JP4319849B2 - 切断装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、切断装置、特にそれに限定されるものではないが、複数個の半導体チップをマトリックス状に配設したチップサイズパッケージ基板を、所定のストリートに沿って切断するのに適する切断装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
半導体デバイス製造工程においては、略円板形状である半導体ウエーハの表面に格子状に配列された多数の領域にIC、LSI等の回路を形成し、該回路が形成された各領域を所定のストリートといわれる切断ラインに沿ってダイシングすることにより個々の半導体チップを製造している。このようにして分割された半導体チップは、パッケージングされて携帯電話やパソコン等の電気機器に広く利用されている。
【0003】
近年、携帯電話やパソコン等の電気機器はより軽量化、小型化が求められており、半導体チップのパッケージもチップサイズパッケージ(CSP)と称する小型化できるパッケージ技術が開発されている。CSP技術は、半導体チップの接続端子に対応した接続端子が複数形成されているとともに半導体チップ毎に区画するストリートが格子状に形成された配線基板に複数個の半導体チップをマトリックス状に配設し、半導体チップの裏面側から樹脂をモールディングした樹脂層によって配線基板と半導体チップを一体化することによりCSP基板を形成する。このCSP基板をストリートに沿って切断することにより、個々にパッケージされたチップサイズパッケージ(CSP)に分割する。
【0004】
上記CSP基板の切断は、一般にダイシング装置とよばれる精密切断装置によって施される。この切断装置は、往復動せしめられるチャックテーブルと、該チャックテーブル上に保持された被加工物を切断するための切断手段とを具備している。切断手段はダイヤモンド粒子を含有した円板形状の回転ブレードから構成されている。また、切断手段には純水でよい加工水を供給するための加工水供給手段が付設されている。チャックテーブルが往動及び/又は復動する際に、チャックテーブル上のCSP基板に回転ブレードが作用せしめられ、CSP基板の切断が遂行される。チャックテーブルを往復動せしめるための往復動機構は、往復動方向に延在する回転自在なねじ軸と、このねじ軸に螺合せしめられた雌ねじ部材とを含んでおり、チャックテーブルは雌ねじ部材に装着されている。ねじ軸及び雌ねじ部材は所謂精密機械要素であり、この機械要素に切断屑及び/又は加工水が付着することを防ぐ必要がある。回転ブレードの回転方向に起因して切断屑及び加工水は、主として、チャックテーブルの往復動方向に見て片側、例えばCSP基板に作用する部位がチャックテーブルの往動方向に移動する方向に回転ブレードが回転せしめられる場合にはチャックテーブルの往動方向に見て下流側、に飛散せしめられる。加工水の一部は霧となりチャックテーブルの往動方向に見て上流側にも飛散する。そこで、チャックテーブルの往復動方向に見て少なくとも片側、通常は両側、に蛇腹機構を配設してねじ軸等の精密機械要素を覆っている。チャックテーブルが往動又は復動する場合には、チャックテーブルの往動方向に見て下流側に配置された蛇腹機構は収縮され、上流側に配置された蛇腹機構は伸張される。チャックテーブルが復動する場合には、チャックテーブルの往動方向に見て上流側に配置された蛇腹機構は収縮され、下流側に配置された蛇腹機構は伸張される。
【0005】
上述した切断装置によってCSP基板を切断する場合、CSP基板の縁部にはCSPが形成されていない所謂耳部が存在し、この耳部が比較的大きな切断屑として、チャックテーブルの往復動方向に見て片側、例えばCSP基板に作用する部位がチャックテーブルの往動方向に移動する方向に回転ブレードが回転せしめられる場合にはチャックテーブルの往動方向に見て下流側、に配置されている蛇腹機構上に飛散せしめられる。蛇腹機構上に飛散した比較的大きな切断屑は、蛇腹機構の円滑な収縮及び伸張を阻害する傾向がある。蛇腹機構は、円滑に収縮及び伸張せしめられることが必要である故に、通常、布或いはその類似シート材料で形成されている。従って、蛇腹機構上に飛散した比較的大きな切断屑によって、蛇腹手段に穴等の損傷が生成される虞も少なくない。
【0006】
上記問題を解消するために、蛇腹機構の上面を覆う保護シートを配設し、この保護シートがチャックテーブルの往復動に付随して、従って蛇腹機構の収縮及び伸張に付随して適宜に巻き取り及び巻き出されるように構成した切断装置が提案されている。(例えば、特許文献1参照。)
