JP4775928B2 - 炭素繊維、アクリロニトリル系前駆体繊維の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、製造コストが低く、生産性に優れ、糸切れ、毛羽の発生の低い、高品位、高品質で、特に強度発現性に優れた太物炭素繊維と太物アクリロニトリル系前駆体繊維及びその製造方法に関する。
従来、炭素繊維用のアクリロニトリル系前駆体繊維としては、高強度、高弾性率の炭素繊維を得るために、糸切れや毛羽の発生の少ない、品質に優れた3,000〜20,000フィラメントの,いわゆるスモールトウが主に製造され、これから製造された炭素繊維が航空・宇宙、スポーツ分野等の多くの分野に用いられてきた。
一方、炭素繊維の利用は、自動車、土木、建築、エネルギー等の一般産業分野に拡大されつつある。そのため高強度、高弾性率で、より安価で生産性の優れた太物炭素繊維の供給が求められている。例えば、特許文献1〜3に太物炭素繊維またはアクリロニトリル系前駆体繊維の製造法が開示されているが、いずれに開示されている炭素繊維も強度発現性が十分ではなく、従来のフィラメント数が12,000本以下のスモールトウ並のストランド強度、弾性率には至っていないのが現状である。
特開平10−121325号公報 特開平11−189913号公報 特開2001−181925号公報
そこで、本発明は、製造コストが低く、生産性に優れ、糸切れ、毛羽の発生の低い、高品位、高品質で、特に強度発現性に優れた太物炭素繊維と太物アクリロニトリル系前駆体繊維及びその製造方法を提供することを課題とする。
本発明の要旨は、アクリロニトリル系重合体の有機溶剤溶液を、ジメチルアセトアミド水溶液中にノズル口径が45〜75μm、孔数30,000ヶ以上の紡糸ノズルから凝固糸引き取り速度/吐出線速度が0.8以下で吐出した膨潤糸条を、洗浄/延伸した後、第一油浴槽に導き第一油剤を付与しガイドで一旦絞りを行った後、引き続き第二油浴槽で第二油剤を付与し、乾燥緻密化二次延伸によってトータル延伸倍率5〜10倍を行うことを特徴とするアクリロニトリル系前駆体繊維の製造方法である。
本発明によれば、製造コストが低く、生産性に優れ、糸切れ、毛羽の発生の低い、高品位、高品質で、特に強度発現性に優れた太物炭素繊維と太物アクリロニトリル系前駆体繊維及びその製造方法を供給することができる。
以下、本発明を詳細に説明する。
『アクリロニトリル系前駆体繊維』
本発明のアクリロニトリル系前駆体繊維は、複数の、アクリロニトリル系重合体の単繊維を束ねたトウである。
(アクリロニトリル系重合体)
アクリロニトリル系重合体としては、アクリロニトリル単位を95質量%以上含有する重合体であることが、アクリロニトリル系前駆体繊維を焼成して得られる炭素繊維の強度発現性の面で好ましい。
アクリロニトリル系重合体は、アクリロニトリルと、必要に応じてこれと共重合しうる単量体とを、水溶液中におけるレドックス重合、不均一系における懸濁重合、分散剤を使用した乳化重合などによって、重合して得ることができる。
アクリロニトリルと共重合しうる単量体としては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸エステル類;塩化ビニル、臭化ビニル、塩化ビニリデン等のハロゲン化ビニル類;(メタ)アクリル酸、イタコン酸、クロトン酸等の酸類およびそれらの塩類;マレイン酸イミド、フェニルマレイミド、(メタ)アクリルアミド、スチレン、α−メチルスチレン、酢酸ビニル;スチレンスルホン酸ソーダ、アリルスルホン酸ソーダ、β−スチレンスルホン酸ソーダ、メタアリルスルホン酸ソーダ等のスルホン基を含む重合性不飽和単量体;2−ビニルピリジン、2−メチル−5−ビニルピリジン等のピリジン基を含む重合性不飽和単量体等が挙げられる。
(単繊繊度)
アクリロニトリル系前駆体繊維を構成する単繊維の繊度は0.7〜1.3dtexであることが必要である。単繊維の繊度が0.7dtex未満であるとアクリル繊維糸条を安定に紡糸することが難しくなり、逆に1.3dtexを越えると断面二重構造が顕著になり、高性能な炭素繊維が得られにくい。
(フィラメント数)
