以下、本発明に従って構成された搬送装置の実施形態について図面を参照しつつ説明する。
図1に示す加工装置2は、カセットテーブル4と、カセットテーブル4に隣接して配置された第一の基台6と、カセットテーブル4の反対側において第一の基台6に隣接して配置された第二の基台7とを備える。カセットテーブル4には、板状の被加工物を上下方向に所定間隔をおいて複数収容するカセット8が載置されている。図2には、カセット8に収容される被加工物としてのFOWLPと称される大型の矩形状の基板10(たとえば600mm×700mm)が示されている。図2において一部を拡大して示す基板10の表面10aは、格子状の分割予定ライン12によって複数の矩形領域に区画され、複数の矩形領域のそれぞれにはデバイス14が配設され樹脂によって封止されている。
図1、図3及び図4を参照して説明する。図1に示すとおり、基台6には、カセットテーブル4に載置されたカセット8から被加工物を引き出すと共に引き出した被加工物を仮置き可能な仮置き手段16と、図1に矢印R1で示す第一の経路R1に沿って仮置き手段16を移動させる第一の移動手段18とが配置されている。図3に示すとおり、仮置き手段16は、被加工物が仮置きされる仮置きテーブル20と、仮置きテーブル20の表面に進退自在に装着された一対のフォーク22とを備える。フォーク22の上面には複数の吸引孔22aが形成され、各吸引孔22aは流路によって吸引手段(図示していない。)に接続されている。フォーク22を進退させる駆動機構(図示していない。)は、たとえば、仮置きテーブル20に内蔵されたローラーと、ローラーに巻き掛けられた無端ベルトと、ローラーを回転させるモータとから構成され得る。この駆動機構によってフォーク22は、図3(a)に示す後退位置と、図3(b)に示す前進位置との間を第一の経路R1の方向に進退される。そして、仮置き手段16においては、カセット8の近傍でフォーク22を前進位置に位置づけ、次いで吸引手段によってフォーク22の上面に吸引力を生成することにより、カセット8に収容された被加工物の下面をフォーク22の上面に吸着することができ、次いでフォーク22を後退位置に位置づけることにより、カセット8から被加工物を第一の経路R1に引き出すと共に仮置きテーブル20に仮置きすることができる。また、仮置き手段16の仮置きテーブル20の裏面には、図4に示すとおりの、個々のチップに分割された被加工物を保持する吸引パッド24が配設されている。矩形状の吸引パッド24の下面には複数の吸引孔24aが形成され、各吸引孔24aは流路によって吸引手段(図示していない。)に接続されている。図示の実施形態では、複数の吸引孔24aの配置及び数量は、基板10に形成されたデバイス14の配置及び数量に対応している。このため吸引パッド24は、吸引手段によって吸引パッド24の下面に吸引力を生成することにより、基板10がチップに分割された後に分割前の基板10の形状を保ちつつ各チップを吸着して保持することができる。
図1及び図3を参照して説明する。図1に示すとおり、仮置き手段16を第一の経路R1に沿って移動させる第一の移動手段18は、第一の基台6及び第二の基台7を跨って配置された門型の支持フレーム26を含む。図3を参照して説明すると、支持フレーム26は、第一の経路R1の方向に間隔をおいて第一の基台6の上面及び第二の基台7の上面から上方に延びる一対の支柱28と、支柱28の上端間に架け渡された梁30とを有する。梁30には、第一の経路R1の方向に進退自在に可動片32が装着されていると共に、第一の経路R1の方向に可動片32を進退させる駆動機構34が装着されている。可動片32は、第一の経路R1の方向に進退自在に梁30の上面に支持された矩形状の被支持部36と、被支持部36の片端部から垂下する矩形状の装着部38とを有する。駆動機構34は、梁30の上面において第一の経路R1の方向に延びるボールねじ40と、ボールねじ40の片端部に連結されたモータ42とを有する。駆動機構34のボールねじ40は可動片32の被支持部36に連結されている。そして、駆動機構34のモータ42が駆動することにより、梁30の上面に付設された案内レール30aに沿って可動片32が第一の経路R1の方向に進退される。可動片32の装着部38の片側の側面(図3において手前側の側面)には、所定間隔をおいて上下方向に延びる一対の案内レール38aが付設され、案内レール38aには仮置き手段16の仮置きテーブル20が昇降自在に装着されている。