【0007】
【特許文献1】
特開2002−239888号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
而して、上記公報に開示されたものは、蛇腹機構の上面を覆う保護シートに付着した切断屑を確実に取り除くことが困難である。
【0009】
本発明は上記事実に鑑みてなされたものであり、その主たる技術的課題は、蛇腹機構の上面を覆う保護シートに付着した切断屑を確実に取り除くことができる切断装置を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記主たる技術課題を解決するため、本発明によれば、往復動せしめられるチャックテーブルと、該チャックテーブル上に保持された被加工物を加工水を供給しつつ切断するための切断手段と、該チャックテーブルの移動方向に沿って配設された排水路を備えた排水手段と、片端が該チャックテーブルに取り付けられ他端が静止部材に取り付けられた蛇腹機構と、該蛇腹機構の上面を覆い片端が該チャックテーブルに取り付けられた保護シートと、該排水手段の前側に配設され該チャックテーブルの移動に伴って該保護シートを巻取り又は巻き出す巻取り手段と、該保護シートの上に落下し該保護シートによって搬送された切削屑を収集する切断屑収集手段と、を具備する切断装置において、
該切断屑収集手段は、加工水を収容する水槽を備えており、
該巻取り手段は、該保護シートの一部が該水槽内を通過するように構成されている、
ことを特徴とする切断装置が提供される。
【0011】
上記排水手段は、上記保護シートに飛散した切削屑が上記排水路に落下するのを防止するための切削屑落下防止手段を備えていることが望ましい。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に従って構成された切断装置の好適実施形態を図示している添付図面を参照して、更に詳細に説明する。
【0013】
図1は、本発明に従って構成された切断機の好適実施形態を図示している。全体を番号2で示す切断装置はハウジング4を具備しており、このハウジング4上には待機域6、チャッキング域8、アライメント域10、切断域12、洗浄及び乾燥域14が規定されている。切断すべき被加工物は適宜の搬入手段(図示していない)によって待機域6上に搬入せしめられる。
【0014】
図2には待機域6に搬入せしめられる被加工物の典型例を図示している。図示の被加工物はCSP基板16であり、このCSP基板16は矩形板状である合成樹脂製基板18を有する。合成樹脂製基板18上にはストリート20が格子状に配列されており、このストリート20によって複数個(図示の場合は32個)の矩形領域が区画されている。矩形領域の各々にはCSP22が配設されている。合成樹脂基板18の4周縁部にはCSPが形成されていない所謂耳部24が存在する。図示の実施形態においては、CSP基板16がそれ単独で待機域6に搬入されるのではなく、CSP基板16は装着治具26上に載置されて待機域6に搬入される。適宜の金属板から形成することができる装着治具26はCSP基板16よりも幾分大きい矩形板状である。装着治具26の上面中央部には溝28が格子状に配列されており、この溝28によって複数個(図示の場合は32個)の矩形領域30が区画されている。矩形領域30の各々はCSP基板16におけるCSP22の各々に対応せしめられており、平面図における矩形領域30の寸法はCSP22の寸法と実質上同一である。装着治具26の矩形領域30の各々には厚さ方向に貫通せしめられている吸引孔32が形成されている。装着治具26の裏面には全ての吸引孔32を接続している吸引溝(図示していない)が形成されている。CSP基板16は複数個のCSP22の各々を装着治具26の矩形領域30の各々に整合せしめて装着治具26上に載置される。そして、その上面にCSP基板16が載置された装着治具26が切断装置2の待機域6上に搬入される。
【0015】
再び図1を参照して説明を続けると、待機域6、チャッキング域8並びに洗浄及び乾燥域14に関連せしめて、第一の搬送手段34が配設されている。この第一の搬送手段34は、待機域6に搬入された装着治具26を吸引して、装着治具26とその上面に載置されているCSP基板16をチャッキング域8に搬送し、チャッキング域8に位置せしめられているチャックテーブル36上に載置する。図示の実施形態におけるチャックテーブル36は、装着治具26よりも幾分大きい矩形状の吸引盤38を有する。吸引盤38の中央部には矩形状の吸引開口40が形成されており、この吸引開口40には吸引管42の先端が開口せしめられている。チャックテーブル36の吸引盤38上に装着治具26が搬入されると、吸引管42が真空源(図示していない)に連通せしめられ、これによって吸引盤38上に装着治具26が真空吸引され、そしてまた装着治具26に形成されている吸引孔32の各々が真空源に連通せしめられる故に、CSP基板16(更に詳しくはそのCSP22の各々)が装着治具26に真空吸着される。
