以下、本発明を実施するための最良の形態について図面を参照して説明する。
(例1)
図1には、本発明の例1である管継手1が示してある。図1に示す、管継手1の継手本体2の外側は、長手方向の略中央に段部2cが設けてあり、一方の端部2aから段部2cまでは若干の段差があるが略一定の径で外周面2eが形成されており、段部2cから他方の端部2bまでは、一方の端部2aから段部2cまでの径よりも小さい径で形成されている。段部2cから他方の端部2bに向かい、若干の長さだけ一定の径で外周面2gが形成され、傾斜面2dを経て、段部2cから傾斜面2dまでの径より小さい径で傾斜面2dから他方の端部2bまでテーパ雄ねじ2fが形成されている。
継手本体2内は、継手本体2の長手方向に沿って、一方の端部2aから他方の端部2bまで貫通する通孔21が設けられて筒状の形状をなしている。継手本体2内では、継手本体2の長手方向に沿って、複数の段部が設けられている。継手本体2の一方の端部2aから、継手本体2の長手方向に沿って、一定の径で第一の段部22が形成されている。第一の段部22には、一方の端部2a近傍にテーパ付円周溝22aが設けられており、テーパ付円周溝22aには一方の端部2aに向かって拡径するようなテーパ面22a1が設けられている。第一の段部22の略中央にもテーパ付円周溝22bが設けられており、同様に、テーパ付円周溝22bには一方の端部2aに向かって拡径するようなテーパ面22b1が設けられている。
第一の段部22に隣接して、第一の段部22の端面22cより、継手本体2の長手方向に沿って、一定の径である第二の段部23が形成されている。第二の段部23は、図1に示すように、第一の段部22よりも径が小さく、第一の段部22より長さが短い。第二の段部23に隣接して、第二の段部23の端面23aより、継手本体2の長手方向に沿って、一定の径で第三の段部24が形成されている。第三の段部24では、第二の段部23の端面23aより第三の段部24にかけて傾斜面24aが設けられている。この傾斜面24aは、図1に示すように、第三の段部24から第二の段部23に向かって拡径するように設けられている。また、第三の段部24の端面24b側では、端面24bから第三の段部24に向かって拡径する傾斜面24cが設けられている。
そして、第三の段部24に隣接して、第三の段部24の端面24bより、継手本体2の長手方向に沿って、一定の径で第四の段部25が形成されている。第四の段部25は、図1に示すように、第三の段部24よりも径が小さく、第三の段部24より長さが長い。以上のように、継手本体2内は一方の端部2aから他方の端部2bまでに第一の段部22、第二の段部23、第三の段部24、及び第四の段部25が形成されており、一方の端部2aから他方の端部2bに向かい各段部22、23、24、25の径が小さくなっている。なお、本例では、継手本体2は、耐食性及び剛性を必要とするのでSCS材(SUS304に相当するSCS13)により精密鋳造の方法で形成されている。ただし、継手本体2は、青銅材を用いて精密鋳造の方法で形成することも可能である
そして、継手本体2内には、まず第二の段部23に、図1に示すように、シール部材であるOリング4が組み込まれている。図1に示すように、Oリング4は第二の段部23及び端面23aに当接(接触)するように組み込まれている。本例では、シール部材であるOリング4は、オレフィン系ゴムで形成されている。また、このOリング4はオレフィン系ゴム以外では、特に耐熱性に優れたエチレンとプロピレン及び架橋用ジエンモノマーとの3元共重合体であるEPDMで形成することが好ましく、また耐熱性とともに耐薬品性にも優れたFKM(フッ素ゴム)で形成することもできる。
つぎに、継手本体2内には、Oリング4に隣接してスリーブ6が組み込まれている。スリーブ6は、図1に示すように、略円錘台状の形状をなしており、スリーブ6の縮径する側(スリーブ部62側)を継手本体2の一方の端部2aに向けて組み込んである。このスリーブ6は支持部61とスリーブ部62とから構成されている。支持部61は、Oリング4の内側を支持するために、Oリング4の形状に沿うような断面略円弧状の凹部61aが支持部61の外周面に沿って形成されている。また、支持部61に連続するスリーブ部62には、複数のスリット62aが通孔21方向に形成されている。
このスリーブ6が継手本体2内に組み込まれ、Oリング4の内径側4aにスリーブ6の支持部61の凹部61aが当接することになる。このとき、スリーブ6は、本例では、図1に示すように、継手本体2内の第一の段部22と第二の段部23とにかかる位置に組み込まれている。つぎに、継手本体2内には、スリーブ6に隣接して可動部材7である可動部材7が組み込まれている。可動部材7は、図1に示すように、リング状部材であり、可動部材7の外周面72が第一の段部22に沿うように組み込まれている。可動部材7の内径側に突部71が形成されており、この突部71がスリーブ6のスリーブ部62の内周側に入り、可動部材7がスリーブ6に対して安定した状態で(ぐらつかないで)、スリーブ6に当接して継手本体2内に組み込まれている。
本例では、スリーブ6に対して可動部材7を安定させるために、可動部材7の内径側に突部71を形成したが、スリーブ6に対して可動部材7を安定させるために突部71を設けることには限定されない。本例では、可動部材7である可動部材7はポリオレフィンで形成されているが、ポリオレフィンに限定されることなく、架橋PE等であれば可動部材7の材料として用いることは可能である。
つぎに、継手本体2内には、可動部材7に隣接して弾性部材8が第一の段部22内に組み込まれている。本例では、図1に示すように、弾性部材8として略円錐台状のコイルバネ8(圧縮コイルバネ)を用いている。コイルバネ8は、線材を一端から他端に向かって外径が増大するように巻回して形成された略円錐台状の形状をなしている。本例では、このコイルバネ8の縮径する側(小径側8a)を継手本体2の一方の端部2aに向けて組み込んである。つまり、コイルバネ8の大径側8bを可動部材7の平面部73に当接するように組み込んである。
ただし、コイルバネ8の小径側を可動部材7の平面部73に当接するように組み込むことも可能である。また、本例では、このように弾性部材8として略円錐台状のコイルバネ8を用いているが、可動部材7に押圧を加えることができれば、略円錐台状のコイルバネ8に限定されることはない。本例では、コイルバネ8をオーステナイト系ステンレス鋼(SUS304)で形成されているが、コイルバネ8をオーステナイト系ステンレス鋼(SUS304)で形成することに限定されるものではない。
また、継手本体2内には、第一の段部22のテーパ付円周溝22aに止め具11であるストップリング11が、テーパ付円周溝22aより一部が出るように組み込まれている。本例で用いているストップリング11は、オーステナイト系ステンレス鋼(SUS304)で形成されているが、特にオーステナイト系ステンレス鋼(SUS304)に限定されるものではない。