アクリロニトリル系前駆体繊維を構成するフィラメント数は30,000本以上であることが必要である。その範囲でアクリロニトリル系前駆体繊維や炭素繊維の製造条件から最も好ましいフィラメント数を選べばよい。アクリロニトリル系前駆体繊維のハンドリング、製造コスト、生産性、更には耐炎化工程、炭素化工程で均一な熱処理等を考えた場合、100,000本以下であることが好ましい。
(単繊維間の接着数)
アクリロニトリル系前駆体繊維を構成する単繊維間の接着数は、5ヶ/30,000本以下であり、繊維軸に垂直方向の結晶領域サイズが1.1×10−8m以上であることが好ましい。単繊維の接着は後の耐炎化工程及び炭素化工程で毛羽や束切れ等の発生原因となるだけでなく、ストランド強度も著しく低下するため、接着数は可能な限り少ない方が好ましい。
ここで、単繊維の接着数は、以下のようにして測定される。
単糸間の接着の判定は、巻き取った前駆体繊維を約5mmにカットし100mLのアセトン中に分散させ、100rpm(回転/分)で1分間攪拌後、黒色濾紙にて濾過し、単糸繊維の接着個数を測定する。
(繊維軸に垂直方向の結晶領域サイズ)
本発明では、繊維軸に垂直方向の結晶領域サイズが1.1×10−8m以上であることが好ましい。
結晶領域サイズは、以下の方法で測定する。アクリロニトリル系前駆体繊維を50mm長に切断し、これを30mg精秤採取し、試料繊維軸が正確に平行になるようにして引き揃えた後、試料調整用治具を用いて巾1mmの厚さが均一な繊維試料束に整える。この繊維試料束に酢酸ビニル/メタノール溶液を含浸させて形態が崩れないように固定した後、これを広角X線回折試料台に固定する。X線源として、株式会社リガク製のCuKα線(Niフィルター使用)X線発生装置を用い、同じく株式会社リガク製のゴニオメーターにより、透過法によってグラファイトの面指数(100)に相当する2θ=17°近傍の回折ピークをシンチレーションカウンターにより検出する。このとき、出力は40kV−100mAとする。回折ピークにおける半値巾から下記の式を用いて、結晶領域サイズLaを求める。
La=Kλ/(β0cosθ)
〔式中、Kはシェラー定数0.9、λは用いたX線の波長(ここではCuKα線を用いているので、1.5418×10−2m)、θはBraggの回折角、βは真の半値巾、β=β−β(βは見かけの半値巾、βは装置定数であり、ここでは1.05×10−2rad)である。〕
(アクリロニトリル系前駆体繊維の単繊維の強度)
アクリロニトリル系前駆体繊維の単繊維の強度は、好ましくは5cN/dtex以上であり、より好ましくは6.5cN/dtex以上であり、さらに好ましくは7cN/dtex以上である。単繊維の強度が5cN/dtex未満では、焼成工程での単糸切れによる毛羽の発生が多くなって焼成工程通過性が悪くなる。得られる炭素繊維の強度も著しく低下する。
ここで、アクリロニトリル系前駆体繊維の単繊維の強度は、単繊維自動引張強伸度測定機(株式会社オリエンテック製UTM II−20)を使用し、台紙に貼られた単繊維をロードセルのチャックに装着し、毎分20.0mmの速度で引っ張り試験を行い強伸度を測定することによって求められる。
(アクリロニトリル系前駆体繊維の単繊維の繊度斑)
更に、アクリロニトリル系前駆体繊維を構成する単繊維の繊度斑(CV値)が10%以下であり、好ましくは7%以下であり、更に好ましくは5%以下にすることが好ましい。10%を越えると紡糸工程及び焼成工程において糸切れ、巻き付きトラブルが発生しやすくなる。
ここで、単繊維の繊度斑は以下のようにして決定される。
内径1mmの塩化ビニル樹脂製のチューブ内に測定用のアクリロニトリル系重合体の繊維を通した後、これをナイフで輪切りにして試料を準備する。ついで、該試料をアクリロニトリル系重合体の繊維断面が上を向くようにしてSEM試料台に接着し、さらにAuを約10nmの厚さにスパッタリングしてから、PHILIPS社製XL20走査型電子顕微鏡により、加速電圧7.00kV、作動距離31mmの条件で繊維断面を観察し、単繊維の繊維断面積をランダムに300ヶ程度測定し、繊度を算出する。
(アクリロニトリル系前駆体繊維へ油剤の付着斑)