【0016】
チャックテーブル36は図1に矢印44及び46で示す方向に往復動自在に配設されており(チャックテーブル36の往復動については後に更に言及する)、そして更に実質上鉛直に延びる中心軸線を中心として回転自在に配設されている。チャッキング域8においてチャックテーブル36上に装着治具26が載置され真空吸着されると、チャックテーブル36が矢印44で示す方向に往動せしめられ、装着治具26上のCSP基板16がアライメント域10に位置付けられる。アライメント域10には顕微鏡等を備えた撮像手段48が配設されており、CSP基板16の表面が撮像手段48によって撮像される。そして撮像された画像を解析することによって、CSP基板16の配置状態、更に詳しくはCSP基板16上のストリート20の各々の位置、即ちチャックテーブル36の往復動方向44及び46であるX方向及びこれに垂直なY方向の位置、が認識されると共に、チャックテーブル36の往復動方向44及び46に対するストリート20の傾斜が認識される。撮像手段48によって撮像される画像はハウジング4上に配設されているモニター50にも表示される。
【0017】
次いで、チャックテーブル36が切断域12に移動せしめられ、CSP基板16の切断が遂行される。切断域12に関連せしめて切断手段52が配設されている。図示の実施形態における切断手段52は、実質上水平に延びる回転軸54の先端部に固定された回転ブレード56から構成されている。回転ブレード56はダイヤモンド粒子を含有した薄肉円板形状の切断刃でよい。切断手段52には、純水の如き加工水を供給するための加工水供給手段58も付設されている。CSP基板16の切断は、次のとおりにして遂行される。最初に、CSP基板16における第1の方向に延びる複数個のストリート20の延在方向がチャックテーブル36の往復動方向44(X方向)及び46に精密に平行に設定され、そして複数本のストリート20の特定の1個のY方向位置が回転切断刃56のY方向位置に精密に整合せしめられる。この位置合わせの際には、撮像手段48によって撮像されたCSP基板16の表面の画像の解析結果が利用される。しかる後に、所定高さに位置せしめられている回転ブレード56が矢印60で示す方向(即ち、回転ブレード56のCSP基板16に作用する下端部がチャックテーブル36の往動方向44に移動する方向)に回転せしめられると共に、チャックテーブ36が矢印44で示す方向に往動せしめられ、回転ブレード56の作用によってCSP基板16が特定の切断ストリート20に沿って切断される(回転ブレード56によるCSP基板16の切断については後に更に言及する)。CSP基板16を切断する回転ブレード56の、CSP基板16の下面を越えて下方に突出する部分は、装着治具26の上面に配設されている溝28内に位置せしめられる。回転ブレード56によってCSP基板16が切断される際には、加工水供給手段58が加工水を供給する。1個の切断ストリート20に沿った切断が終了すると、回転ブレード56が固定されている回転軸54が非作用位置まで上昇せしめられ、チャックテーブル36が所要位置まで矢印46で示す方向に復動せしめられる。そして、回転ブレード56及び回転軸54が割り出し方向である矢印Yで示す方向に所定量割り出し送りされると共に回転ブレード56及び回転軸54が所定位置まで下降せしめられる。しかる後に、チャックテーブル36が再び往動せしめられ、次のストリート20に沿ってCSP基板16が切断される。このようにして第1の方向に延びる複数個のストリート20に沿ってCSP基板16が切断せしめられると、チャックテーブル36が90度の角度範囲に渡って回転せしめられ、それまで第2の方向と直角な第2の方向に延在していた複数個のストリート20がX方向に延在する状態に位置付けられる。そして、第2の方向に延在する複数個のストリート20の各々に沿ったCSP基板16の切断が遂行される。
【0018】