また、可動片32の装着部38には、仮置きテーブル20を昇降させる昇降機構44が装着されている。昇降機構44は、装着部38の案内レール38a間において上下方向に延びるボールねじ46と、ボールねじ46の上端部に連結されたモータ48とを有する。昇降機構44のボールねじ46は仮置きテーブル20に連結されている。そして、昇降機構44のモータ48が駆動することにより、装着部38の案内レール38aに沿って仮置きテーブル20が昇降される。また、可動片32の装着部38に仮置き手段16の仮置きテーブル20が装着されているから、第一の経路R1の方向における可動片32の進退に伴って第一の経路R1に沿って仮置き手段16が進退される。
図1及び図5を参照して説明する。図1に示すとおり、第一の基台6の上方には、仮置き手段16のフォーク22によって引き出され仮置き手段16の仮置きテーブル20に仮置きされた被加工物を保持し上昇させ、仮置き手段16の仮置きテーブル20から被加工物を離脱させる被加工物離脱手段50が配置されている。図5に示すとおり、被加工物離脱手段50は、被加工物を保持する保持部52と、保持部52を昇降させるエアシリンダ54とを含む。保持部52は、エアシリンダ54の下端に連結された矩形状の保持プレート56と、保持プレート56の下面の周縁に間隔をおいて付設された複数の中空の吸着片58とを有する。下端に開口(図示していない。)が形成されている各吸着片58は流路によって吸引手段(図示していない。)に接続されている。そして、被加工物離脱手段50においては、吸引手段によって吸着片58に吸引力を生成することにより、仮置き手段16のフォーク22によって引き出され仮置き手段16の仮置きテーブル20に仮置きされた被加工物を吸着片58によって保持することができると共に、エアシリンダ54で保持部52を上昇させることにより吸着片58で保持した被加工物を上昇させて仮置き手段16の仮置きテーブル20から離脱させることができる。
図2を参照して説明する。第一の基台6の上面には、第一の経路R1と直交する第二の経路R2(図2に矢印R2で示す。)に沿って移動自在、かつ上下方向に延びる軸線を中心として回転自在に矩形状のチャックテーブル60が配置されている。被加工物に切削加工に施す際に被加工物を保持するチャックテーブル60の上面には、図2において一部を拡大して示すとおり、後述する切削手段76の切削ブレード100を逃がす逃がし溝62が格子状に形成されていると共に、逃がし溝62により区画された複数の矩形領域のそれぞれに吸引孔64が形成されている。各吸引孔64は、流路によって吸引手段(図示していない。)に接続されている。図示の実施形態では、逃がし溝62の配置及び数量は基板10の分割予定ライン12の配置及び数量に対応していると共に、吸引孔64の配置及び数量は基板10のデバイス14の配置及び数量に対応している。このためチャックテーブル60は、吸引手段によってチャックテーブル60の上面に吸引力を生成して基板10を吸着すると、分割予定ライン12に沿って切削加工が施されて基板10がチップに分割された後においても基板10の形状を保ちつつ各チップを吸着して保持することができる。
図2に示すとおり、第二の経路R2においてチャックテーブル60の片側及び他側は伸縮自在な蛇腹状カバー66で覆われている。この蛇腹状カバー66の内部には、チャックテーブル60を第二の経路R2に沿って移動させる第二の移動手段(図示していない。)が配置されている。第二の移動手段は、たとえば、蛇腹状カバー66の内部において第二の経路R2に沿って延びるボールねじと、このボールねじの片端部に連結されたモータとを含む構成でよい。そして、第二の移動手段のボールねじがチャックテーブル60の下部に連結され、第二の移動手段のモータが駆動することにより、蛇腹状カバー66の内部に付設された案内レール(図示していない。)に沿ってチャックテーブル60が第二の経路R2を進退する構成とすることができる。また、上下方向に延びる軸線を中心としてチャックテーブル60を回転させる回転手段は、チャックテーブル60の下方に配置されたモータ(図示していない。)から構成することができる。
