図1に示すように、パチンコ店などで使用されるスロットマシン10(遊技機)は、島設備11に備え付けられており、関連のある機種ごとに統括的に管理される。また、スロットマシン10の内部には、メダル19の払い出しを行うホッパー装置15(図2参照)が組み込まれている。
スロットマシン10は、遊技媒体としてメダル19を用いる遊技機である。このメダル19の径は、スロットマシン10の機種ごとに予め定められており、25φメダル又は30φメダルの何れかが使用される。
また、メダル19は、メダル投入口20からスロットマシン10に投入されると、メダルセンサ(図示しない)により、スロットマシン10に使用されるメダルであるか否かを検査される。すなわち、予め定められた径とは異なる径のメダルである場合など、投入されたメダルが不正なメダルであった場合には、この投入されたメダルはメダル払出口21から排出される。一方、投入されたメダル19がスロットマシン10で使用される正規のメダルであった場合には、入賞ラインが有効化されたり、クレジットされるなどして、スロットマシン10は遊技開始可能な状態となる。このとき、投入されたメダル19は、メダル貯留箱41(図2参照)に貯留される。
また、スロットマシン10の前面には、ベットボタン22、スタートレバー23、リール24a,24b,24c、演出表示部26、ストップボタン27a,27b,27c、ペイアウトボタン28などが設けられている。
ベットボタン22は、遊技の開始に必要な枚数のメダル19が既に投入され、クレジットされているときに押圧操作が有効となる。このベットボタン22が押圧操作されると、スロットマシン10はいわゆる入賞ラインを有効化する。
スタートレバー23は、入賞ラインが有効化された後に操作が有効となる。このスタートレバー23が押下されると、スロットマシン10はリール24a,24b,24cの回転を開始するとともに、演出表示部26に遊技の様態に応じたさまざまな演出を表示する。
ストップボタン27a,27b,27cは、各々対応するリール24a,24b,24cの回転を停止させるボタンであり、リール24a,24b,24cが回転を開始されてから所定時間後に押圧操作が有効とされる。
リール24a,24b,24cの回転が全て停止されたときに、所定の当選役を示す図柄の組み合わせが入賞ライン上に表示されている場合には、スロットマシン10は、入賞した当選役に応じて予め定められた枚数のメダル19の払い出しを行う。こうしたメダル19の払い出しはホッパー装置15によって行われる。
また、ペイアウトボタン28はクレジットされたメダルを払い出しを行うためのボタンである。ペイアウトボタン28が押圧操作されると、スロットマシン10はホッパー装置15によってクレジットされているメダル19の払い出しを行う。
メダル貸出機31は、スロットマシン10とともに島設備11に備え付けられており、このメダル貸出機31の近傍に配置されたスロットマシン10で使用するメダル19の貸し出しを行う。このメダル貸出機31によるメダル19の貸し出しは、このメダル貸出機31の内部に組み込まれたホッパー装置によって行われる。このメダル貸出機31に組み込まれたホッパー装置は、メダル貯留箱の大きさや詳細な形状などが異なるものの、スロットマシン10に組み込まれたホッパー装置15と同様の機構でメダル19の払い出しを行う。
なお、メダル貸出機31によるメダル19の貸し出し枚数は、紙幣投入口33から投入される紙幣の金額に応じて予め定められており、紙幣の金額とメダルの貸し出し枚数との対応などの各種情報は、情報表示部34に表示されている。
図2に示すように、ホッパー装置15は、メダル貯留箱41、ロータリーディスク42、保持部材43などから構成される。
メダル貯留箱41は、所定範囲の枚数のメダル19を貯留しておく箱であり、開放された上面からメダル19が供給される。このメダル貯留箱41に貯留されるメダル19は、前述のようにメダル投入口20から投入されるばかりでなく、島設備11に設けられたメダル供給装置(図示しない)などからも供給される。また、メダル貯留箱41の内面は下方に向かうにつれて窄まる形状となっており、このメダル貯留箱41に貯留されたメダル19は、下方に自然に移動される。さらに、メダル貯留箱41の下面46は、保持部材43の前面の傾斜に応じて、傾いて設けられており、その中央付近にはロータリーディスク42を露出するための開口47が設けられている。
