JP2010127461A - 樹脂管継手 - Google Patents

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Abstract

【課題】騒音状況下にある作業現場においても、ユニオンナットが締付終了又はそれに近い状態であることの確認が行えるようにし、組付作業性や取扱い性に優れるように改善される樹脂管継手を提供する。
【解決手段】インナ筒4にチューブ3が外嵌されて拡径部3Aを生じる状態での雌ねじ8と雄ねじ5との螺合によるユニオンナット2の螺進により、拡径変化領域9がシール用押圧部10で押圧される構成の樹脂管継手において、軸心方向に突出する庇部19とこの庇部19に軸心P方向で当接可能な受止部20とが、シール用押圧部10が拡径変化領域9を押圧してのユニオンナット2の螺進終了手前付近からの締込み回転に伴って、ユニオンナット2の軸端の庇部19と継手本体1の外周フランジ1Aである受止部20との当接による庇部19の径方向への撓み変位が生じる締付終了認知手段Cが構成される。
【選択図】図1

Description

本発明は、流体移送路としてのチューブを拡径(フレア)させて接続させる構造の樹脂管継手に係り、詳しくは、半導体製造や医療・医薬品製造、食品加工、化学工業等の各種技術分野の製造工程で取り扱われる高純度液や超純水の配管にも好適であって、ポンプ、バルブ、フィルタ等の流体機器や流体移送路であるチューブの接続手段として用いられる樹脂管継手に関するものである。
この種の樹脂管継手としては、特許文献1において開示されるチューブ継手が知られている。即ち、合成樹脂製のチューブ(1)を継手本体(4)の嵌合筒(5)に強制的に押し込むか、又は特許文献1の図2に示されるように、予めチューブ端部(2)を拡径させて嵌合筒(5)に嵌め込むかする。それから、予めチューブに嵌装されているユニオンナット(6)を継手本体に螺合させ、締込み操作して継手本体(4)の軸心方向に強制移動させることにより、チューブ(1)の拡径付け根部分(2a)をエッヂ部(6a)で軸心方向に強く押圧し、チューブ(1)と嵌合筒(5)との間をシールする構造である。
上述の構造と同様なものとしては、特許文献2の図8,図9において開示された樹脂管継手も知られている。また、特許文献2の図5や特許文献3において開示されるように、インナーリングに拡径外嵌されているチューブ端を継手本体の嵌合筒に内嵌させ、ユニオンナットの締付によってチューブにおけるインナーリングへの拡径部を押圧してシールさせる構造の樹脂管継手もある。いずれにしても、チューブ端を拡径(フレア)させてユニオンナットの締付でシールさせる構造である。チューブの先端を嵌合筒部外嵌させてナット止めする前者の構造のものでは、継手本体とユニオンナットとの2部品で経済的に管継手を構成できる良さがあり、インナーリングを用いる後者の構造のものでは、確実に漏れが回避できて安定した性能が得られ、かつ、信頼性に優れる良さがある。
ところで、これらのように種々の優れたメリットを持つ樹脂管継手の実際の施工において、ユニオンナットの締付終了時点が分り難いという慢性的な要改善項目があった。もともと、樹脂製の継手においては、その材料の特性上、ユニオンナットの回し操作に対して締付けトルクが漸増するので、金属材料のように締付トルクが急激に大きくなることによる締切り感に乏しく、感覚的に締付終了が分かり難いのである。締付が不足すると漏れのおそれがあり、締め付け過ぎると継手を損壊させるおそれがある。樹脂製であるが故にそれらの不都合が起こり易いので、正しくユニオンナットの締付を終える必要がある。
そこで、特許文献3において、継手本体(1)に片持ち状態で軸心方向に突設させた突片(15)と、ユニオンナット(2)の軸心方向端部に隆起形成された突起(23)とが、ユニオンナット(2)の締付終了間際になると周方向で接近干渉して当接し、その際に突片(15)が発する弾かれ音により、作業者は締付終了又はそれに近づいたことを知ることが可能となる技術が開示されている。つまり、音によって作業者に締付終了状態を知らしめる音発生手段である。