図1、図2及び図6を参照して説明する。図1に示すとおり、第一の基台6には被加工物離脱手段50から第二の経路R2の方向に離間して、チャックテーブル60に保持された被加工物に切削加工を施すための切削機構68が配設されている。図2に示すとおり、切削機構68は、第二の経路R2を跨って配置された門型の支持フレーム70を含む。支持フレーム70は、第一の経路R1の方向に間隔をおいて第一の基台6の上面から上方に延びる一対の支柱72と、支柱72の上端間に架け渡された梁74とを有する。梁74の片側の側面(図2において背面側の側面)には一対の切削手段76が配設されている。図6に示すとおり、切削手段76は、第一の経路R1の方向に進退自在に梁74の片側の側面に支持される矩形状の割り出し送り片78と、割り出し送り片78を第一の経路R1の方向に進退させる割り出し送り機構80と、割り出し送り片78に昇降自在に支持された断面L字状の切り込み送り片82と、切り込み送り片82を昇降させる切り込み送り機構84と、切り込み送り片82の下端に固定されたスピンドルユニット86とを含む。
図6を参照して説明を続けると、割り出し送り片78の片側の側面(図6において手前側の側面)には、上下方向に間隔をおいて第一の経路R1の方向に延びる一対の被案内溝78aが形成され、この被案内溝78aは、梁74の片側の側面において上下方向に間隔をおいて第一の経路R1の方向に延びる一対の案内レール(図示していない。)に摺動自在に連結される。割り出し送り機構80は、梁74の片側の側面において第一の経路R1の方向に延びるボールねじ88と、ボールねじ88の片端部に連結されたモータ90とを有する。割り出し送り機構80のボールねじ88は割り出し送り片78に連結されている。そして、割り出し送り機構80のモータ90が駆動することにより、梁74の片側の側面に付設された案内レールに沿って割り出し送り片78が第一の経路R1の方向に進退される。
切削手段76の切り込み送り片82は、割り出し送り片78の他側の側面(図6において背面側の側面)に昇降自在に支持された矩形状の被支持部92と、被支持部92の下端から第二の経路R2の方向に突出する矩形状の装着部94とを有する。切り込み送り機構84は、割り出し送り片78の他側の側面において上下方向に延びるボールねじ(図示していない。)と、このボールねじの片端部に連結されたモータ96とを有する。切り込み送り機構84のボールねじは切り込み送り片82の被支持部92に連結されている。そして、切り込み送り機構84のモータ96が駆動することにより、割り出し送り片78他側の側面に付設された案内レール(図示していない。)に沿って切り込み送り片82が昇降される。
切削手段76のスピンドルユニット86は、切り込み送り片82の装着部94の下面に装着されたスピンドルハウジング98と、第一の経路R1の方向に延びる軸線を中心として回転可能にスピンドルハウジング98に装着されたスピンドル(図示していない。)と、第一の経路R1の方向に延びる軸線を中心としてスピンドルを回転させるモータ(図示していない。)と、スピンドルの片端部に固定された切削ブレード100と、切削ブレード100を挟んで両側に配設された切削水供給ノズル101とを有する。被加工物を分割するための切削ブレード100は、スピンドルと共に回転可能にスピンドルユニット86に装着されている。切削ブレード100で被加工物を分割(切削)する際に切削水を供給するための供給ノズル101は、流路によって切削水供給手段(図示していない。)に接続されている。なお、図示の実施形態では図6に示すとおり、一対の切削手段76は、切削ブレード100が互いに対面して配置されている。
図2を参照して説明する。切削機構68の支持フレーム70の梁74の他側の側面(図2において手前側)には、チャックテーブル60に保持された被加工物を撮像する撮像手段102が第一の経路R1の方向に進退自在に装着されていると共に、第一の経路R1の方向に撮像手段102を進退させる駆動機構104が装着されている。駆動機構104は、梁74の他側の側面において第一の経路R1の方向に延びるボールねじ106と、ボールねじ106の片端部に連結されたモータ108とを有する。駆動機構104のボールねじ106は撮像手段102に連結されている。そして、駆動機構104のモータ108が駆動することにより、梁74の他側の側面に付設された案内レール74aに沿って撮像手段102が第一の経路R1の方向に進退される。
