JP2019135121A - 車両用空調装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】車室内の快適性を確保しつつ、車室内の空調効率の向上を図ることが可能な車両用空調装置を提供する。【解決手段】車両用空調装置は、リクライニング角度を調整可能な対象シートよりも前側に開口するフロント吹出部と、フロント吹出部よりも対象シートに近い位置に開口する特定吹出部と、を備える。車両用空調装置は、フロント吹出部からの吹出風量および特定吹出部からの吹出風量を増減する調整ドアと、調整ドアを制御する風量制御部を含んで構成される制御装置と、を備える。そして、制御装置は、リクライニング角度が角度閾値以上となる第1状態である場合、角度閾値未満となる第2状態である場合に比べて、フロント吹出部14からの吹出風量が減少し、特定吹出部14からの吹出風量が増加するように調整ドアを制御する。【選択図】図5

Description

本発明は、シートクッション部に対するシートバック部の傾斜角度を調整可能な対象シートが設置された車両に適用される車両用空調装置に関する。
従来、車室内にインストルメントパネルに設けられた複数の吹出口から空調空気を吹き出す自動車用の空調装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
特開平5−58148号公報
特許文献1に記載の空調装置のような従来の装置では、車室内へ開口する吹出口から吹き出される空気の風量および風向は、自動的または乗員操作によって設定される。
しかしながら、運転席や助手席のように車室内に設置されたシートは、シートクッション部に対するシートバック部の傾斜角度が変更可能である。そして、シートクッション部に対するシートバック部の傾斜角度が変更されると、そのシートに着座した乗員の姿勢が変化する。このため、シートクッション部に対するシートバック部の傾斜角度によっては、吹出口から吹き出される空気が、シートに着座した乗員に対して適切に当たらない場合が生じ得る。このことは、車室内の快適性を損う要因になると共に、車室内の空調効率の悪化を招く要因になることから好ましくない。
本発明は上記点に鑑みて、車室内の快適性を確保しつつ、車室内の空調効率の向上を図ることが可能な車両用空調装置を提供することを目的とする。
請求項1に記載の発明は、シートクッション部(5a、6a)に対するシートバック部(5b、6b)の傾斜角度(θr)を調整可能な対象シート(5、6)が設置された車両(1)に適用される車両用空調装置を対象としている。
上記目的を達成するため、請求項1に記載の発明は、
車室内における対象シートよりも前側に開口し、対象シートに着座した乗員に向けて空気を吹き出すフロント吹出部(14)と、
車室内におけるフロント吹出部よりも対象シートに近い位置に開口し、対象シートに着座した乗員に向けて空気を吹き出す特定吹出部(16)と、
フロント吹出部から吹き出す空気の吹出風量および特定吹出部から吹き出す空気の吹出風量を増減する風量調整装置(32)と、
風量調整装置を制御する風量制御部(100a)を含んで構成される制御装置(100)と、を備える。
制御装置は、傾斜角度が所定の角度閾値以上となる第1状態である場合、角度閾値未満となる第2状態である場合に比べて、フロント吹出部から吹き出す空気の吹出風量が減少し、特定吹出部から吹き出す空気の吹出風量が増加するように風量調整装置を制御する。
これによると、シートクッション部に対するシートバック部の傾斜角度が大きくなると、対象シートに近い位置に開口する特定吹出部から吹き出す空気の吹出風量が増加するので、特定吹出部からの空気が対象シートに着座した乗員の身体に当たり易くなる。これにより、車室内の快適性を確保することができる。
また、シートクッション部に対するシートバック部の傾斜角度が大きくなると、対象シートから離れた位置に開口するフロント吹出部から吹き出す空気の吹出風量が減少するので、空調する必要性が少ない空間に空気が吹き出されることが抑制される。これにより、車室内の空調効率の向上を図ることができる。
なお、この欄および特許請求の範囲で記載した各手段の括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係の一例を示すものである。
第1実施形態に係る車両用空調装置が搭載された車両の車室内の前方を示す模式図である。 シートのリクライニング角度を説明するための説明図である。 第1実施形態に係る車両用空調装置の概略構成を示す模式図である。 第1実施形態に係る車両用空調装置の制御装置を示す模式的なブロック図である。 第1実施形態に係る車両用空調装置の制御装置が実行する空調制御処理の流れを示すフローチャートである。 第1実施形態に係る車両用空調装置におけるフットモード時に吹き出す空気の流れ方を説明するための説明図である。 第1実施形態の比較例となる車両用空調装置におけるリラックスモード時に吹き出す空気の流れ方を説明するための説明図である。 第1実施形態に係る車両用空調装置におけるリラックスモード時に吹き出す空気の流れ方を説明するための説明図である。 第1実施形態に係る車両用空調装置の変形例を示す模式図である。 第1実施形態の変形例となる車両用空調装置におけるリラックスモード時に吹き出す空気の流れ方を説明するための説明図である。 第2実施形態に係る車両用空調装置の制御装置を示す模式的なブロック図である。 第2実施形態に係る車両用空調装置の制御装置が実行する空調制御処理の流れを示すフローチャートである。