また、アクリロニトリル系前駆体繊維の長さ方向における油剤の付着斑(CV値)についても10%以下であり、好ましくは5%未満である。
アクリロニトリル系前駆体繊維の長さ方向での油剤の付着斑が大きいと紡糸工程において接着や融着が発生し、その結果単糸切れや束切れ等のトラブルの原因となる。
得られる炭素繊維としても品質、性能(特にストランド強度)の面であまり好ましくない。高品質、高性能なアクリロニトリル系前駆体糸条及び炭素繊維を得るためには、スモールトウ、ラージトウの総繊度に関係なく、如何に油剤を均一に付着させることができるかが製造上のポイントである。
また、油剤の長さ方向による付着斑は、前駆体糸条の長さ方向に連続してN=10でサンプリングを行い、理学電機工業株式会社の波長分散型蛍光X線分析装置(卓上型蛍光X線分析装置 ZSXmini)を用いて測定を行い油剤付着斑を測定する。
『アクリロニトリル系前駆体繊維の製造方法』
本発明のアクリロニトリル系前駆体繊維の製造方法として、アクリロニトリル系重合体と有機溶剤からなる紡糸原液を、濃度50〜70質量%、温度30〜50℃の有機系水溶液からなる第1凝固浴中にノズル口径が45〜75μm、孔数30,000ヶ以上の紡糸ノズルから凝固糸引き取り速度/吐出線速度が0.8以下で吐出させ膨潤糸条を得、続いて、洗浄/延伸した後、エアーブローバーにより含水水分を可能な限り除去して第一油浴槽に導き第一油剤を付与し、2本以上のガイドで一旦絞りを行った後、引き続き第二油浴槽で第二油剤を付与し、乾燥緻密化二次延伸によってトータル延伸倍率5〜10倍を行うことでアクリロニトリル系前駆体繊維を得ることが可能となる。
(紡糸原液)
紡糸原液に使用する有機溶剤としては、例えば、ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミド等が挙げられる。中でも、ジメチルアセトアミドは、溶剤の加水分解による性状の悪化が少なく、良好な紡糸性を与えるので、好適に用いられる。
(紡糸口金)
紡糸原液を押し出すための紡糸口金には、アクリロニトリル系前駆体繊維の単繊維繊度として0.7〜1.3dtex程度の単繊維を製造する際の孔径、すなわち45〜75μmの孔径のノズル孔を有する紡糸口金を使用できる。
小孔径ノズルを用いることで、「凝固糸の引取り速度/ノズルからの紡糸原液の吐出線速度」が小さく(0.8倍以下)なることにより、良好な紡糸性を維持することができる。
(膨潤糸条に対する湿熱延伸)
凝固浴から引き取られた膨潤糸条は、その後の湿熱延伸によって繊維の配向をさらに高めるものである。この湿熱延伸は膨潤状態にある膨潤繊維を水洗に付しながらの延伸、あるいは熱水中での延伸によって行われる。中でも、高生産性の観点から、熱水中での延伸を行うのが好ましい。
(膨潤繊維の膨潤度)
また、湿熱延伸を施した後の乾燥前の膨潤繊維の膨潤度は、100質量%以下にすることが好ましい。湿熱延伸を施した後の乾燥前の膨潤繊維の膨潤度が、100質量%以下にある繊維は、表層部と繊維内部とが均一に配向していることを意味するものである。凝固浴中での凝固糸製造の際の「凝固糸の引取り速度/ノズルからの紡糸原液の吐出線速度」を下げることによって、凝固浴中での凝固糸の凝固を均一なものにした後、これを湿熱延伸することにより、内部まで均一に配向することができる。これによって、乾燥前の膨潤繊維の膨潤度を100質量%以下とすることができる。
ここで、膨潤繊維の膨潤度は以下のようにして決定される。
膨潤状態にある繊維の付着液を遠心分離機[3,000rpm(回転/分)、15分]によって除去した後の質量wと、これを熱風乾燥機で乾燥(105℃×2時間)した後の質量wとにより、
膨潤度(質量%)=(w−w)×100/w
によって求めることができる。
『炭素繊維』
本発明の炭素繊維は、単繊維繊度が0.7〜1.3dtex、フィラメント数が30,000本以上のアクリロニトリル系前駆体繊維を焼成して得られる炭素繊維であって、ストランド強度(JIS R7601−1986)が500kg/mm以上である炭素繊維である。
