JP2009270619A - 継手 - Google Patents
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Abstract
【課題】インサート部材の組付けが簡単であると共に、シールリングの組付けが容易で水密性を十分に発揮することができる継手を提供する。
【解決手段】継手10は、継手本体11と、該継手本体11内にパイプ差し込み側から挿入されて保持されるインサート部材19と、該インサート部材19の内端部に装着され継手本体11及びインサート部材19間を水密に保持するシールリング25と、インサート部材19の外端部に装着されインサート部材19及び樹脂パイプ23間を水密に保持するシール部材32とより構成される。インサート部材19は内端側から外端側に向って縮径される複数の段部20を有し、シールリング25はインサート部材19の第1段部20a上に装着され、シールリング25の外端側で継手本体11を構成する本体筒部12と係合筒部15との間にシールリング25を保持する押え部材28が挟着されている。
【選択図】図1
【解決手段】継手10は、継手本体11と、該継手本体11内にパイプ差し込み側から挿入されて保持されるインサート部材19と、該インサート部材19の内端部に装着され継手本体11及びインサート部材19間を水密に保持するシールリング25と、インサート部材19の外端部に装着されインサート部材19及び樹脂パイプ23間を水密に保持するシール部材32とより構成される。インサート部材19は内端側から外端側に向って縮径される複数の段部20を有し、シールリング25はインサート部材19の第1段部20a上に装着され、シールリング25の外端側で継手本体11を構成する本体筒部12と係合筒部15との間にシールリング25を保持する押え部材28が挟着されている。
【選択図】図1
Description
本発明は、例えば給水系や給湯系の配管システムでパイプ(管材)の端部間を接続する継手や、パイプの端部と水栓器具とを接続するための継手に関するものである。
継手内には差し込まれたパイプと継手との間にシール部材(パッキン、Oリング、シールリング等)が装着され、水密性が保持されている。係る水密性を保持する方法としては、パイプの外周側をシールするいわゆる外径シール方式と、パイプの内周側をシールするいわゆる内径シール方式とがある。外径シール方式では、通常露出状態で保管されているパイプの外周面には異物や傷が存在しているためパイプが継手に接続されたときにそれが原因で漏水が発生する場合がある。一方、内径シール方式では、パイプの内周面でシールするためそのような欠点はない反面、通水部分にシール部材等が挿入されることから、通水径がパイプの内径よりも小さくなるという欠点があった。
この種の継手として具体的には、次のような継手が提案されている(例えば、特許文献1を参照)。すなわち、この継手では、パイプが外嵌されるスリーブが形成された継手本体と、この継手本体に結合されるナットと、シール部材と、抜け止め部材とを備え、スリーブの内周面にはその開口端部より露出するインコアが固定され、該インコアの外周面でスリーブの開口端部上面側にシール部材が装着されている。さらに、インコアの内端側の継手本体内周面には環状溝が形成され、その環状溝にはシールリングが嵌着されている。係る継手によれば、内径シールタイプであっても、通水面積を確保し、十分な通水量を得ることができる。
特開2005−147187号公報(第2頁、第3頁及び図3)
ところが、特許文献1に記載された従来の継手においては、インコア(インサート部材)は継手本体のパイプ差し込み側とは反対側から挿通して組付けなければならず、しかもその基端部をテーパ状に形成して抜け止めし、先端部を湾曲させるように加工しなければならず、そのような加工や組付けが非常に面倒であった。加えて、係る継手では、インコアの内端部での水密性を確保するために継手本体内周面の環状溝にシールリングが嵌着されているが、インコアを継手に組付ける場合にはシールリングを環状溝に嵌着させた状態でインコアをパイプ差し込み側とは反対側から挿通しなければならない。このような操作は面倒であると共に、インコアは薄くて強度の高いステンレス鋼で形成されていることから、インコアを挿通する際にシールリングを傷付けるおそれがあり、水密性が低下するという問題があった。
そこで本発明の目的とするところは、インサート部材の組付けが簡単であると共に、シールリングの組付けが容易で水密性を十分に発揮することができる継手を提供することにある。
