JP4776109B2 - バッテリ上がり防止装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、車両に搭載されるバッテリの、バッテリ上がりを防止するバッテリ上がり防止装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、乗用車やトラック等の車両は、車両を製造してから実際にユーザに引き渡されるまでに、長期間経過する場合がある。また、車両に搭載されるバッテリは、微小ではあるが暗電流が流れており、長期間充電が行われない場合には、充電されている電圧が放電されてしまい、ユーザに引き渡されるときには、既にバッテリ電圧が低下し、イグニッションを起動させることができないというトラブルが発生する場合がある。
【0003】
このような問題を解決するために、車両に搭載する各電子制御装置とバッテリとの間にヒューズを設置し、車両がユーザに引き渡されるまでの間、ヒューズを取り外しておくことにより、暗電流の発生を防止する方法が用いられている。しかし、この方法では、ヒューズの取り付け作業が面倒であり、また、長期間(例えば、30日以上)車両を使用しない場合には、上記と同様の問題が発生する。
【0004】
そこで、従来より、特開2000−142275号公報(以下、従来例という)に記載されているように、バッテリと電子制御装置との間にキープリレーを設置し、該キープリレーを遮断することにより、暗電流の発生を防止する技術が提案されている。
【0005】
図3は、従来例に記載されたバッテリ上がり防止装置を概略的に示す回路構成図である。同図に示すように、バッテリE101と、車両に搭載される各種の電子制御装置102a〜102dとの間には、過電流保護用のヒューズF101が設置され、更に、キープリレー103の接点103aが設けられている。
【0006】
更に、キープリレー103のリレーコイル103cを駆動するための駆動回路104と、CPU105、及びレギュレータ106を具備している。レギュレータ106は、例えば12ボルトのバッテリ電圧を5ボルトに変換してCPU105に供給する。
【0007】
そして、上記構成において、CPU105は、車両のイグニッションスイッチがオンとされない時間を計測し、例えば、30日間イグニッションスイッチがオンとされないときには、駆動回路104に駆動信号を出力し、該駆動回路104の動作にてキープリレー103をオフとすることにより、バッテリE101より電子制御装置102a〜102dに流れる暗電流を防止し、バッテリ上がりを防止する。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述した従来におけるバッテリ上がり防止装置では、キープリレー103を用いることにより、暗電流を防止することができるものの、CPU105が何らかの原因により故障すると、駆動回路104に駆動信号を出力することができなくなり、キープリレー103をオフ状態からオン状態に切り換えることができなくなるという問題が発生する。
【0009】
この発明は、このような従来の課題を解決するためになされたものであり、その目的とするところは、制御手段(CPU)が故障し、キープリレーをオンとするべく駆動信号を出力することができない場合でも、確実に電子制御装置を駆動させることのできるバッテリ上がり防止装置を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本願請求項1に記載の発明は、車両に搭載される電子制御装置と、該電子制御装置に駆動電圧を出力するバッテリとの間に配置され、前記電子制御装置とバッテリとの連結を適宜遮断することにより、バッテリ上がりを防止するバッテリ上がり防止装置において、前記バッテリと、前記電子制御装置とを連結する配線上に設置されるキープリレーと、所定の条件に基づいて、前記キープリレーをオンとするためのHレベル信号、または前記キープリレーをオフとするためのLレベル信号を出力する制御手段と、トランジスタを備え、該トランジスタの制御入力端子に前記Hレベル信号が入力された場合に該トランジスタを導通して前記キープリレーをオンとし、前記制御入力端子に前記Lレベル信号が入力された場合に該トランジスタを遮断して前記キープリレーをオフとし、更に、車両イグニッションスイッチがオンとされたときに、イグニッション端子に生じる電圧が前記制御入力端子に供給されて前記トランジスタを導通するリレー駆動手段と、を具備したことが特徴である。
【0011】
また、請求項2に記載の発明は、前記リレー駆動手段は、第1のトランジスタを有し、該第1のトランジスタの制御入力端子に前記Hレベル信号が入力された場合に該第1のトランジスタを導通して、前記キープリレーをオンとし、前記制御入力端子に前記Lレベル信号が入力された場合に該第1のトランジスタを遮断して、前記キープリレーをオフとする第1の駆動部と、第2のトランジスタを有し、前記イグニッションスイッチがオンとされたときに、イグニッション端子に生じる電圧が前記第2のトランジスタの制御入力端子に供給されて該第2のトランジスタを導通し、前記キープリレーをオンとする第2の駆動部と、を具備したことを特徴とする。
