JP4778184B2 - ネオペンチルグリコールの仕上げ - Google Patents

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Description

【0001】
本発明は、ネオペンチルグリコール溶融液を冷却、結晶化および微粉砕し、引き続いて、得られるネオペンチルグリコール粒子を貯蔵容器または運搬容器中に充填することによって、ネオペンチルグリコールを仕上げるための方法に関する。
【0002】
ネオペンチルグリコール(2,2−ジメチルプロパン−1,3−ジオール、略記:NPG)は、特に、ポリエステルおよびポリウレタンを製造するために使用される、工業的に重要な生成物である。NPGの工業的合成は、イソブチルアルデヒドとホルムアルデヒドとから出発し、その後に接触水素化することによるものであり、たとえば、これは、Ulmann’s Encyclopedia of Chemistry,第6版, Electronic Release 1998, 章 Alcohol,Polyhydric,2−diols,2.2.1 Neopentyl glycolに記載されている。
【0003】
固体NPGは、フレークの形で市販されている。このようなフレークは、フレーキングロールまたは結晶化ベルトまたは冷却ベルトを用いての、溶融NPGの凝固によって製造することができる。このような方法は、たとえば、Ullmann’s Encyclopedia of Industrial Chemistry,第5版,第B2巻,第3章,第29頁〜31頁に記載されている。フレーク状に仕上げられたNPGは、商業的には、たとえば、袋に詰められた固体である。典型的に500kgを含有する大袋がしばしば使用される。
【0004】
フレーク状の固体NPGが、貯蔵中にケーキングしうることは公知であり、その結果、生成物の流動性が著しく損なわれる。これは、生成物の取り扱い、特に袋または大袋を空にするのをより困難にする。ケーキングの原因の一つは、固体のNPGの2個の異なる結晶の変種(modification)の存在である。この作用は、DE−A−3347405中に記載されている。熱力学的に不安定な変種の熱力学的に安定な形への変態温度が、特に、過冷却上で42〜33℃であることが報告されている。約40℃を上廻る熱力学的に安定性な、高温での形状(high-tempererature form)は、軟らかくかつ粘着性である。これは、特に、極めて純粋なNPGが過冷却される場合には、特に、33℃を下廻って過冷却することができる。この温度において、低温の形状(low-tempererature form)への相転移が生じる。この固/固相転移は、多量の熱を放出する。この熱上昇は、袋を互いに積み重ねての貯蔵によって生じる圧力と共に、ケーキングの原因である。
【0005】
固体のケーキングを回避するための通常の方法は、ケーキング防止剤の添加である。
【0006】
DE−A3347405によれば、さらに、不純物としてのジオールを、ケーキングを防止するために、故意にNPG中に混合している。
【0007】
DE−A−3010138では、この目的のための第3アミンの使用が提案されている。
【0008】
ケーキングを回避するための他の助剤の使用は、以前に記載されている。
【0009】
他の試みは、DE−A−3522359でおこなわれている。これによれば、NPGは、二軸スクリュー押出機中で処理され、その後に狭窄した管路を介して低圧領域に押し出され、冷却され、かつ粒子に分解される。狭窄した管路を加熱し、その結果、管路の壁面に沿って通過する個々の結晶は溶融し薄膜を形成し、凝固した後に、圧縮された結晶材料周囲に固体の外被を形成する。結果として、滑らかな表面を有する塵のない(dust-free)粒子が得られた。
【0010】
前記方法は、装置の点において高い費用を必要とする。従来的に示されている方法は、一つまたはそれ以上の不純物を添加しなければならないといった欠点を有する。これは、付加的に費用のかかる工程を必要とし、それというのも、これら成分の溶融NPGへの正確な計量供給および混合を確立しなければならないためである。さらに、不純物は、しばしば、高い純度を要求する適用中での妨げとなる。
