JP4778170B2 - フッ素系樹脂多孔体およびその製造方法 - Google Patents

フッ素系樹脂多孔体およびその製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、フッ素系樹脂多孔体およびその製造方法に関し、更に詳細には、微細な気孔が3次元的に連通した3次元連通気孔構造を有するフッ素系樹脂多孔体と、このフッ素系樹脂多孔体を製造し得る方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
フッ素系樹脂は耐薬品性、耐熱性、電気絶縁性、非粘着性等の特性を有している工業的に非常に有用な材料として知られている。そして、このような特性を有するフッ素系樹脂を材質として得られるフッ素系樹脂多孔体は、流体中から特定物質を取除くための選択性透過膜、腐蝕性の強い物質または高温用の濾過フィルタ、センサ、防湿透湿材、電池用隔膜または燃料電池電極等として好適に使用し得る。更に、人工血管等の医療材料その他電子写真技術における定着装置用オイル塗布ローラ等の種々の分野においても使用され、その使用使途は広範囲に亘っている。
【0003】
このように様々な分野に使用し得るフッ素系樹脂多孔体の製造方法として、以下の方法が知られている。
▲1▼原料として、フッ素系樹脂のポリテトラフルオロエチレン(以下「PTFE」と云う。)粉末と分散媒とを混合して、ペースト押出法により得られる未焼結成形体を融点以下の温度で1軸または2軸方向に延伸し、その後該原料の融点以上(約327℃以上)で焼結するフッ素系樹脂系多孔体の延伸による製造方法(特公昭42−13560号公報参照)。
▲2▼前記ペースト押出法により得られる成形体を原料であるPTFEの融点以上(約327℃以上)で焼結し、徐冷させて結晶性を高めた後に、250〜260℃で延伸倍率が1〜4倍となるように1軸方向に延伸するPTFE多孔体の延伸による製造方法(特公昭53−42794号公報参照)。
▲3▼PTEF粉末を圧縮成形した予備成形体を原料であるPTFEの融点以上(約327℃以上)で焼結することで成形体を作製し、この成形体を融点以下(250〜270℃程度)で1軸または2軸方向に延伸した後に、得られた延伸成形体を少なくとも3%以上収縮させ、次にPTFEの融点未満(280〜310℃程度)で少なくとも1回以上1軸または2軸方向に延伸するPTFE多孔体の製造方法(特開平3−41129号公報参照)。
▲4▼フッ素系樹脂粉末と解重合および/または熱分解する微粒子ポリマーを含む分散液とを流延し、次に前記分散液の分散媒を除去し、その後加熱してフッ素系樹脂粉末の溶融により粉末相互を結着させてフィルムを形成し、次いで微粒子ポリマーを微粒子ポリマーを解重合および/または熱分解させることによりフィルムを多孔質化したフッ素系樹脂多孔体およびこのフッ素系樹脂多孔体の製造方法(特開平7−233273号公報参照)。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
前述の▲1▼または▲2▼の延伸法によるPTFEの製造方法によれば、多孔体フィルムを効率的に製造することが可能である。しかし、この多孔体内に形成される気孔の孔径は延伸条件によって決定されることになり、所定の孔径を有する多孔体とするには孔径制御、すなわち延伸条件を厳密に設定する必要性が生じる。すなわち延伸温度および延伸率等を厳密に制御すると共に、製造ロット毎に異なるPTFE粉末の物性値についても適切に制御する必要があり、事実上不可能といえる。
【0005】
また相互に融着したPTFE粒子を延伸することにより得られる多孔体は、延伸方向に沿って配向された無数の微細なPTFE繊維と、これらの繊維により連結されかつ延伸方向に直交する方向に配向された多数の結節とからなる繊維構造となるため、該多孔体を形成する気孔はスリット形状を呈することになり、真球形状性の高い気孔とはならない。
【0006】
このため前述のような延伸による方法では、均一なPTFE繊維を形成することは困難であり、このPTFE繊維が層状に重なることで形成される気孔の径は均一とはならず、その結果、例えばこのPTFE多孔体を所要の不純物を除去する選択性透過膜として使用する場合には、捕集率が不安定となって充分な選択性を発揮し得ない畏れがある。また延伸法によるPTFE多孔体の製造方法では、PTFE多孔体を厚みの薄いフィルム状とすることはできるが、3次元的に気孔が連通した3次元連通気孔構造を有するPTFE多孔体を得ることは、製造上困難であった。
