JP3709930B2 - 表層又は表面欠陥の検出方法、表層又は表面欠陥の検出装置、及び冷延又は鍍金用鋼帯製造用鋼帯の製造方法 - Google Patents

表層又は表面欠陥の検出方法、表層又は表面欠陥の検出装置、及び冷延又は鍍金用鋼帯製造用鋼帯の製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、熱延鋼帯あるいは酸洗鋼帯の表面・表層に存在する非金属介在物やスケール(鉄酸化物)のかみ込みなどの欠陥を熱間圧延後酸洗前または酸洗後冷間圧延前で検出し、欠陥部を含む部位を部分的に除去することで、欠陥の少ない冷延または鍍金鋼帯製造用の熱延または酸洗鋼帯製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年の磁性金属製品に求められる品質レベルの高度化により、表面欠陥などの有害欠陥の少ない磁性金属材料に対する要望はますます強まっている。このような磁性金属製品としては、例えば鉄鋼薄板製品では自動車用、製缶用の冷延鋼板、めっき鋼板などがある。また厚板鋼材、鋼管などにおいても、表面近傍の欠陥が、割れの起源となり得ることから、表面欠陥および表層欠陥を減少させることは非常に重要である。鋼以外の磁性金属を使用した磁性金属材料でも、表面欠陥及び表層欠陥の有無が品質上非常に重要であることは同様である。
【0003】
以下自動車用めっき鋼板を例にとってより詳細に説明する。
自動車用めっき鋼板は、製鋼工程、熱延工程、酸洗工程、冷延工程、めっき工程、プレス工程をとおして製造される。自動車用めっき鋼板における重大欠陥の一つはヘゲと一般に呼ばれるもので、最終製品(自動車)において、欠陥部がその他の健全部と明らかに異なって見えるため、外観を損ねるという問題を引き起こす、あるいは非常に程度のひどいものになると、プレス成型時にプレス機を損傷するなどという害を生じるものである。
【0004】
このヘゲは、製鋼工程において生じる非磁性金属介在物に発生原因がある場合、あるいは製鋼工程および熱延工程入り側(熱延前)における、酸化物の鋼材内部への混入に発生原因がある場合など、全製造工程のなかで、上工程側に起源があるとされている。このヘゲは、熱間圧延、冷間圧延を経ることで、幅方向に非常に微小で、圧延方向に長い形状に延ばされる。
【0005】
製品の品質向上のためには、プロセス改善の結果を早期に判定することが重要であると同時に、欠陥の発生状況を把握した上で、合格品として出荷する、あるいは、健全な部分のみを出荷する、別の低グレード品に転用するなど、最適な対応を取る必要がある。
【0006】
そのような技術としては、たとえば特開昭61−219403号公報に示されているような例がある。これは熱延鋼帯の連続酸洗ライン出側で酸洗処理後の鋼帯の傷の位置および大きさを検出し、連続冷間圧延ラインにおいて、圧延機入り側に鋼帯の傷除去を行うものである。実施例には検出部として酸洗ライン出側にて表面欠陥検出装置を、また欠陥除去部として連続冷間圧延ライン入り側に砥粒入りブラシ・ロールなどを設置するものが示されている。
【0007】
また、特開2001−191206号公報には鋼板上に発生したヘゲ傷などの表面傷を切削加工により除去し、圧延により加工痕を消去する方法が提案されている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
従来技術では次のような課題が存在する。
[1]前記2例に代表されるように、従来技術では実質的には熱延板あるいは酸洗板段階における表面欠陥だけを除去すべき欠陥であると想定していると考えられる。しかし例えば自動車用めっき鋼板に生じる表面欠陥に関するわれわれの詳細な調査によれば、製鋼工程や熱延工程ですでに異常部は存在するものの、熱延板あるいは酸洗板段階では異常部は表面には現れておらず、表面に極近い表層下に存在し(表層欠陥)、酸洗による表層スケール除去を経て、冷間圧延後、めっき後あるいはプレス加工後顕在化するものが存在することがわかっている。
【0009】
また表面に現れている場合でも、表層下の大きさに比べ、表面に現れているのはごく一部でしかない場合もある。表面欠陥を検出対象とする場合には光学的方法が一般的であるが、上記のような表層欠陥は光学的手法では検出できないか、あるいは部分的に表面に現れている場合では検出は困難であり、仮に検出できたとしても欠陥重大度の正確な評価はできない。
