(第1実施形態)
本発明に係る車両用空気質成分供給装置を自動車に適用した実施形態について図1ないし図8を参照して説明する。本実施形態の車両用空気質成分供給装置は、所定の空気質成分を含んだ空気砲を乗員方向に向けて放出し、これを乗員3,4に供給せしめるものであり、自動車1の車内2に存在する乗員3、4に対して、空気砲を的確に放出する空気質成分放出手段10,11,12と、これらの動作を制御する空気質成分供給ECU101(制御手段)とから構成されている(図2参照)。
図1に示すように、空気質成分放出手段10〜12は自動車1の車内2に存在する乗員3、4に対して空気砲を的確に放出できる位置に設けられている。
尚、本発明における空気砲は、ある空間に貯められた流体が圧縮されることにより、その空間に形成された放出口から押し出されて、流体の塊となって放出されるものを意図している。空気砲の形態としては、例えば、渦輪状、球体状などの形状の塊となって放出されるもの全般をいう。
空気質成分放出手段10は、インストルメントパネル70内に空気砲を車内2に向けて放出可能なように設けられている。なお、空気質成分放出手段10は、インストルメントパネル70内に通常配置されている空調装置に近接して設けてもよいし、この空調装置と一体化して構成してもよい。
空気質成分放出手段10の放出口27から放出された空気砲は、インストルメントパネル70に形成されたグリル吹出口を経由して前席5に座っている乗員3の顔付近に向けて放出される。そして、この空気砲が乗員3の顔や肩などに当たると、空気砲の塊が崩れるとともに含有されていた空気質成分が拡散領域7内で拡散する。
また、空気質成分放出手段11は、車内2の前席側天井部分に形成されるオーバーヘッドモジュール9内に設けられている。この空気質成分放出手段11の放出口から放出された空気砲は、オーバーヘッドモジュール9に形成された吹出口を経由して前席5に座っている乗員3の顔付近に向けて放出される。そして、この空気砲が乗員3の顔や頭などに当たると、空気砲の塊が崩れるとともに含有されていた空気質成分が拡散領域7内で拡散する。
また、空気質成分放出手段12は、車内2の後席側天井部に設けられている。この空気質成分放出手段12の放出口から放出された空気砲は、後席6に座っている乗員4の顔付近に向けて放出される。そして、この空気砲が乗員4の顔や頭などに当たると、空気砲の塊が崩れるとともに含有されていた空気質成分が拡散領域8内で拡散する。
なお、空気質成分放出手段10、11、12を構成する筐体は、扁平状に形成されることにより、インストルメントパネル70内、オーバーヘッドモジュール9内、および車内2の天井部内などの狭い空間に配することが可能である。
次に、空気質成分放出手段10〜12の構成について説明する。図3に示すように、空気質成分放出手段10〜12は、筐体16内の一方側の端面に空気砲の放出口27を有し、筐体16内に放出口27と連通する空気質成分チャンバ15と、他方側に空気質成分チャンバ15の容積を押し縮める空気圧縮手段14と、複数種類の芳香成分を貯留する芳香成分貯留手段17A〜17Cと、これら芳香成分貯留手段17A〜17Cにて貯留されている芳香成分を選択的に空気質供給チャンバ15に搬送する搬送手段21とから構成されている。
図3に示すように、空気質成分チャンバ15は、芳香成分供給手段17A〜17Cに貯留されている芳香成分が、搬送手段21により送り込まれて貯蔵される空間である。搬送手段21で搬送される芳香成分は、気体状態で空気質成分チャンバ15内に送られ、この容積内に充満させられる。
一方、空気圧縮手段14は、磁力と電磁力により空気質成分チャンバ15側に変形して空気質成分チャンバ15の容積を変化させる圧縮部材22と、この圧縮部材22に設けられるコイル24と、圧縮部材22に対向して設けられる磁石23とから構成されている。
車載バッテリなどから空気圧縮手段14に電圧を印加すると、電流がコイル24に流れて圧縮部材22を空気質成分チャンバ15側に押し出す電磁力が働く。さらに、磁石23によりコイル24の管状内を通過する磁力も作用することになり、圧縮部材22は瞬間的に空気質成分チャンバ15側に大きく変形して、圧縮部材22はその中央部を大きく突出させた形状で位置25まで空気質成分チャンバ15側に張り出し、コイル24も圧縮部材22と一体となって位置26まで空気質成分チャンバ15側に張り出することになる。この圧縮部材22の変形により、空気質成分チャンバ15の容積は瞬間的に小さくなるので、この容積内に充満していた前記芳香成分は圧縮されて放出口27から外部に瞬時に放出されることになる。この一連の動作を瞬時に起こすことで、放出口27から放出される芳香成分を含んだ空気は、流体の塊、例えば、渦輪、球体状の塊、となって車内2に放出される。
図4は、筐体16の内部構成を示した斜視図であり、空気質成分チャンバ15と空気圧縮手段14は薄板状の圧縮部材22で区画されている。圧縮部材22は、自己復帰力を有した板状部材で構成され、例えば、ゴム、シリコン、エラストマーなどの薄板で構成するのが望ましい。コイル24は、この圧縮部材22に接着により固定されたり、あるいは圧縮部材22に埋め込まれて一体化される構成としてもよい。磁石23は、圧縮部材22が変形していない状態において、コイル24に接触しない程度の距離を保って配置されるものであり、圧縮部材22の表面から磁石23の距離は、できるだけ小さくするように構成するのが望ましい。
芳香成分貯留手段17A〜17Cは、空気質成分である芳香成分を貯留封入するためのタンクであり、大気圧雰囲気において揮発性を有する芳香成分を液体状態で貯留している。各貯留手段17A〜17Cに貯留されている芳香成分は夫々異なっており、例えば、17Aには覚醒効果のあるもの(例えば、強いに匂いの成分、高酸素濃度の芳香成分、冷気含有の芳香成分)、17Bにはリラックス効果のあるもの(例えば、アロマ成分、マイナスイオン含有の芳香成分)、17Cには車酔い防止効果のあるものが夫々貯留されている。また、各芳香成分貯留手段17A〜17Cには後述するバルブ18A〜18Cが設けられており、このバルブ18A〜18Cの開放動作により芳香成分を放出可能とされている。尚、本実施形態では、3つの芳香成分貯留手段17A〜17Cを設け、3種類の芳香成分を貯留するようにしたが、これに限られず、2種類以下または4種類以上の芳香成分を貯留し得るように構成してもよい。
搬送手段21は、バルブ18A〜18C、バルブ18A〜18Cと空気質供給チャンバ15とを連結する連結チューブ20A〜20C、及び芳香成分を空気質チャンバ15に搬送する搬送ポンプ19を備えて構成されている。バルブ18A〜18Cは後述する空気質成分供給ECU101からの駆動信号に基づいて開閉動作するものであり、これが開状態とされているときには空気質供給チャンバ15への流路が開放されることにより各貯留手段17A〜17Cの芳香成分が気化して連結チューブ20A〜20C内に流れ込む。搬送ポンプ19は、同じく空気質供給ECU101からの駆動信号を受けて動作するものであって、これが動作することにより、連結チューブ18A〜18C内に滞留している芳香成分が空気質供給チャンバ15に送り込まれる。尚、上記芳香成分貯留手段17A〜17C及び搬送手段21により請求項に記載の芳香成分供給手段を構成している。
次に、車両用空気質供給手段10〜12の構成について、他の例を説明する。図5に示すように、空気質成分放出手段10〜12は、筐体16A内の空気圧縮手段14Aの構成が上記構成と相違しており、以下相違部分について説明する。
この空気圧縮手段14Aは、磁力と電磁力により空気質成分チャンバ15A側に変形して空気質成分チャンバ15Aの容積を変化させる圧縮部材40と、この圧縮部材40に設けられる磁石41と、圧縮部材40に対向して設けられるコイル42とから構成されている。