つぎに、継手本体2へは、継手本体2の一方の端部2aより円筒状の部材である押輪3が組み込まれている。図1に示すように、押輪3の継手本体2へ組み込む側は、継手本体2の内周面(第一の段部22)と係合できるような一定の径の外周面3aが形成されている。そして、外周面3aより若干の段差を経て一定の径の外周面3bが形成され、さらに段差を経て一定の径の外周面3cが形成されている。つまり、押輪3の外形は、外周面3aから外周面3cに向かって径が小さくなっている。また、押輪3の外周面3aには円周溝31が形成されておりストップリング11が入ることが可能になっている。図1では、継手本体2内のテーパ付円周溝22aより出たストップリング11の一部が押輪3の円周溝31に入っている状態になっている。
押輪3の長手方向に沿って、一方の端部3dから他方の端部3eまで貫通する通孔35が設けられて筒状の形状をなしている。押輪3の内周面3fでは、押輪3の一方の端部3dから他方の端部3eに向かう方向に、拡径するテーパ面32が形成されている。本例では、押輪3はSCS材を精密鋳造の手法により形成している。押輪3も継手本体2と同様に、耐食性及び剛性を必要とするので、SCS材の他に、オーステナイト系ステンレス鋼により熱間鍛造、冷間鍛造あるいはプレス成形等の塑性加工の手法により形成することができる。
押輪3内には、抜止部材9と抜止部材9を支持する保持部材5が組み込まれている。保持部材5は、図1に示すように、円筒状の部材であり、略円錐台状の形状をなしており、保持部材の一方の端部5aから他方の端部5bに向かう方向に、外周部が拡径するように形成されている。保持部材5の略円錐台状のテーパ面5cは、押輪3内のテーパ面32と略同一の傾きとなっている。そのため、保持部材5を押輪3内に組み込むことが可能になっている。保持部材5の他方の端部5bは、リング部53が形成されており、リング部53は通孔21に沿って延びており、そのリング部53は、図1に示すように、コイルバネ8の(縮径する側(小径側8a))内径側に当接している。
本例では、保持部材5は汎用エンジニアリングプラスチックのPOM(ポリアセタール)で形成されている。ただし、保持部材5はPOM(ポリアセタール)に限定されることなく、他の汎用エンジニアリングプラスチックを用いることもできる。また、優れた耐熱性を有するPPS(ポリフェニレンサルファイド)などの特殊エンジニアリングプラスチックで形成することもできる。
また、保持部材5内には、図1に示すように、抜止部材9が組み込まれている。保持部材5には、通孔21方向に沿って、長孔部51が形成されており、その長孔部51内に抜止部材9が組み込まれている。そして、その抜止部材9を保持するための保持部52が長孔部51に設けられ、長孔部51に組み込まれた抜止部材9を保持している。また、抜止部材9には、通孔21に挿入される接続管10の外周面10bに係止するための楔状突起91が形成されている。
なお、本例では、接続管10はオーステナイト系ステンレス鋼(SUS304)を形成しているが、特に、オーステナイト系ステンレス鋼(SUS304)に限定されるものではない。抜止部材9は、接続管10より硬質の材料であればよい。そのため、本例では、接続管10がオーステナイト系ステンレス鋼(SUS304)を形成したものであるため、抜止部材9は、マルテンサイト系ステンレス鋼(SUS420)で形成されている。ただし、抜止部材9は、接続管10より硬質の材料であればよく、マルテンサイト系ステンレス鋼(SUS420)に限定されるものではない。
つぎに、以上の構成の管継手1に接続管10を挿入する工程について図2を中心に説明する。
まず、接続管10を押輪3側より通孔21(通孔35)に挿入する。接続管10が押輪3内の通孔21(通孔35)を通過中、保持部材5の通過に際し、保持部材5内の長孔部51内に組み込まれている抜止部材9の楔状突起91に当接する。当接しても接続管10の挿入を続けると、抜止部材9は押輪3のテーパ面32に沿って内径側が拡がって、楔状突起91が接続管10の外周面10bに係止する位置まで接続管10の挿入方向へ移動する。このとき抜止部材9と共に、保持部材5は接続管10の挿入方向へ移動する。
この状態でさらに接続管10を挿入しても、保持部材5はコイルバネ8によって押圧を加えられている(付勢されている)のでさらに接続管10の挿入方向へ移動することはない。すなわち、楔状突起91が接続管10の外周面10bに係止する位置まで移動して、接続管10が抜止部材9を通過した後にさらに挿入されても、抜止部材9は接続管10の挿入方向へ移動せず、抜止部材9の楔状突起91は接続管10の外周面10bを滑る(スライドする)。
そして、接続管10の通孔21内へ挿入が続き、接続管10の端面10aはスリーブ6の支持部61に到達し、接続管10の端面10aが支持部61に当接する。接続管10の通孔21内へ挿入が続き、可動部材7はコイルバネ8によって接続管10の挿入方向に押圧されているので(付勢されているので)、接続管10の挿入により接続管10の挿入方向である第一の段部22の端面22cへ移動する。可動部材7が端面22cまで到達した後にさらに接続管10が挿入されると、可動部材7に当接していたスリーブ6のスリーブ部62は可動部材7から離れ、接続管10の挿入方向へ移動する。このとき、スリーブ6の支持部61に形成された断面略円弧状の凹部61aからシール部材4が外れ、接続管10の端面10aが支持部61に当接した状態で移動し、シール部材4がスリーブ6のスリーブ部62に乗り上げる。
そして、接続管10の通孔21内へ挿入が続き、接続管10の端面10aが支持部61に当接した状態で第三の段部24内に入る。可動部材7の移動により、可動部材7に当接しているスリーブ6も接続管10の移動方向へ移動する。また、シール部材4には、接続管10の外周面10bからの押圧が加わり、シール部材4が第二の段部23へ押圧を加える。
接続管10の端面10aが支持部61に当接した状態で第三の段部24内に入ると、支持部61は第三の段部24より径が小さいため第三の段部24と当接することなく入る。ただし、支持部61に連続するスリーブ部62が第三の段部24へ入る際には、スリーブ部62が拡径しているために端面23a近傍に当接する。当接する端面23a近傍は、端面23aから第三の段部24にかけて傾斜面24aが形成されており、また、スリット部62は複数のスリット62aが設けられているため、傾斜面24aにスリーブ部62が当接すると拡径したスリット部62が第三の段部24の径に合わせて曲げられる。
