JP4778181B2 - アセチル−アミジニオフェニルアラニル−シクロヘキシルグリシル−ピリジニオアラニンアミドの製造方法 - Google Patents
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Description
本発明は、式I
【化8】
(式中、アニオンXは、生理学的に受容できるアニオンである)
のアセチル−アミジニオフェニルアラニル−シクロヘキシルグリシル−ピリジニオアラニンアミドおよびその類似化合物の製造方法に関し、このアセチル−アミジニオフェニルアラニル−シクロヘキシルグリシル−ピリジニオアラニンアミドおよびその類似化合物は、血液凝固Xa因子の有効な阻害剤であって、例えば血栓症を予防するために使用することができる。本発明に従う方法は、2−[2−アセチルアミノ−3−(4−シアノフェニル)アクリロイルアミノ]−2−シクロヘキシル酢酸から不斉水素化およびシアノ基のアミジンへの変換によって得られる2−[2−アセチルアミノ−3−(4−アミジノフェニル)プロピオニルアミノ]−2−シクロヘキシル酢酸またはその塩を3−(2−アミノ−2−カルバモイルエチル)−1−メチルピリジニウム塩またはその塩とカップリングさせることより成る。本発明はさらに、この方法のための出発物質および中間体、それらの製造方法およびジトシレート塩としてのアセチル−(S)−4−アミジニオフェニルアラニル−(S)−シクロヘキシルグリシル−(S)−(1−メチル−3−ピリジニオ)アラニンアミドを提供する。
【0002】
例えば深在静脈血栓症、高危険度の心筋梗塞または安定または不安定狭心症のような特定の臨床状況においては、血液凝固系の障害および血栓症の形成は、結果的に致命的な経過になり得る。しかしながら、血栓症の予防においては、血液凝固系を過剰にまたはまさに完全に阻害することは、これが生命を脅かす出血を起こし得るので望ましくない。ヘパリン、アスピリンまたはヒルジンのような現在使用されている凝固阻害剤は、それらが出血による合併症を起こすことができそして上記の臨床状況のいくつかにおいて血管閉塞を予防することができないので、最適性状プロフィールを有さない。動物実験は、血液凝固酵素Xa因子の特異阻害剤が、確実に、直接トロンビン阻害剤を使用するとき観察されるとおりの出血を起こすことなく、血栓の形成を予防することを示した。式Iの化合物およびその類似化合物は、静脈内、皮下および経口投与後に有効である特異的で非常に有力なXa因子の阻害剤である。
【0003】
式Iの化合物およびその類似化合物は、WO−A−95/29189および相当するUS−A−5849510に記載されている。WO−A−95/29189に従えば、これらは、保護基技術を使用する固相合成によって製造され、この場合、3−ピリジルアラニンを、クノル(Knorr)リンカーを用いて樹脂にカップリングさせた後、シクロヘキシルグリシンとカップリングさせ、ピリジン窒素原子を四級化し、ジペプチドを4−シアノフェニルアラニンから製造したアセチル−4−アミジノフェニルアラニンとカップリングさせ、そしてこの生成物を樹脂から開裂させた後クロマトグラフィーによって精製する。この固相法は、毒性学的および臨床研究のような開発課題のため必要とされる数kgの量を製造するためには、またはまさに工業規模での合成のためには不適当である。
【0004】
もし製造が要求される規模でしかも適当な純度で実施されることができさえすれば、薬学的に活性な化合物は、開発生成物としておよび後で患者に使用するために受容することができるが、ここで純度は不斉中心を有する化合物の場合は、特にまた立体化学的純度をも包含する。式Iの化合物は、アミジニウム基およびN−メチルピリジニウム基において正電荷を帯びているペプチド性ジカチオンを包含する。酢酸塩、塩化物、フマル酸塩、安息香酸塩、酒石酸塩、マレイン酸塩、トリフルオロ酢酸塩、トシレート、硫酸塩またはパモエートのような異なるアニオンX-を有する式Iの化合物の中で、トリフルオロ酢酸塩(式Iの化合物、X-=CF3CO2 -)のみが結晶質であることがわかった。しかしながら、トリフルオロ酢酸塩の熱安定性は不十分であり、その貯蔵寿命は不満足であり、そして生理学的観点からこの塩は長期使用のためには比較的好ましくない。化合物Iのすべてのその他の塩のX線粉末図は、隠れもなく無定形であることがわかった。これらの塩の無定形性は、それが再結晶を不可能にして分別沈殿が大規模での使用のために適した唯一の精製法であるので、比較的大規模での式Iの化合物の製造におけるかなりの問題である。しかしながら、沈殿の精製効率はもちろん、結晶化の精製効率よりもはるかに低く、そのため、最後に臨床的に受容できる純度の生成物を分別沈殿によって得ることができるように、できるだけ円滑に進行する反応においてまさに粗製の適当なアニオンXを有する式Iの化合物を製造することが必要である。しかしながら、この製造法は、当然また、例えば収率、工程数または出発物質の入手可能性および価格のような要素に関して受容可能でなくてはならない。
【0005】
固相で実施しない式Iの化合物の製造方法は、WO−A−97/22712に記載されている。この方法においては、式Iの化合物中に含まれる3つのアミノ酸単位をWO−A−96/29189の方法におけると同じ順序で結合させる。アミノ基でtert−ブトキシカルボニル基(Boc)によって保護された(S)−3−ピリジルアラニンを最初にアミドに変換し、次にこれを保護基の除去後に(S)−N−Boc−シクロヘキシルグリシンとカップリングさせ、保護基を除去し、ジペプチドをアセチル−(S)−4−シアノフェニルアラニンとカップリングさせ、得られるトリペプチド中のシアノ基を硫化水素、ヨウ化メチルおよびアンモニアとの反応によってアミジンに変換し、そしてピリジン窒素原子を四級化させる。生成物を最終反応工程において得られる反応溶液の蒸発、残留物を溶解させること、トリフルオロ酢酸の添加、濾過および凍結乾燥によってトリフルオロ酢酸塩の形で単離する。しかしながら、立体化学的純度を包含するこの方法によって得られる生成物の純度は、要求を満たさず、大規模にこの方法を実施するとき大量の損失を包含し受容できない複雑なクロマトグラフィー精製を必要とすることが見出される。トリフルオロアセテートアニオンに関する生理学的観点からの起こり得るさしさわりを回避するためには、さらにイオン交換クロマトグラフィーを使用して生成物を異なる塩に変換することが必要である。さらにこの方法は、かなりの技術的な不利点、例えばジエチルエーテルまたはヘキサンのような溶媒の使用または低温での作業、および高価な出発物質の使用[式Iの化合物中に構成単位として含まれる少量の3つのエナンチオマー的に純粋な非天然α−アミノ酸(S)−3−ピリジルアラニン、(S)−シクロヘキシルグリシンおよび(S)−4−アミジノフェニルアラニン(または(S)−4−シアノフェニルアラニン;アミジノ基はシアノ基から形成させることができる)は、市販されているが、これらの化合物は非常に高価である]を有する。従って、まだ適当なアニオンXを有する式Iの化合物の大規模製造のための円滑運転法に対する要求がある。
【0006】
この目的は、本発明に従う式Iの化合物の製造方法によって達成され、この方法は式IIの化合物を接触水素化およびシアノ基のアミジノ基への変換によって式IIIの化合物またはその酸HXとの塩に変換し、続いて式IIIの化合物またはその塩を式IVの化合物またはその酸HXとの塩と反応させて式Iの化合物を得ることより成る。
【0007】
【化9】
(式中、アニオンXは、生理学的に受容できるアニオンである)。
【0008】
公知方法においては、式Iの分子は、ピリジルアラニンおよびシクロヘキシルグリシンのC−末端ジペプチドとN−末端アミノ酸アミジノフェニルアラニン(またはシアノフェニルアラニン)とのカップリングによって構築されるのに対して、本発明に従う方法においては、この分子は、アミジノフェニルアラニンおよびシクロヘキシルグリシンのN−末端ジペプチドとC−末端アミノ酸ピリジルアラニンとのカップリングによって合成される。さらに本発明に従う方法では、このカップリングのために使用するジペプチドにおいて、エピマー化に対して感受性である2つのキラリティー中心を有する構造単位CH−CO−NH−CH−COは、公知方法におけるように2つのキラルα−アミノ酸のカップリング反応中には形成されないが、不斉水素化によって形成される。本発明に従う方法においては、ペプチドカップリングは完全であって定量的であり、安価な試薬を使用する。エピマー化は、非常に低い。式Iの化合物は、分別沈殿によって高収率でそして高い化学純度および立体化学純度で得られる。クロマトグラフィー精製または、凍結乾燥のような費用がかさみ複雑な技術は、所望の純度を得るために必要ではない。
【0009】
本発明はまた、上記の方法と類似していて、そして、異なる配置を有する出発物質を使用して式Iの化合物の立体異性体、例えば、アミジノフェニルアラニン単位中のキラリティー中心が(R)配置を有し、そして/またはシクロヘキシルグリシン単位中のキラリティー中心が(R)配置を有し、そして/またはピリジルアラニン単位中のキラリティー中心が(R)配置を有する化合物、または1つ以上のキラリティー中心が(RS)混合物として存在する化合物、を製造する方法をも提供する。本発明はさらに、上記方法に類似していてそして適当な出発物質を使用して式Iの化合物の類似化合物(およびその立体異性体)、例えばアミジノフェニルアラニン単位におけるアセチルアミノ基中のメチル基の代わりに(C1〜C4)−アルキル基を含み、そして/または第四級ピリジン窒素原子のメチル基の代わりに(C1〜C4)−アルキル基を含む化合物[このような(C1〜C4)−アルキル基の例はメチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチルおよび tert−ブチルである]を製造する方法を提供する。
【0010】
式Iおよび式IVの化合物中および酸HX中の生理学的に受容できるアニオンXは、例えばクロリド、ブロミド、ヨージド、メタンスルホネート、トルエン−4−スルホネート、アセテート、ベンゾエートなどであることができる。多価アニオン、例えばサルフェート、の場合には、Xは、アニオン等価物である。Xは、好ましくは、たとえ式Iの化合物が比較的高用量でしかも比較的長期間使用されても生理学的観点から全くさしさわりがなく、そして/または式Iの化合物に製剤加工および薬理学的作用に関して有利な特性、例えば適当な水溶解度を与え、そして/または式IおよびIVの化合物に本発明に従う方法の技術的な実施に関して有利な特性、例えば方法の簡便性、使用する溶媒中の適当な溶解度、それらが沈殿しやすくおよび/または濾過しやすいという事実などを与えるアニオンである。本発明の好ましい態様においてはXは、トルエン−4−スルホネート(=4−メチルベンゼンスルホネート=4−CH3−C6H4−SO3 -=トシレート=TosO-)またはヨージドであり;特に好ましい態様においてはXは、トルエン−4−スルホネートである。こうしてこの特に好ましい態様においては、本発明は、ジトシレート塩の形の式Iの化合物、すなわち式Ia
【化10】
の化合物の製造方法に関し、この方法は式IIの化合物を接触水素化およびシアノ基のアミジノ基への変換によって式IIIの化合物またはそのトルエン−4−スルホン酸塩に変換し、そしてこの式IIIの化合物またはそのトルエン−4−スルホン酸塩を式IVa
【化11】
