JP4775497B2 - インクジェット式プリンタ - Google Patents

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Description

本発明は、印刷媒体に対してインクを吐出することによって画像を印刷するインクジェット式プリンタに関する。
インクジェット式プリンタは、液状のインクを用紙に吹き付けて印刷を行うものであって、装置の小型化が可能であり、しかも高品質の印刷ができるという利点を有している。インクジェット式プリンタとしては、搬送される用紙に対して、用紙の搬送方向と垂直な方向に沿って往復動する印刷ヘッドからインクが吐出されて画像が印刷されるものが知られている。また、印刷ヘッドにはインクを吐出するための複数の吐出ノズルが備えられている。なお、カラー画像を印刷可能なインクジェット式プリンタの印刷ヘッドには、複数種類のカラーインクを吐出するための吐出ノズルが備えられている。
かかるインクジェット式プリンタの印刷ヘッドでは、印刷が行われないで(インクが吐出されないで)長時間放置されると、吐出ノズルの開口近傍のインクが乾燥して目詰まりが生じることがある。従って、印刷が長時間行われない場合には、吐出ノズルの開口がキャップなどによって封止されることが多い。しかし、封止された状態で長時間放置された場合でも、吐出ノズルの開口近傍のインクの粘度が少しずつ上昇することによって、すぐに印刷を開始することができなくなったり、印刷される画像が悪化することがある。
また、カラー画像を印刷可能なインクジェット式プリンタにおいては、長時間連続して印刷が行われる場合でも、インクの色によって、インクが頻繁に吐出される吐出ノズルと、インクがあまり頻繁に吐出されない吐出ノズルとがあり、インクが頻繁に吐出される吐出ノズルの開口近傍には新しいインクが順次供給されるので目詰まりは生じにくいが、インクがあまり頻繁に吐出されない吐出ノズルの開口近傍には新しいインクが供給されにくく、インクが乾燥して目詰まりを生じやすい。
従って、上述のような問題を解消するために、印刷とは無関係にそれぞれの吐出ノズルから多量のインクを強制的に吐出させて、吐出ノズルの開口近傍にある粘度の高くなったインクを排出するフラッシング動作が行われることが多い。ここで、用紙の搬送方向と垂直な方向に沿って往復動する印刷ヘッドを備えたインクジェット式プリンタでは、印刷ヘッドが2つの用紙の搬送経路の外側に配置されたインク受け部に対向する位置に移動した後で、インク受け部に向かってフラッシング動作が実行されるのが一般的である(例えば、特許文献1参照)。なお、フラッシング動作は、例えば印刷が行われないで放置された時間、印刷中においてインクが吐出されない時間などを考慮して、印刷開始前或いは印刷中に随時行われることが好ましく、印刷中におけるフラッシング動作は印刷ヘッドが1往復動する度に行われることもある。
特開2001−277543号公報(図1)
ところで、かかるプリンタでは、並列に配置されて搬送される比較的幅の狭い2つの用紙に対してほぼ同時に印刷が行われることによって、その処理能力の向上が図られることがある。ここで、並列に配置された2つの用紙がそれぞれ独立に搬送可能な構成になっている場合には、必要に応じて、これらの2つの用紙の一方だけが搬送されて、一方の用紙にのみ印刷が行われる。
しかしながら、並列配置された2つの用紙に対して印刷が行われるプリンタにおいて、インク受け部が2つの用紙の搬送経路の外側に配置されている場合には、印刷ヘッドのフラッシング動作を実行するために、印刷ヘッドを2つの用紙の搬送経路の外側に配置されたインク受け部に対向する位置まで必ず移動させなければならない。そのため、印刷ヘッドの移動距離(往復距離)が用紙に印刷を行うために最低限必要な移動距離(往復距離)よりも大きくなる。従って、並列配置された2つの長尺の用紙に対して多数の画像の印刷が連続的に行われる場合には、フラッシング動作を実行するために印刷ヘッドの移動距離が大きくなることによって、インクジェット式プリンタの処理能力が低下してしまう。
また、インク受け部が2つの用紙の搬送経路の一方の外側にだけ配置されており、並列に配置された2つの用紙のうちインク受け部に近接しない方の用紙にのみ印刷が行われる場合には、印刷ヘッドはその1つの用紙に対応する領域(2つの用紙に対応する領域のほぼ半分の領域)において往復動すれば印刷が可能であるにも拘わらず、インク受け部に対向する位置まで移動することになるので、印刷ヘッドの移動距離と用紙に印刷を行うために最低限必要な移動距離との差が顕著になる。その結果、フラッシング動作を実行することによって、インクジェット式プリンタの処理能力が著しく低下することになる。
そこで、本発明の主な目的は、フラッシング動作を実行することによって処理能力が低下するのを抑制することができるインクジェット式プリンタを提供することである。
上記目的を達成するために、請求項1のインクジェット式プリンタは、少なくとも2つの印刷媒体を並列状態にして搬送可能な搬送手段と、前記搬送手段により搬送される印刷媒体に対向しつつ印刷媒体の搬送方向に実質的に垂直な方向に沿って往復動可能であって且つ印刷媒体に対してインクを吐出可能な複数の吐出ノズルを有するインク吐出部と、前記搬送手段により搬送される少なくとも2つの印刷媒体の搬送経路間に対応する領域に配置されており、前記インク吐出部のフラッシング動作により吐出されたインクを受けるための主インク受け部とを備え、前記インク吐出部が往動または復動しつつ、前記複数の吐出ノズルの一部だけが前記主インク受け部に対向しているときに、その一部の吐出ノズルについてのフラッシング動作が順次行われることを特徴とするものである。