[2]熱延板段階あるいは酸洗板段階で光学的方法を適用する場合、無害ではあるが表面に存在する模様などがノイズとなりがちであり、それにより検出能は制約される。
[3]発明者らの調査によれば圧延方向に長い異常部が最終製品段階では重大度が大きいという知見が得られている。その知見を活用し、そのような欠陥を選択的に表層から除去する必要がある。しかし従来技術ではその点は明確にされておらず、上記の[1]で記した欠陥の重大度評価の不完全であることとも相まって、除去すべき欠陥を除去しなかったり、逆に除去する必要のない部位を除去してしまったりという、除去による製品の歩留まり低下、除去設備への負荷増大などの点で課題がある。
[4]検出すべきターゲットが必ずしも明確でないため、重大な細長形状の微細欠陥に対する検出能向上の工夫がなされておらず、より微小な異常部を検出することができなかった。
【0010】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたもので、重大度が大きい圧延方向に長い異常部を選択的に除去するする工程を設けることで、除去すべき欠陥部を的確に除去することが可能となり、不必要な部位まで除去してしまうことによる製品の歩留まり低下を防ぐことができるような冷延または鍍金鋼帯製造用鋼帯の製造方法及び鍍金鋼帯の製造方法を提供することを課題とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決するための第1の手段は、脚部にコイルが巻回された櫛型形状の強磁性体の4本以上の脚部を鋼帯面に対向して略垂直に、かつ鋼帯の幅方向に略平行に並べて配置し、隣り合う3本の脚部の組の選択を電子的に1本ずつずらしながら走査して、選択された3本の脚部のうち、中央の脚部に巻回された1次コイルに交流電流を印加して励磁し、外側の2つの脚部それぞれに巻回された2次コイルに誘起された電圧の差分信号を求める磁気センサを複数千鳥状に配置して、標準的微小欠陥を磁気センサの脚部を鋼帯の幅方向に走査して得られる一対の山谷の信号パターンの差分信号波形と、同様にして得られる被検査体検査部位の差分信号波形との相互相関値に基づいて欠陥の検出を行うことを特徴とする磁性金属体の表層欠陥又は表面欠陥の検出方法である。
前記課題を解決するための第2の手段は、脚部にコイルが巻回された櫛型形状の多数の脚部が磁性金属被検体面に対向して略垂直に、かつ、磁性金属体の幅方向に略平行に並べて配置された櫛形形状の強磁性体を複数千鳥状に配置した磁気センサと、当該櫛形磁気センサの隣り合う3本の脚部を電子的に1本ずつずらしながら走査して順次選択し、3本の脚のうち中央の脚部に巻回された1次コイルに交流電流を流し、両端のコイルに誘起される電圧を後記演算器に接続する切り換え回路と、前記両端のコイルに誘起された電圧の差分を演算する演算器と、標準的微小欠陥を磁気センサの脚部を鋼帯の幅方向に走査して得られる一対の山谷の信号パターンの差分信号波形と、同様にして得られる被検査体検査部位の差分信号波形との相互相関値を基に欠陥の検出を行う欠陥判定部とを有することを特徴とする磁性金属体の表層欠陥又は表面欠陥の検出装置である。
前記課題を解決するための第3の手段は、熱間圧延後酸洗前または酸洗後冷間圧延前に以下の工程を有することを特徴とする冷延または鍍金鋼帯製造用鋼帯の製造方法である。
1) 請求項1に記載の表層欠陥又は表面欠陥の検出方法を用いて、鋼帯に含まれる欠陥候補を検出する欠陥検出工程
2) 前記検出工程により検出された欠陥候補のうち、前記鋼帯の圧延方向が長辺となる細長形状の表層又は表面欠陥候補を除去対象として決定する除去対象決定工程
3) 前記対象決定工程により決定された除去対象を含む領域を選択して研削又は切削する欠陥除去工程
【0012】
異常部の除去はできるだけ上流にて、少なくとも冷間圧延前に行う方がよい。除去により逆に欠陥を発生させることの無いよう、部分的に除去された鋼帯の形状、性状を、圧延により均一に整える必要があるからである。
【0013】
一方で除去を行う部位を特定するための異常部検出に関しては、できるだけ下流側、少なくとも熱延工程以降が望ましい。その理由は以下のとおりである。