上記の目的を達成するために、請求項1に係る発明の継手は、筒状をなしパイプが差し込まれて接続される継手本体と、該継手本体内の中心部にパイプ差し込み側から挿入されて保持され、その外周にパイプが外嵌されるインサート部材と、該インサート部材の内端側の外周に装着され継手本体及びインサート部材の間を水密に保持するシールリングと、インサート部材の外端側の外周に装着されインサート部材及びパイプの間を水密に保持するシール部材とより構成される。そして、インサート部材は内端側から外端側に向かうに従って縮径される複数の段部を有し、シールリングはインサート部材の内端部の第1段部上に装着されると共に、継手本体が本体筒部と係合筒部とにより構成され、シールリングの外端側において本体筒部と係合筒部との間にシールリングを保持する押え部材が挟着されていることを特徴とする。
請求項2に係る発明の継手は、請求項1において、前記押え部材は、インサート部材の第1段部の外端側に隣接する第2段部上に配設されていることを特徴とする。
請求項3に係る発明の継手は、請求項1又は請求項2において、前記押え部材は、その中心部にインサート部材が挿通される挿通孔を有する円板状に形成されていることを特徴とする。
請求項3に係る発明の継手は、請求項1又は請求項2において、前記押え部材は、その中心部にインサート部材が挿通される挿通孔を有する円板状に形成されていることを特徴とする。
請求項4に係る発明の継手は、請求項1から請求項3のいずれか1項において、前記押え部材は軸線方向に厚く形成された厚肉部を有し、該厚肉部がシールリングを押えるように構成されていることを特徴とする。
請求項5に係る発明の継手は、請求項1から請求項4のいずれか1項において、前記押え部材の内周面には径方向内側へ膨出する膨出部が設けられ、該膨出部がインサート部材に圧着されるように構成されていることを特徴とする。
請求項1に係る発明の継手では、インサート部材を継手本体内の中心部にパイプ差し込み側から挿入して保持させることができる。また、シールリングはインサート部材にその外端部から嵌挿してその内端部の第1段部上に装着させることができると共に、装着されたシールリングはその外端側で本体筒部と係合筒部との間に挟着された押え部材により保持することができる。このため、シールリングはその機能を十分に発揮することができる。従って、本発明の継手によれば、インサート部材の組付けが簡単であると共に、シールリングの組付けが容易で水密性を十分に発揮することができる。
請求項2に係る発明の継手では、押え部材はインサート部材の第1段部の外端側に隣接する第2段部上に配設されている。このため、請求項1に係る発明の効果に加えて、押え部材は第1段部と第2段部の段差部分で位置決め保持され、シールリングの保持を良好に行うことができる。
請求項3に係る発明の継手では、押え部材はその中心部にインサート部材が挿通される挿通孔を有する円板状に形成されている。このため、請求項1又は請求項2に係る発明の効果に加えて、押え部材によってシールリングの全周を押えることができ、シールリングの保持を一層良好に行うことができる。
請求項4に係る発明の継手では、押え部材は軸線方向に厚く形成された厚肉部を有し、該厚肉部がシールリングを押えるように構成されている。従って、請求項1から請求項3のいずれかに係る発明の効果に加えて、押え部材の厚肉部によってシールリングを効果的に押圧することができ、シールリングの機能を維持することができる。
請求項5に係る発明の継手では、押え部材の内周面には径方向内側へ膨出する膨出部が設けられ、該膨出部がインサート部材に圧着されるように構成されている。このため、請求項1から請求項4のいずれかに係る発明の効果に加えて、押え部材をインサート部材に強く圧着させることができ、押え部材をインサート部材に位置決め固定することができる。
以下、本発明の最良と思われる実施形態につき、図面を用いて詳細に説明する。
図1に示すように、継手10を構成する略円筒状の継手本体11は、合金(真鍮、青銅等)等の金属製の本体筒部12と、該本体筒部12の先端部(図1の右端部)内周の雌ねじ部13に雄ねじ部14が螺合されたポリフェニルサルフォン(PPSU)等の合成樹脂製の係合筒部15とにより構成されている。本体筒部12と係合筒部15との間にはゴム製の第1シール材16が介装され、両者間の水密が保たれている。なお、本体筒部12の基端部外周には雄ねじ17が螺刻され、図示しない水栓金具の雌ねじに螺合されるようになっている。継手本体11の内側には、水(流体)が流通する流通孔18が形成されている。本体筒部12の中間部内周には、本体筒部12の基端側における流通孔18よりも拡径された拡径孔12aが設けられている。