請求項1によると、印刷媒体の搬送方向に実質的に垂直な方向に沿って往復動するインク吐出部によって、搬送手段により並列状態で搬送される複数の印刷媒体に対して印刷が行われる場合に、インク吐出部が、複数の印刷媒体の最も外側に配置された印刷媒体の搬送経路よりも外側に移動することなく、複数の印刷媒体のなかの任意の隣り合う2つの印刷媒体の搬送経路間に対応する領域に配置された主インク受け部に対してフラッシング動作を実行することができる。そのため、主インク受け部が複数の印刷媒体の最も外側に配置された印刷媒体の搬送経路よりも外側に配置されている場合と比較して、インク吐出部の移動距離(往復距離)を小さくすることができる。従って、フラッシング動作を実行することによってインクジェット式プリンタの処理能力が低下するのを抑制することができる。
また、主インク受け部が複数の印刷媒体の最も外側に配置された印刷媒体の搬送経路よりも外側に配置されており、並列に配置された複数の印刷媒体のうち主インク受け部に近接しない印刷媒体にのみ印刷が行われる場合に、インク吐出部の移動距離(往復距離)をより効果的に小さくすることができる。従って、フラッシング動作を実行することによって、インクジェット式プリンタの処理能力が著しく低下することがほとんどない。
また、主インク受け部が、複数の印刷媒体のうち最も外側に配置された印刷媒体の搬送経路よりも内側に設けられる場合には、複数の印刷媒体のうち最も外側に配置された印刷媒体の搬送経路よりも外側に設けられる場合と比較して、プリンタの幅を小さくすることができる。
ここで、請求項1には、主インク受け部が複数の印刷媒体のなかの隣り合う2つの印刷媒体の全ての搬送経路間に配置されている場合、主インク受け部が複数の印刷媒体のなかの隣り合う2つの印刷媒体の全ての搬送経路間の少なくとも1つに配置されている場合が含まれている。なお、複数の主インク受け部が配置されている場合には、複数の主インク受け部の全てに対してフラッシング動作が実行されてもよいし、複数の主インク受け部のなかで選択されたものだけに対してフラッシング動作が実行されてよい。
また、請求項2のインクジェット式プリンタは、前記主インク受け部に接続されており、前記主インク受け部に吐出されたインクを吸引可能な吸引部をさらに備えていることを特徴とするものである。
請求項2によると、インク吐出部のフラッシング動作により主インク受け部に吐出されたインクを吸引することによって、主インク受け部に吐出されたインクによって印刷媒体が汚れるのを抑制することができる。
また、請求項3のインクジェット式プリンタは、前記主インク受け部が配置された領域の両側を挟む隣り合う2つの印刷媒体の搬送経路に跨るように印刷媒体が搬送されるときに、前記主インク受け部に接続された前記吸引部では前記主インク受け部に吐出されたインクの吸引が行われないことを特徴とするものである。
請求項3によると、主インク受け部に対応する領域を搬送される印刷媒体が吸引部によって吸引されることによって、印刷媒体に撓みが発生して、印刷媒体に印刷される画像が悪化するのを抑制することができる。
また、請求項4のインクジェット式プリンタは、前記搬送手段により搬送される複数の印刷媒体のうち最も外側に配置された印刷媒体の搬送経路よりも外側に対応する領域に配置されており、前記インク吐出部のフラッシング動作により吐出されたインクを受けるための補助インク受け部をさらに備えていることを特徴とするものである。
請求項4によると、搬送手段により搬送される複数の印刷媒体のうち最も外側に配置された印刷媒体の搬送経路に跨る幅を有する幅広の印刷媒体に印刷が行われる場合には、インク吐出部が、複数の印刷媒体の搬送経路よりも外側に配置された補助インク受け部に対してフラッシング動作を実行することができる。従って、例えば搬送手段により搬送可能な複数の印刷媒体の全ての搬送経路に跨るような幅広の印刷媒体に対しても、画像の印刷を適正に行うことが可能となる。
また、請求項5のインクジェット式プリンタは、長尺の印刷媒体がそれぞれ巻回された複数の巻回部を収納可能な筐体が着脱可能になっており、前記搬送手段は、前記筐体内に収納された前記複数の巻回部から巻き解かれた複数の印刷媒体をそれぞれ独立に搬送可能であることを特徴とするものである。
請求項5によると、複数の巻回部が筐体内に収納されている場合には、隣り合う2つの印刷媒体が適正に巻回部から巻き解かれつつ搬送されるために、これらに対応する2つの巻回部は所定間隔を隔てて配置される。そのため、これら2つの巻回部から巻き解かれた2つの印刷媒体は接触することなく、両者の間に隙間が形成された状態で搬送される。従って、主インク受け部が、隣り合う2つの印刷媒体の搬送経路間に必然的に形成される隙間に設けられることによって、主インク受け部を配置するための領域を別途設けなくてもよくなる。その結果、複数の印刷媒体のなかの隣り合う2つの印刷媒体の搬送経路間に主インク受け部を配置することによるプリンタの構成変更を極力少なくすることができる。
以上説明したように、請求項1によると、印刷媒体の搬送方向に実質的に垂直な方向に沿って往復動するインク吐出部によって、搬送手段により並列状態で搬送される複数の印刷媒体に対して印刷が行われる場合に、インク吐出部が、複数の印刷媒体の最も外側に配置された印刷媒体の搬送経路よりも外側に移動することなく、複数の印刷媒体のなかの任意の隣り合う2つの印刷媒体の搬送経路間に対応する領域に配置された主インク受け部に対してフラッシング動作を実行することができる。そのため、主インク受け部が複数の印刷媒体の最も外側に配置された印刷媒体の搬送経路よりも外側に配置されている場合と比較して、インク吐出部の移動距離(往復距離)を小さくすることができる。従って、フラッシング動作を実行することによってインクジェット式プリンタの処理能力が低下するのを抑制することができる。
また、主インク受け部が複数の印刷媒体の最も外側に配置された印刷媒体の搬送経路よりも外側に配置されており、並列に配置された複数の印刷媒体のうち主インク受け部に近接しない印刷媒体にのみ印刷が行われる場合に、インク吐出部の移動距離(往復距離)をより効果的に小さくすることができる。従って、フラッシング動作を実行することによって、インクジェット式プリンタの処理能力が著しく低下することがほとんどない。