車載バッテリなどから空気圧縮手段14Aに電圧を印加すると、電流がコイル42に流れて圧縮部材40を空気質成分チャンバ15A側に押し出す電磁力が働く。さらに、磁石41により反発力も作用することになり、これらの電磁力と磁力の働きにより圧縮部材40を変形させる力が加重的に作用するので、圧縮部材40は瞬間的に空気質成分チャンバ14A側に大きく変形する。このとき、圧縮部材40はその中央部を大きく突出させた形状で位置43まで空気質成分チャンバ15A側に張り出し、磁石41も圧縮部材40と一体となって位置44まで空気質成分チャンバ15A側に張り出することになる。この圧縮部材40の変形により、空気質成分チャンバ15Aの容積は瞬間的に小さくなるので、この容積内に充満していた前記芳香成分は圧縮されて放出口27から外部に瞬時に放出されることになる。この一連の動作を瞬時に起こすことで、放出口27から放出される芳香成分を含んだ空気は、流体の塊、例えば、渦輪、球体状の塊、となって車内2に放出される。
図6は、筐体16Aの内部構成を示した斜視図であり、空気質成分チャンバ15Aと空気圧縮手段14Aは薄板状の圧縮部材40で区画されている。磁石41の周囲にはコイル42が取り巻くように配されている。磁石41とコイル42は、管状に形成された樹脂部材により絶縁されている。この樹脂部材の内径に沿うように円筒形の磁石41は配置され、磁石41は、電磁力および磁力による圧縮部材40の変形とともに、樹脂部材の内径部を摺動する。
圧縮部材40は、自己復帰力を有した板状部材で構成され、例えば、ゴム、シリコン、エラストマーなどの薄板で構成するのが望ましい。磁石41は、この圧縮部材40に接着により固定されたり、あるいは圧縮部材40に埋め込まれて一体化される構成としてもよい。コイル42は、圧縮部材40が変形していない状態において、圧縮部材40と接触しない程度の距離を保って配置されるものであり、圧縮部材40の表面から筐体16Aの端面までの距離は、できるだけ磁石41が収まる程度の距離に小さく構成するのが望ましい。
このように空気圧縮手段14Aの構成では、圧縮部材40とともに磁石41を可動させるようにしているので、反復される往復運動に対して強い耐久性に優れた可動構成物を得ることができる。
このように空気質成分放出手段を構成することで、筐体16および16Aの体格は非常に小さく形成することができる。例えば、空気圧縮手段14、14Aと空気質成分チャンバ15、15Aとを合わせた長手方向の長さ寸法L1(L2)は約50mm、空気質成分チャンバの長手方向長さ寸法Z1(Z2)は約30mm、筐体の縦寸法X1(X2)は約30mm、放出口27の径寸法Y1(Y2)は約φ8〜10mm、のように形成することが可能となる。なお、筐体16および16Aの材質は、特に限定するものでないが、空気質成分チャンバ15に充満された芳香成分が漏れないように樹脂、金属など気密性をある程度保持できる材質とする。
上記空気圧縮手段14(14A)に印加する電圧は、矩形波電圧とする。この電圧は、例えば正弦波電圧に比べて高周波成分を含んでいるため、コイル24に瞬間的に電流を流すことになり、電磁力を短時間で発生させ、圧縮部材22の変形を瞬間的に起こすことができるからである。ここで、印加する矩形波電圧は、パルス幅が約1秒、パルス間隔が数秒程度のものとする。このような電圧の印加方法とすることで、乗員3,4に対して、連続的に複数個の空気砲が放出されるので、途中で何らかの障害物が存在するような場合でもどれか一つの空気砲が乗員3,4に当たることにより、芳香成分を乗員3,4に感知させる確率を向上させることができる。
印加する電圧は、例えば、車載バッテリから供給することにより12V電圧としてもよい。また、空気圧縮手段14に印加する電圧を高くするために、昇圧回路を利用してもよい。この昇圧回路により印加電圧を例えば16Vに昇圧することで、空気砲の搬送距離を大きくすることができ、空気砲を供給したい乗員3,4の選択の幅が広がる車両用空気質供給装置が提供できる。
このように車内2に配置された空気質成分放出手段10〜12は、各種装置からの信号に基づいて動作する空気質成分供給ECU101より制御される。空気質成分供給ECU101は、ナビゲーションECU110、車両統合ECU120、生体センサ130、赤外線センサ140(状態検出センサ)、エアコンECU150および/または、操作手段160からの信号に対して種々の解析を行い、空気砲を放出するタイミング、空気砲に含有させる芳香成分の種類及び量の判断、空気砲の放出速度などの放出条件を決定する(図2参照)。
空気質成分供給ECU101は、空気質成分放出手段10〜12に対して放出条件に基づいた制御を行う。この制御は、例えば、芳香成分貯留手段17A〜17Cに貯留された芳香成分の量の制御、芳香成分を空気質成分チャンバ15に送り込む搬送手段21を構成するバルブ18A〜18Cの開度の調整制御、搬送ポンプ19の制御、空気圧縮手段14の制御である。
また、空気質成分供給ECU101は、空気質成分放出手段10〜12の空気圧縮手段14に対して、空気質成分チャンバ15内の空気を圧縮する圧縮力の大きさ、圧縮力の起動を制御する。例えば、圧縮力の大きさを制御することで、空気砲をどの乗員3,4に向けて放出するか、どこまで空気砲を届かせるかを制御し、圧縮力の起動を制御することで、空気砲を連続的に放出するか、所定時間の間隔をあけて間欠的に放出するか、を制御することができる。また、図1に示すように車内2に複数個の空気質成分放出手段10〜12が配置されている場合には、いずれの空気質成分放出手段を起動するかを制御する。
ナビゲーションECU110は、ナビゲーションシステムのコントロールユニットであり、少なくとも現在地表示、目的地選択、ルート計算、ルート案内の基本機能を乗員3,4に提供するとともに、VICS(Vehicle Information and Communication System(道路交通情報通信システム)、財団法人道路交通情報通信システムセンターの登録商標である)や、G−BOOK(車載機などから利用できるコンテンツサービス、トヨタ自動車株式会社の登録商標である)や、インターネットなどの外部情報を取得できる機能も有している。このナビゲーションECU110は、道路が渋滞していることをVICSやG−BOOKにより入手すると、空気質成分供給ECU101にその情報を送信する。空気質成分供給ECU101は、これを受けて乗員3,4、特に運転者が眠くなると想定して、空気質成分として芳香成分貯留手段17Aに貯留されている覚醒効果のある芳香成分を空気質成分チャンバ15に送り込み、空気砲に含有させて運転者に向かって放出する制御を行う。これにより、運転者は、鼻から覚醒効果のある芳香成分などを吸い込むことで眠気が解消されたり、覚醒効果を得ることができ、居眠り運転を未然に防止することができる。
また、空気質成分供給ECU101は、ナビゲーションECU110から渋滞情報を入手したときは、運転者や他の乗員が渋滞により、いら立っていると想定して、空気質成分として芳香成分貯留手段17Bに充填されている、リラックス効果のある芳香成分を空気質成分チャンバ15に送り込み、空気砲に含有させて運転者に向かって放出する制御を行うことで、運転者および他の乗員をリラックスした気分にさせることができる。
また、空気質成分供給ECU101は、所定量の芳香成分を含んだ空気砲を放出した後には、空気砲の放出を所定時間停止する、空気砲放出の間欠制御を行うこととしてもよい。このように一定条件において間欠制御を行うことで、芳香成分の過度の吸入による乗員3,4の嗅覚鈍化から嗅覚回復を促し、少量の芳香成分の含有量でも乗員3,4に感知させることができることになる。