【0011】
本発明の目的は、ネオペンチルグリコール(NPG)を仕上げるための方法を提供することであり、この場合、これは、公知方法の欠点を回避し、貯蔵および運搬中におけるケーキングを防止する形で固体NPGを得るものである。ケーキング防止剤を添加する必要はない。
【0012】
この目的が、ネオペンチルグリコール溶融液を冷却、結晶化および微粉砕し、引き続いて、得られるネオペンチルグリコール粒子を、貯蔵容器または運搬容器中に充填することによって、ネオペンチルグリコールを仕上げるための方法によって達成されることが見出され、この場合、この方法は、溶融液を、冷却開始時において、冷却液を用いないでかまたは50〜200℃の温度範囲を有する冷却液を用いて、少なくとも1/10分に亘って冷却し、かつ、生成物を、30℃を下廻る温度で充填することを含む。
【0013】
本発明によれば、30℃を下廻る温度への徐冷が、溶融NPGの、貯蔵安定性の粒子、たとえばペレットまたはフレークへの変換を可能にすることが見出された。
【0014】
徐冷は、溶融液を、冷却開始時に少なくとも1/10分に亘って、好ましくは少なくとも1分に亘って、特に好ましくは少なくとも2分に亘って、殊に好ましくは少なくとも3分に亘って、冷却液を用いないかまたは50〜120℃、好ましくは60〜110℃の温度範囲を有する冷却液を用いて冷却することによって達成される。冷却液を用いない場合には、NPG溶融液は、周囲空気への熱移動および熱放射によって冷却される。これよれば、“冷却液”の用語は、液体熱交換媒体に関し、この場合、これは、NPGとの熱的接触によって加熱され、かつ、別の場所で冷却される。プラント構成部材、たとえば、冷却ベルト自体は、“冷却液”には含まれない。
【0015】
NPG粒子は、好ましくは、30℃を下廻る温度で充填される。
【0016】
本発明よれば、冷却、結晶化および微粉砕の順番は、自由に選択することができる。一般に、順番は、使用する冷却装置によって定められる。
【0017】
本発明の一つの実施態様において、NPG溶融液は最初に冷却され、かつ、結晶化され、その後に微粉砕される。この目的のために、少なくとも最初の冷却は、好ましくは冷却ベルトまたはフレーキングロール(flaking roll)上で実施される。これらの装置は当業者に公知である。
【0018】
本発明の他の実施態様において、NPG溶融液は、最初に微粉砕され、その後に冷却および結晶化される。これは、たとえば、冷却ベルトかまたはペレット製造皿(pelletizing pan)を用いて達成することができる。前記実施態様とは対照的に、この実施態様は、冷却ベルトを使用する場合には、冷却ベルト上に連続的な薄層を製造することはないが、しかしながら、その代わりに、液滴成形機または同様の装置を用いることで、多くの液滴が、冷却ベルト上に滴加される。
【0019】
記載された好ましい冷却装置を使用する場合には、冷却は、本発明にしたがって、前記に示されたように、最初はゆっくりとおこなわれる。これは、その後に、公知の方法で、急速冷却によっておこなわれる。
【0020】
冷却を、冷却ベルト上でおこなう場合には、最初に冷却液を用いないでかまたは50〜120℃の温度範囲の冷却液を用いて、冷却ベルトの第1領域上で冷却をおこない、その後に、40℃を下廻る温度、特に5〜35℃の温度を有する冷却液を用いて、冷却ベルトの第2領域上でおこなう。
【0021】