【0012】
請求項3に記載の発明は、前記制御手段は、前記イグニッションスイッチが所定時間以上継続してオンとされなかった際に、前記リレー駆動手段に、前記Lレベルの信号を出力することを特徴とする。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。図1は、本発明の第1の実施形態に係るバッテリ上がり防止装置の構成を示す回路図である。同図に示すように、該バッテリ上がり防止装置1は、バッテリE1と、車両に搭載される各種電子制御装置(電動シートの制御装置やエアコン制御装置等)2a〜2dとの間に配置されるものであり、各電子制御装置2a〜2dへの電圧供給のオン、オフを切り換えるためのキープリレー3を有している。
【0014】
また、該キープリレー3のリレーコイル3cに動作電圧を出力する、駆動回路(リレー駆動手段)4と、この駆動回路4に駆動信号(切り換え信号)を出力するCPU5と、CPU5と駆動回路4との間に配置されるダイオードD2と、バッテリE1より出力される電圧(例えば、12ボルト)を降圧してCPU5に供給する電圧(例えば、5ボルト)を出力するレギュレータ6と、を有している。
【0015】
更に、ダイオードD2と駆動回路4との接続点は、ダイオードD1、及び抵抗R1を介して、イグニッションスイッチ7に接続されている。なお、同図に示す符号F1は、過電流保護用のヒューズである。
【0016】
次に、上述のように構成された本実施形態に係るバッテリ上がり防止装置1の動作について説明する。通常動作時には、CPU5の制御下で、イグニッションスイッチ7のオン、オフ状態を監視し、これに応じてキープリレー3のオン、オフを切り換える。即ち、イグニッションスイッチ7が長期間(例えば、30日間)連続してオンとされない場合には、駆動回路4にキープリレー3をオフとするべく駆動信号を出力し、該駆動回路4は、リレーコイル3cに電圧を印加して、リレー接点3aをオフとさせる。
【0017】
これにより、バッテリE1と、各電子制御装置2a〜2dとが遮断されるので、暗電流の発生を抑制することができ、バッテリ上がりを防止することができる。
【0018】
また、イグニッションスイッチ7が操作された際には、イグニッションのオン信号がCPU5に供給されるので、該CPU5の制御下でキープリレー3のリレー接点3aをオンとする。これにより、バッテリE1より出力される電圧は、各電子制御装置2a〜2dに供給され、動作可能な状態となる。
【0019】
ここで、何らかの原因で、CPU5が故障し、駆動回路4に駆動信号を出力することができなくなった場合には、キープリレー3をオンとする条件が満たされているにも関わらず、これをオンとすることができなくなることがある。
【0020】
本実施形態では、イグニッションスイッチ7をオンとした際に、このオン信号が抵抗R1、及びダイオードD1を介して直接駆動回路4に供給されるようにしているので、CPU5が故障した場合でもイグニッションスイッチ7がオンとされた場合には、確実に駆動回路4を動作させて、キープリレー3をオン状態とすることができる。従って、各電子制御装置2a〜2dにバッテリE1より出力される電圧を確実に供給することができる。
【0021】
このようにして、本実施形態に係るバッテリ上がり防止装置1では、CPU5が故障した場合においても、イグニッションのオン信号にて駆動回路4を動作させることにより、イグニッションスイッチ7オン時には、電子制御装置2a〜2dにバッテリE1よりの電圧を供給することができるので、各電子制御装置2a〜2dを確実に動作させることができる。
【0022】
図2は、本発明の第2の実施形態に係るバッテリ上がり防止装置の構成を示す回路構成図である。同図に示すように、該バッテリ上がり防止装置11は、第1の駆動部4a、及び第2の駆動部4bからなる駆動回路4を具備している点で、図1に示したバッテリ上がり防止装置1と相違する。即ち、CPU5と第1の駆動部4aとがダイオードD4を介して連結され、この第1の駆動部4aの出力はキープリレー3のリレーコイル3cに接続されている。また、イグニッションスイッチ7と第2の駆動部4bとがダイオードD3を介して連結され、この第2の駆動部4bの出力は、やはりキープリレー3のリレーコイル3cに接続されている。その他の構成は、図1に示したものと同一である。
【0023】
以下、第2の実施形態に係るバッテリ上がり防止装置11の動作について説明する。前述した第1の実施形態と同様に、通常動作時には、CPU5の制御により、キープリレー3のオン、オフ動作が制御され、電子制御装置2a〜2dに流れる暗電流を遮断し、バッテリ上がりを防止する。
【0024】