車両統合ECU120は、自動車1の各機能部品の作動情報を入手して空気質成分供給ECU101に通信する機能を有している。各機能部品の作動情報としては、例えば、車速情報、ブレーキ情報、車間センサ情報、ハンドルの操舵角情報、サイドウィンドウガラスの開閉状態に関するウィンドウ開閉情報、及びサンルーフの開閉状態に関するサンルーフ開閉情報などである。車両統合ECU120は、これらの情報を空気質成分供給ECU101に送信する。
ここで、自動車1に設けられたサイドウィンドウガラスは車両統合ECU101から出力される駆動信号に基づいて動作する駆動手段により上下動可能とされており、この駆動信号は運転者の操作スイッチによる開閉操作に応じて生成される。従って、運転者が操作スイッチを開操作した場合には、車両統合ECU101は開操作に応じた駆動信号を生成し、これを駆動手段に送信することでサイドウィンドウガラスを所定位置まで下動させる。一方、運転者が操作スイッチを閉操作した場合には、この閉操作に応じた駆動信号を生成し、これを駆動手段に送信することでサイドウィンドウガラスを所定位置まで上動させる。車両統合ECU120は上記駆動信号に基づいてサイドウィンドウガラスの上下位置からサイドウィンドウガラスの閉状態又は開状態を判断するとともに、開状態であるときのサイドウィンドウガラスの開度を判断し、その結果をウィンドウ開閉情報として空気質成分供給ECU101に出力するのである。尚、サイドウィンドウガラスの開度は当該サイドウィンドウガラスが最上端位置にあるときにはその開度が0%とされ、最下端位置にあるときにはその開度が100%とされる。また、通常は上下動可能なサイドウィンドウガラスは複数枚設けられているから、車両統合ECU120は各サイドウィンドウガラスに関するウィンドウ開閉情報を空気質成分供給ECU101に出力する。
同じく、自動車1に設けられたサンルーフは車両統合ECU101から出力される駆動信号に基づいて動作する駆動手段によって前後方向にスライド移動可能とされており、この駆動信号は運転者の操作スイッチによる開閉操作に応じて生成される。従って、運転者が操作スイッチを開操作した場合には、車両統合ECU101は開操作に応じた駆動信号を生成し、これを駆動手段に送信することでサンルーフを所定位置まで後方にスライドさせる。一方、運転者が操作スイッチを閉操作した場合には、この閉操作に応じた駆動信号を生成し、これを駆動手段に送信することでサンルーフを所定位置まで前方にスライドさせる。車両統合ECU120は上記駆動信号に基づいてサンルーフの前後位置からその閉状態又は開状態を判断するとともに、開状態であるときの開度を判断し、その結果をサンルーフ開閉情報として空気質成分供給ECU101に出力するのである。尚、サンルーフの開度は、これが前端位置にあるときが0%とされ、後端位置にあるときが100%とされる。
空気質成分供給ECU101は、車速が所定値以下のときや、単位時間当たりのブレーキング回数が所定値以上のときや、車間センサによる先行車両との間隔が所定値以下のときなどの情報を認識したときは、渋滞しているとみなして、前述のように、芳香成分貯留手段17Aに貯留されている、覚醒効果のある芳香成分を含有させた空気砲を運転者に向かって放出する制御を行ったり、リラックス効果の与えるために空気質成分として芳香成分貯留手段17Bに貯留されている、リラックス効果のある芳香成分を含有させた空気砲を運転者に向かって放出する制御を行ったりする。
また、車両統合ECU120からの車速情報により、例えば80km以上の値が所定時間以上継続して得られた場合には、空気質成分供給ECU101は、高速道路などを走行しているとみなして、居眠り運転の未然防止のため、空気質成分として芳香成分貯留手段17Aに貯留されている、覚醒効果のある芳香成分を所定分量、空気質成分チャンバ15に送り込み、空気砲に含有させて運転者に向かって放出する制御を行う。
また、車両統合ECU120から受信した操舵角情報に基づき、操舵装置の操舵方向が左右方向交互に連続していると判断した場合には、峠道等の連続カーブを走行しているとみなして、運転者に対しては緊張状態を緩和するために芳香成分貯留手段17Bに貯留されている、リラックス効果のある芳香成分を所定量、空気質成分チャンバ15に送り込み、空気砲に含有させて運転者に向かって放出する制御を行う一方、他の乗員に対しては、車酔を防止するために空気質成分として芳香成分貯留手段17Cに貯留されている、車酔い防止効果のある芳香成分を所定分量、空気質成分チャンバ15に送り込み、空気砲に含有させて放出する制御を行う。
生体センサ130は、乗員3,4の生体信号を検出し、その生体信号を空気質成分供給ECU101に送信する。乗員3,4から検出される生体信号としては、例えば、心拍センサなどで計測される単位時間当たりの心拍数などの心拍情報、乗員3,4の瞳孔の大きさなどの瞳孔情報、乗員3,4の脳波情報などである。生体センサ130で検出された心拍情報、瞳孔情報、および/または脳波情報が、乗員3,4が眠気をもよおしていると思われる情報である場合には、空気質成分供給ECU101は、前述のように、複数の異なる芳香成分の中から、覚醒効果のある芳香成分を選択して空気質成分チャンバ15に送り込み、当該成分を含有させた空気砲を放出させる。一方、乗員3,4が緊張状態にあると思われる情報である場合には、空気質成分供給ECU101は、前述のように、複数の異なる芳香成分の中から、リラックス効果のある芳香成分を選択して空気質成分チャンバ15に送り込み、当該成分を含有させた空気砲を放出させる。
複数の赤外線センサ140は、乗員3,4の体温を検出し、その検出値からなる検出データを空気質成分供給ECU101に送信するものである。これら赤外線センサ140は、空気質成分供給ECU101からの制御信号に基づいて動作する姿勢変更手段(図示せず)に支持されており、この姿勢変更手段の動作によって検出方向を乗員3,4の顔部及び上半身に向けることができるようになっている。これら赤外線センサ140のうち、前席乗員3の体温を検出するものは、インストルメントパネル70に配設し、後席乗員4の体温を検出するものは、前席のヘッドレスト5Aに配設することができる(図7参照)。ま・BR>ス、これに限らず、各赤外線センサ140は乗員3,4の体温を検出可能な位置であればどのような位置に配されていてもよい。
空気質成分供給ECU101は赤外線センサ140から受信した検出データに基づいて乗員3,4が緊張状態にあるのか、または車酔いの状態にあるのかを判断する。検出値が平熱時の体温よりも高い場合には、緊張状態にあると判断し、リラックス効果のある芳香成分を選択して空気質成分チャンバ15に送り込み、当該成分を含有させた空気砲を放出させる。一方、検出値が平熱時の体温よりも低い場合には、車酔い状態にあると判断し、車酔い防止効果のある芳香成分を選択して空気質成分チャンバ15に送り込み、当該成分を含有させた空気砲を放出させる。
エアコンECU150は、空調装置の各構成要素の動作を制御するものであって、吹出モードの選択及び吹出口から吹き出される空調空気の風量の設定を行うようになっている。吹出口モードには、少なくともフロントウィンドウシールドガラス下端側から空調空気を吹き出し、このウィンドウシールドガラスの曇りを除去するDEFモードと、インストルメントパネル70に設けられたセンター吹出口及びサイドフェイス吹出口から乗員の顔部分の方向へ空調空気を吹き出すFACEモードと、乗員3の足元へ空調空気を吹き出すFOOTモードがある。また、設定風量としては、順にOFF、Lo、M1、M2、M3、Hiの少なくとも6段階の風量を設定することができるようになっている。尚、上記設定風量のうちLoが最小風量で、Hiが最大風量とされている。尚、吹出口モードの選択及び風量の設定は、乗員3,4による設定操作が可能な操作パネルにて乗員3,4が任意に設定することができる。また、操作パネルにて乗員3,4がオートエアコン機能を選択した場合には、エアコンECU150が車内環境に基づいてこれらを設定することができる。このエアコンECU150は選択した(選択された)吹出しモード、及び設定風量を示す空調設定信号を空気質成分供給ECU101に送信する。
