JP4774690B2 - 磁気センサ - Google Patents
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Description
以下では、磁気センサの適用例として、磁性金属材料(特に、鉄鋼材料)の表面、内部(介在物など)の欠陥検知について説明するが、本発明はこのような適用例について限定されるものではない。
このような欠陥を検知する1つの手段として、磁気探傷方法が知られている。この磁気探傷方法に使用される磁気センサには、各種のものがあるが、その一例として図6に示すE型の強磁性体のコアを有するものが知られている。以下に、図6に示す磁気センサをE型センサと呼ぶものとする。
励磁用コイル101aは、磁化電源102から供給される交流電流により、交流磁束を発生させる。この発生した交流磁束は被検査体aに作用すると、その相互作用に応じて、検出用コイル101b,101cには電圧がそれぞれ誘起される。その両誘起電圧は差動増幅器104に導かれると、差動増幅器104はその両誘起電圧の差に対応する電圧を出力する。
例えば、2極式電磁膜厚測定においては、コイルが巻回されている極の間隔を変えることで、膜厚測定の領域を変えることができる。このため、その極の間隔を大きくすることで、局部的な変化の影響を受けにくい膜厚を測定でき、逆に、その極の間隔を小さくすることで、狭い領域のみの膜厚を測定することができる。
そのため、大きな欠陥の場合には、脚部の間隔を広くする必要がある。また、脚部の間隔が広い方が、表面粗さ、リフトオフなどの検査対象の局部的な変化の影響を小さくできる等の利点がある。
しかし、通常の磁気測定に使用される磁気センサは、図6に示すE型センサのように強磁性体100のコアを有し、そのコアにコイルが巻回されているので、コイルの配置間隔を変えることができないという不具合がある。また、たとえコアを有していなくても、コイルの位置を機械的に固定しているため、コイルの位置を変えることは容易ではない。
請求項3に係る発明は、請求項1または請求項2のうちのいずれかに記載の磁気センサにおいて、前記複数のコイルは、一列に配置されている。
請求項4に係る発明は、請求項3に記載の磁気センサにおいて、前記選択手段で選択するコイルは等間隔に配置される3つのコイルであり、前記選択手段の選択時にそのコイルの間隔を変更できるようになっており、かつ、前記選択手段で選択された3つのコイルのうち、中央のコイルを励磁用に使用し、両側の2つのコイルを検出用とし使用し、前記2つの検出用のコイルの出力の差分信号を求めるようになっている。
(第1実施形態)
図1は、本発明の磁気センサの第1実施形態の全体の構成を示すブロック図である。
この第1実施形態に係る磁気センサは、図1に示すように、磁気検出部1と、磁化電源2と、選択回路3と、差動増幅器4と、位相検波器5と、欠陥レベル判別器6と、制御回路7とを備えている。
従って、磁気検出部1の複数のコイル11a〜11gは、一列であって等間隔に配置されている。また、脚部10a〜10gの各先端面は、図2に示すように、被検査体aの欠陥検出の際には、その検出面と対向するようになっている。
選択回路3は、欠陥検出の際に、コイル11a〜11gの一端側を選択的に接地させるスイッチ31a〜31gを備えている。すなわち、スイッチ31a〜31gは、欠陥検出の際に、コイル11a〜11gのうちから検出に必要なコイルを選択し、その選択したコイルの一端側を接地するものである。
また、切り替えスイッチ32a〜32fの各切り替え接点は、検出用コイル11a、11b、11c、11e、11f、11gの各他端側に接続されている。さらに、切り替えスイッチ32a〜32cの他端側の各固定接点は差動増幅器4の一方の入力端子に接続され、切り替えスイッチ32d〜32fの他端側の各固定接点は差動増幅器4の他方の入力端子に接続されている。
ここで、スイッチ31a〜31gおよび切り替えスイッチ32a〜32fは、トランジスタのような電子スイッチ、またはリレーのような機械的な接点などが使用される。
位相検波器5は、差動増幅器4からの出力信号を入力し、この入力信号を磁化電源2の波形に同期した信号をより位相検波し、これにより被検査体の欠陥の大きさに応じた信号を得るものである。
制御回路7は、欠陥検出の指示があると、その指示に基づいてあらかじめ定められた手順で、選択回路3のスイッチ31a〜31gの開閉制御、および切り替えスイッチ32a〜32fの切り替え接点の切り替え制御を行うものである。
この欠陥の検出では、図1に示す磁気検出部1の各脚部10a〜10gを、図2に示すように被検査体aの検査面に対向させて行う。