本発明の炭素繊維は、前述のアクリロニトリル系前駆体繊維を公知な方法で焼成することによって、得られるが、その中でも、アクリロニトリル系前駆体繊維を、低い温度から高い温度にゾーン毎に220〜250℃に調節した耐炎化炉で連続的に、収縮を制限しながら耐炎化処理を行い、密度1.36g/cm程度の耐炎化繊維糸条を得、その後300〜700℃の温度分布を有する窒素雰囲気の炭素化炉中にて、収縮を制限しながら、1〜5分間の炭素化処理を行い、続いて1,000〜1,300℃の温度分布を有する窒素雰囲気からなる炭素化炉中にて、収縮を制限しながら、1〜5分間の炭素化処理する方法が好ましい。
以下に、実施例により本発明をより具体的に説明する。なお、以下に述べる実施例は、本発明における最良の実施形態の一例であるものの、本発明は、これら実施例により限定されるものではない。
アクリロニトリル、アクリルアミド、メタクリル酸を、過硫酸アンモニウム−亜硫酸水素アンモニウムおよび硫酸鉄の存在下、水系懸濁重合により共重合し、アクリロニトリル単位/アクリルアミド/メタクリル酸単位=96/3/1(質量比)からなるアクリロニトリル系重合体を得た。このアクリロニトリル系重合体をジメチルアセトアミドに溶解し、21質量%の紡糸原液を調製した。
この紡糸原液を孔数50,000、孔径45μmの紡糸口金を通して、濃度60質量%、温度35℃のジメチルアセトアミド水溶液からなる凝固浴中に吐出させて凝固糸にし、紡糸原液の吐出線速度の0.45倍の引取り速度で引き取った。
ついで、この繊維に対して水洗と同時に3倍の延伸を行い、1.5質量%に調製したアミノシリコン系油剤の第一油浴槽に導き第一油剤を付与し、数本のガイドで一旦絞りを行った後、引き続き1.5質量%に調製したアミノシリコン系油剤の第二油浴槽で第二油剤を付与した。この繊維を熱ロールを用いて乾燥し、熱ロール間による乾熱二次延伸を2.0倍行った。その後、タッチロールにて繊維の水分率を調整し、ワインダーで巻き取ることにより、単繊維繊度1.2dtexのアクリロニトリル系前駆体繊維を得た。
得られたアクリロニトリル系前駆体繊維について、接着数、結晶領域サイズ、単繊維の強度、単繊維の繊度斑、油剤付着斑、および膨潤度を測定し表1に示した。
アクリロニトリル系前駆体繊維を耐炎化処理温度226、229、234、239および244℃で各々12分、計60分連続的に耐炎化処理を行い、密度1.36g/cmの耐炎化繊維糸条を得た。この時の耐炎化処理時の工程張力を136×10−3cN/dTexにして繊維の収縮を制限しながら、続いて300〜700℃の温度分布を有する窒素雰囲気からなる炭素化炉中にて、68×10−3cN/dTexの張力を付し、繊維の収縮を制限しながら、1.5分間の炭素化処理を付し、続いて1,000〜1,300℃の温度分布を有する窒素雰囲気からなる炭素化炉中にて、68×10−3cN/dTexの張力を付し、繊維の収縮を制限しながら、1.5分間の炭素化処理を付すことにより、炭素繊維を製造した。
単繊維繊度を0.78dtexに変更し、紡糸原液の吐出線速度の0.7倍の引取り速度で引き取った以外は、実施例1と同様にしてアクリロニトリル系前駆体繊維を得た。このアクリロニトリル系前駆体繊維を実施例1と同様にして焼成し、炭素繊維を得た。
湿熱延伸倍率を4.5倍、乾燥緻密化後の二次延伸を2倍に変更し、紡糸原液の吐出線速度の0.3倍の引取り速度で引き取った以外は、実施例1と同様にして単繊維繊度1.2dtexのアクリロニトリル系前駆体繊維を得た。このアクリロニトリル系前駆体繊維を実施例1と同様にして焼成し、炭素繊維を得た。
紡糸口金のノズル孔径75μmに変更し、紡糸原液の吐出線速度の0.79倍の引取り速度で引き取った以外は、実施例1と同様にして単繊維繊度1.2dtexのアクリロニトリル系前駆体繊維を得た。このアクリロニトリル系前駆体繊維を実施例1と同様にして焼成し、炭素繊維を得た。
孔数30,000、ノズル孔径45μmの紡糸口金に変更した以外は、実施例1と同様にして単繊維繊度1.2dtexのアクリロニトリル系前駆体繊維を得た。このアクリロニトリル系前駆体繊維を実施例1と同様にして焼成し、炭素繊維を得た。