1)微小な異常部を検出する際には、(a)表面凹凸に起因するノイズ発生により、検出能が低下しないように、(b)センサを鋼帯表面に近接させて検出する場合に、センサと鋼帯との距離(リフトオフ)変動により検出能が劣化しないように、また(c)リフトオフ変動により、センサと鋼帯が接触し、センサが破損したり、鋼帯に傷が付くことの無いように、という(a),(b),(c)の理由により板形状は良い必要があるが、下工程側で板形状はより良い。またテンションなどをかけることにより、下工程側でより形状は安定する。
2)圧延されて板厚が減少し、それに伴い異常部が表面からできるだけ近くに存在する方が検出は容易である。
3)圧延により異常部も変形していく中で、最終製品にできるだけ近い段階で検出することで、重大度の評価もより正確にできる。
【0014】
以上のような理由により、熱間圧延後冷間圧延前に(酸洗ライン中の酸洗部は除く)、欠陥検出装置および欠陥除去装置を設置するのがよい。
【0041】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態を説明する前に、本発明に用いるのに特に好適な欠陥検出装置の例をいくつか説明する。図1は、第1の欠陥検出装置の構成を示す概要図である。鋼板1には、その幅方向に微小で長さ方向(紙面に垂直な方向)に長い欠陥2が存在している。磁化電源3により、磁化器4のコイルに交流電流を供給し、鋼板1の表面付近を集中的に磁化する。図では磁束が鋼板1の幅方向に向かって形成されるような磁化を行っているが、なるべくこのような磁化を行うことが好ましい。
【0042】
そして、鋼板1の外部に漏洩する磁束を2つの磁気センサ5a、5bで検出する。この場合、磁気センサ5aの下に欠陥2が存在するので、この欠陥により磁路が妨げられ、多くの磁束が鋼板1の外部に漏洩する。よって、磁気センサ5aで検出される磁束の方が磁気センサ5bで検出される磁束より多くなり、磁気センサ5aの出力が磁気センサ5bの出力に比して大きくなる。よって、これらの出力を差動増幅器6に導き、その出力を位相検波器7に入力して、磁化電源3の波形に同期した(位相はずれていることあり)信号により位相検波すると、欠陥2の大きさに応じた信号が得られる。この出力は欠陥レベル判別器8に導かれ、予め定められている閾値と比較されることにより、欠陥2のレベルが判別される。
【0043】
欠陥2は、鋼板の幅方向には微小であるが、長さ方向には長いので、鋼板の幅方向に磁化を行えば、遮られる磁路の幅が大きくなり、大きな欠陥信号が得られる。また、2つのセンサの出力の差動信号で欠陥の判別を行っているので、鋼板1に共通するノイズ(透磁率の変化等)や外部ノイズは相殺されS/N比良く欠陥の検出が可能である。
【0044】
図2に、第2の欠陥検出装置の構成の概要を示す。以下の図において、前出の図に示された構成要素と同じ構成要素には、同じ符号を付してその説明を省略することがある。この欠陥検出装置では、磁化器及び磁気センサとしてE型コイル9が用いられている。E型コイル9のヨークは3つの脚部9a、9b、9cを有し、それぞれが鋼板1の表面に略垂直に、かつそれぞれが鋼板1の幅方向に並ぶように、鋼板1に対面して設けられている。
【0045】
そして、中心の脚部9aに巻回されたコイルには、磁化電源3からの交流電流が供給されて磁化されている。両側の脚部9b、9cにもコイルが巻回され、磁気センサとして使用される。脚部9aのコイルで発生した磁束は、鋼板1の表面近傍を通り、両側の脚部9b、9cを通って脚部9aに戻る。
【0046】
そのとき、欠陥2が図のような位置に存在すると、脚部9a、9bを通る磁束に対する磁気抵抗が、脚部9a、9cを通る磁束に対する磁気抵抗より大きくなり、これにより、脚部9bを通る磁束の磁束密度は、脚部9cを通る磁束の磁束密度より小さくなる。よって、脚部9bに巻回されたコイルに誘起される電圧は脚部9cに巻回されたコイルに誘起される電圧より小さくなり、両者を差動増幅器7に入力すると、両者の差に対応する電圧が出力される。それを、位相検波器8に導き、磁化電源3の波形に同期した(位相はずれていることあり)信号により位相検波すると、欠陥2の大きさに応じた信号が得られる。この出力は欠陥レベル判別器8に導かれ、予め定められている閾値と比較されることにより、欠陥2のレベルが判別される。