図2に示すとおり、切削機構68の支持フレーム70には、チャックテーブル60に保持された被加工物を切削することで発生する切削屑を被加工物の上面から除去し洗浄する上面洗浄手段110が配設されている。上面洗浄手段110は、一方の支柱72の上下方向中間部から他方の支柱72の上下方向中間部まで延びており、第二の経路R2に跨って配設されている。中空部材から形成され得る上面洗浄手段110は、第一の経路R1の方向に間隔をおいて下面に複数の噴射孔(図示していない。)が形成され、各噴射孔は流路によって洗浄液供給手段(図示していない。)に接続されている。そして、上面洗浄手段110においては、洗浄液供給手段から供給された洗浄液を各噴射孔から噴射するので、チャックテーブル60に保持された被加工物を切削することで発生する切削屑を被加工物の上面から除去し洗浄することができる。
図1及び図2に示すとおり、第一の基台6の上面における第一の経路R1には、個々のチップに分割された被加工物の上面を仮置き手段16の吸引パッド24が保持しつつ第一の経路R1を移動している際に、被加工物の下面に付着した切削屑を除去し洗浄する下面洗浄手段112が配設されている。図2に示すとおり、下面洗浄手段112は、第一の経路R1に沿って順に配置されたブラシ114、噴射手段116及びローラー118を有する。ブラシ114は第二の経路R2の方向に沿って整列している。第二の経路R2の方向に延びる中空部材から形成され得る噴射手段116は、第二の経路R2の方向に間隔をおいて上面に複数の噴射孔116aが形成され、各噴射孔116aは流路によって洗浄液供給手段(図示していない。)に接続されている。また、第二の経路R2の方向に延びる軸線を中心として回転自在に構成されているローラー118は、少なくとも外周面がウレタン等の適宜の合成樹脂材料から形成されている。そして、下面洗浄手段112においては、個々のチップに分割された被加工物の上面を仮置き手段16の吸引パッド24が保持しつつ第一の経路R1を移動している際に、ブラシ114が被加工物の下面に接触すると共に、洗浄液供給手段から供給された洗浄液を噴射手段116の各噴射孔116aから被加工物の下面に向かって噴射するので、被加工物の下面に付着した切削屑を除去し洗浄することができ、また、ローラー118が被加工物の下面に接触して被加工物の下面から洗浄液を除去することができる。なお、加工装置2では、上述のとおり、被加工物を切削することで発生する切削屑を被加工物の上面から上面洗浄手段110によって除去し洗浄することができるところ、切削加工の際にはチャックテーブル60の上面に吸引力を生成して被加工物を保持しているため、切削加工の際に発生した切削屑がチャックテーブル60の上面に生成した吸引力によって被加工物の下面側に移動して被加工物の下面に切削屑が付着してしまう場合がある。しかし加工装置2では、上面洗浄手段110で上面を洗浄した被加工物の下面に切削屑が残留した場合でも、下面洗浄手段112によって被加工物の下面に残留した切削屑を除去することができる。
加工装置2は、個々のチップに分割された被加工物を外部に搬出する搬出機構120を備える。被加工物離脱手段50から第一の経路R1の方向に離間して配設された搬出機構120は、図1に示すとおり、個々のチップに分割された被加工物を吸引パッド24から受け取る受け取りテーブル122と、受け取りテーブル122を第二の経路R2に平行な第三の経路R3(図1に矢印R3で示す。)に沿って移動させる第三の移動手段124と、分割済みの被加工物を区分けして受け取りテーブル122から区分けされたチップをトレー146に移し替えるトレー移し替え手段126と、チップを搭載したトレー146を搬出するトレー搬出手段128と、空のトレー146を供給するトレー供給手段130とを含む。
受け取りテーブル122は、第二の基台7の上面に配置され、第三の経路R3に沿って移動自在に構成されている。図2において一部を拡大して示すとおり、矩形状の受け取りテーブル122の上面には複数の吸引孔122aが形成され、各吸引孔122aは流路によって吸引手段(図示していない。)に接続されている。図示の実施形態では、複数の吸引孔122aの配置及び数量は、基板10に形成されたデバイス14の配置及び数量に対応している。このため受け取りテーブル122は、吸引手段によって受け取りテーブル122の上面に吸引力を生成することにより、基板10がチップに分割された後に分割前の基板10の形状を保ちつつ各チップを吸着して保持することができる。また、受け取りテーブル122を第三の経路R3に沿って移動させる第三の移動手段124は、図2に示すとおり、第二の基台7の上面において第三の経路R3に沿って形成された収容溝7aに収容されている。第三の移動手段124は、収容溝7aに沿って延びるボールねじ132と、ボールねじ132の片端部に連結されたモータ(図示していない。)とを有する。第三の移動手段124のボールねじ132は、受け取りテーブル122の下部に連結されている。そして、第三の移動手段124のモータが駆動することにより、収容溝7aに付設された案内レール(図示していない。)に沿って受け取りテーブル122が第三の経路R3に沿って進退される。
