JP4779121B2 - 不飽和アルコールの改良合成方法 - Google Patents

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Description

関連する特許出願に対するクロスリファレンス
本件は、2003年10月9日出願の米国仮特許出願第60/509,908号の利益を主張する。
本発明は、エネルギー省によって裁定されたAward Number DE−FC36−01ID14213(以前は、Award Number DE−FC07−01ID14213として知られている)下で米国政府援助によりなされた。米国政府は、本発明に於いて一定の権利を有する。
本発明は、不飽和アルコール(オレフィンアルコール)を製造するメタセシス方法に関する。
不飽和アルコール、例えばホモアリルアルコール(homo-allylic alcohol)及びアリルアルコール(allylic alcohol)は、合成ゴム、界面活性剤、芳香剤及び熱可塑性ポリウレタンの製造に於ける有用な中間体である。
近年、化学工業は、石油系化学原料を非石油系化学原料で置き換えることに注目してきている。これらの流れに沿って、研究は、天然の及び遺伝子的に修飾された種子油(seed oil)を、有用な工業的有機化学品に転化させることに集中されてきた。例えば種子油から誘導される不飽和脂肪酸エステルは、減少した鎖のオレフィン及び減少した鎖の不飽和エステルを生成するためのメタセシス触媒の存在下で、低級オレフィン、例えばC2〜C8オレフィンとのクロス−メタセシス反応を受け得ることが知られている。例えば特許文献1には、触媒に、一座配位子、即ち中心触媒金属に対して1個の結合部位を有する配位子が含有されている、このようなメタセシス反応が開示されている。代表例として、メチルオレエート(オレイン酸メチル)が、ジクロロ−3,3−ジフェニルビニルカルベン−ビス(トリシクロヘキシルホスフィン)ルテニウム(II)の存在下で、エチレンとのクロス−メタセシス(エテノリシス(ethenolysis))を受けて、減少した鎖のα−オレフィンである1−デセン及び減少した鎖の不飽和エステルであるメチル 9−デセノエートを生成することが開示されている。不飽和脂肪酸エステルの1個の分子が、同一の不飽和脂肪酸エステルの分子によりメタセシス反応される、ホモ−メタセシス反応も開示されている。例として、オレイン酸メチルが、ホモ−メタセシス反応を受けて、9−オクタデセン及びジメチル−1,18−オクタデク−9−エンジオエート(dimethyl-1,18-octadec-9-enedioate)を生成することが開示されている。
種子油から誘導されるヒドロキシ置換された不飽和脂肪酸及び脂肪酸エステルのメタセシスも、反応剤であるヒドロキシ置換された不飽和脂肪酸及び脂肪酸エステルとは異なっている不飽和アルコール(オレフィンアルコール)を生成する。このような不飽和アルコール生成物は、市場状態及び最終用途に依存して付加価値のものであろう。クロス−メタセシスは、典型的には、不飽和モノアルコールを生成し、一方、ホモ−メタセシスは、典型的には、不飽和ポリオールを生成する。一例として、メチル 12−ヒドロキシ−オクタデク−9−エンオエート(eneoate)(メチルリシノレート)のエチレンとのクロス−メタセシスは、ホモ−アリルアルコール、即ち1−デセン−4−オール及び不飽和エステル、即ちメチル 9−デセノエートを生成する。しかしながら、都合の悪いことに、ヒドロキシ置換された不飽和脂肪酸又は脂肪酸エステルがメタセシスされるとき、実際的応用のために低くなる傾向がある触媒回転数が得られる。本発明の目的のために、用語「触媒回転数(catalyst turnover number)」は、使用されるメタセシス触媒の1モル当たりの、形成されるメタセシス生成物のモル数を指すものとする。
国際出願公開番号第WO−A−96/04289号明細書
上記に鑑みて、ヒドロキシ置換された不飽和脂肪酸又は脂肪酸エステル反応剤とは異なる、不飽和アルコール生成物を製造する目的のために、ヒドロキシ置換された不飽和脂肪酸又は脂肪酸エステルをホモ−メタセシス又はクロス−メタセシスする改良方法を見出すことが望ましい。不飽和アルコール生成物が、アリルモノアルコール若しくはアリルポリオール又はホモ−アリルモノアルコール若しくはホモ−アリルポリオールであったならば、一層望ましいであろう。このような方法が、今日の方法と比較したとき、改良された触媒回転数を示したならば、なお一層望ましいであろう。改良された触媒回転数は、ヒドロキシ置換された不飽和脂肪酸及び脂肪酸エステルのメタセシスを商業化するための能力を増強し、それによって非石油系化学原料、例えば天然の又は遺伝子的に修飾された種子油を経由する有用な工業的有機化学品への経路を提供するであろう。
一つの面に於いて、本発明は不飽和アルコール(オレフィンアルコール)を製造する新規なメタセシス方法を提供する。この新規なメタセシス方法は、(a)ヒドロキシ置換された不飽和脂肪酸又は脂肪酸エステルから誘導されたヒドロキシ保護された不飽和脂肪酸又は脂肪酸エステルを、メタセシス触媒及び任意的な低級オレフィンと、ヒドロキシ保護された不飽和脂肪酸又は脂肪酸エステルとは異なる、少なくとも1種のヒドロキシ保護された不飽和生成物を製造するために十分なメタセシス条件下で、接触させる工程並びに(b)ヒドロキシ保護された不飽和生成物を、不飽和アルコールを製造するために十分な条件下で、脱保護する工程を含む。用語「ヒドロキシ保護された」及び「脱保護する」は、後で詳細に説明する。
他の面に於いて、本発明は、(a)ヒドロキシ置換された不飽和脂肪酸又は脂肪酸エステルを、ヒドロキシ保護試薬で、ヒドロキシ保護された不飽和脂肪酸又は脂肪酸エステルを製造するために十分な条件下で、処理する工程、(b)ヒドロキシ保護された不飽和脂肪酸又は脂肪酸エステルを、メタセシス触媒及び任意的な低級オレフィンと、ヒドロキシ保護された不飽和脂肪酸又は脂肪酸エステルとは異なる、少なくとも1種のヒドロキシ保護された不飽和生成物を含む生成物混合物を製造するために十分なメタセシス条件下で、接触させる工程、(c)任意的に、この生成物混合物からヒドロキシ保護された不飽和生成物を分離する工程並びに(d)ヒドロキシ保護された不飽和生成物を、不飽和アルコールを製造するために十分な条件下で、脱保護する工程を含んでなる不飽和アルコールを製造するための一体化プロセスを提供する。
本発明の新規な方法は、合成ゴム、界面活性剤、芳香剤、熱可塑性ポリウレタン及び他の有用な工業的化学品の製造に於いて中間体として使用することができる、例えばアリルモノアルコール及びアリルポリオール並びにホモ−アリルモノアルコール及びホモ−アリルポリオールを含む不飽和アルコールの製造に於いて有用性を見出す。有利には、本発明の方法によって、種子油から誘導される非石油系化学原料から付加価値のある不飽和モノアルコール及び不飽和ポリオールが製造される。先行技術方法に比較したとき、本発明の方法は、有利に、使用されるメタセシス触媒の1モル当たりの、不飽和アルコール生成物の改良された収率に関連する、改良された触媒回転数を提供する。
第三の面に於いて、本発明は、界面活性剤及び熱可塑性ポリウレタンの製造に於いて有用性を見出す、9−オクタデセン−7,12−ジオールからなる新規な化合物を含む。
本明細書に記載した新規な発明は、典型的には、天然の又は遺伝子的に修飾された種子油から誘導される、ヒドロキシ置換された不飽和脂肪酸又は脂肪酸エステルから出発して、不飽和アルコール(オレフィンアルコール)、例えばアリルモノアルコール、アリルポリオール、ホモ−アリルモノアルコール及びホモ−アリルポリオールを製造するためのメタセシス方法に関する。本発明のメタセシス方法に先立って、ヒドロキシ置換された不飽和脂肪酸又は脂肪酸エステルを処理して、ヒドロキシ保護された不飽和脂肪酸又は脂肪酸エステルを生成する。本発明の目的のために、用語「ヒドロキシ保護された」は、ヒドロキシ置換された不飽和脂肪酸又は脂肪酸エステルのそれぞれのヒドロキシ置換基が、ヒドロキシ保護試薬と反応して、ヒドロキシ官能基と比較したとき、メタセシス方法に於いて、殆ど反応性ではない、好ましくは、非反応性である1個又はそれ以上の保護官能価(functionality)を有する、対応する脂肪酸又は脂肪酸エステルを形成することを意味する。その後、ヒドロキシ保護された不飽和脂肪酸又は脂肪酸エステルを、ホモ−メタセシス又はクロス−メタセシスに付す。メタセシスの後で、保護官能価は、典型的には、除去されて、対応するメタセシス生成物(群)中にヒドロキシ官能価を再生する。この方式に於いて、例えばアリルモノアルコール、アリルポリオール、ホモ−アリルモノアルコール及びホモ−アリルポリオールを含む不飽和アルコールを、改良された触媒回転数でメタセシスによって製造することができる。更に特に、以下詳細に説明するように、不飽和モノアルコールをクロス−メタセシスによって製造することができ、一方、不飽和ポリオールをホモ−メタセシスによって製造することができる。
従って、第一の面に於いて、本発明は、不飽和アルコールを製造する新規なメタセシス方法を提供する。この新規なメタセシス方法は、(a)ヒドロキシ置換された不飽和脂肪酸又は脂肪酸エステルから誘導されたヒドロキシ保護された不飽和脂肪酸又は脂肪酸エステルを、メタセシス触媒及び任意的な低級オレフィンと、ヒドロキシ保護された不飽和脂肪酸又は脂肪酸エステルとは異なる、少なくとも1種のヒドロキシ保護された不飽和生成物を製造するために十分なメタセシス条件下で、接触させる工程並びに(b)ヒドロキシ保護された不飽和生成物を、不飽和アルコールを製造するために十分な条件下で、脱保護する工程を含む。
この第一の面の好ましい態様に於いて、ヒドロキシ保護された不飽和脂肪酸又は脂肪酸エステルは、ヒドロキシ保護されたC8〜C60不飽和脂肪酸又は脂肪酸エステルである。他の好ましい態様に於いて、ヒドロキシ保護された不飽和脂肪酸又は脂肪酸エステルは、アセテート、エーテル又はカルボナート置換された不飽和脂肪酸又は脂肪酸エステルである。