図1に示すように、継手10を構成する略円筒状の継手本体11は、合金(真鍮、青銅等)等の金属製の本体筒部12と、該本体筒部12の先端部(図1の右端部)内周の雌ねじ部13に雄ねじ部14が螺合されたポリフェニルサルフォン(PPSU)等の合成樹脂製の係合筒部15とにより構成されている。本体筒部12と係合筒部15との間にはゴム製の第1シール材16が介装され、両者間の水密が保たれている。なお、本体筒部12の基端部外周には雄ねじ17が螺刻され、図示しない水栓金具の雌ねじに螺合されるようになっている。継手本体11の内側には、水(流体)が流通する流通孔18が形成されている。本体筒部12の中間部内周には、本体筒部12の基端側における流通孔18よりも拡径された拡径孔12aが設けられている。
図2に示すように、前記継手本体11内には、ステンレス鋼(SUS304、SUS316等)、青銅、アルミニウム等の金属により形成されたインサート部材19が継手本体11の先端側から挿入され、その内端部(基端部)の折曲片19aが本体筒部12の拡径孔12aを形成する環状壁12bに対して若干の隙間を有するように装着されている。このインサート部材19は、金属の板材をプレス絞り加工により抜き成形して円筒状に形成されている。プレス絞り加工は、ダイの上に金属の板材を支持し、周囲をしわ押えで押えた状態で、パンチにて板材を押し込んで加工する方法である。
該インサート部材19は、継手本体11内に装着されたときに内端側から外端側に向かうに従って縮径される複数の段部20を有している。係る段部20は、内端側から第1段部20a、第2段部20b、第3段部20c及び第4段部20dよりなっている。第4段部20dの軸線方向のほぼ中央部には、周方向に角度90度間隔で4つの係合孔21が透設されると共に、開口端部には前記係合孔21と周方向の同じ位置に円弧状をなす案内用切欠き22が凹設されている。
図1に示すように、係合筒部15の内周面とインサート部材19の外周面との間には、樹脂パイプ23が差し込まれる差込空間24が形成されている。インサート部材19の第1段部20aと本体筒部12の拡径孔12aとの間には、エチレン−プロピレン−ジエン共重合ゴム(EPDM)等のゴムにより形成されたシールリング25が嵌着され、インサート部材19の内端部と本体筒部12の内周面との間の漏水が防止されるようになっている。前記係合筒部15の中間部内周面には環状溝26が凹設され、該環状溝26には第2シール材27が嵌着されて係合筒部15の内周面と樹脂パイプ23の外周面との間を止水するようになっている。
インサート部材19の第2段部20b上で本体筒部12と係合筒部15との間には、前記シールリング25を押える押え部材28が介在され、シールリング25を保持するように構成されている。図3(a)及び(b)に示すように、係る押え部材28は中心部に円形状の挿通孔29を有する円板状に形成され、その径方向中央部が軸線方向に厚く形成された厚肉部30となっている。押え部材28の当該厚肉部30の内端面でシールリング25を押えるようになっている。押え部材28の挿通孔29を形成する内周面には、周方向に角度90度毎の4箇所に膨出部31が設けられ、挿通孔29にインサート部材19が挿通された状態で押え部材28がインサート部材19の外周面に圧着される。また、押え部材28の外端側の厚肉部30の外周部は、係合筒部15の内端部内周に設けられた係合凹部15aに係合され、押え部材28の特に周方向への動きが抑えられるようになっている。
図1に示すように、インサート部材19の第3段部20c及び第4段部20dに跨る位置には、扁平な異形形状を有するシール部材32が嵌着されている。このシール部材32はインサート部材19の第3段部20cと第4段部20dに跨って設けられている。このため、樹脂パイプ23が継手10の差込空間24に差し込まれてシール部材32の外周に当って内端側へ力を受けたときでも、第2段部20bと第3段部20cとの境界の段差部分20bc及び第3段部20cと第4段部20dの境界の段差部分20cdでその力が受け止められ、シール部材32の内端側への移動が規制される。シール部材32の外周面には表面凹凸部32aが形成され、樹脂パイプ23が継手10の差込空間24に差し込まれたとき、表面凹凸部32aを構成する凸部が樹脂パイプ23の内周面に押圧されながら密接して水密性(シール性)を発現すると同時に、凸部が引き伸ばされて凹部に吸収される。さらに、次の凸部が同様にして樹脂パイプ23の内周面に密接して水密性を発現するようになっている。
インサート部材19の第4段部20dの開口端部外周にはシール部材32を抜け止めする抜け止め部材33がインサート部材19に固定された状態で配設されている。図5(a)、(b)及び(d)に示すように、係る抜け止め部材33の内周面には前記インサート部材19の係合孔21に係合する係合突起34が設けられている。該係合突起34は、インサート部材19の係合孔21よりも若干小さく形成されると共に、インサート部材19への挿入側ほど低くなる傾斜面35を有している。この傾斜面35により、抜け止め部材33はその傾斜面35がインサート部材19の端面から外周面に乗り上げて移動でき、インサート部材19の係合孔21に対する抜け止め部材33の係合突起34の係合を円滑に行うことができる。
