JP4774792B2 - 樹脂製容器の口部の熱結晶化方法 - Google Patents
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近年、飲料用のPETボトルに代表されるように、ポリエチレンテレフタレートなどの熱可塑性樹脂からなる容器が、種々の用途に広く用いられるようになってきており、種々の容器の樹脂化が進んでいるが(例えば、特許文献1など)、上記のような広口容器においても、軽量で、かつ、割れ難い樹脂製容器に代替することが求められている。
これに対し、キャップも樹脂化して、その収縮率を容器本体の収縮率と合わせれば、密封性を確保することは可能であるが、密封性に加えて、酸素バリア性が要求される場合には、容器本体の開口面積が大きい広口容器にあっては、キャップの酸素バリア性が大きく影響してくる。このため、キャップの素材の選択も限られてしまい、酸素バリア性を確保するのが困難となってしまう。酸素バリア層、酸素吸収層などを備えた多層構造のキャップを用いれば、酸素バリア性を確保できなくもないが、このようなキャップは高価でありコスト的な問題もある。
しかしながら、ポリエチレンテレフタレートのような結晶性熱可塑性樹脂を用いて容器を形成する場合には、その耐熱性を高めて高温殺菌時の変形を防ぐために、容器本体の開口部の樹脂を熱結晶化することが一般に行われているが、開口部の樹脂を熱結晶化させると、耐熱性を高めることができる反面、ヒートシール温度を高くしなければならないなど、ヒートシール性に劣るという問題がある。
このような方法とすれば、口部の部分的な加熱がより容易になる。
このような方法とすれば、加熱処理により熱結晶化が進行した部分と、熱結晶化が抑えられた部分との境界をより明確に形成することができる。
このような構成とすれば、容器内の圧力が増加したときに、蓋体内でフィルム材が容器外方に湾曲して圧力の増加を吸収することができる。
このような構成とすれば、高い密封性に加え、酸素バリア性をも備えた樹脂製広口容器を提供することができる。
このような構成とすれば、口部のヒートシール性を良好なものとして、容器の密封性をより高めることができるとともに、フィルム材の剥離面に剥離痕が残らないようにすることができる。
このような構成とすれば、フィルム材とのシール幅を適宜調整して、口部の上端面のシール部が、容器径方向にはみ出さないようにすることができ、剥離後の美観がよいだけでなく、蓋体で再封止したときの密封性を高く維持することができる。
このような構成とすれば、開封後も容器を再封することができ、少量ずつ取り出して使用する内容物の長期保存用の容器として好適に用いることができる。
このような構成とすれば、高温殺菌時などにおいて容器内圧が高まっても、フィルム材の剥離を有効に回避することができ、さらに、殺菌水がフィルム材上面まで侵入するのを防止することもできる。
このような構成とすれば、フィルム材の容器内方側からの剥離を有効に回避して、口部上端面と、フィルム材との間に、内容物が入り込んでしまうのを防止することができる。
ここで、図1は、本発明を適用して製造される樹脂製広口容器の一例を示す正面図であり、図2は、図1のA−A断面図である。また、図3は、図2において鎖線で囲んだ部分を示す要部拡大断面図である。
容器本体2を構成する熱可塑性樹脂は、延伸ブロー成形などにより所望の容器形状に成形可能なものであれば、任意の樹脂を使用することができるが、具体的には、ポリエチレンテレフタレート,ポリエチレンイソフタレート,ポリブチレンテレフタレート,ポリエチレンナフタレート,ポリカーボネート,ポリアリレート、ポリ乳酸又はこれらの共重合体などの熱可塑性ポリエステル、これらの樹脂あるいは他の樹脂とブレンドされたものが好適であり、特に、ポリエチレンテレフタレートなどのエチレンテレフタレート系熱可塑性ポリエステルが好適に使用される。また、アクリロニトリル樹脂,ポリプロピレン,プロピレン−エチレン共重合体,ポリエチレンなども使用することができる。
これらの樹脂には、成形品の品質を損なわない範囲で種々の添加剤、例えば、着色剤、紫外線吸収剤、離型剤、滑剤、核剤、酸化防止剤、帯電防止剤などを配合することもできる。
