末からなる導電フイラーを製造するには,偏平加工された銅粉を銀の錯体溶液と接触させて該偏平銅粉の表面に1〜10重量%未満の銀を析出させるという製法を採用できる。さらには,偏平加工された銅粉を銀の錯体溶液と接触させて該偏平銅粉の表面に1〜10重量%未満の銀を析出させ,得られた偏平な銀被覆銅粉の粒子同士を機械的に接触させる表面平滑化処理を施して平均長軸長さ/平均短軸長さの比が1.1〜5の範囲の銀含有銅粒子粉末とする製法によって一層有利に製造できる。そのさい,偏平加工する前の銅粉として球形のアトマイズ銅粉を使用することができる。
【0011】
【発明の実施の形態】
本発明者らは,適切な粒度に調整された銅粉を原料とし,これを加工して偏平粒子からなる銅粉としたうえ,少量の銀を被覆させる処理を行うか,さらにはこの銀被覆処理を行ったあと,粒径やアスペクト比はそれほど変化しないように,粒子同士を機械的に接触させる表面平滑化処理を施して,平均長軸長さ/平均短軸長さの比が1.1〜5の範囲の銀含有銅粒子粉末とすると,これを樹脂バインダーに分散させたとき,これまでのものにはない流動性の良いペーストが形成でき且つ優れた導電性の塗膜が形成できることを見い出した。
【0012】
すなわち,その製造履歴を問わず,平均粒径に近い粒径の球状粒子数の多い(粒度分布の狭い球状の)銅粉を原料として,これをボールミル等で偏平な粒子の銅粉に加工し,長軸長さ/短軸長さの比(アスペクト比と呼ぶ)を1.1〜5,好ましくは1.5〜5とし(平均粒径は若干大きくなる),この偏平粒子粉末を湿式法で銀コート処理し,その表面に1〜10重量%未満の銀を被覆するか,更にはそのあと,各粒子表面の凹凸を除去して滑らかな表面を得るための処理(表面平滑化処理)を行うのである。
【0013】
原料銅粉は湿式還元法によって得られた銅粉でも,アトマイズ法によって得られた銅粉でもよい。本発明においてアトマイズ粉が原料に使用できることは価格的にも大量生産性にも有利な点である。原料銅粉は球形粒子であることが望ましく,その平均粒径は0.5〜20μmの範囲,好ましくは1〜5μmの範囲であるのがよい。
【0014】
この球形の原料銅粉をアスペクト比が1.1〜5,好ましくは1.5〜5となるように偏平加工するには,該原料銅粉を界面活性剤水溶液と共にボールミルに装填し,各粒子をボールで押圧加工する処理に供すればよい。界面活性剤水溶液との共存により,銅粉と水とのなじみがよくなるので,粒子同士の凝集や接合を防止しながら,各粒子を独立した状態でそれぞれを偏平な形状に加工することができる。この偏平加工により,平均粒径は1〜20μmの範囲,好ましくは1〜8μmの範囲となる。
【0015】
この偏平銅粉を次に1〜10重量%の銀の被覆処理に供するのであるが,これは銀の錯体溶液を用いた湿式処理で行うのがよい。実際には,硝酸銀溶液とEDTA溶液およびアンモニウム塩を使用して,銀の錯体溶液を作成し,この液で該偏平銅粉を処理して,粒子の表面部の銅と液中の銀イオンとの置換反応によって銅粒子表面に薄い銀の被膜を形成させることができる。この場合,粉体全体中の銀の含有量が1重量%未満では,銀被覆による導電性向上効果が十分には得られない。他方,銀含有量が10重量%を超えると,銀被膜が厚くなり過ぎてマイグレーション発生の危険性があると共に,湿式法による銀コートでは被膜が均一に形成できるので,10重量%を超えるような銀量を被着させても,導電性向上効果は飽和し,高価な銀量増加によるコスト上昇負担が増大するだけであるから,好ましいことではない。
【0016】
