図1は、この発明の実施形態に係る用紙搬送装置1及びこれを用いた画像形成装置100の要部を示す説明図である。
図1において、符合110は画像形成装置100の支持フレーム、外装カバー等で構成される装置本体、符合120は未定着像であるトナー像を形成して用紙9に転写する作像装置、符合130は作像装置120で転写されたトナー像を用紙9に定着する定着装置である。また、符合PR1は用紙9を図示しない給紙装置から作像装置120に搬送して供給する給紙路、符合PR2は定着装置130から送り出される用紙9を装置本体110の排出口112まで搬送する排紙路、符合PR3は両面画像形成時等において定着装置130から送り出された用紙9をその表裏面を反転させた状態で再び作像装置120(実際には給紙路PR1の合流地点)にむけて搬送する反転再送路、113は排出口112から排出される用紙9を積み重ねた状態で収容する排紙収容部である。矢付き一点鎖線は、用紙9の搬送経路の一部を示す。
作像装置120は、公知の電子写真方式、静電記録方式等のいずれかの記録方式を採用したものである。具体的には、帯電装置で帯電した感光体等の像保持体に装置外部から入力される入力画像情報に基づく静電潜像を潜像形成装置により形成した後にその静電潜像を現像装置から供給する現像剤で現像することでトナー像を形成し、続いて、そのトナー像を、給紙路PR1を通して供給される所要の用紙9の片面に対して転写装置により直接転写するか又は中間転写体を中継して転写するものである。作像装置120は、1種のトナーで構成される単色トナー像を形成する単色用の作像装置、複数種(色)のトナーで構成される多色トナー像を形成する多色用の作像装置のいずれのものであってもよい。
給紙路PR1は、図示しない給紙装置から作像装置120に至るまでの過程において用紙9の搬送通路を形成する複数の案内部材141と、その搬送通路の所定箇所に所定の数だけ設置される一対の搬送ロール142で構成されている。搬送ロール142のうち作像装置120の直前の位置に設置される搬送ロール142aは、搬送される用紙9の先端部を一旦停止させた後に作像装置120に所定のタイミングで送り込むように作動する。
定着装置130は、加熱源132で所定の温度に加熱されて回転駆動する加熱回転体131と、この加熱ロール131に所定の圧力で接触して追従回転する加圧回転体133とを備えたものである。加熱回転体131は、図示しない回転駆動装置により所定の速度で回転駆動する。図1において符合135は加熱回転体131及び加圧回転体133の周囲を覆う断熱性の筐体、符合136は定着対象の用紙9を導入時に案内することができる導入側案内板、137は定着後の用紙9を排出時に案内することができる排出側案内板を示す。
この定着装置130では、作像装置120でトナー像が転写されて送り出される用紙9が導入側案内板136に案内されて加熱回転体131及び加圧回転体133の接触部(定着ニップ部)に導入され、その接触部を通過する際に加熱及び加圧されることにより、そのトナー像のトナーが溶融して用紙9に定着される。定着処理後の用紙9は、排出側案内板137に案内されてその筐体135の外部に送り出される。
排出路PR2は、定着装置130の用紙排出側の位置からその定着装置130の斜め上方側の位置(この例では加熱回転体131側にずれた上方位置)に配置される排出口121に至るまでの過程において用紙9の搬送通路を形成する複数の案内部材141と、その搬送通路を搬送される用紙9を最終的に排出口112から送り出す排出ロール対142(142a,142b)とで構成されている。排出ロール対142の一方142aは、図示しない回転駆動装置により正逆方向に切り替えて回転駆動して、その用紙送り方向を切り替えられるようになっている。図中の符合145は、排出されるときの用紙9に接触してそれを除電するための除電部材である。