【0047】
欠陥2は、鋼板の幅方向には微小であるが、長さ方向には長いので、図のような向きにE型コイルを配置すれば、遮られる磁路の幅が大きくなり、大きな欠陥信号が得られる。また、2つのセンサの出力の差動信号で欠陥の判別を行っているので、鋼板1に共通するノイズ(透磁率の変化等)や外部ノイズは相殺されS/N比良く欠陥の検出が可能である。
【0048】
図3に、第3の欠陥検出装置の構成の一部を示す。この欠陥検出装置においては、図示しない磁化装置によって、鋼板1が板幅方向に交流磁化されている。磁気センサ5を板幅方向に走査し、その出力の時間的な変化を観察する。欠陥2が存在すると、その部分で検出される磁束が変化するため、磁気センサの出力が変化するので、磁気センサ5の出力を信号処理することにより欠陥2を検出できる。鋼板1が長さ方向に走行している場合は、検査範囲がジグザグの範囲になるが、磁気センサの数を増やして走査範囲を短くし、走査速度を速くすれば、所定長さ以上の欠陥を検出することができる。
【0049】
図4に、第4の欠陥検出装置の構成の一部を示す。この欠陥検出装置においても、図示しない磁化装置によって、鋼板1が板幅方向に交流磁化されている。この欠陥検出装置においては、鋼板1の幅方向に多数の磁気センサ5が配置されている。磁気センサ5の出力はスキャナに接続され、順次選択された1つの磁気センサの出力が信号処理されるようになっている。このようにすれば、図3における機械的走査と同等の走査を電子的に行うことができる。この走査は高速で行うことができるので、検出できる欠陥の長さを短くすることができる。
【0050】
この欠陥検出装置おいて、1つずつの磁気センサ5の出力を逐次処理してその時間的変化から欠陥を検出するのでなく、隣り合う2つずつの磁気センサ5の出力を逐次入力し、その2つずつの磁気センサの差分を演算し、前述のような処理により欠陥を検出するようにしてもよい。このようにすれば、信号そのものを時間的に処理して欠陥を検出する必要が無く、差分信号から直接欠陥を検出することが可能になる。
【0051】
図5に、第5の実施欠陥検出装置の構成の一部を示す。図5は、磁化装置と磁気センサの部分を中心に図示したもので、鋼板や信号処理回路については、図示を省略している。櫛型形状を有する櫛型強磁性体10の各脚部が、鋼板の表面に略垂直に、かつ、それぞれが鋼板の幅方向に並ぶように配置されている。各脚部には、コイルが巻回されている。
【0052】
このような検出装置を使用して欠陥の検出を行うには、まず、(a)に示すように、図の左端の3つの脚部を使用し、その中央の脚部10bのコイルを磁化電源3に接続して、交流磁束を発生させる。そして、その磁束をその両側に位置する脚部10a、10cに巻回されたコイルにより検出し、検出信号を差動増幅器6に導く、以下信号処理は図2に示したものと同様に行う。これは、櫛歯状のヨークの左側の脚部3つを、図2に示したE型コイルとして使用して検出を行っていること相当する。
【0053】
次に、電気経路を電子的または電気的に切り替えて、(b)に示すように、左端から2〜4個目の脚部を利用し、脚部10cに巻回されたコイルを励磁し、その左右の脚部10b、10dに巻回されたコイルにより磁束を検出する。さらに、図(c)に示すように、さらに一つずつ右側の脚部3本を利用して同様の検出を行う。以下、これを繰り返せば、鋼板の幅方向に向けて検出器を走査していることに相当し、広い幅の範囲に渡って機械的な動きを伴うことなく走査を行うことができる。励磁するコイル、検出コイルの切替は、電子的なスイッチを用いてもよいし、リレー等により切替を行ってもよい。
【0054】
なお、図4、図5のようにセンサや櫛形の脚部を配置した場合、さらに一組以上のセンサ列や、櫛形形状の強磁性体を配置し、互いのセンサや櫛形の脚部が千鳥状に配置されるようにすると、幅方向に隙間無く欠陥の検出を行うことができる。
【0055】