実登3041899号公報 特開平7−27274号公報 特開平11−230463号公報
前記音発生手段により、管継手部分が見えなくてもユニオンナット操作による締付終了状態の音認識による確認が可能になり、一定の効果が得られるものとなった。ところが、実際の配管作業現場は静寂状況であることはまれであり、稼動中の工場内であるとか、他の工事や施工が一緒に行われる状況での作業等、得てしてある程度の騒音状況下で行われることになる。従って、樹脂製突片の弾ける音程度では作業者には聞えないことが多く、ユニオンナットの締付終了を知らせる手段、即ち、締付終了認知手段としては更なる改善の余地が残されているものであった。
本発明の目的は、上記実情に鑑みて、騒音状況下にある作業現場においても、ユニオンナットが締付終了又はそれに近い状態であることの確認が行えるようにし、組付作業性や取扱い性に優れるように改善される樹脂管継手を提供する点にある。
請求項1に係る発明は、合成樹脂製チューブ3の端部を拡径させて嵌合装着可能な嵌合筒4と、雄ねじ5とを備える合成樹脂製の継手本体1、及び、
前記雄ねじ5に螺合可能な雌ねじ8と、前記チューブ3の拡径部3Aにおける拡径変化領域9に作用可能なシール用押圧部10とを備える合成樹脂製のユニオンナット2を有し、
前記嵌合筒4に前記チューブ3が嵌合装着される状態における前記雌ねじ8を前記雄ねじ5に螺合させての前記ユニオンナット2の前記継手本体1の軸心P方向への螺進により、前記拡径変化領域9が前記シール用押圧部10で前記軸心P方向に押圧されてシール部Sが形成されるように構成されている樹脂管継手において、
軸心方向に突出する庇部19とこの庇部19に軸心P方向で当接可能な受止部20とが、前記ユニオンナット2の軸心P方向端部と前記継手本体1の外周部とに振分けて配備されており、前記シール用押圧部10が前記拡径変化領域9を押圧しての前記ユニオンナット2の螺進終了手前付近からの締込み回転に伴って、前記庇部19と前記受止部20との当接による前記庇部19の径方向への撓み変位が生じる締付終了認知手段Cが構成されていることを特徴とするものである。
請求項2に係る発明は、請求項1に記載の樹脂管継手において、前記庇部19が前記ユニオンナット2の軸心P方向端部に配備され、前記受止部20が前記継手本体1に形成される外周フランジ1Aとして配備されていることを特徴とするものである。
請求項3に係る発明は、請求項2に記載の樹脂管継手において、前記庇部19が、円筒状軸心方向端部が周方向で分断されることで軸心P方向視で円弧状を為すものとして複数形成されていることを特徴とするものである。
請求項4に係る発明は、請求項2又は3に記載の樹脂管継手において、前記庇部19が、前記受止部20との当接によって径外方向へ撓み変位する状態に構成されていることを特徴とするものである。
請求項5に係る発明は、請求項1〜4の何れか一項に記載の樹脂管継手において、前記庇部19の先端又は/及び前記受止部20に、前記庇部19の径方向への撓み変位を促進させるテーパ面1aが形成されていることを特徴とするものである。
請求項6に係る発明は、請求項1〜5の何れか一項に記載の樹脂管継手において、前記継手本体1及び前記ユニオンナット2がフッ素樹脂製であることを特徴とするものである。
請求項1の発明によれば、詳しくは実施形態の項にて説明するが、庇部と受止部との当接による庇部の径方向への撓み変位が生じる状況の目視、又は撓み変位する庇部を触ることの指先での感触により、ユニオンナットの締付終了又はほぼ終了であることを認識可能となる。つまり、管継手を見ていさえすれば、又は触っていさえすれば締付終了状態を知ることが可能となるのである。その結果、騒音状況下にある作業現場においても、ユニオンナットが締付終了又はそれに近い状態であることの確認が行えるようにし、組付作業性や取扱い性に優れるように改善される樹脂管継手を提供することができる。
