JP4769601B2 - 研削装置 - Google Patents

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Description

本発明は、半導体チップをパッケージしたチップサイズパッケージ(CSP)基板等の被加工物を切断する切断装置に関する。
半導体デバイス製造工程においては、略円板形状である半導体ウエーハの表面に格子状に配列された多数の領域にIC、LSI等の回路を形成し、該回路が形成された各領域を所定のストリートといわれる切断ラインに沿ってダイシングすることにより個々の半導体チップを製造している。このようにして分割された半導体チップは、パッケージングされて携帯電話やパソコン等の電気機器に広く利用されている。
携帯電話やパソコン等の電気機器はより軽量化、小型化が求められており、半導体チップのパッケージもチップサイズパッケージ(CSP)と称する小型化できるパッケージ技術が開発されている。CSP技術の一つとして、Quad Flat Non−lead Package(QFN)と称するパッケージ技術が実用化されている。このQFNと称するパッケージ技術は、半導体チップの接続端子に対応した接続端子が複数形成されているとともに半導体チップ毎に区画するストリートが格子状に形成された銅板等の金属板に複数個の半導体チップをマトリックス状に配設し、半導体チップの裏面側から樹脂をモールディングした樹脂部によって金属板と半導体チップを一体化することによりCSP基板を形成する。このCSP基板をストリートに沿って切断することにより、個々にパッケージされたチップサイズパッケージ(CSP)に分割する。
上記CSP基板の切断は、一般にダイシング装置とよばれる精密切削装置によって施される。この切削装置は、被加工物を保持するチャックテーブルと、チャックテーブルを往復動せしめるための往復動機構と、チャックテーブル上に保持された被加工部を切断するための切削ブレードを備えた切削手段とを具備している。また、切削手段には純水でよい加工水を供給するための加工水供給手段が付設されている。チャックテーブルが往動及び/又は復動する際に、チャックテーブル上のCSP基板に切削ブレードが作用せしめられ、CSP基板の切断が遂行される。チャックテーブルを往復動せしめるための往復動機構は、往復動方向に延在する回転自在なねじ軸と、このねじ軸に螺合せしめられた雌ねじ部材とを含んでおり、チャックテーブルは雌ねじ部材に装着されている。ねじ軸および雌ねじ部材は所謂精密機械要素であり、この機械要素に切断屑及び/又は加工水が付着することを防ぐ必要がある。切削ブレードの回転方向に起因して切断屑および加工水は、主として、チャックテーブルの往復動方向に見て片側、例えばCSP基板に作用する部位がチャックテーブルの往動方向に移動する方向に切削ブレードが回転せしめられる場合にはチャックテーブルの往動方向に見て下流側、に飛散せしめられる。加工水の一部は霧となりチャックテーブルの往動方向に見て上流側にも飛散する。そこで、チャックテーブルの往復動方向に見て少なくとも片側、通常は両側、に蛇腹部材を配設してねじ軸等の精密機械要素を覆っている。チャックテーブルが往動または復動する場合には、チャックテーブルの往動方向に見て下流側に配置された蛇腹部材は収縮され、上流側に配置された蛇腹部材は伸張される。チャックテーブルが復動する場合には、チャックテーブルの往動方向に見て上流側に配置された蛇腹部材は収縮され、下流側に配置された蛇腹部材は伸張される。
上述した切削装置によってCSP基板を切断する場合、CSP基板の縁部にはCSPが形成されていない所謂耳部が存在し、この耳部が比較的大きな切断屑として、チャックテーブルの往復動方向に見て片側、例えばCSP基板に作用する部位がチャックテーブルの往動方向に移動する方向に切削ブレードが回転せしめられる場合にはチャックテーブルの往動方向に見て下流側、に配置されている蛇腹部材上に飛散せしめられる。蛇腹部材上に飛散した比較的大きな切断屑は、蛇腹部材の円滑な収縮及び伸張を阻害する傾向がある。蛇腹部材は、円滑に収縮および伸張せしめられることが必要であるために、通常、布或いはその類似シート材料で形成されている。従って、蛇腹部材上に飛散した比較的大きな切断屑によって、蛇腹手段に穴等の損傷が生成される虞も少なくない。