さらに、スイングルーバの揺動機構が搭載された空調装置では、スイングルーバ揺動の可否を操作パネルにて乗員3,4が設定可能とされているとともに、オートエアコン機能が設定された場合には、エアコンECU150が車内環境に基づいてスイングルーバ揺動の可否を決定するようになっている。そして、エアコンECU150は、空調設定信号にスイングルーバの揺動状態を示した情報を含めて空気質成分供給ECU101に送信する。
操作手段160は、乗員3,4自らが芳香成分を得たいと思ったときに、強制的に空気質成分放出手段10〜12を動作させるためのものであり、例えば、乗員3,4が操作しやすい場所にスイッチの形態で構成されている。操作手段160は、少なくとも空気質成分放出手段10〜12の動作又は動作停止を選択可能な動作選択スイッチと複数の芳香成分のうちいずれかを選択可能な芳香成分選択スイッチとを有している。この操作手段160は設定された項目に基づいた設定信号を空気質成分供給ECU101に送信するようになっており、これに基づいて空気質成分供給ECU101が空気質成分放出手段10〜12の動作を制御する。
また、空気質成分供給ECU101は車両統合ECU120からのウィンドウ開閉情報及びエアコンECU150からの信号を受けて、図8に示すフローチャートに基づいて空気質成分放出手段10〜12の動作を制御する。
まず、車内2に乗員3,4が存在するか否かを判断する(ステップS1)。乗員3,4の存在を判断する情報として、例えばイグニッションスイッチのオン・オフ状態、あるいは赤外線センサ140による検出値があり、イグニッションスイッチがオンされたこと、赤外線センサ140の検出値が人体温度と略一致したことをもって乗員3,4が存在すると判断することができる。
乗員3,4が存在すると判断したときには(ステップS1にてYES)、エアコンECU150から空調設定信号を受信するとともに、車両統合ECU120からウィンドウ開閉情報及びサンルーフ開閉情報を受信する。このうち、空調空気の設定風量がM1以上であって、且つ吹き出しモードがFACEモード又はDEFモードを示している場合(ステップS2及びステップS3でYES)、ウィンドウ開閉情報が開状態を示している場合(ステップS4でYES)、のいずれかの場合に該当するときには、車内2に気流が生じている気流発生状態であると推定し、空気質成分放出手段10〜12の動作を停止(インターロック)する(ステップS6)。このように制御するのは、空調空気やサイドウィンドウガラスから侵入する外気流等の気流によって空気砲が乗員方向から逸れてこれを不要としている乗員に向けて放出されたり、乗員3,4に到達する前に拡散するといった不具合を防止するためである。
逆に、設定風量がM1以下を示している場合(ステップS2でNO)であって、且つ、選択信号がFACEモード又はDEFモード以外のモードを示している場合(ステップS3でNO)には、車内2には気流が生じていない無気流状態であると推定し、空気質成分放出手段10〜12の動作を許可(インターロック解除)する(ステップS5)。また、ウィンドウ開閉情報が閉状態を示している場合、又はサンルーフ開閉情報が閉状態を示している場合(ステップS4でNO)に該当するときには、上記と同じく車内2には気流が生じていない無気流状態であると推定し、空気質成分放出手段10〜12の動作を許可(インターロック解除)する(ステップS5)。このように、空気質成分供給ECU101は空気質成分放出手段10〜12に対して上記の動作制御を行う。
また、車両統合ECU120からサイドウィンドウ開状態を示す情報を入手した場合には、その開度に基づいてインターロックの可否を決定するようにしてもよく、例えばサイドウィンドウガラスの開度が50%以上とされているときに、上記インターロックを行い、開度が50%以下のときにはインターロックを解除するのである。尚、インターロックの可否を決定する開度は上記50%以外に種々の値に設定することができる。
また、各サイドウィンドウガラスの開閉状態に基づいて、インターロックの可否を決定するようにしてもよい。例えば、互いに対面状態にある2枚のサイドウィンドウガラスが開状態とされているときにインターロックを行うようにする。具体的には、前席側及び後席側に夫々2枚のサイドウィンドウガラスが配されている場合には、前席側あるいは後席側の少なくとも一方側に配されたサイドウィンドウガラスが開状態とされたときにはインターロックを行うようにするのである。通常、互いに対面状態にあるサイドウィンドウガラスが開状態とされると、自動車の進行方向と垂直方向に流動する気流が車内2に侵入し易くなる。したがって、上記のように制御することでサイドウィンドウガラスから侵入する外気流等によって空気砲が乗員方向から逸れてこれを不要としている乗員に向けて放出されたり、乗員3,4に到達する前に拡散するといった不具合を防止して、この空気質成分を欲する乗員3,4に確実に供給することができる。尚、上記のインターロック可否の決定を複合的に行うようにしてもよい。
また、車両統合ECU120からサンルーフ開状態を示す情報を入手した場合には、その開度に基づいてインターロックの可否を決定するようにしてもよく、例えばサンルーフの開度が50%以上とされているときに、上記インターロックを行い、開度が50%以下のときにはインターロックを解除するのである。尚、インターロックの可否を決定する開度は上記50%以外に種々の値に設定することができる。
また、以下のようにして空気質成分放出手段10〜12の動作制御を行うこともできる。空気質成分供給ECU101は各姿勢変更手段に対して制御信号を送信し、赤外線センサ140の姿勢を変更することで乗員3,4の顔部及び上半身を含む所定領域に検出方向を向けるとともに、各検出方向における温度をスキャンさせる。そして、センサ140の各検出方向における検出値を受信し、これら検出値からなる検出データに基づいて乗員3,4の着座状態(例えば着座位置、着座姿勢)を検出する。この動作を所定間隔で行い、乗員3,4の着座状態の変化を検知するのである。ここで、例えば乗員3,4が着座位置を変えようとして上半身を大きく動かした場合、空気質成分供給ECU101は乗員3,4の着座状態が変化したことを検知し、これによって車内2に気流が生じている気流状態と推定し、空気質成分放出手段10〜12の動作を停止(インターロック)する。一方、乗員3,4の着座状態に変化がない場合には、車内2に気流が生じていない無気流状態であると推定し、空気質成分放出手段10〜12の動作を許可(インターロック解除)する。
このように、本実施形態では、乗員3,4に向けて芳香成分を含有した空気砲を放出するようにしているから、各乗員3,4に対して最適な芳香成分を供給することができる。また、車内2内において気流が生じていない非気流状態であると推定したときには、空気質成分放出手段10〜12の動作を許可する一方、気流が生じている気流状態であると推定したときには、空気質成分放出手段10〜12の動作を停止するようにしたから、気流によって乗員3,4への芳香成分の供給が阻害されることがなく、確実にこれを供給することができる。
また、芳香成分貯留手段17A〜17Cにより複数種類の芳香成分を貯留し、自動車1の走行状態、乗員3,4の身体状態に基づいて最適な芳香成分を選択し、これを乗員3,4に供給するようにしているから、乗員3,4夫々の快適性を向上させることができる。
また、操作手段160を設けて、乗員3,4によって空気質成分放出手段10〜12の動作又は動作停止の選択と芳香成分の選択を行い得るようにした。これにより、乗員3,4が希望するタイミングで最適な芳香成分を供給することができる。
(第2実施形態)