第二の面に於いて、本発明は、(a)ヒドロキシ置換された不飽和脂肪酸又は脂肪酸エステルを、ヒドロキシ保護試薬で、ヒドロキシ保護された不飽和脂肪酸又は脂肪酸エステルを製造するために十分な条件下で、処理する工程、(b)ヒドロキシ保護された不飽和脂肪酸又は脂肪酸エステルを、メタセシス触媒及び任意的な低級オレフィンと、ヒドロキシ保護された不飽和脂肪酸又は脂肪酸エステルとは異なる、少なくとも1種のヒドロキシ保護された不飽和生成物からなる生成物混合物を製造するために十分なメタセシス条件下で、接触させる工程、(c)任意的に、この生成物混合物からヒドロキシ保護された不飽和生成物を分離する工程並びに(d)ヒドロキシ保護された不飽和生成物を、不飽和アルコールを製造するために十分な条件下で、脱保護する工程を含む不飽和アルコールを製造するための一体化プロセスを提供する。
この第二の面の好ましい態様に於いて、この方法は、(a)ヒドロキシ置換されたC8〜C60不飽和脂肪酸又は脂肪酸エステルを、ヒドロキシ保護試薬と、ヒドロキシ保護されたC8〜C60不飽和脂肪酸又は脂肪酸エステルを製造するために十分な条件下で、処理する工程、(b)ヒドロキシ保護されたC8〜C60不飽和脂肪酸又は脂肪酸エステルを、メタセシス触媒及び任意にC2〜C8オレフィンと、ヒドロキシ保護されたC8〜C60不飽和脂肪酸又は脂肪酸エステルとは異なる、少なくとも1種のヒドロキシ保護されたオレフィンからなる生成物混合物を製造するために十分なメタセシス条件下で、接触させる工程、(c)任意的に、この生成物混合物からヒドロキシ保護されたオレフィンを分離する工程並びに(d)ヒドロキシ保護されたオレフィンを、不飽和アルコールを製造するために十分な条件下で、脱保護する工程を含む。
更に好ましい態様に於いて、生成物混合物は、更に、不飽和モノエステル又は不飽和ジエステルを含む。クロス−メタセシスの最も好ましい態様に於いて、低級オレフィンはエチレンであり、そして不飽和モノエステルはα,ω−不飽和エステルである。ホモ−メタセシスの最も好ましい態様に於いて、不飽和ジエステルは不飽和α,ω−ジエステルである。
本発明の任意の面に於いて、不飽和モノエステル又は不飽和ジエステルを、典型的に加水分解により、それぞれ対応する不飽和モノカルボン酸又は不飽和ポリ酸に転化させることができる。
なお別の更に好ましい態様に於いて、本発明は、ホモ−アリルポリオールの製造方法に関する。この面に於いて、方法は、(a)ヒドロキシ置換されたC8〜C60不飽和脂肪酸又は脂肪酸エステルを、ヒドロキシ保護試薬で、ヒドロキシ保護されたC8〜C60不飽和脂肪酸又は脂肪酸エステルを製造するために十分な条件下で、処理する工程、(b)ヒドロキシ保護されたC8〜C60不飽和脂肪酸又は脂肪酸エステルを、メタセシス触媒と、不飽和ジエステル及び保護されたヒドロキシ基を有するホモ−アリルポリオールを含む生成物混合物を製造するために十分なホモ−メタセシス条件下で、接触させる工程、(c)任意的に、この生成物混合物から保護されたヒドロキシ基を有するホモ−アリルポリオールを分離する工程並びに(d)保護されたヒドロキシ基を有するホモ−アリルポリオールを、ホモ−アリルポリオールを製造するために十分な条件下で、脱保護する工程を含む。最も好ましい態様に於いて、それぞれのヒドロキシ基は、アセテート官能基によって保護されている。
なお別の更に好ましい態様に於いて、本発明は、ホモ−アリルモノアルコールの製造方法に関する。この面に於いて、方法は、(a)ヒドロキシ置換されたC8〜C60不飽和脂肪酸又は脂肪酸エステルを、ヒドロキシ保護試薬で、ヒドロキシ保護されたC8〜C60不飽和脂肪酸又は脂肪酸エステルを製造するために十分な条件下で、処理する工程、(b)ヒドロキシ保護されたC8〜C60不飽和脂肪酸又は脂肪酸エステルを、C2〜C8オレフィンと、メタセシス触媒の存在下で、不飽和エステル及び保護されたヒドロキシ基を有するホモ−アリルモノアルコールを含む生成物混合物を製造するために十分なクロス−メタセシス条件下で、接触させる工程、(c)任意的に、この生成物混合物から保護されたヒドロキシ基を有するホモ−アリルモノアルコールを分離する工程並びに(d)保護されたヒドロキシ基を有するホモ−アリルモノアルコールを、ホモ−アリルモノアルコールを製造するために十分な条件下で、脱保護する工程を含む。本発明の最も好ましい態様に於いて、C2〜C8オレフィンはエチレンであり、そしてヒドロキシ基はアセテート官能基によって保護されている。
上記同定した方法の別の最も好ましい態様に於いて、ヒドロキシ置換されたC8〜C60不飽和脂肪酸又は脂肪酸エステルは、それぞれ、リシノール酸(12−ヒドロキシオクタデク−9−エン酸)又はリシノール酸メチル(メチル 12−ヒドロキシオクタデク−9−エノエート)を含む。この好ましい態様に於いて、不飽和モノアルコールは、1−デセン−4−オールを含むホモ−アリルモノアルコールであり、そして不飽和ポリオールは、9−オクタデセン−7,12−ジオールを含むホモ−アリルポリオールである。
最後の面に於いて、本発明は、9−オクタデセン−7,12−ジオールを含む組成物に関する。この組成物は、(a)12−ヒドロキシ−オクタデク−9−エン酸(リシノール酸)又はそのエステルを、対応する12−ヒドロキシ保護されたオクタデク−9−エン酸又はエステルに転化させる工程、(b)12−ヒドロキシ保護された酸又はエステルを、メタセシス触媒の存在下で、ヒドロキシ保護された9−オクタデセン−7,12−ジオールを製造するために十分なメタセシス条件下で、ホモ−メタセシスする工程及び(c)ヒドロキシ保護された不飽和ジオールを、9−オクタデセン−7,12−ジオールを製造するために十分な条件下で、脱保護する工程を含んでなる方法によって製造することができる。
任意のヒドロキシ置換された不飽和脂肪酸又は脂肪酸エステルを、ヒドロキシ保護された不飽和脂肪酸又は脂肪酸エステルを製造するために、適切に使用することができる。不飽和脂肪酸は、少なくとも1個の炭素−炭素二重結合を含み、そしてカルボン酸基で末端停止している延長された炭素鎖を含む。典型的には、不飽和脂肪酸には、約8個よりも多い炭素原子、好ましくは約10個よりも多い炭素原子、更に好ましくは約12個よりも多い炭素原子が含まれるであろう。典型的には、不飽和脂肪酸には、約60個よりも少ない炭素原子、好ましくは約40個よりも少ない炭素原子、更に好ましくは約35個よりも少ない炭素原子が含まれるであろう。少なくとも1個の炭素−炭素二重結合は、炭素鎖に沿って存在しており、この二重結合は、必須ではないが、通常、鎖の中間に存在する。2個又はそれ以上の炭素−炭素二重結合を含有する不飽和脂肪酸も適切に使用することができる。不飽和脂肪酸鎖は、直鎖又は分枝鎖であってよく、そして鎖に沿ったどこかに少なくとも1個のヒドロキシ置換基を含むことが必要である。一つの好ましい態様に於いて、ヒドロキシ置換基は、二重結合中の炭素原子に隣接する炭素原子に結合して、ヒドロキシ置換基がアリル炭素上に配置されるようになっている。他の好ましい態様に於いて、ヒドロキシ置換基は、二重結合中の炭素原子から離れた炭素原子に結合して、ヒドロキシ置換基がホモアリル炭素原子(homo-allylic carbon atom)上に配置されるようになっている。
置換基がメタセシス方法に対して実質的に不活性であるという条件で、他の置換基が不飽和脂肪酸又は脂肪酸エステル鎖上に存在してよい。必要なヒドロキシ官能価以外の適切な置換基の限定されない例には、アルキル部分(moiety)、好ましくは、C1〜C10アルキル部分、例えばメチル、エチル、プロピル及びブチル;シクロアルキル部分、好ましくは、C4〜C8シクロアルキル部分、例えばシクロペンチル及びシクロヘキシル;単環式芳香族部分、好ましくはC6芳香族部分、即ちフェニル;アリールアルキル部分、好ましくは、C7〜C16アリールアルキル部分、例えばベンジル並びにアルキルアリール部分、好ましくは、C7〜C16アルキルアリール部分、例えばトリル、エチルフェニル及びキシリル並びにハロゲン、好ましくはクロロ及びブロモ、エーテル、エステル、アルデヒド及びケト置換基が含まれる。適当な不飽和脂肪酸の限定されない例には、リシノール酸(12−ヒドロキシ−シス−オクタデク−9−エン酸(enoic acid))、オーリコリン酸(auricolic acid)、アベノレイン酸(avenoleic acid)、アキシラレン酸(axillarenic acid)、コリオリン酸(coriolic acid)、デンシポリン酸(densipolic acid)、ヘレニノリン酸(helenynolic acid)、イソリシノール酸、カムロレン酸(kamlolenic acid)、レスケロリン酸(lesquerolic acid)、リシネライジン酸(ricinelaidic acid)、ストロファンサス酸(strophanthus acid)及びこれらの混合物が含まれる。リシノール酸が好ましい。
同様に、任意のヒドロキシ置換された不飽和脂肪酸エステルを、ヒドロキシ保護された不飽和脂肪酸エステルを製造するために使用することができる。このエステルのヒドロキシ置換された不飽和脂肪酸セグメントは、前記の形の何れを採ることもできる。このエステルのアルコールセグメントは、脂肪酸と縮合して脂肪酸エステルを形成することができる、一価、二価又は多価アルコールを含む。典型的には、このエステルのアルコールセグメントには、少なくとも1個の炭素原子が含まれている。典型的には、このエステルのアルコールセグメントには、約20個よりも少ない炭素原子、好ましくは約12個よりも少ない炭素原子、更に好ましくは約8個よりも少ない炭素原子が含まれている。この炭素原子は直鎖又は分枝鎖構造で配列されていてよく、そして前記のアルキル、シクロアルキル、アリール、アリールアルキル、アルキルアリール、ヒドロキシ、ハロゲン、エーテル、エステル、アルデヒド及びケト置換基を含む、脂肪酸に関連して前記開示されたもののような種々の置換基によって置換されていてよい。好ましくは、アルコールセグメントは、直鎖又は分枝鎖C1〜C12アルカノールを含む。好ましいアルコールセグメントは、三価アルコールグリセロールであり、その脂肪酸エステルは、「グリセリド」として知られており、そして種子油から得ることができる。他の好ましいアルコールには、C1〜C8低級アルコール、例えばメタノール及びエタノールが含まれ、その脂肪酸エステルは、種子油から誘導される対応する脂肪酸グリセリドのエステル交換反応によって得ることができる。好ましい種子油には、ひまし油、麝香及びメロン油並びにイサノ油(Isano oil)及びカマラ油(kamala oil)が含まれる。