偏平銅粉にこの銀被覆処理を施すことによって後記の実施例にも示すように塗膜の抵抗値を低下させることができる。しかし,これだけではペースト粘性の低下と塗膜抵抗の低減は十分には同時に達成できない場合もある。これを同時に達成するには,薄く銀被覆した偏平銅粉を,その粒子表面の凹凸が消えて滑らかな表面をもつように平滑化処理することが有利である。この平滑化処理は,粉体の流動化によって行うことができ,この流動化は機械的に粉体を流動化させる装置,例えば筒型高速攪拌機(流動ミキサー)によるのが便利である。すなわち,各粒子に運動量を与え,その運動する粒子同士を互いに衝突させることにより,粒子表面の凹凸(角張り部分)を平滑化する処法によれば,粒径とアスペクト比は殆んど変化させずに,各粒子の表面を滑らかにすることができる。筒型高速攪拌機は,筒状の密閉容器(軸を垂直方向にした円筒型容器)の内部下方に設けた回転羽根によって粉体に遠心力と浮揚力を与えることができ,これにより容器内を粉体が流動するので,この流動の間に表面が平滑化される。
【0017】
偏平加工した銅粒子の表面に角張り部分が必然的に生じており,銀コートしても銀量が少ないだけにその形状自体はそれほど変化がなく,この段階ではペースト粘性が高くなることがあるが,これを前記の表面平滑化処理に供すると,銀の被膜は破壊または剥離が生ずることなく,逆に,滑らかになった粒子表面に銀が一様に付着した状態となり,しかも,粒子表面の角張りが除去されるので,これをフイラーとした導電ペーストは粘性が低く(流動性が良く)かつ硬化塗膜の電気抵抗が低くなる点で,従来のものにはない有利な特性を示すようになる。
【0018】
この表面平滑化処理を終えた本発明に従う銀被覆銅粉は,1〜10重量%未満の銀の殆んどが銅粒子表面に存在した銀含有銅粒子からなり,その平均長軸長さ/平均短軸長さの比(アスペクト比)が1.1〜5の範囲,平均粒径が1〜8μmの範囲の粉体となり,このものは導電ペースト,とくに,積層基板のスルーホールやビアホール等の極微小な空隙に充填する導電ペーストを作成するのに適する導電フイラーとなる。ここで,「銀の殆んどが粒子表面に存在する」とは,銅粒子の表面のみに銀が存在する状態を理想とするが,銀の一部が銅粒子内に拡散した状態のものでも,銀による導電性能の向上効果が実質的に損なわれない限り許容できる。要は表面の銀が主となって電気抵抗を低く保つのが本発明の主旨であり,この電気抵抗が大幅に変化しない程度の少量の銀の粒子内への拡散は特に問題とならない。
【0019】
この導電フイラーのアスペクト比が1.1未満,場合によっては1.5未満では,硬化塗膜の電気抵抗を十分に下げることはできない。逆にそのアスペクト比が5を超えると,導電ペーストの粘性を十分に下げることができず,スルーホールやビアホールへの適用が困難となる。平均粒径については,実際には0.1〜10μm程度のものとすることもできるが,スルーホールやビアホールへの適用に際しては,平均粒径が1〜8μm,好ましくは3〜6μmの範囲の或る値であるのがよい。平均粒径が1μm以下ではペースト化に際して凝集が発生することがあり得るし,平均粒径が8μmを超えると粒径の大きなものも混在する可能性があり,スルーホールやビアホールへの適用が困難となる。
【0020】
また,このようにして得られる本発明の銅系の導電フイラーは,銀の含有量が1〜10重量%未満で,比表面積(BET法による比表面積)が0.1〜0.6m2/gの範囲にあり,タップ密度が3〜6g/cm3の範囲であるのがよい。
【0021】
この導電フイラーは,エポキシ当量が180〜190g/eqで且つ25℃粘度が1〜3Pa.sのビスフェノールF型液状エポキシ樹脂14.4重量%と,このエポキシ樹脂用の硬化剤(例えば味の素株式会社製商品名アミキュアのアミンアダクト系硬化剤)0.6重量%に対し,該フイラー85重量%を混合し,その混合物を3本ロールで混練して得たペーストの粘度が,コーンデスク式粘度計を用いて回転速度10rpm,温度25℃で測定したときに,30Pa.s以下の値を示すようになり,スルーホールやビアホールへの充填が十分に行える流動特性を有するペーストを得ることができる。