まず、被検査体aの大きな欠陥を検出する場合について、図1および図2(a)を参照して説明する。
このときには、制御回路7により選択回路3のスイッチ31a、31d、31gがそれぞれオンとなる。また、制御回路7により、選択回路3の切り替えスイッチ32a、32fの各切り替え接点が図1中の上側の各固定接点と接続され、切り替えスイッチ32b、32c、32d、32eの各切り替え接点が図1中の下側の各固定接点と接続される。
この結果、励磁用コイル11dは磁化電源2により励磁されて交流磁束が発生し、検出用コイル11a,11gにより検出された検出信号(誘起電圧)が差動増幅器4に入力される。差動増幅器4の出力は位相検波器5に入力され、磁化電源2の波形に同期した信号により位相検波されると、位相検波器5からは被検査体aの欠陥の大きさに応じた信号が出力される。欠陥レベル判別器6は、その出力信号を入力し、これをあらかじめ定めてあるしきい値と比較することにより、被検査体の欠陥のレベルを判別し、その判別結果を出力する。
この場合には、励磁用コイル11dを選択して使用するとともに、検出用コイル11b、11fを選択して使用し、それ以外の選択されない検出用コイル11a,11c,11e,11gの両端をフローティング状態で短絡させ、これにより被検査体aの欠陥検出を行う。
次に、被検査体aのさらに小さい欠陥を検出する場合について、図1および図2(c)を参照して説明する。
この場合には、励磁用コイル11dを選択して使用するとともに、検出用コイル11c、11eを選択して使用し、それ以外の選択されない検出用コイル11a,11b,11f,11gの両端をフローティング状態で短絡させ、これにより被検査体aの欠陥検出を行う。
ところで、第1実施形態では、図6に示すE型センサによる測定と比較すると、図2(a)(b)の場合には、実際に検出に使用する検出用コイルを巻回している脚部と、励磁用コイルを巻回している脚部との間に、検出の際に直接使用しない検出用コイルが巻回される脚部がある。このため、その使用しない検出用コイルが巻回される脚部にも磁束が流れ、実際に使用する検出用コイルに鎖交する磁束が減少することが懸念される。
この比較実験では、被検査体の測定対象となる人工欠陥として、幅0.5〔mm〕、深さ0.5〔mm〕のものを用意し、図3(a)〜(d)の右側の図のような条件で実験を行った。すなわち、図3(a)(c)(d)の場合には、強磁性体の脚部の間隔を1.5〔mm〕、図3(b)の場合には、強磁性体の脚部の間隔を3〔mm〕とした。また、脚部の幅はいずれも0.5〔mm〕、脚部の奥行きはいずれも2〔mm〕、脚部の長さはいずれも3〔mm〕とした。さらに、励磁信号は、いずれの場合も周波数が750〔kHz〕で、電圧は2〔V〕とした。
この比較実験の結果によれば、欠陥の信号出力はピーク・ピーク値で、(a)の場合が1.1〔V〕、(b)の場合が0.8〔V〕、(c)の場合が0.4〔V〕、(d)の場合が0.75〔V〕である。
なお、この第1実施形態では、検出に直接使用しないコイルは、図3(d)に示すように、その両端を短絡してフローティング状態とするのが最適である。しかし、これに代えて、使用しないコイルの両端を短絡して接地するようにしても、その使用しないコイルへの磁束の流入を防ぐことができ、実用上問題はない。
図4は、本発明の磁気センサの第2実施形態の全体の構成を示すブロック図である。
この第2実施形態に係る磁気センサは、図4に示すように、磁気検出部1Aと、磁化電源2と、選択回路3Aと、信号処理回路8と、欠陥レベル判別器9と、制御回路7Aとを備え、図1に示す第1実施形態と比較して全体の構成の簡易化を図ったものである。
従って、磁気検出部1Aの複数のコイル11h〜11kは、一列であって等間隔に配置されている。また、脚部10h〜10kの各先端面は、図5に示すように、被検査体の欠陥検出の際には、その検出面と対向するようになっている。
選択回路3Aは、欠陥検出の際に、コイル11h〜11kの一端側を選択的に接地させるスイッチ31h〜31kを備えている。すなわち、スイッチ31h〜31kは、欠陥検出の際に、コイル11h〜11kのうちから検出に必要なコイルを選択し、その選択したコイルの一端側を接地するものである。
このため、スイッチ31h〜31kの各一端側がコイル11h〜11kの各一端側に接続され、スイッチ31h〜31kの各他端側が接地されている。また、切り替えスイッチ32i〜32kの一端側の各固定接点は、検出用コイル11i〜11kの各一端側に接続されている。また、切り替えスイッチ32i〜32kの各切り替え接点は、検出用コイル11i〜11kの各他端側に接続されている。さらに、切り替えスイッチ32i〜32kの他端側の各固定接点は、信号処理回路8の入力側に接続されている。