本発明の方法に於いて、ヒドロキシ置換された不飽和脂肪酸又は脂肪酸エステルを最初に処理して、存在するそれぞれのヒドロキシ置換基をヒドロキシ保護された基に転化させる。適当な保護基には、ヒドロキシに比較したとき、メタセシス方法に於いて低い反応性を示す任意の有機官能基が含まれる。保護基の適当な限定されない例には、エステル、エーテル、シリルエーテル、スルホン酸エステル及び炭酸エステルが含まれる。ヒドロキシ置換基(群)を上記の保護基の一つに転化させるために、当業者に公知である一般的な有機反応を使用することができる。これらから誘導される不飽和脂肪酸又は脂肪酸エステルを、本明細書に於いて、「ヒドロキシ保護された不飽和脂肪酸又は脂肪酸エステル」として参照する。
ヒドロキシ官能基を保護するために典型的に使用される反応条件を記載する適当な源泉は、文献:T.W.Greene著、「有機合成に於ける保護基(Protective Groups in Organic Synthesis)」、ジョン・ワイリー・アンド・サンズ社(John Wiley & Sons)、ニューヨーク、1981年刊、第10〜118頁によって本明細書中に含められる、下記の規準に見出される。例として、ヒドロキシ基を、カルボン酸ハライド又は無水物、例えば無水酢酸と反応させて、対応するエステル、例えば酢酸エステルを製造することができる。同様に、ヒドロキシ基を、アルコール又はハロゲン化アルキルと縮合させて、エーテルを形成することができ又は炭酸ジアルキルと反応させて、炭酸エステル置換基を形成することができる。例として、ヒドロキシ置換された不飽和脂肪酸又は脂肪酸エステルを、適切な溶媒、例えばハロゲン化アルカン若しくはピリジン又はこれらの組合せ中の無水酢酸及び触媒、例えば4−(N,N−ジメチルアミノ)ピリジンと、21℃としてとられるほぼ環境と約100℃との間の範囲内の温度で、環境又は自己発生圧力で、対応するアセテート保護された脂肪酸又は脂肪酸エステルを形成するために十分な時間組合せ、次いで脂肪酸又は脂肪酸エステルを一般的な方法、例えば抽出法によって反応混合物から分離することができる。好ましくは、ヒドロキシ置換基をヒドロキシ保護された置換基に転化させる反応は可逆的であり、保護基又は基群を除去することができ、従って、元のヒドロキシ官能基に戻すことが可能である。
本発明のホモ−メタセシス方法は、ヒドロキシ保護された不飽和脂肪酸又は脂肪酸エステルの一つの分子を、同じものの第二の分子と接触させることを必要とする。本発明に於けるクロス−メタセシスは、ヒドロキシ保護された不飽和脂肪酸又は脂肪酸エステルの一つの分子を、異なったオレフィン、例えば低級オレフィンの分子と接触させることを必要とする。本発明の目的のために、用語「低級オレフィン」は、少なくとも2個の炭素原子及び典型的には約10個よりも少ない炭素原子有し、そして少なくとも1個の炭素−炭素二重結合を含有する有機化合物を指すものとする。一般的に、1個のみの炭素−炭素二重結合が好ましい。しかしながら、炭素−炭素二重結合は、末端二重結合又は内部二重結合であってよい。この低級オレフィンは、置換基がメタセシス方法に対して本質的に不活性であるという条件で、炭素鎖に沿って1個又はそれ以上の置換基で置換されていてよい。適当な置換基には、限定無しに、アルキル、好ましくは、C1〜C6アルキル、シクロアルキル、好ましくは、C3〜C6シクロアルキル並びにヒドロキシ、エーテル、ケト、アルデヒド及びハロゲン置換基が含まれる。適当な低級オレフィンの限定されない例には、エチレン、プロピレン、ブテン、ブタジエン、ペンテン、ヘキセン、それらの種々の異性体並びに約8個以下の炭素鎖のそれらの高級類似体が含まれる。好ましくは、低級オレフィンはC2〜C8オレフィンである。更に好ましくは、低級オレフィンは、C2〜C6オレフィン、なお更に好ましくはC2〜C4オレフィン、最も好ましくはエチレン又はプロピレンである。
クロス−メタセシス方法に於いて、ヒドロキシ保護された不飽和脂肪酸又は脂肪酸エステル及び低級オレフィンを、操作可能なメタセシス方法を与える任意の量で、メタセシス反応器に供給することができる。低級オレフィンのヒドロキシ保護された不飽和脂肪酸又は脂肪酸エステルに対するモル比は、特定の反応剤及び特定の反応器設計に依存して変えることができる。下記のモル比をガイドとして記載するが、本発明は、ここに開示された比に限定されるべきではない。典型的には、低級オレフィンのヒドロキシ保護された不飽和脂肪酸又は脂肪酸エステルに対するモル比は、約0.8/1.0よりも大きく、好ましくは、約0.9/1.0よりも大きい。典型的には、低級オレフィンのヒドロキシ保護された不飽和脂肪酸又は脂肪酸エステルに対するモル比は、約3.0/1.0よりも小さく、好ましくは約2.0/1.0よりも小さい。特定の試薬に依存して、他のモル比が適当であろう。例えばエチレンで、エチレンの自己メタセシスは、再びエチレンのみを生成するので、著しくより高いモル比が可能である。従って、エチレンのヒドロキシ保護された不飽和脂肪酸又は脂肪酸エステルに対するモル比は約0.8/1よりも大きくから典型的に約20/1よりも小さいまでの範囲であってよい。
ヒドロキシ保護された不飽和脂肪酸又は脂肪酸エステルは、一般的に、プロセス温度で液体として提供され、そして生で、即ち、希釈剤又は溶媒無しで、使用することが一般的に好ましい。しかしながら、任意的に、溶媒を、ヒドロキシ保護された不飽和脂肪酸又は脂肪酸エステルと共に使用することができる。例えば液状低級オレフィンとヒドロキシ保護された不飽和脂肪酸又は脂肪酸エステルとが完全に混和性でなく、次いで共に適当な溶媒中に可溶化させることができる場合に、溶媒が望ましいであろう。この溶媒は、ヒドロキシ保護された不飽和脂肪酸又は脂肪酸エステルとの許容できる混和性を有する、任意の熱的に安定で且つ化学的に安定な液体であってよい。用語「熱的に安定な」は、溶媒がプロセス温度で実質的に分解しないことを意味する。用語「化学的に安定な」は、溶媒がメタセシス試薬及び生成物と実質的に非反応性であることを意味し、そしてまた、溶媒が、触媒性能を実質的に抑制するような方式でメタセシス触媒と配位しないことを示唆する。用語「混和性」は、溶媒とヒドロキシ保護された不飽和脂肪酸又は脂肪酸エステルとが、本質的に相分離無しに均一な溶液を形成することを意味する。適当な溶媒の限定されない例には、芳香族炭化水素、例えばベンゼン、トルエン及びキシレン;塩素化芳香族炭化水素、好ましくは塩素化ベンゼン、例えばクロロベンゼン及びジクロロベンゼン;アルカン、例えば、ペンタン、ヘキサン及びシクロヘキサン並びに塩素化アルカン、例えば塩化メチレン及びクロロホルムが含まれる。溶媒を使用する場合、メタセシス方法が所望通り進行するという条件で、任意の量を使用することができる。一般的に、溶媒中のヒドロキシ保護された不飽和脂肪酸又は脂肪酸エステルの濃度は、約0.05Mよりも高く、好ましくは、約0.5Mよりも高い。一般的に、溶媒中のヒドロキシ保護された不飽和脂肪酸又は脂肪酸エステルの濃度は、ほぼ飽和濃度よりも低く、好ましくは、約5.0Mよりも低い。
ヒドロキシ保護された不飽和脂肪酸又は脂肪酸エステル及び任意の低級オレフィンが液相で提供されるとき、メタセシス方法は、好ましくは酸素による妨害を最小にするために、不活性雰囲気下で実施される。不活性雰囲気は、限定無しに、ヘリウム、ネオン、アルゴン、窒素及びこれらの混合物を含む、メタセシス方法に対して本質的に不活性である、任意の気体又は気体状混合物からなっていてよい。低級オレフィンが気体である場合、低級オレフィンは、本質的に純粋な気体として又は、任意的に、本質的に不活性の気体状希釈剤、例えばヘリウム、ネオン、アルゴン、窒素及びこれらの混合物で希釈して、反応器に供給することができる。希釈気体中の低級オレフィンの適当な濃度は、典型的には、低級オレフィン及び気体状希釈剤の合計モル基準で、約5モル%よりも高く、好ましくは約10モル%よりも高い。適当な濃度は、典型的には、約95モル%よりも低い。
更なるオプションとして、安定化配位子を、メタセシス反応混合物に添加することができる。安定化配位子は、例えば、増加した活性又は延長された触媒寿命によって測定したとき、メタセシス方法に於いて触媒安定性を促進する、任意の分子又はイオンであってよい。安定化配位子の限定されない例には、トリ(アルキル)ホスフィン、例えばトリシクロヘキシルホスフィン、トリシクロペンチルホスフィン及びトリブチルホスフィン;トリ(アリール)ホスフィン、例えばトリ(フェニル)ホスフィン、トリ(メチルフェニル)ホスフィン(オルト、メタ及びパラ置換異性体)及びトリ(p−フルオロフェニル)ホスフィン;ジアリールアルキルホスフィン、例えばジフェニルシクロヘキシルホスフィン;ジアルキルアリールホスフィン、例えばジシクロヘキシルフェニルホスフィン;エーテル、例えばアニソール;ピリジン、例えば2,6−ジメチルピリジン、2−t−ブチルピリジン、2,6−ジフルオロピリジン及び2−メチルピリジン;ホスフィンオキシド、例えばトリフェニルホスフィンオキシド並びにホスフィナイト(phosphinite)、ホスホナイト、ホスホルアミダイト(phosphoramidite)並びに上記の配位子のいずれの混合物が含まれる。好ましくは安定化配位子はトリ(アルキル)ホスフィン、更に好ましくはトリ(シクロヘキシル)ホスフィンである。安定化配位子の量は、使用する特定の触媒及びその特定の配位子成分に依存して変化することができる。典型的には、安定化配位子のメタセシス触媒に対するモル比は約0.05/1よりも大きく、好ましくは約0.5/1よりも大きい。典型的には、安定化配位子のメタセシス触媒に対するモル比は約2.0/1よりも小さく、好ましくは約1.5/1よりも小さい。