また、主インク受け部が、複数の印刷媒体のうち最も外側に配置された印刷媒体の搬送経路よりも内側に設けられる場合には、複数の印刷媒体のうち最も外側に配置された印刷媒体の搬送経路よりも外側に設けられる場合と比較して、プリンタの幅を小さくすることができる。
請求項2によると、インク吐出部のフラッシング動作により主インク受け部に吐出されたインクを吸引することによって、主インク受け部に吐出されたインクによって印刷媒体が汚れるのを抑制することができる。
請求項3によると、主インク受け部に対応する領域を搬送される印刷媒体が吸引部によって吸引されることによって、印刷媒体に撓みが発生して、印刷媒体に印刷される画像が悪化するのを抑制することができる。
請求項4によると、搬送手段により搬送される複数の印刷媒体のうち最も外側に配置された印刷媒体の搬送経路に跨る幅を有する幅広の印刷媒体に印刷が行われる場合には、インク吐出部が、複数の印刷媒体の搬送経路よりも外側に配置された補助インク受け部に対してフラッシング動作を実行することができる。従って、例えば搬送手段により搬送可能な複数の印刷媒体の全ての搬送経路に跨るような幅広の印刷媒体に対しても、画像の印刷を適正に行うことが可能となる。
請求項5によると、複数の巻回部が筐体内に収納されている場合には、隣り合う2つの印刷媒体が適正に巻回部から巻き解かれつつ搬送されるために、これらに対応する2つの巻回部は所定間隔を隔てて配置される。そのため、これら2つの巻回部から巻き解かれた2つの印刷媒体は接触することなく、両者の間に隙間が形成された状態で搬送される。従って、主インク受け部が、隣り合う2つの印刷媒体の搬送経路間に必然的に形成される隙間に設けられることによって、主インク受け部を配置するための領域を別途設けなくてもよくなる。その結果、複数の印刷媒体のなかの隣り合う2つの印刷媒体の搬送経路間に主インク受け部を配置することによるプリンタの構成変更を極力少なくすることができる。
本発明の実施の形態に係るインクジェット式プリンタの概略構成を示す図である。 図1のインクジェット式プリンタの部分的な上面図である。 図2のIII−IIIにおける断面図である。 図1のインクジェット式プリンタの制御系についてのブロック図である。 2列に配置された用紙の両方に印刷が行われる場合の印刷ヘッドの動作を説明するための図である。 2列に配置された用紙のうち片方の用紙のみに印刷が行われる場合の印刷ヘッドの動作を説明するための図である。 幅広の用紙に印刷が行われる場合の印刷ヘッドの動作を説明するための図である。
以下、本発明の好適な実施の形態について、図面を参照しつつ説明する。図1は、本発明の実施の形態に係るインクジェット式プリンタの概略構成を示す図である。図2は、図1のインクジェット式プリンタの部分的な上面図である。図3は、図2のIII−IIIにおける断面図である。
図1に示すインクジェット式プリンタ1は、略直方体の筐体30内に、ペーパーマガジン(ペーパーカセット)4と、搬送ローラユニット5と、インクジェット印刷ユニット6と、圧着ローラユニット7と、切断ユニット8と、排出ローラユニット9とを有している。なお、後述するように、インクジェット式プリンタ1の各部分の動作は、筐体30内に配置されたコントローラ20(図4参照)によって制御される。
ペーパーマガジン4は、略直方体形状の筐体であって、長尺の用紙2、3がそれぞれロール状に巻回された巻回部2a、3aが収納されており、筐体30内に装填または取り外し可能(着脱可能)になっている。ペーパーマガジン4に収納された用紙2、3の巻回部2a、3aは、図2に示すように、水平方向に所定間隔を隔てて隣接するように配置されている。また、巻回部2a、3aは、それらをそれぞれ回転させることができる駆動ローラ2b、3bおよび巻回部2a、3aと共に回転する従動ローラ2c、3cの上にそれぞれ載置されている。ここで、コントローラ20により駆動ローラ2b、3bが回転駆動されることによって、駆動ローラ2b、3bは巻回部2a、3aを用紙2、3が巻き解かれる方向或いは用紙2、3が巻き取られる方向に回転して、それらに巻回された用紙2、3を送り出す或いは巻き戻すことができる。なお、用紙2、3の先端部が搬送ローラユニット5に供給された後は、用紙2、3は搬送ローラユニット5によって送り出されるようになる。
搬送ローラユニット5は、図2に示すように、コントローラ20により制御されるモータ22a、22bによってそれぞれ駆動される駆動ローラ対5a、5bを有しており、切断ユニット8で切断される前の用紙2、3をそれぞれ搬送するためのものである。すなわち、搬送ローラユニット5は、巻回部2a、3aからそれぞれ巻き解かれた用紙2、3を下流側へと搬送し、インクジェット印刷ユニット6および切断ユニット8を順次通過させる。なお、駆動ローラ対5a、5bは、用紙2、3の搬送方向に垂直な方向に沿って用紙2、3の搬送経路に対応するように隣接して配置されており、用紙2、3が2列に配置されて搬送される場合に、用紙2、3を挟持することによってそれぞれ独立に搬送することができる。
インクジェット印刷ユニット6は、印刷ヘッド11と、キャリッジ12と、吸着プレート13と、吸着ファン14と、吸引装置15、16とを有している。印刷ヘッド11は、イエロー(黄色)、マゼンタ(赤紫)、シアン(青緑)、黒色などのカラーインクをそれぞれ吐出することができる多数の吐出ノズル11aを備えている。従って、印刷ヘッド11は、コントローラ20からの信号に基づいて、搬送されてきた用紙2、3の表面(図1では上面)に向かって、多数の吐出ノズルからカラーインクをそれぞれ吐出することによって所望のカラー画像を印刷することができる。また、印刷ヘッド11は、黒色のインクを吐出することができる多数の吐出ノズル11aを有するものであって、白黒の画像を印刷することができるものであってもよい。