そして、スリーブ部62が第三の段部24の径に合わせた状態で接続管10の通孔21内への挿入が続く。接続管10の通孔21内へ挿入が続くことで、可動部材7が端面22cに到達すると、可動部材7がシール部材4に当接し第二の段部23内で可動部材7と第二の段部23の端面23aとの間にシール部材4が挟みこまれる。その結果、シール部材4は、端面23a(シール溝の奧壁23a1)と可動部材7とによる押圧と、接続管10の外周面10bと第二の段部23とによる押圧とにより、図2に示すように変形する。このように変形することで、シール部材4は接続管10の外周面10bに密着し、シール溝の奧壁23a1を含めた継手本体2の内周面(第二の段部23)とも密着する。以上のように、シール部材4を挟んでいる、第二の段部23と接続管10の外周面10bとは、シール部材4が移動可能な、図2に示すような、接続管10の外周面10bに沿うようにシール溝12を形成する。
以上のように、シール溝12が形成されると、可動部材7はシール溝12を塞ぎつつ、圧縮されたコイルバネ8により接続管10の挿入方向に押圧が加わった状態になる(付勢される)。そして、接続管10の端面10aが支持部61に当接した状態で継手本体2の端面24bに到達する。以上のように接続管10が端面24bに到達することで接続管10の挿入が完了する。なお、この状態で接続管10を引き抜く方向に外力が加わったとしても、押輪3のテーパ面32に当接する抜止部材9の楔状突起91が接続管10の外周面10bに係止しているので、接続管10が引き抜けることはない。
次いで、押輪3を継手本体2内に向かって押し込んで施工を完了する。すなわち、図3に示すように、押輪3を継手本体2内に押し込んで、押輪3の外周面3aが継手本体2内(の第一の段部22)を移動して、押輪3と継手本体2との間にあるストップリング11が継手本体2のテーパ付円周溝22aからテーパ付円周溝22bへ移動し、テーパ付円周溝22b内へ入り込んで固定される。
このとき、抜止部材9は押輪3の内径に形成されたテーパ面32で押さえられて接続管10の径方向に移動して、抜止部材9の楔状突起91が接続管10を変形させながら接続管10の外周部に食い込む。また、このとき保持部材5は、押輪3の一方の端部3dで保持部材5の一方の端部5aが押されて接続管10の挿入方向に移動する。保持部材5の他方の端部5bによりコイルバネ8が最後まで圧縮されて、さらに可動部材7が端面22cに当接するまで押し込まれる。このときコイルバネ8は最後まで圧縮されているので、可動部材7は端面22cとコイルバネ8とで軸方向に拘束される。
シール部材4は、シール溝12の奧壁23a1を含めた継手本体2の内周面(第二の段部23)と接続管10の外周面10bと可動部材7に圧縮され、継手本体2と接続管10との接続を行う。また、ストップリング11は、継手本体2のテーパ付円周溝22bと押輪3の円周溝31とに入り込み、押輪3が継手本体2に固定されることで継手本体2と接続管10との接続も完了する。
つぎに、このように接続管10を挿入した管継手1の漏れ検知を行う。基本的には、上記に示すように、押輪3が継手本体2に固定されていれば流体(水、或いは空気)の漏れはない。しかしながら、配管の施工現場においては、現場の状況等により、接続管10挿入後の押輪3の継手本体2への固定がなされていない管継手1が生じる可能性がある。そのために、配管の施工完了後に、管継手1の漏れ検知を行う。以下では、押輪3が継手本体2への固定がなされていない管継手1があった場合に、漏れ検知がどのようにして行われるか示す。
漏れ検知では、図4の矢印A方向より接続管10(通孔21)へ流体である水(或いは空気)による押圧を加えることで確実に水、或いは空気が漏れることを確認することになる。本例では、図4の矢印A方向より管継手1(通孔21)へ水を流すことによる押圧を加えることで水が漏れることを確認する試験を行う。ただし、配管の施工現場の状況等により、図4の括弧で示す矢印E方向から流体である水(或いは空気)による押圧を加えることも可能である。
図4の矢印A方向より継手本体2内の通孔21に水が流されることで管継手1内に水圧よる押圧が加わる。水は矢印B方向に管継手1内の接続管10内を流れるとともに、矢印C方向に継手本体2内の内周面である第三の段部24側へも水が流れ、水を流すことによる押圧(水圧)が加わる。第三の段部24側へ流れた水は、スリーブ6に到達し、スリーブ6のスリット62a等から流れ出て、継手本体2内の内周面(第三の段部24)と接続管10の外周面10bとの間を流れる。水は第三の段部24を通過すると、第二の段部23と接続管10の外周面10bとの間(シール溝12)に流れ出る。
シール溝12に流れ出た水は、シール溝12内のシール部材4に当たり、シール部材4を矢印B方向へ移動させるような押圧を加える。そのため、シール部材4に押圧が加わり、シール部材4は矢印B方向へ移動する。シール部材4の接続管10の外周面10bに沿った移動によりシール部材4に当接している可動部材7も矢印B方向へ移動する。そして、図5に示すように、可動部材7の移動により、コイルバネ8は小径側8aが保持部材5に当接しているため、コイルバネ8は矢印B方向へ圧縮される。第二の段部23へ水が流れ続けることで、押圧(水圧)がシール部材4から可動部材7を経てコイルバネ8に加わり続け、図5に示すように、シール部材4がシール溝12の奧壁23a1から離れ、接続管10の外周面10bに沿って移動し、シール溝12から押し出され、第一の段部22側へ移動する。
その結果、シール溝12(端面22c近傍)とシール部材4との間に隙間ができ、或いはシール面圧を確保することができず、シール溝12に流れ出た水は図5に示す矢印D方向に沿って第一の段部22へ流れ出る。このように、水が第一の段部22へ流れ出ることにより水の漏れが発生することになる。
以上のように、漏れ検知が行われて漏れの発生が確認されると、その管継手1では、押輪3が継手本体2へ固定がなされていないことが確認される。
この場合、図3に示すように、上記に示す接続管10挿入後の継手本体2への押輪3の固定を行う。継手本体2へ押輪3を押し込むことで、抜止部材9は接続管10の径方向に移動して、抜止部材9の楔状突起91が接続管10を変形させながら接続管10の外周部に食い込む。このとき、保持部材5は、押輪3の一方の端部3dで保持部材5の一方の端部5aに押圧が加わり、保持部材5の他方の端部5bによりコイルバネ8が最後まで圧縮される。そして、可動部材7が端面22cに当接するまで移動し(押し込まれ)、コイルバネ8は最後まで圧縮されるので、可動部材7は端面22cとコイルバネ8とで軸方向に拘束される。
そして、シール部材4は、シール溝12の奧壁23a1を含めた継手本体2の内周面(第二の段部23)と接続管10の外周面10bと可動部材7に圧縮され、継手本体2と接続管10との接続を行う。また、ストップリング11は、継手本体2のテーパ付円周溝22bと押輪3の円周溝31とに入り込み、押輪3が継手本体2に固定されることで継手本体2と接続管10との接続が完了し、配管施工が終了することになる。
(例2)
図6には、本発明の例2である管継手100が示してある。例2では、例1で示した管継手1と実質的に同一の部品については、同一の参照番号を用い、特徴となる構造を中心に説明する。