この例では、案内部材141として、定着装置130の上方位置において排出ロール142にむけて次第に上昇する傾斜案内面を有する上部案内部材141aが設置されているが、この上部案内部材141aは後述する反転搬送路PR3の案内部材(152)としても機能する。また、後述する反転搬送路PR3の切替え誘導部材(151)は、この案内部材143の一部として機能する。さらに、排出路PR2の起点側となる定着装置130の用紙排出側の位置に、用紙9の反り状態(いわゆるカール)を矯正する反り矯正ロール147が設置されている。反り矯正ロール147は、互いに接触した状態で回転する一対のロール147a,147bで構成されており、その一方のロール147aが駆動ロールとなり、その他方のロール147bが駆動ロール147aに接触した際に弾性外周部が駆動ロール147aのロール周面に巻き付く状態で大きく弾性変形する弾性ロールとなっている。
反転再送路PR3は、排出路PR2の排出ロール142,143の手前位置で分岐し、その分岐地点から定着装置130の上方位置を通過して給紙路PR1との合流地点に至るまでの過程において用紙9の搬送通路を形成する複数の案内部材152と、その搬送通路の所定箇所に所定の数だけ設置される搬送ロール対153〜155で構成されている。また、反転再送路PR3の排出路PR2との分岐地点には、排出ロール対142により排出される途上にある用紙9の送り方向後端部を、排出ロール対142の逆回転により反転再送路PR3の用紙通路側に送り込むように切り替えて搬送するための切替え誘導部材151が設置されている。
切替え誘導部材151は、反り矯正ロール147の用紙排出側の位置(図1中の上方位置)において支持軸151aを支点として揺動し得るように支持された先細り形態の部材であり、平常時には(用紙の非搬送時)その先細りの先端部が排出路PR2を塞ぐ一方で反転再送路PR3を開いた状態(図1示す状態)におかれ、また、用紙9の排出搬送時にはその用紙9の搬送方向先端部により下部が押されて揺動し上方側に持ち上げられた状態になる(これにより、排出路PR2を開いた状態にする)。
また、反転再送路PR3の一部については、以下に示す用紙搬送装置1により構成されている。
用紙搬送装置1は、図1〜4に示すように、反転再送路PR3を構成する前記した案内部材152(12,13)と、反転再送路PR3を通過させる前記した複数の搬送ロール対153〜155(15〜17)とを備え、その案内部材152のうち装置外側に配置される案内部材152(12)の一部(22A)を取り外すことができ、その取り外しにより反転再送路PR3の一部を搬送ロール対154が残る状態で開放することができる構造になっている。
図中において符合21は装置の支持フレーム、22は板状の外装カバー、23は取っ手、24は用紙が反転再送路PR3内を通過したか否かを検知する用紙検知センサ、25は装置本体の取付け孔に差し込む取付け爪、26は装置本体のネジ孔に取り付ける固定ネジを差し込むネジ差込孔である。用紙検知センサ24は、非通紙時に用紙搬送通路内に存在して用紙9が接触することにより揺動する検知部材(アクチュエータ)を備え、その検知部材が通過する用紙9により用紙搬送方向Aの下流側の方向に揺動して倒された状態となった後、通過終了後に揺動して元の状態に復帰することで用紙の通過完了が検知される。
用紙搬送装置1における案内部材152は、装置の外側(図1〜図3においては左側)に配置する外側案内部材12と、その内側に配置する内側案内部材13とで構成されている。外側案内部材12は、用紙の搬送方向Aにそって並行して延びる複数の突起(リブ)で構成されており、支持フレーム21と外装カバー22に配分されて取り付けられ又は形成されている。また、内側案内部材13は、用紙9の搬送路を形成する面部(本体)13aとその面部13aにおいて用紙の搬送方向Aにそって並行して延びる複数本の突起13bで構成されており、支持フレーム21に取り付けられている。この外側案内部材12と内側案内部材13は、所定の間隔をあけて対向した状態で配置していることにより、例えば中間部付近で装置の内側に湾曲するような経路の用紙搬送通路(反転再送路PR3の一部)を形成している。