なお、インクジェット印刷ユニット6は、ノズルから液状のインクをドットごとに吹き出して用紙2、3に印刷を施すものであって、ピエゾジェット方式、サーマルジェット方式或いはその他の方式のいずれを採用したものであってもよい。
キャリッジ12は、印刷ヘッド11を保持するためのものであり、用紙2、3の搬送方向に垂直な方向に印刷ヘッド11と共に往復動可能である。従って、印刷ヘッド11は、用紙2、3の搬送方向に垂直な方向に沿って往復動しつつ、用紙2、3の表面に向かってインクを吐出することになる。なお、図2では、キャリッジ12の図示が省略されており、印刷ヘッド11が印刷が行われない場合の待機位置(ホームポジション)にある場合が図示されている。
ここで、キャリッジ12の動作についてはコントローラ20により制御されるが、搬送ローラユニット5によって用紙2、3が所定距離だけ搬送されると、用紙2、3の搬送が一旦中断されて、キャリッジ12が用紙2、3の搬送方向に垂直な方向へ往動または復動する。そして、キャリッジ12の往動または復動が終了すると、再度搬送ローラユニット5によって用紙2、3が所定距離だけ搬送される。つまり、搬送ローラユニット5による用紙2、3の所定距離の搬送と、キャリッジ12の用紙2、3の搬送方向に垂直な方向への往動または復動とが交互に繰り返されることになる。従って、画像の印刷が行われている場合には、キャリッジ12が往復動する領域の両端部位置にあるときにだけ用紙2、3が搬送される。
吸着プレート13は、用紙2、3の搬送面と同じ高さの用紙支持面を有しており、印刷ヘッド11と対向配置される用紙2、3を支持するためのものである。従って、印刷ヘッド11は、吸着プレート13の表面に対向しつつ吸着プレート13の幅方向に沿って往復動しながら吸着プレート13上の用紙2、3に対して印刷を行う。
ここで、吸着プレート13には、その幅方向中心位置近傍であって、用紙2、3の搬送経路間に対応する領域に矩形の開口13bが形成されており、開口13bの幅方向外側に多数の円形の吸着孔13aがほぼ均等に形成されている。
吸着ファン14は、用紙2、3の搬送経路を挟んで印刷ヘッド11と対向すると共に、吸着プレート13の吸着孔13aが形成された領域に対応する位置に配置されており、吸着プレート13上の用紙2、3を吸着孔13aを介して吸着させるためのものである。従って、印刷ヘッド11に対向する用紙2、3は、その裏面(図1では下面)側に配置された吸着ファン14に吸引されることにより吸着プレート13に密着して搬送され、印刷ヘッド11との間隔が一定になるようになっている。これにより、用紙2、3がカールしている場合に、用紙2、3の一部分が吸着プレート13から大きく離れることによって、印刷ヘッド11との間隔が変化することによる印刷の不具合の発生を抑制することができる。
また、吸着プレート13の開口13b内にはインク受け部17が配置されており、吸着プレート13に隣接する位置(用紙2、3の搬送経路よりも外側の位置)にはインク受け部18が配置されている。インク受け部17、18は、いずれも印刷ヘッド11のフラッシング動作により吐出ノズル11aから吐出されるインクを受けるためのものである。
ここで、インク受け部17の下方には、図3に示すような吸引装置15が配置されている。吸引装置15は、筒状部15aと、ファン15bとを有している。筒状部15aは、その一端部がインク受け部17の下端部に接続されており、その端部から下方に延びた後で、上方斜め方向に向かって折れ曲がった形状をしており、その折れ曲がり部の上端部にファン15bが配置されている。また、筒状部15a内には、複数の隔壁15cが配置されている。
従って、吸引装置15のファン15bがコントローラ20により駆動されると、筒状部15a内には、インク受け部17が接続された端部からファン15bが配置された端部に向かって空気の流れが発生する。従って、印刷ヘッド11のフラッシング動作によりインク受け部17に対して吐出されたインクは、筒状部15b内の空気の流れによって筒状部15a内に吸引される。なお、筒状部15a内に吸引されたインクは、筒状部15aの下端部近傍に設けられた排出管15dから廃インク受け(図示しない)に排出されるようになっている。
なお、インク受け部18の下方にも、上述した吸引装置15を同様の吸引装置16が配置されており、吸引装置16のファンがコントローラ20により駆動されると、印刷ヘッド11のフラッシング動作によりインク受け部18に対して吐出されたインクが吸引されるようになっている。なお、吸引装置15、16の構成は、印刷ヘッド11のフラッシング動作によりインク受け部17、18に吐出されたインクを吸引することができる範囲で任意に変更することが可能である。
圧着ローラユニット7は、インクジェット印刷ユニット6と切断ユニット8との間を搬送される用紙2、3を挟持するためのものである。なお、インクジェット印刷ユニット6と切断ユニット8との間に圧着ローラユニット7が配置されることによって、インクジェット印刷ユニット6による画像の印刷および切断ユニット8による用紙2、3の切断を適正に行うことが可能となる。
切断ユニット8は、用紙2、3に対して印刷ヘッド11と同じ側に配置された移動刃8aと、用紙2、3を挟んで移動刃8aと対向するように配置された固定刃8bとを有している。移動刃8aおよび固定刃8bは、ともに2列配置される用紙2、3のそれぞれの幅方向外側の端部間の間隔よりも若干大きな幅を有する矩形刃である。移動刃8aは、コントローラ20により制御されて、固定刃8bに向かって近接または離隔することができるようになっており、搬送経路を上流側から搬送されてきた印刷済みの用紙2、3を、固定刃8bとの相互作用によって幅方向に沿って切断することができる。このように切断されることにより所定の長さに印刷済みの用紙2、3が分割される。