上記問題を解消するために、蛇腹部材の上面を覆う保護部材を配設した蛇腹機構を備えた切削装置が提案されている。(例えば、特許文献1および特許文献2参照。)
特開2002−239888号公報 特開2004−186361号公報
而して、上記公報に開示された蛇腹機構は、切削によって飛散された切断屑が保護部材上に落下するので蛇腹部材を保護することはできるが、保護部材上に落下した切削屑が保護部材の両端から蛇腹部材の両側に沿って形成されている排水路に落下する。このため、定期的に排水路に堆積した切削屑を洗浄しなければならず、生産性が悪いという問題がある。
本発明は上記事実に鑑みてなされたものであり、その主たる技術的課題は、蛇腹部材を確実に保護することができるとともに、蛇腹部材の両側に切削屑が落下することを防止できる蛇腹機構を備えた切削装置を提供することにある。
上記主たる技術課題を解決するため、本発明によれば、往復動せしめられるチャックテーブルと、該チャックテーブル上に保持された被加工物を切断するための切断手段と、一端が該チャックテーブルに取り付けられ他端が静止部材に取り付けられた蛇腹機構と、を具備する切断装置において、
該蛇腹機構は、シート部材によって複数の山部と谷部が交互に形成され伸縮自在に構成された蛇腹部材と、該蛇腹部材の複数の山部にそれぞれ装着され該蛇腹部材が伸長された状態において隣接する山部と山部との間隔より大きい幅を有する複数の保護部材とを具備し、
該複数の保護部材は、台形に形成された主保護部と、該主保護部の両脚辺から立設された補助保護部とからなり、該主保護部の下底辺部が該蛇腹部材の山部に装着され、該主保護部の上底辺部が隣接する該主保護部の上面に摺動可能に重合せしめられている、
ことを特徴とする切削装置が提供される。
本発明による研削装置においては、チャックテーブルに一端が取り付けられた蛇腹機構を構成する蛇腹部材の複数の山部にそれぞれ装着された複数の保護部材は、台形に形成された主保護部と、主保護部の両脚辺から立設された補助保護部とからなり、主保護部の下底辺部が蛇腹部材の山部に装着され、主保護部の上底辺部が隣接する主保護部の上面に摺動可能に重合せしめられているので、蛇腹部材の伸縮作用の妨げとはならない。従って、蛇腹部材の上側は常に複数の保護部材の主保護部に覆われているので、切断屑が蛇腹部材の谷部に侵入することがなく、切断屑による蛇腹部材の破損が防止される。また、主保護部の両脚辺にはそれぞれ補助保護部が立設されているので、主保護部に飛散された切断屑が主保護部の両端から蛇腹部材の両側に落下することはない。
以下、本発明に従って構成された切削装置の好適実施形態を図示している添付図面を参照して、更に詳細に説明する。
図1は、本発明に従って構成された切削装置の斜視図が示されている。全体を番号2で示す切削装置はハウジング4を具備しており、このハウジング4上には待機域6、チャッキング域8、アライメント域10、切断域12、洗浄・乾燥域14が規定されている。切断すべき被加工物は適宜の搬入手段(図示していない)によって待機域6上に搬入せしめられる。
図2には待機域6に搬入せしめられる被加工物の典型例を図示している。図示の被加工物はCSP基板16であり、このCSP基板16は矩形板状である合成樹脂製基板18を有する。合成樹脂製基板18上には複数のストリート20が格子状に配列されており、このストリート20によって複数(図示の場合は32個)の矩形領域が区画されている。矩形領域の各々にはCSP22が配設されている。合成樹脂基板18の4周縁部にはCSPが形成されていない所謂耳部24が存在する。図示の実施形態においては、CSP基板16がそれ単独で待機域6に搬入されるのではなく、CSP基板16は装着治具26上に載置されて待機域6に搬入される。適宜の金属板から形成することができる装着治具26はCSP基板16よりも幾分大きい矩形板状である。装着治具26の上面中央部には溝28が格子状に配列されており、この溝28によって複数個(図示の場合は32個)の矩形領域30が区画されている。矩形領域30の各々はCSP基板16におけるCSP22の各々に対応せしめられており、平面図における矩形領域30の寸法はCSP22の寸法と実質上同一である。装着治具26の矩形領域30の各々には厚さ方向に貫通せしめられている吸引孔32が形成されている。装着治具26の裏面には全ての吸引孔32を接続している吸引溝(図示していない)が形成されている。CSP基板16は複数個のCSP22の各々を装着治具26の矩形領域30の各々に整合せしめて装着治具26上に載置される。そして、その上面にCSP基板16が載置された装着治具26が切削装置2の待機域6上に搬入される。