ロータリーディスク42は、メダル貯留箱41に貯留されたメダル19を保持して回転移動させる円盤形状の部材であり、保持部材43の前面に嵌め込まれるように配置される。また、このロータリーディスク42には、25mmφの開口(以下、25φ開口)51と30mmφの開口(以下、30φ開口)52とが5箇所に設けられている。
25φ開口51(メダル保持穴)と30φ開口52(メダル保持穴)は互いに同心となるように設けられている。また、30φ開口52の内部に下段となるように25φ開口51が設けられている。すなわち、30φ開口52と25φ開口51とからなるロータリーディスク42の開口50は、スロットマシン10やメダル貸出機31で使用されるメダル19の径の種類に応じて、直径が段階的に変化するように設けられている。したがって、30φメダルをホッパー装置15に供給すると、この30φメダルは30φ開口52に嵌まり込み、保持される。一方、25φメダルをホッパー装置15に供給すると、この25φメダルは30φ開口52を通り抜け、25φ開口51に嵌まり込み、保持される。
一方、ロータリーディスク42の上面から見ると、30φ開口52は前述のように30mmφの開口となっているが、この30φ開口52の内壁の一部にはロータリーディスク42の側面に貫通する貫通孔(以下、30φ貫通孔)53が設けられている。この30φ貫通孔53の幅は、30φ開口52に保持された30φメダルが移動可能となるように、30mm程度の幅となっている。同様に、25φ開口51は、ロータリーディスク42の上面から見ると25mmφの開口となっているが、この25φ開口51の内壁の一部にはロータリーディスク42の側面に貫通する貫通孔(以下、25φ貫通孔)54が設けられている。この25φ貫通孔54の幅は、25φ開口51に保持された25φメダルが移動可能となるように、25mm程度の幅となっている。
また、ロータリーディスク42の背面の中央部分には、保持部材43に設けられた回転軸56(後述)と嵌り合う軸受57が設けられている。軸受57は回転軸56と掛かり合う形状となっており、回転軸56が回転すると、これに応じてロータリーディスク42が回転される。
さらに、ロータリーディスク42の背面には、保持部材43の前面に固定して設けられたガイドピン61,62と各々掛かり合うガイド溝63,64(ガイドピン通過溝)が設けられている。一体につくられたロータリーディスク42を便宜的に切断,分解した図3にも併せて示すように、このガイド溝63,64は、ガイドピン61,62の軌跡に合わせて軸受57を中心とする円環上に設けられた溝である。すなわち、ガイド溝63,64は、ロータリーディスク42の回転時に各々のガイドピン61,62が通過可能となるように設けられている。したがって、ガイド溝63の周はガイド溝64の周よりも短く、ガイド溝63,64の幅はピン61,62の直径よりも大きい。
また、ガイド溝63,64は25φ開口51及び30φ開口52を横切るように設けられており、その深さは、25φ開口51を貫通し、30φ開口52を貫通しない程度の深さに設けられている。すなわち、ガイド溝63,64は、ロータリーディスク42の背面から、最上段の開口である30φ開口52の中程までの深さとなるように設けられており、ロータリーディスク42はガイド溝63,64によって断片に分割されることなく一体につくられている。したがって、ロータリーディスク42が軸受57を中心として回転されると、径に応じて25φ開口51又は30φ開口52のどちらに保持されているメダルであっても、この保持されたメダルの外周縁はいずれガイドピン61,62の側面と当接する。
保持部材43の上面には、前述のロータリーディスク42を嵌め込む円形のディスク溝66が設けられている。このディスク溝66の中央には回転軸56が設けられている。この回転軸56は、保持部材43の内部に設けられた図示しないギアやモータなどによって回転される。また、回転軸56を回転させるモータなどの制御は、スロットマシン10に備えられた制御部(図示しない)によって行われる。
ガイドピン61,62は、ロータリーディスク42によって回転軸56を中心に回転移動されている25φメダルを、25φ開口51から25φ貫通孔54の方向へと移動させる。同様に、ガイドピン61,62は、ロータリーディスク42によって回転軸56を中心に回転移動されている30φメダルを、30φ開口52から30φ貫通孔53の方向へと移動させる。すなわち、ガイドピン61,62は、ロータリーディスク42によって所定位置まで回転移動されたメダル19をその外側へ、ホッパー装置15から払い出される方向へと導く。