本発明の方法に於いて使用されるメタセシス触媒は、ホモ−メタセシス又はクロス−メタセシス方法のための任意の公知の触媒からなっていてよい。一座配位子を含有する適当なメタセシス触媒は、国際出願公開第WO96/04289号明細書、同第WO97/06185号明細書、同第WO00/58322号明細書、同第WO00/71554号明細書及び同第WO00/15339号明細書(参照して本明細書に含める)に記載されている。他のメタセシス触媒は、キレート化配位子からなっていてよい。用語「キレート化配位子」は、それらのそれぞれが触媒の触媒金属に結合することができる複数の単位を有する、中性の分子又はイオンである配位子を指す。典型的には、メタセシス触媒は、触媒金属としてルテニウム又はオスミウムを含み、ルテニウムが好ましい。好ましくは、メタセシス触媒は、下記の式:
Figure 0004779121
(式中、MはRu又はOsであり、各Lは、独立に、Mの結合及び電荷必要条件を釣り合わせる任意の組合せで、中性及びアニオン性配位子から選択され、aは、配位子Lの全数を表す、好ましくは1〜約4の整数であり、R′は、水素、直鎖又は分枝鎖アルキル、シクロアルキル、アリール及び置換されたアリール基から選択され、Yは、「無機化学の命名法;勧告1990年(Nomenclature of Inorganic Chemisty: Recommendation 1990)」、G.J.Leigh編、ブラックウェル・サイエンティフィック・パブリケーションズ社(Blackwell Scientific Publications)、1990年刊に於いてIUPACによって参照されたような、周期表の第15族又は第16族からの元素の、他の場合にルイス塩基として知られている電子供与体基であり、Yは、更に好ましくは、O、S、N又はPであり、各R″は、独立に、好ましくはYが形式的に中性であるように、Yの原子価を満足させるために十分な、水素、アルキル、シクロアルキル、アリール及び置換されたアリール基から選択され、bは、R″基の全部の数を表す、好ましくは0〜約2の整数であり、そしてZは、二座配位子(この配位子は、M原子と連結して、約4〜約8個の原子の環を形成する)を形成するように、Y及びカルベン炭素(C)の両方に結合されている有機ジラジカルである)
によって表される。二座配位子は、金属原子に対して2個の結合部位を有する。
更に好ましくは、各Lは、独立に、ハライド、最も好ましくはフッ化物、塩化物、臭化物及びヨウ化物;シアン化物、チオシアネート、式PR3のホスフィン、式NR3のアミン、水及び式OR2のエーテル、式SR2のチオエーテル並びに下記の式II及びIII:
Figure 0004779121
を有する配位子からなる群から選択され、上記の式の何れかに於ける各Rは、独立に、水素、アルキル、好ましくはC1〜C15アルキル;シクロアルキル、好ましくはC3〜C8シクロアルキル並びにアリール、好ましくはC6〜C15アリール及びC6〜C15置換アリール基からなる群から選択される。置換アリール基は、メタセシス方法を妨害しない任意の置換基、例えばハロゲン、アルキル、エーテル、エステル及びケト置換基からなっていてよい。上記の配位子Lの何れの混合物も、式Iの任意の与えられた種に於いて使用することができる。更に好ましくは、R′は、水素、C1〜C15アルキル、C3〜C8シクロアルキル及びC6〜C15アリール基からなる群から選択される。更に好ましくは、各R″は、独立に、C1〜C15アルキル、C3〜C8シクロアルキル及びC6〜C15アリール基からなる群から選択される。好ましくは、Zは、下記のジラジカル、即ちエチレン(IV)、ビニレン(V)、フェニレン(VI)、置換されたビニレン(VII)、置換されたフェニレン(VIII)、ナフチレン(IX)、置換されたナフチレン(X)、ピペラジンジイル(XI)、ピペリジイル(XII):
Figure 0004779121
(式中、各Rは、前記のように、水素、アルキル、好ましくはC1〜C15アルキル;シクロアルキル、好ましくはC3〜C8シクロアルキル及びアリール、好ましくはC6〜C15アリール基から選択することができ、そして各nは1〜約4の整数である)
から選択される。
触媒の好ましい種には、下記のものが含まれる。
ビス(トリシクロヘキシルホスフィン)ベンジリデンルテニウムジクロリド、
ビス(トリシクロヘキシルホスフィン)ベンジリデンルテニウムジブロミド、
ビス(トリシクロヘキシルホスフィン)ベンジリデンルテニウムジヨージド、
[(1,3−ビス−(2,4,6−トリメチルフェニル)−2−イミダゾリジニリデン)ジクロロ(フェニルメチレン)(トリシクロヘキシルホスフィン)ルテニウム)]、
[(1,3−ビス−(2,4,6−トリメチルフェニル)−2−イミダゾリジニリデン)ジブロモ(フェニルメチレン)(トリシクロヘキシルホスフィン)ルテニウム)]、
[(1,3−ビス−(2,4,6−トリメチルフェニル)−2−イミダゾリジニリデン)ジヨード(フェニルメチレン)(トリシクロヘキシルホスフィン)ルテニウム)]、
ジクロロ[[2−(1−メチルエトキシ−α−O)フェニル]メチレン−α−C](トリシクロヘキシルホスフィン)ルテニウム、
ジブロモ[[2−(1−メチルエトキシ−α−O)フェニル]メチレン−α−C](トリシクロヘキシルホスフィン)ルテニウム、
ジヨード[[2−(1−メチルエトキシ−α−O)フェニル]メチレン−α−C](トリシクロヘキシルホスフィン)ルテニウム、
1,3−ビス−(2,4,6−トリメチルフェニル)−2−イミダゾリジニリデン)ジクロロ(o−イソプロポキシフェニルメチレン)ルテニウム、
1,3−ビス−(2,4,6−トリメチルフェニル)−2−イミダゾリジニリデン)ジブロモ(o−イソプロポキシフェニルメチレン)ルテニウム及び
1,3−ビス−(2,4,6−トリメチルフェニル)−2−イミダゾリジニリデン)ジヨード(o−イソプロポキシフェニルメチレン)ルテニウム。
最も好ましくは、触媒は、
1,3−ビス−(2,4,6−トリメチルフェニル)−2−イミダゾリジニリデン)ジクロロ(o−イソプロポキシフェニルメチレン)ルテニウム、
1,3−ビス−(2,4,6−トリメチルフェニル)−2−イミダゾリジニリデン)ジブロモ(o−イソプロポキシフェニルメチレン)ルテニウム、
1,3−ビス−(2,4,6−トリメチルフェニル)−2−イミダゾリジニリデン)ジヨード(o−イソプロポキシフェニルメチレン)ルテニウム、
[(1,3−ビス−(2,4,6−トリメチルフェニル)−2−イミダゾリジニリデン)ジクロロ(フェニルメチレン)(トリシクロヘキシルホスフィン)ルテニウム)]、
[(1,3−ビス−(2,4,6−トリメチルフェニル)−2−イミダゾリジニリデン)ジブロモ(フェニルメチレン)(トリシクロヘキシルホスフィン)ルテニウム)]及び
[(1,3−ビス−(2,4,6−トリメチルフェニル)−2−イミダゾリジニリデン)ジヨード(フェニルメチレン)(トリシクロヘキシルホスフィン)ルテニウム)]
からなる群から選択される。
ルテニウム及びオスミウムカルベン錯体の合成方法は当業者に公知である。一般的な方法は下記の文献(参照して本明細書に含める)に記載されている。(1)L.S.Hegedus著、「錯体有機分子の合成に於ける遷移金属(Transition Metals in the Synthesis of Complex Organic Molecules)」、ユニバーシティ・サイエンス・ブックス社(University Science Books)、1994年、(2)P.Schwab、M.B.France、J.W.Ziller及びR.H.Grubbs、Angew.Chem.Int.Ed.Eng.、1995年、第34巻、第2039〜2041頁並びに(3)Jason S.Kingsbury等、Journal of the American Chemical Society、1999年、第121巻、第791〜799頁。
別の態様に於いて、本発明の方法に於いて使用される触媒は、固体担体上に結合されるか又は付着されていてよい。固体触媒担体は、触媒を不均一にし、触媒回収を簡単にする。更に、触媒担体は、触媒強度及び耐摩耗性を増加させることができる。適当な触媒担体には、限定無しに、シリカ、アルミナ、シリカ−アルミナ、ゼオライト及び他の結晶性多孔質アルミノケイ酸塩を含むアルミノケイ酸塩並びにチタニア、ジルコニア、酸化マグネシウム、炭素並びに架橋した網状ポリマー樹脂、例えば官能化架橋ポリスチレン、例えばクロロメチル官能化架橋ポリスチレンが含まれる。担体を使用する場合、一般的に、担体上の触媒担持量は、触媒及び担体の全重量基準で、約0.01重量%触媒金属よりも多く、好ましくは約0.05重量%触媒金属よりも多い。一般的に、触媒担持量は、触媒及び担体の全重量基準で、約20重量%触媒金属よりも少なく、好ましくは約10重量%触媒金属よりも少ない。
本発明のメタセシス方法は、当該技術分野に於ける一般的な慣行に従って実施することができる。回分式反応器、連続式攪拌タンク反応器、連続流固定床反応器、スラリー反応器、流動床反応器及び接触蒸留反応器を含む、このような方法のために適切に設計された全ての反応器を使用することができる。典型的には、プロセス温度は、約0℃よりも高く、好ましくは約20℃よりも高い。典型的に、プロセス温度は、約150℃よりも低く、好ましくは約120℃よりも低く、更に好ましくは約90℃よりも低い。典型的には、気体状低級オレフィンを使用すると、オレフィン圧力は、約5psig(34.5kPa)よりも高く、好ましくは約10psig(68.9kPa)よりも高く、更に好ましくは約45psig(310kPa)よりも高い。典型的には、低級オレフィン圧力は、約1,000psig(6,895kPa)よりも低く、好ましくは約750psig(3,447kPa)よりも低く、更に好ましくは約500psig(2,758kPa)よりも低い。希釈剤を気体状低級オレフィンと共に使用するとき、上記の圧力範囲を、オレフィン及び希釈剤の合計圧力として適切に使用することができる。液相ホモ−メタセシス方法に於ける圧力は、希釈剤の自己発生圧力から任意の便利な圧力までの範囲であってよい。