再び図1を参照して説明を続けると、待機域6、チャッキング域8および洗浄・乾燥域14に関連せしめて、第1の搬送手段34が配設されている。この第1の搬送手段34は、待機域6に搬入された装着治具26を吸引して、装着治具26とその上面に載置されているCSP基板16をチャッキング域8に搬送し、チャッキング域8に位置せしめられているチャックテーブル36上に載置する。図示の実施形態におけるチャックテーブル36は、装着治具26よりも幾分大きい矩形状の吸引盤38を有する。吸引盤38の中央部には矩形状の吸引開口40が形成されており、この吸引開口40には吸引管42の先端が開口せしめられている。チャックテーブル36の吸引盤38上に装着治具26が搬入されると、吸引管42が図示しない吸引手段に連通せしめられ、これによって吸引盤38上に装着治具26が吸引保持され、そしてまた装着治具26に形成されている吸引孔32の各々が吸引手段に連通せしめられるので、CSP基板16(更に詳しくはそのCSP22の各々)が装着治具26に吸引保持される。
チャックテーブル36は図1に矢印X1(往動方向)およびX2(復動方向)で示す加工送り方向Xに往復動自在に装着されており(チャックテーブル36の往復動については後に更に言及する)、そして更に実質上鉛直に延びる中心軸線を中心として回転自在に装着されている。チャッキング域8においてチャックテーブル36上に装着治具26が載置され吸引保持されると、チャックテーブル36が矢印X1で示す方向に往動せしめられ、装着治具26上のCSP基板16がアライメント域10に位置付けられる。アライメント域10には顕微鏡を含む撮像手段48が配設されており、CSP基板16の表面が撮像手段48によって撮像される。そして撮像された画像を解析することによって、CSP基板16の配置状態、更に詳しくはCSP基板16上のストリート20の各々の位置、即ちチャックテーブル36の加工送り方向Xおよびこれに垂直な割り出し送り方向Yの位置、が認識されると共に、チャックテーブル36の加工送り方向Xに対するストリート20の傾斜が認識される。撮像手段48によって撮像される画像はハウジング4上に配設されているモニター50にも表示される。
次いで、チャックテーブル36が切断域12に移動せしめられ、CSP基板16の切断が遂行される。切断域12に関連せしめて切削手段52が配設されている。図示の実施形態における切削手段52は、実質上水平に延びる回転軸54の先端部に固定された切削ブレード56から構成されている。切削ブレード56はダイヤモンド粒子を含有した薄肉円板形状の切断刃でよい。切削手段52には、純水の如き加工水を供給するための加工水供給手段58も付設されている。CSP基板16の切断は、次のとおりにして遂行される。最初に、CSP基板16における所定方向に延びる複数のストリート20が加工送り方向Xに精密に平行に設定され、そして複数のストリート20の特定の1個の割り出し方向Yが切削ブレード56に精密に整合せしめられる。この位置合わせの際には、撮像手段48によって撮像されたCSP基板16の表面の画像の解析結果が利用される。しかる後に、所定高さに位置せしめられている切削ブレード56が矢印60で示す方向(即ち、切削ブレード56のCSP基板16に作用する下端部がチャックテーブル36の往動方向X1に移動する方向)に回転せしめられると共に、チャックテーブ36が矢印X1で示す方向に往動せしめられ、切削ブレード56の作用によってCSP基板16が特定の切断ストリート20に沿って切断される(切削ブレード56によるCSP基板16の切断については後に更に言及する)。CSP基板16を切断する切削ブレード56の、CSP基板16の下面を越えて下方に突出する部分は、装着治具26の上面に配設されている溝28内に位置せしめられる。切削ブレード56によってCSP基板16が切断される際には、加工水供給手段58が加工水を供給する。1個の切断ストリート20に沿った切断が終了すると、切削ブレード56が固定されている回転軸54が非作用位置まで上昇せしめられ、チャックテーブル36が所要位置まで矢印X2で示す方向に復動せしめられる。