これらのガイドピン61,62は、ディスク溝66の上方中段に各々突出して設けられており、ロータリーディスク42がディスク溝66に嵌め合わされると、ガイドピン61は前述のようにロータリーディスク42のガイド溝63に嵌まり込む。同時に、ガイドピン62はガイド溝64に嵌まり込む。また、これらのガイドピン61,62が、ディスク溝66の底面から突出する長さは、ガイド溝63,64と略同じ長さであり、ロータリーディスク42が回転することで移動されたメダル19は、これらのガイドピン61,62と側面で接触する。
ディスク溝66の上方の側面には、25φ通路67(払出通路)が設けられている。この25φ通路67は、25φ貫通孔54に対応した高さに設けられており、ロータリーディスク42から払い出される25φメダルが通過する。また、25φ通路67はディスク溝66側から保持部材43の背面に貫通しており、保持部材43の背面側の開口の幅は25mm程度となっている。一方、25φ通路67のロータリーディスク42側(ディスク溝66側)の開口は、25mmよりも十分に広くなっている。すなわち、ロータリーディスク42に保持された25φメダルがガイドピン61,62に接触して、ロータリーディスク42から突出される量に合わせて開口の幅が広く設けられている。
同様に、ディスク溝66の上方の側面には、30φ通路68(払出通路)が設けられている。この30φ通路68は、30φ貫通孔53に対応した高さに設けられており、ロータリーディスク42から払い出される30φメダルが通過する。また、30φ通路68もまたディスク溝66側から保持部材43の背面に貫通しており、保持部材43の背面側の開口の幅は30mm程度となっている。一方、30φ通路のロータリーディスク42側(ディスク溝66側)の開口は、30mmよりも十分に広くなっている。すなわち、ロータリーディスク42に保持された30φメダルがガイドピン61,62に接触して、ロータリーディスク42から突出される量に合わせて開口の幅が広く設けられている。
さらに、上述の25φ通路67及び30φ通路68を横切るように、カウンタ71(払出カウンタ)が設けられている。このカウンタ71は、ホッパー装置15に25φメダルが用いられているときには、25φ通路67を通過して払い出される25φメダルの枚数を計数する。また、カウンタ71は、ホッパー装置15に30φメダルが用いられるときには、30φ通路68を通過して払い出される30φメダルの枚数を計数する。
図4(A)に示すように、カウンタ71は、くの字型に形作られたカウンタアームの両端に設けられたカウンタヘッド72と遮光部73とから構成される。カウンタアームは、折れ曲がり部分を中心として、保持部材43の上面に対して平行に回動自在に設けられている。また、このカウンタアームの回転の大きさは、図示しない機械的なストッパなどにより予め定められている。
カウンタヘッド72は、カウンタアームの一端に設けられており、保持部材43の前面に対して略垂直に、保持部材43に設けられたヘッド規制孔74に挿通されている。したがって、カウンタヘッド72は、このヘッド規制孔74の範囲内で自在に移動される。また、このカウンタヘッド72は、25φ通路67のみならず30φ通路68をも貫通する高さ、すなわち、払いだすメダルの径によらず共通に使用可能な高さに設けられている。したがって、払いだされるメダルが25φメダル,30φメダルの何れであっても、25φ通路67又は30φ通路68内で、この払い出されるメダルの側面に当接し、払い出し枚数を正しく計数する。
さらに、カウンタ71のカウンタヘッド72が設けられた端には、このカウンタ71を常時付勢するバネ76が取り付けられている。このバネ76は、カウンタヘッド72を25φ通路67及び30φ通路68の内部の方向へと常に付勢している。したがって、カウンタヘッド72に他の外力が働いていない場合には、カウンタヘッド72はヘッド規制孔74の最左端に、すなわち、25φ通路67及び30φ通路68の内部を貫通する部分に引き戻されている。
遮光部73はカウンタアームの他端に設けられており、カウンタ71が回転されたときに、保持部材43の内部に設けられたフォトインタラプタ77を横切る。遮光部73がフォトインタラプタ77を横切ることで、25φ通路67又は30φ通路68をメダル19が通過したことが検知される。したがって、25φ通路67を25φメダルが通過する場合であっても、30φ通路68を30φメダルが通過する場合であっても、遮光部73の大きさは、フォトインタラプタ77が正しくメダル19の個数を計数できる大きさとなっている。