切断域12においてCSP基板16が所要とおりに切断された後には、チャックテーブル36はチャッキング域8に戻される。チャッキング域8並びに洗浄及び乾燥域14に関連せしめて第二の搬送手段61が配設されている。第二の搬送手段61はチャックテーブル36上の装着治具26を吸引保持して、装着治具26及びその上に載置されている既にストリート20に沿って切断されたCSP基板16を洗浄及び乾燥域14に搬送し、洗浄及び乾燥域14に配置されているチャック手段(図示していない)上に載置する。そして、洗浄及び乾燥域14に配設されている洗浄及び乾燥手段(図示していない)によって、装着治具26及びその上に存在する切断されたCSP基板16が洗浄され乾燥される。しかる後に、上記第一の搬送手段34によって装着治具26及びその上に存在する切断されたCSP基板16が待機域6に搬送される。そして、装着治具26及びその上の切断されたCSP基板16は、適宜の搬出手段(図示していない)によって、例えば個々に切断されたCSP22を装着治具26上から収容ケースに移送するための移送装置(図示していない)に搬送される。
【0019】
図1を参照して説明を続けると、図示の実施形態においては、チャックテーブル36は図1に示すアライメント域10の上流側に位置する片端位置と切断域12における切断手段52の下流側に位置する他端位置との間を矢印44及び46で示す方向に往復動自在に配設されている。そして、チャックテーブル36にはこれを往復動せしめるための往復動機構(図示していない)が配設されている。それ自体は周知の形態でよい往復動機構は、チャックテーブル36の下方に回転自在に装着されたねじ軸を含んでいる。このねじ軸はチャックテーブル36の往復動方向44及び46に延在している。チャックテーブル36には雌ねじ部材が固定され、かかる雌めじ部材がねじ軸に螺合せしめられている。従って、ねじ軸の正転に応じてチャックテーブル36がねじ軸に沿って矢印44で示す方向に往動され、ねじ軸の逆転に応じてチャックテーブル36がねじ軸に沿って矢印46で示す方向に復動せしめられる。このような往復動機構におけるねじ軸及び雌ねじ部材は精密機械要素であり、切断域12において生成される切断屑、切断域12において供給される加工水からから防護することが必要である。
【0020】
図1と共に図3乃至図5を参照して説明すると、図示の実施形態においては、チャックテーブル36の往復動方向に見てチャックテーブル36の両側に蛇腹機構62及び64が配設されており、往復動機構におけるねじ軸及び雌ねじ部材の如き精密機械要素はチャクテーブル36自体と共にその両側に配設された第1の蛇腹機構62及び第2の蛇腹機構64によって覆われている。第1の蛇腹機構62は、布の如き折り畳み可能なシート部材によって複数の山部と谷部が交互に形成され伸縮自在に構成された蛇腹部材621と、該蛇腹部材621の両端にそれぞれ装着され金属板から形成することができる連結部材622、623とからなっている。このように構成された蛇腹部材621は、連結部材622がチャックテーブル36が上記片端位置に位置付けられている時にその上流側に位置する静止部材(図示していない)に連結され、連結部材623がチャックテーブル36の上流側面に連結されている。蛇腹部材621および連結部材622、623とによって構成された第1の蛇腹機構62は、逆チャッネル形状の横断面形状を有する。このように構成された第1の蛇腹機構62の蛇腹部材621は、チャックテーブル36が上記片端位置から上記他端位置に向けて矢印44で示す方向に往動せしめられる際には、チャックテーブル36の往動に応じて漸次伸張せしめられ、チャックテーブル36が上記他端位置から上記片端位置に向けて復動せしめられる際には漸次収縮せしめられる。
【0021】
次に、第2の蛇腹機構64について、図4を参照して説明する。
第2の蛇腹機構64も上記第1の蛇腹機構62と同様に、蛇腹部材641と、該蛇腹部材641の両端にそれぞれ装着され金属板から形成することができる連結部材642、643とからなっている。蛇腹部材641は、上記第1の蛇腹機構62の蛇腹部材621と同様に布の如き折り畳み可能なシート部材によって複数の山部と谷部が交互に形成され伸縮自在に構成され、逆チャッネル形状の横断面形状を有している。このように構成された第2の蛇腹機構64の蛇腹部材641の一端即ちチャックテーブル36側の端部に装着された連結部材642は、チャックテーブル36の下流側面に連結されている。また、蛇腹部材641の他端即ちチャックテーブル36側と反対側の端部に装着された連結部材643は、後述する静止部材に取り付けられている。従って、第2の蛇腹機構64を構成する蛇腹部材641は、チャックテーブル36が上記片端位置から上記他端位置に向けて矢印44で示す方向に往動せしめられる際にはチャックテーブル36の往動に応じて漸次収縮せしめられ、チャックテーブル36が上記他端位置から上記片端位置に向けて復動せしめられる際には漸次伸張せしめられる。