そして、チャックテーブル36が割り出し送り方向Yにインデックス移動せしめられるとともに切削ブレード56が固定されている回転軸54が所定位置まで下降せしめられる。しかる後に、チャックテーブル36が再び往動せしめられ、次のストリート20に沿ってCSP基板16が切断される。このようにして所定方向に延びる複数のストリート20に沿ってCSP基板16が切断せしめられると、チャックテーブル36が90度回転せしめられる。この結果、所定方向と直交する方向に延在する複数個のストリート20が加工送り方向Xと平行に位置付けられる。そして、所定方向と直交する方向に延在する複数のストリート20の各々に沿ったCSP基板16の切断が遂行される。
切断域12においてCSP基板16が所要のとおりに切断された後には、チャックテーブル36はチャッキング域8に戻される。チャッキング域8および洗浄・乾燥域14に関連せしめて第2の搬送手段61が配設されている。第2の搬送手段61はチャックテーブル36上の装着治具26を吸引保持して、装着治具26およびその上に載置されている既にストリート20に沿って切断されたCSP基板16を洗浄・乾燥域14に搬送し、洗浄・乾燥域14に配置されているチャック手段(図示していない)上に載置する。そして、洗浄・乾燥域14に配設されている洗浄・乾燥手段(図示していない)によって、装着治具26およびその上に存在する切断されたCSP基板16が洗浄され乾燥される。しかる後に、上記第1の搬送手段34によって装着治具26およびその上に存在する切断されたCSP基板16が待機域6に搬送される。そして、装着治具26及びその上の切断されたCSP基板16は、適宜の搬出手段(図示していない)によって、例えば個々に切断されたCSP22を装着治具26上から収容ケースに移送するための移送装置(図示していない)に搬送される。
図1を参照して説明を続けると、図示の実施形態においては、チャックテーブル36は図1に示すアライメント域10の上流側に位置する片端位置と切断域12における切断手段52の下流側に位置する他端位置との間を矢印X1およびX2で示す方向に往復動自在に装着されている。そして、チャックテーブル36にはこれを往復動せしめるための往復動機構(図示していない)が配設されている。それ自体は周知の形態でよい往復動機構は、チャックテーブル36の下方に回転自在に装着されたねじ軸を含んでいる。このねじ軸はチャックテーブル36の往復動方向X1およびX2に延在している。チャックテーブル36には雌ねじ部材が固定され、かかる雌めじ部材がねじ軸に螺合せしめられている。従って、ねじ軸の正転に応じてチャックテーブル36がねじ軸に沿ってX1で示す方向に往動され、ねじ軸の逆転に応じてチャックテーブル36がねじ軸に沿って矢印X2で示す方向に復動せしめられる。このような往復動機構におけるねじ軸及び雌ねじ部材は精密機械要素であり、切断域12において生成される切断屑、切断域12において供給される加工水からから防護することが必要である。
図1とともに図3および図4を参照して説明すると、図示の実施形態においては、チャックテーブル36の往復動方向に見てチャックテーブル36の両側に蛇腹機構62および64が配設されており、往復動機構におけるねじ軸および雌ねじ部材の如き精密機械要素はチャクテーブル36自体とともにその両側に配設された第1の蛇腹機構62および第2の蛇腹機構64によって覆われている。第1の蛇腹機構62は、布の如き折り畳み可能なシート部材によって複数の山部621aと谷部621bが交互に形成され伸縮自在に構成された蛇腹部材621と、該蛇腹部材621の両端にそれぞれ装着され金属板から形成することができる連結部材622a、622bとからなっている。このように構成された蛇腹部材621は、連結部材622aがチャックテーブル36が上記片端位置に位置付けられている時にその上流側に位置する静止部材(図示していない)に連結され、連結部材622bがチャックテーブル36の上流側面に連結されている。蛇腹部材621および連結部材622a、622bによって構成された第1の蛇腹機構62は、逆チャッネル形状の横断面形状を有する。このように構成された第1の蛇腹機構62の蛇腹部材621は、チャックテーブル36が上記片端位置から上記他端位置に向けて矢印X1で示す方向に往動せしめられる際には、チャックテーブル36の往動に応じて漸次伸張せしめられ、チャックテーブル36が上記他端位置から上記片端位置に向けて復動せしめられる際には漸次収縮せしめられる。