の化合物またはそのトルエン−4−スルホン酸塩と反応させて式Iaの化合物を得ることより成る。生理学的観点から、式Iaの化合物中に含まれるトシレートアニオンには全くさしさわりがなく、式Iaの化合物は、特に本発明に従う方法を実施するときの特に良好な特性によって目立っている。式Iaの化合物は沈殿させやすくそして濾過しやすくて、特に高い収率および純度で得られる。本発明はまた、式Iaの化合物それ自体およびその溶媒和物、例えば水またはアルコールとの付加物、Xa因子の阻害剤としての、または血栓症、心筋梗塞または狭心症のような血栓塞栓性障害の治療および予防を包含する治療のための式Iaの化合物の使用、およびこれらの医療用途のための薬剤を製造するための式Iaの化合物の使用、および有効量の式Iaの化合物および薬学的に受容できるキャリヤー、すなわち1種以上の薬学的に受容できる賦形剤および/または添加剤を含む医薬製剤(または医薬組成物)をも提供する。式Iaの化合物を包含する式Iの化合物の使用およびこれらを含む医薬製剤に関するより詳細な説明は参照によって本明細書中にはっきりと組み込まれるものとするWO−A−95/29189およびUS−A−5849510に示されている。
【0011】
式IIおよびIVの化合物またはそれらの塩からの式Iの化合物の製造のためおよび式Iaの化合物の製造のための上記の方法に加えて、本発明は式Iaの化合物の製造方法に関し、この方法は式IIIの化合物またはそのトルエン−4−スルホン酸塩を式IVaの化合物またはそのトルエン−4−スルホン酸塩と反応させて式Iaの化合物を得ることよりなる。
【化12】
特定のジトシレート形の式Iの化合物を驚くべきことに特に良好な収率および純度で与え、そしてそれが特に円滑に進行し、簡単に実施することができるという事実によって特徴づけられるこの方法については、式IIIおよびIVの化合物またはそれらの塩の反応について、すなわち上記の方法の文脈におけるぺプチドカップリング工程についての上記および下記のすべての具体的説明が相応じて適用される。
【0012】
式Iの化合物はまた、式V
【化13】
によって表すこともでき、この式Vはそれが形式上酸HXの酸付加塩および式V中に含まれるモノカチオン性アミジノ−置換ピリジニウム塩[式I中のプロトン化した正に荷電したアミジニオ基−C(=NH2 +)−NH2の代わりに遊離アミジノ基(=カルバミミドイル基=アミノ−イミノ−メチル基−C(=NH)−NH2を有する]として考えることができることを表す。
【0013】
対応して、本化合物はまた、異なって、例えば置換基としての正に荷電したアミジニオ基および対イオンとしての2つの負に荷電したアニオンXを含むジカチオン性ピリジニウム塩として、または酸HXの酸付加塩および置換基としての遊離アミジノ基および対イオンとしての負に荷電したアニオンXを含むモノカチオン性ピリジニウム塩として命名することもできる。各々の環境に依って他の命名法、例えば正に荷電したアミジニウム基(アミジニオ基)または遊離アミジン基および正に荷電したピリジニウム基(=ピリジニオ基)が置換基であると考えられるペプチド命名法から誘導される名前もまた適当であることができる。式Iaの化合物は例えば3−{(S)−2−[(S)−2−((S)−2−アセチルアミノ−3−(4−アミジニオフェニル)プロピオニルアミノ)−2−シクロヘキシルアセチルアミノ]−2−カルバモイルエチル}−メチルピリジニウムジトシレートまたは3−{(S)−2−[(S)−2−((S)−2−アセチルアミノ−3−(4−アミジノフェニル)プロピオニルアミノ)−2−シクロヘキシルアセチルアミノ]−2−カルバモイルエチル}−メチルピリジニウムトシレートトルエン−4−スルホン酸塩と呼ぶことができた。
【0014】
本発明に従う方法を実施するとき式IIの化合物は、最初に式IIの化合物を立体選択的に水素化して式VIの化合物を得て、続いてシアノ基をアミジンに変換するか、または最初にシアノ基をアミジンに変換し、続いて立体選択的に水素化することよって式IIIの化合物に変換することができる。
【化14】
【0015】
好ましくは、式VIの化合物を得るための水素化を最初に実施し、続いてシアノ基をアミジンに変換する。
式IIのデヒドロジペプチド中のC=C結合の立体制御水素化は、選択的不均一触媒またはキラル遷移金属錯体を使用して実施することができる。それは好ましくはロジウム(I)またはルテニウム(II)、特に好ましくはロジウム(I)のキラル金属錯体を使用して実施される。遷移金属触媒はカチオン性または中性であることができ、そしてそれは単離した形で使用することができるかまたはキラルリガンドおよびプレ触媒(precatalyst)、例えば[Rh(COD)Cl]2または[Rh(COD)2]+Y-(CODは、1,5−シクロオクタジエンであり、Yはここでは、例えばテトラフルオロボレートである)のようなロジウム塩から水素化媒質中で現場で形成させることができる。水素化触媒は均一に溶解した形で水素化媒質中に存在させることができるか、またはそれは、固体支持体への結合によって不均一化させることができて、その結果としてそれは水素化が終了した後に濾過によって容易に取り除くことができ、次の水素化の反応分のために再使用することができる。遷移金属錯体のためのキラルリガンドとしては多数の異なる化合物が適当である。このようなキラルリガンドの総説は、例えば I.Ojima、Catalytic Asymmetric Synthesis、第445−447ページ、VCH、ニューヨーク 1993、中に見出すことができる。本発明の好ましい態様においては、リガンドとしてのキラルホスフィンとのロジウム(I)錯体を、式VIの化合物を得るための式IIの化合物の不斉水素化のために使用する。特に好ましいのは、Rh(I)−(+)−BPPM触媒、すなわちキラルリガンドとして(+)−(2R,4R)−1−tert−ブチルオキシカルボニル−4−ジフェニルホスフィノ−2−(ジフェニルホスフィノメチル)−ピロリジンを含むロジウム(I)触媒(モル比 ロジウム:リガンド=1:1)、である。この触媒は好ましくはロジウム塩およびリガンドから現場で製造される。
【0016】
式VIの化合物を得るための式IIの化合物の立体選択的水素化のための適当な溶媒は、例えばエーテル、特に水と混和性のエーテル、またはメタノール、エタノールまたはイソプロパノールのような低級アルコールである。この水素化は特に好ましくはメタノール中で実施される。この水素化は、好ましくは温度約20ないし約60℃、特に好ましくは約30ないし約50℃、例えば約40℃で実施される。設定される水素圧は、装置に依存し;約1ないし約20バール、特に好ましくは約5ないし約15バール、例えば約10バールの水素圧を設定することが好ましい。水素化の効率を増大させるためには、反応を、酸素を実質的に排除し、非常に強く混合しながら実施する。水素化生成物は水を加えて得られる沈殿を濾過するかまたは遠心分離することによって簡単に単離することができる。不斉水素化は、非常に高い立体選択性および収率で進行し、粗生成物中の(S,S)−異性体の98.4%d.e. および単離収率97%での単離生成物中の99.5%d.e. のジアステレオマー過剰で式VIの化合物を与える。さらにこれらの優れた結果は、約2000:1ないし約5000:1という非常に高い基質/触媒比率で得られる。
【0017】
本発明はまた式VIの化合物それ自体、すなわち(S)−2−[(S)−2−アセチルアミノ−3−(4−シアノフェニル)プロピオニルアミノ]−2−シクロヘキシル酢酸およびその塩、例えばナトリウム塩またはカリウム塩のようなアルカリ金属またはアルカリ土類金属塩、上記のその製造方法およびその中間体、特に薬学的に活性な物質のための中間体としての使用をも提供する。
【0018】
式VIの化合物中のシアノ基は、当業者にはそれ自体公知の種々の方法によって、例えばWO−A−97/22712に記載された方法によってアミジンに変換することができるが、しかしながらこのWO−A−97/22712に記載された方法は工業規模で実施するとき多くの不利点、例えば硫化水素の使用を有する。この変換は、好ましくは最初にヒドロキシルアミンを式VIの化合物中のシアノ基に加えて、式VIIのN−ヒドロキシアミジン中間体を形成させることによって実施する。次に式VIIの化合物は、水素化分解によって、すなわち水素化触媒の存在における水素との反応によって、簡単に式IIIのアミジンに変換される。この反応順序の原則は、例えば H.Jendralla外、Tetrahedron 51(1995)12047に記載されている。
【0019】
必要とされるヒドロキシルアミンは、有利にはヒドロキシルアンモニウム塩、例えば塩化ヒドロキシルアンモニウムまたは硫酸ヒドロキシルアンモニウム、および塩基、例えば塩基性ナトリウムまたはカリウム化合物または第三級アミンから現場で製造される。式VIの化合物とヒドロキシルアンモニウム塩との反応のために使用する塩基は、好ましくは炭酸水素ナトリウムである。ヒドロキシルアミンまたはヒドロキシルアンモニウム塩は、好ましくは過剰に、例えば式VIの化合物1モル当たり約1ないし約2モルの量で使用される。ヒドロキシルアミンまたはヒドロキシルアンモニウム塩との反応のための適当な溶媒は、例えば低級アルコールである。特に好ましい溶媒は、メタノールである。式VIIの化合物は、好ましくは温度約20ないし約65℃、特に好ましくは温度約40ないし約60℃で製造される。もしヒドロキシルアンモニウム塩を使用するならば、加えた塩基はまた、式VIの化合物中のカルボン酸官能基(function)または式VIIの化合物中のカルボン酸官能基をも相当する塩に変換する。もし式VIIのN−ヒドロキシアミジンの中間単離が望まれるならば、この化合物はカルボン酸官能基での塩の形で、すなわちもし使用する塩基がナトリウム化合物であるならばカルボン酸のナトリウム塩の形(このものは、反応混合物を濃縮し、そして/または比較的無極性の溶媒と混合することによって沈殿させ、そして濾過または遠心分離によって除去することができる)で、有利に単離することができる。
【0020】
式IIIの化合物を得るための式VIIの化合物またはその塩の水素化分解は、接触水素化のためには通例である条件下で、例えば炭素上のパラジウムのような通例の貴金属触媒の存在において実施することができる。反応条件は使用する装置に依る。水素圧は例えば約1ないし約30バール、特に約5ないし約25バールの範囲であることができ、反応温度は約20ないし約70℃、特に約40ないし約60℃であることができる。水素化分解は、好ましくは酸性媒質中で実施する。水素化分解のための好ましい溶媒は、特にもしN−ヒドロキシアミジンを塩の形で使用するならば極性溶媒、例えば低級アルコールまたは酢酸である。特に好ましい溶媒は酢酸である。得られる式IIIのアミジン化合物は、そのものとしてまたは酸付加塩の形で単離することができる[そのものとしての式IIIのアミジン化合物は、式IIIによって表される遊離アミジノ基およびカルボン酸基を有する形では存在せず、カルボン酸基がカルボキシレートアニオンに解離しそしてアミジン単位がプロトン付加してアミジニウムカチオンとなっている式IIIa
【化15】
の互変異性形で、すなわちベタインまたは双性イオンとして存在する]。
【0021】
例えばもし使用する溶媒が酢酸であるならば水素化分解中にさえ存在することができるか、または処理中に加えることができる酸の存在において、式IIIの化合物は酸付加塩として得られる。こうして式HXの酸を使用すると、式VIII
【化16】
(式中、アニオンXは、好ましくは生理学的に受容できるアニオン、例えばヨージドまたはトシレートである)
の塩が形成される。式VIIIの化合物は上記の酸HXと式IIIの化合物との塩である。もし式IIIの化合物を酸付加塩の形で単離しなくてはならないならば、酸HXは好ましくは式VIIIの化合物が製造されるべき式Iの化合物と同一のアニオンを含有するように選択される。こうして、もし式Iaのジトシレート塩を製造しなくてはならず、しかも式IIIの化合物を塩として単離しなくてはならないならば、例えば処理中にトルエン−4−スルホン酸を加えることによって式VIII(ここでX=TosO-)のアミジニウムトシレートを製造することが好ましい。すでに述べたように、式IVの化合物とのペプチドカップリングのためには式IIIの化合物それ自体、すなわち式IIIaのベタイン(または双性イオン)、または式VIIIのアミジニウム塩(=HXと式IIIの化合物との塩)のいずれかを使用することが可能であり、両者は同様の純度および収率を与える。式IIIの化合物は、好ましくは式IIIaのベタイン(または双性イオン)として単離され、そのものとしてペプチドカップリングのために使用される。もし水素化分解を酢酸中で実施するならば、最初に形成される式IIIの化合物の酢酸塩[=式VIII(ここでX-=アセテート)の化合物]を水からの再結晶によってベタインに変換することができる。