図2に示すとおり、トレー移し替え手段126は、第二の基台7を跨って配置されたL字状の支持フレーム134を含む。支持フレーム134は、第二の基台7の上面の片端部(第一の基台6側の端部)から上方に延びる支柱136と、支柱136の上端から第一の基台6と離間する方向に延びる梁138と、梁138に沿って移動自在に梁138の下面に装着された吸着部材140と、吸着部材140を梁138に沿って移動させる移動機構(図示していない。)とを有する。吸着部材140を梁138に沿って移動させる移動機構は、たとえば、梁138の下面において第一の経路R1の方向に延びるボールねじと、このボールねじの片端部に連結されたモータとを含む構成でよい。そして、移動機構のボールねじが吸着部材140の上部に連結され、移動機構のモータが駆動することにより、梁138の下面に付設された案内レール(図示していない。)に沿って吸着部材140が進退する構成とすることができる。吸着部材140は、梁138に沿って移動自在に梁138の下面に装着されたエアシリンダ142と、エアシリンダ142の下端に固定された矩形状の吸着プレート144とを備える。図示の実施形態では、吸着プレート144は、基板10のサイズよりも小さく、かつ図1及び図2に示す搬送用のトレー146の幅に対応するサイズに形成されている。吸着プレート144の下面には複数の吸引孔(図示していない。)が形成され、吸着プレート144の各吸引孔は流路によって吸引手段(図示していない。)に接続されている。図示の実施形態では、吸着プレート144の複数の吸引孔の配置は、基板10に形成されたデバイス14の配置に対応している。このため吸着プレート144は、吸引手段によって吸着プレート144の下面に吸引力を生成することにより、受け取りテーブル122に保持された分割済みの被加工物のうち、トレー146の幅に対応する分の数量を区分けしつつ吸着して保持することができる。また、トレー移し替え手段126は、被加工物を吸着した吸着プレート144をエアシリンダ142によって上昇させ、次いで移動機構によって吸着部材140を移動させ、次いでトレー146の上方において吸引力を解除することによりトレー146に被加工物を移し替えることができる。なお、トレー146の没入した収容部にはタック力(弱粘着力)を有するシートが装着されている。タック力を有するシートとしては、新タック化成株式会社が製造販売する商品名「セパレス」または「ハンデコタック」を用いることができる。そして、トレー146の収容部にタック力を有するシートが装着されていることにより、トレー146の収容部に移し替えられた被加工物はタック力によってトレー146内での位置ズレが防止される。
図2に示すとおり、トレー供給手段130は、第二の基台7に近接して配置され上面が開放された直方体状の枠体148と、枠体148上部に回転自在に支持された少なくとも一対のローラー150と、一対のローラー150に巻き掛けられた一対の無端ベルト152と、ローラー150を回転させる回転機構(図示していない。)とを有するベルトコンベアーから構成することができる。枠体148の長手方向片端部には、無端ベルト152に搭載されたトレー146をトレー搬出手段128に供給するための供給位置で停止させるためのストッパー154が付設されている。そして、トレー供給手段130においては、ローラー150と共に無端ベルト152を回転機構によって回転させることにより、作業者によって無端ベルト152に搭載された空のトレー146を供給位置に向かって移動させストッパー154によって供給位置で停止させることができる。
図1に示すとおり、トレー搬出手段128は、トレー供給手段130から空のトレー146を搬出する第一の搬出手段156と、第一の搬出手段156から搬出された空のトレー146を受け取ると共に空のトレー146を搬出する第二の搬出手段158と、第二の搬出手段158から搬出された空のトレー146を、被加工物を受け取る被加工物受け取り位置で停止させると共に被加工物を収容したトレー146を搬出する第三の搬出手段160とを有する。