エチレンテレフタレート系熱可塑性ポリエステルとしては、ポリエチレンテレフタレート(PET)が耐圧性、耐熱性、耐熱圧性などの点で特に優れているが、エチレンテレフタレート単位以外にシクロヘキサンジカルボン酸,イソフタル酸,ナフタレンジカルボン酸などの二塩基酸や、プロピレングリコール,1,4−ブタンジオール,シクロヘキサンジメタノールなどのジオールを含む共重合ポリエステルも使用することができる。
ここで、酸素吸収層としては、酸素を吸収して酸素の透過を防ぐものであれば任意のものを使用することができるが、酸化可能有機成分及び遷移金属触媒の組合せ、あるいは実質的に酸化しないガスバリア性樹脂,酸化可能有機成分及び遷移金属触媒の組み合わせを使用することが好適である。
このような内圧の変化は、ヘッドスペースの割合が大きい広口容器において、その傾向が強くなるが、本実施形態にあっては、容器本体2の胴部4に形成した内圧変化吸収パネル4aと、口部3にヒートシールされたフィルム材7とにより容器内の圧力変化を吸収することができるため、このような内圧変化に伴う容器1の変形などを有効に回避することができる。
このような基材フィルムには、例えば、アルミニウム等の金属,アルミナ(酸化アルミニウム)やシリカ(酸化ケイ素)等の無機酸化物などを蒸着したり、ポリ塩化ビニリデンやポリアクリル酸等のバリア性有機材料をコーティングしたりすることにより、また、基材フィルム中に、酸化性重合体等を含む酸素吸収性樹脂や、還元性金属化合物等から成る酸素吸収剤等をブレンドすることにより、必要に応じて基材フィルム自身にバリア性を付与してもよい。
これらのフィルム中には、酸化性重合体等を含む酸素吸収性樹脂や、還元性金属化合物等から成る酸素吸収剤などを適宜ブレンドしてもよい。また、透視性が必要とされない場合は、バリア性を付与するための他の材料として、アルミニウム箔や、スチール箔等の金属箔(合金箔含む)を用いることもできる。
このようなシーラント層に適用可能なヒートシール性を有する合成樹脂材料としては、例えば、低密度ポリエチレン,直鎖状低密度ポリエチレン(チーグラー系(マルチサイト触媒)、メタロセン系(シングルサイト触媒)),エチレン−αオレフィン共重合体,エチレン系不飽和カルボン酸又はその無水物でグラフト変性されたオレフィン共重合体,中密度ポリエチレン,高密度ポリエチレン,ポリプロピレン,プロピレン−エチレン共重合体,ポリブテン−1,ポリメチルペンテン,エチレン−酢酸ビニル共重合体,エチレン−アクリル酸共重合体,エチレン−メタクリル酸共重合体,エチレン−メタクリル酸共重合体等の一部に金属イオン基を導入したイオン架橋オレフィン共重合体(アイオノマー),エチレン−テトラシクロドデセン共重合体(環状オレフィン共重合体)等のポリオレフィン系樹脂;ポリスチレン,スチレン−ブタジエン共重合等の芳香族ビニル共重合体;ポリ塩化ビニル,ポリ塩化ビニリデン等のハロゲン化ビニル樹脂;アクリロニトリル−スチレン共重合体,アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体等のアクリロニトリル共重合体;ポリ乳酸系樹脂(ポリメソラクチド配合系含む);ポリブチレンテレフタレート等の比較的低融点のポリエステル系樹脂などが挙げられる。これら樹脂は単独で用いてもよく、必要に応じて数種類ブレンドして用いてもよい。
このようにすれば、高温殺菌時などにおける容器内圧の上昇にともなって、フィルム材7が上方に持ち上げられても、フィルム材7が口部3の上端面から剥離してしまうのを有効に回避することができ、容器1の密封性を維持することができる。さらに、高温殺菌時に用いられる殺菌水が、蓋体6とフィルム材7との間に侵入し、これが残留したまま流通すると、内容物Mが漏れだしたかのような不良と誤解されるおそれがあるが、環状突起6aがフィルム材7を介して口部3の上端面に当接するようにすれば、殺菌水がフィルム材7の上面まで侵入するのを防止することができる。
なお、高温殺菌としてレトルト殺菌する場合、関連法規などによりシール強度は、23N/15mm以上と定められているが、適法範囲で選択することができる。
これにより、フィルム材7が口部3の上端面に密着された状態を維持し、口部3の上端面と、フィルム材7との間に内容物Mが入り込んでしまうのを防止することができる。
これにより、口部3のヒートシール性を良好なものとして、容器1の密封性をより高めることができるとともに、フィルム材7の剥離面に剥離痕が残らないようにすることができる。