搬送ロール対153〜155は、第1搬送ロール対153、第2搬送ロール対154及び第3搬送ロール対155であり、そのいずれも回転駆動装置(モータ、回転伝達機構など)27により矢印で示す方向に所定の速度で回転駆動する駆動ロール15a〜17aと、この駆動ロール15a〜17aに所定の圧力で接触して追従回転する従動ロール15b〜17bとで構成されている。図2〜図4において符合16cは、駆動ロール16aの駆動軸を示す。この第1〜第3の搬送ロール対153〜155(15〜17)は、外側案内部材12と内側案内部材13で形成される反転再送路PR3の最上流位置、最下流位置及びそれらの中間位置において、その各駆動ロールと各従動ロールとが接触する各接触部(搬送ニップ部)Nが用紙搬送通路内に位置する状態で設置されている。
また、外側案内部材12のうち第1搬送ロール対15の用紙搬送方向A下流側の部位と第3搬送ロール対17の用紙搬送方向Aの上流側の部位との間に存在する搬送通路(反転再送路PR3)領域に相当する一部12Aは、着脱自在な案内部材として構成されており、その着脱自在な外側案内部材12Aが形成された外装カバー22Aとともに着脱可能になっている(図3)。
この用紙搬送装置1は、その着脱自在な外側案内部材12Aと外装カバー22Aを取り外すことより、図3や図4に示すように、反転再送路PR3の一部PR30が外部に露出して開放された状態になる。この際、第2の搬送ロール16は、その駆動ロール16aと従動ロール16bの双方が装置本体(内側案内部材13)側に残った状態になり、外部に露出した状態におかれる。また、外側案内部材の残りの部分12Bや第1及び第3の搬送ロール対15,17についても、装置本体側に残った状態となり、取り外されない外装カバー22Bによって隠蔽されて外部には露出しない状態におかれる。
着脱自在な外側案内部材12Aと外装カバー22Aについては、その外装カバーの下部に形成された取付け爪25を装置本体の取付け孔(図示せず)に差し込み、その外装カバーの上部の取っ手23がある位置に図示しない変位し得る引っ掛け部材(ラッチ)を装置本体に引っ掛けるか又はその引っ掛けを解除することで着脱される構造になっており、その着脱に際しては取っ手23を持って引っ掛け部材を変位させることにより着脱作業が行われる。図3において符合14は、着脱自在な外側案内部材12Aにおいて第2搬送ロール対16(駆動ロール16a)の一部を収容するための収容空間部である。
そして、この用紙搬送装置1では、着脱自在な外側案内部材12Aと外装カバー22Aの取り外しにより開放された反転再送路の開放部分PR30に存在する内側案内部材13の通路形成面部13の一部13Aに、その反転再送路の搬送通路側とは反対側(図1〜図3においては右側)に窪む凹部4を形成している。
この実施形態では、図4や図5に示すように、凹部4を、反転再送路の開放部分PR30のうち第2搬送ロール16の用紙搬送方向Aの下流側となる位置であり、しかも隣り合うリブ13bどうしの間に形成している。この凹部4を形成する部位に存在するリブ13bについては、その隣り合うリブどうしの間隔を少なくとも人の指を差し入れることが可能な寸法に設定することが好ましく、例えば、15〜20mmの寸法にする。
また、その凹部4は、反転再送路の開放部分PR30を搬送される各種(サイズの違いのほか、送る向きの違いも含む)の用紙9A〜9Cの搬送方向Aに沿う左右端部9c、9dの少なくとも一方(この例では搬送方向Aから見て左端部9d。図5では右側に位置する端部)が通過する予定の位置P(例えばP1〜P3)をその凹部4の開口領域内に含む状態で形成されている。この例では、用紙の搬送方向Aから見て左側(図4中の右側)とは、画像形成装置100の利用者が立って操作を行う正面側に近い側に相当する。このため、その利用者が後述する詰まった用紙9を取り除く際に凹部4に手(実際には指先)を近づけて用紙の取り除き作業を行いやすくなっている。