次に、第2の蛇腹機構64について、図3乃至図7を参照して説明する。
図示の実施形態における第2の蛇腹機構64は、蛇腹部材641と、該蛇腹部材641の上面を覆う複数の保護部材642と、蛇腹部材641の両端にそれぞれ装着され金属板から形成することができる連結部材645a、645bとからなっている。蛇腹部材641は、上記第1の蛇腹機構62の蛇腹部材621と同様に布の如き折り畳み可能なシート部材によって複数の山部641aと谷部641bが交互に形成され伸縮自在に構成され、逆チャッネル形状の横断面形状を有している。このように構成された第2の蛇腹機構64の蛇腹部材641の一端即ちチャックテーブル36側の端部に装着された連結部材645aは、チャックテーブル36の下流側面に連結されている。また、蛇腹部材641の他端即ちチャックテーブル36側と反対側の端部に装着された連結部材645bは、後述する静止部材に取り付けられている。従って、第2の蛇腹機構64を構成する蛇腹部材641は、チャックテーブル36が上記片端位置から上記他端位置に向けて矢印X1で示す方向に往動せしめられる際にはチャックテーブル36の往動に応じて漸次収縮せしめられ、チャックテーブル36が上記他端位置から上記片端位置に向けて復動せしめられる際には漸次伸張せしめられる。
上記複数の保護部材642は、図5に示すように主保護部643と該主保護部643の両端縁辺からそれぞれ立設された補助保護部644a、644bとからなっており、ポリエステル等の合成樹脂やアルミ合金等の金属材によって形成することができる。主保護部643は、図示の実施形態においては等脚台形に形成されており、その幅Laが蛇腹部材641が最も伸長した状態において隣接する山部641aと山部641aとの間隔L1(図6参照)より大きい寸法を有している。また、台形をなす主保護部643は、下底辺643a(チャックテーブル36側の縁辺)の長さLb1および上底辺643b(チャックテーブル36と反対側の縁辺)の長さLb2が蛇腹部材641の伸縮方向に直交する方向の幅寸法L2(図4参照)より大きい寸法に設定されている。このように形成された主保護部642aの両脚辺643c、643d(両端縁辺)からそれぞれ補助保護部644a、644bが立設されている。
上述したように形成された複数の保護部材642は、主保護部643の下底辺643a部(チャックテーブル36側の縁辺部)が蛇腹部材641の山部641aにそれぞれ接着剤によって装着され、上底辺643b部(チャックテーブル36と反対側の縁辺部)がそれぞれ隣接する保護部材642の主保護部643の上面に摺動可能に重合せしめられる。このようにして、蛇腹部材641の上側に配設された複数の保護部材642は、図6に示す蛇腹部材641が最も伸長した状態と図7に示す収縮した状態との間を伸縮するに伴って、主保護部643の上底辺643b部が隣接する主保護部643の上面上を摺動する。このとき、主保護部643の両端縁辺から立設された補助保護部644a、644bは、台形に形成された主保護部643の両脚辺643c、643dから立設されているので、隣接する主保護部643の両脚辺643c、643dから立設されている補助保護部644a、644bと重合するように移動するため、蛇腹部材641の伸縮作用の妨げとはならない。従って、蛇腹部材641の上側は常に複数の保護部材642の主保護部643に覆われているので、切断屑が蛇腹部材641の谷部に侵入することがなく、切断屑による蛇腹部材641の破損が防止される。また、主保護部643の両脚辺643c、643d(両端縁辺)にはそれぞれ補助保護部644a、644bが立設されているので、主保護部643に飛散された切断屑が主保護部643の両端から蛇腹部材641の両側に落下することはない。従って、蛇腹部材641の両側に形成される後述する排水路に切断屑が堆積することはない。