例えば、25φ通路67を25φメダルが通過するときにはカウンタ71は回転され、図4(B)に示すように、バネ76の付勢力に抗してカウンタヘッド72は25φ通路67の外側にまで移動される。このとき、遮光部73の一端がフォトインタラプタ77を横切る。さらに、30φ通路68を30φメダルが通過するときには、カウンタ71は回転され、図4(C)に示すように、バネ76の付勢力に抗してカウンタヘッド72は30φ通路68の外側にまで移動される。このとき、カウンタヘッド72が25φ通路67の外側にまで移動された時点で遮光部73は既にフォトインタラプタ77を横切っている。この後、さらにカウンタ71が回転され、カウンタヘッド72が30φ通路68の外側にまで移動されたときにも遮光部73は未だフォトインタラプタ77を横切っている。
このように、ホッパー装置15に25φメダルを供給した場合であっても、30φメダルを供給した場合であっても、フォトインタラプタ77が払い出したメダルの枚数が計数するように、カウンタ71が設けられている。
上述のように構成されるホッパー装置15の作用について説明する。25φメダル19aを使用するスロットマシンやメダル貸出機にホッパー装置15を組み込むと、ホッパー装置15には25φメダル19aが供給される。このとき、図5(A)に示すように、25φメダル19aは、30φ開口52を通過して、25φ開口51に嵌まり込む。
そして、ロータリーディスク42が回転されると、図5(B)に示すように、ガイドピン61がガイド溝63を通って、25φメダル19の嵌まり込んだ25φ開口51内に進入する。このとき、25φメダル19aはガイドピン61と外周縁で接触する。この状態でさらにロータリーディスク42が回転されると、25φメダル19aはロータリーディスク42の回転に応じて次第に25φ貫通孔54の方向へと移動される。
さらにロータリーディスク42が回転されると、図5(C)に示すように、ガイドピン62がガイド溝64を通って、25φメダル19の嵌まり込んだ25φ開口51内に進入する。このとき、25φメダル19aはガイドピン62と外周縁で接触する。このように、25φメダル19aがガイドピン62と接触した状態でさらにロータリーディスク42が回転されると、ガイドピン62と25φ貫通孔54との間隔が狭くなり、25φメダル19aはロータリーディスク42の外側へと押し出される。また、ロータリーディスク42の外側に突出した25φメダル19aの一部分は、25φ通路67へと進入する。こうして25φメダル19aが25φ通路67へと進入すると、25φメダル19aはカウンタ71(カウンタヘッド72)と接触する。
さらにロータリーディスク42が回転されると、図6(A)に示すように、25φ貫通孔54の側壁とカウンタヘッド72との間隔が狭くなる。したがって、25φメダル19aは、カウンタヘッド72をヘッド規制孔74の右端方向に押し戻しながらホッパー装置15の外側へと押し出される。こうして25φメダル19aが25φ通路67内に押し出されると、カウンタヘッド72は25φ通路67の外側へと移動され、前述のようにフォトインタラプタ77を遮光部73が横切る。
また、前述のように、カウンタヘッド72はヘッド規制孔74の左端の方向へと常に付勢されている。したがって、図6(B)に示すように、25φメダル19aが十分に25φ通路67内に進入すると、カウンタヘッド72がヘッド規制孔74の左端へと付勢される力によって、25φメダル19aはホッパー装置15から弾き出される。このとき、フォトインタラプタ77を横切っていた遮光部73は、フォトインタラプタ77から退避され、25φメダル19aが払い出されたことが検知される。
同様に、30φメダル19bを使用するスロットマシンやメダル貸出機にホッパー装置15を組み込むと、ホッパー装置15には30φメダル19bが供給される。このとき、図7(A)に示すように、30φメダル19bは30φ開口52に嵌まり込む。
そして、ロータリーディスク42が回転されると、図7(B)に示すように、ガイドピン61がガイド溝63を通って、30φメダル19bの嵌まり込んだ30φ開口52内に進入する。このとき、30φメダル19bはガイドピン61と外周縁で接触する。この状態でさらにロータリーディスク42が回転されると、30φメダル19bはロータリーディスク42の回転に応じて30φ貫通孔53の方向へと移動される。