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。なお、以下の実施形態において、先行する実施形態で説明した事項と同一もしくは均等である部分には、同一の参照符号を付し、その説明を省略する場合がある。また、実施形態において、構成要素の一部だけを説明している場合、構成要素の他の部分に関しては、先行する実施形態において説明した構成要素を適用することができる。以下の実施形態は、特に組み合わせに支障が生じない範囲であれば、特に明示していない場合であっても、各実施形態同士を部分的に組み合わせることができる。
(第1実施形態)
本実施形態について、図1〜図8を参照して説明する。図1に示す前後、左右、上下を示す各矢印は、車両1の前後方向DRfr、幅方向DRw、上下方向DRudを示している。
図1に示すように、車両1の内部である車室内には、乗員が着座するシートとして少なくとも運転席5、助手席6が設置されている。運転席5および助手席6は、乗員の下半身を支持するシートクッション部5a、6a、および乗員の上半身を支持するシートバック部5b、6bを備える。そして、運転席5および助手席6は、図示しないリクライニング機構を備え、当該リクライニング機構によって、シートクッション部5a、6aに対するシートバック部5b、6bの傾斜角度であるリクライニング角度θrが調整可能となっている。本実施形態では、運転席5および助手席6が、リクライニング角度θrが調整可能な対象シートを構成している。本実施形態の運転席5および助手席6は、リクライニング角度θrを電動で調整可能なシート(いわゆる、パワーシート)で構成されている。
具体的には、運転席5および助手席6は、シートバック部5b、6bを車両1の後方側へ傾斜させた際に、図2の実線で示す基本姿勢から図2の一点鎖線で示すフルフラット姿勢までリクライニング角度θrを大きくすることが可能となっている。なお、基本姿勢は、シートバック部5b、6bがシートクッション部5a、6a上に起立した姿勢(例えば、θrn=95°)である。また、フルフラット姿勢は、着座者が寝転がれるように、シートバック部5b、6bを車両1の後方側へ大きく傾斜させた姿勢(例えば、θrf=150°)である。
図1に戻り、運転席5および助手席6の前方には、フロントウィンドシールドWSfの下方側に、計器類等が設置されるインストルメントパネルIPが配置されている。インストルメントパネルIPには、その内側に車両用空調装置10の温度調整ユニット20が設置されている。
車両用空調装置10は、車室内を空調する装置である。車両用空調装置10は、デフロスタ吹出部12、フロント吹出部14、特定吹出部16、温度調整ユニット20を含んで構成される。
デフロスタ吹出部12は、フロントウィンドシールドWSfに向けて空気を吹き出すことで、フロントウィンドシールドWSfの曇りを防止するための吹出部である。デフロスタ吹出部12は、インストルメントパネルIPのうちフロントウィンドシールドWSfに対向する上面部位に設けられている。
フロント吹出部14は、運転席5および助手席6よりも前側に開口し、運転席5および助手席6に着座した乗員に向けて空気を吹き出す吹出部である。フロント吹出部14は、フェイス吹出部142、フット吹出部144を含んで構成されている。
フェイス吹出部142は、主に乗員の上半身に向けて空気を吹き出す吹出部である。フェイス吹出部142は、インストルメントパネルIPのうち運転席5および助手席6のシートバック部5b、6bに対向する前面部位に開口している。
フット吹出部144は、主に乗員の下半身に向けて空気を吹き出す吹出部である。フット吹出部144は、基本姿勢に設定された運転席5および助手席6に着座する乗員の足元に向けて空気が吹き出されるように、インストルメントパネルIPの内側に開口している。
特定吹出部16は、車室内においてフロント吹出部14よりも運転席5および助手席6に近い位置に開口し、運転席5および助手席6に着座した乗員に向けて空気を吹き出す吹出部である。
本実施形態の特定吹出部16は、車両1の幅方向DRwにおいて少なくとも一部が運転席5および助手席6の一方と重なり合う内装部品7に設定されている。換言すれば、特定吹出部16は、車両の幅方向DRwから見たときに運転席5および助手席6の少なくとも一部と重なり合う内装部品7に設定されている。
具体的には、特定吹出部16は、車両の幅方向DRwから見たときに運転席5および助手席6に重なり合う乗降ドア部72およびセンタコンソール74に設定されている。特定吹出部16は、乗降ドア部72に設定されるドア吹出部162およびセンタコンソール74に設定されるコンソール吹出部164を含んで構成されている。
温度調整ユニット20は、車室内に吹き出す空気の温度を調整するもので、インストルメントパネルIPの内側に配置されている。温度調整ユニット20の内部構造等については、図3を参照して説明する。
図3に示すように、温度調整ユニット20は、外殻を構成するケーシング21の内部に送風機23、蒸発器24、加熱器25等が収容されている。ケーシング21は、その内部に空気が流通可能な通風路が形成されている。ケーシング21は、或る程度の弾性を有し、強度的にも優れた樹脂(例えば、ポリプロピレン)で形成されている。ケーシング21における空気流れ上流側には、車室内の空気(すなわち、内気)と車室外の空気(すなわち、外気)とを切り替え導入するための内外気切替箱22が配置されている。
内外気切替箱22は、ケーシング21の内部に外気を導入する外気導入口221、およびケーシング21の内部に内気を導入する内気導入口222が形成されている。内外気切替箱22には、外気導入口221および内気導入口222を開閉する内外気切替ドア223が配置されている。内外気切替ドア223は、外気導入口221と内気導入口222との開口割合を調整可能に構成されている。