【0022】
本発明はまた、式IIIの化合物およびその塩、および式IIIaおよびVIIIの化合物それ自体、すなわちベタイン(双性イオン)としておよびその塩の形の(S)−2−[(S)−2−アセチルアミノ−3−(4−アミジノフェニル)プロピオニルアミノ]−2−シクロヘキシル酢酸、上記のその製造方法および中間体としての、特に薬学的に活性な化合物のための中間体としての、その使用をも提供する。
【0023】
式Iの化合物を得るための式IIIのアミジン(塩の形または好ましくは式IIIaのベタインの形)と式IVのピリジニオアラニンアミドまたはその塩とのペプチドカップリングは、当業者には公知の通例のカップリング法によって実施することができる。
【0024】
ピリジニオアラニンアミドは、好ましくは酸HXとの塩の形、すなわち式IX
【化17】
(式中、アニオンXは、好ましくは生理学的に受容できるアニオンである)
のジカチオン塩の形で使用する。
【0025】
式IVの化合物または式IXの化合物中のアニオンXおよび、もし式IIIの化合物を式VIIIの塩の形で使用するならば、また式VIIIの化合物中のアニオンは、好ましくは製造されるべき式Iの化合物のアニオンであり、すなわち式Iaの化合物の製造の場合にはトシレートアニオンである。もし式IIIの化合物も式IVの化合物もペプチドカップリングのために酸HXとの塩の形で使用しないならば、式IVの化合物によって導入される当量のアニオンXに加えて、式Iの化合物を製造するために必要とされる第二の当量のアニオンXを、ペプチドカップリングの反応混合物の処理中に当量の酸HXまたは酸HXの塩の形で加えることができる。
【0026】
言及することができる式III(またはIIIaまたはVIII)の化合物中のカルボン酸官能基またはカルボン酸塩官能基を活性化するために適当なペプチドカップリング剤の例は、例えばジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)またはジイソプロピルカルボジイミド(DIC)のようなカルボジイミド、またはテトラフルオロホウ酸O−[(シアノ−エトキシカルボニル−メチレン)アミノ]−N,N,N′,N′−テトラメチルウロニウム(TOTU)またはヘキサフルオロリン酸O−(7−アザベンゾトリアゾール−1−イル)−N,N,N′,N′−テトラメチルウロニウム(HATU)のようなウロニウム塩である。カルボジイミドは、好ましくは3−ヒドロキシ−4−オキソ−3,4−ジヒドロ−1,2,3−ベンゾトリアジン(=3−ヒドロキシ−1,2,3−ベンゾトリアジン−4(3H)−オン=HOObt)または1−ヒドロキシ−1H−ベンゾトリアゾール(HObt)のようなヒドロキシベンゾトリアジンまたはヒドロキシベンゾトリアゾール試薬の存在において使用される。もしあるならばほんのわずかのジアステレオマー不純物のみが形成されるように、特に式IIIの化合物中のカルボニル基に対してα−位にあるキラル炭素原子でのエピマー化が最小である活性化剤および反応条件が好ましい。この点で特に好ましい活性化剤は、HATU、DCC/HOObtおよびDCC/HObtである。特にHATUまたはDCC/HOObtを使用すると、カップリングにより粗生成物中に0.7〜1.5%のジアステレオマーのみを含有する生成物が得られる。そのかなりの低価格のために特に好ましいのは、DCC/HOObtである。安全性の理由から、HOObtは好ましくは支持体上、例えばディカライト(Dicalite)(登録商標)上で使用される。
【0027】
カップリング反応は、好ましくは極性溶媒(または溶媒混合物)中で実施される。適当な溶媒は低級アルコール、例えばメタノール、エタノールまたはイソプロパノールのようなプロトン性溶媒であり、そしてこれらのアルコールの中からC−末端アミド基のエステルへの変換の危険性がメタノールまたはエタノールを使用するよりも低いのでイソプロパノールが好ましい。特に好ましくは、カップリングをその中ではカップリングが特に迅速にそして完全に進行する非プロトン性極性溶媒中、例えばN,N−ジメチルホルムアミド(DMF)またはN−メチル−2−ピロリドン(NMP)のようなアミド中、またはジメチルスルホキシド(DMSO)中で実施する。しかしながら、例えば酢酸エチル、テトラヒドロフラン(THF)または塩化メチレンのような溶媒、特にまた他の溶媒との混合物のこれらの溶媒を使用することも可能である。殊に好ましくはカップリングをDMFまたはNMP中で実施するが、この両者は優れたカップリング結果および85〜95%という式Iの化合物の単離収率(2回の生成物沈殿後)を与える。特に好ましくは、それをより容易に生成物から除去することができるので、カップリングをDMF中で実施する。カップリングは、好ましくは温度約0ないし約30℃、特に好ましくは約0ないし約25℃で、例えば最初に反応混合物を約10℃で攪拌した後、それを室温まで温めることによって実施する。カップリング工程の好ましい態様において、もし式IIIaの双性イオンの形の式IIIの化合物を式IXのジカチオン塩と反応させるならば、有利なpH(もし式IXの化合物中のXがトシレートであるならば約3.3ないし4.2)は、一般にカップリングの全過程中存在し、追加の塩基の添加は必要とされない。場合によりpHは第三級アミンのような塩基を加えることによって適当に調整することができる。もし式IIIの化合物および式IVの化合物の両方を酸HXとの塩の形でカップリングのために使用するならば、ペプチドカップリングは少なくとも1当量の塩基、例えばトリエチルアミンまたは好ましくはN−エチルジイソプロピルアミンのような第三級アミンの添加を必要とする。
【0028】
使用する活性化剤がカルボジイミドならびに例えばHOObtのようなN−ヒドロキシベンゾトリアジンまたはN−ヒドロキシベンゾトリアゾール試薬であるカップリング工程の好ましい態様においては、この試薬はN−ヒドロキシ試薬が式IVの化合物と、式IIIの化合物およびN−ヒドロキシ試薬から中間的に形成される活性化エステルとの反応中に再生されるので、化学量論量未満の量または触媒量のみで存在させることができる。例えば、もしカップリングをDCC/HOObtを使用して実施するならば、HOObtは好ましくは式IIIの化合物1モル当たり約0.15ないし約1モルの量で、特に好ましくは式IIIの化合物1モル当たり約0.2ないし約0.3モルの量、例えば約0.25モルで使用する。カルボジイミドは好ましくはやや過剰に使用する。もしカップリングを、DCC/HOObtを使用して実施するならば、例えば好ましくは、式IIIの化合物1モル当たり約1.1ないし約1.4モルの量、特に好ましくは式IIIの化合物1モル当たり約1.2ないし約1.3モルの量、例えば約1.25モルを使用する。反応物を加える順序は変動させることができる。最初に式IIIおよびIVの化合物またはそれらの塩、加えられることができるいずれかの塩基およびN−ヒドロキシ試薬を装入し、そして数時間、例えば約5ないし約10時間かけて例えばDMFまたはNMPのような溶媒中の溶液の形でカルボジイミドを計量して加えることが好ましい。この手順では反応温度が約10℃でそれに続いて室温で攪拌するカップリングは一般に迅速に完了し、事実上定量的に起こり、そして生成物を高純度で与える。
【0029】
仕上げのためには、反応混合物を有利には最初に濾過し、その後生成物を適当な有機溶媒を加えることによって沈殿させる。もしカップリングをDMFまたはNMP中で実施するならば、沈殿を好ましくは過剰のアセトンまたはメチルエチルケトンのような低級ケトンを使用して実施し、特に好ましくはDMF溶液またはNMP溶液を過剰のアセトンまたはメチルエチルケトンに滴加するかまたはポンプによって加える。沈殿した生成物は濾過または遠心分離によって単離し、洗浄し、そしてもし純度を増大させるために所望であるならば同様に(例えば生成物をDMFに溶解させそして溶液をアセトンまたはメチルエチルケトン中にポンプで送り込むことによってそれを沈殿させることによって)2度目またはそのほかに3度目の沈殿を実施する。この手順を用いれば、大部分の副生物は、溶液中に残留し、例えば2回の沈殿後に、式Iaの化合物(ジトシレート)が収率約91%および純度約97%(+約2.4%のジアステレオマー)で得られる。
【0030】
上記の本発明に従う方法で使用する式IIおよびIVの出発物質またはそれらの塩は、例えば下記のプロセスによって製造することができる。上記の本発明に従う方法の好ましい形においては、式IIの出発物質および/または使用する式IVの出発物質またはそれらの塩は、下記のプロセスによって製造されるかまたは一部分下記のプロセスによって製造される。
【化18】
【0031】
式IIの化合物は、式XIのアズラクトンを(S)−シクロヘキシルグリシン(式XII)と反応させることによって得ることができる。事実上Z異性体として存在する式XIのアズラクトンは、4−ホルミルベンゾニトリル(式X)およびN−アセチルグリシンからエルレンマイヤー(Erlenmeyer)アズラクトン合成のための標準条件下で、例えば溶媒中で酢酸ナトリウムおよび無水酢酸とともに加熱することによって、好ましくはアセトン中で加熱して還流させることによって、形成させる。式IIのデヒドロジペプチドを得るための式XIの化合物と式XIIの化合物との反応は、好ましくは水および水と混和性の有機溶媒、例えばアセトンのようなケトン、またはエーテルとの混合物中の、特に好ましくはアセトンと水との混合物中の、例えば1当量(シクロヘキシルグリシンを基準にして)の水酸化ナトリウムまたは水酸化カリウムのような塩基を加えたアルカリ性溶液中で、温度約30ないし約50℃、例えば約40℃で実施する。生成物を単離するためには、反応混合物を例えば塩酸でpH約2.3まで酸性化して、水で希釈し、そして沈殿を濾過するかまたは遠心分離する。この手順では、得られる式IIの化合物は、主としてZ異性体として存在し、E異性体のパーセンテージは、<2%である。本発明はまた、式IIおよびXIの化合物および式IIの化合物の塩それ自体、特にZ形、上記のそれらの製造方法およびそれらの中間体としての、特に薬学的に活性な化合物のための中間体としての使用をも提供する。言及することができる式IIの化合物の塩は、例えばナトリウム塩またはカリウム塩のようなアルカリ金属およびアルカリ土類金属塩である。
【0032】