図6に示す、管継手100の継手本体2の外周側は、例1とほぼ同一の形状で、段部2cが設けられ、外周部2e、外面部2gが形成され、傾斜面2dを経て、テーパ雄ねじ2fが形成されている。また、継手本体2の長手方向に沿って、一方の端部2aから他方の端部2bまで貫通する通孔21が設けられて筒状の形状をなしている。継手本体2内では、第一の段部22に隣接して、第一の段部22の端面22cより、継手本体2の長手方向に沿って、一定の径で第二の段部23が形成されている。
第二の段部23は、図6に示すように、第一の段部22よりも径が小さく、第一の段部22より長さが短い。端面22c近傍の、第二の段部23には、図6に示すように、挿入される接続管10の外周面10bに沿う方向に窪み部である断面円弧状の環状溝23bが設けられている。この断面円弧状の環状溝23bは、シール部材4を充分に収納できるだけの大きさである。つまり、シール部材4が入っても充分な空間が確保できるように形成されている。具体的には、断面円弧状の環状溝23bの外径は、シール部材4の外径より大きく形成されており、断面円弧状の環状溝23bの円弧も、シール部材4の線径を包含できる大きさに形成されている。そのため、シール部材4が移動して断面円弧状の環状溝23b内に入ると、断面円弧状の環状溝23b内でシール部材4の外周面4bを保持することが可能になっている。
そして、第二の段部23に隣接して第三の段部24が形成され、第三の段部24に隣接して第四の段部25が形成されている。以上のように、継手本体2内は一方の端部2aから他方の端部2bまでに第一の段部22、第二の段部23、第三の段部24、及び第四の段部25が(通孔21方向に沿って(挿入される接続管10の外周面10bに沿って)形成されており、一方の端部2aから他方の端部2bに向かい各段部22、23、24、25の縮径している。
継手本体2内の第二の段部23には、図6に示すように、Oリング4が第二の段部23及び端面23aに接触するように組み込まれている。そのOリング4に隣接してスリーブ6が組み込まれており、スリーブ6に隣接して可動部材7が組み込まれている。可動部材7は、図6に示すように、リング状部材であり、縁部7aとリング部7bとから構成されている。可動部材7の縁部7aの外周面72は第一の段部22に沿うように組み込まれており、リング部7bは通孔21方向に沿って延びている。つぎに、可動部材7に隣接して弾性部材8であるコイルバネ8が第一の段部22内に組み込まれている。そして、第一の段部22のテーパ付円周溝22aにストップリング11が組み込まれており、ストップリング11の一部がテーパ付円周溝22aより出ている。
つぎに、継手本体2へは、継手本体2の一方の端部2aより、例1と同様の円筒状の部材である押輪3が組み込まれている。そして、例1と同様に、継手本体2内のテーパ付円周溝22aより出たストップリング11の一部が押輪3の円周溝31に入っている。さらに、例1と同様に、押輪3内には、保持部材5が組み込まれ、保持部材5内の抜止部材9の楔状突起91が通孔21側に出ている。
つぎに、以上の構成の管継手100に接続管10を挿入する工程について図7を中心に説明する。
管継手100への接続管10の挿入する工程は、基本的には例1と同じである。接続管10を押輪3側より通孔21(通孔35)に挿入すると、接続管10は保持部材5内の長孔部51内に組み込まれている抜止部材9の楔状突起91に当接する。接続管10の挿入が続くと、抜止部材9は押輪3のテーパ面32に沿って内径側が拡がって、楔状突起91が接続管19の外周面10bに係止する位置まで接続管10の挿入方向に移動する。このとき抜止部材9と共に、保持部材5は接続管10の挿入方向へ移動する。この状態でさらに接続管10を挿入しても、保持部材5はコイルバネ8によって押圧を加えられている(付勢されている)ので、接続管10の挿入方向へ移動することはない。すなわち、楔状突起91が接続管10の外周面10bに係止する位置まで移動して、接続管10が抜止部材9を通過した後にさらに挿入されても、抜止部材9は接続管10の挿入方向へ移動せず、抜止部材9の楔状突起91が接続管10の外周面10bを滑る(スライドする)。
スリーブ6が接続管10の端面10aに押されて第3の段部24内に入り、コイルバネ8によって押圧され(付勢され)、可動部材7の縁部7aが第一の段部22の端面22cに向かうと、第二の段部23内でリング部7bと第二の段部23の端面23aとの間にシール部材4が挟み込まれ、可動部材7のリング部7bがシール部材4に当接する。その結果、シール部材4は、接続管10の外周面10bと第二の段部23とによる押圧と端面23a(シール溝の奧壁23a1)と可動部材7のリング部7bとによる押圧とにより、図7に示すように変形する。このように変形することで、シール部材4は接続管10の外周面10bに密着し、継手本体2とも密着する。以上のように、シール部材4を挟んでいる、第二の段部23と接続管10の外周面10bとは、シール部材4が移動可能な、接続管10の外周面10bに沿うようにシール溝12を形成する。
一方、接続管10はバネ8を通過し、第一の段部22の端面22cへ向かって移動し、可動部材7を通過し、接続管10の端面10aがスリーブ6の支持部61に当接する。そして、スリーブ6の支持部61に当接した状態で、接続管10の通孔21内へ挿入が続き、スリーブ6の支持部61に当接した接続管10の端面10aが継手本体2の端面24bに到達することで接続管10の挿入が完了する。
次いで、押輪3を継手本体2内に向かって押し込んで施工を完了する。すなわち、図8に示すように、押輪3を継手本体2内に押し込んで、抜止部材9は押輪3の内径に形成されたテーパ面32で押さえられて接続管10の径方向に移動して、抜止部材9の楔状突起91が接続管10を変形させながら接続管10の外周面10bに食い込む。このとき保持部材5は、押輪3の一方の端部3dで保持部材5の一方の端部5aが押されて接続管10の挿入方向に移動する。保持部材5の他方の端部5bによりコイルバネ8が最後まで圧縮されて、可動部材7が端面22cに当接するまで押し込まれる。このときコイルバネ8は、可動部材7は端面22cとコイルバネ8とで軸方向に拘束される。
シール部材4は、シール溝12の奧壁23a1を含めた継手本体2の内周面(第二の段部23)と接続管10の外周面10bと可動部材7に圧縮され、継手本体2と接続管10との接続を行う。また、ストップリング11は、継手本体2のテーパ付円周溝22bと押輪3の円周溝31とに入り込み、押輪3が継手本体2に固定されることで継手本体2と接続管10との接続が完了する。
つぎに、例1と同様に、このように接続管10を挿入した管継手100の漏れ検知を行う。基本的には、上記に示すように、押輪3が継手本体2に固定されていれば流体(水、或いは空気)の漏れはない。以下では、例1と同様に、押輪3が継手本体2へ固定されていない場合に、漏れ検知がどのようにして行われるか示す。