図2に示すとおり、第一の搬出手段156は、トレー供給手段130の供給位置に近接して配置され上方に延びる枠体162と、枠体162に昇降自在に支持されたアーム164と、アーム164を昇降させる昇降機構(図示していない。)と、アーム164の先端下面に間隔をおいて付設された複数の中空の吸着片166とを備える。下端に開口(図示していない。)が形成されている各吸着片166は流路によって吸引手段(図示していない。)に接続されている。そして、第一の搬出手段156においては、アーム164を下降させ、トレー供給手段130の供給位置に位置づけられたトレー146の上面に吸着片166を密着させ、次いで吸引手段によって吸着片166に吸引力を生成することにより吸着片166にトレー146を吸着させ、次いで吸着片166でトレー146を吸着したアーム164を昇降機構によって上昇させることにより、トレー供給手段130から空のトレー146を搬出することができる。
第二の搬出手段158は、第一の搬出手段156の枠体162の上下方向中間部において互いに間隔をおいて配置され、かつ互いに接近した閉位置と互いに離間した開位置との間で開閉自在に構成された片側受け取り部材168及び他側受け取り部材170と、閉位置と開位置との間で片側受け取り部材168及び他側受け取り部材170を開閉させるエアシリンダ172とを備える。片側受け取り部材168は、第一の搬出手段156のアーム164が上昇する際に通過可能な間隔をおいて配置された上流側部分168a及び下流側部分168bを有する。片側受け取り部材168の上流側部分168aの下端及び下流側部分168bの下端は他側受け取り部材170に向かって突出し、他側受け取り部材170の下端は片側受け取り部材168に向かって突出しており、片側受け取り部材168及び他側受け取り部材170が閉位置に位置づけられた際に、片側受け取り部材168の突出部分及び他側受け取り部材170の突出部分によって、第一の搬出手段156のアーム164からトレー146を受け取ることができるようになっている。また、片側受け取り部材168及び他側受け取り部材170のそれぞれは、内面側に回転自在に配置された複数の搬出ローラー174と、搬出ローラー174を回転させる回転機構(図示していない。)とが装着されている。搬出ローラー174の少なくとも外周面は、トレー146の外面との間で所定以上の摩擦力を生じさせる材料(たとえば合成ゴム)から形成されている。そして第二の搬出手段158においては、回転機構によって搬出ローラー174を回転させることにより、片側受け取り部材168及び他側受け取り部材170に搭載されたトレー146を搬出することができる。また、片側受け取り部材168及び他側受け取り部材170の双方に装着されたエアシリンダ172は、片側受け取り部材168及び他側受け取り部材170を互いに接近させて第一の搬出手段156のアーム164からトレー146を受け取り可能な閉位置と、片側受け取り部材168及び他側受け取り部材170を互いに離間させて、トレー146を吸着した第一の搬出手段156のアーム164が上昇する際にトレー146の通過が可能な開位置との間で片側受け取り部材168及び他側受け取り部材170を開閉させる。
第二の搬出手段158の片側受け取り部材168及び他側受け取り部材170に連結されている第三の搬出手段160は、底面壁176と、底面壁176の両端部から上方に突出する一対の側壁178と、側壁178の内面側に回転自在に配置された複数の搬出ローラー180と、搬出ローラー180を回転させる回転機構(図示していない。)と、底面壁176に長手方向に間隔をおいて配置されトレー146を検出する複数のトレーセンサー182とを備える。搬出ローラー180の少なくとも外周面は、トレー146の外面との間で所定以上の摩擦力を生じさせる材料(たとえば合成ゴム)から形成されている。そして、第三の搬出手段160においては、空のトレー146が第二の搬出手段158から搬出されるとトレーセンサー182が空のトレー146を検出し、これによって搬出ローラー180の回転を停止させ、第二の搬出手段158から搬出された空のトレー146を搬送方向に沿って複数の被加工物受け取り位置で停止させることができる。また、第三の搬出手段160においては、回転機構が搬出ローラー180を回転させることにより、被加工物を収容したトレー146を搬出することができる。