このようにすれば、非晶部3aとする凸部8の幅を任意に設定してフィルム材7とのシール幅を適宜調整し、ヒートシール時に口部3の上端面のシール部が溶融変形して容器径方向にはみ出すのを防ぐことができ、これにより、剥離後の美観がよいだけでなく、蓋体6で再封止したときの密封性を高く維持することができる。
ここで、シール幅は、口部3の肉厚にもよるが、0.5〜5mmの範囲で設定するのが好ましい。
なお、以下に示す例は、プリフォーム10に対して熱結晶化処理を施しているが、所望の容器形状に成形された後の容器本体2に対して熱結晶化処理を施してもよく、いずれに熱結晶化処理を施す場合であっても、その処理は同様の工程にしたがって行うことができる。
このとき、治具11は、ステンレス、アルミ、鋼などの熱伝導性のよい金属素材により形成することができる。また、図示する例において、台座12は治具11に一体に形成されているが、台座12と治具11は必要に応じて別体に構成してもよい。
また、プリフォーム10の口部3を加熱するに際しては、例えば、図6中矢印で回転方向を示すように、固定された熱源15などに対して、プリフォーム10を治具11ごと回転させながら加熱することができる。
熱源15として炭酸ガスレーザーを用いれば、レーザーのスポット径や出力などを調整することで、口部3の部分的な加熱が容易となるが、赤外線ヒーターや、温風ヒーターなどのように、加熱範囲(角度)の制御が比較的困難なものを用いる場合には、図示するように遮蔽板14を設けることにより、熱結晶化の進行を抑えたい部分(成形時に延伸される部分など)に、熱源15からの熱が直接加わるのを防ぐようにすることができる。
したがって、熱源15から口部3に加えられる熱量と、台座12からの放熱量とを適宜調整することで、口部3の上端面側の樹脂を熱結晶化が進行しない温度に抑え、口部3の上端面側を非晶部3aとしつつ、口部3を選択的に熱結晶化させることができる。
ここで、図6では、熱結晶化させる部分(口部3)を網点で示し、その他の部分、すなわち、容器本体2を成形する際に延伸される部分の断面を示すハッチングを省略している。
このとき、前述したような遮蔽板14を設け、遮蔽板の台座12側の端部と、支持部13の台座12側の端部とが、ほぼ同一水平面上に位置するように遮蔽板14の設置位置を適宜調整することで、当該境界がより明確に形成されるようにすることができる。
このため、熱結晶化された部分と、熱結晶化が抑えられた部分との境界が明確に形成されれば、このような延伸加工上の不具合を有効に回避することができる。
Xcv=ρc(ρ−ρa)/ρ(ρc−ρa)・・・(1)
Xcv:測定樹脂試料の結晶化度[%]
ρ:測定樹脂試料の密度[g/cm3]
ρa:完全非晶質の樹脂の密度[g/cm3]
ρc:完全結晶質の樹脂の密度[g/cm3]
ρ=(Δν1/2−k1)/k2・・・(2)
Δν1/2:レーザーラマン分光スペクトル上の波長1730cm−1に現れるピークの半値幅[cm−1]
k1:上記半値幅を縦軸、密度を横軸とした検量線から求められる切片
k2:上記半値幅を縦軸、密度を横軸とした検量線から求められる勾配
2 容器本体
3 口部
3a 非晶部
4 胴部
4a 内圧変化吸収パネル
5 底部
6 蓋体
6a,6b 環状突起
7 フィルム材
8 凸部
9 空隙
10 プリフォーム
11 治具
12 台座
13 支持部
14 遮蔽板
15 熱源
M 内容物
S ヘッドスペース
Claims (3)
- 樹脂製容器が備える口部を熱結晶化する方法であって、
前記容器、又は前記容器のプリフォームの天地を逆にして、前記容器、又は前記容器のプリフォームの内面を治具により面で支持し、
前記口部の上端面側を台座に当接させた状態で、前記口部に熱を加えることにより、前記台座との当接部位を選択的に非晶状態としつつ、前記口部を熱結晶化するとともに、
前記治具の前記台座側の端部を、熱結晶化の進行を抑えたい部分と、熱結晶化を進行させたい部分との境界に位置させることを特徴とする樹脂容器の口部の熱結晶化方法。 - 熱結晶化の進行を抑えたい部分に、熱源からの熱が直接加わらないように遮蔽板を設けた請求項1に記載の樹脂容器の口部の熱結晶化方法。
- 前記遮蔽板の前記台座側の端部と、前記治具の前記台座側の端部とを、ほぼ同一水平面上に位置させた請求項2に記載の樹脂容器の口部の熱結晶化方法。
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