【0022】
さらに,この導電フイラーは,前記の粘度測定用に用いたのと同じ混練物とし,これを絶縁性セラミック基板の上に幅10mm,長さ600mmのラインに塗布したうえ,空気中で150℃±5℃に制御した乾燥機に30分保持して硬化塗膜を形成し,この硬化塗膜の抵抗値を2端子のデジタルメータで電気抵抗(Ωcm)を測定したときに,1×10-3Ωcm以下の電気抵抗を示すようになり,スルーホールやビアホールの導電回路として良好な品質のものが形成できる。
【0023】
以下に,実施例を挙げて本発明の効果を具体的に示す。
【0024】
【実施例】
参考例1
1/16インチ径のSUS304製ボール10.5Kgを入れた容量5Lのボールミルに、粒子形状が実質的に球形で且つ平均粒径が5μmのアトマイズ銅粉1250gと、界面活性剤(第一工業製薬株式会社製の商品名ノイゲンET−190)を12.5g溶解した水溶液900mLとを装填し、該ボールミルを25度に傾斜させながら360rpmの回転速度で所定の時間回転させたあと、ボールを分離し、得られた処理粉をブフナーロートを用いてよく水洗したうえ真空乾燥し、得られた銅粉を電子顕微鏡観察により、視野中の100個の粒子から、平均粒径と、平均長軸長さ/平均短軸長さの比(アスペクト比と言う)を測定すると共に、該銅粉を成形圧250kg/cm2で圧粉成形し、その成形体を4端子法で電気抵抗を測定した。
【0025】
前記のボールミルの回転時間が0分(アトマイズ粉そのもの),15分,30分,45分であった場合の,平均粒径(μm),アスペクト比,成形体抵抗(Ωcm)を表1に示した。
【0026】
【表1】
Figure 0004779134
【0027】
表1の結果から,偏平化処理時間を長くしてアスペクト比が大きくなると,それに従って成形体抵抗が低下することがわかる。
【0028】
実施例1
参考例1の偏平化処理時間を変えることにより、各種の平均粒径とアスペクト比をもつ偏平化銅粉を製造したうえ、各々の銅粉に対し、銀含有量が目標値5重量%となるように、銀被覆処理を行った。銀被覆処理は次のようにして行った。まず、323.25gのEDTA−3Na(2水和物)と161.62gの炭酸アンモニウムを純水1288mLに溶解した液(組成1の液)と、309.40gのEDTA−3Na(2水和物)と309.40gの炭酸アンモニウムを純水3600mLに溶解した液(組成2の液)を準備する。次に、53.87gの硝酸銀を水166mLに溶解した硝酸銀溶液と組成1の液とを混合し、1時間攪拌して銀のEDTA錯体溶液を作成する。他方、前記の偏平化銅粉650gを組成2の液に投入し、30分攪拌して銅の懸濁液を作成する。そして、この銅の懸濁液と前記の銀のEDTA錯体溶液を混合し、30分間攪拌する。これにより各銅粒子の表面には銀が析出する。
【0029】
この銀被覆処理のあとは,ろ別,水洗,真空乾燥して,銀被覆偏平化銅粉を得た。真空乾燥した状態では凝集した状態になっているので,これを解砕機に入れ窒素雰囲気中で個々の粒子に解砕した。解砕処理に用いた解砕機は,スイングするハンマーを内装した衝撃式粉砕機であり,凝集状態から個々の粒子に解砕できるが,粒子表面を平滑化する機能は殆んど有しない。
【0030】
得られた銀被覆偏平化銅粉を, 軸を垂直にした円筒容器の底部に2枚の回転羽根をも筒型高速攪拌機に装入して,表面の凹凸を平滑化する処理を行った。この攪拌機内では,該羽根の回転により遠心力を付与された粉体は上方向に流動し,この流動の間に粒子同士が衝突を繰り返すことにより,粒子表面の凹凸が平滑化される。この平滑化処理は,該回転羽根を最大回転数で30秒間回転させる処理を1サイクルとして,このサイクル数を変えることよって,平滑化処理の程度を調整した。
【0031】