必要な光学的に純粋な(S)−シクロヘキシルグリシン(式XII)は、有利には、下記の3つの経路の1つによって製造される。1つの経路では、使用する出発物質は、ラセミ体のフェニルグリシン(式XIII)であって、これを標準条件下での芳香環の水素化によって、例えば約80ないし約120℃、例えば約100℃、および水素圧約10ないし約30バールでの塩酸中での、炭素上のロジウムのような貴金属触媒の存在における水素化によって、ラセミ体のシクロヘキシルグリシン(式XIV)に変換する。次にラセミ体のシクロヘキシルグリシンを、例えば温度約0ないし約30℃およびpH少なくとも11で水中で水酸化ナトリウムのような塩基の存在において無水酢酸を使用して、標準条件下でアミノ基でアセチル化する。その後ラセミ体のN−アセチル−シクロヘキシルグリシン(式XV)に、アシラーゼ(L−特異性アミノアシラーゼ、E.C.3.5.1.14)を使用して酵素によるラセミ化合物分割を行って、高過剰の(R)鏡像異性体(式XVI)を含有する光学的に純粋な(S)−シクロヘキシルグリシン(式XII)およびN−アセチルシクロヘキシルグリシンを得る[例えば、K.Drauz外、Enzyme Catalysis in Organic Synthesis、VCH、ヴァインハイム(Weinheim)、1995;M.A.Verkhovskaya外、Russ.Chem.Rev.60(1991)1163;H.K.Chenault外、J.Am.Chem.Soc.111(1989)6354参照]。(RS)混合物中の(S)−N−アセチル−シクロヘキシルグリシンの選択的酵素脱アセチルは、例えばpH約7.8および温度約38ないし40℃で水中で塩化コバルト(II)の存在においてアシラーゼ“アマノ(Amano)”30000を使用して実施することができる。沈殿してくるシクロヘキシルグリシンは、事実上エナンチオマー的に純粋な(S)異性体である。濾液中に残留する(R)−N−アセチルシクロヘキシルグリシンは、例えば酢酸および無水酢酸とともに約115℃に加熱することによるラセミ化後に、再度酵素脱アセチルすることができ、その結果最終的に事実上すべてのラセミ体のN−アセチルシクロヘキシルグリシンが光学的に純粋な(S)−シクロヘキシルグリシンに変換される。
【0033】
【化19】
【0034】
(S)−シクロヘキシルグリシンを製造する第2の可能性は、シクロヘキサンカルバルデヒド、一酸化炭素およびアセトアミドからパラジウム−触媒によるアミドカルボニル化によって1工程法でラセミ体のN−アセチルシクロヘキシルグリシン(式XV)を製造し、続いてアシラーゼを用いて上記のラセミ化合物分割を行うことより成る[M.Beller外、Chem.Eur.J.4(1998)935参照]。
【0035】
第3の(S)−シクロヘキシルグリシン(式XII)を製造する方法においては、エナンチオマー的に純粋な(S)−フェニルグリシン(式XVII)中のフェニル基を、ラセミ化を起こさない条件下で水素化してシクロヘキシル基とする。再度、適当な触媒は、例えば炭素上のロジウムのような貴金属触媒である。水素化は、好ましくは酸性媒質中で、例えば氷酢酸のようなカルボン酸中で、特に好ましくは例えば2N塩酸または硫酸のような強酸中で、実施される。このような強酸中では、水素化は、温度約60ないし約80℃および水素圧、例えば約20バールで迅速にそしていずれの有意のラセミ化もなく進行する。得られる生成物は、上記の方法によってラセミ体フェニルグリシンから得られる生成物と同様の質のものである。出発物質の(S)−フェニルグリシンは、出発物質(RS)−フェニルグリシンよりも高価であるが、より低い生産コストのために、出発物質として(S)−フェニルグリシンを使用する方法がより有利である。
【0036】
エナンチオマー的に純粋な式IVの出発物質または式IXのその塩は、有利にはピリジン−3−カルバルデヒド(式XVIII)から出発して製造され、このピリジン−3−カルバルデヒド(式XVIII)は、式Xの化合物の式XIの化合物への変換のために上述したものと同様の条件下で、例えばアセトン中でN−アセチルグリシンおよび無水酢酸とともに加熱することによって、式XIXのアズラクトンに変換することができる。式XIXのアズラクトンは、水を用いて加溶媒分解してN−アセチルデヒドロピリジルアラニンを得る、すなわちカルボン酸とするかまたは低級アルコール、例えばメタノールまたはエタノールのような(C1〜C3)−アルカノールを用いて加溶媒分解してカルボン酸エステルを得る、好ましくはメタノールを用いて加溶媒分解してメチルエステルを得る(式XXと比較)ことができる。次に続く不斉水素化は、酸性条件下でアルコール中で特に有利に実施され、この場合にはほとんどまたはすべてのカルボン酸官能基は、エステルに変換されるので、そしてアルコールを用いる式XIXのアズラクトンの加溶媒分解は、水を用いる加溶媒分解よりもより円滑に進行するので、式XIXの化合物は好ましくは、低級アルコール、特に好ましくはメタノールを用いて加溶媒分解される。アルコーリシスは、好ましくは弱塩基、例えばトリエチルアミンのような第三級アミンの存在において温度約50ないし約65℃で実施される。メチルエステルは、好ましくは強酸との酸付加塩の形で、すなわち式XX(式中、アニオンYは、この場合強酸のアニオン、例えばテトラフルオロボレートまたはトシレートである)の化合物の形で単離される。特に好ましくは、式XIXのアズラクトンのメタノリシスの生成物をテトラフルオロホウ酸、例えばテトラフルオロホウ酸水溶液をpH約1.5ないし約2、例えば約1.9まで加えることによってテトラフルオロホウ酸塩として沈殿させ、そして非極性溶媒、例えばメチル tert−ブチルエーテルのようなエーテルの添加によって沈殿が完了した後、生成物を濾過するかまたは遠心分離する。Y=BF4である式XXの化合物が高収率(90%)および非常に高い純度(>99.5%)で得られる。
【0037】
【化20】
【0038】
次の工程は、光学的に活性な式XXIのアミノ酸誘導体を得るための式XXのデヒドロピリジルアラニン誘導体の不斉接触水素化である。上記のように高収率および短い反応時間を得るために、この水素化は好ましくは酸性条件下で、例えば酢酸中で、特に好ましくは強酸、例えばトルエン−4−スルホン酸またはテトラフルオロホウ酸(このものは少なくとも化学量論量で、例えばモル量の1−ないし2−倍使用され、こうしてピリジン基を完全にピリジニウム塩に変換する)の存在において実施される。水素化のためには、式XXのピリジニウム塩および適宜付加的な酸を使用することが好ましい。特に好ましくは、式XXのピリジニウム塩、特にY=BF4である塩の水素化は低級アルコール、特にメタノール中で約15モル%の強酸の存在において実施される。その存在で式XXの塩の水素化が実施される好ましい酸はテトラフルオロホウ酸およびトルエン−4−スルホン酸、特にテトラフルオロホウ酸であり、これは水溶液の形で使用することができる。
【0039】
式XXの化合物の式XXIの化合物への不斉水素化のための触媒に関しては、式IIの化合物の式VIの化合物への水素化のための触媒について上に示した具体的な説明が相応じて適用される。こうして式XXの化合物中のC=C二重結合の立体制御水素化は、同様に、選択的不均一触媒を使用するかまたはキラル遷移金属錯体を使用して実施することができる。それは、好ましくはロジウム(I)またはルテニウム(II)、特にロジウム(I)のキラル金属錯体を使用して実施される。遷移金属触媒は、単離した形で使用することができるかまたは水素化媒質中で現場でキラルリガンドおよびプレ触媒、例えば[Rh(COD)Cl]2のようなロジウム塩から形成させることができる。触媒は好ましくは現場で製造される。遷移金属錯体のためのキラルリガンドとして、この場合も多くの異なる化合物が適当である。本発明の好ましい態様においては、式XXの化合物の式XXIの化合物への不斉水素化のために使用される触媒は、リガンドとしてキラルホスフィンを有するロジウム(I)錯体、特に好ましくはRh(I)−(+)−フェニル−CAPP触媒、すなわちキラルリガンドとして(+)−(2R,4R)−1−フェニルアミノカルボニル−4−ジフェニルホスフィノ−2−(ジフェニルホスフィノメチル)ピロリジンを含むロジウム(I)触媒(モル比 ロジウム:リガンド=1:1)である。しかしながら、例えば上記の(+)−BPPMまたはアミノホスフィンホスフィナイト(+)−PPP[=(+)−プロプラホス、C. Doebler外、Tetrahedron:Asymmetry 7(1996)117 参照]もまた、触媒錯体中のリガンドとして使用するために適当である。適当な触媒的に活性な遷移金属錯体のためのさらに別のリガンドは、例えば I. Ojima、Catalytic Asymmetric Synthesis、第445−447ページ、VCH、ニューヨーク 1993に列挙されている。
【0040】
式XXの化合物の水素化は、好ましくは温度約20ないし約60℃、特に好ましくは約30ないし約50℃、例えば約40℃で実施される。再び使用する水素圧は、使用する装置に依り;水素圧約0.2ないし約20バールが好ましく、特に好ましくは約0.2ないし約10バール、殊に好ましくは約0.5ないし約1バール、例えば約0.8バールである。特にRh(I)−フェニル−CAPP触媒を使用するときは、水素化は、エナンチオ選択性を増大させるために好ましくは比較的低い水素圧で実施される。式IIの化合物の水素化について上で説明したように、ここでもまた、反応を事実上酸素を排除して、そして非常に強く混合しながら実施して、水素化の効率を増大させる。式XXIの水素化生成物は、特にテトラフルオロホウ酸塩の場合には、好ましくは例えばイソプロパノールのようなアルコールからの結晶化によって単離される。単離した収率は約86ないし約95%であり、エナンチオマー純度は選択された条件に依って約70%ないし約95%e.e.の(S)異性体である。式XXの化合物の式XXIの化合物への水素化のためには、約5000:1ないし約10000:1、例えば約8000:1という非常に高い基質/触媒比率を使用することが可能である。
【0041】
次の工程においては、式XXIの化合物中のメチルエステル基を加水分解してカルボン酸基を与え、アミノ基にあるアセチル基を除去し、そしてそれがカルボキサミド官能基の形成中にどんな副反応も引き起こさないようにアミノ基を適当な方法で保護する。アセチル基の除去およびメチルエステルの遊離カルボン酸への加水分解は、例えば約60ないし約85℃、または約85ないし約90℃の温度で酸、例えば1N塩酸または4N塩酸のような塩酸水溶液で処理することによって同時に実施することができる。水性反応混合物からの生成物の単離を促進するために、次に遊離アミノ基を有利には直ちに後で容易に脱保護することができるアシルアミノ基、例えばベンジルオキシカルボニルアミノ基に変換する。ベンジルオキシカルボニル保護基(=Z基)の導入は、好ましくは弱アルカリ性領域、特に好ましくはpH約8.0ないし約8.5で溶媒 水/THF中でN−ベンジルオキシカルボニルオキシスクシンイミド(=Z−OSu)を使用して実施される。反応が終了した後、有機溶媒を蒸留して除去し、やや酸性のpH、好ましくはpH約5を確立させ、沈殿した式XXIIの化合物を濾過するかまたは遠心分離する。所望ならば、式XXIIの化合物の純度を式XXIIIのアミドの製造前に、例えば水からの再結晶によって増大させることができる。
【0042】
もし式XXIの化合物または上記の方法によってそれから得ることができる式XXIIの化合物のエナンチオマー純度が不十分であるならば、式XXIの化合物中のアミノ基からアセチル基を塩酸を使用することによらず、酵素によってその結果エナンチオ選択的に開裂させることが有利である。酵素による脱アセチルは、好ましくはアシラーゼ“アマノ(Amano)”30000 を使用して、上記の(RS)−N−アセチルシクロヘキシルグリシンの酵素脱アセチルと類似して実施される。特に好ましい手順においては、水素化後に単離した式XXIの塩を最初に水に溶解させ、そして塩基、例えば水酸化ナトリウムの添加後にアルカリ性領域、例えばpH約10ないし約11で攪拌してメチルエステルを加水分解する。助触媒として塩化コバルト(II)を添加した後、アシラーゼをpH約7.8ないし約7.9そして温度約38ないし約40℃で、例えば式XXIの化合物1kg当たり約5ないし約6gの量で加えて、(S)−異性体が脱アセチルされるまで混合物を攪拌する。脱アセチルされた(S)−異性体を保護されたベンジルオキシカルボニルアミノ化合物に変換するためには、その後好ましくは上で具体的に説明したように、THFのような水と混和性の溶媒をこの反応混合物に加え、Z−OSuとの反応をpH約8.0ないし約8.5で実施し、有機溶媒を蒸留して除去し、混合物をpH約5まで酸性化した後、沈殿したエナンチオマー的に純粋な式XXIIの生成物を単離する。
【0043】