本発明に係る第2実施形態について図9又は図10を参照して説明する。尚、上記第1実施形態と同一の部分には同一の符号を付して重複する説明を省略するとともに、同一の作用・効果の説明も省略し、相違点のみを説明する。
本実施形態では、車内2の気流を検出する気流センサ170を車内2に複数設け、この気流センサ170の検出値に基づいて空気質成分放出手段10〜12の動作を制御するものである。
各気流センサ170は、空気質成分放出手段10〜12と乗員3,4との間の空間における気流をそれぞれ検出し得るように配置されており、例えば車内2の天井部に取り付けられている(図9参照)。この気流センサ170は検出した気流の流速に応じた検出値を空気質成分供給ECU101に出力する。
空気質成分供給ECU101は気流センサ170から受けた検出値に基づいて空気質成分放出手段10〜12の動作を制御する。具体的には、各気流センサ170にて検出された検出値が所定値以下とされているときには、放出される空気砲がこれを欲する乗員に対して確実に供給することができるから、空気質成分放出手段10〜12の動作を許可する。
一方、空気質成分放出手段10,11と乗員3との間の空間における気流を検出する気流センサ170の検出値が所定値以上とされているときには、気流によって空気砲が乗員方向から逸れて他の乗員に向けて放出されたり、乗員3に到達する前に拡散してしまう虞があるから空気質成分放出手段10,11の動作を停止する。また、空気質成分放出手段12と乗員4との間の空間における気流を検出する気流センサ170の検出値が所定値以上とされているときには、上記と同様の理由により空気質成分放出手段12の動作を停止する。
本実施形態では、気流センサ170の検出値に基づいて、空気質成分放出手段10〜12の動作を制御するようにした。このようにすれば、気流状態によって空気砲の供給が阻害されることなく、確実に乗員3,4に対して空気質成分を供給することができるとともに、放出された空気質成分がこれを不要としている乗員に対して供給されてしまうといった不具合を解消することができる。
(第3実施形態)
本発明に係る第3実施形態について図11を参照して説明する。尚、上記第1実施形態と同一の部分についての説明は省略し、相違点のみを説明する。本実施形態は、空調装置の動作状態に基づいて、放出する空気砲が乗員3,4に到達するように空気質成分放出手段10〜12を制御するところが上記第1実施形態と相違している。
図11に示すように、空気質成分供給ECU101は、まず、車内2に乗員3,4が存在するか否かを判断する(ステップS110)。乗員3,4の存在の判断方法は上記第1実施形態と同様である。乗員3,4が存在すると判断したときには(ステップS110にてYES)、エアコンECU150から空調設定信号を受信し、空調装置の動作状態として、吹出口モード及び設定風量を把握する(ステップS120)。
次に、上記第1実施形態と同様に、乗員に対して空気砲を放出する必要があるか否かを判断し(ステップS130)、放出する必要がる場合には(ステップS130でYes)、空調空気の吹出口モード及び設定風量に基づいて車内2の気流状態を推定し、放出する空気砲が乗員3,4に到達するように空気質成分放出手段10〜12を制御する(ステップS140)。
具体的には、図11のステップS140に示すように、所定量の空気質成分を供給すべく、設定された吹出口モードにおける設定風量に応じて空気砲の風量を決定し、決定した風量となるように空気質成分放出手段10〜12を制御する。ここで、空気砲の風量は空調空気の設定風量と比例的関係を有している。これは、空調空気の設定風量の増加に伴って、車内2に発生する気流も増加して空気砲が乗員3,4に到達しにくくなるため、発生した気流に打ち勝つような風量で空気砲を放出する必要があるからである。
また、各吹出口モードにおける空気砲の風量は、FOOTモード、B/Lモード、FECEモードの順で増大するように決定される。これは、乗員3,4の顔部分に向けて吹き出される空調空気が多くなると、空気砲が拡散されやすくなって乗員3,4に到達しにくくなるため、乗員3,4の顔部分に吹き出される空調空気の風量の割合が多い吹出口モードでは空気砲の風量を相対的に多く設定する必要があるためである。
空気砲の風量を空調空気の吹出口モード及び設定風量に応じて変更する場合には、例えば、空気砲の風速、空気砲の放出回数(放出周期)を変更すればよい。
ここで、決定された空気砲の風量が増加した場合には、乗員3,4の顔部分に吹き出される空調空気の風量が増加していることを意味しているため、この空調空気によって拡散されることがない空気砲を放出する必要がある。従って、空気砲の風量を増加したい場合には、空気砲の風速を増加させたうえで、放出回数を増加させることが望ましい。なお、空気圧縮手段14等の性能によって空気砲の風速が所望の風速とならない場合には、放出された空気砲のいくつかが空調空気によって途中で拡散されることがあるが、このような場合には、空気砲の放出回数、空気砲に含有する空気質成分の濃度を増加させることで、結果として乗員3,4に供給する空気質成分の供給量を増加させるようにすれば良い。
本実施形態によれば、空調装置の動作状態により気流発生状態であっても、空気砲を乗員3,4に供給することができるため、気流状態に依存することなく、必要なときに空気質成分を乗員3,4に供給することができる。また、空調空気によって車内2に気流が発生しているか否かを推定することができ、さらに、気流が生じている気流発生状態であった場合には、その気流の流動方向や風量をも推定することができるため、空気質成分放出手段10〜12から放出される空気砲が乗員3,4に到達する確率を高めることができる。
(第4実施形態)
本発明に係る第4実施形態について図12を参照して説明する。尚、上記第1実施形態と同一の部分についての説明は省略し、相違点のみを説明する。本実施形態は、サイドウィンドウガラスの開閉状態に基づいて、放出する空気砲が乗員3,4に到達するように空気質成分放出手段10〜12を制御するところが上記第1実施形態と相違している。
図12に示すように、空気質成分供給ECU101は、まず、車内2に乗員3,4が存在するか否かを判断する(ステップS210)。乗員3,4の存在の判断方法は上記第1実施形態と同様である。乗員3,4が存在すると判断したときには(ステップS210にてYES)、車両統合ECU120からウィンドウ開閉情報を受信し、サイドウィンドウガラスの開度を把握する(ステップS220)。
次に、第1実施形態と同様に空気砲を放出する必要があるか否かを判断し(ステップS230)、放出する必要がある場合には(ステップS230でYes)、サイドウィンドウガラスの開度に基づいて車内2の気流状態を推定し、放出する空気砲が乗員3,4に到達するように空気質成分放出手段10〜12を制御する(ステップS240)。
具体的には、図12のステップS240に示すように、所定量の空気質成分を供給すべく、サイドウィンドウガラスの開度に応じて空気砲の風量を決定し、決定した風量となるように空気質成分放出手段10〜12を制御する。ここで、空気砲の風量はサイドウィンドウガラスの開度と比例的関係を有している。これは、サイドウィンドウガラスの開度の増加に伴って、車内2に侵入する外気流も増加して空気砲が乗員3,4に到達しにくくなるため、発生した気流に打ち勝つような風量で空気砲を放出する必要があるからである。
空気砲の風量をサイドウィンドウガラスの開度に応じて変更する場合には、例えば、空気砲の風速、空気砲の放出回数(放出周期)を変更すればよい。