これの処理を通じて得られた各粉体について,銀含有量,アスペクト比,平均粒径,比表面積(BET法による),タップ密度,ペースト粘度およびペースト塗膜の電気抵抗を測定し,その結果を表2に示した。ペースト粘度の測定にあたっては,各粉体85重量%を,エポキシ当量が180〜190g/eqで且つ25℃粘度が1〜3Pa.sのビスフェノールF型液状エポキシ樹脂14.4重量%と,このエポキシ樹脂用の硬化剤(例えば味の素株式会社製商品名アミキュアのアミンアダクト系硬化剤)0.6重量%と共に3本ロールで混練したうえ,コーンデスク式粘度計により,回転速度10rpm,25℃で測定した。また,ペースト塗膜の電気抵抗は,ペースト粘度の測定のときと同じように混練して得たペーストを,幅10mm,長さ600mmのラインを絶縁性セラミック基板の上に塗布し,空気中で150℃±5℃に制御した乾燥機に30分保持して硬化塗膜を形成し,この硬化塗膜の抵抗値を2端子のデジタルメータで電気抵抗(Ωcm)を測定した。
【0032】
【表2】
Figure 0004779134
【0033】
表2の結果から,各粉体を導電ペーストのフイラーとして用いた場合に,次のことがわかる。
【0034】
(1) 銀被覆したものは塗膜の抵抗値が低下する(例えばNo.1とNo.5の比較)。これは銀被覆により銅粒子の酸化が抑制されるからであろうと考えられる。
(2) 球状の銀被覆銅粉でも,平滑化処理したものは塗膜抵抗値が下がり且つペースト粘度も低下するが(例えばNo.5とNo.6の比較),それでもNo.6の塗膜抵抗値は相当高い値(0.98×10-3Ωcm)を示し,銀被覆と平滑化処理だけでは,塗膜抵抗値を低下させるには限界がある。
(3) これに対し,偏平加工した銅粉に銀被覆したものは硬化塗膜の抵抗値が非常に低下する。
(4) そして,偏平加工した銅粉に銀被覆したものは,これを平滑化処理すると,平滑化処理しないものに比べて,さらに硬化塗膜の抵抗値が下がり且つペースト粘度も低下する(例えばNo.7とNo.8の比較)。
【0035】
したがって,球状銅粉を偏平加工したうえで銀被覆し,これを平滑化処理して得た銀被覆銅粉を導電フイラーとしたペーストは,粘性が低く硬化塗膜の抵抗値が極めて低くなることがわかる。
【0036】
【発明の効果】
以上説明したように,本発明によると,積層基板のスルーホールやビアホール等の微小空隙の充填用導電ペーストに適した流動性と導電性を示す導電フイラーを得ることができ,パワーモジュール半導体基板の進展に大いに貢献できる。

Claims (5)

  1. 1〜10重量%未満の銀を含有する銅粉であって、銀が粒子表面に存在した銀含有銅粒子からなり、粒子同士を機械的に接触させる表面平滑化処理が施され、且つ該銀含有銅粒子の平均長軸長さ/平均短軸長さの比が1.1〜5の範囲にある導電ペースト用の導電フイラー。
  2. 銀含有銅粒子は平均粒径が1〜8μmの範囲の或る値を有する請求項1に記載の導電フイラー。
  3. 球形銅粉を偏平加工して平均長軸長さ/平均短軸長さの比が1.1〜5の範囲の偏平粒子からなる銅粉とし、この偏平加工された銅粉を銀の錯体溶液と接触させて該偏平銅粉の表面に1〜10重量%未満の銀を析出させることからなる導電ペースト用の導電フイラーの製法。
  4. 偏平加工された銅粉を銀の錯体溶液と接触させて該偏平銅粉の表面に1〜10重量%未満の銀を析出させ、得られた偏平な銀被覆銅粉の粒子同士を機械的に接触させる表面平滑化処理を施して平均長軸長さ/平均短軸長さの比が1.1〜5の範囲の銀含有銅粒子とする導電ペースト用の導電フイラーの製法。
  5. 偏平加工する前の銅粉は球形のアトマイズ銅粉である請求項4に記載の導電フイラーの製法。
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