また、各凹部4(4A〜4D)はいずれも、図4や図6に示すように、面部13Aを陥没させたような底面部41と複数の側面部42とを有する形状のものであり、特に、用紙搬送方向Aの下流側となる側面部42aを、用紙搬送方向Aに移動するにつれて通路形成面13a(の表面)の高さに近づくように傾斜する傾斜面として形成している。また、その側面部42のうち用紙搬送方向Aの上流側となる側面部42bは、例えば用紙搬送方向Aに移動するにつれて通路形成面13aの高さから離れるように傾斜する傾斜面にする必要はなく、例えばその面部13aに対して垂直に垂下するような面として形成しても差し支えない。
さらに、各凹部4(4A〜4D)はいずれも、図6に示すように、内側案内部材13のリブ13bの頂部(用紙案内の最高部位)から少なくとも所定の深さHを満足する深さで形成されている。所定の深さHは、例えば、凹部4に存在する除去すべき用紙9の端部を人の指で容易につまむことができる寸法であることが好ましく、例えば、15mmにすることができる。ちなみに、リブ13bは、その頂部と、第2搬送ロール16の搬送ニップ部Nから用紙をほぼ水平に送り出した場合の二点鎖線で示す搬送理想線Eとの高低差h1が例えば0.5〜1.0mmの寸法となるように設定される。また、リブ13bは、その頂部と内側案内部材13の面部13a(表面)との高低差(リブの高さ)h2が例えば約1.5mmの寸法となるように設定される。
次に、この画像形成装置100(及び用紙搬送装置1)の動作について説明する。
画像形成時になると、前述したように作像装置120において入力画像情報に基づくトナー像が形成されるとともに、そのトナー像が給紙路PR1を通して作像装置120に送り込まれる用紙9の片面に転写される。続いて、作像装置120でトナー像が転写された用紙9は、作像装置120から送り出された後に定着装置130に送り込まれ、そのトナー像が前述したように回転する加熱回転体131及び加圧回転体133の接触部を通過する際に加熱加圧されて用紙9に定着される。
定着終了後の用紙9は、図1に示すように定着装置130から送り出された後、まず排出路PR2の起点側に設置されて回転駆動する反り矯正ロール147を通過して一時的に定着画像面とは反対側に反るような状態に曲げられる。しかる後、その用紙9は、切替え誘導部材151を揺動させて押し上げた状態に維持しながら排出路PR2を通して排出方向(図1中の反時計回りの方向)に回転駆動する排出ロール142aの排出ロール対142に送られ、最後に排出ロール対142により排出口112から送り出されて排紙収容部113に収容される。用紙9の送り方向後端部が切替え誘導部材151を通過し終わると、切替え誘導部材151が下方にむけて揺動し、これにより排出路PR2が塞がれた状態になる一方で反転再送路PR3が開いた状態になる。
また、用紙9の表裏両面に画像を形成する場合は、次のように動作する。
この場合は、まず、片面に画像が形成された後(定着後)の用紙9が排出路PR2の排出ロール対142まで搬送され、その送り方向後端部が切替え誘導部材151を通過した後で排出ロール142を通過する前の時点で、排出ロール142が排出方向とは反対となる方向(図1中の時計回りの方向)に切り替えられて(逆)回転し始める。また、これと同時に、反転再送路PR3(用紙搬送装置1)における各搬送ロール153〜155(15〜17)もその用紙送り方向(図1等における時計回りの方向)に回転駆動し始める。
この際、用紙9は、逆回転する排出ロール142の搬送力により、その後端部が先頭になって搬送され始め、切替え誘導部材151の上部や案内部材152に案内されて反転再送路PR3側にむけて搬送される。そして、反転再送路PR3に送り込まれた用紙9は、その各搬送ロール対153〜155の搬送力により次々と搬送されて再送路PR3内を通過し、最終的に給紙路PR1に表裏面が反転された状態で再送される。この反転再送路PR3内を搬送して通過する用紙9において、例えばその搬送方向Aの先端部の左側角部が万が一凹部4の内部に入り込んだ状態で通過することになったとしても、凹部4の搬送方向下流側の傾斜面42aにより凹部4から抜け出るように案内されるので、その凹部4に引っ掛かってしまうことが回避される。