さらに、抜け止め部材33のインサート部材19への挿入側端部(内端部)には、周方向に角度90度の間隔をおいて4つの切欠き36が抜け止め部材33の軸線方向の中央より深く凹設されており、抜け止め部材33の挿入側端部に撓み性をもたせるように構成されている。これらの切欠き36は、前記係合突起34とは周方向に45度離れた位置に設けられている。そして、抜け止め部材33をインサート部材19に外嵌するとき、その挿入側端部が撓んで拡径し、抜け止め部材33がインサート部材19に組付けしやすくなっている。
図5(b)、(c)及び(e)に示すように、抜け止め部材33の外端側の内周面には、前記切欠き36と対応する周方向の4箇所にインサート部材19の外端面に係合するストッパ部37が突出形成されている。該ストッパ部37により、抜け止め部材33をインサート部材19の外端部の外周に装着したとき抜け止め部材33の入り過ぎを規制し、抜け止め部材33の係合突起34をインサート部材19の係合孔21に簡単に係合させることができるようになっている(図4参照)。また、抜け止め部材33の外端部の内周面は外端側ほど拡径された第1テーパ面38となっており、樹脂パイプ23内を流れる水が樹脂パイプ23内から継手10内の流通孔18へ流れる際の通水抵抗(流動抵抗)が低減される。さらに、抜け止め部材33の外端部の外周面は第2テーパ面39となり、抜け止め部材33がインサート部材19の外端部に装着された状態で抜け止め部材33の外周への樹脂パイプ23の差し込みが案内されるようになっている。
抜け止め部材33の外端縁の前記係合突起34と周方向に対応する位置の4箇所には、抜け止め部材33をインサート部材19の外端部に装着する場合の目印となる表示部としての指示凹部40が形成され、抜け止め部材33の係合突起34がインサート部材19の係合孔21に簡単に係合されるようになっている。
図1に示すように、前記係合筒部15の外端側の外周面には雄ねじ41が螺刻され、キャップ(締付ナット)43の雌ねじ44が螺合され、キャップ43が係合筒部15に連結されるようになっている。前記係合筒部15の外端面とキャップ43の内周面(内端面)との間には、ステンレス鋼等の金属で形成された樹脂パイプ23を抜け止めする規制リング45が介装されている。該規制リング45の内周部には規制片45aが斜め方向に突出形成され、樹脂パイプ23の外周部に食い込んで樹脂パイプ23の抜け止めを行うようになっている。
この規制リング45とキャップ43の内周の第1斜面46との間には、割りリング47が介在され、規制片45aの傾斜角度を保持するように構成されている。該割りリング47の外端部には、キャップ43の第1斜面46と同じ傾斜角度をもつ第2斜面48が設けられ、樹脂パイプ23の引き抜き方向への力により規制片45aを介して割りリング47が軸線方向外方へ力を受けたとき、割りリング47を縮径させるように構成されている。そして、割りリング47の内周面に形成された締付面49が樹脂パイプ23を締付けるようになっている。
前記割りリング47の内側には、樹脂パイプ23の先端面に押圧されて樹脂パイプ23の差し込みを案内する差込ガイド50が配置されている。該差込ガイド50はCリング状に形成され、拡縮可能に構成されている。差込ガイド50の外径は樹脂パイプ23の外径と同一又は若干大きく形成され、内径は抜け止め部材33の外径より若干大きく形成されている。割りリング47の内周面には、係合用段差51が設けられ、該係合用段差51に差込ガイド50の外端面の外周部が係合され、差込ガイド50が抜け止め保持されるようになっている。差込ガイド50の内端部(先端部)は断面円弧状に形成され、差込ガイド50が継手10の差込空間24を内方へ移動するときに円滑に移動できるようになっている。
前記継手本体11の係合筒部15、キャップ43、抜け止め部材33、押え部材28、割りリング47、差込ガイド50等は、ポリアセタール(POM)、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、ポリフェニレンアミド(PPA)、ポリアミド(PA)等の合成樹脂(エンジニアリングプラスチック)によって形成されている。また、樹脂パイプ23は、ポリオレフィン(架橋ポリエチレン、ポリブテン等)等の合成樹脂により形成されている。
次に、以上のように構成された継手10についてその作用を説明する。