請求項2の発明によれば、庇部がユニオンナット2軸端に、かつ、受止部が継手本体の外周フランジとしてそれぞれ配備されるようにすれば、その逆の構成の場合に比べて製作がし易いとともに、撓み変位する庇部が部品交換の容易なユニオンナットに形成されるので、庇部が傷んだ場合の修復が簡易となる利点もある。
請求項3の発明によれば、各庇部の撓み変位が生じ易いとともに、隣合う庇部どうし間の空隙からゲージを入れるといった具合に、目視や感触以外の手段による締付確認が可能な窓部が形成される利点もある。
請求項4の発明のように、庇部が径外方向へ撓み変位するようにすれば、目視や指先感触による締付終了状態の確認が行い易く、また、請求項5の発明のように、庇部の先端や受止部に庇部の径方向への撓み変位を促進させるテーパ面を設けることができる。
請求項6の発明のように、継手本体及びユニオンナットを耐薬品性及び耐熱性に優れた特性を有するフッ素系樹脂で形成すれば、流体が薬液であるとか化学液体であっても、或いは高温流体であっても継手構造部分が変形して漏れ易くなることがなく、良好なシール性や耐引抜力が維持できるようになる。尚、フッ素系樹脂は高温にも安定で、撥水性に優れ、摩擦係数が小さく、耐薬品性も極めて高く、電気絶縁性も高い点で好ましい。
以下に、本発明による樹脂管継手の実施の形態を、図面を参照しながら説明する。図1,2は締付終了状態の樹脂管継手を示す断面図と平面図、図3,4は締付終了手前態の樹脂管継手を示す断面図と平面図、図5は庇部の撓み変位状況示す要部の断面図である。
〔実施例1〕
実施例1による樹脂管継手Aは、図1,図2,図4に示すように、フッ素樹脂(PFA、PTFE等に代表される合成樹脂の一例)製のチューブ3をポンプ、バルブ等の流体機器や、異径又は同径のチューブに連通接続するものであり、フッ素樹脂(PFA、PTFE等に代表される合成樹脂の一例)製の継手本体1とフッ素樹脂(PFA、PTFE等に代表される合成樹脂の一例)製ユニオンナット2との2部品で構成されている。尚、図1はユニオンナット2を所定量締め込んだ締付終了状態(組付状態)を示している。
継手本体1は、図1,図2,図4に示すように、チューブ3の端部を拡径して外嵌装着可能な一端のインナ筒(嵌合筒の一例)4と、インナ筒4の内奥側部分の外周側に拡径されたチューブ3先端の入り込みを許容すべく軸心P方向に延びる周溝mを有して被さるカバー筒部6と、台形ねじで成る雄ねじ5と、軸心Pを持つ円柱空間状の流体経路7とを備える筒状部材に形成されている。インナ筒4は、チューブ3を徐々に拡径させる先端先窄まり筒部4Aと、先端先窄まり筒部4Aの大径側に続いて形成される直胴筒部分4Bとを有する先細りストレート形のものとして構成されている。
周溝mは、その径内側の周面である外周面は直胴筒部分4Bの外周面4bであり、その径外側の周面である外周面はカバー筒部6の内周面6aである。周溝mの奥側周面21から軸心P方向に所定長さ離れた箇所に外周フランジ1Aが形成されており、その外周フランジ1Aの略根元部位からカバー筒部6の端部の外周面に亘って雄ねじ5が形成されている。インナ筒4の先端面は、径方向で内側ほど内奥側(軸心P方向で奥側)に寄る逆テーパの角度が施される、即ち、先端ほど大径となるカット面16が形成されており、チューブ3の内周面が拡径部(フレア部)に向けて拡がり変位することに因る液溜り周部17の形状を内周側拡がり形状として、その流体が液溜り周部17に停滞し難くしてある。
尚、カット面16は、その最大径が自然状態のチューブ3の内径と外径の略中間値となるように形成されているが、それにはこだわらない。また、フランジ1Aの軸心P方向で雄ねじ5と反対側には、軸心P方向に一定の幅を有する操作用の六角ナット部23、及びそれに続く丸パイプ部25(図3〜5を参照)が形成されている。