式XXIIのZ−保護されたアミノ酸の式XXIIIのZ−保護されたアミノ酸アミドへの変換は、このような反応のためには通例であって、当業者には公知である方法を使用して実施することができる。好ましい方法に従えば、式XXIIの酸を、クロロギ酸アルキル、特に好ましくはクロロギ酸イソブチルを用いて混合無水物に変換することによって活性化させる。この反応は、好ましくは、溶媒としてのTHFのようなエーテル中で温度約−10ないし約0℃、好ましくは約−10ないし約−5℃、で第三級アミン、例えばN−エチルジイソプロピルアミンの存在において実施される。これに続いてアンモニアを、温度約−10ないし約0℃、好ましくは約−10ないし約−5℃で混合無水物の溶液中に導入する。通例の処理および例えば酢酸エチルのような溶媒からの結晶化の後、式XXIIIの化合物が各々事実上100%の化学純度およびエナンチオマー純度で約87%の収率で得られる。
【0044】
式XXIVのピリジニウム塩の形成を伴う式XXIIIの化合物中のピリジン窒素原子のメチル化は、多くの溶媒、例えばイソプロパノールのようなアルコール類、DMF、N,N,N′,N′−テトラメチル尿素のようなアミド類、アセトンのようなケトン類、またはTHFのようなエーテル類中で好ましくは温度約40ないし約60℃で多数のメチル化剤、例えばヨウ化メチル、臭化メチル、塩化メチルまたはトルエン−4−スルホン酸メチルを用いて円滑に実施することができる。DMF中45℃での式XXIIIの化合物と塩化メチルとの反応においては、例えばX=Clである式XXIVの化合物が定量的収率および約98.4%の純度で得られる。メチル化を工業規模で実施するときは、比較的揮発性でないメチル化剤を使用することが好ましい。例えばイオン交換クロマトグラフィーによる付加的なアニオン交換は可能ならば避けるべきであり、メチル化剤の選択におけるさらに別の観点は、式IV、式IXおよびIの化合物中に含まれそしてメチル化剤から生ずるアニオンXの、これらの化合物の性質への、例えば式IVの化合物またはその塩の溶解度(これは、式IIIの化合物と式IVの化合物とのカップリング反応において重要である)または式Iの化合物の溶解度、沈殿特性および生理学的相容性への効果である。全体でヨウ化物およびトルエン−4−スルホン酸塩は、その特性に基づいて特に有利であることがわかったが、その結果好ましいメチル化剤はヨウ化メチルおよびトルエン−4−スルホン酸メチル(=メチルトシレート)である。特にトルエン−4−スルホン酸塩は、式IVの化合物またはそのトルエン−4−スルホン酸塩の場合には、それらが容易に単離されることができ、非常に溶解度が高く、そして高いペプチドカップリング速度を有するという事実によってめだっており、そして式Iの化合物の場合には特に驚くべき良好な沈殿特性、純度および収率によってめだっている。式XXIIIの化合物の式XXIVの化合物への変換のための特に好ましいメチル化剤は、こうしてトルエン−4−スルホン酸メチルである。
【0045】
トルエン−4−スルホン酸メチルを用いる式XXIIIの化合物のメチル化は、好ましくは溶媒としての低級アルコール中で、例えばイソプロパノール中で温度約40ないし約60℃、例えば約50℃で実施される。トルエン−4−スルホン酸メチルは、好ましくは小過剰で、例えば式XXIIIの化合物を基準にして約1ないし約1.2倍モル量で使用される。式XXIIIの化合物のメチル化とそれに続く式XXIVの化合物中のベンジルオキシカルボニル保護基の水素化分解による除去は、別々に実施することができる。好ましくはメチル化および水素化分解は、式XXIVの化合物の中間単離なしにワンポット反応で実施される。このために式XXIVの化合物を、もしそれがメチル化の反応媒質から沈殿したならば、例えば水を加えることによって溶解させてから通例の条件下で、例えば炭素上のパラジウムのような通例の貴金属触媒の存在において温度約20ないし約40℃、好ましくは約20ないし約30℃、そして水素圧約1ないし約20バール、好ましくは約1ないし約5バール、特に好ましくは約1バールで、すなわち水素過圧下でなく、水素化する。3−((S)−2−アミノ−2−カルバモイルエチル)−1−メチルピリジニウムカチオン(2−位に遊離アミノ基NH2を有する)および対イオンとしてのアニオンX、例えばトシレート、ヨージドまたはクロリドを含むモノカチオン塩、すなわち式IVの化合物は、そのものとして単離することができる。好ましくは、得られるピリジニオアラニンアミドを酸HXとの塩の形で、すなわち式IXのジカチオン塩形で単離し、そしてこのために水素化分解の反応混合物を約1当量の酸HX、すなわちトシレートの場合には約1当量のトルエン−4−スルホン酸と混合する。水素化触媒を濾過し、その後生成物を濃縮および例えばイソプロパノールのようなアルコールからの残留物の結晶化によって単離することができる。
【0046】
本発明はまた、式IV(式中、X−はアニオンまたはアニオン等価物、特に生理学的に受容できるアニオン、例えばクロリド、ブロミド、ヨージドまたはトルエン−4−スルホネートである)の化合物およびそれらの酸HXとの塩(=式IXのジカチオン塩)それ自体、上記のその製造方法および上記の工程の1つ以上を実施するプロセス、およびそれらの中間体としての、特に薬学的に活性な化合物の中間体としての使用、および式XX、XXI、XXIIおよびXXIVの化合物それ自体をも提供する。
【0047】
下記の実施例は、本発明を具体的に説明するために役立つ。しかしながら、本発明はまた、上記および下記の態様の変形、例えば工程をワンポット法に組み合わせるかまたは逆に1つのプロセスをいくつかの別々の工程で実施する方法、または工程を異なる順序で実施する方法、または類似の試薬または溶媒を使用する方法または比率または処理法が変更されている方法をも包含する。
【0048】
【実施例】
実施例1:
4−(2−メチル−5−オキソオキサゾール−4−イリデンメチル)ベンゾニトリル
アセトン(80.0L)を4−ホルミルベンゾニトリル(15.0kg、114.5モル)、N−アセチルグリシン(19.2kg、162.4モル)および無水酢酸ナトリウム(9.4kg、114.5モル)の混合物中に導入し、続いて攪拌しながら、無水酢酸(35.0L、370.5モル)を導入した。反応混合物を1時間還流させながら攪拌した。得られた淡黄色懸濁液を50℃まで冷却し、そして攪拌し、冷却しながら氷−水(200L)をできるだけ迅速に加えた。この混合物を20℃でさらに1時間攪拌した。生成物を単離するために、黄色懸濁液を遠心分離機にかけて加圧して、脱イオン水(75L)、イソプロパノール(40L)およびメチル−tert−ブチルエーテル(75L)で洗浄した。生成物を減圧下、40℃で乾燥させた。収量18.17kg(85.7モル、理論の75.2%)。
M.p.:192-193℃;MS(DSI):m/z=213[M+H+];1H-NMR(DMSO-d6):δ=2.42(s,3H),7.30(s,1H),7.96(d,2H),8.33(d,2H).
【0049】
実施例2:
(R,S)−シクロヘキシルグリシン
窒素下で、(R,S)−フェニルグリシン(10.0kg、66.2モル)を、攪拌しながら水(78.5L)および塩酸(30%濃度、21.5L)に加えた。次に炭素上のロジウム[209.6g、G101 S/W 5%、水で加湿した、デグッサ(Degussa)AG]を攪拌しながら窒素下で加えた。水素圧18バールを適用し、混合物を内部温度100℃まで加熱して、72時間攪拌した。その後混合物を内部温度50℃まで冷却した。TLC試料を取った(ブタノール/氷酢酸/水 2/1/1、Rf[フェニルグリシン]=0.60、Rf[シクロヘキシルグリシン]=0.68)。完全な変換の後、触媒を50℃で濾過し、濾液のpHを20℃で水酸化ナトリウム水溶液(濃、約15L)を用いてpH4に調整した。混合物を30分間攪拌して沈殿した生成物を濾過し、水(各々35L)で2回洗浄し、減圧下、50℃で乾燥させた。収量:9.7kg(理論の93%)。
M.p.:>300℃;MS(DCI):m/z(%)=158([M++H],100);1H-NMR(200MHz,トリフルオロ酢酸(TFA)):δ=1.1-1.6(m,5H),1.7-2.1(m,5H),2.1-2.3(m,1H),4.3(d,J=4Hz,1H),11.6(s,1H);IR(KBr):γ=2927.7,1583.9,1508.8cm-1
【0050】
実施例3:
(R,S)−N−アセチル−シクロヘキシルグリシン
室温で、(R,S)−シクロヘキシルグリシン(9.41kg、61.7モル)を、攪拌しながら水(134L)中の水酸化ナトリウム水溶液(濃、30.2L)に加えた。混合物を内部温度5−10℃まで冷却し、無水酢酸(15.7L、17kg、166モル)をこの内部温度で2時間かけて計量しながら加えた(発熱反応)。次にpHをチェックして、必要ならば水酸化ナトリウム水溶液を用いて少なくともpH=11に調整した。混合物を内部温度5〜10℃で1時間攪拌した。次に内部温度を約23℃まで上昇させ、さらに2時間攪拌を続けた。1時間ごとにpHがまだpH=11であることをチェックした。反応が終了した後(TLC、酢酸エチル/メタノール/氷酢酸/水 70/30/5/5、Rf[アセチルシクロヘキシルグリシン]=0.83、Rf[シクロヘキシルグリシン]=0.55)、混合物を内部温度5〜10℃まで冷却した。pHを内部温度5〜10℃で塩酸(30%濃度、約36L)をゆっくり加えることによってpH=3に調整した。攪拌をさらに15分間続けた後、混合物を濾過した。得られた固体を水(各々45L)で2回洗浄し、減圧下、60℃で乾燥させた。収量11.52kg(理論の96.7%)。
M.p.195-197℃;MS(DSI):m/z(%)=200.2([M++H],100);1H-NMR(200MHz,DMSO-d6):δ=0.9-1.3(m,5H),1.5-1.8(m,6H),1.86(s,3H),4.1(dd,J1=8Hz,J2=6Hz,1H),7.96(d,J=8Hz,1H),12.47(s,1H);IR(KBr):γ=3339.7,2929.3,1699.9,1615.7,1563.2cm-1.
【0051】
実施例4:
(R,S)−N−アセチル−シクロヘキシルグリシンの酵素による脱アセチルによる(S)−シクロヘキシルグリシン
室温で、(R,S)−N−アセチルシクロヘキシルグリシン(7.95kg、39.9モル)を、攪拌しながら水(143L)中の水酸化ナトリウム水溶液(3.65L、33%濃度)に加えた。攪拌しながら、塩酸(2N、約0.8L)を用いてpHをpH7.8に調整した。塩化コバルト(II)六水和物(13.8g、0.058モル)を攪拌しながら加えた。次に混合物を加熱して、内部温度38−40℃とした。一定内部温度で、アシラーゼ“アマノ(Amano)”30000(40g、水400ml中)をゆっくり攪拌しながら加えた。混合物を41時間ゆっくり攪拌すると、その間に(S)−シクロヘキシルグリシンがゆっくり沈殿した。塩酸(30%濃度)を用いてpHを注意してpH5.5〜6.0に調整した。混合物を内部温度2〜5℃まで冷却して、1時間攪拌した。沈殿した(S)−シクロヘキシルグリシンを濾過し、水(約16L)で洗浄し、減圧下、60℃で乾燥させた。収量:2.79kg(44.5%)。
M.p.>300℃;[α]D32.1°(c=1,1N HCl);ee=99.78%(プロパノール/HClおよびぺルフルオロプロピオン酸無水物を用いた下記の誘導体のChirasil L-Val上GC分析); MS(DSI): m/z(%)=158([M++H],100); 1H-NMR(200MHz,TFA): δ=1.1-1.6(m,5H), 1.7-2.1(m,5H), 2.1-2.3(m,1H), 4.3(d,J=4Hz,1H), 11.6(s,1H); IR(KBr): γ=2927.7, 1583.9, 1508.8cm-1.