また、何らかの理由により、CPU5に故障が発生し、キープリレー3をオンとするべき条件となっているにも関わらず、第1の駆動部4aに駆動信号を出力することができない場合であっても、イグニッションスイッチ7より出力されるイグニッションのオン信号がダイオードD3を介して第2の駆動部4bに供給され、該第2の駆動部4bによりキープリレー3のリレーコイル3cに駆動用の電圧が印加されるので、キープリレー3がオンとなり、各電子制御装置2a〜2dにバッテリE1よりの電圧を印加することができる。
【0025】
このようにして、本発明の第2の実施形態に係るバッテリ上がり防止装置11においても、前述した第1の実施形態と同様に、CPU5に故障が発生した場合でも、イグニッションスイッチ7オン時には、確実にバッテリE1の出力電圧を各電子制御装置2a〜2dに供給することができる。それに加えて、第2の実施形態では、第1の駆動部4a、及び第2の駆動部4bからなる駆動回路4を用いているので、仮に第1の駆動部4aが故障した場合においても、第2の駆動部4bを用いることにより、確実にキープリレー3をオン状態とすることができる。
【0026】
なお、上記した各実施形態では、4個の電子制御装置2a〜2dが設けられる例について説明したが、本発明は、これに限定されるものではなく、1〜3個、或いは5個以上の電子制御装置を用いることも可能である。
【0027】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明に係るバッテリ上がり防止装置では、リレー駆動手段の入力側を、制御手段(CPU5)及びイグニッションスイッチと連結することにより、制御手段が故障してリレー駆動手段に駆動信号が供給されない場合においても、イグニッションスイッチオン時には、確実にリレー駆動手段を動作させ、キープリレーをオン状態とすることができる。その結果、制御手段が故障した場合においても、各電子制御手段にバッテリ電圧を供給することができる。
【0028】
従って、キープリレーのオン、オフ動作により、バッテリ上がりを防止することができ、且つ制御手段に故障が発生した場合においても、電子制御装置により駆動する各種の電子機器を動作させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施形態に係るバッテリ上がり防止装置の構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の第2の実施形態に係るバッテリ上がり防止装置の構成を示すブロック図である。
【図3】従来におけるバッテリ上がり防止装置の構成を示すブロック図である。
【符号の説明】
1,11 バッテリ上がり防止装置
2a〜2d 電子制御装置
3 キープリレー
3a リレー接点
3c リレーコイル
4 駆動回路(リレー駆動手段)
4a 第1の駆動部
4b 第2の駆動部
5 CPU(制御手段)
6 レギュレータ
7 イグニッションスイッチ
E1 バッテリ
F1 ヒューズ
Claims (3)
- 車両に搭載される電子制御装置と、該電子制御装置に駆動電圧を出力するバッテリとの間に配置され、前記電子制御装置とバッテリとの連結を適宜遮断することにより、バッテリ上がりを防止するバッテリ上がり防止装置において、
前記バッテリと、前記電子制御装置とを連結する配線上に設置されるキープリレーと、
所定の条件に基づいて、前記キープリレーをオンとするためのHレベル信号、または前記キープリレーをオフとするためのLレベル信号を出力する制御手段と、
トランジスタを備え、該トランジスタの制御入力端子に前記Hレベル信号が入力された場合に該トランジスタを導通して前記キープリレーをオンとし、前記制御入力端子に前記Lレベル信号が入力された場合に該トランジスタを遮断して前記キープリレーをオフとし、更に、車両イグニッションスイッチがオンとされたときに、イグニッション端子に生じる電圧が前記制御入力端子に供給されて前記トランジスタを導通するリレー駆動手段と、
を具備したことを特徴とするバッテリ上がり防止装置。 - 前記リレー駆動手段は、
第1のトランジスタを有し、該第1のトランジスタの制御入力端子に前記Hレベル信号が入力された場合に該第1のトランジスタを導通して、前記キープリレーをオンとし、前記制御入力端子に前記Lレベル信号が入力された場合に該第1のトランジスタを遮断して、前記キープリレーをオフとする第1の駆動部と、
第2のトランジスタを有し、前記イグニッションスイッチがオンとされたときに、イグニッション端子に生じる電圧が前記第2のトランジスタの制御入力端子に供給されて該第2のトランジスタを導通し、前記キープリレーをオンとする第2の駆動部と、
を具備したことを特徴とする請求項1に記載のバッテリ上がり防止装置。 - 前記制御手段は、前記イグニッションスイッチが所定時間以上継続してオンとされなかった際に、前記リレー駆動手段に、前記Lレベルの信号を出力することを特徴とする請求項1または請求項2のいずれかに記載のバッテリ上がり防止装置。
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