図1に示すように、インサート部材19を継手10内に組付ける場合には、まずシールリング25をインサート部材19の外端部から嵌挿し、インサート部材19の第1段部20a上に装着する。続いて、押え部材28をインサート部材19の外端部から嵌挿し、第2段部20bの内端部上に装着する。このとき、押え部材28の内周面には膨出部31が突設されているため、押え部材28はインサート部材19に対してその位置で位置決め固定される。次いで、シール部材32をインサート部材19の外端部から嵌挿し、インサート部材19の第3段部20c及び第4段部20d上に嵌合させた後、抜け止め部材33をインサート部材19に外嵌させてその係合突起34をインサート部材19の係合孔21に係合させる。
図1に示すように、インサート部材19を継手10内に組付ける場合には、まずシールリング25をインサート部材19の外端部から嵌挿し、インサート部材19の第1段部20a上に装着する。続いて、押え部材28をインサート部材19の外端部から嵌挿し、第2段部20bの内端部上に装着する。このとき、押え部材28の内周面には膨出部31が突設されているため、押え部材28はインサート部材19に対してその位置で位置決め固定される。次いで、シール部材32をインサート部材19の外端部から嵌挿し、インサート部材19の第3段部20c及び第4段部20d上に嵌合させた後、抜け止め部材33をインサート部材19に外嵌させてその係合突起34をインサート部材19の係合孔21に係合させる。
その後、シールリング25、押え部材28、シール部材32及び抜け止め部材33が装着されたインサート部材19を、その内端部が本体筒部12の拡径孔12aに挿入されるようにして装着する。その状態で、本体筒部12の雌ねじ部13に係合筒部15の雄ねじ部14を螺合する。このとき、インサート部材19の内端部の折曲片19aと本体筒部12の環状壁12bとの間には若干の隙間が保持されている。このような簡単な操作により、インサート部材19を継手10内に組付けることができる。
さらに、規制リング45、割りリング47、差込ガイド50等を装着した状態で、キャップ43の雌ねじ44を係合筒部15の雄ねじ41に螺合することにより継手10が構成される。
そして、樹脂パイプ23をキャップ43の開口52から差し込むと、樹脂パイプ23の先端面が差込ガイド50の端面に当接する。その状態から、樹脂パイプ23をさらに挿入すると樹脂パイプ23は差込ガイド50に案内され、図6に示すように、差込ガイド50及び樹脂パイプ23は規制リング45の規制片45aを通過し、樹脂パイプ23の先端部がシール部材32に到達する。この場合、シール部材32の外周面に樹脂パイプ23の先端縁が当ってシール部材32が内端側へ押圧力を受ける。このとき、シール部材32はインサート部材19の第2段部20bと第3段部20cとの段差部分20bc及び第3段部20cと第4段部20dとの段差部分20cdによってその押圧力を受け止めることができ、シール部材32が内端側へ移動することを抑制できると同時に、シール部材32表面のめくれを抑えることができる。従って、シール部材32によってインサート部材19と樹脂パイプ23との水密が保持される。
続いて、図7に示すように、樹脂パイプ23をさらに差し込むと、差込ガイド50及び樹脂パイプ23はシール部材32及び第2シール材27を通過し、差込ガイド50の先端部が差込空間24の内奥部に位置する押え部材28の厚肉部30に当接して樹脂パイプ23の差し込みが完了する。このとき、差込ガイド50の内端部は断面円弧状に形成されていることから、差込ガイド50及び樹脂パイプ23は継手10の差込空間24を円滑に進行することができる。同時に、シールリング25は本体筒部12の拡径孔12a内において押え部材28により保持され、インサート部材19と本体筒部12との間の水密が維持される。さらに、シール部材32の外周面は樹脂パイプ23の内周面に摺接されて押圧されると共に、第2シール材27は樹脂パイプ23の外周面に押圧される。その上、第1シール材16によって本体筒部12と係合筒部15との間の水密が保持され、第2シール材27によって係合筒部15と樹脂パイプ23との間の水密が保持される。
以上の実施形態によって発揮される効果について、以下にまとめて記載する。
・ 本実施形態の継手10では、インサート部材19を継手本体11内の中心部にパイプ差し込み側から挿入して保持させることができる。また、シールリング25はインサート部材19にその外端部から嵌挿してその内端部の第1段部20a上に装着させることができると共に、装着されたシールリング25はその外端側で本体筒部12と係合筒部15との間で挟着された押え部材28により保持することができる。このため、シールリング25はその機能を十分に発揮することができる。