本発明の方法に於いて使用されるメタセシス触媒の量は、運転可能なメタセシス反応を与える任意の量を含む。プロセスを回分式反応器内で実施する場合、ヒドロキシ保護された不飽和脂肪酸又は脂肪酸エステルのモル数の、メタセシス触媒のモル数に対する比は、典型的には、約10:1よりも大きく、好ましくは約50:1よりも大きく、更に好ましくは約100:1よりも大きい。回分式条件下で、ヒドロキシ保護された不飽和脂肪酸又は脂肪酸エステルのメタセシス触媒に対するモル比は、典型的には、約10,000,000:1よりも小さく、好ましくは約1,000,000:1よりも小さく、更に好ましくは約500,000:1よりも小さい。一般的に、回分式反応器内の試薬と触媒との接触時間は、所望のメタセシス生成物が得られるという条件で、任意の期間であってよい。一般的に、この接触時間は、約5分間よりも長く、好ましくは約10分間よりも長い。一般的に、この接触時間は、約25時間よりも短く、好ましくは約15時間よりも短く、更に好ましくは約10時間よりも短い。
プロセスを連続流条件下で実施する場合、触媒1g当たり1時間当たりのヒドロキシ保護された不飽和脂肪酸又は脂肪酸エステルのg単位で与えられる重量時間空間速度(weight hourly space velocity)(h-1)は、使用する触媒に対するヒドロキシ保護された不飽和脂肪酸又は脂肪酸エステルの相対量並びに不飽和出発化合物の反応器内の滞留時間を決定するであろう。流動反応器に於いて、ヒドロキシ保護された不飽和脂肪酸又は脂肪酸エステルの重量時間空間速度(WHSV)は、典型的に約0.04g原料/g触媒/時(h-1)よりも大きく、好ましくは約0.1h-1よりも大きい。典型的に、WHSVは、約100h-1よりも小さく、好ましくは約20h-1よりも小さい。反応器の中に気体流又は液体流として導入することができる低級オレフィンの流れは、オレフィンのヒドロキシ保護された不飽和脂肪酸又は脂肪酸エステルに対する所望の比をもたらすように調節される。
本発明の方法を前記のようにして実施するとき、ヒドロキシ保護された不飽和脂肪酸又は脂肪酸エステルとは異なる少なくとも1種のオレフィン生成物が形成される。クロス−メタセシスに於いて、生成物は、典型的には、不飽和エステル及びヒドロキシ保護されたオレフィンを含む。メチル 12−アセチル−オクタデク−9−エンオエートのエチレンとのクロス−メタセシスによって、例えば不飽和エステルであるメチル 9−デセノエート及びヒドロキシ保護されたオレフィンである、1−デセン−4−アセテートが製造される。ホモ−メタセシスに於いて、生成物は、典型的には、不飽和ジエステル及び複数のヒドロキシ保護された基を有するオレフィンを含む。メチル 12−アセチル−オクタデク−9−エンオエートのホモ−メタセシスによって、例えば不飽和ジエステルであるジメチル−1,18−オクタデク−9−エンジオエート及びヒドロキシ保護されたオレフィンである9−オクタデセン−7,12−ジアセテートが製造される。
本発明のメタセシス方法に於いて、ヒドロキシ保護された不飽和脂肪酸又は脂肪酸エステルの転化率は、使用する具体的な試薬オレフィン、具体的な触媒及び具体的なプロセス条件に依存して、広く変化させることができる。本発明の目的のために、「転化率」は、生成物に転化されるヒドロキシ保護された不飽和脂肪酸又は脂肪酸エステルのモル%として定義される。典型的に、この転化率は、約5モル%よりも大きく、好ましくは約25モル%よりも大きく、更に好ましくは約40モル%よりも大きい。同様に、ヒドロキシ保護された不飽和脂肪酸又は脂肪酸エステルの最初のモル数を基準にして、生成されたオレフィンメタセシス生成物のモル%として計算される、オレフィンメタセシス生成物の収率は、典型的に、約5%よりも大きく、好ましくは約20%よりも大きく、更に好ましくは約35%よりも大きい。更に顕著に、本発明の実施で得られる触媒回転数は、使用される触媒の1モル当たりの、生成されるオレフィンメタセシス生成物(群)のモル数として、典型的に約400よりも大きく、好ましくは約1,000よりも大きく、更に好ましくは約3,000よりも大きく、最も好ましくは約6,000よりも大きい。
任意的に、本発明のメタセシス方法によって得られたヒドロキシ保護された不飽和生成物は、メタセシス反応混合物から、抽出、蒸留及び結晶化によるものを含む、当業者に公知である一般的な有機化学方法によって分離することができる。更に、ヒドロキシ保護された不飽和生成物は、当該技術分野で公知の方法によって脱保護して、対応する不飽和アルコール(オレフィンアルコール)を生成することができる。好ましい不飽和アルコールは、ホモ−アリルモノアルコール、ホモ−アリルポリオール、アリルモノアルコール及びアリルポリオールからなる群から選択される。更に好ましい不飽和アルコールは、ホモ−アリルモノアルコール、最も好ましくは4−デセン−1−オール及びホモ−アリルポリオール、最も好ましくは9−オクタデセン−7,12−ジオールからなる群から選択される。ホモ−アリルモノアルコールは、典型的には、炭素数約5〜約40の鎖長を示す。ホモ−アリルポリオールは、典型的には、炭素数約8〜約60の鎖長を示す。
適当な脱保護条件は、例えば、T.W.Greene著、「有機合成に於ける保護基」、ジョン・ワイリー・アンド・サンズ社、1981年刊、第10〜118頁(その関連する章を、参照して本明細書に含める)に記載されている。例として、1−デセン−4−アセテート及び9−オクタデセン−7,12−ジアセテートを脱保護して、それぞれ1−デセン−4−オール及び9−オクタデセン−7,12−ジオールを生成することができる。更に、所望により、不飽和エステル共生成物を、当該技術分野で公知の方法によって加水分解して、対応するカルボン酸にすることができる。例えばメチル 9−デセノエート及びジメチル 1,18−オクタデク−9−エンジオエートを加水分解して、それぞれ9−デセン酸及び1,18−オクタデク−9−エンジカルボン酸にすることができる。アセテート保護基の脱保護のための一般的な条件は、また、前掲のT.W.Greene著、「有機合成に於ける保護基」に記載されている。
下記の実施例は、本発明の方法の例示として示すが、決して本発明を限定するとして解釈すべきではない。本明細書中の開示に照らして、当業者は、本発明の範囲内に入る試薬、触媒及びメタセシス方法条件に於ける修正を認めるであろう。
実施例1〜6
下記のようにして、リシノール酸メチル(12−ヒドロキシ−オクタデク−9−エンオエート)を、無水酢酸との反応によってヒドロキシ保護して、リシノール酸メチルアセテート(12−アセチル−オクタデク−9−エンオエート)を製造した。メチルリシノレート(リシノール酸メチル)(77.0g、0.246モル、1.0当量)を、塩化メチレン(100mL)、ピリジン(100mL)、無水酢酸(37.73g、0.370モル、1.5当量)及び触媒の4−(N,N−ジメチルアミノ)ピリジン(0.5g)と一緒にし、得られた混合物を、500mLの丸底フラスコ内で35℃まで加熱した。反応フラスコを還流凝縮器(冷水によって冷却した)に連結し、そして反応物を窒素流下に保持した。反応物をこれらの条件下で72時間維持し、この時点でこれを室温にまで冷却した。得られた反応混合物を、重炭酸ナトリウムの飽和水溶液(4×100mL)、塩酸水溶液(1M;4×100mL)で抽出し、硫酸マグネシウムで乾燥し、そして真空中で濃縮した。水素化カルシウムでの真空蒸留によって、透明な油を製造した。リシノール酸メチルアセテートを回収し、次いで使用の前にアルミナ(アルドリッチ(Aldrich)活性化塩基性アルミナ、ブロックマン(Brockmann)I、カタログ#19944−3)で処理した。
このアルミナ処理したリシノール酸メチルアセテート及びエチレンで、クロス−メタセシス反応を実施した。このメタセシス方法のための一般的な手順は、下記の通りであった。処理したリシノール酸メチルアセテート(0.99g、2.81mmol)を、反応器チューブ(シミックス(Symyx)PPR−48スラリー反応器)の中に入れた。反応器を密閉し、そしてトルエン(2.95mL)を反応器チューブに添加した。次いで、反応器を所望の温度及びエチレンの圧力にした。この加圧したチューブに、触媒を含有するトルエン溶液(100μLのトルエン)を添加した。リシノール酸メチルアセテートの触媒に対するモル比は、20,673/1であった。下記の触媒を試験した。
Cl2GI−ビス(トリシクロヘキシルホスフィン)ベンジリデンルテニウムジクロリド
Br2GI−ビス(トリシクロヘキシルホスフィン)ベンジリデンルテニウムジブロミド
I2GI−ビス(トリシクロヘキシルホスフィン)ベンジリデンルテニウムジヨージド
Cl2GIC−ジクロロ[[2−(1−メチルエトキシ−α−O)フェニル]メチレン−α−C](トリシクロヘキシルホスフィン)ルテニウム
Br2GIC−ジブロモ[[2−(1−メチルエトキシ−α−O)フェニル]メチレン−α−C](トリシクロヘキシルホスフィン)ルテニウム
I2GIC−ジヨード[[2−(1−メチルエトキシ−α−O)フェニル]メチレン−α−C](トリシクロヘキシルホスフィン)ルテニウム
4時間後に、それぞれの反応物を、圧力下で、過剰のブチルビニルエーテルでクエンチした。主生成物は、1−デセン−4−アセテート及びメチル 9−デセノエートとして同定された。それぞれの生成物混合物を、ガスクロマトグラフィー(GC)によって分析して、ヒドロキシ保護された不飽和脂肪酸エステルの転化率、オレフィンメタセシス生成物の収率及びメタセシス触媒回転数を決定した。それぞれの触媒運転についての方法条件及び結果を、下記の表Iに示す。
Figure 0004779121
1.リシノール酸メチルアセテートの触媒に対するモル比=20,673/1
2.%転化率MRAc=生成物に転化されたリシノール酸メチルアセテートのモル%
3.収率=使用したMRAcの最初のモル数基準の、1−デセン−4−オールアセテート又はメチル 9−デセノエートのモル%。生成物は等量で生成される。
4.触媒回転数=触媒1モル当たりの生成されたホモ−アリルアルコールアセテートのモル数
表Iから、エチレンとのヒドロキシ保護された不飽和脂肪酸エステルのクロス−メタセシスによって、ホモ−アリルモノアルコールアセテートが生成することがわかる。ホモ−アリルモノアルコールアセテートは、一般的な方法によって脱保護されて、対応するホモ−アリルモノアルコールである1−デセン−4−オールを生成する。