【0007】
前述した▲3▼におけるPTFE多孔体の製造方法については、多孔体の気孔は比較的真球形状とすることはできるが、前記▲1▼または▲2▼のPTFE多孔体の製造方法と同様に延伸による製造のため、気孔径の制御は困難である。またPTFE多孔体を厚みの薄いシート状とすることはできるが、3次元連通気孔構造とすることは困難であり、焼結した後に延伸するため、PTFE多孔体の気孔率は30%程度と低くなり透過性が低いといった問題も内在している。
【0008】
前述した▲4▼におけるPTFE多孔体およびその製造方法については、解重合や熱分解により微粒子ポリマーを除去するため、比較的多孔体の気孔径制御を行ない易い利点がある。しかし得られるPTFE多孔体の気孔率は20〜30%程度と低いため、夫々の気孔が連通することなく独立気孔構造となり易い。そして、熱分解や解重合により生成するモノマー等が完全に除去されることなく、PTFE多孔体内に閉じこめられてしまうため、該PTFE多孔体内に内包されたモノマー等がPTFEが有する諸特性を害してしまい、例えば精密濾過用フィルタ等としての使用に問題が生じるてしまう。
【0009】
【発明の目的】
本発明は、前述した従来の技術に係るフッ素系樹脂多孔体およびその製造方法に内在している前記問題に鑑み、これを好適に解決するべく提案されたものであって、多孔体の気孔率が60〜90%の範囲内かつ気孔径が1〜500μmの範囲内に所要に応じて制御可能であり、その気孔の形状は略球状であって、気孔の夫々が3次元的に連通した構造を有するフッ素系樹脂多孔体と、このフッ素系樹脂多孔体の製造方法を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
前記課題を克服し、所期の目的を達成するために、本発明に係るフッ素系樹脂多孔体は、少なくとも1種類のフッ素系樹脂および非水溶性分散媒を混合してなる流動体と、
混練温度で溶融し得る水溶性高分子化合物と、
混練温度以下で溶融することのない水溶性気孔形成材とを使用し、
これらを混合・混練した混合物の成形体から水溶性気孔形成材および水溶性高分子化合物を抽出除去し、前記非水溶性分散媒を除去した後に前記フッ素系樹脂を焼結させて3次元連通気泡構造としたことを特徴とする。
【0011】
前記課題を克服し、所期の目的を達成するために、本願の別の発明に係るフッ素系樹脂多孔体の製造方法は、少なくとも1種類のフッ素系樹脂および非水溶性分散媒を混合してなる流動体と、
滑材として作用する水溶性高分子化合物と、
前記高分子化合物の融点以上において、溶融することのない水溶性気孔形成材とを所定の混練温度で混合・混練し、
得られた混合物を所定形状の成形体とした後に、この成形体を水と接触させることで、該成形体から前記水溶性高分子化合物および水溶性気孔形成材を抽出除去し、
次に所定の加熱状態下で前記非水溶性分散媒を除去した後、
前記フッ素系樹脂を焼結させて3次元連通気孔構造を有するミクロ多孔体を得ることを特徴とする。
【0012】
【発明の実施の形態】
次に、本発明に係るフッ素系樹脂多孔体と、フッ素系樹脂多孔体の製造方法につき、好適な実施例を挙げて、添付図面を参照しながら以下説明する。本願の発明者は、少なくとも1種類のフッ素系樹脂および非水溶性分散媒を混合した流動体(以下、フッ素系樹脂流動体と云う)に、水溶性気孔形成材および滑材としての水溶性高分子化合物を所要の配合割合で混合、所定の混練温度下に混練して所定形状に成形、更に所定温度の加熱を施す等して該非水溶性分散媒を除去し、得られた成形体を水に浸漬することで該水溶性気孔形成材および水溶性高分子化合物を抽出・除去した後に、最終的に加熱下に焼結させて硬化することで、微細な気孔が3次元的に連通した構造を有する、所謂3次元連通気孔構造を有するフッ素系樹脂多孔体が得られることを知見したものである。
【0013】
前記フッ素系樹脂としては、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)、エチレン−テトラフルオロプロピレン共重合体(ETEF)、ポリク口口トリフルオロエチレン(PCTFE)等が用いることができるが、耐薬品性その他諸特性に特に優れたPTFE粉末が好適であり、殊に数平均分子量が50万以上、好ましくは200〜2000万の範囲であればよい。また前記フッ素系樹脂の性状としては、非水溶性分散媒(詳細は後述)との混合を考えて、粉体状として使用することが好ましい。なお前記フッ素系樹脂粉体の粒径は殊に限定されないが、0.1〜0.5μmの範囲内であれば、前記非水溶性分散媒と混合した際に容易に所要の流動性を有する流動体として、ペースト押出法に好適に使用し得るようになるので好適である。