継手本体1には、図1,図2,図4に示すように、ユニオンナット2の軸端に形成される庇部19(後述)に軸心P方向で当接可能な受止部20が外周フランジ1Aとして形成されている。外周フランジ1Aは、六角ナット部23及び雄ねじ5よりも大径であり、かつ、軸心P方向の厚み(幅)が十分厚く、強度や剛性に富むものとなっている。外周フランジ1Aの外周面1bの径は、ユニオンナット2の外周面2Aと同径に設定されるとともに、雄ねじ側の側周面は、その径外側が六角ナット部23側に倒れるテーパ面1aに形成されている。
ユニオンナット2は、図1,図3,図4に示すように、雄ねじ5に螺合可能な雌ねじ8と、チューブ3のインナ筒4に外嵌される拡径部3Aにおける拡径変化領域9の小径側端部分に作用可能なシール用周エッヂ(シール用押圧部の一例)10と、拡径変化領域9の大径側端部分に作用可能な抜止め用周エッヂ11と、拡径部3Aにおける径一定の直胴筒部分4Bに外囲される拡径ストレート部12に外嵌可能な押え内周部13と、シール用周エッヂ10に続いてチューブ3を軸心P方向の所定長さに亘って外囲するガイド筒部14とを備えて形成されている。
シール用周エッヂ10は、その内径がチューブ3の外径に略等しく、その押圧面10aは軸心Pに直交する側周面とされている。抜止め用周エッヂ11は、その内周面の径がインナ筒4の最大径である直胴筒部分4Bの外周面4bよりも大径であり、かつ、チューブ3の肉厚を足した径、即ち押え内周部13の径よりは小さい値に設定されているが、そうでなく(例:外周面4bよりも小径)でも良く、拡径変化領域9の大径側部分に作用すれば良い。抜止め用周エッヂ11の押圧面11aも軸心Pに直交する側周面である。
押え内周部13は、これと拡径ストレート部12とに径方向の隙間が無く、かつ、ユニオンナット2の締込みによる拡径部3Aの連れ回りが生じない程度に拡径ストレート部12に圧入(圧接外嵌)される値に設定されて抜止め手段Nが構成されている。これは、ユニオンナット2の締込みにより、チューブ3の抜出しを阻止すべく抜止め用周エッヂ11が拡径ストレート部12を軸心方向で食い込むように押圧するが、その押圧力によって拡径ストレート部12が径外側に膨らむように逃げ変形できないようにして、抜止め用周エッヂ11との協働による耐引抜力を高めて得るためのものである。
図1〜図3に示すように、ユニオンナット2の雌ねじ側端には、そこから軸心方向に突出する庇部19が形成されている。庇部19は、円筒状軸心方向端部が周方向で分断されることで軸心P方向視で円弧状を為すものとして、軸心Pに関する45度均等角度ごとの計8箇所(複数の一例)に形成されている。庇部19の外径はユニオンナット2の外径であって外周フランジ1Aの径と等しいが、この限りではない。尚、各庇部19は、軸心P方向での先端側ほど厚み(径方向の厚み)がやや薄くなるように内周面19aには傾斜が付けられている。この庇部19は、受止部との当接によって径外方向へ撓み変位することが可能に構成されている。
次に、チューブ3の端部をインナ筒4に外嵌挿入するには、常温下で強制的にチューブ3を押し込んで拡径させて装着するか、熱源を用いて暖めて膨張変形し易いようにしてから押し込むか、或いは拡径器(図示省略)を用いて予めチューブ端を拡径させておいてからインナ筒4に押し込むかして、図1に示すように、チューブ端3tがカバー筒部6の端壁15よりも内奥に位置する状態となるまで差し込む。インナ筒4に外嵌装着される拡径部3Aは、図1,図2に示すように、先端先窄まり筒部4Aの外周面4aに外嵌される拡径変化領域9と、直胴筒部分4Bの外周面4bに外嵌される拡径ストレート部12とで成る。
つまり、図1に示すように、インナ筒4にチューブ3が外嵌装着された状態における雌ねじ8を雄ねじ5に螺合させてのユニオンナット2の締込みによる継手本体1の軸心P方向への螺進により、拡径ストレート部12に押え内周部13が外嵌され、かつ、拡径変化領域9の大径側部分におけるインナ筒4の径よりも大径となる部分が抜止め用周エッヂ11で軸心P方向に押圧され、かつ、拡径変化領域9の小径側部分がシール用周エッヂ10で軸心P方向に押圧されるように設定されている。尚、チューブ3の流体移送路3Wの径と流体経路7の径とは、円滑な流体の流れとすべく互いに同径に設定されているが、互いに異なっていても良い。