・ 本実施形態の継手10では、インサート部材19を継手本体11内の中心部にパイプ差し込み側から挿入して保持させることができる。また、シールリング25はインサート部材19にその外端部から嵌挿してその内端部の第1段部20a上に装着させることができると共に、装着されたシールリング25はその外端側で本体筒部12と係合筒部15との間で挟着された押え部材28により保持することができる。このため、シールリング25はその機能を十分に発揮することができる。
このように、本実施形態の継手10では、従来の継手のようにインサート部材19(インコア)をパイプ挿入側とは反対側から挿入する必要がなく、またその基端部をテーパ状に加工したり、装着後に先端部を湾曲させる加工を施したりする必要がない。従って、本実施形態の継手10によれば、インサート部材19の組付けが簡単であると共に、シールリング25の組付けが容易で水密性を十分に発揮することができる。
・ 前記押え部材28はインサート部材19の第1段部20aの外端側に隣接する第2段部20b上に配設されている。このため、押え部材28は第1段部20aと第2段部20bの段差部分20abで位置決め保持され、シールリング25の保持を良好に行うことができる。
・ 押え部材28はその中心部にインサート部材19が挿通される挿通孔29を有する円板状に形成されている。このため、押え部材28によってシールリング25の全周を押えることができ、シールリング25の保持を一層良好に行うことができる。
・ 押え部材28は軸線方向に厚く形成された厚肉部30を有し、該厚肉部30がシールリング25を押えるように構成されている。従って、押え部材28の厚肉部30によってシールリング25を効果的に押圧することができ、シールリング25の機能を維持することができる。
・ 押え部材28の内周面には径方向内側へ膨出する膨出部31が設けられ、該膨出部31がインサート部材19に圧着されるように構成されている。このため、押え部材28をインサート部材19に強く圧着させることができ、押え部材28をインサート部材19に位置決め固定することができる。
・ 押え部材28はエンジニアリングプラスチックにより形成されている。このため、押え部材28の強度、剛性等の物性を高めることができ、その形状を十分に保持することができる。
・ 本実施形態の継手10では、シールリング25及びシール部材32に加えて、第1シール材16及び第2シール材27が設けられ、内径シール方式と外径シール方式とを兼ね備えた内外径シール方式になっている。このため、継手10の水密性能の向上を図ることができ、継手10の寿命を延長させることができる。
・ 本実施形態の継手10では、インサート部材19の段差部分20ab、20bc及び20cdがインサート部材19の内径に対して小さく、しかも抜け止め部材33の内周面には第1テーパ面38が設けられていることから、樹脂パイプ23内から継手10内へ流れる水の流通抵抗を抑制することができ、十分な流量を得ることができる。
なお、本実施形態は、次のように変更して具体化することも可能である。
〇 前記インサート部材19の段部20の数は適宜設定することができ、例えば第4段部20dを省略して第1段部20aから第3段部20cまでの3つに設定することができる。
〇 前記インサート部材19の段部20の数は適宜設定することができ、例えば第4段部20dを省略して第1段部20aから第3段部20cまでの3つに設定することができる。
〇 前記インサート部材19の第2段部20bを省略し、第1段部20aを延長してその第1段部20a上に押え部材28を配設することもできる。
〇 前記押え部材28として、その厚肉部30を内端側のみに形成し、外端側を省略することもできる。また、その厚肉部30を中央部ほど厚くなるように階段状に形成したり、厚肉部30の内端面をシールリング25の形状に合わせて断面円弧状に形成したりして、シールリング25に圧着させることも可能である。
〇 前記押え部材28として、その厚肉部30を内端側のみに形成し、外端側を省略することもできる。また、その厚肉部30を中央部ほど厚くなるように階段状に形成したり、厚肉部30の内端面をシールリング25の形状に合わせて断面円弧状に形成したりして、シールリング25に圧着させることも可能である。
〇 押え部材28として、それを分割した分割片を間欠的に配設したりすることも可能である。
〇 シールリング25として、凹凸を有する断面扁平状等のものを使用することも可能である。
〇 シールリング25として、凹凸を有する断面扁平状等のものを使用することも可能である。
〇 パイプとして、樹脂パイプ23のほかに、銅、銅合金等の金属製のパイプを用いることも可能である。
〇 継手10の用途として、水道配管、冷温水配管、床暖房配管、ロードヒーティング用配管等に使用される継手が挙げられる。