排出ローラユニット9は、コントローラ20によって制御される駆動される駆動ローラ対9a、9bを有しており、切断ユニット8で切断された後の印刷済みの用紙2、3をそれぞれ搬送し、排出口30aより排出させる。なお、排出ローラユニット9の駆動ローラ対9a、9bは、搬送ローラユニット5の駆動ローラ対5a、5bと同様に、用紙2、3の搬送方向に垂直な方向に沿って用紙2、3の搬送経路に対応するように隣接して配置されている。
ここで、インクジェット式プリンタ1の制御系について、図4を参照して説明する。図4は、図1のインクジェット式プリンタの制御系についてのブロック図である。
コントローラ20には、図4に示すように、ペーパーマガジン4の駆動ローラ2a、3aに接続されたモータ21と、搬送ローラユニット5の駆動ローラ対5a、5bにそれぞれ接続されたモータ22a、22bと、インクジェット印刷ユニット6の印刷ヘッド11に接続されたドライバ23、キャリッジ12を往復動させるための駆動機構24、吸着ファン14に接続されたモータ25およびファン15b、16bにそれぞれ接続されたモータ26、27と、切断ユニット8の移動刃8aに接続されたモータ28と、排出ローラユニット9の駆動ローラ対9a、9bにそれぞれ接続されたモータ29a、29bとがそれぞれ接続されている。
従って、コントローラ20は、図示しない入力インターフェイスから供給された画像信号に所定の処理を施して、印刷される画像に対応する画像データを含む印刷信号をインクジェット印刷ユニット6の印刷ヘッド11に供給する。また、コントローラ20は、ペーパーマガジン4、搬送ローラユニット5および排出ローラユニット9による用紙2、3の搬送タイミング、キャリッジ12の移動タイミング、印刷ヘッド11からのインクの吐出タイミングおよび切断ユニット8による用紙2、3の切断タイミングなどを制御する。さらに、コントローラ20は、吸着プレート13の吸着孔13aを介して用紙2、3を吸着するために吸着ファン14を制御し、インク受け部17、18にそれぞれ接続された吸引装置15、16をそれぞれ独立して制御する。
次に、上述のように構成された本実施の形態に係るインクジェット式プリンタ1において印刷が行われる際の印刷ヘッドの動作について、図5〜図7を参照して説明する。図5は、並列に配置された2つの用紙の両方に対して印刷が行われる場合の印刷ヘッドの動作を説明するための図である。図6は、並列に配置された2つの用紙のうち片方の用紙のみに対して印刷が行われる場合の印刷ヘッドの動作を説明するための図である。図7は、幅広の用紙に対して印刷が行われる場合の印刷ヘッドの動作を説明するための図である。
ここで、図5〜図7には、印刷ヘッド11の位置として「位置A」〜「位置J」が示されており、それぞれの位置に対応するように印刷ヘッド11が太線の実線または破線で図示されている。また、図5〜図7においては、「位置A」〜「位置J」は、印刷ヘッド11がインク受け部17、18、用紙2、3、2’の端部近傍のいずれかに対向する位置を示すものとして説明を分かり易くするために描かれているものであって、実際の印刷ヘッド11の位置は、図示されている「位置A」〜「位置C」からその移動方向に沿ってずれている場合もある。なお、図5〜図7では、印刷ヘッド11に備えられている吐出ノズル11aおよびキャリッジ12の図示が省略されている。
最初に、並列に配置された2つの用紙2、3の両方に対して印刷が行われる場合について、図5を参照して説明する。
巻回部2a、3aから巻き解かれた用紙2、3が、搬送ローラユニット5により搬送されて、インクジェット印刷ユニット6の印刷ヘッド11に対向する位置に配置された状態において、印刷ヘッド11による画像の印刷が行われる。つまり、用紙2、3の所定距離の搬送と印刷ヘッド11の用紙2、3の搬送方向に垂直な方向への往動または復動とが交互に繰り返されつつ、用紙2、3に対してインクが吐出されて、用紙2、3に対する印刷がほぼ同時に行われる。
まず、用紙2、3に対する印刷が開始される場合には、用紙2、3の搬送が停止された状態において、印刷ヘッド11が、ホームポジション(以下、図5〜図7では、ホームポジションは二点鎖線で描かれている)からインク受け部18に対向する位置Aまで移動してフラッシング動作を実行する。そして、フラッシング動作が終了すると、印刷ヘッド11がさらに移動して、インク受け部18に対向しなくなり、用紙3のホームポジション側の端部近傍に対向する位置Bまで移動する。
引き続き、印刷ヘッド11は、吐出ノズル11aからインクを吐出して用紙3に対する印刷を行いながら、用紙2、3の搬送方向に垂直な方向に沿って往動を開始する(ここでは、印刷ヘッド11がホームポジションから離れる方向に移動することを「往動」という)。そして、印刷ヘッド11が、用紙3のホームポジションと反対側の端部近傍に対向するようになった時点で印刷ヘッド11による印刷が一旦中断される。
そして、印刷ヘッド11が、インク受け部17に対向する(用紙2、3の搬送経路間に対向する)位置Cまで移動すると、印刷ヘッド11は往動しつつフラッシング動作を実行する。なお、図5では、位置Cが、全ての吐出ノズル11aがインク受け部17に対向するときの印刷ヘッド11の位置を示すように図示されている。なお、印刷ヘッド11が上述の位置Cに移動したときに、多数の吐出ノズル11aの全てについてのフラッシング動作が同時に実行される場合だけでなく、印刷ヘッド11が位置C近傍に移動したとき、つまり、印刷ヘッド11の吐出ノズル11aの一部だけがインク受け部17に対向しているときに、その一部の吐出ノズル11aについてのフラッシング動作が順次実行されてもよい。
その後、印刷ヘッド11が、インク受け部17に対向しなくなり、用紙2のホームポジション側の端部近傍に対向するようになると、印刷ヘッド11は、吐出ノズル11aからインクを吐出して用紙2に対する印刷を行いながら往動し続ける。