この場合、前述したように、押え内周部13と拡径ストレート部12との径方向には隙間が無く、直胴筒部分4Bと押え内周部13との間に拡径ストレート部12が圧接挟持されているような状態になっている。また、実施例1においては、チューブ3の拡径変化領域9が先端先窄まり筒部4Aに被さる部分として形成されている。拡径変化領域9は、徐々に拡がるテーパ管の状態であり、シール用周エッヂ10と抜止め用周エッヂ11とは軸心P方向で互いに離れた位置関係にあるが、先端先窄まり筒部4Aの外周面4aの軸心Pに対する角度が急になればなる程、シール用周エッヂ10と抜止め用周エッヂ11との軸心P方向の距離は接近する。また、シール用周エッヂ10とインナ筒4の先端とは軸心P方向で少し離れているが、前記外周面4aの角度が急になればその離間距離は拡大され、緩くなればその離間距離は縮小される。
さて、図1に示すように、樹脂管継手Aの所定の組付状態においては、シール用周エッヂ10はチューブ3の拡径変化領域9の小径側端部分を軸心P方向に押圧するので、拡径変化領域9の外周面4aの小径側端と、その箇所に接するチューブ3の内周面とが強く圧接されてシール部Sが形成される。このインナ筒4の先端箇所でのシール部Sにより、インナ筒4と拡径部3Aと間に洗浄液、薬液等の流体が入り込むことなくチューブ3と継手本体1とが良好にシールされている。
そして、インナ筒4に圧入的に外嵌されている拡径部3Aの拡径ストレート部12が直胴筒部分4Bの外周面4bと押え内周部13とで囲まれていて、まず膨張変形できないようにホールドされており、かつ、抜止め用周エッヂ11がほぼその拡径ストレート部12に食い込むように位置している。これにより、拡径変化領域9の大径側端部分、即ち実質的に拡径ストレート部12に食い込むように押す抜止め用周エッヂ11の引掛かりによって拡径部3Aに作用する引抜力に抗することができるとともに、抜止め用周エッヂ11を基点として拡径ストレート部12が引抜力によって径方向に膨張変形できることに起因して拡径部3Aが抜き出る方向にずり動くことが牽制阻止されるようにもなる。
拡径部3Aが軸心P方向に少しでもずり動くと、シール部Sにおけるシールポイントもずれてシール機能が不確実化するおそれがあるが、それが未然に防止されるようになる。従って、拡径部3Aが軸心P方向でインナ筒4から抜け出る方向の移動が強固に規制される抜止め手段Nが構成されており、それによって優れた耐引抜力が実現されている。その結果、継手本体1とユニオンナット2とから成るフレア型の樹脂管継手Aを、チューブがインナ筒に装着されている状態でのナット操作によって簡単に組付けできて組付性に優れるとともに、シール部Sによる優れたシール性と抜止め手段Nによる優れた耐引抜力との両立も図れる改善されたものとして実現できている。
加えて、抜止め用周エッヂ11による拡径変化領域9の大径側部分の押圧が開始された後にシール用周エッヂ10による拡径変化領域9の小径側部分の押圧が開始される状態に設定されていること、即ち押圧時差手段により、次のような作用や効果もある。即ち、ユニオンナット2を回して締め込んで(螺進させて)ゆくと、まず、抜止め用周エッヂ11が先に拡径変化領域9(詳しくは拡径変化領域9の大径側部分)に当接し、そのときはシール用周エッヂ10は拡径変化領域9にまだ達していない。これにより、抜止め用周エッヂ11のみが拡径変化領域9の大径側部分、より詳しくは直胴筒部分4Bよりも大径となる部分を軸心P方向に押すから、ユニオンナット2の締付操作によって拡径ストレート部12をインナ筒4のより内奥側に押し込もうとする作用が生じる。