漏れ検知では、図9の矢印方向より接続管10(通孔21)へ水(或いは空気)による押圧を加えることで水、或いは空気が漏れることを確認することになる。例2では、図9の矢印A方向より管継手1(通孔21)へ、例1と同様に、水を流すことによる押圧を加えることで水が漏れることの確認をする試験を行う。ただし、配管の施工現場の状況等により、図9の括弧で示す矢印E方向から流体である水(或いは空気)による押圧を加えることも可能である。
図9の矢印A方向より継手本体2内の通孔21に水が流されることで管継手100内に水圧による押圧が加わる。水は矢印B方向に管継手1内の接続管10内を流れるとともに、矢印C方向に継手本体2内の内周面である第三の段部24側へも水が流れ水を流すことによる押圧(水圧)が加わる。第三の段部24側へ流れた水は、スリーブ6に到達し、スリーブ6のスリット62a等から流れ出て、継手本体2内の第三の段部24と接続管10の外周面10bとの間を流れる。水は第三の段部24を通過すると、第二の段部23と接続管10の外周面10bとの間(シール溝12)に流れ出る。
シール溝12に流れ出た水は、シール溝12内のシール部材4に当たり、シール部材4を矢印B方向へ移動させるような押圧を加える。そのため、シール部材4は矢印B方向へシール溝12の奧壁23a1から離れ、接続管10の外周面10bに沿って移動はじめる(図10参照)。シール部材4の接続管10の外周面10bに沿った移動によりシール部材4に当接している可動部材7も矢印B方向へ移動する。そして、可動部材7の移動により、コイルバネ8は小径側8aが保持部材5に当接しているため、コイルバネ8は矢印B方向へ圧縮される(図10参照)。
シール溝12へ水が流れ続けることで、押圧(水圧)がシール部材4から可動部材7を経てコイルバネ8に加わり続け、図10に示すように、シール部材4が接続管10の外周面10bに沿って、矢印B方向へシール溝12を移動し、第二の段部23のシール部材4の外周面4bを保持することが可能な断面円弧状の環状溝23b内へ入る。断面円弧状の環状溝23bと断面円弧状の環状溝23b内のシール部材4との間には隙間が形成され、或いはシール面圧を確保することができず、第二の段部23に流れ出た水は、矢印D方向に沿って第一の段部22へ流れ出る。このように、水が第一の段部22へ流れ出ることにより水の漏れが発生することになる。
以上のように、漏れ検知が行われて漏れの発生が確認されると、その管継手100では、押輪3が継手本体2へ固定がなされていないことが確認される。
この場合、例1と同様に、図8に示すように、継手本体2へ押輪3を押し込み、抜止部材9の楔状突起91を接続管10の外周部に食い込まし、保持部材5には、押輪3により押圧が加わり、その押圧によりコイルバネ8が圧縮される。そして、可動部材7が端面22cに当接するまで移動し(押し込まれ)、コイルバネ8は最後まで圧縮されるので、可動部材7は端面22cとコイルバネ8とで軸方向に拘束される。このとき、シール部材4は、シール溝12の奧壁23a1を含めた継手本体2の内周面(第二の段部23)と接続管10の外周面10bと可動部材7に圧縮され、継手本体2と接続管10との接続を行う。また、ストップリング11は、継手本体2のテーパ付円周溝22bと押輪3の円周溝31とに入り込み、押輪3が継手本体2に固定されることで継手本体2と接続管10との接続が完了し、配管施工が終了することになる。
本例で用いた管継手100では、第二の段部23に断面円弧状の環状溝23bが設けられているので、接続管10を挿入したときに何らかの不具合が生じて接続管10を抜いて再度接続管10を挿入しようとする、所謂再施工を行っても、シール部材4が挿入される接続管10の挿入を妨げない。つまり、断面円弧状の環状溝23bは、シール部材4が入り込むとシール部材4の内径側4aが接続管10の挿入を妨げない程度に深くなるように第二の段部23に形成されており、接続管10を抜く際に接続管10とともに移動したシール部材4は環状溝23bまで移動すると、環状溝23bにとどまりそれ以上移動することがないためである。そのため、接続管10の挿入後に種々の事情により、接続管10を抜いて再度挿入する再施工を行うような場合においては施工し易い管継手の一つである。
(例3)
図11には、本発明の例3である管継手200が示してある。例3では、例1及び例2で示した管継手1、100と実質的に同一の部品については、同一の参照番号を用い、特徴となる部品について中心に説明する。
図11に示す、管継手200の継手本体2の外周側は、例1及び例2とほぼ同一の形状をなしている。継手本体2内には、継手本体2の長手方向に沿って、例1及び例2とほぼ同一の複数の段部22、23、24、25が形成されている。本例では、第一の段部22に隣接して、第一の段部22の端面22cから第二の段部23にかけて当接面22dである傾斜面22dが形成されている。この傾斜面22dは、図11に示すように、管継手200の通孔21に挿入される接続管10の外周面10bに対向して第二の段部23に連続し、第二の段部23から第一の段部22に向かって拡径して(押輪3方向へ拡径して)形成されている。この傾斜面22dは、シール部材4が第二の段部23に入り込むときの案内となっている。
継手本体2内には、図11に示すように、スリーブ6が第一の段部22から第二の段部23にかけて組み込まれている。このスリーブ6に内径側4aが当接するようにOリング4が、通孔21方向に沿って、拘束されない状態で組み込まれている。さらに、このOリング4を覆うようにコイルバネ8が組み込まれている。このコイルバネ8は、略円錐台状であり、コイルバネ8の大径側8bは、第一の段部22の端面22cに当接して組み込まれている。
コイルバネ8の小径側8aに隣接して保持部材5が組み込まれている。保持部材5は、図11に示すように、リング状部材であり、縁部5dとリング部53とから構成されている。リング部53には孔部である長孔部51が設けられ、長孔部51に抜止部材9が組み込まれている。また、図12に示すように、保持部材5の縁部5dは第一の段部22に沿って移動可能になっており、リング部53はコイルバネ8の小径側8aに入り込んで通孔21に沿ってシール部材4方向へ延びている。
この抜止部材9が組み込まれたリング部53を覆うように押輪3が継手本体2に組み込まれている。本例での押輪3の外周面3aには、図11に示すように、円周溝31の他に円周溝33が形成されており、その円周溝33にはリング状のインジケーター34が組み込まれており、接続管10と継手本体2とが完全なシール状態で接続されたか否かを確認することが可能になっている。本例では、このリング状のインジケーター34はPE(ポリエチレン)、PP(ポリプロピレン)等のポリオレフィンからなるリング状成形体である。ただし、このようなリング状成形体に限定されることなく、耐候性に優れたフィルム状テープを使用することもできる。さらに、これらに限らず、押輪3の外周面3aに油性塗料を塗布することにより、インジケーター34とすることができる。