【0052】
未反応の(R)−N−アセチルシクロヘキシルグリシンを回収するために、母液を内部温度2〜5℃で、塩酸(30%濃度、約4.3L)を用いてpH=1に調整して、2〜5℃で1時間攪拌した。沈殿した(R)−N−アセチルシクロヘキシルグリシンを濾過し、水(約16L)で洗浄し、減圧下、60℃で乾燥させた。収量:3.76kg(47.3%)。融点>210〜212℃;[α]D −23.5°(c=1、メタノール);ee=98.39%[プロパノール/HClまたはメタノール/HClを用いた誘導体化後のキラシル(Chirasil)L−ValのGC分析]。1H−NMR、MSおよびIRデータは、ラセミ体の出発物質4のデータと一致した。
【0053】
実施例5:
(R)−N−アセチルシクロヘキシルグリシンのラセミ化による(R,S)−N−アセチルシクロヘキシルグリシン
窒素下で、(R)−N−アセチルシクロヘキシルグリシン(10.9kg、54.7モル)を、攪拌しながら氷酢酸(24.5L)および無水酢酸(1.7L)と混合した。内部温度を115℃まで上昇させて、混合物をこの温度で3.5時間攪拌した。次に内部温度を約20℃まで低下させて、水(73L)を加えた。反応混合物のpHはpH2であった。混合物を0〜3℃で1時間攪拌し、得られた固体を濾過して、水(各々25L)で2回洗浄し、この物質を減圧下、60℃で乾燥させた。収量:7.95kg(理論の73%)の(R,S)−N−アセチルシクロヘキシルグリシン。融点 195〜196℃;[α]D 0°(c=1、メタノール)。1H−NMR、MSおよびIRデータは、実施例3で得た生成物のデータと一致した。母液は、別の約2kgの(R,S)−N−アセチルシクロヘキシルグリシンを含有していた。
【0054】
実施例6:
(S)−フェニルグリシンのラセミ化を起こさない水素化による(S)−シクロヘキシルグリシン
ほうろうまたはハステロイで作った水素化装置内で、(S)−フェニルグリシン(90g、0.53モル;R−異性体の含量<1%)を窒素下、50℃で攪拌しながら、脱イオン水(0.70L)中の濃硫酸(97%濃度、60g)の溶液に加えた。すべてのフェニルグリシンが溶解した後[必要ならば追加の硫酸(約5ml)を加えた]、炭素上のロジウム[6.3g、水で加湿した(50%水)、エンゲルハード(Engelhard)型5%RHカーブ・ポルセア・エスカット(Carb Polcere Escat)30M、エンゲルハード・コード(Engelhard Code)8000から]を加えた。水素化装置を閉めて、窒素を使用して不活性化した。混合物を加熱して内部温度80℃として、20バールの水素を適用した。全水素化時間は5〜6時間であり、水素吸収は約37Lであった。水素の吸収が終わった後、混合物を20バールで余分に30〜60分間さらに水素化した。次に混合物を内部温度50℃まで冷却し、50℃で加圧フィルターを用いて触媒を濾過した。触媒を脱イオン水(0.30L)で洗浄し、濾液を20℃で濃水酸化ナトリウム水溶液(33%濃度、約90ml)を加えることによってpH=4に調整した。攪拌を30分間続けて沈殿した生成物を吸引濾過し、洗液がサルフェートイオンを含まなくなるまで脱イオン水(全部で約0.85L)で洗浄した。湿った生成物(約150g)を減圧下、50℃で乾燥させた。収量:80〜84g(理論の86〜90%)の(S)−シクロヘキシルグリシン。光学純度:99.3%ee。
【0055】
実施例7:
(S)−2−[2−アセチルアミノ−3−(4−シアノフェニル)アクリロイルアミノ]−2−シクロヘキシル酢酸
アセトン(70L)中の(S)−シクロヘキシルグリシン(3.14kg、20モル)を攪拌しながら35℃に加熱した。その後、攪拌しながら1N水酸化ナトリウム水溶液(20L)を10分かけて加えた。混合物を40℃まで加熱し、内部温度40℃で固体の4−(2−メチル−5−オキソオキサゾール−4−イリデンメチル)ベンゾニトリル(4.66kg、22モル)を数部に分けて、激しく攪拌しながら20分かけて計量しながら加えた。この添加が終了した後、反応混合物を内部温度40℃で1時間攪拌した。次に反応溶液を、ザイツフィルターK1000および活性炭(1kg)で覆った加圧吸引ロート(pressure nutsch)を通して濾過し、フィルター残留物を10Lのアセトンで洗浄した。その後濾液を14℃まで冷却した。攪拌しながら、次に2N塩酸(約10L)をpH2.3に達するまで10分かけて加えた。攪拌を15分間続け、そして2N HClを使用してpHを再調整した。次に20分かけて、この溶液を攪拌しながら脱イオン水(160L)と混合すると標題化合物が沈殿した。攪拌しながら混合物を0℃まで冷却して、この温度で1時間攪拌した。単離のために生成物をポンプで遠心分離機上に供給し、水(各々10L)で3回洗浄し、タンブル乾燥させ、そして減圧下、40℃で乾燥させた。収量:4.21kg(11.4モル、理論の57%)。
M.p.:196-198℃;MS(ESI+):m/z=370.2[M+H+];1H-NMR(200MHz,DMSO-d6):δ=0.98-1.35(m,5H),1.48-1.90(m,6H),1.99(s,3H), 4.20(dd,1H), 6.98(s,1H), 7.72(d,2H), 7.88(d,2H), 8.02(d,1H), 9.58(s,1H), 12.65(brs,1H)
【0056】
実施例8:
(S)−2−[(S)−2−アセチルアミノ−3−(4−シアノフェニル)プロピオニルアミノ]−2−シクロヘキシル酢酸
オートクレーブ内で、(S)−2−[2−アセチルアミノ−3−(4−シアノフェニル)アクリロイルアミノ]−2−シクロヘキシル酢酸(7.94kg、21.5モル)を最初にメタノール(100.0L)中に装入して、オートクレーブを、窒素を使用して注意深く不活性化した。触媒溶液を以下のようにして製造した:メタノール(3.0L)を15分間超音波浴中で処理し、その間アルゴンを導入した。その後酸素を排除して、(+)−BPPM(10.92g、19.65ミリモル)および[Rh(COD)Cl]2(4.88g、9.75ミリモル)を連続して加え、混合物をさらに30分間超音波浴中に放置した。次に酸素を排除しながら、黄橙色の触媒溶液をポンプでオートクレーブ中に加えた。
【0057】
約3バールの水素を3回適用して、オートクレーブを直ちに再度ガス抜きした。反応混合物を内部温度40℃まで加熱して、10バールの水素を適用した後、混合物を攪拌しながら40℃で20時間水素化した。次にオートクレーブを窒素でフラッシした。水素化溶液をその後、ザイツフィルターを通して濾過した。濾液を50℃まで加熱し、脱イオン水(110L)を30分かけて加えて、50℃での攪拌を1時間続けた。次に混合物を15℃まで冷却し、15℃で1時間攪拌した。沈殿した生成物を加圧吸引ロートフィルターを通す濾過によって単離し、脱イオン水(20L)で洗浄し、減圧下、40℃で乾燥させた。収量:7.73kg(20.81モル、理論の96.7%)。
M.p.: 209-211℃; MS(ESI+):m/z=372.2[M+H+]; 1H-NMR(DMSO-d6):δ=0.95-1.38(m,5H), 1.47-1.80(m,6H), 1.72(s,3H), 3.10(2×dd,2H), 4.15(dd,1H), 4.70(m,1H), 7.47(d,2H), 7.65(d,2H), 8.08(d,1H), 8.12(d,1H), 12.60(brs,1H)
【0058】
実施例9:
(S)−2−[(S)−2−アセチルアミノ−3−(4−アミジノフェニル)プロピオニルアミノ]−2−シクロヘキシル酢酸ベタイン
攪拌しながら、メタノール(20L)を(S)−2−[(S)−2−アセチルアミノ−3−(4−シアノフェニル)プロピオニルアミノ]−2−シクロヘキシル酢酸(3.77kg、10.1モル)およびヒドロキシルアミン塩酸塩(1.06kg、15.2モル)に加えた。混合物を10分間攪拌した後、炭酸水素ナトリウム(2.52kg、30モル)を加えた。1時間かけて反応混合物をゆっくり加熱して(二酸化炭素の発生)内部温度55℃とした後、55℃で6時間攪拌し、そして室温で一晩攪拌した。沈殿した塩化ナトリウムをザイツフィルターを使用して吸引濾過して、メタノール(4L)で洗浄した。メタノール溶液を、浴温約40℃で回転蒸発器を使用して約10Lまで濃縮して、激しく攪拌しながらイソプロパノール(60L)に滴加した。この結果、N−ヒドロキシアミジンのナトリウム塩が沈殿した。沈殿を完了させるために混合物を減圧下、約40℃で激しく攪拌しながら体積約50Lまで濃縮した。その後攪拌を15℃で1時間続けて、生成物を加圧吸引ロートを通して濾過した。沈殿をイソプロパノール(10L)で洗浄し、窒素流中で一晩吸引ロートフィルター上で乾燥させた。
【0059】
得られたN−ヒドロキシアミジンのナトリウム塩を、その後それに続く水素化のために直接使用した。このためには、氷酢酸(26L)を最初にオートクレーブ中に装入して、N−ヒドロキシアミジンのナトリウム塩(約6.2kg、上記反応からの湿った粗生成物)を数部に分けて攪拌しながら加えた。この溶液を氷酢酸(1L)中の炭素上のパラジウム(10%、50%水、0.40kg)の懸濁液と混合した。オートクレーブを最初に窒素でフラッシした後、水素でフラッシしてから混合物を50℃、水素圧18バールで72時間水素化した。この反応混合物を室温まで冷却し、活性炭で覆った清澄層ザイツフィルターを通して窒素下で濾過し、そしてフィルター残留物を氷酢酸(2L)で洗浄した。濾液をそれ以上氷酢酸が蒸留して除去されずそして結晶化が始まるまで浴温50℃で回転蒸発器上で濃縮した。次に混合物を約25℃まで冷却し、そして混合物がまだ回転している間、酢酸エチル(20L)を回転蒸発器のフラスコ中にしみ込ませる(soaked)とアミジンが酢酸塩として沈殿した。0.5時間余分に攪拌した後、沈殿をペーパーフィルターによって吸引濾過して、吸引によって完全に乾燥させた。
【0060】
上記のようにして得た粗製の酢酸アミジニウムを、激しく攪拌しながら、40℃に加熱した脱イオン水(20L)中に導入して、透明な溶液が形成されるまで混合物を80℃に加熱した。その後激しく攪拌しながら混合物を15℃まで冷却すると、30分以内に、これによって標題化合物(ベタインとして)が沈殿した。攪拌を15℃で1時間続けて、沈殿した生成物を加圧吸引ロートを通して濾過した。フィルターケークを氷−水(6L)で洗浄し、窒素流中で完全に乾燥させて、容器中に移して、室温、窒素下で40Lのアセトンとともに1時間攪拌した。沈殿した生成物を加圧吸引ロートを通して濾過し、アセトン(約10L)で洗浄し、減圧下、40℃で乾燥させた。収量:2.58kg(6.64モル、理論の65.7%)の標題化合物。
MS(ESI+):m/z=389.3[M+H+]; 1H-NMR(メタノール-d4): δ=0.98-1.38(m,5H), 1.58-1.78(m,6H), 1.96(s,3H), 3.10(2×dd,2H), 4.02(d,1H), 4.61(dd,1H), 7.42(d,2H), 7.68(d,2H).