直胴筒部分4Bに圧入外嵌される拡径ストレート部12は押え内周部13にも圧接されるが、その圧接力が比較的弱い場合には拡径部3Aをズリ動かしてインナ筒4のより内奥側に挿入させようとするから、より確実にチューブを継手本体1に差し込めるとか、それに加えて、軸心P方向に押される拡径ストレート部12が軸心P方向に動きに難いことに起因して径方向に膨張しようとして、より圧接力が高まってしっかりと挟持される作用が生じるといった好ましい効果が得られる。前記圧接力が比較的強い場合には、軸心P方向に押される拡径ストレート部12が軸心P方向にまず動けないことによって径方向に膨張しようとする強い作用が生じ、インナ筒4と押え内周部13との間で拡径ストレート部12がより一層強固に保持される効果が得られる。
つまり、いずれせよ、シール用周エッヂ10が拡径部3Aに刺さり込み作用していない状況で抜止め用周エッヂ11が拡径部3Aを軸心P方向に押すことにより、直胴筒部分4Bと押え内周部13とによる拡径ストレート部12の圧接保持力が強化されるという効果が得られる。例えば、拡径部3Aにおける抜止め用周エッヂ11で押される部分が径外側に流動して押圧面11aと押え内周部13とで成される隅角空間部が埋まるといった具合である。このように、押圧時差手段により、チューブ3のインナ筒4に対する圧接保持力も耐引抜力も一層向上する効果が得られるようになる。
また、図1に示すように、インナ筒4の内奥側とカバー筒部6とで形成される周溝m、及び透視可能なフッ素樹脂で形成されるユニオンナット2とにより、チューブ3が正しくインナ筒4に差し込まれている否かを目視チェック可能なインジケータ手段Bが構成されていても良い。つまり、押え内周部13の内奥側で、かつ、雌ねじ8に至るまでの間の谷状内周面22を通るラインでの目視により、拡径部3Aが見え、かつ、拡径端部3tが見えない正常状態であるならば、チューブ3がインナ筒4に正しく外嵌装備されていると判断できるからである。拡径部3Aが見え、かつ、拡径端部3tも見える差込不良状態、或いは拡径部3A自体が見えない差込不足状態であれば、チューブ3の差込がまだ規定量に達していないと判断できるのであり、この場合は前記正常状態が目視できるまでチューブ3をさらに押し込む操作を行うことになる。
インジケータ手段Bは、ユニオンナット2が透明又は半透明(乳白色等)のフッ素樹脂を用いて形成されていてその内側にある物体を目視視認可能である。特に、押え内周部13の内奥側で、かつ、雌ねじ8に至るまでの間の谷状内周面22を通るラインでの目視で、ユニオンナット2の厚みの少ない部分のみの透視によって拡径部3Aを比較的はっきりと視認し易いものとなっている。それに対して、谷状内周面22の部位よりも肉厚が厚い押え内周部13の部位では拡径部3Aの視認度が劣り、見難いものとなっている。
そして、チューブ3の端部が入り込み可能な周溝mの部分では、ユニオンナット2とカバー筒部6が重なっているので、継手本体1も透視可能であるとしても、厚みが谷状内周面22の部分よりも厚くなる上、雄ねじ5と雌ねじ8との重なりによる境界面での屈折率の変化も加わり、拡径端部3tが何処にあるかの視認は先ず無理な状態になる。また、継手本体1が着色されている等の透視不可の場合には、カバー筒部6の端壁15よりも内奥側においては、言うまでもなく拡径部3Aや拡径端部3tを見ることはできない。
従って、谷状内周面22から拡径部3Aが見え、かつ、拡径端部3tが見えないという正常状態を視認できるか否かというインジケータ手段Bの機能によって、ユニオンナット2を締め付け操作した後の組付状態にて目視確認できるものであり、便利で使い勝手に優れる樹脂管継手Aが提供できている。
また、インジケータ手段Bを構成するための周溝m及びカバー筒部6の存在により、チューブ3をインナ筒4に差し込む際におけるインジケータとしても機能する、という効果も得られる。即ち、チューブ3をフレアしてのインナ筒4への差込量が所定量になっているか否かの確認ができる。つまり、インナ筒4に差し込まれた拡径部3Aとしての端部3tが端壁15より奥にあれば良く、その良否をチューブ3のインナ筒4への組付時において視認判断できる手段としても機能する利点がある。