給紙路PR1に再送された用紙9は、その反対面に対して作像装置120においてトナー像が転写された後、定着装置130に送られて定着処理される。また、定着装置130で定着された用紙9は、排出路PR2を前述した場合と同様の状態で搬送され、最後に排出口112から排紙収容部113に送り出されて収容される。
この画像形成装置100では、その反転再送路PR3の一部を構成する用紙搬送装置1において搬送対象の用紙9が第2搬送ロール対154(16)に挟まれて保持された状態で詰まって搬送不可な状態(紙詰まりであるいわゆるジャム現象)になると、その詰まった用紙9を取り除くため、着脱自在な外側案内部材12Aと外装カバー22Aを取り外し、反転再送路PR3の一部(開放部分PR30)を開放した状態にしてから用紙の除去作業を行う。
この際、図5や図7に示すように、用紙9の送り方向先端部側が反転搬送路の下流側に位置する非開放部分PR33の内部に隠れた状態で存在し、その送り方向後端部9bが第2搬送ロール対16に保持されて僅かに搬送方向A上流側に突出した状態で紙詰まっている場合には、その詰まった用紙9J1は例えば次のようにして取り除かれる。ちなみに、反転搬送路の非開放部分PR33の内部に隠れた状態で存在する用紙の先端部は、その非開放部分PR33に存在する搬送ロール対155に挟まれて保持されていないが、保持されていても構わない。
この場合は、まず、その詰まった用紙9J1の搬送方向Aの左端部9dが開口部領域内に位置する凹部4(4A〜4Dのいずれか)を確認した後、図7に示すように、その対象となる凹部4の空間に対して指6(a)を差し入れ、その凹部4においてその用紙9J1の左端部9bを別の指6(b)とともに挟んでつまむ。
次いで、そのつまんだ用紙9J1を案内部材の面部13aから離れる方向に移動させる。これにより、用紙9J1の送り方向後端部9bが第2搬送ロール対16(搬送ニップ部N)から引き出されて開放される(図7中の二点鎖線で示す後端部9bの状態になる)。この際、第2搬送ロール対16は引き出される用紙9J1の送り方向後端部9bにより図7の点線矢印Bで示す方向(送り方向)に回転する。しかる後、その用紙9J1をつかんで引っ張ることにより、反転搬送路の非開放部分PR33の内部に隠れた先端部側などがその非開放部分から引き出される。この結果、用紙9J1はその全体が取り除かれる。
また、図8に示すように、用紙9の中央部付近が第2搬送ロール対16に保持された状態であり、かつ、その用紙9の送り方向先端部9aが反転搬送路の下流側の非開放部分PR33の内部に隠れた状態になるとともに、その送り方向後端部9bが反転搬送路の上流側の非開放部分PR32の内部に隠れた状態になった形態で紙詰まっている場合には、その詰まった用紙9J2は例えば次のようにして取り除かれる。
この場合も、まず、その詰まった用紙9J2の搬送方向Aの左端部9dが開口部領域内に位置する凹部4(4A〜4Dのいずれか)を確認した後、図8に示すように、その対象となる凹部4の空間に対して指6(a)を差し入れ、その凹部4においてその用紙9J2の左端部9bを別の指6(b)とともに挟んでつまむ。
次いで、そのつまんだ用紙9J2を案内部材の面部13aから離れる方向に移動させると、用紙9J2の送り方向先端部9aが反転搬送路の下流側の非開放部分PR33から引き出される(図8中の二点鎖線で示す先端部9aの状態になる)。しかる後、その用紙9J2をつかんで引っ張ることにより、用紙9J2の送り方向後端部9bが、反転搬送路の上流側の非開放部分PR32から引き出されるとともに第2搬送ロール対16から引き出されて開放される。この結果、用紙9J2はその全体が取り除かれる。
[変形例]
なお、上記実施形態においては、反転再送路の開放部分PR30のうち第2搬送ロール16の用紙搬送方向Aの下流側となる位置に形成した凹部4に代えて又は加えて、図9に示すように、その第2搬送ロール16の用紙搬送方向Aの上流側となる位置に凹部40を形成してもよい。この凹部40の構成は、凹部4の前記した構成と同じ内容にすることができる。