図6に、標準的微小欠陥時の磁気センサの信号波形と、実測された信号波形の関係より欠陥を検出する方法の例を説明する。磁気センサとしては、図2に示されたようなE型コイルを使用している。このようなE型コイル9を使用し、図6(a)に示すように鋼板1に形成された微小標準欠陥2の上を走査すると、図6(b)に示すような波形が得られる。このような波形を、標準的微小欠陥時の磁気センサの信号波形という。この波形の形をG(t) (−t1≦t≦t1)とする。t1は、信号がでなくなるまでの時間であり、欠陥が十分小さければ、磁気センサの形状と走査速度により定まる。今、図2において、位相検波器からえら得られる信号をF(t)とする。ただしtは時間である。このとき、
【0056】
【数1】
Figure 0003709930
【0057】
を求め、この出力の大きさにより欠陥を判別する。(1)式は、標準的微小欠陥時の磁気センサの信号波形との相互相関を実時間でとっていることに相当する。(1)式の計算は、(t+t1)の時間より後で行うことは言うまでもない。
【0058】
よって、微小欠陥が存在する場合、(1)式の値が大きくなり、微小欠陥の信号パターンと異なるパターンの信号(ノイズ等)が現われても、(1)式の値は大きくならない。よって、この方法により微小欠陥検出のS/N比を上昇させることができる。
【0059】
なお、図6(b)のような波形が得られるのは、圧延方向が長辺となる細長形状の欠陥を板幅方向に走査しているからである。図7(a)に示すように、圧延方向細長欠陥を圧延方向に走査しても、図6(b)のように大きな信号は得られず、図7(b)に示すように小さな出力が得られるのみである。よって、圧延方向に走査したのでは、圧延方向細長欠陥を精度良く検出することは難しい。
【0060】
以下、本発明の実施の形態の例を説明する。図8は、本発明の実施の形態の1例を説明するための図であり、酸洗ラインにおいて、入側レベラの後に欠陥検出装置を設け、欠陥の検出と除去を行う状態を示した図である。欠陥検出装置としては、図1〜図6に示したような、表面欠陥、表層欠陥であって、鋼板の長さ方向に長い欠陥を高い精度で検出するものが用いられている。
【0061】
酸洗ライン入り側にて設置されたレベラ11により板の凹凸が低減される。その後に、板へのテンションが大きく、また大径のブライドルロール12a〜12dに巻き付いた位置に、鋼帯1を挟んでブライドルロール12a〜12dと反対側に欠陥検出装置13a(鋼帯表側用)、13b(鋼帯裏側用)、および欠陥除去装置14a(鋼帯表側用)、14b(鋼帯裏側用)を設置する。なお、表側欠陥選択装置15a、裏側欠陥選択装置を15bとする。この場合、欠陥検出装置を設置する位置における鋼帯のユニットテンションは0.3kgf/mm以上であることが好ましい。
【0062】
表裏のシステムは原理的には別々に動作させることから、以後は簡単のため、表側ついて説明するが、裏側についても同様である。
以下にまず、欠陥検出装置13a、欠陥選択装置15a、欠陥除去装置14aの基本的に動作の概略および相互の関係について述べる。
【0063】
欠陥検出装置13aは、板ばたつき、板変形によるリフトオフ変動やセンサへの鋼帯の接触を抑えるため、上記に述べたようなライン内の位置に設置される。欠陥検出装置13aでは、信号レベルなどに基づき、1次的な欠陥候補部の抽出を行い、欠陥選択装置15aに対し、欠陥指示部信号レベル、指示部位置(長手方向、幅方向、深さ方向)、欠陥指示長さ(欠陥信号が連続する長さ)などの情報を伝送する。
【0064】
欠陥選択装置15aでは、欠陥検出装置13aからの情報を基に、圧延方向が長辺となる細長形状の表層・表面欠陥候補を除去対象として決定する。その決定方法としては、たとえば、欠陥指示部信号レベルがあらかじめ決められた閾値以上であり、かつ欠陥長さ(欠陥指示長さは仮に断続的に続いたとしても、近接していればひとかたまりの信号として認識するなどの欠陥長さ判定アルゴリズムにより、欠陥長さを求める)があらかじめ決められた閾値以上である場合に、圧延方向が長辺となる細長形状の表層・表面欠陥候補を除去対象とするなどが考えられる。
【0065】
欠陥除去装置14aは、欠陥選択装置15aからの除去対象欠陥位置(長手方向、幅方向、深さ方向)、欠陥長さ情報に基づき、欠陥部を含む領域を部分的に研削、あるいは切削により除去する。なお、欠陥除去装置14aも欠陥除去を安定に行うため、欠陥候補部検出装置13aAと同様、板ばたつき、板変形の影響の少ないライン内位置に設置される。なお、全体の動作シーケンスのコントロールは、シーケンサ(図示せず)などにより行うものとする。