つぎに、以上の構成の管継手200に接続管10を挿入する工程について図12を中心に説明する。
まず、管継手200への接続管10の挿入は、基本的には例1及び例2と同じである。管継手200へ接続管10を挿入すると、抜止部材9は押輪3のテーパ面32に沿って内径側が拡がって、楔状突起91が接続管19の外周面10bに係止する位置まで接続管10の挿入方向に移動する。このとき、保持部材5は抜止部材9と共に接続管10の挿入方向へ移動する。この状態でさらに接続管10を挿入しても、保持部材5はコイルバネ8によって押圧を加えられている(付勢されている)ので、接続管10の挿入方向へ移動することはない。
すなわち、楔状突起91が接続管10の外周面10bに係止する位置まで移動して、接続管10が抜止部材9を通過した後にさらに挿入されても、抜止部材9は接続管10の挿入方向へ移動せず、抜止部材9の楔状突起91が接続管10の外周面10bを滑る(スライドする)。また、接続管10の端面10aが、保持部材5と一体あるいは別体に、かつ保持部材5と分離可能に形成されたスリーブ6の端部に達した後にさらに接続管10を挿入すると、保持部材5とスリーブ6は分離する。このとき、保持部材5はコイルバネ8によって押輪3方向へ付勢されているので接続管10の挿入方向へ移動することはない。
さらに、接続管10の挿入を続け、接続管10の端面10aがスリーブ6に当接した状態で継手本体2の端面24bに到達することで接続管10の挿入が完了する。以上のように接続管10が挿入されることで、第2の段部23の端面23aと、継手本体2の内周面(第2の段部23)と、接続管10の外周面10bとで、接続管10の外周面10bに沿うようにシール溝12を形成する。
次いで、押輪3を継手本体2内に向かって押し込んで施工を完了する。まず、図13に示すように、押輪3を継手本体2内に押し込み、押輪3の内径に形成されたテーパ面32に沿いながら抜止部材9は接続管10の径方向に移動し、抜止部材9の楔状突起91が接続管10の外周面10bに食い込む。このとき、押輪3に押されて保持部材5は接続管10の挿入方向に移動する。そして、保持部材5の縁部5dによりコイルバネ8が圧縮されて、保持部材5のリング部53がシール部材4に押圧を加え、傾斜面22dを案内としてシール部材4をシール溝12内に移動させる。このときコイルバネ8は、保持部材5の縁部5dと端面22cとで軸方向に拘束される。
シール部材4は、シール溝12の奧壁23a1を含めた継手本体2の内周面(第二の段部23)と接続管10の外周面10bと保持部材5のリング部53に圧縮され、継手本体2と接続管10との接続を行う。また、ストップリング11は、継手本体2のテーパ付円周溝22bと押輪3の円周溝31とに入り込み、押輪3が継手本体2に固定されることで継手本体2と接続管10との接続が完了する。
なお、本例においては、押輪3の円周溝33内にインジケーター34が挿入されており、継手本体2内に押輪3が押し込まれることで、継手本体の一方の端部2aへ押輪3のインジケーター34が接近する。そして、押輪3と継手本体2との間にあるストップリング11が、継手本体2のテーパ付円周溝22bと押輪3の円周溝31とに入り込むと、継手本体2の一方の端部2a側は押輪3の円周溝33内のインジケーター34を覆い隠す。このことにより、押輪3が継手本体2に固定され、継手本体2と接続管10との接続も完了したことを確認できる。
つぎに、例1及び例2と同様に、このように接続管10を挿入した管継手200の漏れ検知を行う。基本的には、上記に示すように、押輪3が継手本体2に固定されていれば流体(水、或いは空気)の漏れはない。以下では、例1及び例2と同様に、押輪3が継手本体2へ固定されていない場合に、漏れ検知がどのようにして行われるか示す。
漏れ検知では、図14の矢印A方向より接続管10(通孔21)へ水(或いは空気)による押圧を加えることで水、或いは空気が漏れることを確認することになる。例3では、図14の矢印A方向より管継手200(通孔21)へ、例1及び例2と同様に、水を流すことによる押圧(水圧)を加えることで水が漏れることの確認をする試験を行う。ただし、配管の施工現場の状況等により、図14の括弧で示す矢印E方向から流体である水(或いは空気)による押圧を加えることも可能である。
図14の矢印A方向より継手本体2内の通孔21に水が流されることで管継手200内に水圧による押圧が加わる。水は矢印B方向に管継手200内の接続管10内を流れる。それとともに、継手本体2の第三の段部24と接続管10の端面10aとの間を、矢印B方向に流れ、第三の段部24側へ流れた水は第二の段部23側へ流れ(シール溝12内へ流れ)、シール部材4に押圧を加える。そのため、シール部材4を矢印B方向へ移動させるような押圧(水圧)が加わる。
第二の段部23へ水が流れ続けることで、押圧がシール部材4に加わり続けることになる。そのため、シール部材4は傾斜面22dから離れ、シール部材4は矢印B方向へ接続管10の外周面10bに沿って移動し、シール部材4に当接している保持部材5(のリング部53)も矢印B方向へ移動する。そして、図15に示すように、保持部材5の移動により、コイルバネ8の小径側8aが保持部材5に当接しているため、コイルバネ8は矢印B方向へ伸張する。
シール部材4が接続管10の外周面10bに沿って移動することで、図15に示すように、傾斜面22dとシール部材4との間に隙間が形成され、或いはシール面圧を確保することができず、第二の段部23に流れ出た水は、矢印D方向に沿って第一の段部22へ流れ出る。このように、水が第一の段部22へ流れ出ることにより水の漏れが発生することになる。以上のように、漏れ検知が行われて漏れの発生が確認されると、その管継手200では、押輪3が継手本体2へ固定がなされていないことが確認される。
この場合、例1及び例2と同様に、図13に示すように、継手本体2へ押輪3を押し込み、抜止部材9の楔状突起91を接続管10の外周部に食い込まし、保持部材5に押圧を加え、その押圧によりコイルバネ8を圧縮させる。そして、保持部材5の縁部5dを端面22cへ移動させ(押し込み)、コイルバネ8は最後まで圧縮される(図13参照)。このとき、保持部材5のリング部53の押圧により、シール部材4は接続管10の外周面10bを移動し、傾斜面22dに案内されてシール溝12内に入る(図13参照)。
そして、シール部材4はシール溝12の奧壁23a1を含めた継手本体2の内周面(第二の段部23)と接続管10の外周面10bと保持部材5のリング部53とで圧縮され、継手本体2と接続管10との接続を行う。また、ストップリング11は、継手本体2のテーパ付円周溝22bと押輪3の円周溝31とに入り込み、押輪3が継手本体2に固定されることで継手本体2と接続管10との接続が完了し、配管施工が終了することになる。また、本例では、インジケーター34が用いられているので、インジケーター34が覆い隠されることでも、押輪3が継手本体2に固定され、継手本体2と接続管10との接続も完了したことを確認できる。