ここで、決定された空気砲の風量が増加した場合には、車内2に侵入する外気流の量が増加していることを意味しているため、この外気流によって拡散されることがない空気砲を放出する必要がある。従って、空気砲の風量を増加したい場合には、空気砲の風速を増加させたうえで、放出回数を増加させることが望ましい。なお、空気圧縮手段14等の性能によって空気砲の風速が所望の風速とならない場合には、放出された空気砲のいくつかが空調空気によって途中で拡散されることがあるが、このような場合には、空気砲の放出回数、空気砲に含有する空気質成分の濃度を増加させることで、結果として乗員3,4に供給する空気質成分の供給量を増加させるようにすれば良い。
本実施形態によれば、サイドウィンドウガラスからの外気流の侵入による気流発生状態であっても、空気砲を乗員3,4に供給することができるため、気流状態に依存することなく、必要なときに空気質成分を乗員3,4に供給することができる。また、サイドウィンドウガラスの開度によって、外気流が侵入して気流発生状態となっているか否かを推定することができ、さらに、侵入する外気流の量をも推定することができるため、これに基づいて空気質成分放出手段10〜12を制御することで、空気砲が乗員3,4に到達する確率を高めることができる。
(第5実施形態)
本発明に係る第5実施形態について図13を参照して説明する。尚、上記第1実施形態と同一の部分についての説明は省略し、相違点のみを説明する。本実施形態は、サンルーフの開閉状態に基づいて、放出する空気砲が乗員3,4に到達するように空気質成分放出手段10〜12を制御するところが上記第1実施形態と相違している。
図13に示すように、空気質成分供給ECU101は、まず、車内2に乗員3,4が存在するか否かを判断する(ステップS310)。乗員3,4の存在の判断方法は上記第1実施形態と同様である。乗員3,4が存在すると判断したときには(ステップS310にてYES)、車両統合ECU120からサンルーフ開閉情報を受信し、サンルーフの開度を把握する(ステップS320)。
次に、上記第1実施形態と同様にして空気砲を放出する必要があるか否かを判断し(ステップS330)、放出する必要がる場合には(ステップS330でYes)、サンルーフの開度に基づいて車内2の気流状態を推定し、放出する空気砲が乗員3,4に到達するように空気質成分放出手段10〜12を制御する(ステップS340)。
具体的には、図13のステップS340に示すように、所定量の空気質成分を供給すべく、サンルーフの開度に応じて空気砲の風量を決定し、決定した風量となるように空気質成分放出手段10〜12を制御する。ここで、空気砲の風量はサンルーフの開度と比例的関係を有している。これは、サンルーフの開度の増加に伴って、車内2に侵入する外気流も増加して空気砲が乗員3,4に到達しにくくなるため、発生した気流に打ち勝つような風量で空気砲を放出する必要があるからである。
空気砲の風量をサンルーフの開度に応じて変更する場合には、例えば、空気砲の風速、空気砲の放出回数(放出周期)を変更すればよい。
ここで、決定された空気砲の風量が増加した場合には、車内2に侵入する外気流の量が増加していることを意味しているため、この外気流によって拡散されることがない空気砲を放出する必要がある。従って、空気砲の風量を増加したい場合には、空気砲の風速を増加させたうえで、放出回数を増加させることが望ましい。なお、空気圧縮手段14等の性能によって空気砲の風速が所望の風速とならない場合には、放出された空気砲のいくつかが空調空気によって途中で拡散されることがあるが、このような場合には、空気砲の放出回数、空気砲に含有する空気質成分の濃度を増加させることで、結果として乗員3,4に供給する空気質成分の供給量を増加させるようにすれば良い。
本実施形態によれば、サンルーフから侵入する外気流による気流発生状態であっても、空気砲を乗員3,4に供給することができるため、気流状態に依存することなく、必要なときに空気質成分を乗員3,4に供給することができる。また、サンルーフの開度によって、外気流が侵入して気流発生状態となっているか否かを推定することができ、さらに、侵入する外気流の量をも推定することができるため、これに基づいて空気質成分放出手段10〜12を制御することで、空気砲が乗員3,4に到達する確率を高めることができる。
(第6実施形態)
本発明に係る第6実施形態について図14又は図15を参照して説明する。尚、上記第1実施形態と同一の部分についての説明は省略し、相違点のみを説明する。本実施形態は、空気砲を放出する際に、空調空気によって生じる気流を低減又は消滅させるために空調装置を制御するところが第1実施形態と相違している。
空気質成分供給ECU101は、図14に示すように、エアコンECU150から空調設定信号を受信可能とされており、さらに、エアコンECU150に対して吹出口モード、設定風量、及びスイングルーバ揺動の設定をするための空調制御信号、及び当該空調制御信号による設定を解除するための解除信号を選択的に送信するようになっている。
一方、エアコンECU150は、空気質成分供給ECU101から空調制御信号を受信した場合には、この信号に基づいて吹出口モード、設定風量、及びスイングルーバの揺動を制御する。
空気質成分供給ECU101は、図15に示すように、まず、車内2に乗員3,4が存在するか否かを判断する(ステップS410)。尚、乗員3,4の存在の判断方法は上記第1実施形態と同様である。乗員3,4が存在すると判断したときには(ステップS410にてYES)、エアコンECU150から空調設定信号を受信し、空調装置の動作状態として、吹出口モード、風量、及びスイングルーバの揺動状態を把握する(ステップS420)。
次に、上記第1実施形態と同様にして空気砲を放出する必要があるか否かを判断し(ステップS430)、放出する必要がある場合には(ステップS430でYes)、空調空気の現在の吹出し口、設定風量、及びスイングルーバの揺動状態に基づいて、空調空気が空気砲を拡散しないように吹出口モード、設定風量、及びスイングルーバの揺動を制御するとともに、空気質成分放出手段10〜12の動作を制御して空気砲を放出させる(ステップS440)。
具体的には、設定風量がM1以上であって、且つ吹き出しモードがFACEモードに設定されている場合には、空調空気によって乗員3,4の顔部分の近傍に気流が生じている気流発生状態であると推定し、エアコンECU150に対して、設定風量をLo、吹出口モードをFOOTモードに設定するための空調制御信号を送信するとともに、空気質成分放出手段10〜12を作動させる。
そうすると、空調制御信号を受信したエアコンECU150は、現在の設定風量M1をLoに変更するとともに、吹出口モードをFACEモードからFOOTモードに切り替える。これによって、空調空気は、その設定風量が減少されるとともに、乗員3,4の顔部分とは異なる方向に吹出されることとなるため、乗員3,4の顔部分の近傍に生じていた気流が消滅あるいは減少する。従って、空気質成分放出手段10〜12から放出された空気砲は途中で拡散することなく乗員3,4に到達する。
空気砲の放出が終了した場合(ステップS450でYes)、空気質成分供給ECU101は、エアコンECU150に対して解除信号を送信する(ステップS460)。そして、エアコンECU150は空調制御信号によって設定された吹出口モード及び設定風量を解除し、操作パネルの設定又はオートエアコン機能に基づいて吹出口モード及び風量を設定する。
尚、上記の空調装置の動作状態の制御は、吹出口モード及び設定風量が所定の設定とされているときに空調制御信号を送信するようにしていたが、設定風量のみ、あるいは吹出口モードのみに着目して空調制御信号を送信するようにしても良い。例えば、設定風量がM1以上とされている場合には、この設定風量をLo又はOFFとするための空調制御信号を送信する。また、吹出口モードがFACEモードに設定されている場合には、これをFOOTモードあるいはB/Lモードに設定するための空調制御信号を送信するのである。