図3および図4を参照して説明を続けると、図示の実施形態における切削装置は上記チャックテーブル36および第1の蛇腹機構62、第2の蛇腹機構64の下側および両側方を覆う仕切部材66が配設されている。この仕切部材66は底壁661とその両側縁から上方に延びる両側壁662、663を有する。底壁661の上面には図4に示されているように上記両側壁662、663とそれぞれ平行に仕切り板68、70が取り付けられている。従って、仕切部材66の底壁661上には、側壁662と仕切り板68によって形成される排水路72と、側壁663と仕切り板70によって形成される排水路74とが設けられる。なお、上記仕切り板68と70との間隔は、上記蛇腹機構64を構成する蛇腹部材641の幅寸法L2より小さい値に設定されている。従って、仕切り板68、70は、横断面形状が逆チャッネル形状の蛇腹部材641によって包囲される。後述するように排水路72、74には加工水とともに切断屑が飛散するが、この加工水および切断屑をチャックテーブル36の往動方向に見て下流側に流動せしめるために、仕切り板68はチャックテーブル36の往動方向44に見て下流に向かって僅かに下方に傾斜せしめられていることが望ましい。加えて、チャックテーブル36の往動方向に見て下流側に指向された、水でよい液体流を生成せしめる液体噴射手段(図示していない)を配設することができる。図示の実施形態においては、上記仕切り板68、70の下流側端面には、両者間を連結する静止部材としての取付け板76が装着されている。この取付け板76に上記第2の蛇腹機構64を構成する蛇腹部材641に装着された連結部材645が締結ボルト78によって取り付けられる。
図3を参照して説明を続けると、上記仕切部材66の下流側端部、即ち第2の蛇腹機構64を構成する蛇腹部材641に装着された連結部材645bが取り付けられた静止部材としての取付け板76の下方には、切断屑収集手段80が配設されている。図示の実施形態における切断屑収集手段80は、切断屑搬送手段82と切断屑収集容器84とを含んでいる。切断屑搬送手段82は、仕切部材66の幅方向に延在せしめられている無端搬送ベルト機構から構成されており、駆動ローラ821と従動ローラ822、823およびこれらのローラに巻き掛けられた無端ベルト824を含んでいる。駆動ローラ821は電動モータ825の駆動軸に伝動連結されており、矢印826で示す方向に回転駆動され、これによって無端ベルト824が矢印827で示す方向に駆動せしめられる。合成ゴムの如き適宜の材料から形成することができる無端ベルト824には、多数の排水孔828が形成されていることが望ましい。切断屑収集容器84は、切断屑搬送手段82の下側に配設され、上面が開放された箱状に形成されている。この切断屑収集容器84の内部は、仕切り板841によって切断屑収容部842と排水収容部843に区画されている。切断屑収容部842を形成する底壁には排出開口842aが形成されており、この排出開口842aの直下にはゴミ箱87が配設される。排水収容部843を形成する底壁には排水口844が設けられており、この排水口844は図示しない排水ダクトに接続されている。図示の実施形態における切断屑収集手段80は、切断屑収集容器84の切断屑収容部842に配設され、上記無端ベルト824の下方走行部の下端部において無端ベルト804の表面に接触乃至近接するブラシ手段86を備えている。このブラシ手段86は、無端ベルト804によって搬送される切断屑を剥離する。
図1と共に図3乃至図7を参照して説明を続けると、切断域12におけるCSP基板16の切断に起因してチャックテーブル36の往動方向44に見てチャックテーブル36の下流側に飛散した切断屑および加工水は、第2の蛇腹機構64を構成する蛇腹部材641の上側を覆う複数の保護部材642の主保護部643上に落下する。従って、蛇腹部材641上に直接的に切断屑、特に比較的大きい切断屑90が落下せしめられることはない。また、主保護部643上に落下した切断屑90は、主保護部643の両脚辺643c、643d(両端縁辺)に補助保護部644a、644bが立設されているので、主保護部643の両端から蛇腹部材641の両側に落下することはない。チャックテーブル36が往動方向44に往動せしめられ、これに応じて複数の保護部材642が往動方向44に移動せしめられると、複数のプレート部材642の主保護部643上に飛散した切断屑90および加工水も複数の保護部材642とともに往動方向44に移動せしめられる。