この凹部40を形成した場合には、図9に示すように、用紙9の送り方向後端部(9b)側が反転搬送路の上流側の非開放部分PR32の内部に隠れた状態で存在し、その送り方向先端部9aが第2搬送ロール対16に保持されて僅かに搬送方向A下流側に突出した状態で紙詰まっている場合には、その詰まった用紙9J3は例えば次のようにして取り除くことができる。
この場合も、まず、その詰まった用紙9J3の搬送方向Aの左端部9dが開口部領域内に位置する凹部40(図4に示す凹部4A〜4Dを第2搬送ロール16の用紙搬送方向Aの上流側の対応する位置に同様に設けた凹部40A〜40Dのいずれか)を確認した後、図9に示すように、その対象となる凹部40の空間に対して指6(a)を差し入れ、その凹部4においてその用紙9J2の左端部9bを別の指6(b)とともに挟んでつまむ。
次いで、そのつまんだ用紙9J3を案内部材の面部13aから離れる方向に移動させると、用紙9J3の送り方向後端部9bが反転搬送路の上流側の非開放部分PR32から引き出される(図9中の二点鎖線で示す後端部9bの状態になる)。しかる後、その用紙9J3をつかんで引っ張ることにより、用紙9J3の送り方向先端部9aが第2搬送ロール対16から引き出されて開放される。この際、第2搬送ロール対16は引き出される用紙9J3の送り方向先端部9aにより図8の点線矢印Cで示す方向(送り方向とは逆の方向)に回転する。この結果、用紙9J3はその全体が取り除かれる。
また、上記実施形態では、上記凹部4(凹部40)について、用紙の搬送方向Aの上流側及び下流側の側面部42とは別の底面部41を有する形状で形成したが、その窪んだ部分(底面部)の形状は指を差し入れて用紙の左右側部を容易につかめる空間が確保される形状であれば他の形状にしてもよく、例えば、湾曲した形状等にすることができる。さらに、凹部4(凹部40)の形成する数や位置などについても、上記実施形態の構成例に限定されず、変更することができる。
さらに、上記実施形態では、反転搬送路PR3の一部(開放部分PR30)を開放する案内部材12の一部12Aを当該案内部材が形成される外装カバーの一部22Aとともに取り外すことにより、その開放状態を得る構成について例示したが、その開放(退避)形式のものに限定されず他の方式を採用してもよい。例えば、その開放する案内部材12の一部12Aを外装カバーの一部22Aとともに一定の支軸を支点として揺動して開閉できる構造とし、その開けた状態にすることで反転搬送路PR3の一部を開放状態にするように構成することができる。また、外側案内部材12としては、リブのみで構成されるものではなく、内側案内部材13と同じく面部(13a)とリブで構成されるものを適用することも可能である。
この他、上記実施形態で例示するごとき凹部4(凹部40)を有する用紙搬送装置1は、画像形成装置100における反転再送路PR3以外の用紙搬送路に適用することが可能である。また、その用紙搬送装置1は、画像形成装置100に適用する場合に限らず、用紙の搬送通路を形成する通路形成面を有する通路形成部材の片側に配置される部材の一部が着脱機構、開閉機構等により退避することにより、その搬送通路の一部を搬送ロール対が解放される側に残る状態で開放する構造を有した他の用紙取扱い装置に適用することも可能である。
その他の用紙取扱い装置としては、例えば、読み取り対象の画像が形成された用紙(原稿)を読み取る画像読取装置(における一部が開放される用紙搬送路に適用)や、大量の用紙を収容するとともにその用紙を画像形成装置に対して供給する給紙装置(における一部が開放される用紙搬送路に適用)や、画像形成装置で画像が形成された用紙を揃えたり、綴じたり等の後処理を施す後処理装置(における一部が開放される用紙搬送路に適用)が挙げられる。