比較例1〜6
リシノール酸メチルをヒドロキシ保護せず、そしてリシノール酸メチルの触媒に対するモル比が4,140/1であった以外は、実施例1〜6のメタセシス方法を繰り返した。比較例で使用した触媒の量は、リシノール酸エステル転化の妥当なレベルを達成するために、実施例1〜6に於けるよりも高かった。リシノール酸メチルをアルミナで処理し、次いで、所望の触媒で、そして実施例1〜6に於いて使用したものと同様の方法条件下で、メタセシス方法に直接使用した。主生成物には、ホモ−アリルモノアルコールである1−デセン−4−オール及びメチル 9−デセノエートが含有されていた。ヒドロキシ官能基を保護しなかったので、脱保護工程は実施しなかった。プロセス条件及び結果を表IIに示す。
Figure 0004779121
1.リシノール酸メチルの触媒に対するモル比=4,140/1
2.%転化率MR=生成物に転化されたリシノール酸メチルのモル%
3.収率=使用したMRの最初のモル数基準の、1−デセン−4−オール又はメチル 9−デセノエートのモル%。生成物は等量で生成される。
4.触媒回転数=触媒1モル当たりの生成されたホモ−アリルアルコールのモル数
表II中の比較実験を、表I中の対応する実施例と比較するとき、ヒドロキシ保護した不飽和脂肪酸エステルの使用によって、保護しないヒドロキシ置換された不飽和脂肪酸エステルを使用することと比較したとき、より高いメタセシス生成物の収率及びより高い触媒回転数になることがわかる。
実施例7〜12
異なったセットの触媒を試験した以外は、実施例1〜6のものと同様の方法で、メタセシス方法を、リシノール酸メチルアセテートで実施した。主反応生成物は、1−デセン−4−アセテート及びメチル 9−デセノエートからなっていた。1−デセン−4−アセテートを、実施例1〜6に於けるようにして脱保護して、ホモ−アリルモノアルコールである1−デセン−4−オールを生成した。触媒を下記に示し、そしてプロセス条件及び結果を表IIIに示す。
Cl2GII−[(1,3−ビス−(2,4,6−トリメチルフェニル)−2−イミダゾリジニリデン)ジクロロ(フェニルメチレン)(トリシクロヘキシルホスフィン)ルテニウム)]
Br2GII−[(1,3−ビス−(2,4,6−トリメチルフェニル)−2−イミダゾリジニリデン)ジブロモ(フェニルメチレン)(トリシクロヘキシルホスフィン)ルテニウム)]
I2GII−[(1,3−ビス−(2,4,6−トリメチルフェニル)−2−イミダゾリジニリデン)ジヨード(フェニルメチレン)(トリシクロヘキシルホスフィン)ルテニウム)]
Cl2GIIC−1,3−ビス−(2,4,6−トリメチルフェニル)−2−イミダゾリジニリデン)ジクロロ(o−イソプロポキシフェニルメチレン)ルテニウム
Br2GIIC−1,3−ビス−(2,4,6−トリメチルフェニル)−2−イミダゾリジニリデン)ジブロモ(o−イソプロポキシフェニルメチレン)ルテニウム
I2GIIC−1,3−ビス−(2,4,6−トリメチルフェニル)−2−イミダゾリジニリデン)ジヨード(o−イソプロポキシフェニルメチレン)ルテニウム
Figure 0004779121
1.リシノール酸メチルアセテートの触媒に対するモル比=20,673/1
2.%転化率MRAc=生成物に転化されたリシノール酸メチルアセテートのモル%
3.収率=使用したMRAcの最初のモル数基準の、1−デセン−4−オールアセテート又はメチル 9−デセノエートのモル%。生成物は等量で生成される。
4.触媒回転数=触媒1モル当たりの生成されたホモ−アリルアルコールアセテートのモル数
表IIIから、エチレンとのヒドロキシ保護された不飽和脂肪酸エステルのクロス−メタセシスによって、ホモ−アリルモノアルコールアセテートを生成することがわかる。ホモ−アリルモノアルコールアセテートは、一般的な方法によって脱保護されて、対応するホモ−アリルモノアルコールである1−デセン−4−オールを生成する。
比較例7〜12
リシノール酸メチルをヒドロキシ保護せず、そしてリシノール酸メチルの触媒に対するモル比が4,140/1であった以外は、実施例7〜12のメタセシス方法を繰り返した。リシノール酸メチルをアルミナで処理し、次いで、実施例7〜12に於けると同じ触媒及びプロセス条件を使用するメタセシス方法に直接使用した。主生成物には、ホモ−アリルモノアルコールである1−デセン−4−オール及びメチル 9−デセノエートが含有されていた。ヒドロキシ官能基を保護しなかったので、脱保護工程は実施しなかった。プロセス条件及び結果を表IVに示す。
Figure 0004779121
1.リシノール酸メチルの触媒に対するモル比=4,140/1
2.%転化率MR=生成物に転化されたリシノール酸メチルのモル%
3.収率=使用したMRの最初のモル数基準の、1−デセン−4−オール又はメチル 9−デセノエートのモル%。生成物は等量で生成される。
4.触媒回転数=触媒1モル当たりの生成されたホモ−アリルアルコールのモル数
表IV中の比較実験を、表III中の対応する実施例と比較するとき、ヒドロキシ保護した不飽和脂肪酸エステルの使用によって、保護しないヒドロキシ置換された不飽和脂肪酸エステルを使用することと比較したとき、より高い触媒回転数になることがわかる。
実施例13〜15
ホモ−メタセシス(低級オレフィン、例えばエチレンの不存在下でのメタセシス)への保護基の影響を評価した。ホモ−メタセシス方法のための一般的な手順は、下記の通りであった。実施例1に記載した方法でアルミナで処理したリシノール酸メチルアセテート(2.00g、5.60mmol)を、攪拌棒及び内部標準としてテトラデカン(0.20g)を含有するガラスバイアルの中に装入した。このガラスバイアルに、Cl2GII触媒[(1,3−ビス−(2,4,6−トリメチルフェニル)−2−イミダゾリジニリデン)ジクロロ(フェニルメチレン)(トリシクロヘキシルホスフィン)ルテニウムを含有するトルエン溶液を添加した。ここで、リシノール酸メチルアセテートの触媒に対するモル比を、5,000:1から100,000:1まで変化させた。サンプルを設定間隔で取り出し、そして過剰のブチルビニルエーテルでクエンチした。リシノール酸メチルアセテートの転化率及びジメチル−1,18−オクタデク−9−エンジオエートに対する触媒回転数(製造されたジメチル−1,18−オクタデク−9−エンジオエートのモル数/触媒のモル数)を決定するために、分析をGCによって実施した。結果を表Vに示す。
Figure 0004779121
1.%リシノール酸メチルアセテート転化率=生成物に転化されたリシノール酸メチルアセテートのモル%
2.触媒回転数=製造されたジメチル−1,18−オクタデク−9−エンジオエートのモル数/触媒のモル数
表Vから、ヒドロキシ保護された不飽和脂肪酸エステルのホモ−メタセシスによって、ジオールアセテートであるジメチル−1,18−オクタデク−9−エンジオエートが生成することがわかる。一般的な方法によるこのジオールアセテートの加水分解によって、対応する1,18−オクタデク−9−エンジカルボン酸が生成する。更に、この方法によって、等収量のホモ−アリルジオールジアセテートである9−オクタデセン−7,12−ジオールジアセテートが製造され、これは、アセテート基を除去するための脱保護の後、ホモ−アリルジオールである9−オクタデセン−7,12−ジオールを生成する。
比較例13〜15
ヒドロキシ官能基の保護を使用しなかった以外は、実施例13〜15を繰り返した。従って、リシノール酸メチルアセテートの代わりにリシノール酸メチルを使用し、そしてメタセシス方法のための一般的手順は下記の通りであった。アルミナで処理したリシノール酸メチル(2.00g、5.60mmol)を、攪拌棒及び内部標準としてテトラデカン(0.20g)を含有するガラスバイアルの中に装入した。このガラスバイアルに、Cl2GII触媒[(1,3−ビス−(2,4,6−トリメチルフェニル)−2−イミダゾリジニリデン)ジクロロ(フェニルメチレン)(トリシクロヘキシルホスフィン)ルテニウムを含有するトルエン溶液を添加した。ここで、リシノール酸メチルの触媒に対するモル比を、5,000:1から100,000:1まで変化させた。サンプルを設定間隔で取り出し、そして過剰のブチルビニルエーテルでクエンチした。リシノール酸メチルの転化率及びジメチル−1,18−オクタデク−9−エンジオエートに対する触媒回転数(製造されたジメチル−1,18−オクタデク−9−エンジオエートのモル数/触媒のモル数)を決定するために、分析をGCによって実施した。結果を表VIに示す。
Figure 0004779121
1.%リシノール酸メチル転化率=生成物に転化されたリシノール酸メチルのモル%
2.触媒回転数=製造されたジメチル−1,18−オクタデク−9−エンジオエートのモル数/触媒のモル数
アセテート保護基の有利な影響は、実施例13〜15対比較例13〜15からの結果に於いて明瞭に示される。実施例14〜15及び比較例14〜15について、アセテート保護基を使用するとき、より高い転化率及び回転が両方の時間間隔で見られる。実施例13及び比較例13に於いてのみは同様の結果が見られるが、これは、過剰量の添加された触媒のために、両システムが平衡転化率(50%転化率に近い理論的最大値)に達することからの結果である。触媒装入量を下げるとき、保護基を使用するとき改良された触媒性能を観察することができる。最高の示された回転数、9755は、アセテート保護基が含有された実施例14に於いて観察される。
以下に本発明及びその関連態様を記載する。
態様1.(a)ヒドロキシ置換された不飽和脂肪酸又は脂肪酸エステルから誘導されたヒドロキシ保護された不飽和脂肪酸又は脂肪酸エステルを、メタセシス触媒及び任意的な低級オレフィンと、ヒドロキシ保護された不飽和脂肪酸又は脂肪酸エステルとは異なる、少なくとも1種のヒドロキシ保護された不飽和生成物を製造するために十分なメタセシス条件下で、接触させる工程並びに(b)ヒドロキシ保護された不飽和生成物を、不飽和アルコールを製造するために十分な条件下で、脱保護する工程を含んでなる、不飽和アルコールの製造方法。