【0061】
実施例10:
2−メチル−4−[ピリジン−3−イル−(Z)−メチレン]−4H−オキサゾール−5−オン
窒素下でアセトン(40.0L)、続いてピリジン−3−カルバルデヒド(20.0kg、186.9モル)をN−アセチルグリシン(32.7kg、280.0モル)および酢酸ナトリウム(15.3kg、186.9モル)に加えた。攪拌しながら無水酢酸(40.0L、429.0モル)を加えた。30分以内に反応混合物を還流温度まで加熱した後、1.5時間還流させながら攪拌した。これによって淡赤色がかった懸濁液が得られた。この懸濁液を50℃まで冷却してから、メチル tert−ブチルエーテル(80.0L)を加えた。攪拌し冷却しながら、氷−水(<2℃、200.0L)をできるだけ迅速に(<5分)加えた後、混合物を5〜10℃で1時間攪拌した。ベージュ色の懸濁液を窒素で不活性化した遠心分離機内に導入した。沈殿を遠心分離して、脱イオン水(80.0L)で洗浄し、減圧下、40℃で乾燥させた。収量:24.8kg(131.9モル、理論の70.6%)。
M.p.:173℃;MS(DCI):m/z(%)=189([M+H+],100);1H-NMR(200MHz,DMSO-d6):δ=2.40(s,3H),7.28(s,1H),7.53(dd,1H),8.61(d,2H),9.18(brs,1H);IR(KBr):γ=1799.9, 1777.4, 898.0cm-1.
【0062】
実施例11:
テトラフルオロホウ酸3−(2−アセチルアミノ−2−メトキシカルボニルビニル)ピリジニウム
窒素下で、メタノール(120.0L)中の2−メチル−4−[ピリジン−3−イル−(Z)−メチレン]−4H−オキサゾール−5−オン(12.0kg、63.83モル)の懸濁液を60℃に加熱した。トリエチルアミン(0.5L)をポンプで加え、この装置をメタノール(0.5L)ですすいだ(ガラス電極を用いて測定した、取った試料のpHは、pH8.15であった)。30分以内に反応溶液を30℃まで冷却した。テトラフルオロホウ酸溶液(水中48%濃度、11.8kg、64.5モル)を30分かけて加えた。1時間以内に、混合物を内部温度10℃まで冷却した後、(もし必要ならば、播種後に)懸濁液を10℃でさらに3時間攪拌した。メチル tert−ブチルエーテル(40.0L)を加えて、混合物を10℃で1時間攪拌した。懸濁液を窒素で不活性化した遠心分離機内に導入して、遠心分離して、生成物をメチル tert−ブチルエーテル(20.0L)で洗浄し、減圧下、40℃で乾燥させた。収量:18.7kg(60.71モル、理論の95.1%)。
M.p.:179.4℃;MS(ESI+):m/z(%)=221(遊離塩基の[M+H+], 100);1H-NMR(200MHz,DMSO-d6): δ=2.01(s,3H), 3.77(s,3H), 7.21(s,1H), 7.89(dd,1H), 8.98(d,1H), 8.76(d,1H), 8.98(s,1H), 9.92(s,1H); IR(KBr): γ=1726.9, 1670.1, 1091.5cm-1.
【0063】
実施例12:
テトラフルオロホウ酸(S)−3−(2−アセチルアミノ−2−メトキシカルボニルエチル)ピリジニウム
オートクレーブ内で、テトラフルオロホウ酸3−(2−アセチルアミノ−2−メトキシカルボニルビニル)ピリジニウム(10.3kg、33.44モル)をメタノール(120.0L)に溶解させた。テトラフルオロホウ酸溶液(水中50%、1.018kg、5.8モル)を加えてオートクレーブを閉め、窒素を使用して注意深く不活性化した。触媒溶液をメタノール(3.0L)を15分間超音波浴中で処理し、その間アルゴンを導入することによって製造した。空気を排除して、このようにしてガス抜きしたメタノールを(+)−フェニル−CAPP(12.5g、20.83ミリモル)および[Rh(COD)Cl]2(5.0g、10.10ミリモル)と混合し、黄橙色の触媒溶液をアルゴン下で30分間音波処理した。酸素を排除して、触媒溶液をオートクレーブ内に導入した。1時間以内に、オートクレーブの内容物を40℃まで加熱した。各々約3バールの水素を3回適用して、オートクレーブを直ちに再度ガス抜きした。次に1.5バールの水素を適用して、混合物を激しく攪拌しながら50℃で水素化した。7時間後に水素化が停止した。取った試料のHPLC分析は、この時点で99.1%の標題化合物が存在したことを示し、そしてGC分析{30m融解石英キャピラリーカラム キラシル・バル(Chirasil Val)、恒温160℃、インジェクター220℃、検出器(FID)260℃、キャリヤーガス 0.8バールの水素、tret[(R)エナンチオマー]12.64分、tret[(S)エナンチオマー]13.64分}は、エナンチオマー純度が86%eeの(S)異性体であったことを示した。オートクレーブを窒素でフラッシし、そして窒素を用いてオートクレーブの内容物を、加圧してザイツフィルターを通して容器内に入れて、この容器に濾液を窒素下、+5℃で貯蔵した。
【0064】
上記の手順を使用して、4回のさらに別の不斉水素化を実施した[バッチサイズ8.0kg(25.97モル)−10.3kg(33.44モル);水素圧2−10バール;温度40℃;水素化時間4〜6時間;生成物含量98.0〜99.8%(HPLC);水素化溶液中の粗生成物のエナンチオマー純度62.0〜84.5%eeのS異性体(GC)]。
【0065】
5つのバッチの濾液を合わせて、ジャケット温度40℃で残留体積150Lまで減圧下で濃縮した。イソプロパノール(200L)を加え、混合物をジャケット温度40℃、減圧下で残留体積250Lまで濃縮した。さらに2回イソプロパノール(各々100L)を加え、混合物をジャケット温度40℃で残留体積250Lまで濃縮した。この結果、標題の結晶化が起こった。白色懸濁液を窒素下、10℃で1時間攪拌した。生成物を窒素で不活性化した遠心分離機を使用して遠心分離し、イソプロパノール(100L)およびメチル tert−ブチルエーテル(150L)で洗浄した。これによって71%eeの(S)異性体(GC)の標題化合物45.0kg(144.7モル、理論の90.6%)を得た。
M.p.:(DSCに関して) 126.2℃; MS(ESI+): m/z(%) =223(遊離塩基の[M+H+],100); 1H-NMR (200MHz,DMSO-d6): δ= 1.78(s,3H), 3.08(dd,J=9.5および7Hz,1H), 3.29(dd,J=9.5および4Hz,1H), 4.68(m,1H), 8.00(dd,J=5.0および4.5Hz,1H), 8.42(tまたは2d,J約6Hz,2H), 8.80(d,J約5Hz,1H), 8.82(s,1H);IR(KBr): γ=1740.9, 1654.3cm-1.
【0066】
実施例13:
(S)−2−ベンジルオキシカルボニルアミノ−3−(ピリジン−3−イル)プロピオン酸
水(88L)中のテトラフルオロホウ酸(S)−3−(2−アセチルアミノ−2−メトキシカルボニルエチル)ピリジニウム(71%ee;6.70kg、21.6モル)の溶液を、活性炭(0.5kg)で覆った加圧吸引ロートを通して濾過した。濃水酸化ナトリウム水溶液(33%濃度、約3.0L)を使用して、濾液のpHをpH10−11に調整した後、溶液を20−25℃で2時間攪拌し、この間、濃水酸化ナトリウム水溶液を使用してpHを一定に保った。TLC(
移動相 酢酸エチル/メタノール/水/酢酸 70/30/5/5)は、メチルエステルが完全に加水分解されてカルボン酸が得られたことを示した。濃塩酸(約150ml)を用いて、pHをpH8.0に調整した。塩化コバルト(II)六水和物(11.7g、0.049モル)を加えて、反応混合物を加熱して内部温度40℃とし、一定温度39℃で1時間攪拌した。非常にゆっくり攪拌しながら脱イオン水(400ml)中のアシラーゼ”アマノ(Amano)”30000(38.0g)を39℃で加えてから、混合物を一定のpH7.9および一定温度39℃で40時間攪拌した。TLC(上記のとおりの移動相)は、約85%のカルボン酸[使用したテトラフルオロホウ酸3−(2−アセチルアミノ−2−メトキシカルボニルエチル)ピリジニウム中の(S)異性体の含量に相当する]が脱アセチルされたことを確認した。容器を窒素で不活性化してから、テトラヒドロフラン(22.0L)を加えて、反応混合物を1時間かけて内部温度10℃まで冷却した。45分以内に、テトラヒドロフラン(23.0L)中のN−(ベンジルオキシカルボニルオキシ)スクシンイミド(4.63kg、18.6モル)の溶液を加え、その期間中、濃水酸化ナトリウム水溶液(33%濃度)を継続して添加することによってpHを8.0−8.5に保った。次に混合物を20℃で1.5時間攪拌した。TLC(上記のとおりの移動相)は、遊離アミノ酸の完全なアシル化を示した。酢酸エチル(60L)をこの反応混合物に加えてから、これを15分間激しく攪拌した。完全な相分離の後、酢酸エチル相を分離して捨てた。水性相を、濃塩酸(約3.7L)を使用してpH5.0に調整して、エナンチオマー的に純粋な標題化合物の種晶を加えた後、懸濁液を5℃で一晩攪拌した。窒素下で結晶を加圧吸引ロートを通して濾過し、脱イオン水(20L)で洗浄し、そして減圧下、48℃で乾燥させた。収量:100%ee[CSP キラルパック(Chiralpak)AD 250×4.6mm ダイセル(Daicel);移動相:イソプロパノール/エタノール/n−ヘキサン 12/4/84+0.1%ジエチルアミン;tret14.16分]、[α]D 20 −9.95°(c=1.0、メタノール)を有する標題化合物2.86kg(9.52モル、理論の51.9%)。
M.p.:173-174℃ (DSCによる);MS (ESI+):m/z(%)=301 ([M+H+], 100); 1H-NMR (200MHz, DMSO-d6): δ=2.85(dd,J=9.5および7.5Hz,1H), 3.10(dd, J=9.5および3.5Hz, 1H), 4.23(m,1H), 4.98(s,2H), 7.15-7.40(m,6H), 7.62-7.78(m,2H), 8.38-8.50(m,2H), 12.80(brs,1H); IR(KBr): γ=3369.7, 1707.4, 1504.7, 1046.9, 699.2cm-1.