徐冷は、たとえば、連続した薄層の形で、適した適用装置、たとえば、越流せきを用いて冷却ベルト上に適用される、溶融NPG(融点:約140℃)によって達成される。この適用箇所においては、ベルトを全く冷却ししないかまたは適度にのみ冷却する。さらに、ベルトを、たとえば、ドラム加熱を用いて予加熱することも可能である。この予加熱は、一般には、冷却しないかまたは適度な冷却の領域と一緒に組み合わされる。薄層の大きい厚さを達成するために、冷却ベルトは、横向の遮断層(la1teral barriers)、たとえば、ゴムまたはシリコンを備えていてもよい。冷却ベルトが使用される場合には、薄層の厚さは好ましくは1〜10mmであり、特に好ましくは2〜5mmである。30℃を下廻る温度への徐冷は、専ら冷却ベルト上でおこなわれてもよく、この場合、これは、溶融液の凝固のために使用される。これによれば、固−固相転移は、完全に冷却ベルト上でおこなわれてもよい。さらに、部分的にかまたは完全に、高温の形状の凝固した生成物を、他の熱交換器中で30℃未満の温度に導くことも可能である。これらの熱交換器は、一般には、冷却ベルト、フレーキングロールまたはペレット製造皿の下流に取り付けられている。適した熱交換器または冷却装置の例は、連続的にかまたは断続的に供給された、プレート式熱交換装置、冷却ベルト、冷却ヘリックスコンベヤ、冷却スクリューコンベヤ、可動式内部構造物を備えたシャフトクーラー、空気輸送装置またはこれらの組合わせ物である。
【0022】
NPG粒子のさらなる冷却は、貯蔵容器または運搬容器中に小分けした後に、おこなわれてもよい。このような容器は、たとえば、袋、桶および同様の容器である。しかしながら、生成物は、好ましくは、貯蔵容器または運搬容器に小分けする前に十分に冷却される。
【0023】
本発明によれば、NPG粒子は、任意の好ましい外観的形態を有していてもよい。一般に、外観的形態は、使用される冷却装置および下流または上流に分配された装置によって定められる。NPG粒子は、しばしばフレークの形である。しかしながら、これらはまた、液滴またはペレットの形であってもよいか、他の任意の外観的形態であってもよい。ペレットの形は、特に、貯蔵中の生成物のケーキングを防止するのに効果的である。
【0024】
仕上げ生成物の形の選択(フレーク、ペレット等)およびNPGの凝固および冷却のために記載された方法の一つの選択は、一般に、製造側の状況および使用者の要求に依存する。費用のかからない冷却は、特に、単一の冷却ベルトの使用によって可能であり、この場合、この冷却ベルトは、異なる冷却領域を有しており、したがって、NPG溶融液の徐冷が確保される。
【0025】
冷却ベルト、フレーキングロールまたはペレット製造皿上のNPGの滞留時間は、好ましくは0.1〜20分、特に好ましくは2〜15分であり、殊に好ましくは3〜10分である。
【0026】
冷却のために使用された装置中でのNPGの全滞留時間は、好ましくは4〜240分、特に好ましくは4〜60分である。
【0027】
本発明によって製造されたNPG粒子の粒径は、質量によって特徴付けられ、好ましくは0.05〜1gである。ここで、すでに前記に示したように、個々のNPG粒子の極めて異なる外観的形態が可能である。また、外観的形態は、仕上げNPGの適用の特別な領域に依存する。
【0028】
冷却のために単独で使用されたベルト冷却器上の滞留時間は、好ましくは4〜20分、特に好ましくは4〜10分である。
【0029】
本発明は以下の実施例によって例証される。
【0030】

比較例C1
溶融NPGを、150℃の温度で、幅1.5mおよび長さ7mを有する冷却ベルトに、ラム装置を用いて適用した。溶融NPGの低い粘度のために、連続した薄層が形成された。ベルトを、約10℃の許容温度を有する冷却水によって冷却した。1時間当たり500kgのNPG溶融液の供給速度で、1〜1.5mmの厚さを有するフレークを、スクレーパーで得た。スクレーパーでの生成物温度は19℃であった。その後に、掻き取られた生成物を、5kgと25kgの2個の袋に充填した。その後に袋を10〜20℃で、0.5メートルトン/mの圧力で湿分の排除下においた。6週間の後に、袋を開け、評価した。双方の袋の内容物は、岩石のように硬くなっていた:フレークは完全にケーキングしていた。
【0031】
比較例C1は、ケーキングが専ら高温の形の存在および貯蔵中のその形態変化に寄与するものではないことを示した。袋中に充填され、さらに貯蔵される間には、温度は双方ともに、通常32℃を下廻るが、示された生成物はケーキングする傾向にある。
【0032】