内外気切替箱22の空気流れ下流側には、送風機23が配置されている。送風機23は、遠心ファンを電動モータで駆動する電動送風機で構成されている。なお、送風機23は、遠心ファンに限らず、軸流ファン等を備える送風機で構成されていてもよい。
送風機23の空気流れ下流側には、蒸発器24が配置されている。蒸発器24は、その内部を流れる冷媒と送風機23からの送風空気とを熱交換させて、送風空気を冷却する冷却機器である。具体的には、蒸発器24は、図示しない圧縮機、放熱器、膨張弁等とともに蒸気圧縮式の冷凍サイクルを構成している。
蒸発器24の空気流れ下流側には、加熱器25が配置されている。加熱器25は、蒸発器24を通過した空気を加熱する加熱機器である。加熱器25は、電気ヒータや、車両の排熱(例えば、エンジン冷却水)を利用したヒータコア等で構成される。
蒸発器24の空気流れ下流側には、加熱器25を迂回して空気を流すバイパス通路26が形成されている。蒸発器24および加熱器25との間には、加熱器25に流す空気およびバイパス通路26に流す空気の風量割合を調整するエアミックスドア27が配置されている。
ケーシング21の空気流れ最下流側には、蒸発器24および加熱器25で所望の温度に調整された温調空気の排出口として、デフロスタ開口部211、フェイス開口部212、フット開口部213が形成されている。
デフロスタ開口部211の空気流れ上流側には、デフロスタ開口部211を開閉するデフロスタドア211aが配置されている。また、デフロスタ開口部211には、温調空気をデフロスタ吹出部12に導くためのデフロスタダクト28が接続されている。
フェイス開口部212の空気流れ上流側には、フェイス開口部212を開閉するフェイスドア212aが配置されている。また、フェイス開口部212には、温調空気をフェイス吹出部142に導くためのフェイスダクト29が接続されている。
フット開口部213の空気流れ上流側には、フット開口部213を開閉するフットドア213aが配置されている。また、フット開口部213には、温調空気をフット吹出部144に導くためのフットダクト30が接続されている。このフットダクト30は、運転席5および助手席6の双方に温調空気を供給可能なように二股に分岐している。
ここで、本実施形態では、フェイスダクト29およびフットダクト30が、温度調整ユニット20で温度が調整された温調空気をフロント吹出部14に導くためのフロントダクトを構成している。
本実施形態のフットダクト30には、温調空気を特定吹出部16に導くための特定ダクト31が接続されている。この特定ダクト31は、フロントダクトを構成するフットダクト30から分岐するようにフットダクト30に対して接続されている。
特定ダクト31は、運転席5および助手席6の双方に温調空気を供給可能なように二股に分岐している。図示しないが、特定ダクト31は、ドア吹出部162およびコンソール吹出部164の双方から温調空気を吹き出すことが可能なようにさらに分岐している。なお、特定ダクト31は、乗降ドア部72およびセンタコンソール74に内蔵される。
フットダクト30および特定ダクト31との接続部には、調整ドア32が配置されている。調整ドア32は、フットダクト30の通路面積と特定ダクト31の通路面積を調整するものである。
本実施形態の調整ドア32は、フットダクト30内の通路および特定ダクト31内の通路を選択的に開閉するように構成されている。調整ドア32がフットダクト30内の通路を開放し、且つ、特定ダクト31内の通路を閉鎖する位置に設定されると、フット吹出部144から吹き出す空気の吹出風量が増加する一方で、特定吹出部16から吹き出す空気の吹出風量が減少する。また、調整ドア32がフットダクト30内の通路を閉鎖し、且つ、特定ダクト31内の通路を開放する位置に設定されると、フット吹出部144から吹き出す空気の吹出風量が減少する一方で、特定吹出部16から吹き出す空気の吹出風量が増加する。本実施形態では、調整ドア32が、フット吹出部144から吹き出す空気の吹出風量および特定吹出部16から吹き出す空気の吹出風量を増減する風量調整装置を構成する。
続いて、車両用空調装置10の電子制御部である制御装置100について、図4を参照して説明する。制御装置100は、プロセッサ、メモリ等を含む周知のマイクロコンピュータとその周辺回路で構成されている。そして、制御装置100は、そのメモリ内に記憶された制御プログラムに基づいて各種演算、処理を行い、出力側に接続された各種機器の作動を制御する。なお、制御装置100のメモリは、非遷移的実体的記憶媒体で構成される。
制御装置100の出力側には、制御対象機器として、内外気切替ドア223、送風機23、エアミックスドア27、調整ドア32、リクライニング機構を駆動する駆動部等が接続されている。
制御装置100の入力側には、外気温センサ110、内気温センサ111、日射センサ112、リクライニングセンサ113等が接続されている。リクライニングセンサ113は、運転席5および助手席6のリクライニング角度θrを検知するセンサである。リクライニングセンサ113としては、例えば、リクライニング機構の駆動部の回転角度を検知する角度センサを採用することができる。
制御装置100の入力側には、車両1のインストルメントパネルIP付近に配置された操作パネル120が接続されている。操作パネル120には、車室内空調の要否を設定するエアコンスイッチ121、車室内の設定温度を設定する温度設定スイッチ122、リラックススイッチ128が設けられている。
リラックススイッチ128は、乗員がリラックスできるように運転席5および助手席6のリクライニング角度θrを大きくするリラックスモードに設定するスイッチである。制御装置100は、乗員の操作によってリラックススイッチ128がオンされると、例えば、運転席5および助手席6がフルフラット姿勢となるようにリクライニング機構を制御する。制御装置100は、乗員の操作によってリラックススイッチ128がオフされると、例えば、運転席5および助手席6が基本姿勢となるようにリクライニング機構を制御する。