【0066】
欠陥を除去された鋼帯は、冷間圧延を経て、めっきを施され、めっき鋼帯となる。このように酸洗段階で、下工程で欠陥となる部分が除去される結果、このめっき鋼帯は、表面欠陥の非常に少ない良質なものとなる。
【0067】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、重大度が大きい圧延方向に長い異常部を選択的に除去するする工程を設けることで、除去すべき欠陥部を的確に除去することが可能となり、不必要な部位まで除去してしまうことによる製品の歩留まり低下を防ぐことができるような冷延または鍍金鋼帯製造用鋼帯の製造方法及び鍍金鋼帯の製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態である欠陥検出装置の構成を示す概要図である。
【図2】本発明の第2の実施の形態である欠陥検出装置の構成を示す概要図である。
【図3】本発明の第2の実施の形態である欠陥検出装置の構成を示す概要図である。
【図4】本発明の第2の実施の形態である欠陥検出装置の構成を示す概要図である。
【図5】本発明の第2の実施の形態である欠陥検出装置の構成を示す概要図である。
【図6】標準的微小欠陥時の磁気センサの信号波形を示す図である。
【図7】圧延方向細長欠陥を圧延方向に走査した場合の磁気センサの信号波形を示す図である。
【図8】本発明の実施の形態の1例を説明するための図である。
【符号の説明】
1…鋼帯
2…欠陥
3…磁化電源
4…磁化器
5、5a、5b…磁気センサ
6…差動増幅器
7…位相検波器
8…欠陥レベル判別器
9…E型コイル
9a〜9c…脚部
10…櫛型強磁性体
10a〜10e…脚部
11…レベラ
12a〜12d…ブライドルロール
13a、13b…欠陥検出装置
14a、14b…欠陥除去装置
15a、15b…欠陥選択装置

Claims (3)

  1. 脚部にコイルが巻回された櫛型形状の強磁性体の4本以上の脚部を鋼帯面に対向して略垂直に、かつ鋼帯の幅方向に略平行に並べて配置し、隣り合う3本の脚部の組の選択を電子的に1本ずつずらしながら走査して、選択された3本の脚部のうち、中央の脚部に巻回された1次コイルに交流電流を印加して励磁し、外側の2つの脚部それぞれに巻回された2次コイルに誘起された電圧の差分信号を求める磁気センサを複数千鳥状に配置して、標準的微小欠陥を磁気センサの脚部を鋼帯の幅方向に走査して得られる一対の山谷の信号パターンの差分信号波形と、同様にして得られる被検査体検査部位の差分信号波形との相互相関値に基づいて欠陥の検出を行うことを特徴とする磁性金属体の表層欠陥又は表面欠陥の検出方法。
  2. 脚部にコイルが巻回された櫛型形状の多数の脚部が磁性金属被検体面に対向して略垂直に、かつ、磁性金属体の幅方向に略平行に並べて配置された櫛形形状の強磁性体を複数千鳥状に配置した磁気センサと、当該櫛形磁気センサの隣り合う3本の脚部を電子的に1本ずつずらしながら走査して順次選択し、3本の脚のうち中央の脚部に巻回された1次コイルに交流電流を流し、両端のコイルに誘起される電圧を後記演算器に接続する切り換え回路と、前記両端のコイルに誘起された電圧の差分を演算する演算器と、標準的微小欠陥を磁気センサの脚部を鋼帯の幅方向に走査して得られる一対の山谷の信号パターンの差分信号波形と、同様にして得られる被検査体検査部位の差分信号波形との相互相関値を基に欠陥の検出を行う欠陥判定部とを有することを特徴とする磁性金属体の表層欠陥又は表面欠陥の検出装置。
  3. 熱間圧延後酸洗前または酸洗後冷間圧延前に以下の工程を有することを特徴とする冷延または鍍金鋼帯製造用鋼帯の製造方法。
    1) 請求項1に記載の表層欠陥又は表面欠陥の検出方法を用いて、鋼帯に含まれる欠陥候補を検出する欠陥検出工程
    2) 前記検出工程により検出された欠陥候補のうち、前記鋼帯の圧延方向が長辺となる細長形状の表層又は表面欠陥候補を除去対象として決定する除去対象決定工程
    3) 前記対象決定工程により決定された除去対象を含む領域を選択して研削又は切削する欠陥除去工程
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