このとき、複数の保護部材642は移動部材であるチャックテーブル36側の縁辺部が蛇腹部材641の山部641aにそれぞれ接着剤によって装着されているので、保護部材642上に飛散した切断屑90は順次往動方向44に送り出す作用があり、切断屑90の移動が円滑に行われる。そして、切断屑90が最下流の保護部材642に達すると、加工水とともに切断屑搬送手段82の無端ベルト824上に落下せしめられる。無端ベルト824上に落下せしめられた切断屑は無端ベルト824の移動に付随して矢印827で示す方向に搬送され、無端ベルト824の方向変化部位において切断屑収集容器84の切断屑収容部842内に落下され、或いはブラシ手段86の作用によって無端ベルト824から離脱せしめられて切断屑収集容器84の切断屑収容部842内に導かれる。そして、切断屑収容部842内に導かれた切断屑は、排出開口842aを通してゴミ箱87に排出される。一方、無端ベルト824上の落下せしめられた加工水は、無端ベルト824に形成されている排水孔828を通って流下して、切断屑収集容器84の排水収容部843内に落下する。
以上、本発明に従って構成された蛇腹機構および蛇腹機構を装備した切断装置の好適実施形態について詳細に説明したが、本発明は実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲を逸脱することなく種々の変形乃至修正が可能であることは言うまでもない。例えば、図示の実施形態においては、チャックテーブルの両側に配設した蛇腹機構の一方に関して本発明に従って構成された蛇腹機構を適用した例を示したが、切断屑が双方の蛇腹機構に飛散する虞がある場合等においては、双方の蛇腹機構に関して本発明に従って構成された蛇腹機構を適用することもできる。また、本発明に従って構成された蛇腹機構は、切断装置に限らず他の加工装置に広く適用することが可能である。
本発明に従って構成された切削装置の全体を示す斜面図。 図1の切削装置によって切断されるCSP基板及びこれをチャックテーブルに装着するために使用される装着治具を示す分解斜面図。 図1の切削装置における蛇腹機構及びこれらの関連手段を示す部分斜面図。 図1の切削装置における蛇腹機構及びこれらの関連手段を示す分解斜面図。 図2および図3に示す蛇腹機構を構成する保護部材を拡大して示す斜視図。 図2および図3に示す蛇腹機構を構成する蛇腹部材が伸長した状態を示す要部拡大断面図。 図2および図3に示す蛇腹機構を構成する蛇腹部材が収縮した状態を示す要部拡大断面図。
符号の説明
2:切断装置
4:ハウジング
6:待機域
8:チャッキング域
10:アライメント域
12:切断域
14:洗浄・乾燥域
16:CSP基板
20:切断ストリート
22:CSP
24:耳部
26:装着治具
36:チャックテーブル
52:切断手段
56:回転切断刃
58:加工水供給手段
62:第1の蛇腹機構
621:蛇腹部材
621a:蛇腹部材の山部
621b:蛇腹部材の谷部
622a、622b:連結部材
64:第2の蛇腹機構
641:蛇腹部材
641a:蛇腹部材の山部
641b:蛇腹部材の谷部
642:保護部材
643:保護部材の主保護部
644a、644b:保護部材の補助保護部
645a、645b:連結部材
66:仕切部材
68、70:仕切り板
72、74:排水路
76:取付け板
80:切断屑収集手段
82:切断屑搬送手段
84:切断屑収集容器
90:比較的大きな切断屑

Claims (1)

  1. 往復動せしめられるチャックテーブルと、該チャックテーブル上に保持された被加工物を切断するための切断手段と、一端が該チャックテーブルに取り付けられ他端が静止部材に取り付けられた蛇腹機構と、を具備する切断装置において、
    該蛇腹機構は、シート部材によって複数の山部と谷部が交互に形成され伸縮自在に構成された蛇腹部材と、該蛇腹部材の複数の山部にそれぞれ装着され該蛇腹部材が伸長された状態において隣接する山部と山部との間隔より大きい幅を有する複数の保護部材とを具備し、
    該複数の保護部材は、台形に形成された主保護部と、該主保護部の両脚辺から立設された補助保護部とからなり、該主保護部の下底辺部が該蛇腹部材の山部に装着され、該主保護部の上底辺部が隣接する該主保護部の上面に摺動可能に重合せしめられている、
    ことを特徴とする切削装置。
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