【0014】
前記フッ素系樹脂流動体は、前記フッ素系樹脂とを非水溶性分散媒とを所定の割合で混合することで得ることができる。このフッ素系樹脂流動体は、非水溶性分散媒にフッ素系樹脂を均一に分散させたものであり、流動性を有するペースト状物である。このようにフッ素系樹脂を分散媒に溶解させペースト状の流動体とすることで、粘弾性特性を発現させて押出成形やカレンダー成形その他各種の方法で所要形状に成形することが容易に可能となる。
【0015】
このとき使用する非水溶性分散媒としては、前記フッ素系樹脂の通常のペースト押出法等に使用されている各種の液体溶媒であって、混合する該フッ素系樹脂の融点以下で蒸発等することで除去し得るものであれば採用可能である(詳細は[0033])。例えばソルベントナフサ、ホワイトオイルなどの石油系炭化水素、トルエン、キシレン、ケトン類、エステル類、シリコーンオイル、フルオロカーボンオイル、これらの液体にポリイソブチレン、ポリイソプレンなどの油溶性・非水溶性ポリマーを溶解したもの等が挙げられる。
【0016】
前記フッ素系樹脂と非水溶性分散媒との混合割合は、体積比で55〜75:45〜25の範囲内とすることが好適である。前記フッ素系樹脂および分散媒の全体量に対して該分散媒を25vol%未満とすると、フッ素系樹脂の分散媒中での分布密度が高くなり、その結果フッ素系樹脂に剪断力が強く作用して微細な繊維が生じてしまいスリット形状等の気孔となる畏れがある。また前記フッ素系樹脂および分散媒の全体量に対して該分散媒を45vol%を超える量とすると、フッ素系樹脂流動体と後述の水溶性気孔形成材および水溶性高分子化合物(以下、水溶性気孔形成材および水溶性高分子化合物を併せて水溶性成分と云う)との混合・混練作用が低下して、該水溶性成分をフッ素系樹脂流動体に均一に分散させることが困難になると共に、該フッ素系樹脂流動体の流動性が高くなり成形した際にその形状を維持できない畏れがある。
【0017】
前記フッ素系樹脂流動体に混合する水溶性気孔形成材は、フッ素系樹脂流動体に均一に分散・混合された後に、水または温水で抽出・除去することで、この水溶性気孔形成材の形状や大きさと略同等の気孔を形成するものである。すなわち混合する前記水溶性気孔形成材の粒径等により、フッ素系樹脂多孔体の気孔径を制御し得るため、気孔の形状を非常に対称性の高い略球状とすることができる。また前記水溶性気孔形成材としては、前記非水溶性分散媒に対して不溶または難溶で、水または温水に対しては可溶であると共に、水溶性高分子化合物の融点以上で熱的に安定で溶融することのない物質であれば無機物または有機物の何れであっても使用可能である。なお前述の如く、この水溶性気孔形成材の大きさにより得られる多孔体の気孔径がほぼ決定されるので、エアー分級または/および篩分級等の従来公知の方法により粒度分布の小さな状態として使用するようにしてもよい。
【0018】
前記水溶性気孔形成材として使用される水溶性無機物としては、例えばアルカリ金属、アルカリ土類金属のハロゲン塩をはじめとする水溶性無機塩で、塩化バリウム、臭化バリウム、ヨウ化バリウム、酸化バリウム、水酸化バリウム、塩化カルシウム、臭化カルシウム、ヨウ化カルシウム、塩化カリウム、臭化カリウム、ヨウ化カリウム、硫酸カリウム、リン酸カリウム、水酸化カリウム、塩化リチウム、臭化リチウム、ヨウ化リチウム、硫酸リチウム、水酸化リチウム、塩化マグネシウム、臭化マグネシウム、ヨウ化マグネシウム、硫酸マグネシウム、塩化アンモニウム、臭化アンモニウム、ヨウ化アンモニウム、硫酸アンモニウム、塩化ナトリウム、臭化ナトリウム、ヨウ化ナトリウム、水酸化ナトリウム、硫酸ナトリウム、リン酸ナトリウム、塩化スズ(II)、臭化スズ(II)、ヨウ化スズ(II)、硫酸スズ、塩化亜鉛、臭化亜鉛、ヨウ化亜鉛または硫酸亜鉛等が挙げられる。なお略同等の気孔径を形成するには、分級等により所定の粒径とされた水溶性無機物を使用することが好ましい。
【0019】