操作パネル120には、車室内への温調空気の吹出モードを設定する吹出スイッチとして、フェイス吹出スイッチ123、バイレベル吹出スイッチ124、フット吹出スイッチ125、フットデフ吹出スイッチ126、デフ吹出スイッチ127等が設けられている。なお、フェイス吹出スイッチ123は、吹出モードをフェイス吹出部142から温調空気を吹き出すフェイスモードに設定するためのスイッチである。バイレベル吹出スイッチ124は、吹出モードをフェイス吹出部142およびフット吹出部144の双方から温調空気を吹き出すバイレベルモードに設定するためのスイッチである。フット吹出スイッチ125は、吹出モードをフット吹出部144から温調空気を吹き出すフットモードに設定するためのスイッチである。フットデフ吹出スイッチ126は、吹出モードをデフロスタ吹出部12およびフット吹出部144の双方から温調空気を吹き出すフットデフモードに設定するためのスイッチである。デフ吹出スイッチ127は、吹出モードをデフロスタ吹出部12から温調空気を吹き出すデフロスタモードに設定するためのスイッチである。
ここで、制御装置100は、その出力側に接続された制御対象となる各種機器を制御する制御部が一体に構成されたものである。そして、制御装置100は、制御対象となる各構成機器の作動を制御するハードウェアやソフトウェアが各構成機器の作動を制御する制御部として機能する。例えば、制御装置100における調整ドア32を制御する構成が、フロント吹出部14から吹き出す空気の吹出風量と特定吹出部16から吹き出す空気の吹出風量との風量割合を制御する風量制御部100aを構成している。
次に、本実施形態の車両用空調装置10の作動について説明する。車両用空調装置10は、車両1のスタートスイッチがオンされると、図示しないバッテリから制御装置100に給電されることで制御装置100が作動状態になる。この状態で、エアコンスイッチ121がオンされると、制御装置100は、車室内を空調する空調制御処理を実行する。以下、空調制御処理について、図5を参照して説明する。
図5に示すように、制御装置100は、ステップS100にて、各種設定フラグ、演算値等を初期化する初期化処理を実行する。そして、制御装置100は、ステップS110にて、各種センサの検知信号、各種スイッチの操作信号等の各種信号を読み込む。
続いて、制御装置100は、ステップS120にて、車室内に吹き出す空気の目標温度である目標吹出温度TAOを算出する。制御装置100は、例えば、各種センサの検知信号を以下の数式F1に代入することで目標吹出温度TAOを算出する。
TAO=Kset×Tset−Kr×Tr−Kam×Tam−Ks×Ts+C…(F1)
ここで、上述の数式F1では、温度設定スイッチ122で設定された設定温度をTset、外気温をTam、内気温をTr、日射量をTsで示している。また、上述の数式F1に示すKset、Kr、Kam、およびKsは各ゲインであり、Cは全体に係る補正用の定数である。
続いて、制御装置100は、ステップS130にて、ユーザのマニュアル操作によって設定された各種スイッチの操作信号および目標吹出温度TAOに基づいて各種演算処理を行う。この演算処理では、例えば、目標吹出温度TAOに基づいて送風機23の目標送風量、内外気切替ドア223の目標開度、エアミックスドア27の目標開度等を算出する。また、制御装置100は、各吹出スイッチ123〜127の操作信号に基づいて吹出モードを決定する。なお、制御装置100は、目標吹出温度TAOに基づいて吹出モードを決定する構成になっていてもよい。
続いて、制御装置100は、ステップS140にて、ステップS130で決定された吹出モードがフットモードであるか否かを判定する。この結果、吹出モードがフットモードでない場合、制御装置100は、ステップS150にて、フットダクト30内の通路が開放され、且つ、特定ダクト31内の通路が閉鎖される位置に調整ドア32の目標開度を決定する。
一方、ステップS130の判定処理の結果、吹出モードがフットモードである場合、制御装置100は、ステップS160にて、リラックスモードであるか否かを判定する。具体的には、制御装置100は、リラックススイッチ128がオンされて、リクライニング角度θrが所定の角度閾値θth以上となる第1状態になっている場合にリラックスモードであると判断する。
一方、制御装置100は、リラックススイッチ128がオフされて、リクライニング角度θrが所定の角度閾値θth未満となる第2状態になっている場合にリラックスモードでないと判断する。なお、角度閾値θthは、基本姿勢よりもシートバック部5b、6bを車両1の後方側に傾斜させた際のリクライニング角度θrに設定される。角度閾値θthは、例えば、100°≦θr≦150°を満たす範囲で設定される。
ステップS160の判定処理の結果、リラックスモードである場合、制御装置100は、ステップS170に移行し、フットダクト30内の通路が閉鎖され、且つ、特定ダクト31内の通路が開放される位置に調整ドア32の目標開度を決定する。
これにより、リラックスモード時には、リラックスモードでない場合に比べて、フロント吹出部14から吹き出す空気の吹出風量が減少し、且つ、特定吹出部16から吹き出す空気の吹出風量が増加する。なお、ステップS160の判定処理の結果、リラックスモードでない場合、制御装置100は、ステップS150に移行する。すなわち、制御装置100は、特定ダクト31内の通路が閉鎖され位置に調整ドア32の目標開度を決定する。