この樹脂管継手Aは、チューブ3を差し込んでユニオンナット2で締付固定するという組付作業状態におけるユニオンナット2の締付終了又は終了が近づいたことを目視及び/又は感触でもって認識可能な締付終了認知手段Cが設けられている。締付終了認知手段Cは、図1,図2,図5に示すように、継手本体1の外周フランジ1A(受止部20)と、ユニオンナット2の先端側(雌ねじ8側端)に形成される庇部19とで成る当接撓み部26を設けることによって構成されている。当接撓み部26は、シール用周エッヂ10が拡径変化領域9を押圧してのユニオンナット2の螺進終了手前付近からの締込み回転に伴って、庇部19と外周フランジ1Aとの当接による庇部19の径外方向への撓み変位が生じるように構成されている。
つまり、図1,図3,図5に示すように、庇部19の先端が外周フランジ1Aのテーパ面1aに当接すると、その傾斜分力によって庇部19の先端が径外方向に逃げ変位するようになり、従って8箇所の庇部19が開花するかのように撓み変位する。尚もユニオンナット2を締付側に回すと、各庇部19がさらに撓んで外周フランジ1Aに乗り上がる状況となる。従って、その庇部19の径外方向への撓み移動(開花移動)を目視することにより、或いは撓み移動する庇部19を触る手指の感触により、ユニオンナット2の締付が終了又はほぼ終了することの認識が可能となっている。
当接撓み部26の作用を説明すると、六角ナット部2bに工具を作用させる等してユニオンナット2を締付て行くと、図3,図4に示すように、ユニオンナット2が螺進して各庇部19が外周フランジ1Aに近接して行く。この図3に示す継手本体1とユニオンナット2との相対位置関係のときには、各周エッヂ10,11は、まだチューブ3の拡径変化領域9に達していない。引き続きユニオンナット2を締付方向に回し操作すると、図5に示すように、各庇部19の先端が外周フランジ1Aのテーパ面1aに螺旋移動しながら当接する。
尚もユニオンナット2が締付方向回されて螺進すると、前述したように各庇部19が径外方向に開くように撓み変位(図5の矢印イ参照)し、外周フランジ1A(受止部20)との当接による干渉が回避される。そして、図1,図2に示すように、各庇部19が外周フランジ1Aの外周面1bに若干乗り上がった状態がユニオンナット2の締付終了状態であり、樹脂管継手Aとしての組付状態である。この組付状態では、シール用周エッヂ10によるシール機能と、抜止め用周エッヂ11による抜止め機能とが有効に発揮される状態がもたらされるように設定されている。
要するに、軸心P方向に突出する庇部19とこの庇部19に軸心P方向で当接可能な受止部20とが、ユニオンナット2の軸心P方向端部と継手本体1の外周部とに振分けて配備されており、シール用周エッヂ10が拡径変化領域9を押圧してのユニオンナット2の螺進終了手前付近からの締込み回転に伴って、庇部19と受止部20との当接による庇部19の径方向への撓み変位が生じる当接撓み部26、即ち、締付終了認知手段Cが構成されている。
当接撓み部26においては、受止部20との当接によって庇部19が拡がり撓み変位するので、外部からの目視或いは指先での感触により、締付終了状態(組付状態であり、締付基準位置でもある)を認識することができるのであり、それによって締付終了認知手段Cが構成される。また、締付終了認知手段Cにおいては、その後の確認作業にて、庇部19がスカート状(開花状)に拡がっていることの目視或いは指先での感触にて容易に確認することが可能である。また、周方向で隣合う庇部19,19の間の空隙は、そこから内部が見通せる窓部18として機能させることが可能である。例えば、締付後(組付後)の確認作業として、その窓部18にゲージを入れて、目視以外による締付確認を行う、といったことが挙げられる。