【0022】
図3乃至図5を参照して説明を続けると、上記チャックテーブル36及び第1の蛇腹機構62、第2の蛇腹機構64の両側方には、チャックテーブル36の移動方向に沿って排水手段66が配設されている。この排水手段66は、仕切部材67と仕切り板681、682とからなっている。仕切部材67は、底壁671とその両側縁から上方に延びる両側壁672、673を有しており、底壁671にはチャックテーブル36を往復動可能に支持する支持機構(図示していない)の移動を許容する切欠671aが形成されている。仕切り板681、682は、仕切部材67の底壁671の上面に図4に示されているように両側壁672、673とそれぞれ平行に装着されている。従って、仕切部材67の底壁671上には、側壁672と仕切り板681によって形成される排水路661と、側壁673と仕切り板682によって形成される排水路662とが形成される。なお、上記仕切り板681と682との間隔は、上記蛇腹機構64を構成する蛇腹部材641の幅寸法L1より小さい値に設定されている。従って、仕切り板681、682は、横断面形状が逆チャッネル形状の蛇腹部材641によって包囲される。後述するように排水路661、662には加工水が飛散するが、この加工水をチャックテーブル36の往動方向44に見て下流側に流動せしめるために、仕切部材67はチャックテーブル36の往動方向44に見て下流に向かって若干下方に傾斜せしめられていることが望ましい。なお、底壁671の下流側端部には排水口671b、671bが設けられている。図示の実施形態においては、上記仕切り板681、682の下流側端面には、両者間を連結する静止部材としての取付け板683が装着されている。この取付け板683に上記第2の蛇腹機構64を構成する蛇腹部材641に装着された連結部材645が締結ボルト69によって取り付けられる。
【0023】
図示の実施形態にける排水手段66は、後述する保護シートに飛散した切削屑が上記排水路661、662に落下するのを防止するための切削屑落下防止手段70を備えている。この切削屑落下防止手段70は、上記仕切部材67の両側壁672、673にそれぞれ配設された遮蔽部材71、72とからなっている。遮蔽部材71、72は、それぞれ仕切部材67の両側壁672、673の上端部に嵌合する嵌合溝711a、721aを備えた装着部711、721と、該装着部711、721の上端から互いに内側に水平に延びるカバー部712、722と、該カバー部712、722の内縁から斜め下方に延びる切削屑規制部713、723とからなっており、それぞれ適宜の合成樹脂によって一体成形されている。このように形成された遮蔽部材71、72は、図3及び図5に示すように装着部711、721の嵌合溝711a、721aを仕切部材67の両側壁672、673の上端部に嵌合することによって仕切部材67に装着される。
【0024】
図3及び図6を参照して説明すると、図示の実施形態においては、第2の蛇腹機構64の蛇腹部材641を比較的大きな切削屑を含む切削屑から保護するために、第2の蛇腹機構64の上面を覆う保護シート75が配設されている。保護シート75の片端には連結部材76が固定されており、この連結部材76がチャックテーブル36の上面片縁部に適宜の固着手段によって取り付けられている。なお、保護シート75は、ポリエステルシート或いはポリエチレンテレフタレートシートの如き可撓性を有する適宜の合成樹脂シートから形成することができる。また、連結部材76も可撓性を有する適宜の合成樹脂によって形成されている。なお、保護シート75の幅寸法L2は、上記蛇腹機構64を構成する蛇腹部材641の幅寸法L1より大きく形成されている。
【0025】
上記のように構成された保護シート75は、図3及び図6に示すようにその両側部が上記切削屑落下防止手段70の遮蔽部材71、72を構成する切削屑規制部713、723の下側に沿って配設される。図示の実施形態における切断装置は、上記排水手段66の前側に配設され該チャックテーブルの移動に伴って該保護シートを巻取り又は巻き出す巻取り手段80を備えている。図示の実施形態における巻取り手段80は、上記排水手段66を構成する仕切部材67の前端に装着される支持プレート81を具備している、この支持プレート81の前面には所定の間隔を置いて一対の支持ブラケット82、83が適宜の固着手段によって装着されている。一対の支持ブラケット82、83には、保護シート75の他端部を取り付け該保護シート75を巻取り及び巻き出すための巻取りロール84が回転自在に支持されている。一対の支持ブラケット82、83の前上端部には、それぞれ内側に突出して支持ローラ85、86が装着されている。この支持ローラ85、86は、それぞれ内側にいくに従って下方に向けて傾斜して配設されている。また、一対の支持ブラケット82、83の前下端部には、案内ロール87が回転自在に支持されている。