前記水溶性有機物としては、尿素、チオ尿素、ジシアンジアミド、マンニット、フルクトース、グルコース等の糖類、マンニトール、トリメチロールエタン、ペンタエリスリトール、アクリノール、アコニット酸、アコン酸、アセチル安息香酸、アセチルチオ尿素、アセチレンカルボン酸、アセチルアミドフェノール、アトロピン硫酸塩、アニス酸、アニリン塩酸塩、アミノアセトアミド、アミノ安息香酸、アミノ吉草酸、アミノケイ皮酸、アミノ酪酸、アラニン、アルサニル酸、アルブチン、アレカイジン、アロキサン酸、安息香酸ナトリウム、アントラニル酸、イサチン、イサチン=オキシム、イソカンホロン酸、イソ酪酸、イソニコチン酸、イソニコチン酸ヒドラジド、イソバレルアミド、イソフタロニトリル、イソプロテレノール塩酸塩、イタコン酸、インダゾール、ウラシル、エチルアミン臭化水素酸塩、エルゴノビン、オイキサンチン酸、オキサニル酸、オキサロ酢酸、オキシニ酢酸、オピアン酸、オレイン酸カリウム、カテキン、カフェイン、カルバミド酸アンモニウム、カルボノヒドラジド、カルミン酸、ギ酸ナトリウム、キナ酸、キヌクリジン、キノリノール、キノロン、キンヒドロン、グアニジン炭酸塩、グリオキシム、グリコシアミジン、グリコシアミン、グリシン、グルタコン酸、クロコン酸、ク口口安息香酸、ク口口フマール酸、ク口口プロマジン塩酸塩、コウジ酸、コカイン塩酸塩、コデイン=リン酸塩、コハク酸、酢酸亜鉛、酢酸カリウム、酢酸ナトリウム、酢酸鉛、サリシン、サルコシン、シアニジン=クロリド、シアヌル酸トリメチル、ジアルル酸、ジエチルアミン塩酸塩、シクロバルビタール、シチシン、ジフェニル酢酸、ジメチルアミン塩酸塩、ジメチルパラバン酸、ジメチルマロン酸、シュウノウキノン、ジリツル酸、スクシンアミド、スクシンアミド酸、スタキドリン、ステアリン酸カリウム、ステアリン酸ナトリウム、スルファジアジン、スルファメチゾール、セミカルバジド塩酸塩、タウリン、タルトロン酸、テトラエチルアンモニウム=ヨージド、テトラゾール、テトロン酸、デルフィニジン=クロリド、テルペニル酸、テレピン酸、トリエチルアミン塩酸塩、トリメチルアミン塩酸塩、トリメチルアミンオキシド、トロピン酸、ニコチン酸、ニトログアニジン、二卜ロテレフタル酸、ニトロン、ニンヒドリン、馬尿酸、ビウレット、ビオルル酸、ヒダントイン、ヒダントイン酸、ヒドロキノン、ピラゾロン、ピロカルピン塩酸塩、フェニルアルソン酸、フェニルコハク酸、フェニル尿素、フェニルヒドラジン塩酸塩、フェニルプロピオル酸、フェニルボロン酸、フタルアミド酸、フタロン酸、フラビアン酸、プリン、フルミヌル酸、プロカイン塩酸塩、プロマジン塩酸塩、ブロモコハク酸、ブロモフマール酸、ブロモマレイン酸、ブロモワレリル尿素、ヘキサメチルリン酸トリアミド、ヘキサメチレンテトラミン、ヘキサバルビタール、ヘスペレチン酸、ベタイン、ペチジン塩酸塩、ヘマトキシリン、ヘミン、ベラルゴニジン=クロリド、ベンジリデンマロン酸、.ベンジル酸、ベンゼンヘキサカルボン酸、ベンゼンペンタカルボン酸、ベンゾイミダゾール、没食子酸エチル、マイトマイシンC、メサコン酸、メチルアミン塩酸塩、メチルアルソン酸、メルカプトコハク酸、モルヒネ塩酸塩、ヨードシアンまたはロイコン酸等が挙げられる。
【0020】
殊に前述の水溶性有機物の場合は、一般に柔らかく、前記フッ素系樹脂流動体との混合・混練時に比較的塊が大きい場合であっても、粉砕されて微粒子となるものが多いので、予め微細な粒子を使用することなく気孔径を小さくすることができる利点を有する。また水溶性高分子化合物として尿素系物質を使用した場合には、安価な一方で後述する水溶性高分子化合物と錯体を形成する特性があり、その結果得られる多孔体の気孔分布が広がることがあるので注意が必要であり、トリメチロールエタン等の低沸点物質を使用した場合には、水等を用いた抽出後の各種加熱によっても揮発して更に除去が進行するものであるので、不純物が殆ど除去されたファインなフッ素系樹脂多孔体が得られる。
【0021】
前記水溶性高分子化合物は、前記水溶性気孔形成材の抽出・除去を確実に行ない得るようにすると共に、3次元連通気孔構造を容易に達成し得るために用いられるものであり、前記分散媒に対しては不溶または難溶性で、水または温水に対しては可溶である水溶性物質が採用される。
【0022】
また前記水溶性高分子化合物として、この高分子化合物を溶融させた際に前記フッ素系樹脂流動体の粘度と同等の粘度を有するものを選択すれば、このフッ素系樹脂流動体と水溶性高分子化合物とが均一に相分離した状態とすることができる。すなわち前記水溶性高分子化合物は前記フッ素系樹脂流動体内で均一に分散されると共に、連続する相を形成するようになる。このように系内に分散する水溶性高分子化合物は、混練温度で溶融されることで、前記気孔形成材の周囲にも均一に存在するようになる。すなわちこの水溶性高分子化合物の存在が、水または温水に浸漬した際に前記水溶性気孔形成材の抽出・除去に役立ち、該水溶性気孔形成材の確実な抽出・除去を容易ならしめている。
【0023】