〇 継手10の用途として、水道配管、冷温水配管、床暖房配管、ロードヒーティング用配管等に使用される継手が挙げられる。
さらに、前記実施形態より把握できる技術的思想について以下に記載する。
・ 前記押え部材の外端側の厚肉部は、係合筒部の内端部に設けられた係合凹部に係合されていることを特徴とする請求項4又は請求項5に記載の継手。このように構成した場合、請求項4又は請求項5に係る発明の効果に加えて、押え部材の特に周方向への動きを抑制することができる。
・ 前記押え部材の外端側の厚肉部は、係合筒部の内端部に設けられた係合凹部に係合されていることを特徴とする請求項4又は請求項5に記載の継手。このように構成した場合、請求項4又は請求項5に係る発明の効果に加えて、押え部材の特に周方向への動きを抑制することができる。
・ 前記膨出部は押え部材の周方向に均等間隔をおいて複数設けられていることを特徴とする請求項5に記載の継手。このように構成した場合、請求項5に係る発明の効果に加えて、係る膨出部により押え部材をインサート部材に均等に圧着させることができる。
・ 前記本体筒部内には流体が流通する流通孔が形成され、該流通孔よりも外端側には流通孔より拡径された拡径孔が設けられると共に、インサート部材の内端部には外周方へ折曲げられた折曲片が設けられ、該折曲片が前記本体筒部の拡径孔に収容され、折曲片と前記押え部材との間にシールリングが装着されていることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の継手。このように構成した場合、請求項1から請求項5のいずれかに係る発明の効果に加えて、インサート部材の折曲片と押え部材との間にシールリングを保持することができ、水密性を向上させることができる。
・ 前記押え部材は、エンジニアリングプラスチックにより形成されていることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の継手。このように構成した場合、請求項1から請求項5のいずれかに係る発明の効果に加えて、押え部材の強度、剛性等の物性を高めることができ、その形状を十分に保持することができる。
10…継手、11…継手本体、12…本体筒部、15…係合筒部、19…インサート部材、20…段部、20a…第1段部、20b…第2段部、20c…第3段部、20d…第4段部、23…樹脂パイプ、25…シールリング、28…押え部材、29…挿通孔、30…厚肉部、31…膨出部、32…シール部材。
Claims (5)
- 筒状をなしパイプが差し込まれて接続される継手本体と、該継手本体内の中心部にパイプ差し込み側から挿入されて保持され、その外周にパイプが外嵌されるインサート部材と、該インサート部材の内端側の外周に装着され継手本体及びインサート部材の間を水密に保持するシールリングと、インサート部材の外端側の外周に装着されインサート部材及びパイプの間を水密に保持するシール部材とより構成される継手であって、
前記インサート部材は内端側から外端側に向かうに従って縮径される複数の段部を有し、シールリングはインサート部材の内端部の第1段部上に装着されると共に、継手本体が本体筒部と係合筒部とにより構成され、シールリングの外端側において本体筒部と係合筒部との間にシールリングを保持する押え部材が挟着されていることを特徴とする継手。 - 前記押え部材は、インサート部材の第1段部の外端側に隣接する第2段部上に配設されていることを特徴とする請求項1に記載の継手。
- 前記押え部材は、その中心部にインサート部材が挿通される挿通孔を有する円板状に形成されていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の継手。
- 前記押え部材は軸線方向に厚く形成された厚肉部を有し、該厚肉部がシールリングを押えるように構成されていることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の継手。
- 前記押え部材の内周面には径方向内側へ膨出する膨出部が設けられ、該膨出部がインサート部材に圧着されるように構成されていることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の継手。
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2008
- 2008-05-07 JP JP2008121063A patent/JP2009270619A/ja active Pending
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