【0026】
以上のように構成された巻取り手段80の巻取りロール84に上記保護シート75の他端部が取り付けられる。即ち、保護シート75は、支持ローラ85、86の上側を通して下方に下がり案内ロール87を通して反転し、他端部が巻取りロール84に取り付けられる。なお、巻取りロール84は、保護シート75を巻き取る方向に作用するコイルバネが内蔵されている。即ち、チャックテーブル36が図3において矢印44で示す方向に往動する際には、保護シート75の片端はチャックテーブル36の往動に付随して矢印44で示す方向に移動せしめられ、かかる移動に応じて保護シート75は巻取りロール84に漸次巻き取られる。一方、チャックテーブル36が図3において矢印46で示す方向に往動する際には、保護シート75の片端はチャックテーブル36の往動に付随して矢印46で示す方向に移動せしめられ、かかる移動に応じて保護シート75は巻取りロール84から漸次巻き出される。このように保護シート75が巻き取り或いは巻き出される際に、上記支持ローラ85、86および案内ロール87は保護シート75の移動を案内する。なお、支持ローラ85、86がそれぞれ内側にいくに従って下方に向けて傾斜して配設されているのは、第2の蛇腹機構64の上側に位置する保護シート75が図5に示すように巻き癖と自重及び加工水の重量によって中央部が下方に湾曲するため、この形状を維持するためである。
【0027】
図3を参照して説明を続けると、上記排水手段66を構成する仕切部材67の下流側端部の下方には、切断屑収集手段90が配設されている。図示の実施形態における切断屑収集手段90は、保護シート75の一部が通過せしめられる水槽91と、切断屑搬送手段92と、切断屑収集容器93とを含んでいる。水槽91は上面が開放された箱状に形成されており、その前壁911の上部にはドレーンホース912が接続されている。このように構成され水槽91は、排水手段66を構成する仕切部材67の下流側端部の下方に配置される。この水槽91内には上記排水路661、662に設けられた排水口671bから排水された加工水が収容され、巻取り手段80を構成する案内ロール87および保護シート75の一部が水没するようになっている。
【0028】
上記切断屑搬送手段92は、排水手段66の幅方向に延在せしめられている無端搬送ベルト機構から構成されており、駆動ローラ921と従動ローラ922、と転動ローラ923、924及びこれらのローラに巻き掛けられた無端ベルト925を含んでいる。駆動ローラ921は電動モータ926の駆動軸に伝動連結されており、矢印927で示す方向に回転駆動され、これによって無端ベルト825が矢印927で示す方向に駆動せしめられる。合成ゴムの如き適宜の材料から形成することができる無端ベルト925には、多数の排水孔925aが形成されていることが望ましい。このように構成された切断屑搬送手段92は、従動ローラ922及び転動ローラ924側が水槽91内において巻取り手段80を構成する案内ロール87の下側に配置され、駆動ローラ921側が水槽91より上側において側方に突出して配置される。そして、この水槽91より側方に突出して配置された切断屑搬送手段92の下方に切断屑収集容器93が配置される。
【0029】
図1と共に主に図3を参照して説明を続けると、切断域12におけるCSP基板16の切断に起因してチャックテーブル36の往動方向44に見てチャックテーブル36の下流側に飛散した切断屑95及び加工水は、蛇腹機構64の上方を覆う保護シート75上に落下する。従って、蛇腹部材641上に直接的に切断屑95が落下せしめられることはない。このため、切断屑95による蛇腹部材641の破損が防止される。なお、保護シート75上に落下した加工水は、その一部が保護シート75と切削屑落下防止手段70の遮蔽部材71、72を構成する遮蔽部713、723との隙間から排水路661、662に落下し、チャックテーブル36の往動方向44に見て下流に向かって流動する。そして、加工水は仕切部材67を形成する底壁671の下流側端部に設けられた排水口671b、671bから水槽91内に流下する。一方、保護シート75上に落下した切断屑95は、切削屑落下防止手段70の遮蔽部材71、72を構成する切削屑規制部713、723によって排水路661、662側への移動が規制される。従って、排水路661、662への切断屑95の落下を防止することができる。