更に前記水溶性高分子化合物は、前記フッ素系樹脂流動体に混合・混練されることで高分子性を発揮させ得るようになる。すなわち押出成形や射出成形等に適した粘性を付与し得るようになるので、所要の形状に容易に成形することができるようになる。
【0024】
前記水溶性高分子化合物としては、例えば、ポリエチレングリコール、ポリエチレングリコール−ポリプロピレングリコール共重合体、ポリオキシエチレングリコール、ポリエチレングリコール−ポリプロピレングリコール共重合体のアルコール付加物、ポリアミドサルホン、ポリビニルメチルエーテル、ポリアリルアミン等が使用される。殊にポリエチレングリコールは、溶融させた際にフッ素系樹脂流動体の粘度と同程度とし得ると共に、水または温水に対する溶解度が高く、更に溶融する温度域が広いので好適に使用し得る。なお、水溶性高分子化合物としてポリエチレングリコールを使用する場合には、その分子量が約1,000〜10,000,000の範囲内のものを使用し得る。また前記水溶性高分子化合物を前記フッ素系樹脂流動体中に均一に分散させるためには、前述したように両者の粘度が同程度となることが好ましい。
【0025】
前記水溶性気孔形成材と水溶性高分子との混合時の体積比は、5〜65:95〜35の範囲内とすることが好適である。前記水溶性成分の全体量に対して水溶性高分子化合物が35vol%未満の場合には、水溶性高分子化合物が連続する相を形成することが困難となって、形成される気孔の夫々が連通していない独立気孔構造となる割合が増大する。これにより水に浸漬して抽出・除去する際に、水溶性成分の抽出速度が著しく低下したり気孔内に残留する畏れがある。一方、前記水溶性成分の全体量に対して水溶性高分子化合物が95vol%を超える量の場合には、水溶性気孔形成材が均一に分散せず気孔径の不均一な気孔が分布したフッ素系樹脂多孔体となる畏れがあるため注意が必要である。
【0026】
前記フッ素系樹脂流動体と前記水溶性成分との混合割合は、体積比で約10〜35:90〜65の範囲内とすることが好ましい。全体量に対して流動体が約10〜35vol%の範囲内とすることで、フッ素系樹脂流動体と水溶性成分とが3次元的に連続した相を形成し得るようになる。更に水に浸漬して水溶性成分を抽出・除去する際に、確実に骨格を保持することができ、フッ素系樹脂および分散媒が水中で分散されることはない。なお全体量に対してフッ素系樹脂流動体が約35vol%を超える量とすると、気孔の核となる水溶性気孔形成材の割合が相対的に低下するので、気孔率が低下すると共に、この水溶性成分の抽出・除去に長時間を要する。更に気孔率が低下することで3次元連続気孔構造の形成が困難となったり、気孔の夫々が連通しないことで気孔内に水溶性成分が残留する畏れが生じる。
【0027】
そして前記フッ素系樹脂、分散媒および水溶性成分を、前述した各範囲内で混合割合を設定し混合して成形した成形体を水または温水に浸漬することで、該水溶性気成分を容易かつ充分に抽出・除去可能である。また前記非水溶性分散媒については、この分散媒をその沸点以上に加熱することで容易に揮発除去することが可能であり、その後に焼結・硬化させることでフッ素系樹脂が骨格とし、均質性および強度を備える3次元連通気泡構造を有するフッ素系樹脂多孔体が得られる。また前記フッ素系樹脂、非水溶性分散媒、水溶性気泡形成材および水溶性高分子化合物の混合割合を前述の好適な範囲に設定することで、1〜500μm程度の微細な気孔を有し、かつその気孔率が60〜90vol%程度の3次元連通気孔構造を有するフッ素系樹脂多孔体を得ることが可能である。また、気孔の夫々が連通しているので、気孔内に水溶性成分等が内包されて残存することはなく、純度の高いフッ素系樹脂多孔体とすることができる。
【0028】
またこのフッ素系樹脂多孔体の気孔は、水溶性気孔形成材が抽出・除去されることで形成されるので、その気孔の形状は均一かつ非常に対称性の高い略球状となる。すなわち、本発明に係るフッ素系樹脂多孔体を使用したフィルター等は、常に一定した機能を発揮することができ、例えば選択性透過膜として使用する場合には、捕集率が安定して充分な選択性を発揮し得る。
【0029】