続いて、制御装置100は、ステップS180にて、ステップS130、S150、S170で算出または決定された各種制御状態が得られるように、各種制御対象機器に対して制御信号の出力処理を実行する。そして、制御装置100は、ステップS190にて、ステップS110の処理を最後に実行してからの制御周期Tに相当する時間が経過するまで待機し、制御周期Tの経過を判定するとステップS110の処理に戻る。したがって、ステップS110〜S190の一連の処理は、ループ処理として制御周期T毎に繰り返し実行される。
本実施形態の車両用空調装置10では、運転席5や助手席6のリクライニング角度θrが角度閾値θth未満となる第2状態(例えば、基本姿勢)に設定されている場合にフットモードが選択されると、フット吹出部144から温調空気が吹き出される。この際、図6に示すように、乗員の足元がインストルメントパネルIPの下方側に位置するので、フット吹出部144からの温調空気が乗員の足元に向けて吹き出される。
ところで、乗員が車内で休憩等を行う際には、運転席5や助手席6のリクライニング角度θrが角度閾値θth以上となる第1状態(例えば、フルフラット姿勢)に設定されることがある。この場合、例えば、図7に示すように、乗員の足元がインストルメントパネルIPよりも後方側に位置するので、フットモード時にフット吹出部144からの温調空気が乗員の足元付近に吹き出されない。すなわち、運転席5や助手席6のリクライニング角度θrが角度閾値θth以上となる第1状態に設定されている場合にフットモードが選択されると、フット吹出部144からの温調空気が空調の必要性が少ない空間に向けて吹き出される。このことは、車室内の快適性を損う要因になると共に、車室内の空調効率の悪化を招く要因になることから好ましくない。
これに対して、本実施形態の車両用空調装置10は、運転席5や助手席6のリクライニング角度θrが角度閾値θth以上となる第1状態に設定されている場合にフットモードが選択されると、特定吹出部16から温調空気が吹き出される。すなわち、車両用空調装置10は、運転席5や助手席6が第1状態に設定されている場合、第2状態に設定されている場合に比べて、フロント吹出部14から吹き出す空気の吹出風量が減少し、且つ、特定吹出部16から吹き出す空気の吹出風量が増加する。具体的には、本実施形態の車両用空調装置10では、第1状態に設定されている場合、フロント吹出部14からの空気の吹き出しが停止され、特定吹出部16から温調空気が吹き出される。これによると、図8に示すように、乗員の下半身側に向けて温調空気が吹き出される。
以上説明した車両用空調装置10は、運転席5や助手席6が第1状態となる場合、第2状態となる場合に比べて、フロント吹出部14から吹き出す空気の吹出風量が減少し、且つ、特定吹出部16から吹き出す空気の吹出風量が増加する。
これによると、リクライニング角度θrが大きくなると、運転席5や助手席6に近い位置に開口する特定吹出部16から吹き出す空気の吹出風量が増加するので、特定吹出部16からの空気が運転席5や助手席6に着座した乗員の身体に当たり易くなる。これにより、車室内の快適性を確保することができる。
また、リクライニング角度θrが大きくなると、運転席5や助手席6から離れた位置に開口するフロント吹出部14から吹き出す空気の吹出風量が減少するので、空調する必要性が少ない空間に空気が吹き出されることが抑制される。これにより、車室内の空調効率の向上を図ることができる。
特に、本実施形態の車両用空調装置10は、特定吹出部16が車両1の幅方向DRwにおいて運転席5や助手席6と重なり合う内装部品(すなわち、乗降ドア部72、センタコンソール74)に設定されている。
これによると、インストルメントパネルIPに設けられたフロント吹出部14に比べて特定吹出部16を運転席5や助手席6に近づけることが可能になるので、車室内の快適性を充分に確保することができる。また、乗降ドア部72やセンタコンソール74といった既存の内装部品に対して特定吹出部16を設定すれば、新たに特定吹出部16を設置するための部品等が少なくて済むので、車両用空調装置10の簡素化を図ることも可能となる。
また、本実施形態の車両用空調装置10は、温度調整ユニット20にて温度が調整された空気を特定吹出部16に導くための特定ダクト31が、フロントダクトを構成するフットダクト30から分岐するように接続されている。これによると、特定吹出部16から吹き出す空気の温度を調整するための専用の機器を設ける必要がないので、車両用空調装置10をより簡素な構成で実現することができる。
さらに、本実施形態の車両用空調装置10は、調整ドア32によってフットダクト30の通路面積と特定ダクト31の通路面積を調整することで、フロント吹出部14からの吹出風量と特定吹出部16からの吹出風量との風量割合を制御する構成になっている。このような構成は、車両用空調装置10の簡素化に大きく寄与する。
ここで、特定吹出部16は、フロント吹出部14よりも乗員に近くに位置している。このため、特定吹出部16から温調空気を吹き出す場合、フロント吹出部14から温調空気を吹き出す場合に比べて、送風機23の送風能力を低下させることが望ましい。これによれば、空調効率を充分に向上させることが可能となる。
(第1実施形態の第1変形例)
上述の第1実施形態では、特定吹出部16を車両1の幅方向DRwにおいて運転席5や助手席6と重なり合う内装部品に設定する例について説明したが、これに限定されない。
車両用空調装置10は、例えば、図9に示すように、特定吹出部16が運転席5や助手席6のシートクッション部5a、6aやシートバック部5b、6bに設定されたシート吹出部166で構成されていてもよい。