態様2.ヒドロキシ置換された不飽和脂肪酸又は脂肪酸エステルがヒドロキシ置換されたC 8 〜C 60 不飽和脂肪酸又は脂肪酸エステルを含み、そしてヒドロキシ保護された不飽和脂肪酸又は脂肪酸エステルがヒドロキシ保護されたC 8 〜C 60 不飽和脂肪酸又は脂肪酸エステルを含む態様1に記載の方法。
態様3.脂肪酸がリシノール酸、オーリコリン酸、アベノレイン酸、アキシラレン酸、コリオリン酸、デンシポリン酸、ヘレニノリン酸、イソリシノール酸、カムロレン酸、レスケロリン酸、リシネライジン酸、ストロファンサス酸及びこれらの混合物からなる群から選択される、態様1に記載の方法。
態様4.ヒドロキシ保護された不飽和脂肪酸又は脂肪酸エステルがエステル、エーテル、スルホネートエステル、シリルエーテル又はカーボネート官能価でヒドロキシ保護されている態様1に記載の方法。
態様5.不飽和脂肪酸エステルがグリセロール又はC 1 〜C 8 アルカノールから誘導される、態様1に記載の方法。
態様6.低級オレフィンがC 2 〜C 8 オレフィンであり、そして任意的に、低級オレフィンのヒドロキシ保護された不飽和脂肪酸又は脂肪酸エステルに対する比が0.8/1よりも大きくかつ20/1よりも小さい態様1に記載の方法。
態様7.メタセシス触媒が式:
Figure 0004779121
(式中、MはRu又はOsであり、各Lは、独立に、Mの結合及び電荷必要条件を釣り合わせる全ての組合せで、中性及びアニオン性配位子から選択され、aは1〜4の整数であり、R′は水素、アルキル、シクロアルキル、アリール及び置換されたアリール基から選択され、Yは周期表の第15族又は第16族からの元素であり、各R″は、独立に、Yの原子価を満足させるために十分な、水素、アルキル、シクロアルキル、アリール及び置換されたアリール基から選択され、bは0〜2の整数であり、そしてZは、二座配位子
(この配位子は、M原子と連結して、4〜8個の原子の環を形成する)を形成するように、Y及びカルベン炭素(C)の両方に結合されている有機ジラジカルである)
によって表される態様1に記載の方法。
態様8.各Lが、独立に、フッ化物、塩化物、臭化物、ヨウ化物;シアン化物、チオシアネート、式PR 3 のホスフィン、式NR 3 のアミン、水及び式OR 2 のエーテル、式SR 2 のチオエーテル並びに下記式:
Figure 0004779121
(上記式の何れかに於ける各Rは、独立に、水素、C 1 〜C 15 アルキル、C 3 〜C 8 シクロアルキル、C 6 〜C 15 アリール及びC 6 〜C 15 置換アリール基からなる群から選択される)
を有する配位子からなる群から選択される態様7に記載の方法。
態様9.Zが下記式:
Figure 0004779121
(式中、各Rは、独立に、水素、C 1 〜C 15 アルキル、C 3 〜C 8 シクロアルキル及びC 6 〜C 15 アリール基及びC 6 〜C 15 置換アリール基から選択され、そして各nは1〜4の整数である)
に示されるような、エチレン(IV)、ビニレン(V)、フェニレン(VI)、置換されたビニレン(VII)、置換されたフェニレン(VIII)、ナフチレン(IX)、置換されたナフチレン(X)、ピペラジンジイル(XI)、ピペリジイル(XII)からなる群から選択される態様7に記載の方法。
態様10.Mがルテニウムであり、そして任意的に、Lがハロゲン化物及びトリアルキルホスフィンから選択され、そしてZがフェニレンである態様7に記載の方法。
態様11.メタセシス触媒が
ビス(トリシクロヘキシルホスフィン)ベンジリデンルテニウムジクロリド、
ビス(トリシクロヘキシルホスフィン)ベンジリデンルテニウムジブロミド、
ビス(トリシクロヘキシルホスフィン)ベンジリデンルテニウムジヨージド、
[(1,3−ビス−(2,4,6−トリメチルフェニル)−2−イミダゾリジニリデン)ジクロロ(フェニルメチレン)(トリシクロヘキシルホスフィン)ルテニウム)]、
[(1,3−ビス−(2,4,6−トリメチルフェニル)−2−イミダゾリジニリデン)ジブロモ(フェニルメチレン)(トリシクロヘキシルホスフィン)ルテニウム)]、
[(1,3−ビス−(2,4,6−トリメチルフェニル)−2−イミダゾリジニリデン)ジヨード(フェニルメチレン)(トリシクロヘキシルホスフィン)ルテニウム)]、
ジクロロ[[2−(1−メチルエトキシ−α−O)フェニル]メチレン−α−C](トリシクロヘキシルホスフィン)ルテニウム、
ジブロモ[[2−(1−メチルエトキシ−α−O)フェニル]メチレン−α−C](トリシクロヘキシルホスフィン)ルテニウム、
ジヨード[[2−(1−メチルエトキシ−α−O)フェニル]メチレン−α−C](トリシクロヘキシルホスフィン)ルテニウム、
1,3−ビス−(2,4,6−トリメチルフェニル)−2−イミダゾリジニリデン)ジクロロ(o−イソプロポキシフェニルメチレン)ルテニウム、
1,3−ビス−(2,4,6−トリメチルフェニル)−2−イミダゾリジニリデン)ジブロモ(o−イソプロポキシフェニルメチレン)ルテニウム及び
1,3−ビス−(2,4,6−トリメチルフェニル)−2−イミダゾリジニリデン)ジヨード(o−イソプロポキシフェニルメチレン)ルテニウム
からなる群から選択される態様1に記載の方法。
態様12.安定化配位子をメタセシス工程に添加し、そして安定化配位子がトリアルキルホスフィン、トリアリールホスフィン、ジアリールアルキルホスフィン、アリールジアルキルホスフィン、エーテル、ピリジン、ホスフィンオキシド、ホスフィナイト、ホスホナイト、ホスホルアミダイト及びこれらの混合物からなる群から選択される態様1に記載の方法。
態様13.メタセシス工程を、0℃よりも高く、150℃よりも低い温度及び5psig(34.5kPa)よりも高く、1,000psig(6,895kPa)よりも低い全圧力で実施する態様1に記載の方法。
態様14.不飽和アルコールがホモ−アリルモノアルコール、ホモ−アリルポリオール、アリルモノアルコール及びアリルポリオールからなる群から選択される態様1に記載の方法。
態様15.ヒドロキシ置換された不飽和脂肪酸エステルがリシノール酸メチルであり、エチレンを含む低級オレフィンをメタセシス工程で使用し、クロス−メタセシス生成物が1−デセン−4−アセテート及びメチル 9−デセノエートを含み、そして脱保護された生成物が1−デセン−4−オールを含む態様1に記載の方法。
態様16.ヒドロキシ置換された不飽和脂肪酸エステルがリシノール酸メチルであり、ホモ−メタセシス生成物が9−オクタデセン−7,12−ジアセテート及び1,18−ジメチルオクタデク−9−エンジオエートを含み、そして脱保護された生成物が9−オクタデセン−7,12−ジオールを含む態様1に記載の方法。
態様17.メタセシス生成物混合物が1種又はそれ以上の不飽和エステルを含み、この不飽和エステルが、任意的に、対応する不飽和カルボン酸に転化される態様1に記載の方法。
態様18.ヒドロキシ保護された不飽和脂肪酸又は脂肪酸エステルが、ヒドロキシ置換された不飽和脂肪酸又は脂肪酸エステルを、カルボン酸ハライド、無水物、アルコール、ハロゲン化アルキル及び炭酸ジアルキルからなる群から選択されたヒドロキシ保護試薬で、ヒドロキシ保護された不飽和脂肪酸又は脂肪酸エステルを製造するために十分な条件下で処理することによって製造される態様1に記載の方法。
態様19.(a)ヒドロキシ置換された不飽和脂肪酸又は脂肪酸エステル(ここでヒドロキシ及び不飽和官能性はホモ−アリル関係をとる)を、ヒドロキシ保護試薬で、ヒドロキシ保護された不飽和脂肪酸又は脂肪酸エステルを製造するために十分な条件下で、処理する工程、(b)ヒドロキシ保護された不飽和脂肪酸又は脂肪酸エステルを、メタセシス触媒及び任意的な低級オレフィンと、ヒドロキシ保護された不飽和脂肪酸又は脂肪酸エステルとは異なる、少なくとも1種のヒドロキシ保護された不飽和生成物を含む生成物混合物を製造するために十分なメタセシス条件下で、接触させる工程、(c)任意的に、この生成物混合物からヒドロキシ保護された不飽和生成物を分離する工程並びに(d)ヒドロキシ保護された不飽和生成物を、ホモ−アリルモノアルコール又はホモ−アリルポリオールを製造するために十分な条件下で、脱保護する工程を含んでなるホモ−アリルモノアルコール又はホモ−アリルポリオールの製造方法。
態様20.ヒドロキシ置換された不飽和脂肪酸エステルがリシノール酸メチルであり、ホモ−アリルモノアルコールが1−デセン−4−オールを含み、そしてホモ−アリルポリオールが9−オクタデセン−7,12−ジオールを含む態様19に記載の方法。
態様21.9−オクタデセン−7,12−ジオールを含んでなる組成物。
態様22.(a)12−ヒドロキシオクタデク−9−エン酸又はそのエステルを、対応する12−ヒドロキシ保護されたオクタデク−9−エン酸又はそのエステルに転化させる工程、(b)12−ヒドロキシ保護された酸又はエステルを、メタセシス触媒の存在下で、ヒドロキシ保護された9−オクタデセン−7,12−ジオールを製造するために十分なメタセシス条件下で、ホモ−メタセシスする工程及び(c)ヒドロキシ保護された不飽和ジオールを、9−オクタデセン−7,12−ジオールを製造するために十分な条件下で、脱保護する工程を含む方法によって製造された態様21に記載の組成物。

Claims (21)

  1. (a)ヒドロキシ置換された不飽和脂肪酸又は脂肪酸エステルから誘導されたヒドロキシ保護された不飽和脂肪酸又は脂肪酸エステルを、メタセシス触媒及びC2〜C8低級オレフィンと、ヒドロキシ保護された不飽和脂肪酸又は脂肪酸エステルとは異なる、少なくとも1種のヒドロキシ保護された不飽和生成物を製造するために十分なメタセシス条件下で、接触させる工程並びに(b)ヒドロキシ保護された不飽和生成物を、不飽和アルコールを製造するために十分な条件下で、脱保護する工程を含んでなり、前記ヒドロキシ保護された不飽和脂肪酸又は脂肪酸エステルがアセテート基で保護されたものであり、そして前記メタセシス触媒が式:
    Figure 0004779121