本発明に係るフッ素系樹脂多孔体を製造するには、図1に示す如く、先ず予め粉砕等の従来公知の手段および分級等の手段により所定の粒度とされた粉末状フッ素系樹脂と非水溶性分散媒とを所定の機器で混合し、該分散媒中に粉末状のフッ素系樹脂が均一に分散したフッ素系樹脂流動体を得る。次いで、このフッ素系樹脂流動体に、水溶性気孔形成材および水溶性高分子化合物(水溶性成分)を混合し、このフッ素系樹脂流動体と水溶性成分(水溶性気孔形成材および水溶性高分子化合物)とが均一に混合し、その中で該水溶性高分子化合物が相分離するように混練する。なおこの際の混練温度は、前記水溶性高分子化合物が均一に相分離し得る流動体となる溶融温度以上に設定される。なお前記水溶性気孔形成材および水溶性高分子化合物については、予め所定の混練温度下で混合・混練して。例えばペレット形状等に加工した後、前記フッ素系樹脂流動体と混合するようにしてもよい。この作業を行なうことにより、前記フッ素系樹脂流動体および水溶性成分の混合割合をより容易に制御し得るようになる。
【0030】
そして前述の混練で得られた混合物を押出機等を使用して所定形状の成形体に成形し、この成形体を水または所要温度の温水に浸漬することで、前記水溶性気泡形成材および水溶性高分子化合物を抽出・除去する。次に前記水溶性分散媒を前述の如く蒸発すると共に、前記フッ素系樹脂の融点未満(例えば代表的なフッ素系樹脂であるPTFEの場合は327℃)である加熱条件下におくことで除去した後に、該フッ素系樹脂を加熱することで焼結させて緻密化させる。前記焼結が起こり得る加熱温度は、緻密化すべき樹脂に依存して一義的に決定されない。焼結すべき樹脂の融点は一応の目安とし得るが、厳密には該融点より低い温度であっても、分子運動により該樹脂が拡散して焼結が起こり得る。また融点を超える温度であっても、PTFEの場合には流動を起こさないので焼結が起こり得る。従って微細な気孔を多数備え、該気孔が3次元的に連通した3次元連通気孔構造を有するフッ素系樹脂多孔体を得ることができる。
【0031】
前述のフッ素系樹脂、非水溶性分散媒および水溶性成分等の混合・混練には、1軸式または2軸式押出機、ニ一ダ、加圧式ニ一ダ、コニーダ、バンバリーミキサ、ヘンシェル型ミキサあるいはロータ型ミキサその他の混練機等が好適に使用される。この混練について、特殊な装置は必要なく、また混練速度等も限定されない。また混練時の温度は使用する水溶性高分子化合物が溶融する温度以上であって、水溶性気孔形成材が溶融しない温度の範囲内に設定される。混練時間は各種混合物の物性により左右されるが、該混合物が充分に混合・混練されればよく、通常では30〜40分程度で充分である。混練された原料は、押出、射出、プレス、ローラまたはブローにより所要形状に成形が可能であるが、殊に量産性が高い押出または複雑形状を形成し得る射出よる成形が好適である。
【0032】
各成分を混合して所要形状に成形された成形体は、前記水溶性気泡形成材および水溶性高分子化合物を、溶媒である水に所定時間(例えば1〜24時間、成形体の形状・厚さ等にもよる)浸漬させることで抽出・除去される。またこの際の浸漬は、どのような方法であってもよいが、前記混合物全体を水に接触させる水中浸漬による抽出・除去が好適である。このとき使用される水の温度についても、殊に限定がなく室温程度のものであってもよいが、前記各水溶性成分の効率的な除去のために、15〜80℃の温水を利用してもよい。
【0033】
前記非水溶性分散媒は、使用するフッ素系樹脂の焼結が起こり始める融点以下で揮発したり、所定の抽出液に浸漬することで抽出することが除去が可能である。なお抽出により分散媒を除去する場合には、気孔内に侵入する抽出液を再度加熱等で除去する必要がある。また加熱することで分散媒を除去する場合には、先の段階で行なう水溶性成分の抽出・除去により、気孔内に進入した水分を蒸発させて除去できる利点があるため、通常は製造工程等の簡略化のためこちらが選択される。
【0034】
【実験例】
以下に、本発明に係るフッ素系樹脂多孔体の実験例を示す。以下の各実験例で得られるフッ素系樹脂多孔体の試験片について、見かけ密度(g/cm3)、嵩密度(g/cm3)、気孔率(%)、平均気孔径(μm)および独立気孔率(%)を測定した。なお前記各測定項目は、以下のようにして求められる。
・見かけ密度(g/cm3):試験片の重さ(空気による浮力補正済み)/試験片の厚さと表面積より求められる体積)
・嵩密度(g/cm3):試験片をn−ヘキサン中に加圧状態で浸漬し、気孔中の空気をn−ヘキサンで置換した後に、この試験片の重量を測定する。n−ヘキサンの密度で割ることで、多孔体が排除した体積が求められる。試験片の空気中での重さ(空気による浮力補正済み)を、この体積で除せぱ嵩密度が得られる。
・平均気孔径(μm):走査型電子顕微鏡(日本電子製)により観察。
・気孔率(%):1−(見かけ密度)/(PTFE焼結体)
・独立気孔率(%):{(PTFE焼結体の密度)−(嵩密度)}/(PTFEの焼結体密度)