そして、印刷ヘッド11が、用紙2のホームポジションと反対側の端部近傍に対向する位置Dまで移動すると、印刷ヘッド11による印刷および印刷ヘッド11の移動が一旦中断される。このとき、印刷ヘッド11による印刷が行われない状態で、用紙2、3が所定距離だけ搬送される。
用紙2、3の所定距離の搬送が終了すると、印刷ヘッド11は位置Dから往動方向とは反対の方向に復動を開始する(ここでは、印刷ヘッド11がホームポジションに近づく方向に移動することを「復動」という)。このとき、印刷ヘッド11は、吐出ノズル11aからインクを吐出して用紙2に対する印刷を行いながら復動し続ける。そして、印刷ヘッド11が、用紙2のホームポジション側の端部近傍に対向するようになった時点で印刷ヘッド11による印刷が一旦中断され
る。
その後、印刷ヘッド11が、再度、インク受け部17に対向する位置Cまで移動すると、印刷ヘッド11は復動しつつフラッシング動作を実行する。そして、印刷ヘッド11が、インク受け部17に対向しなくなり、用紙3のホームポジションと反対側の端部近傍に対向するようになると、印刷ヘッド11は、吐出ノズル11aからインクを吐出して用紙3に対する印刷を行いながら復動し続ける。
また、印刷ヘッド11が、再度、用紙3のホームポジション側の端部近傍に対向する位置Bまで移動すると、印刷ヘッド11による印刷および印刷ヘッド11の移動が一旦中断される。このとき、印刷ヘッド11による印刷が行われない状態で、用紙2、3が所定距離だけ搬送される。
この後、用紙2、3の所定距離の搬送が終了すると、上述と同様にして、印刷ヘッド11が位置Bと位置Dとの間で往復動しつつ、用紙2、3に対する印刷が行われる。ここで、印刷ヘッド11が位置Cに移動する度にフラッシング動作が実行される。
なお、この場合には、印刷ヘッド11のフラッシング動作は、インク受け部18に対して実行されることなく、インク受け部17に対してのみ実行される。従って、インク受け部17に接続された吸引装置15だけが駆動されることによって、インク受け部17に対して吐出されたインクが吸引されるようになっている。
次に、並列に配置された2つの用紙2、3のうち用紙2のみに対して印刷が行われる場合について、図6を参照して説明する。
巻回部2aから巻き解かれた用紙2が、搬送ローラユニット5により搬送されて、インクジェット印刷ユニット6の印刷ヘッド11に対向する位置に配置された状態において、印刷ヘッド11による画像の印刷が行われる。つまり、用紙2の所定距離の搬送と印刷ヘッド11の用紙2の搬送方向に垂直な方向への往動または復動とが交互に繰り返されつつ、用紙2に対してインクが吐出されて、用紙2に対する印刷が行われる。なお、このとき、用紙3は搬送ローラユニット5の駆動ローラ対5bによって搬送されずに挟持されている。
まず、用紙2に対する印刷が開始される場合には、用紙2の搬送が停止された状態において、印刷ヘッド11が、ホームポジションから、インク受け部17に対向する位置Eまで移動してフラッシング動作を実行する。そして、フラッシング動作が終了すると、印刷ヘッド11が往動を開始して、インク受け部17に対向しなくなり、用紙2のホームポジション側の端部近傍に対向する位置Fまで移動すると、印刷ヘッド11は、吐出ノズル11aからインクを吐出して用紙2に対する印刷を行いながら往動し続ける。
その後、印刷ヘッド11が、用紙2のホームポジションと反対側の端部近傍に対向する位置Gまで移動すると、印刷ヘッド11による印刷および印刷ヘッド11の移動が一旦中断される。このとき、印刷ヘッド11による印刷が行われない状態で、用紙2が所定距離だけ搬送される。
そして、用紙2の所定距離の搬送が終了すると、印刷ヘッド11は位置Gから往動方向とは反対の方向に復動を開始する。このとき、印刷ヘッド11は、吐出ノズル11aからインクを吐出して用紙2に対する印刷を行いながら復動し続ける。その後、印刷ヘッド11が、用紙2のホームポジション側の端部近傍に対向する位置Fまで移動した時点で印刷ヘッド11による印刷が一旦中断される。
また、印刷ヘッド11が、再度、インク受け部17に対向する位置Eまで移動すると、印刷ヘッド11の移動が停止されて、フラッシング動作が実行されると共に、用紙2が所定距離だけ搬送される。
この後、印刷ヘッド11のフラッシング動作および用紙2の所定距離の搬送が終了すると、上述と同様にして、印刷ヘッド11が位置Eと位置Gとの間で往復動しつつ、用紙2に対する印刷が行われる。ここで、印刷ヘッド11が位置Eに移動する度にフラッシング動作が実行される。
なお、この場合には、印刷ヘッド11のフラッシング動作は、インク受け部18に対して実行されることなく、インク受け部17に対してのみ実行される。従って、インク受け部17に接続された吸引装置15だけが駆動されることによって、インク受け部17に対して吐出されたインクが吸引されるようになっている。
次に、幅広の用紙2’に対して印刷が行われる場合について、図7を参照して説明する。ここで、幅広の用紙2’は、上述の2列に配置された用紙2、3の搬送経路のそれぞれの外側端部間の間隔とほぼ同じ幅を有している。
巻回部から巻き解かれた用紙2’が、搬送ローラユニット5により搬送されて、インクジェット印刷ユニット6の印刷ヘッド11に対向する位置に配置された状態において、印刷ヘッド11による画像の印刷が行われる。つまり、用紙2’の所定距離の搬送と印刷ヘッド11の用紙2’の搬送方向に垂直な方向への往動または復動とが交互に繰り返されつつ、用紙2’に対してインクが吐出されて、用紙2’に対する印刷が行われる。なお、このとき、幅広の用紙2’専用のペーパーマガジンが用いられるのが一般的である。