(例4)
図16には、本発明の例4である管継手300が示してある。例4は、基本的に例1の構造と同じであり、例1で示した管継手1と実質的に同一の部品については、同一の参照番号を用いて説明する。例4と例1との相違は、押輪3の継手本体2への押し込みに際し、例1では、押輪3と継手本体2との間にストップリング11を用いているのに対し、例4では、押輪3と継手本体2と螺合させていることである。
図16に示す、管継手300の継手本体2は、例1と同一の形状で、一方の端部2aから他方の端部2bまで貫通する通孔21が設けられて筒状の形状である。継手本体2の外周側と内周側は例1と同一の形状である。ただし、継手本体2内の第一の段部22には、図16に示すように、継手本体2の長手方向に沿ってねじ溝22eが形成されている。そして、継手本体2内の第二の段部23には、図16に示すように、例1と同様に、Oリング4が組み込まれ、Oリング4に隣接してスリーブ6が組み込まれ、スリーブ6に隣接して可動部材7が組み込まれている。
さらに、可動部材7に隣接して弾性部材8であるコイルバネ8が第一の段部22内に組み込まれている。継手本体2へは、継手本体2の一方の端部2aより、円筒状の部材である押輪3が組み込まれている。押輪3の外周面3aには、継手本体2のねじ溝22eと螺合するねじ溝3a1が形成され、継手本体2のねじ溝22eと螺合している。また、押輪3内の可動部材7のリング部7bには抜止部材9が組み込まれており、抜止部材9の楔状突起91が通孔21側に出ている。
つぎに、以上の構成の管継手300に接続管10を挿入する工程について図17を中心に説明する。
管継手300への接続管10の挿入する工程は、基本的には例1と同じである。接続管10を押輪3側より通孔21(通孔35)に挿入し、抜止部材9の楔状突起91に当接し、抜止部材9は押輪3のテーパ面32に沿って内径側が拡がって、楔状突起91が接続管19の外周面10bに係止する位置まで接続管10の挿入方向に移動する。このとき抜止部材9と共に、保持部材5は接続管10の挿入方向へ移動する。この状態でさらに接続管10を挿入しても、保持部材5はコイルバネ8によって押圧を加えられているのでさらに接続管10の挿入方向に移動することはない。すなわち、楔状突起91が接続管10の外周面10bに係止する位置まで移動して、接続管10が挿入されても、抜止部材9は接続管10の挿入方向へ移動せずに、抜止部材9の楔状突起91が接続管10の外周面10bを滑る(スライドする)。
そして、接続管10の挿入が続き、接続管10の端面10aがスリーブ6に当接して、第三の段部24内に入り、コイルバネ8の押圧により(付勢により)、可動部材7が第一の段部22の端面22cに向かい、可動部材7がシール部材4に当接する。その結果、シール部材4は、接続管10の外周面10bと第二の段部23とによる押圧と端面23a(シール溝の奧壁23a1)と可動部材7による押圧とにより、図17に示すように変形する。
このように変形することで、シール部材4は接続管10の外周面10bに密着し、継手本体2とも密着する。以上のようにして、シール部材4を挟んでいる、第二の段部23と接続管10の外周面10bとが、シール部材4が移動可能な接続管10の外周面10bに沿うようにシール溝12を形成する。一方、接続管10がバネ8、可動部材7を通過し、接続管10の端面10aがスリーブ6の支持部61に当接し、スリーブ6の支持部61に当接した状態で、接続管10の端面10aが継手本体2の端面24bに到達することで接続管10の挿入が完了する。
次いで、押輪3を継手本体2内に螺合(螺進)させて施工を完了する。図18に示すように、押輪3のねじ溝3a1を継手本体2のねじ溝22eに螺進させると、抜止部材9は押輪3のテーパ面32に沿って接続管10の径方向に移動して、抜止部材9の楔状突起91が接続管10の外周面10bに食い込む。また、このとき保持部材5は、押輪3により押されて接続管10の挿入方向に移動する。そして、保持部材5と可動部材7の間でコイルバネ8が最後まで圧縮されて、さらに可動部材7が端面22cに当接するまで押し込まれる。このときコイルバネ8は最後まで圧縮されているので、可動部材7は端面22cとコイルバネ8とで軸方向に拘束される。
シール部材4は、シール溝12の奧壁23a1を含めた継手本体2の内周面(第二の段部23)と接続管10の外周面10bと可動部材7に圧縮され、継手本体2と接続管10との接続を行う。また、押輪3の継手本体2内への螺進により、押輪3が継手本体2に固定され、継手本体2と接続管10との接続が完了する。
つぎに、例1、例2及び例3と同様に、このように接続管10を挿入した管継手200の漏れ検知を行う。基本的には、上記に示すように、押輪3の継手本体2へのねじ込みが完了していれば流体(水、或いは空気)の漏れはない。以下では、例1、例2及び例3と同様に、押輪3の継手本体2へのねじ込みが完了していない場合に、漏れ検知がどのようにして行われるか示す。
漏れ検知では、図19の矢印A方向より接続管10(通孔21)へ水(或いは空気)による押圧を加えることで確実に水、或いは空気が漏れることを確認することになる。本例においても、例1から例3と同様に、図19の矢印A方向より管継手300(通孔21)へ水を流すことによる押圧を加えることで水が漏れることを確認する試験を行う。ただし、配管の施工現場の状況等により、図19の括弧で示す矢印E方向から流体である水(或いは空気)による押圧を加えることも可能である。
図19の矢印A方向より継手本体2内の通孔21に水が流されることで管継手300内に水圧による押圧が加わる。水は矢印B方向に管継手300内の接続管10内を流れるとともに、矢印C方向に継手本体2内の内周面の第三の段部24側へも水が流れ押圧が加わる。第三の段部24側へ流れた水は、継手本体2内の内周面の第三の段部24と接続管10の外周面10bとの間(シール溝12)を流れ、第二の段部23と接続管10の外周面10bとの間(シール溝12)に流れ出る。そして、シール溝12内のシール部材4に当たり、シール部材4を矢印B方向へ移動させるような押圧を加えて、シール部材4を接続管10の外周面10bに沿って矢印B方向へ移動させる。
シール部材4の接続管10の外周面10bに沿った移動によりシール部材4に当接している可動部材7も矢印B方向へ移動する。そして、可動部材7の移動により、コイルバネ8は圧縮される。シール溝12へ水が流れで続けることで、押圧(水圧)がシール部材4から可動部材7を経てコイルバネ8に加わり続け、図20に示すように、シール部材4がシール溝12から押し出され、第一の段部22へ移動する。その結果、シール溝12(端面22c近傍)とシール部材4との間に隙間ができ、或いはシール面圧を確保することができず、シール溝12に流れ出た水は矢印D方向に沿って第一の段部22へ流れ出る。このように、水が第一の段部22へ流れ出ることにより水の漏れが発生することになる。