なお、ここでPTFE焼結体とは、PTFE粉末を圧縮成形等して焼結させたもので、気孔を有していないものを指す。
【0035】
(実施例1)
フッ素系樹脂粉末として、PTFEファインパウダー(商品名 ポリフロンF104;ダイキンエ業製)100重量部と、非水溶性分散媒である石油系炭化水素溶剤(エッソ化学製、沸点207〜257℃)25重量部とをタンブラーにより均一に混合してフッ素系樹脂流動体を得る(PTFEファインパウダーは58.7vol%)。これと別に、水溶性気孔形成材として分級により平均粒径を50μmとした塩化ナトリウム80重量部と、水溶性高分子化合物としてポリエチレングリコール(三洋化成製、分子量20,000)20重量部とを2軸押出機に投入し、混練温度70℃の加熱下で100回転/分にて混練押出してペレット状とする(塩化ナトリウムは70vol%)。そして、前記フッ素系樹脂流動体と水溶性成分とを、重量比100:215(体積比100:188)の条件で2軸押出機に投入して所定の混練温度(70℃)にて混合・混練し、幅110mm、厚さ1mm、長さ100mmのシート状の成形体を得る。そして得られた成形体を70℃の温水中に2時間浸漬した後、熱風循環乾燥炉に温度250℃、時間30分の条件で載置し、続いて温度380℃、時間3時間の条件で高温炉にて焼結を行なうことで、フッ素系樹脂多孔体の試験片Aを得た。同様に、前記フッ素系樹脂流動体と水溶性成分とを、重量比100:625(体積比100:545)で混合することで、フッ素系樹脂多孔体の試験片Bを得た。得られた試験片A,Bについて、前記各測定項目の結果を下記の表1に示す。なお前記押出機の出口付近の温度は70℃とした。
【0036】
(実施例2)
前述の実施例1と同様に条件のPTFEファインパウダーと、非水溶性分散媒である石油系炭化水素溶剤とを混合調整してフッ素系樹脂流動体を得る。そして水溶性成分として工業用尿素(工業用;三菱化学製)65重量部とポリエチレングリコール35重量部とを容量100cm3のロータ型ミキサに投入し、温度70℃、時間10分間、混練温度70℃の加熱下で100回転/分の条件にて混練する(尿素は70vol%)。更に前記フッ素系樹脂流動体と水溶性成分とを重量比100:150(体積比100:139)で混合し、再度100cm3容量のロータ型ミキサに投入して、温度70℃、時間30分、30回転/分の条件にて混練する。混練物を取り出し、ホットプレス(温度70℃、圧力30Pa)を保持時間5分の条件で行ない、厚さ1.5mm、直径150mmのシート状の成形体を得る。そして得られた成形体を温度70℃の温水中に2時間浸漬した後、熱風循環乾燥炉に温度250℃、時間30分の条件で載置して分散媒を除去し、続いて温度380℃、時間3時間の条件で高温炉にて焼結を行なうことで、フッ素系樹脂多孔体の試験片Cを得た。この得られた試験片Cについて、前記各測定項目の結果を下記の表1に示す。
【0037】
(実験例3)
前述の実施例1、2と同様のPTFEファインパウダーと、非水溶性分散媒である石油系炭化水素溶剤とを混合調整してフッ素系樹脂流動体を得る。そして水溶性成分としてトリメチロールエタン(一級試薬;関東化学製)60重量部とポリエチレングリコール40重量部とを2軸押出機に投入し、混練温度70℃の加熱下で100回転/分てペレット状とする(トリメチロールエタンは65vol%)。更に前記フッ素系樹脂流動体と水溶性成分とを、重量比100:150(体積比100:138)の条件で2軸押出機に投入して、所定の混練温度(70℃)にて混合・混練し、幅110mm厚さ1mm、長さ100mmのシート状の成形体を得る。そして得られた成形体を70℃の温水中に2時間浸積した後、熱風循環乾燥炉に温度250℃、時間30分の条件で載置して分散媒を除去して、続いて温度380℃、時間3時間の条件で高温炉にて焼結を行なうことで、フッ素系樹脂多孔体の試験片Dを得た。この得られた試験片Dについて、前記各測定項目の結果を下記の表1に示す。なお、前記押出機の出口付近の温度は70℃とした。
【0038】
【表1】
Figure 0004778170
【0039】
水溶性気孔形成材として、混合・混練により破壊され難い粒子を使用することで、使用した粒子の粒径と同程度の気孔径を有するフッ素系樹脂多孔体を得ることができ、1〜500μm程度の気孔径に所要に応じて制御可能である。また気孔率の高いフッ素系樹脂多孔体を得ることができ、各混合物の混合割合を好適化することで、60〜90vol%の高い気孔率を達成することができる。更にフッ素系樹脂多孔体の気孔の夫々は連通し、走査型電子顕微鏡により観察すると気孔の連通構造が3次元的に発達した3次元連通気孔構造を有することが確認された。