まず、用紙2’に対する印刷が開始される場合には、用紙2’の搬送が停止された状態において、印刷ヘッド11が、ホームポジションから、インク受け部18に対向する位置Hまで移動してフラッシング動作を実行する。そして、フラッシング動作が終了すると、印刷ヘッド11が往動を開始して、インク受け部18に対向しなくなり、用紙2’のホームポジション側の端部近傍に対向する位置Iまで移動すると、印刷ヘッド11は、吐出ノズル11aからインクを吐出して用紙2’に対する印刷を行いながら往動し続ける。
その後、印刷ヘッド11が、用紙2’のホームポジションと反対側の端部近傍に対向する位置Jまで移動すると、印刷ヘッド11による印刷および印刷ヘッド11の移動が一旦中断される。このとき、印刷ヘッド11による印刷が行われない状態で、用紙2’が所定距離だけ搬送される。
そして、用紙2’の所定距離の搬送が終了すると、印刷ヘッド11は位置Jから往動方向とは反対の方向に復動を開始する。このとき、印刷ヘッド11は、吐出ノズル11aからインクを吐出して用紙2’に対する印刷を行いながら復動し続ける。その後、印刷ヘッド11が、再度、用紙2’のホームポジション側の端部近傍に対向する位置Iまで移動した時点で印刷ヘッド11による印刷が一旦中断される。
また、印刷ヘッド11が、再度、インク受け部18に対向する位置Hまで移動すると、印刷ヘッド11の移動が停止されて、フラッシング動作が実行されると共に、用紙2’が所定距離だけ搬送される。
この後、印刷ヘッド11のフラッシング動作および用紙2’の所定距離の搬送が終了すると、上述と同様にして、印刷ヘッド11が位置Hと位置Jとの間で往復動しつつ、用紙2に対する印刷が行われる。ここで、印刷ヘッド11が位置Hに移動する度にフラッシング動作が実行される。
なお、この場合には、印刷ヘッド11のフラッシング動作は、インク受け部17に対して実行されることなく、インク受け部18に対してのみ実行される。従って、インク受け部18に接続された吸引装置16だけが駆動されることによって、インク受け部18に対して吐出されたインクが吸引されるようになっている。また、インク受け部17の上方を用紙2’が搬送されることになるため、インク受け部17に接続された吸引装置15が駆動されないようになっている。
以上のように、本実施の形態のインクジェット式プリンタ1によると、用紙2、3の搬送方向に垂直な方向に沿って往復動する印刷ヘッド11によって、並列状態で搬送される用紙2、3に対して印刷が行われる場合に、印刷ヘッド11が、用紙2、3の搬送経路よりも外側に移動することなく、用紙2、3の搬送経路間に対応する領域に配置されたインク受け部17に対してフラッシング動作を実行することができる。そのため、インク受け部17が用紙2、3の搬送経路間に対応する領域に配置されていないで、インク受け部18だけが用紙2、3の搬送経路よりも外側に配置されている場合と比較して、印刷ヘッド11の移動距離(往復距離)を小さくすることができる。従って、フラッシング動作を実行することによってインクジェット式プリンタ1の処理能力が低下するのを抑制することができる。
また、インク受け部17が用紙2、3の搬送経路間に対応する領域に配置されていないで、インク受け部18だけが用紙2、3の搬送経路よりも外側に配置されており、並列に配置された用紙2、3のうちインク受け部18に近接しない用紙2にのみ印刷が行われる場合に、印刷ヘッド11の移動距離(往復距離)をより効果的に小さくすることができる。従って、フラッシング動作を実行することによって、インクジェット式プリンタ1の処理能力が著しく低下することがほとんどない。
また、インク受け部17には吸引装置15が接続されており、印刷ヘッド11のフラッシング動作によりインク受け部17に吐出されたインクを吸引することによって、インク受け部17に吐出されたインクによって用紙2、3が汚れるのを抑制することができる。
また、幅広の用紙2’に対する印刷が行われる場合に、インク受け部17の上方を用紙2’が搬送されるので、インク受け部17に接続された吸引装置15が駆動されないようになっている。従って、インク受け部17の上方に対応する用紙2’の部分が吸引装置15によって吸引されることによって、用紙2’に撓みが発生して、用紙2’に印刷される画像が悪化するのを抑制することができる。
また、用紙2、3の搬送経路よりも外側に配置されたインク受け部18が備えられているため、幅広の用紙2’に対する印刷が行われる場合においても、印刷ヘッド11がインク受け部18に対してフラッシング動作を実行することができる。従って、幅広の用紙2’に対しても、画像の印刷を適正に行うことが可能となる。
また、搬送ローラユニット5が、ペーパーマガジン4内に収納された巻回部2a、3aから用紙2、3を巻き解きつつ搬送する場合には、用紙2、3が適正に搬送されるために、巻回部2a、3aは所定間隔を隔てて配置されている。そのため、これら2つの巻回部2a、3aから巻き解かれた用紙2、3は接触することなく、両者の間に隙間が形成された状態で搬送される。従って、インク受け部17が、用紙2、3の搬送経路間に必然的に形成される隙間に設けられることによって、インク受け部17を配置するための領域を別途設けなくてもよくなる。その結果、用紙2、3の搬送経路間にインク受け部17を配置することによるプリンタ1の構成変更を極力少なくすることができる。従って、主インク受け部が、隣り合う2つの印刷媒体の搬送経路間に必然的に形成される隙間に設けられることによって、主インク受け部を配置するための領域を別途設けなくてもよくなる。その結果、複数の印刷媒体のなかの隣り合う2つの印刷媒体の搬送経路間に主インク受け部を配置することによるプリンタの構成変更を極力少なくすることができる。