ここで、スイッチ31h〜31kおよび切り替えスイッチ32i〜32kは、トランジスタのような電子スイッチ、またはリレーのような機械的な接点などが使用される。
欠陥レベル判別器9は、信号処理回路8からの出力信号を入力し、これをあらかじめ定めてあるしきい値と比較することにより、被検査体の欠陥のレベルを判別し、その判別結果を出力するものである。
次に、このような構成からなる第2実施形態による被検査体の欠陥の検出方法について、図4および図5を参照して説明する。
まず、被検査体aの大きな欠陥を検出する場合について、図4および図5(a)を参照して説明する。
この場合には、励磁用コイル11hを選択して使用するとともに、検出用コイル11kを選択して使用し、それ以外の選択されない検出用コイル11i,11jの両端を短絡させてフローティング状態とし、これにより被検査体aの欠陥検出を行う。
このときのコイルの両端の接続状態は、図5(a)に示すようになる。ここで、図5では、コイル11h,11kについてはその一端側の接続のみ表示され、その他端側の接地の表示は省略されている。
この場合には、励磁用コイル11dを選択して使用するとともに、検出用コイル11jを選択して使用し、それ以外の選択されない検出用コイル11i,11kの両端を短絡させてフローティング状態とし、これにより被検査体aの欠陥検出を行う。
次に、被検査体aのさらに小さい欠陥を検出する場合について、図4および図5(c)を参照して説明する。
この場合には、励磁用コイル11hを選択して使用するとともに、検出用コイル11iを選択して使用し、それ以外の選択されない検出用コイル11j,11kの両端を短絡させ、これにより被検査体aの欠陥検出を行う。
この結果、励磁用コイル11hは磁化電源2により励磁されて交流磁束が発生し、検出用コイル11iにより検出された検出信号は信号処理回路8に入力される。
また、この第2実施形態では、第1実施形態と同様に、検出に直接使用しないコイルはその両端を短絡してフローティング状態としたが、これによる効果は第1実施形態の場合と同様である。
しかし、本発明は、複数のコイルを有すれば良く、欠陥などの検出時に、その複数のコイルのうちから励磁用のコイルと検出用のコイルとを少なくとも1つずつ選択できるとともに、その選択の際に使用するコイルの間隔が容易に変わるようになっており、かつ、使用しないコイルはその両端が短絡できるようになっていれば良い。
さらに、本発明に係る磁気センサは、測定時に、必ずしも機械的に固定して使用する必要はなく、走査させるようにしても良い。磁気センサを走査させる場合には、例えば、被検査体と平行に脚部の配列方向に走査させたり、脚部の配列方向と直交方向に走査させたり、あるいは斜め方向に走査させるようにしても良い。
1、1A 磁気検出部
2 磁化電源
3、3A 選択回路
4 差動増幅器
5 位相検波器
6、9 欠陥レベル判別器
7、7A 制御回路
10 櫛型の強磁性体
10a〜10k 脚部
11d、11h 励磁用コイル
11a〜11c,11e〜11f,11i〜11k 検出用コイル
Claims (4)
- 複数のコイルを有する磁気センサであって、
前記複数のコイルのうちから1以上の励磁用コイルと1以上の検出用のコイルの組を選択する選択手段と、
前記選択手段で選択されない残余のコイルはコイル毎にその両端をフローティング状態で短絡する短絡手段とを備え、
前記選択手段で選択された励磁用のコイルを励磁し、前記選択手段で選択された検出用のコイルで磁束を検出するようになっていることを特徴とする磁気センサ。 - 前記選択手段は、前記コイルの組の選択の切り替えができるようになっていることを特徴とする請求項1に記載の磁気センサ。
- 前記複数のコイルは、一列に配置されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の磁気センサ。
- 前記選択手段で選択するコイルは等間隔に配置される3つのコイルであり、前記選択手段の選択時にそのコイルの間隔を変更できるようになっており、
かつ、前記選択手段で選択された3つのコイルのうち、中央のコイルを励磁用に使用し、両側の2つのコイルを検出用とし使用し、前記2つの検出用のコイルの出力の差分信号を求めるようになっていることを特徴とする請求項3に記載の磁気センサ。
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