【0040】
このように気孔が3次元的に連通することで、水溶性成分等の抽出が確実に行なわれ、純度の高いフッ素系樹脂多孔体とすることができ、不純物の存在によりフッ素系樹脂の特性を損なわれることなく多孔体とすることが可能である。すなわち所要の厚さを有すると共に、微細かつ均一な形状の気孔が高気孔率で3次元的に連通した3次元連通気孔構造のフッ素系樹脂多孔体とすることができる。
【0041】
【発明の効果】
以上説明した如く、本発明に係るフッ素系樹脂多孔体およびその製造方法によれば、多孔体の気孔率を60〜90%の範囲内かつその気孔径を1〜500μmの範囲内に任意に制御し得ると共に、その気孔の形状は略球状であって、気孔の夫々が3次元的に連通した3次元連通気孔構造を有するフッ素系樹脂多孔体を製造可能となる。そして、気孔の夫々が連通することで内部に水溶性気孔材等が残留していない純度の高いフッ素系樹脂多孔体とすることができ、特定物質を取除くための選択性透過膜その他各種の用途に好適に使用し得るようになる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の好適なフッ素系樹脂多孔体の製造方法を示す工程図である。

Claims (13)

  1. 少なくとも1種類のフッ素系樹脂および非水溶性分散媒を混合してなる流動体と、
    混練温度で溶融し得る水溶性高分子化合物と、
    混練温度以下で溶融することのない水溶性気孔形成材とを使用し、
    これらを混合・混練した混合物の成形体から水溶性気孔形成材および水溶性高分子化合物を抽出除去し、前記非水溶性分散媒を除去した後に前記フッ素系樹脂を焼結させて3次元連通気泡構造とした
    ことを特徴とするフッ素系樹脂多孔体。
  2. 前記フッ素系樹脂は、粉末状である請求項1記載のフッ素系樹脂多孔体。
  3. 前記フッ素系樹脂は、ポリテトラフルオロエチレンである請求項1または2記載のフッ素系樹脂多孔体。
  4. 前記非水溶性分散媒は、前記フッ素系樹脂の融点以下で蒸発する等の物性の違いにより、揮発その他の各種方法で容易に除去される請求項1〜3の何れかに記載のフッ素系樹脂多孔体。
  5. 前記水溶性気孔形成材は、塩化ナトリウムの如き無機化合物である請求項1〜4の何れかに記載のフッ素系樹脂多孔体。
  6. 前記水溶性気孔形成材は、尿素またはトリメチロールエタンの如き有機化合物である請求項1〜4の何れかに記載のフッ素系樹脂多孔体。
  7. 前記水溶性高分子化合物は、ポリエチレングリコールである請求項1〜6の何れかに記載のフッ素系樹脂多孔体。
  8. 前記3次元的に連通する気孔の径は1〜500μmの範囲内で、気孔率は60〜90vol%の範囲内である請求項1〜7の何れかに記載のフッ素系樹脂多孔体。
  9. 少なくとも1種類のフッ素系樹脂および非水溶性分散媒を混合してなる流動体と、
    滑材として作用する水溶性高分子化合物と、
    前記高分子化合物の融点以上において、溶融することのない水溶性気孔形成材とを所定の混練温度で混合・混練し、
    得られた混合物を所定形状の成形体とした後に、この成形体を水と接触させることで、該成形体から前記水溶性高分子化合物および水溶性気孔形成材を抽出除去し、
    次に所定の加熱状態下で前記非水溶性分散媒を除去した後、
    前記フッ素系樹脂を焼結させて3次元連通気孔構造を有するミクロ多孔体を得る
    ことを特徴とするフッ素系樹脂多孔体の製造方法。
  10. 前記水溶性気孔形成材と前記水溶性高分子化合物との混合割合は、体積比で5〜65:95〜35の範囲に設定される請求項9記載のフッ素系樹脂多孔体の製造方法。
  11. 前記流動体と、前記水溶性気孔形成材および前記水溶性高分子化合物との混合割合は、体積比で10〜35:90〜65の範囲に設定される請求項9または10記載のフッ素系樹脂多孔体の製造方法。
  12. 前記フッ素系樹脂と前記分散媒との混合割合は、体積比で55〜75:45〜25の範囲に設定される請求項9〜11の何れかに記載のフッ素系樹脂多孔体の製造方法。
  13. 前記水溶性気孔形成材および水溶性高分子化合物を抽出除去するのに使用される水は、15〜80℃の温水である請求項9〜12の何れかに記載のフッ素系樹脂多孔体の製造方法。
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