さらにロータリーディスク42が回転されると、図7(C)に示すように、ガイドピン62がガイド溝64を通って、30φメダル19bの嵌まり込んだ30φ開口52内に進入する。このとき、30φメダル19bはガイドピン62と外周縁で接触する。このように、30φメダル19bがガイドピン62と接触した状態でさらにロータリーディスク42が回転されると、ガイドピン62と30φ貫通孔53との間隔が狭くなり、30φメダル19bはロータリーディスク42の外側へと押し出される。また、ロータリーディスク42の外側に突出した30φメダル19bの一部分は、30φ通路68へと進入する。こうして30φメダル19bが30φ通路68へと進入すると、30φメダル19bはカウンタヘッド72と接触する。
さらにロータリーディスク42が回転されると、図7(A)に示すように、30φ貫通孔53の側壁とカウンタヘッド72との間隔が狭くなる。したがって、30φメダル19bは、カウンタヘッド72をヘッド規制孔74の右端方向に押し戻しながらホッパー装置15の外側へと押し出される。
こうして30φメダル19bが30φ通路68内に押し出されると、カウンタヘッド72が25φ通路67の外側に押し出された時点で、カウンタ71の遮光部73はフォトインタラプタ77を横切る。また、カウンタヘッド72が30φ通路68の外側に押し出され、ヘッド規制孔74の最右端付近へと移動されるときにも、遮光部73は継続してフォトインタラプタ77を横切っている。
一方、前述のように、カウンタヘッド72はヘッド規制孔74の左端へと常に付勢されている。したがって、図7(B)に示すように、30φメダル19bが十分に30φ通路68に進入すると、カウンタヘッド72がヘッド規制孔74の左端方向へと付勢される力によって、30φメダル19bはホッパー装置15から弾き出される。このとき、フォトインタラプタ77を横切っていた遮光部73は、フォトインタラプタ77から退避され、30φメダル19bが払い出されたことが検知される。
このようなメダルの払い出しの回数は、ホッパー装置15が組み込まれたスロットマシンやメダル貸出機などによって制御され、必要な枚数のメダルの払い出しが行われる。
上述のように、ホッパー装置15は、煩雑な機械的設定の変更等を必要とせずに、25φメダルの払い出しと30φメダルの払い出しを行うことができる。すなわち、25φメダルを使用するスロットマシン,メダル貸出機の機種に対しても、30φメダルを使用する機種に対しても、同じホッパー装置15を用いることができる。したがって、島設備11によって島ごとに管理されるスロットマシンやメダル貸出機を、異なる径のメダルを使用する島に容易に移動させることができる。
また、ホッパー装置15は、ガイドピン61,62を25φメダルの払い出しと30φメダルの払い出しとに共通に用いるから、1つのホッパー装置で2種類のメダルの払い出しを行うにもかかわらず、部品数も少なく安価に作製できるとともに、構造も容易に作製できるものとなっている。
さらに、ホッパー装置15に設けられたカウンタ71は、25φメダルと30φメダルとに共通して設けられており、25φメダルの払い出し数と30φメダルの払い出し数とを共に正しく計数する。したがって、使用される可能性のあるメダルの径に応じて複数のカウンタ71を設ける必要もなく、カウンタ71の配置が容易であるばかりか、部品数の削減となり、容易かつ安価にホッパー装置15を提供することができる。
なお、上述の実施形態では、25φ開口51と30φ開口52とは互いの中心が一致するように設けられているが、これに限らず、25φ開口51と30φ開口52とが互いに偏心した位置となるように設けても良い。例えば、図9に示すように、ロータリーディスク42の遠心方向に、25φ開口51を30φ開口52に対して偏心させて設けても良い。
このように30φ開口52に対して25φ開口51を偏心させて配置することで、傾斜した保持部材43の上面にロータリーディスク42が配置されているホッパー装置15では、使用するメダル19の径に応じて開口の径が段階的に変化するにもかかわらず、より確実に各々のメダル19の径に応じた開口に正しく嵌まり込ませることができる。
なお、上述の実施形態では、ロータリーディスク42は全体が一体となってつくられているが、これに限らず、複数の部品を組み合わせて構成しても良い。例えば、図10に示すように、30φ用ディスク81と25φ用ディスク82とからなるロータリーディスク80を用いても良い。