以上、本発明の好適な実施の形態について説明したが、本発明は上述の実施の形態に限られるものではなく、特許請求の範囲に記載した限りにおいて、様々な設計変更を行うことが可能なものである。例えば、上述の実施の形態では、搬送ローラユニット5が2つの用紙2、3を並列状態にして搬送可能であって、インク受け部17が用紙2、3の搬送経路間に配置されている場合について説明しているが、これに限らず、搬送ローラユニットが3以上の用紙を並列状態にして搬送可能であって、インク受け部が、3以上の用紙のなかの隣り合う2つの用紙の全ての搬送経路間に配置されていてもよいし、3以上の用紙のなかの隣り合う2つの用紙の全ての搬送経路間の少なくとも1つに配置されていてもよい。なお、3以上の用紙のなかの隣り合う2つの用紙の全ての搬送経路間の2以上にインク受け部が配置されている場合には、2以上のインク受け部の全てに対してフラッシング動作が実行されてもよいし、2以上のインク受け部のなかで、例えばフラッシング動作の頻度、3以上の用紙の配置などを考慮して選択されたものだけに対してフラッシング動作が実行されてよい。
また、上述の実施の形態では、インク受け部17には吸引装置15が接続されており、印刷ヘッド11のフラッシング動作によりインク受け部17に吐出されたインクが吸引される場合について説明しているが、これに限らず、必ずしも印刷ヘッド11のフラッシング動作によりインク受け部17に吐出されたインクが吸引されなくてもよい。従って、この場合には、吸引装置15を配置する必要がなくなる。なお、印刷ヘッド11のフラッシング動作によりインク受け部17に吐出されたインクが吸引されない場合には、インク受け部17の内部に、例えばインク吸収材などを配置しておくのが好ましい。
また、上述の実施の形態では、幅広の用紙2’に対する印刷が行われる場合に、インク受け部17の上方を用紙2’が搬送されるとき、インク受け部17に接続された吸引装置15が駆動されないようになっている場合について説明しているが、これに限らず、上述のような場合でも、吸引装置15が駆動されていてもよい。但し、この場合には、用紙2’に撓みが発生しないように、例えばインク受け部17の大きさを出来る限り小さくしたり、吸引装置15による吸引力が小さくなるように制御されることが好ましい。
また、上述の実施の形態では、用紙2、3の搬送経路間に配置されたインク受け部17の他に、用紙2、3の搬送経路よりも外側に配置されたインク受け部18が設けられている場合について説明しているが、必ずしも用紙2、3の搬送経路よりも外側にインク受け部が設けられている必要はない。この場合には、用紙2、3の搬送経路よりも外側にインク受け部18が設けられている場合と比較して、プリンタの幅を小さくすることができる。但し、この場合には、用紙2、3の搬送経路に跨るような幅を有する比較的幅広の用紙に対する印刷を行う場合には、印刷ヘッド11のフラッシング動作を実行することができなくなる。
また、上述の実施の形態では、搬送ローラユニット5が、用紙2、3をそれぞれ独立に搬送可能である場合について説明しているが、これに限らず、搬送ローラユニットが、例えば用紙2、3の搬送経路に跨る幅を有する駆動ローラ対を備えており、用紙2、3を共に搬送する(それぞれ独立に搬送することができない)ものであってもよい。
また、上述の実施の形態では、ペーパーマガジン4内に収納された巻回部2a、3aから巻き解かれつつ搬送される用紙2、3に対して印刷が行われる場合について説明しているが、これに限らず、本発明は、複数の単票紙(所定長さを有する用紙)が並列状態に配置されて搬送されつつ単票紙に対して印刷が行われる場合にも、本実施の形態と同様の効果を得ることができる。
1 インクジェット式プリンタ
2、2’、3 用紙(印刷媒体)
5 搬送ローラユニット(搬送手段)
11 印刷ヘッド(インク吐出部)
15 吸引装置(吸引部)
17 インク受け部(主インク受け部)
18 インク受け部(補助インク受け部)

Claims (5)

  1. 少なくとも2つの印刷媒体を並列状態にして搬送可能な搬送手段と、
    前記搬送手段により搬送される印刷媒体に対向しつつ印刷媒体の搬送方向に実質的に垂直な方向に沿って往復動可能であって且つ印刷媒体に対してインクを吐出可能な複数の吐出ノズルを有するインク吐出部と、
    前記搬送手段により搬送される少なくとも2つの印刷媒体の搬送経路間に対応する領域に配置されており、前記インク吐出部のフラッシング動作により吐出されたインクを受けるための主インク受け部とを備え、
    前記インク吐出部が往動または復動しつつ、前記複数の吐出ノズルの一部だけが前記主インク受け部に対向しているときに、その一部の吐出ノズルについてのフラッシング動作が順次行われることを特徴とするインクジェット式プリンタ。
  2. 前記主インク受け部に接続されており、前記主インク受け部に吐出されたインクを吸引可能な吸引部をさらに備えていることを特徴とする請求項1に記載のインクジェット式プリンタ。
  3. 前記主インク受け部が配置された領域の両側を挟む隣り合う2つの印刷媒体の搬送経路に跨るように印刷媒体が搬送されるときに、前記主インク受け部に接続された前記吸引部では前記主インク受け部に吐出されたインクの吸引が行われないことを特徴とする請求項2に記載のインクジェット式プリンタ。
  4. 前記搬送手段により搬送される複数の印刷媒体のうち最も外側に配置された印刷媒体の搬送経路よりも外側に対応する領域に配置されており、前記インク吐出部のフラッシング動作により吐出されたインクを受けるための補助インク受け部をさらに備えていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のインクジェット式プリンタ。
  5. 長尺の印刷媒体がそれぞれ巻回された複数の巻回部を収納可能な筐体が着脱可能になっており、
    前記搬送手段は、前記筐体内に収納された前記複数の巻回部から巻き解かれた複数の印刷媒体をそれぞれ独立に搬送可能であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のインクジェット式プリンタ。
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