また、スイングルーバが揺動しているときには、このスイングルーバの揺動を停止させ、乗員3,4の方向とは異なる方向にスイングルーバの揺動位置を固定するための空調制御信号を送信するようにしても良い。
また、空調装置の動作状態の制御としては、次のように制御しても良い。即ち、空気砲を放出する際に、吹出口モードをFACEモードに設定し、設定風量を空気砲の流速と同一となる風量に設定するのである。そうすると、空気質成分放出手段10〜12から放出された空気砲のうち、インストルメントパネル70に配置された空気質成分放出手段10から放出された空気砲は、空調空気の流動方向と略平行方向に、かつ、空調空気の風速と略同一の流速となるため、空調空気に拡散されることがなく乗員3,4に到達する。
また、空調装置の制御開始から車内2の気流を消滅・低減あるいは所定の気流状態とするまでには時間差が生じることがあり、空気砲の放出タイミングと空調装置の制御タイミングが同一とされていると、車内2に気流が生じている状態が継続したまま空気砲が放出されることとなり、この空気砲が拡散されることがある。従って、空調装置を制御するタイミングは、空気質成分放出手段10〜12の制御タイミング、即ち、空気砲の放出タイミングよりも早くすることが好ましい。
本実施形態によれば、空気砲放出時に空調空気によって生じる気流を消滅あるいは減少させるように空調装置を制御しているため、必要なときに空気質成分を乗員3,4に供給することができる。また、空気砲が拡散しないように、空調空気の吹出口モード及び設定風量を制御しているため、気流発生状態とされていても、必要なときに空気質成分を乗員3,4に供給することができる。
(第7実施形態)
本発明に係る第7実施形態について図16又は図17を参照して説明する。尚、上記第1実施形態と同一の部分についての説明は省略し、相違点のみを説明する。本実施形態は、空気砲を放出する際に、サイドウィンドウガラスを介して車内2に侵入する外気流を低減又は消滅させるためにサイドウィンドウガラスの開度を制御するところが第1実施形態と相違している。
空気質成分供給ECU101は、図16に示すように、車両統合ECU120からウィンドウ開閉情報を受信可能とされており、さらに、車両統合ECU120に対してサイドウィンドウガラスの開度を指定するための開度指定信号及びこの開度指定信号に基づくサイドウィンドウガラスの開度指定を解除するための解除信号を選択的に送信するようになっている。
一方、車両統合ECU120は、空気質成分供給ECU101から開度指定信号を受信した場合には、この信号に基づいてサイドウィンドウガラスの開度を指定の開度に設定する。
空気質成分供給ECU101は、図17に示すように、まず、車内2に乗員3,4が存在するか否かを判断する(ステップS510)。尚、乗員3,4の存在の判断方法は上記第1実施形態と同様である。乗員3,4が存在すると判断したときには(ステップS510にてYES)、車両統合ECU120からウィンドウ開閉情報を取得し、サイドウィンドウガラスの開度を把握する(ステップS520)。
次に、上記第1実施形態と同様にして空気砲を放出する必要があるか否かを判断し(ステップS530)、空気砲を放出する必要がある場合には(ステップS530でYes)、サイドウィンドウガラスの開度に基づいて、外部から侵入する外気流によって空気砲が拡散されないようにサイドウィンドウガラスの開度を制御する(ステップS540)。サイドウィンドウガラスの開度の制御としては、例えば、サイドウィンドウガラスの開度が0%以上であるときには、その開度を0%に指定するための開度指定信号を送信するとともに、空気質成分放出手段10〜12を作動させる。
そうすると、開度指定信号を受信した車両統合ECU120は、サイドウィンドウガラスの開度を0%に設定する。これによって、サイドウィンドウガラスが閉状態となるため、車内2への外気流の侵入が阻止される。従って、空気質成分放出手段10〜12から放出された空気砲は外気流によって拡散されることなく乗員3,4に到達する。
空気砲の放出が終了した場合(ステップS550でYes)、空気質成分供給ECU101は、車両統合ECU120に対して解除信号を送信する(ステップS560)。そして、車両統合ECU120は開度指定信号によって指定されたサイドウィンドウガラスの開度を解除し、開度指定信号受信前の開度に設定する。
尚、サイドウィンドウガラスの開度は、20%や30%等の0%以外に制御しても良い。また、車両統合ECU120から取得される車速情報に基づいてサイドウィンドウガラスの開度を設定するようにしても良い。これは、車速の増加に伴って車内2に侵入する外気流が増加するため、例えば、車速が40km/hであるときには、サイドウィンドウガラスの開度を20%に制御し、車速が80km/hであるときには、サイドウィンドウガラスの開度を10%に制御するというように、車速の増加に伴ってサイドウィンドウガラスの開度を減少させて外気流の侵入量を抑制するのである。
また、サイドウィンドウガラスの開度の制御開始から車内2の気流を消滅・低減するまでには時間差が生じることがあり、空気砲の放出タイミングと空調装置の制御タイミングが同一とされていると、車内2に気流が生じている状態が継続したまま空気砲が放出されることとなり、この空気砲が拡散されることがある。従って、サイドウィンドウガラスの開度を制御するタイミングは、空気質成分放出手段10〜12の制御タイミング、即ち、空気砲の放出タイミングよりも早くすることが好ましい。
本実施形態によれば、空気砲放出時に侵入する外気流を消滅あるいは減少させるようにサイドウィンドウガラスの開度を制御しているため、必要なときに空気質成分を乗員3,4に供給することができる。
(第8実施形態)
本発明に係る第8実施形態について図16又は図18を参照して説明する。尚、上記第1実施形態と同一の部分についての説明は省略し、相違点のみを説明する。本実施形態は、空気砲を放出する際に、サンルーフを介して車内2に侵入する外気流を低減又は消滅させるためにサンルーフの開度を制御するところが第1実施形態と相違している。
空気質成分供給ECU101は、図16に示すように、車両統合ECU120からサンルーフ開閉情報を受信可能とされており、さらに、車両統合ECU120に対してサンルーフの開度を指定するための開度指定信号及びこの開度指定信号に基づくサンルーフの開度指定を解除するための解除信号を選択的に送信するようになっている。
一方、車両統合ECU120は、空気質成分供給ECU101から開度指定信号を受信した場合には、この信号に基づいてサンルーフの開度を指定の開度に設定する。
空気質成分供給ECU101は、図18に示すように、まず、車内2に乗員3,4が存在するか否かを判断する(ステップS610)。尚、乗員3,4の存在の判断方法は上記実施形態と同様である。乗員3,4が存在すると判断したときには(ステップS610にてYES)、車両統合ECU120からサンルーフ開閉情報を取得し、サンルーフの開度を把握する(ステップS620)。
次に、上記第1実施形態と同様にして空気砲を放出する必要があるか否かを判断し(ステップS620)、放出する必要がる場合には(ステップS620でYes)、サンルーフの開度に基づいて、外部から侵入する外気流によって空気砲が拡散されないようにサンルーフの開度を制御する(ステップS630)。サンルーフの開度の制御としては、例えば、サンルーフの開度が0%以上であるときには、その開度を0%に指定するための開度指定信号を送信するとともに、空気質成分放出手段10〜12を作動させる。
そうすると、開度指定信号を受信した車両統合ECU120は、サンルーフの開度を0%に設定する。これによって、サンルーフは閉状態となるため、車内2への外気流の侵入が阻止される。従って、空気質成分放出手段10〜12から放出された空気砲は外気流によって拡散されることなく乗員3,4に到達する。