このような構成であっても、運転席5や助手席6が第1状態に設定されている場合、第2状態に設定されている場合に比べて、フロント吹出部14から吹き出す空気の吹出風量が減少し、且つ、特定吹出部16から吹き出す空気の吹出風量が増加する。これによると、図10に示すように、乗員に向けて温調空気が吹き出されるので、車室内の快適性を確保しつつ、空調効率の向上を図ることができる。
また、特定吹出部16は、乗降ドア部72やセンタコンソール74以外の内装部品に設定されていてもよい。特定吹出部16は、例えば、運転席5や助手席6の周囲に存在する天井部分やセンタピラー等の内装部品に設定されていてもよい。
(第2実施形態)
次に、第2実施形態について、図11、図12を参照して説明する。本実施形態では、自動運転システム8が搭載された自動運転車両に対して車両用空調装置10を適用した例について説明する。
自動運転車両は、自動運転システム8に運転操作を依存する度合いを示す自動運転度に対応した運転モードで運転可能に構成されている。すなわち、自動運転車両は、予め定義された複数の自動運転度から所定の自動運転度を選択し、選択された自動運転度に対応した運転モードで運転可能に構成されている。
自動運転システム8は、種々の周知のセンサの検出信号に基づいて周知の方法で自動運転を切り替える。自動運転システム8は、例えば、乗員の操作および自動運転車両の周囲環境に基づいて自動運転度を切り替える。
本実施形態では、自動運転度として、日本政府およびNHTSA(National Highway Traffic Safety Administrationの略)が定義している自動化レベル(すなわち、レベル0〜レベル4)が採用されている。
レベル0は、運転手が全ての主制御系統の操作を行う状態を示すレベルである。レベル1は、加速、操舵、制動のいずれか1つを自動運転システム8が行う状態を示すレベルである。レベル2は、加速、操舵、制動のうち、複数の操作を自動運転システム8が行う状態を示すレベルである。レベル3は、加速、操舵、制動を自動運転システム8が行い、自動運転システム8が要請した際に運転手が対応する状態を示すレベルである。レベル4は、加速、操舵、制動に加えて、周囲の監視等の全ての運転操作を自動運転システム8が行い、運転操作に運転手が全く関与しない状態を示すレベルである。
本実施形態では、レベル4となる自動運転度を運転操作が運転手によらず自動運転システム8に依存するシステム依存運転度とし、レベル0〜3となる自動運転度を運転操作の少なくとも一部が運転手に依存する運転手依存運転度とする。
図11に示すように、本実施形態の制御装置100は、その入力側に自動運転システム8が接続されている。制御装置100は、自動運転システム8から現状の自動運転度に関する情報を取り込み、現状の自動運転度を特定する。本実施形態では、制御装置100における自動運転度を特定する機能が、自動運転度を特定する運転度特定部100bを構成ししている。
次に、本実施形態の制御装置100が実行する空調制御処理について、図12を参照して説明する。本実施形態の制御装置100は、図5に示した処理に代えて、図12に示す処理を実行する。なお、図12に示すステップのうち、図5に示すステップと同じ符号が付されたステップは、特に言及しない限り、同じ処理を実行する。
図12に示すように、ステップS160の判定処理の結果、リラックスモードである場合、制御装置100は、ステップS200に移行して、現状の自動運転度を特定する運転度特定処理を実行する。具体的には、制御装置100は、自動運転システム8から取得した情報に基づいて、現状の自動運転度がレベル4のシステム依存運転度およびレベル0〜3の運転手依存運転度のいずれであるかを特定する。
続いて、制御装置100は、ステップS210にて、現状の自動運転度がシステム依存運転度であるか否かを判定する。この結果、現状の自動運転度がシステム依存運転度である場合、制御装置100は、ステップS170に移行して、フットダクト30内の通路が閉鎖され、且つ、特定ダクト31内の通路が開放される位置に調整ドア32の目標開度を決定する。
一方、現状の自動運転度が運転手依存運転度である場合、制御装置100は、ステップS150に移行して、フットダクト30内の通路が開放され、且つ、特定ダクト31内の通路が閉鎖される位置に調整ドア32の目標開度を決定する。
その他の処理内容は、図5に示すものと同様である。本実施形態の車両用空調装置10は、運転席5や助手席6が第1状態となり、且つ、自動運転度がシステム依存運転度である場合、第2状態となる場合に比べて、フロント吹出部14からの吹出風量が減少し、且つ、特定吹出部16からの吹出風量が増加する。これによると、車室内の快適性を確保しつつ、車室内の空調効率の向上を図ることが可能となる。
ここで、自動運転システム8に運転操作を依存する運転モードでは、運転手に運転操作を依存する運転モード時に比べて、リラックスした状態になるように、リクライニング角度θrを大きくすることが予想される。このため、リクライニング角度θrが大きく、且つ、自動運転度がシステム依存運転度である場合に特定吹出部16から吹き出す空気の吹出風量を増加させる構成とすれば、車室内の快適性を充分に確保することができる。
(他の実施形態)
以上、本発明の代表的な実施形態について説明したが、本発明は、上述の実施形態に限定されることなく、例えば、以下のように種々変形可能である。
上述の各実施形態では、フットモード時にリクライニング角度θrが所定の角度閾値θth以上となる第1状態になった場合に、特定吹出部16からの吹出風量を増加させる例について説明したが、これに限定されない。車両用空調装置10は、フットモード以外の吹出モード時に、運転席5や助手席6が第1状態になった場合に特定吹出部16からの吹出風量を増加させ、フロント吹出部14からの吹出風量を減少させる構成になっていてもよい。例えば、車両用空調装置10は、フェイスモード時に運転席5や助手席6が第1状態になった場合、フットモードに切り替えると共に特定吹出部16からの吹出風量を増加させ、フロント吹出部14からの吹出風量を減少させる構成になっていてもよい。