以上のように、漏れ検知が行われて漏れの発生が確認されると、その管継手300では、押輪3が継手本体2へ完全にねじ込まれていないことが確認される。
以上のように、管継手300内での継手本体2と接続管10との間からの水の漏れを確認した後に、図18に示すように、継手本体2に螺合している押輪3を螺進させる。この螺進によって、抜止部材9の楔状突起91が接続管10の外周面10bに係止し、コイルバネ8及び可動部材7が移動し、可動部材7がシール部材4に当接し、シール部材4はシール溝12内に押し戻される。そして、シール部材4がシール溝12の奧壁23a1を含めた継手本体2の内周面(第二の段部23)と接続管10の外周面10bとに密着し、継手本体2と接続管10との接続が完了し、配管施工が終了することになる。
(例5)
図21には、本発明の例5である管継手400が示してある。例5は、基本的に例1の構造に似ており、例1で示した管継手1と実質的に同一の部品については、同一の参照番号を用いて説明する。例5と例1の押輪3の相違は、押輪3の継手本体2への押し込みに際し、例1では、押輪3と継手本体2との間にストップリング11を用いているのに対し、例5では、押輪3と継手本体2と螺合させていることである。また、例1では、スリーブ6、可動部材7、コイルバネ8、保持部材5、及び抜止部材9を用いているのに対し、例5では、これらの部材を使用していないということである。
図21に示す、管継手400の継手本体2は、例1と同一の形状で、一方の端部2aから他方の端部2bまで貫通する通孔21が設けられて筒状の形状である。継手本体2の外周側と内周側は例1と同一の形状である。ただし、継手本体2内の第一の段部22には、図21に示すように、継手本体2の長手方向に沿ってねじ溝22eが形成されている。そして、継手本体2内の第二の段部23には、図21に示すように、Oリング4が組み込まれている。
継手本体2の一方の端部2aには、円筒状の部材である押輪3が組み込まれている。押輪3の外周面3aには、継手本体2のねじ溝22eと螺合するねじ溝3a1が形成され、継手本体2のねじ溝22eと螺合している。
つぎに、以上の構成の管継手400に接続管10を挿入する工程について図22を中心に説明する。
管継手400への接続管10の挿入は、例1と同じである。継手本体2の一方の端部2a側より、接続管10を管継手400の通孔21へ挿入すると、押輪3の内周面3fに対向して接続管10が通孔21を進む。接続管10が第二の段部23側に進むとシール部材4に当接し、シール部材4は、接続管10の外周面10bと第二の段部23とによる押圧と端面23a(シール溝12の奧壁23a1)による押圧とにより、図22に示すように変形する。
このように変形することで、シール部材4は接続管10の外周面10bに密着し、継手本体2の内周面(第二の段部23)とも密着する。以上のように、シール部材4を挟んでいる、第二の段部23と、接続管10の外周面10bとは、シール部材4が移動可能な、接続管10の外周面10bに沿うようにシール溝12を形成する。一方、接続管10はシール部材4に当接した状態で、継手本体2の他方の端部2bに進み、接続管10の端面10aが継手本体2の端面24bに到達することで接続管10の挿入も完了する。
次いで、押輪3を継手本体2内に螺合させて施工を完了する。図23に示すように、継手本体2のねじ溝22eに螺合している押輪3のねじ溝3a1を螺進させる。この螺進によって、押輪3は端面22cに当接し、シール部材4のシール溝12内からの抜け出しを防止する。そして、シール部材4がシール溝12の奧壁23a1を含めた継手本体2の内周面(第二の段部23)と接続管10の外周面10bとに密着し、継手本体2と接続管10との接続を行う。なお、押輪3が継手本体2の端面22c当接するまでねじ込まれることで、継手本体2と接続管10との接続が完了する。
つぎに、例1、例2、例3及び例4と同様に、このように接続管10を挿入した管継手400の漏れ検知を行う。基本的には、上記に示すように、押輪3が継手本体2に固定されていれば流体(水、或いは空気)の漏れはない。以下では、例1、例2、例3及び例4と同様に、押輪3が継手本体2への固定がなされていない場合に、漏れ検知がどのようにして行われるか示す。
漏れ検知では、図24の矢印A方向より接続管10(通孔21)へ水(或いは空気)による押圧を加えることで確実に水、或いは空気が漏れることを確認することになる。例5においても、例1から例3と同様に、図24の矢印A方向より管継手400(通孔21)へ水を流すことによる押圧を加えることで水が漏れることを確認する試験を行う。ただし、配管の施工現場の状況等により、図24の括弧で示す矢印E方向から流体である水(或いは空気)による押圧を加えることも可能である。
図24の矢印A方向より継手本体2内の通孔21に水が流されることで管継手400内に水圧による押圧が加わる。水は矢印B方向に管継手400内の接続管10内を流れるとともに、矢印C方向に継手本体2内の内周面の第三の段部24側へも水が流れ押圧(水圧)が加わる。第三の段部24側へ流れた水は、継手本体2内の内周面の第三の段部24と接続管10の外周面10bとの間(シール溝12)を流れ、第二の段部23と接続管10の外周面10bとの間(シール溝12)に流れ出る。そして、シール溝12内のシール部材4に当たり、シール部材4を矢印B方向へ移動させるような押圧を加えて、シール部材4を接続管10の外周面10bに沿って矢印B方向へ移動させる。
シール溝12へ水が流れで続けることで、押圧(水圧)がシール部材4に加わり続け、図25に示すように、シール部材4がシール溝12から押し出され、第一の段部22へ移動する。その結果、シール溝12(端面22c近傍)とシール部材4との間に隙間ができ、シール溝12に流れ出た水は矢印D方向より隙間から第一の段部22へ流れ出る。このように、水が第一の段部22へ流れ出ることにより水の漏れが発生することになる。
以上のように、漏れ検知が行われて漏れの発生が確認されると、その管継手400では、押輪3が継手本体2へ固定がなされていないことが確認される。
以上のように、管継手400内での継手本体2と接続管10との間からの水の漏れを確認した後に、図23に示すように、継手本体2に螺合している押輪3を螺進させる。この螺進によって、押輪3がシール部材4に当接し、シール部材4はシール溝12内に押し戻される。そして、シール部材4がシール溝12の奧壁23a1を含めた継手本体2の内周面(第二の段部23)と接続管10の外周面10bとに密着し、継手本体2と接続管10との接続が完了し、配管施工が終了することになる。