例1
比較例中で記載されたフレーキング装置を使用して、液体NPGを、示された方法で凝固するが、しかしながら、冷却水での冷却は省略される。したがって、冷却は、専ら周囲への熱損失の結果として生じる。スクレーパーによって掻き取られた生成物は、軟らかくかつ粘着性であり、部分的にガラス状であり、かつ50℃の温度を有していた。この生成物 5kgを、プレート式熱交換器中に導入した。熱交換器のプレートの間隔は35mmであった。その後に、生成物を60分に亘って、10℃で、冷却水流1m/hによって冷却した。この間、生成物は49℃から27℃に冷却された。その後に生成物を熱交換器から取り出し、袋中に入れ、かつ、比較例1に記載のように貯蔵した。8週間後に、袋の内容物を試験した。生成物は、完全に自由流動性であり、かつ、わずかなケーキングの徴候さえもみられなかった。
【0033】
例2
溶融液NPGを、越流せきを介して、長さ7mを有する冷却ベルトに適用させた。ベルトを予加熱するために、バックドラムを約50℃に、熱水を用いて加熱した。ベルトの最初の4mを冷却せず、かつ、終わりの3mを、8℃の温度を有する冷却水を用いて冷却した。ベルト上の生成物の滞留時間は、4.5分であった。生成物を、15℃の温度で、袋中に置き、かつ前記に示したように貯蔵した。6週間後に、袋中の内容物を試験した。生成物は、完全に自由流動性を維持しており、かつ、ケーキングの徴候はみられなかった。
【0034】
例3
溶融液NPGを、液滴の形で、例2に記載したベルトに、液滴成形機によって適用させた。4mm/6mmの面積および2mmの厚さを有する伸びたペレットが得られた。しかしながら、冷却水での冷却をおこなうことなく、スクレーバーでの生成物温度は50℃であった。生成物を桶中に一晩に亘って放置した。翌朝、生成物温度は25℃であった。固−固相転移は完了した。8週間に亘っての前記に示された条件下での貯蔵後に、生成物は、完全に自由流動性であり、かつ、ケーキングの徴候を示さなかった。

Claims (9)

  1. ネオペンチルグリコール溶融液を冷却、結晶化および微粉砕し、引き続いて、得られるネオペンチルグリコール粒子を貯蔵容器または運搬容器中に充填することによって、ケーキング防止剤を添加しないでネオペンチルグリコールを仕上げる方法において、この溶融液を、冷却開始時に、冷却液を用いないかまたは50〜120℃の範囲の温度を有する冷却液を用いて、少なくとも1/10分に亘って冷却し、かつ生成物を、30℃を下廻る温度で充填することを特徴とする、ネオペンチルグリコールを仕上げる方法。
  2. ネオペンチルグリコール溶融液を、最初に冷却し、結晶化し、その後に微粉砕する、請求項1に記載の方法。
  3. 少なくとも最初の冷却を、冷却ベルト上でかまたはフレーキングロール上でおこなう、請求項2に記載の方法。
  4. ネオペンチルグリコール溶融液を、最初に微粉砕し、かつその後に冷却し、結晶化する、請求項1に記載の方法。
  5. 少なくとも最初の冷却を、冷却ベルトまたはペレット製造皿上でおこなう、請求項4に記載の方法。
  6. 冷却ベルト上で冷却をおこなう場合に、冷却液を用いないかまたは50〜120℃の範囲の温度を有する冷却液を用いて、冷却ベルトの第1領域上で冷却をおこない、かつ、40℃を下廻る温度を有する冷却液を用いて、冷却ベルトの第2領域上で冷却をおこなう、請求項1から5までのいずれか1項に記載の方法。
  7. 30℃を下廻る温度への冷却が、冷却ベルト、フレーキングロールまたはペレット製造皿の下流に配置された、他の熱交換器によって達成される、請求項3または5に記載の方法。
  8. 冷却ベルト、フレーキングロールまたはペレット製造皿上のネオペンチルグリコールの滞留時間が、0.1〜20分である、請求項3または5に記載の方法。
  9. 冷却のために使用される装置中でのネオペンチルグリコールの全滞留時間が、4〜240分である、請求項1から8までのいずれか1項に記載の方法。
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