【0030】
上述したように切断屑95及び加工水を上面に保持した保護シート75は、チャックテーブル36が往動方向44に往動せしめられると、これに応じて片端が往動方向44に移動せしめられる。保護シート75の片端が往動方向44に移動すると、保護シート75は巻取り手段80の巻取りロール84に巻き取られるため、保護シート75上に保持された切断屑95及び加工水は保護シート75と共に往動方向44に移動移動し、支持ローラ85、86を越えると水槽91内に落下する。このとき、保護シート75に付着して落下しない切断屑は、保護シート75が更に巻取りロール84に巻き取られることにより水槽91内を通過し水没するため、確実に除去される。このようにして水槽91内に落とされた切断屑95は、切断屑搬送手段92の無端ベルト925上に落下せしめられる。無端ベルト925上に落下せしめられた切断屑95は無端ベルト925の移動に付随して矢印927で示す方向に搬送され、無端ベルト925の方向変化部位において切断屑収集容器93内に落下される。
【0031】
以上、本発明を図示の実施形態に基づいて説明したが、本発明は実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲を逸脱することなく種々の変形乃至修正が可能であることは言うまでもない。例えば、図示の実施形態においては、チャックテーブルの両側に配設した蛇腹機構の一方に関して本発明を適用した例を示したが、切断屑が双方の蛇腹機構に飛散する虞がある場合等においては、双方の蛇腹機構に関して本発明を適用してもよい。
【0032】
【発明の効果】
本発明による切断装置は以上のように構成されているので、蛇腹機構の上面を覆う保護シートに付着している切断屑は保護シートが巻取りロールに巻き取られることにより水槽内を通過し水没するするため、確実に除去される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に従って構成された切断装置の全体を示す斜面図。
【図2】図1の切断装置によって切断されるCSP基板及びこれをチャックテーブルに装着するために使用される装着治具を示す分解斜面図。
【図3】図1の切断装置における蛇腹機構及びこれらの関連手段を示す部分斜面図。
【図4】図1の切断装置における蛇腹機構及びこれらの関連手段を示す分解斜面図。
【図5】図3におけるA−A線断面図。
【図6】図1の切断装置における保護シートおよび巻取り手段を示す斜視図。
【符号の説明】
2:切断装置
4:ハウジング
6:待機域
8:チャッキング域
10:アライメント域
12:切断域
14:洗浄及び乾燥域
16:CSP基板
20:切断ストリート
22:CSP
24:耳部
26:装着治具
36:チャックテーブル
52:切断手段
56:回転ブレード
58:加工水供給手段
62:第1の蛇腹機構
621:蛇腹部材
622、623:連結部材
64:第2の蛇腹機構
641:蛇腹部材
644、645:連結部材
66:排水手段
661、662:排水路
70:切削屑落下防止手段
71、72:遮蔽部材
75:保護シート
80:巻取り手段
81:支持プレート
82、83:支持ブラケット
84:巻取りロール
85、86:支持ローラ
87:案内ロール
90:切断屑収集手段
91:水槽
92:切断屑搬送手段
93:切断屑収集容器
Claims (2)
- 往復動せしめられるチャックテーブルと、該チャックテーブル上に保持された被加工物を加工水を供給しつつ切断するための切断手段と、該チャックテーブルの移動方向に沿って配設された排水路を備えた排水手段と、片端が該チャックテーブルに取り付けられ他端が静止部材に取り付けられた蛇腹機構と、該蛇腹機構の上面を覆い片端が該チャックテーブルに取り付けられた保護シートと、該排水手段の前側に配設され該チャックテーブルの移動に伴って該保護シートを巻取り又は巻き出す巻取り手段と、該保護シートの上に落下し該保護シートによって搬送された切削屑を収集する切断屑収集手段と、を具備する切断装置において、
該切断屑収集手段は、加工水を収容する水槽を備えており、
該巻取り手段は、該保護シートの一部が該水槽内を通過するように構成されている、
ことを特徴とする切断装置。 - 該排水手段は、該保護シートに飛散した切削屑が該排水路に落下するのを防止するための切削屑落下防止手段を備えている、請求項1記載の切断装置。
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