図10は、用紙搬送装置1を画像読取装置200に適用した構成例を示す説明図である。画像読取装置200は、読み取り対象の画像を有する原稿(シート状物)90を原稿収容部201から原稿の読取搬送路PR5を通して第1読取部202(及び第2読取部203)にむけて搬送して通過させることにより原稿90の片面(又は両面)の画像を読み取り、その読み取った後の原稿90を最終的に排出収容部205に排出するものである。図中において符合207は第1装置本体、208は第2装置本体、212と213は読取搬送路PR5を構成する原稿の案内部材(212は外側案内部材、213は内側案内部材である)、215〜218は読取搬送路PR5を構成する原稿の搬送ロール対(215は第1搬送ロール対、216は第2搬送ロール対、217は第3搬送ロール対、218は第4搬送ロール対である)を示す。
この画像読取装置200においては、第2搬送ロール対216から第3搬送ロール対217までを含む原稿搬送路PR5の一部を用紙搬送装置1により構成している。すなわち、用紙搬送装置1は、図10と図11に示すように、原稿搬送路PR5における外側案内部材212の一部212Aが第2装置本体の一部208Aとともに支軸209を支点として矢印D方向に示す方向(開ける方向)に動かすこと(開閉機構)により原稿搬送路の一部PR50を開放する構造になっている。この際、第2搬送ロール対216と第3搬送ロール対217は、その各搬送ロール対を構成する駆動ロール216a,217a及び従動ロール216b,217bの双方がいずれも内側案内部材213側に残った状態になる。内側案内部材213については、上記実施形態における内側案内部材13と同様に、面部(13a)とリブ(13b)とで構成されている。
そして、この用紙搬送装置1においては、開閉自在な外側案内部材212Aと第2装置本体208Aの開け動作により開放された原稿搬送路の開放部分PR50に存在する内側案内部材213Aの通路形成面部の一部に、その原稿搬送路の搬送通路側とは反対側(図10及び図11においては右側)に窪む凹部400を形成している。この凹部400は、上記実施形態における凹部4と同じ構成を採用することができる。ちなみに、凹部400は、原稿搬送路の開放部分PR50に2つの搬送ロール対216,217が残る構造であるため、第2搬送ロール対216の搬送方向Aの下流側に位置していると同時に第3搬送ロール対217の搬送方向上流側に位置している状態で形成されている。このように開放された搬送路に複数の搬送ロール対が残る構造である場合は、少なくとも、その搬送方向の最上流側に配置される搬送ロール対の下流側(次に配置される搬送ロール対の上流側)に位置するように形成するとよい。
また、このような用紙搬送装置1を備えた原稿読取装置200においては、例えば、図11に示すように、原稿90の送り方向先端部90a側が第3搬送ロール対217に挟まれるとともに原稿搬送路PR5の下流側に位置する非開放部分PR53の内部に隠れた状態で存在し、その送り方向後端部90bが第2搬送ロール対216に保持されて僅かに搬送方向A上流側に突出した状態で紙詰まっている場合には、その詰まった原稿90Jは例えば次のようにして取り除かれる。
この場合は、まず、その詰まった原稿90Jの搬送方向Aの左端部(又は右端部)が開口部領域内に位置する凹部400を確認した後、その対象となる凹部400の空間に対して指を差し入れ、その凹部400においてその原稿90Jの端部を別の指とともに挟んでつまむ。次いで、そのつまんだ原稿90Jを案内部材213Aの面部から離れる方向に移動させる。これにより、原稿90Jの送り方向先端部90aが第2搬送ロール対216(搬送ニップ部)から引き出されて開放される。しかる後、その原稿90Jをつかんで引っ張ることにより、原稿搬送路の非開放部分PR53の内部に隠れた先端部90a側などがその非開放部分から引き出される。この結果、原稿90Jはその全体が取り除かれる。
なお、この原稿読取装置200においては、原稿90の送り方向先端部90a側が第3搬送ロール対217に挟まれただけの状態(その送り方向後端部90bは第2搬送ロール対216に挟まれていない状態)である場合や、原稿90の送り方向後端部90b側が第2搬送ロール対216に挟まれただけの状態(その送り方向先端部90aは第3搬送ロール対217に挟まれていない状態)である場合であっても、その詰まった原稿90の除去作業を、凹部41の空間に指を差し入れて行うようにしてもよい。