上述の各実施形態では、特定ダクト31をフットダクト30に対して接続する例について説明したが、これに限定されない。車両用空調装置10は、例えば、特定ダクト31がフットダクト30以外のダクトに接続されていてもよい。
上述の各実施形態では、制御装置100がリラックススイッチ128のオンオフ状態に基づいて、リクライニング角度θrが角度閾値θth以上となっているか否かを判定する例について説明したが、これに限定されない。制御装置100は、例えば、リクライニングセンサ113で検出されたリクライニング角度θrが角度閾値θth以上となっている場合にリラックスモードと判断するように構成されていてもよい。
制御装置100は、例えば、乗員の足元に設定された荷重センサにより乗員の足が床面から離間している場合に、リクライニング角度θrが角度閾値θth以上となっていると判断するように構成されていてもよい。また、制御装置100は、例えば、IRセンサにより乗員の姿勢を検知し、検知した姿勢が仰向けになっている場合に、リクライニング角度θrが角度閾値θth以上となっていると判断するように構成されていてもよい。
上述の各実施形態では、フットダクト30の通路面積と特定ダクト31の通路面積とを調整する調整ドア32によって、フロント吹出部14からの吹出風量と特定吹出部16からの吹出風量との風量割合を調整する例について説明したがこれに限定されない。車両用空調装置10は、例えば、特定ダクト31からの吹出風量を調整する専用の送風機を有する場合、当該送風機と温度調整ユニット20の送風機23の送風能力を変更することで、各吹出部142、144からの風量割合が調整される構成になっていてもよい。
上述の各実施形態では、運転席5および助手席6を対象シートとする例について説明したが、これに限定されない。車両用空調装置10は、例えば、運転席5を除く座席(例えば、助手席、後部座席)を対象シートとし、当該対象シートに対してフロント吹出部14よりも距離が近い特定吹出部16が設けられた構成になっていてもよい。
上述の各実施形態では、温度調整ユニット20で温度調整された空気を特定吹出部16から吹き出す例について説明したが、これに限定されない。車両用空調装置10は、例えば、特定吹出部16から吹き出す空気の温度を調整する専用の温度調整部を備える構成になっていてもよい。
上述の各実施形態では、リクライニングスイッチ128がオンされた際に、リクライニング角度θrを大きくする例について説明したが、これに限定されない。乗員の安全性を考慮すると、車両1の駐停車中や自動運転度がシステム依存運転度に設定されている場合に、リクライニングスイッチ128のオンオフ操作が有効になるように構成されていることが望ましい。
上述の各実施形態では、運転席5および助手席6がパワーシートで構成される例について説明したが、これに限定されない。運転席5および助手席6は、乗員のマニュアル操作によってリクライニング角度θrが調整可能なシートで構成されていてもよい。
上述の実施形態において、実施形態を構成する要素は、特に必須であると明示した場合および原理的に明らかに必須であると考えられる場合等を除き、必ずしも必須のものではないことは言うまでもない。
上述の実施形態において、実施形態の構成要素の個数、数値、量、範囲等の数値が言及されている場合、特に必須であると明示した場合および原理的に明らかに特定の数に限定される場合等を除き、その特定の数に限定されない。
上述の実施形態において、構成要素等の形状、位置関係等に言及するときは、特に明示した場合および原理的に特定の形状、位置関係等に限定される場合等を除き、その形状、位置関係等に限定されない。
(まとめ)
上述の実施形態の一部または全部で示された第1の観点によれば、車両用空調装置は、フロント吹出部からの吹出風量および特定吹出部からの吹出風量を増減する風量調整装置と、風量調整装置を制御する風量制御部を含んで構成される制御装置と、を備える。制御装置は、傾斜角度が所定の角度閾値以上となる第1状態である場合、傾斜角度が角度閾値未満となる第2状態である場合に比べて、フロント吹出部からの吹出風量が減少し、且つ、特定吹出部からの吹出風量が増加するように風量調整装置を制御する。
第2の観点によれば、車両用空調装置は、特定吹出部が、車両の幅方向において少なくとも一部が対象シートと重なり合う内装部品に設定されている。これによると、フロント吹出部に比べて特定吹出部を対象シートに近づけることが可能になるので、車室内の快適性を充分に確保することができる。また、既存の内装部品に対して特定吹出部を設定すれば、新たに特定吹出部を設置するための部品等が少なくて済むので、車両用空調装置の簡素化を図ることも可能となる。
第3の観点によれば、車両用空調装置は、特定吹出部が、対象シートに設定されている。これによると、フロント吹出部に比べて至近距離から乗員に対して空気を吹き出すことが可能になるので、車室内の快適性を充分に確保することができる。また、既存の対象シートに対して特定吹出部を設定すれば、新たに特定吹出部用を設置するための部品等が少なくて済むので、車両用空調装置の簡素化を図ることも可能となる。
第4の観点によれば、車両用空調装置は、車室内に吹き出す空気の温度を調整する温度調整ユニットを備える。車両用空調装置は、温度調整ユニットにて温度が調整された空気をフロント吹出部に導くためのフロントダクトと、温度調整ユニットにて温度が調整された空気を特定吹出部に導くための特定ダクトと、を備える。そして、特定ダクトは、フロントダクトから分岐するようにフロントダクトに対して接続されている。これによると、特定吹出部から吹き出す空気の温度を調整するための専用の機器を設ける必要がないので、車両用空調装置を簡素な構成で実現することができる。