孔数30,000、ノズル孔径45μmの紡糸口金でに変更し、凝固浴中に吐出させて凝固糸にし、紡糸原液の吐出線速度の0.44倍の引取り速度で引き取った。この繊維に対して水洗と同時に4.75倍の延伸と熱ロール間による乾熱二次延伸を2.0倍行った以外は、実施例1と同様にして単繊維繊度0.78dtexのアクリロニトリル系前駆体繊維を得た。このアクリロニトリル系前駆体繊維を実施例1と同様にして焼成し、炭素繊維を得た。
[比較例1]
孔数50,000、ノズル孔径90μmの紡糸口金に変更し、紡糸原液の吐出線速度の1.79倍の引取り速度で引き取った以外は、実施例1と同様にして単繊維繊度1.2dtexのアクリロニトリル系前駆体繊維を得た。このアクリロニトリル系前駆体繊維を実施例1と同様にして焼成し、炭素繊維を得た。
紡糸原液の吐出線速度の1.79倍の引取り速度で引き取った凝固糸は、凝固浴中で延伸切れが発生し、安定した紡糸が困難であった。また、焼成して得られた炭素繊維のストランド強度も低かった。
[比較例2]
湿熱延伸倍率を6.0倍、乾燥緻密化後の二次延伸を2.0倍に変更し、紡糸原液の吐出線速度の0.23倍の引取り速度で引き取った以外は、実施例1と同様にして単繊維繊度1.2dtexのアクリロニトリル系前駆体繊維を得た。このアクリロニトリル系前駆体繊維を実施例1と同様にして焼成し、炭素繊維を得た。
トータル延伸倍率が10倍を超えるアクリロニトリル系前駆体繊維は、単繊維の接着数が増加し、また単繊維の繊度斑が10%を越え、これから得られた炭素繊維はストランド強度が低かった。
[比較例3]
湿熱延伸倍率を2.0倍、乾燥緻密化後の二次延伸を2.0倍に変更し、紡糸原液の吐出線速度の0.67倍の引取り速度で引き取った以外は、実施例1と同様にして単繊維繊度1.2dtexのアクリロニトリル系前駆体繊維を得た。このアクリロニトリル系前駆体繊維を実施例1と同様にして焼成し、炭素繊維を得た。
トータル延伸倍率が5倍以下のアクリロニトリル系前駆体繊維は、乾燥前の膨潤糸の膨潤度が100%を越え、これから得られた炭素繊維はストランド強度が低かった。
[比較例4]
孔数50,000、ノズル孔径30μmの紡糸口金に変更し、紡糸原液の吐出線速度の0.14倍の引取り速度で引き取った以外は、実施例1と同様にして単繊維繊度1.2dtexのアクリロニトリル系前駆体繊維を得た。このアクリロニトリル系前駆体繊維を実施例1と同様にして焼成し、炭素繊維を得た。
ノズル孔径30μmの紡糸口金で紡糸原液の吐出線速度の0.14倍で紡糸したアクリロニトリル系前駆体繊維は、単繊維接着数が増加し、さらに、乾熱二次延伸工程で糸切れ、束切れが発生し、安定した紡糸が困難であった。また、焼成して得られた炭素繊維のストランド強度も低かった。
[比較例5]
1.5質量%に調製したアミノシリコン系油剤の第一油浴槽に導き第一油剤のみ付与し、第二油浴槽をバイパスした以外は、実施例1と同様にして単繊維繊度1.2dtexのアクリロニトリル系前駆体繊維を得た。このアクリロニトリル系前駆体繊維を実施例1と同様にして焼成し、炭素繊維を得た。
油浴の付着処理を一段で紡糸したアクリロニトリル系前駆体繊維は、単繊維間の接着数が増加し、さらに、油剤の付着斑も増加した。また、焼成して得られた炭素繊維のストランド強度も低かった。
Figure 0004775928
本発明によれば、製造コストが低く、生産性に優れ、糸切れ、毛羽の発生の低い、高品位、高品質で、特に強度発現性に優れた太物炭素繊維と太物アクリロニトリル系前駆体繊維及びその製造方法を供給することができる。

Claims (1)

  1. アクリロニトリル系重合体の有機溶剤溶液を、ジメチルアセトアミド水溶液中にノズル口径が45〜75μm、孔数30,000ヶ以上の紡糸ノズルから凝固糸引き取り速度/吐出線速度が0.8以下で吐出した膨潤糸条を、洗浄/延伸した後、第一油浴槽に導き第一油剤を付与しガイドで一旦絞りを行った後、引き続き第二油浴槽で第二油剤を付与し、乾燥緻密化二次延伸によってトータル延伸倍率5〜10倍を行うことを特徴とするアクリロニトリル系前駆体繊維の製造方法。
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