    (式中、MはRu又はOsであり、各Lは、独立に、Mの結合及び電荷必要条件を釣り合わせる全ての組合せで、中性及びアニオン性配位子から選択され、aは1〜4の整数であり、R′は水素、アルキル、シクロアルキル、アリール及び置換されたアリール基から選択され、Yは周期表の第15族又は第16族からの元素であり、各R″は、独立に、Yの原子価を満足させるために十分な、水素、アルキル、シクロアルキル、アリール及び置換されたアリール基から選択され、bは0〜2の整数であり、そしてZは、二座配位子
    (この配位子は、M原子と連結して、4〜8個の原子の環を形成する)を形成するように、Y及びカルベン炭素(C)の両方に結合されている有機ジラジカルである)
    によって表される、不飽和アルコールの製造方法。
  2. ヒドロキシ置換された不飽和脂肪酸又は脂肪酸エステルがヒドロキシ置換されたC8〜C60不飽和脂肪酸又は脂肪酸エステルを含み、そしてヒドロキシ保護された不飽和脂肪酸又は脂肪酸エステルがヒドロキシ保護されたC8〜C60不飽和脂肪酸又は脂肪酸エステルを含む請求項1に記載の方法。
  3. 脂肪酸がリシノール酸、オーリコリン酸、アベノレイン酸、アキシラレン酸、コリオリン酸、デンシポリン酸、ヘレニノリン酸、イソリシノール酸、カムロレン酸、レスケロリン酸、リシネライジン酸、ストロファンサス酸及びこれらの混合物からなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
  4. ヒドロキシ保護された不飽和脂肪酸又は脂肪酸エステルがエステル、エーテル、スルホネートエステル、シリルエーテル又はカーボネート官能価でヒドロキシ保護されている請求項1に記載の方法。
  5. 不飽和脂肪酸エステルがグリセロール又はC1〜C8アルカノールから誘導される、請求項1に記載の方法。
  6. 前記低級オレフィンのヒドロキシ保護された不飽和脂肪酸又は脂肪酸エステルに対する比が0.8/1よりも大きくかつ20/1よりも小さい請求項1に記載の方法。
  7. 各Lが、独立に、フッ化物、塩化物、臭化物、ヨウ化物;シアン化物、チオシアネート、式PR3のホスフィン、式NR3のアミン、水及び式OR2のエーテル、式SR2のチオエーテル並びに下記式:
    Figure 0004779121
    (上記式の何れかに於ける各Rは、独立に、水素、C1〜C15アルキル、C3〜C8シクロアルキル、C6〜C15アリール及びC6〜C15置換アリール基からなる群から選択される)
    を有する配位子からなる群から選択される請求項1に記載の方法。
  8. Zが下記式:
    Figure 0004779121
    (式中、各Rは、独立に、水素、C1〜C15アルキル、C3〜C8シクロアルキル及びC6〜C15アリール基及びC6〜C15置換アリール基から選択され、そして各nは1〜4の整数である)
    に示されるような、エチレン(IV)、ビニレン(V)、フェニレン(VI)、置換されたビニレン(VII)、置換されたフェニレン(VIII)、ナフチレン(IX)、置換されたナフチレン(X)、ピペラジンジイル(XI)、ピペリジイル(XII)からなる群から選択される請求項1に記載の方法。
  9. Mがルテニウムであり、そしてLがハロゲン化物及びトリアルキルホスフィンから選択され、そしてZがフェニレンである請求項1に記載の方法。
  10. メタセシス触媒が
    ビス(トリシクロヘキシルホスフィン)ベンジリデンルテニウムジクロリド、
    ビス(トリシクロヘキシルホスフィン)ベンジリデンルテニウムジブロミド、
    ビス(トリシクロヘキシルホスフィン)ベンジリデンルテニウムジヨージド、
    [(1,3−ビス−(2,4,6−トリメチルフェニル)−2−イミダゾリジニリデン)ジクロロ(フェニルメチレン)(トリシクロヘキシルホスフィン)ルテニウム)]、
    [(1,3−ビス−(2,4,6−トリメチルフェニル)−2−イミダゾリジニリデン)ジブロモ(フェニルメチレン)(トリシクロヘキシルホスフィン)ルテニウム)]、
    [(1,3−ビス−(2,4,6−トリメチルフェニル)−2−イミダゾリジニリデン)ジヨード(フェニルメチレン)(トリシクロヘキシルホスフィン)ルテニウム)]、
    ジクロロ[[2−(1−メチルエトキシ−α−O)フェニル]メチレン−α−C](トリシクロヘキシルホスフィン)ルテニウム、
    ジブロモ[[2−(1−メチルエトキシ−α−O)フェニル]メチレン−α−C](トリシクロヘキシルホスフィン)ルテニウム、
    ジヨード[[2−(1−メチルエトキシ−α−O)フェニル]メチレン−α−C](トリシクロヘキシルホスフィン)ルテニウム、
    1,3−ビス−(2,4,6−トリメチルフェニル)−2−イミダゾリジニリデン)ジクロロ(o−イソプロポキシフェニルメチレン)ルテニウム、
    1,3−ビス−(2,4,6−トリメチルフェニル)−2−イミダゾリジニリデン)ジブロモ(o−イソプロポキシフェニルメチレン)ルテニウム及び
    1,3−ビス−(2,4,6−トリメチルフェニル)−2−イミダゾリジニリデン)ジヨード(o−イソプロポキシフェニルメチレン)ルテニウム
    からなる群から選択される請求項1に記載の方法。
  11. 安定化配位子をメタセシス工程に添加し、そして安定化配位子がトリアルキルホスフィン、トリアリールホスフィン、ジアリールアルキルホスフィン、アリールジアルキルホスフィン、エーテル、ピリジン、ホスフィンオキシド、ホスフィナイト、ホスホナイト、ホスホルアミダイト及びこれらの混合物からなる群から選択される請求項1に記載の方法。
  12. メタセシス工程を、0℃よりも高く、150℃よりも低い温度及び5psig(34.5kPa)よりも高く、1,000psig(6,895kPa)よりも低い全圧力で実施する請求項1に記載の方法。
  13. 不飽和アルコールがホモ−アリルモノアルコール、ホモ−アリルポリオール、アリルモノアルコール及びアリルポリオールからなる群から選択される請求項1に記載の方法。
  14. ヒドロキシ置換された不飽和脂肪酸エステルがリシノール酸メチルであり、エチレンを含む低級オレフィンをメタセシス工程で使用し、クロス−メタセシス生成物が1−デセン−4−アセテート及びメチル 9−デセノエートを含み、そして脱保護された生成物が1−デセン−4−オールを含む請求項1に記載の方法。
  15. ヒドロキシ置換された不飽和脂肪酸エステルがリシノール酸メチルであり、ホモ−メタセシス生成物が9−オクタデセン−7,12−ジアセテート及び1,18−ジメチルオクタデク−9−エンジオエートを含み、そして脱保護された生成物が9−オクタデセン−7,12−ジオールを含む請求項1に記載の方法。
  16. メタセシス生成物混合物が1種又はそれ以上の不飽和エステルを含み、この不飽和エステルが、任意的に、対応する不飽和カルボン酸に転化される請求項1に記載の方法。
  17. ヒドロキシ保護された不飽和脂肪酸又は脂肪酸エステルが、ヒドロキシ置換された不飽和脂肪酸又は脂肪酸エステルを、カルボン酸ハライド、無水物、アルコール、ハロゲン化アルキル及び炭酸ジアルキルからなる群から選択されたヒドロキシ保護試薬で、ヒドロキシ保護された不飽和脂肪酸又は脂肪酸エステルを製造するために十分な条件下で処理することによって製造される請求項1に記載の方法。
  18. (a)ヒドロキシ置換された不飽和脂肪酸又は脂肪酸エステル(ここでヒドロキシ及び不飽和官能性はホモ−アリル関係をとる)を、ヒドロキシ保護試薬で、ヒドロキシ保護された不飽和脂肪酸又は脂肪酸エステル(ここでヒドロキシ保護された不飽和脂肪酸又は脂肪酸エステルはアセテート基で保護されたものである)を製造するために十分な条件下で、処理する工程、(b)前記アセテート基で保護された不飽和脂肪酸又は脂肪酸エステルを、メタセシス触媒及びC2〜C8の低級オレフィンと、前記アセテート基で保護された不飽和脂肪酸又は脂肪酸エステルとは異なる、少なくとも1種のアセテート基で保護された不飽和生成物を含む生成物混合物を製造するために十分なメタセシス条件下で、接触させる工程、(c)任意的に、この生成物混合物からアセテート基で保護された不飽和生成物を分離する工程並びに(d)ヒドロキシ保護された不飽和生成物を、ホモ−アリルモノアルコール又はホモ−アリルポリオールを製造するために十分な条件下で、脱保護する工程を含んでなり、前記メタセシス触媒が式:
    Figure 0004779121
    (式中、MはRu又はOsであり、各Lは、独立に、Mの結合及び電荷必要条件を釣り合わせる全ての組合せで、中性及びアニオン性配位子から選択され、aは1〜4の整数であり、R′は水素、アルキル、シクロアルキル、アリール及び置換されたアリール基から選択され、Yは周期表の第15族又は第16族からの元素であり、各R″は、独立に、Yの原子価を満足させるために十分な、水素、アルキル、シクロアルキル、アリール及び置換されたアリール基から選択され、bは0〜2の整数であり、そしてZは、二座配位子
    (この配位子は、M原子と連結して、4〜8個の原子の環を形成する)を形成するように、Y及びカルベン炭素(C)の両方に結合されている有機ジラジカルである)
    によって表されるホモ−アリルモノアルコール又はホモ−アリルポリオールの製造方法。
  19. ヒドロキシ置換された不飽和脂肪酸エステルがリシノール酸メチルであり、ホモ−アリルモノアルコールが1−デセン−4−オールを含み、そしてホモ−アリルポリオールが9−オクタデセン−7,12−ジオールを含む請求項18に記載の方法。
  20. 9−オクタデセン−7,12−ジオールの化合物
  21. (a)12−ヒドロキシオクタデク−9−エン酸又はそのエステルを、対応する12−ヒドロキシ保護されたオクタデク−9−エン酸又はそのエステルに転化させる工程、(b)12−ヒドロキシ保護された酸又はエステルを、メタセシス触媒の存在下で、ヒドロキシ保護された9−オクタデセン−7,12−ジオールを製造するために十分なメタセシス条件下で、ホモ−メタセシスする工程及び(c)ヒドロキシ保護された不飽和ジオールを、9−オクタデセン−7,12−ジオールを製造するために十分な条件下で、脱保護する工程を含む方法によって製造された請求項20に記載の化合物を含む組成物。
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