第5の観点によれば、車両用空調装置は、風量調整装置が、フロントダクトの通路面積と特定ダクトの通路面積を調整する調整ドアで構成されている。これによると、フロント吹出部から吹き出す空気の風量と特定吹出部から吹き出す空気の風量との風量割合を簡易な構成によって調整することができる。このことは、車両用空調装置の簡素化に大きく寄与する。
第6の観点によれば、車両用空調装置は、自動運転システムに運転操作を依存する度合いを示す自動運転度に対応した運転モードで運転可能に構成された自動運転車両に適用される。制御装置は、自動運転度が運転操作を自動運転システムに依存するシステム依存運転度、および運転操作の少なくとも一部を運転手に依存する運転手依存運転度のいずれであるかを特定する運転度特定部を備える。制御装置は、第1状態であって、運転度特定部によって特定された自動運転度がシステム依存運転度である場合、第2状態である場合に比べて、フロント吹出部からの吹出風量が減少し、且つ、特定吹出部からの吹出風量が増加するように風量調整装置を制御する。
自動運転システムに運転操作を依存する運転モードでは、運転手に運転操作を依存する運転モード時に比べて、リラックスした状態になるように、シートクッション部に対するシートバック部の傾斜角度を大きくすることが予想される。このため、シートクッション部に対するシートバック部の傾斜角度が大きく、且つ、自動運転度がシステム依存運転度である場合に特定吹出部から吹き出す空気の吹出風量を増加させる構成とすれば、車室内の快適性を充分に確保することができる。
第7の観点によれば、車両用空調装置が対象とする対象シートには、運転手が着座する運転席が含まれている。これによると、車両の運転操作を快適に行うことが可能な車室内環境を運転手に提供することができる。
1 車両
10 車両用空調装置
5 運転席(対象シート)
6 助手席(対象シート)
14 フロント吹出部
16 特定吹出部
32 調整ドア(風量調整装置)
100 制御装置
100a 風量制御部

Claims (7)

  1. シートクッション部(5a、6a)に対するシートバック部(5b、6b)の傾斜角度(θr)を調整可能な対象シート(5、6)が設置された車両(1)に適用される車両用空調装置であって、
    車室内における前記対象シートよりも前側に開口し、前記対象シートに着座した乗員に向けて空気を吹き出すフロント吹出部(14)と、
    前記車室内における前記フロント吹出部よりも前記対象シートに近い位置に開口し、前記対象シートに着座した乗員に向けて空気を吹き出す特定吹出部(16)と、
    前記フロント吹出部から吹き出す空気の吹出風量および前記特定吹出部から吹き出す空気の吹出風量を増減する風量調整装置(32)と、
    前記風量調整装置を制御する風量制御部(100a)を含んで構成される制御装置(100)と、を備え、
    前記制御装置は、前記傾斜角度が所定の角度閾値以上となる第1状態である場合、前記傾斜角度が前記角度閾値未満となる第2状態である場合に比べて、前記フロント吹出部から吹き出す空気の吹出風量が減少し、且つ、前記特定吹出部から吹き出す空気の吹出風量が増加するように前記風量調整装置を制御する車両用空調装置。
  2. 前記特定吹出部(162、164)は、前記車両の幅方向において少なくとも一部が前記対象シートと重なり合う内装部品(72、74)に設定されている請求項1に記載の車両用空調装置。
  3. 前記特定吹出部(166)は、前記対象シートに設定されている請求項1に記載の車両用空調装置。
  4. 前記車室内に吹き出す空気の温度を調整する温度調整ユニット(10)と、
    前記温度調整ユニットにて温度が調整された空気を前記フロント吹出部に導くためのフロントダクト(30)と、
    前記温度調整ユニットにて温度が調整された空気を前記特定吹出部に導くための特定ダクト(31)と、を備え、
    前記特定ダクトは、前記フロントダクトから分岐するように前記フロントダクトに対して接続されている請求項1ないし3のいずれか1つに記載の車両用空調装置。
  5. 前記風量調整装置は、前記フロントダクトの通路面積と前記特定ダクトの通路面積を調整する調整ドア(32)で構成されている請求項4に記載の車両用空調装置。
  6. 前記車両は、自動運転システム(8)に運転操作を依存する度合いを示す自動運転度に対応した運転モードで運転可能に構成された自動運転車両であり、
    前記制御装置は、
    前記自動運転度が前記運転操作を前記自動運転システムに依存するシステム依存運転度、および前記運転操作の少なくとも一部を運転手に依存する運転手依存運転度のいずれであるかを特定する運転度特定部(100b)を備え、
    前記傾斜角度が前記角度閾値以上となる第1状態であり、且つ、前記運転度特定部によって特定された前記自動運転度が前記システム依存運転度である場合、前記傾斜角度が前記角度閾値未満となる第2状態である場合に比べて、前記フロント吹出部から吹き出す空気の吹出風量が減少し、且つ、前記特定吹出部から吹き出す空気の吹出風量が増加するように前記風量調整装置を制御する請求項1ないし5のいずれか1つに記載の車両用空調装置。
  7. 前記対象シートは、運転手が着座する運転席(5)を含んでいる請求項1ないし6のいずれか1つに記載の車両用空調装置。
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