実施例1の樹脂管継手Aにおいては、図1,図2に示す締付終了状態からユニオンナット2をさらに締付方向に回すことが可能であり、その限界、即ち締付限界は、庇部19が径外方向にそれ以上拡がらないまで撓んだ状態(図示省略)であり、ユニオンナット2がもうそれ以上回せなくなるときである。従って、締付終了状態(組付状態)から締付限界まではユニオンナット2を増し締めすることが可能であり、締付限界が最終増締状態(増締終了状態)に相当する。最終増締状態になることにより、雄ねじ5や雌ねじ8のねじ飛び、首破断等の管継手Aとしての破損防止が行える利点がある。
〔別実施例〕
庇部19の数や軸心P方向の突出長さ、或いは周方向の長さは適宜に変更設定が可能である。庇部19を実施例1のよに径外側に或いは径内側に変位させ易くするためのテーパ面1aは、庇部19の先端に形成しても良い。また、本発明を、インナーリングを用いてチューブ拡径部が嵌合筒に内嵌される構造の継手、即ち、ユニオンナット、継手本体、インナーリングの3部品で成る樹脂管継手に適用しても良い。尚、図示や詳しい説明は省略するが、軸心方向に突出する庇部が継手本体の外周フランジに、かつ、庇部に軸心方向で当接可能な受止部がユニオンナットの軸心方向端部にそれぞれ配備されて成る当接撓み部、即ち、締付終了認知手段を有する樹脂管継手も可能である。
実施例1による樹脂管継手の構造(組付完了状態)を示す断面図 図1の樹脂管継手の平面図 図1の樹脂管継手の組付前状態を示す断面図 図3の樹脂管継手の平面図 外周フランジとの当接によって拡がり変位する庇部を示す作用図
符号の説明
1 継手本体
1A 外周フランジ
1a テーパ面
2 ユニオンナット
3 チューブ
3A 拡径部
4 嵌合筒
5 雄ねじ
8 雌ねじ
9 拡径変化領域
10 シール用押圧部
19 庇部
20 受止部
C 締付終了認知手段
P 軸心
S シール部

Claims (6)

  1. 合成樹脂製チューブの端部を拡径させて嵌合装着可能な嵌合筒と、雄ねじとを備える合成樹脂製の継手本体、及び、
    前記雄ねじに螺合可能な雌ねじと、前記チューブの拡径部における拡径変化領域に作用可能なシール用押圧部とを備える合成樹脂製のユニオンナットを有し、
    前記嵌合筒に前記チューブが嵌合装着される状態における前記雌ねじを前記雄ねじに螺合させての前記ユニオンナットの前記継手本体の軸心方向への螺進により、前記拡径変化領域が前記シール用押圧部で前記軸心方向に押圧されてシール部が形成されるように構成されている樹脂管継手であって、
    軸心方向に突出する庇部とこの庇部に軸心方向で当接可能な受止部とが、前記ユニオンナットの軸心方向端部と前記継手本体の外周部とに振分けて配備されており、前記シール用押圧部が前記拡径変化領域を押圧しての前記ユニオンナットの螺進終了手前付近からの締込み回転に伴って、前記庇部と前記受止部との当接による前記庇部の径方向への撓み変位が生じる締付終了認知手段が構成されている樹脂管継手。
  2. 前記庇部が前記ユニオンナットの軸心方向端部に配備され、前記受止部が前記継手本体に形成される外周フランジとして配備されている請求項1に記載の樹脂管継手。
  3. 前記庇部が、円筒状軸心方向端部が周方向で分断されることで軸心方向視で円弧状を為すものとして複数形成されている請求項2に記載の樹脂管継手。
  4. 前記庇部が、前記受止部との当接によって径外方向へ撓み変位する状態に構成されている請求項2又は3に記載の樹脂管継手。
  5. 前記庇部の先端又は/及び前記受止部に、前記庇部の径方向への撓み変位を促進させるテーパ面が形成されている請求項1〜4の何れか一項に記載の樹脂管継手。
  6. 前記継手本体及び前記ユニオンナットがフッ素樹脂製である請求項1〜5の何れか一項に記載の樹脂管継手。
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