空気砲の放出が終了した場合(ステップS640でYes)、空気質成分供給ECU101は、車両統合ECU120に対して解除信号を送信する(ステップS650)。そして、車両統合ECU120は開度指定信号によって指定されたサンルーフの開度を解除し、開度指定信号受信前の開度に設定する。
尚、サンルーフの開度は、20%や30%等の0%以外に制御しても良い。また、車両統合ECU120から取得される車速情報に基づいてサンルーフの開度を設定するようにしても良い。これは、車速の増加に伴って車内2に侵入する外気流が増加するため、例えば、車速が40km/hであるときには、サンルーフの開度を20%に制御し、車速が80km/hであるときには、サンルーフの開度を10%に制御するというように、車速の増加に伴ってサンルーフの開度を減少させて外気流の侵入量を抑制するのである。また、サンルーフにチルトアップ機構が設けられている場合には、空気砲を放出する際に、チルトアップ状態に保持するようにしても良い。
また、サンルーフの開度の制御開始から車内2の気流を消滅・低減あるいは所定の気流状態とするまでには時間差が生じることがあり、空気砲の放出タイミングと空調装置の制御タイミングが同一とされていると、車内2に気流が生じている状態が継続したまま空気砲が放出されることとなり、この空気砲が拡散されることがある。従って、サンルーフの開度を制御するタイミングは、空気質成分放出手段10〜12の制御タイミング、即ち、空気砲の放出タイミングよりも早くすることが好ましい。
本実施形態によれば、空気砲放出時に侵入する外気流を消滅あるいは減少させるようにサンルーフの開度を制御しているため、必要なときに空気質成分を乗員3,4に供給することができる。
(第9実施形態)
本発明に係る第9実施形態について図19〜図22を参照して説明する。尚、上記第1実施形態と同一の部分についての説明は省略し、相違点のみを説明する。本実施形態は、湿度成分を発生する湿度成分発生手段17と、車内空気の湿度を検出する湿度センサ125とを設け、この湿度センサ125の検出値が所定値以下である場合に空気砲を車内2に供給するところが第1実施形態と相違している。
図19に示すように、空気質成分放出手段10〜12の空気質成分チャンバ15は、湿度成分発生手段17で発生させた湿度成分が、開放されたバルブ18を通り連結チューブ20を介して搬送ポンプ19で送り込まれ貯蔵される空間であり、搬送手段21と連通するように接続されている。搬送手段21で搬送された湿度成分は、揮発性の状態で空気質成分チャンバ15内に送られ、この容積内に充満させられる。空気質成分チャンバ15内に必要以上に前記湿度成分を充満させると、余分な湿度成分は、放出口27から外部に放出されることになる。ただし、余分な湿度成分が漏れた後は、即座にそれ以上の湿度成分が漏れることはなく、空気質成分チャンバ15内に適切量の湿度成分は保持されることになる。
車載バッテリなどから空気圧縮手段14に電圧を印加すると、電流がコイル24に流れて圧縮部材22を空気質成分チャンバ15側に押し出す電磁力が働く。さらに、磁石23によりコイル24の管状内を通過する磁力も作用することになり、圧縮部材22は瞬間的に空気質成分チャンバ15側に大きく変形して、圧縮部材22はその中央部を大きく突出させた形状で位置25まで空気質成分チャンバ15側に張り出し、コイル24も圧縮部材22と一体となって位置26まで空気質成分チャンバ15側に張り出することになる。この圧縮部材22の変形により、空気質成分チャンバ15の容積は瞬間的に小さくなるので、この容積内に充満していた前記湿度成分は圧縮されて放出口27から外部に瞬時に放出されることになる。この一連の動作を瞬時に起こすことで、放出口27から放出される湿度成分を含んだ空気は、流体の塊、例えば、渦輪、球体状の塊、となって車内2に放出される。
湿度センサ125(図19)は、車内2の空気の湿度を検出するセンサである。湿度センサ125は、図20に示すように、前席5および後席6の背もたれ上部62および63に配置する構成とする。背もたれ上部62に湿度センサ125を配置することにより、湿度センサ125が検出する湿度データは、前席5に座る乗員3が感じる空気の湿度とみなされ、乗員3の鼻およびのどの粘膜の乾燥度合いを的確に検出することが可能となる。同様に、背もたれ上部63に湿度センサ125を配置することにより、湿度センサ125が検出する湿度データは、後席6に座る乗員4が感じる空気の湿度とみなされ、乗員4の鼻およびのどの粘膜の乾燥度合いを的確に検出することが可能となる。湿度センサ125によって検出された湿度データは空気質成分供給ECU101に送信される。
次に、湿度センサ125の検出値に基づいて空気質成分放出手段10〜12を制御する処理手順について図21を用いて説明する。まず、空気質成分供給ECU101は、ステップS710において、車内2に乗員が存在しているか否かを判断する。乗員の存在の判断については、例えば、イグニッションスイッチがONされている場合、赤外線センサで乗員の発熱を検出した場合、座席の重量センサで一定以上の重量を検出した場合、または所定量以上のCO2濃度を検出した場合において、乗員が存在していると判断することとする。
乗員が存在していないと判断したときは、再度ステップS710を反復し、乗員が存在していると判断したときは、ステップS720において湿度センサ125の検出値が所定値以下であるか否かを判断する。所定値よりも高いときは、車内2の空気の湿度状況は、不適切な状態ではないと判断して、再度ステップS710に戻り、乗員の存在と湿度センサ125の検出値の状況の判断を行う処理手順を実行する。
湿度センサ125の検出値が所定値以上であると判断したときは、ステップ730に移行して、空気質成分放出手段10〜12を起動させて空気砲を車内2の乗員またはある空間に向けて放出する。そして、スタートに戻り再度ステップS310以下を実行する。このとき、湿度センサ125が車内2に複数配置されている場合には、所定値以上を検出した湿度センサ125に最も近い位置にいる乗員、または最も近い空間に向けて空気砲を放出したり、当該湿度センサ125に最も近い場所にある空気質成分放出手段10〜12を起動させたりする制御処理を行っても良い。
これにより、車内空気の状態と連動して湿度成分の供給を行うことができるので、湿度センサ125の検知位置に近い場所にいる乗員の環境改善が適切に実行できる。
尚、湿度成分発生手段17は、図22に示すように、水分供給手段61と、この水分供給手段61により供給された水分を揮発させる加熱手段60とから構成され、空気質成分供給チャンバ15、15A内に設けられるようにしても良い。水分供給手段61はチューブにより構成し、外部からチューブを通して水を送り込むものである。加熱手段60は、チューブから流出した水を即座に加熱するヒータであり、前記水を気化させ、空気質成分チャンバ15、15A内の空気を高湿度にする。
このように湿度成分発生手段17を筐体16、16Aと一体化して構成することにより、図19に示すような筐体16と搬送手段21を介して連結する構成と比較して別個に湿度成分発生手段17を形成する筐体を設ける必要がなくなり、装置の小型化が図れる。
(他の実施形態)
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれ、さらに、下記以外にも要旨を逸脱しない範囲内で種々変更して実施することができる。
上記実施形態では、空気質成分として芳香成分を含有した空気砲、あるいは湿度成分を含有した空気砲を乗員3,4に対して放出す
るようにしていたが、これに限られず、例えば、空気質成分として芳香成分と湿度成分との両者を含有した空気砲を乗員3,4に対して放出するようにしても良い。また、空気質成分としては空気のみとした場合でも良い。
また、上記第1実施形態から第9実施形態を任意に組み合わせて実施するものであっても良い。