【0067】
実施例14:
(S)−[1−カルバモイル−2−(ピリジン−3−イル)−エチル]カルバミン酸ベンジル
テトラヒドロフラン(60L)中の(S)−2−ベンジルオキシカルボニルアミノ−3−(ピリジン−3−イル)プロピオン酸(2.60kg、8.65モル)の懸濁液を−9℃まで冷却した。この温度でN−エチルジイソプロピルアミン(1.33kg、10.29モル)を5分かけて加えた。その後−9℃で、クロロギ酸イソブチル(1.36kg、9.96モル)を20分以内に加えると、最後に内部温度は、−6℃まで上昇した。10分間激しく攪拌した後、アンモニアガス(2.1kg、約123モル)を一定温度(−5)−(−6)℃で、3時間のうちに得られた希薄な懸濁液中に導入した。反応は、最初は強い発熱性であり(最初はゆっくり導入することが必要であった)、後に発熱性が弱くなった。30分かけて反応混合物を16℃まで温めると、粘稠であるがまだ攪拌し得る結晶スラリーが得られた。ジャケット温度30℃で、溶媒を減圧下で除去した。白色のべたつく残留物を酢酸エチル(125L)中に懸濁させた。水(50L)中の炭酸水素ナトリウム(3.0kg)の溶液を加えて、混合物を30分間激しく攪拌しすると、その後にすべての固体が溶解した。有機相を分離して、硫酸ナトリウム(1.0kg)上で乾燥させ、乾燥剤を濾過して除去し、そして濾液を浴温30℃で減圧下で体積約6Lまで濃縮した。得られた沈殿を吸引濾過して、酢酸エチル(1.5L)で洗浄し、減圧下30℃で乾燥させた。収量:2.26kg(7.55モル、理論の87.3%)。化学純度は、99.9%であった[HPLC:125×4.0mm RP18 プロスファー(Purospher)、40℃、検出210nm];エナンチオマー純度は、100%eeであった[HPLC:250×4.6mm CSP Chiralpak AD Daicel;40℃;検出248nm;移動相:n−ヘキサン/イソプロパノール/エタノール 84/12/4+0.1%ジエチルアミン;tret[(S)−異性体]14.93分]。
M.p.:152.8℃(DSCによる); MS(ESI+): m/z(%): 300([M+H+],100); 1H-NMR (200MHz,DMSO-d6):δ= 2.77(dd, J=9.5および7.0Hz, 1H), 3.02(dd, J=9.5および3.5Hz, 1H), 4.19(m,1H), 4.96 (s,3H), 7.00-7.40(m,7H), 7.40-7.60(m,2H), 7.60-7.76(m,1H), 8.36-8.53 (m,2H); IR(KBr):γ=3306.8, 1674.9, 1537.7, 1424.0, 1271.6, 1251.3cm-1.
【0068】
実施例15:
3−((S)−2−アンモニオ−2−カルバモイルエチル)−1−メチルピリジニウムジトシレート
オートクレーブ内で、イソプロパノール(1.7L)を(S)−[1−カルバモイル−2−(ピリジン−3−イル)エチル]カルバミン酸ベンジル(1.00kg、3.33モル)およびトルエン−4−スルホン酸メチル(0.67kg、3.6モル)に加え、攪拌機を始動させて、反応混合物を、閉鎖したオートクレーブ内で50℃、窒素下で5時間攪拌した。反応混合物を室温で一晩放置すると、その結果メチル化したn−ベンジルオキシカルボニル化合物が粘稠なスライムとして沈降した。反応溶液を脱イオン水(0.33L)で希釈してから、パラジウム/炭素(10%、50%水;50g)を加えた。水素化を大気圧下で20〜25℃で約3時間かけて、脱イオン水(1.0L)中のトルエン−4−スルホン酸一水和物(0.63kg、3.33モル)の溶液を継続的に計量して添加しながら水素を通す(約10L/分)ことによって実施した。水素化が終了した後、オートクレーブを窒素でフラッシして、水素化溶液をザイツフィルターを通して濾過して、脱イオン水(0.5L)で洗浄した。濾液を回転蒸発器中に移して、蒸気噴射真空下、浴温40℃で約2.5Lまで濃縮した。激しく攪拌しながら、次にイソプロパノール(10L)をしみ込ませ(soaked in)、混合物を減圧下、浴温40℃で攪拌しながら約5Lまで濃縮すると、標題化合物が結晶化し始めた。攪拌しながら、結晶懸濁液を15℃に0.5時間冷却して、生成物をペーパーフィルターを通して吸引濾過し、1Lのイソプロパノールで洗浄し、吸引して完全に乾燥させ、そして乾燥させた。収量:1.57kg(3.0モル、理論の90%)。
M.p.:219-220℃;MS(ESI+):m/z(%)=180.1([M+H+],100);1H-NMR(DMSO-d6):δ=2.30(s,3H),3.10-3.40(m,2H),4.08(dd,1H),4.35(s,3H),7.12(d,4H),7.48(d,4H),7.70(s,1H),7.90(s,1H),8.05-8.22(m,4H),8.42(m,1H),8.95(m,1H).
【0069】
実施例16:
3−{(S)−2−[(S)−2−((S)−2−アセチルアミノ−3−(4−アミジニオフェニル)プロピオニルアミノ)−2−シクロヘキシルアセチルアミノ]−2−カルバモイルエチル}−1−メチルピリジニウムジトシレート
窒素下で、3−ヒドロキシ−4−オキソ−3,4−ジヒドロ−1,2,3−ベンゾトリアジン[1.306kg、ジカライト(Dicalite)(登録商標)上30.0%、2.40モル)を、N,N−ジメチルホルムアミド(45.0L)中の3−((S)−2−アンモニオ−2−カルバモイルエチル)−1−メチルピリジニウムジトシレート(5.43kg、10.36モル)および(S)−2−[(S)−2−アセチルアミノ−3−(4−アミジノフェニル)プロピオニルアミノ]−2−シクロヘキシル酢酸ベタイン(4.00kg、純度93.15%、水含量6.85%、9.591モル)の懸濁液に加えて、この懸濁液を10℃まで冷却した。この温度で等速度で、N,N−ジメチルホルムアミド(3.4L)中のジシクロヘキシルカルボジイミド(2.56kg、純度99%、12.28モル)の溶液をポンプによって7時間かけて加え、その後ポンプおよびチューブをN,N−ジメチルホルムアミド(0.5L)ですすいだ。混合物を10℃で1時間攪拌してから、室温(23.5℃)まで温めながらさらに14時間攪拌した。この懸濁液をザイツ(Seitz)層を通して濾過して、N,N−ジメチルホルムアミド(2.2L)とトルエン(0.2L)との混合物で洗浄した。30分かけて濾液を、最初にアセトン(1200L)(このアセトンは、窒素下、18℃で激しく攪拌された)を装入した容器内にポンプで加えた。混合物を室温で10分間攪拌し、次に懸濁液を窒素で加圧してポリプロピレン製のフィルタークロスおよびザイツフィルターで覆った加圧吸引ロートを通した。残留物をアセトン(3×100L)で洗浄し、加圧吸引ロート上の固体を窒素を使用して一晩乾燥させた後、アセトンからの生成物の沈殿を繰り返した。このためには、固体を攪拌しながらN,N−ジメチルホルムアミド(25L)に溶解させ、溶液をトルエン(2.5L)と混合して15分かけて最初にアセトン(1200L)(このアセトンは窒素下、18℃で激しく攪拌された)を装入した容器内にポンプで加えた。懸濁液を室温で10分間攪拌し、次に窒素で加圧して加圧吸引ロートを通した。残留物をアセトン(3×100L)で洗浄した。固体を窒素流中で完全に乾燥させた後、最初に減圧下40℃で、その後高真空下43℃で乾燥させた。収量:7.83kg(8.76モル、理論の91.3%)。エナンチオマー純度は、>99%eeであった{HPLC:CSP キラル(Chiral)AGP 100×4.0mm5μm;40℃、0.7ml/分 酢酸ナトリウム水溶液(100mM);tret 6.20分、tret[エナンチオマー]4.26分、tret[ジアステレオマー]4.97分};[α]D 25 −6.5°(c=1.0、水)。化学純度は97%であり、ジアステレオマーの含量は2.4%であった[HPLC:スーパースファー(Superspher)60RPセレクト(select)B 250×4.0mm;25℃;検出210nm;1.0ml/分;移動相A:950ml水+50mlアセトニトリル+7ml正リン酸、約8mlのトリエチルアミンでpH3に調整した、移動相B:600ml水+400mlアセトニトリル+7ml正リン酸、約8mlのトリエチルアミンでpH3に調整した;溶離プログラム:15分の100%移動相A、その後10分にわたって50%移動相A+50%移動相Bまで直線で、その後15分間平等に(isocratically)この移動相の50:50混合物:tret[標題カチオン]13.44分、tret[トシレートアニオン]26.88分]
MS(FAB,NBA): m/z(%)=722(モノトシレートの[M+],15%), 550(トシレート-遊離モノカチオン(N-メチルピリジニウムアミジン)の[M+], 100%); 1H-NMR(500MHz,DMSO-d6): δ=0.80-1.25(m,6H),1.40-1.70(m,5H), 1.72(s,3H), 2.29(s,6H), 2.71(d,1H), 2.98-3.07(m,3H), 3.18(dd,1H), 4.05(t,1H), 4.36(s,3H), 4.55-4.65(m,2H), 7.11(d,4H), 7.27(s,1H), 7.42(s,1H), 7.42(s,1H), 7.47(d,4H), 7.51(d,2H), 7.73(d,2H), 7.92(d,1H), 8.06(dd,1H), 8.14(d,1H), 8.21(d,1H), 8.40(d,1H), 8.88(m,4H), 9.25(s,2H); 13C-NMR (75.43MHz,DMSO-d6, [1H]-のデカップリングした広範なバンド): δ=20.67(2C), 22.31(1C), 25.51(2C), 22.65(1C), 28.32(1C), 28.89(1C), 34.21(1C), 36.95(1C), 47.79(1C), 52.19(1C), 53.30(1C), 57.67(1C), 125.36(4C),125.80(1C), 126.82(1C),127.70(1C), 128.03(4C), 129.59(1C),137.74(2C),138.13(1C),143.36(1C),144.68(1C),145.25(2C),145.37(1C),145.63(1C),165.16(1C),169.26(1C),170.58(1C),171.35(2C) ;IR(KBr):γ=3286, 1663, 1184,1124, 1035, 1011, 683, 569cm-1.
Claims (13)
- 水素化を、キラルロジウム(I)錯体を触媒として使用して実施する、請求項1に記載の方法。
- 水素化を、ロジウム(I)−(+)−(2R,4R)−1−tert−ブチルオキシカルボニル−4−ジフェニルホスフィノ−2−(ジフェニルホスフィノメチル)ピロリジン錯体を触媒として使用して実施する、請求項1または2に記載の方法。
- シアノ基のアミジノ基への変換を、ヒドロキシルアミンまたはヒドロキシルアンモニウム塩との反応および得られるN−ヒドロキシアミジンの水素化分解によって実施する、請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法。
- 式IIIおよびIVの化合物またはその塩の反応をカルボジイミドの存在において実施する、請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法。
- 式IIIおよびIVの化合物またはその塩の反応をジシクロヘキシルカルボジイミドおよび3−ヒドロキシ−4−オキソ−3,4−ジヒドロ−1,2,3−ベンゾトリアジンの存在において実施する、請求項1〜5のいずれか1項に記載の方法。
- 式IIIおよびIVの化合物の反応において、式IVの化合物を酸HXとの塩の形で使用し、そして式III の化合物をそのものとして、すなわちベタインとして使用する、請求項1〜6のいずれか1項に記載の方法。
- アニオンX-がトルエン−4−スルホネートである請求項1〜7のいずれか1項に記載の方法。
- 式IVaの化合物をそのトルエン−4−スルホン酸との塩の形で使用し、式IIIの化合物をそのものとして、すなわちベタインとして使用し、そして反応をジシクロヘキシルカルボジイミドおよび3−ヒドロキシ−4−オキソ−3,4−ジヒドロ−1,2,3−ベンゾトリアジンの存在において実施する、請求項9に記載の方法。
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