この30φ用ディスク81には、30φ開口52が5箇所に設けられており、その厚さは全体が一体的に作られたロータリーディスク42の略半分の厚さとなっている。また、30φ用ディスク81の背面には、ガイドピン61,62と掛かり合うガイド溝63,64や保持部材43の回転軸56と嵌り合う軸受57などが、全体が一体的につくられたロータリーディスク42と同様に設けられている。
さらに、30φ用ディスク81の背面には、30φ開口52の位置と対応するように、周縁部分に達するまで幅30mm程の30φ溝83が設けられている。この30φ溝83は、25φ用ディスク82と合わせられたときに、30φ貫通孔53と同様の役割を担う。
25φ用ディスク82は、外周部87、中周部88、内周部86とからなり、各々別個に設けられている。これらの25φ用ディスク82を構成する各部86,87,88は、図示しないネジなどで30φ用ディスク81の所定位置に取り付けられる。
内周部86は25φ用ディスク82の最内郭に位置し、中央には保持部材43の回転軸56が挿通されて噛み合う軸受57の一部が設けられている。また、周縁部分には25φ開口51の一部となる形状の切り欠きが設けられている。外周部87は25φ用ディスク82の最外郭に位置し、内側の周縁部分には、25φ開口51の一部となる形状の切り欠きが設けられている。また、この外周部87の背面には25φ開口51から25φメダルを外部に導く25φ溝89の一部が設けられている。この25φ溝89は、全体が一体につくられたロータリーディスク42の25φ貫通孔54と同様の役割を担う。そして、5個の中周部88は、各々同じ形状の部品であり、内周部86と外周部87との間の所定位置に各々配置され、内周部86や外周部87の周縁部分の形状と合わせて25φ開口51やガイド溝63,64を形作る。また、このように25φ用ディスク82の各部によって形作られる25φ開口51の中心位置は、30φ用ディスク81に設けられた30φ開口52の中心位置と一致する。なお、この中心位置は図9と同様に、互いに偏心した位置となるように設けても良い。
このように、ホッパー装置15に用いるロータリーディスクは、全体が必ずしも一体となって成型されている必要はなく、複数の部品を組み合わせてひとつのロータリーディスクとなるように構成することで、組み合わせる各々の部品の形状はより容易に作製できる形状となるから、結果としてホッパー装置15を容易に作成することができるようになる。
なお、ロータリーディスク80のように複数の部品を組み合わせてひとつのロータリーディスクとする場合には、上述のように図示しないネジなどで取り付けるのではなく、ロータリーディスクを被覆して保護する樹脂などを利用して30φ用ディスク81と25φ用ディスク82とを所定位置に固定して合わせ、一体のロータリーディスク80となるようにしても良い。
また、上述のロータリーディスク80のように30φ用ディスク81と25φ用ディスク82とを合わせてロータリーディスクをつくることに限らず、ロータリーディスクを構成する部品の個数、形状などは、各部品の製造が容易になる形状であれば上述の例に限らない。
なお、上述の実施形態では、ガイドピン61,62は、25φメダルと30φメダルとに共通して用いられるが、これに限らず、各径のメダルに各々専用の位置にガイドピンを設けても良い。上述の実施形態では、スロットマシン10やメダル貸出機31にホッパー装置15を用いる例を示すため、25φメダルと30φメダルとに共通のガイドピンを設けることが可能である。しかし、両替装置など他の径のメダルや硬貨などを扱う場合には、取り扱うメダル類の径によっては、全てのメダル類に共通のガイドピンを設けることは必ずしも容易でない。したがって、こうした場合には、各々のメダル類の径に応じて専用のガイドピンを設けることが好ましい。
なお、上述の実施形態では、ガイドピン61,62はいわゆる棒状のピンであるが、これに限らない。すなわち、25φ開口51や30φ開口52に嵌まり込んだメダルをホッパー装置15から払い出される方向へと導くことができる形状であればガイドピン61の形状は棒状に限らない。また、上述の実施形態では、ガイドピンは、ガイドピン61,62の2個のガイドピンを用いるが、これに限らず、25φメダル及び30φメダルに共用の1個のガイドピンを設けてもよく、3個以上のガイドピンを設けても良い。
なお、上述の実施形態では、スロットマシン10及びこのスロットマシン10で使用するメダル19を貸し出すメダル貸出機31を例に挙げて説明するが、これに限らず、硬貨を払い出す両替機、自動販売機などにもホッパー装置15を用いることができる。