図示の実施形態では図1に示すとおり、トレー搬出手段128の第三の搬出手段160の下流側には、被加工物を収容したトレー146を次の工程に搬送する搬送装置200が連結されている。図1と共に図7を参照して説明すると、搬送装置200は、加工装置2から搬出されたトレー146を受け取り搬送する支流ベルトコンベアー202と、支流ベルトコンベアー202からトレー146を受け取り次の工程に搬送する本流ベルトコンベアー204とを備える。支流ベルトコンベアー202の始点はトレー搬出手段128の第三の搬出手段160の下流側に位置づけられている。また、支流ベルトコンベアー202の終点は本流ベルトコンベアー204の側方側に位置づけられており、支流ベルトコンベアー202と本流ベルトコンベアー204とでT字路206を形成している。
支流ベルトコンベアー202は、トレー146の幅に対応する間隔をおいて配置された一対の側壁208と、側壁208に回転自在に支持された少なくとも一対のローラー210と、一対のローラー210に巻き掛けられた一対の無端ベルト212と、ローラー210を回転させる回転機構(図示していない。)とを有する。なお、一対のローラー210、一対の無端ベルト212及び回転機構を一組のコンベアユニットとし、複数組のコンベアユニット及び適宜の長さの側壁208を用いることにより、適宜の長さの支流ベルトコンベアー202とすることができる。図7のA−A断面に示すとおり、側壁208の上面は無端ベルト212の上面よりも上方に位置しており、搬送中のトレー146の支流ベルトコンベアー202からの脱落が側壁208によって防止されている。ただし、図7のB−B断面に示すとおり、T字路206の近傍(後述の内ガイド部材242が配設された部分)においては、本流ベルトコンベアー204の下流側に位置する側壁208の上面が無端ベルト212の上面と面一又は無端ベルト212の上面よりも下方に位置しており、これによって支流ベルトコンベアー202から本流ベルトコンベアー204にトレー146が搬送される際に、本流ベルトコンベアー204の下流側に位置する側壁208がトレー146の搬送を妨げることがないようになっている。
図1及び図7に示すとおり、支流ベルトコンベアー202のT字路206に隣接した位置には、支流ストッパー214と、トレー146を検出する支流センサー216とが配設されている。支流ストッパー214は、支流ベルトコンベアー202で搬送中のトレー146のT字路206への進入を阻止するストップ位置(図7に示す位置)と支流ベルトコンベアー202で搬送中のトレー146のT字路206への進入を許容する許容位置との間を移動自在に構成された端子218と、ストップ位置と許容位置との間で端子218を移動させるエアシリンダ220とを有する。そして、支流センサー216がトレー146を検出しない時は、支流ストッパー214のエアシリンダ220は端子218をストップ位置に位置づける。また、支流センサー216がトレー146を検出した時であって、支流ベルトコンベアー202から本流ベルトコンベアー204にトレー146を導く際は、支流ストッパー214のエアシリンダ220は端子218を許容位置に位置づける。
本流ベルトコンベアー204は、トレー146の幅に対応する間隔をおいて配置された一対の側壁222と、側壁222に回転自在に支持された少なくとも一対のローラー224と、一対のローラー224に巻き掛けられた一対の無端ベルト226と、ローラー224を回転させる回転機構(図示していない。)とを有する。なお、一対のローラー224、一対の無端ベルト226及び回転機構を一組のコンベアユニットとし、複数組のコンベアユニット及び適宜の長さの側壁222を用いることにより、適宜の長さの本流ベルトコンベアー204とすることができる。支流ベルトコンベアー202の側壁208と同様に、本流コンベアー204の側壁222の上面も無端ベルト226の上面よりも上方に位置しており、搬送中のトレー146の本流ベルトコンベアー204からの脱落が側壁222によって防止されている。ただし、T字路206の近傍(後述の内ガイド部材242が配設された部分)においては、支流ベルトコンベアー202の側壁208と同様に、本流ベルトコンベアー204の側壁222の上面も無端ベルト226の上面と面一又は無端ベルト226の上面よりも下方に位置しており、これによって支流ベルトコンベアー202から本流ベルトコンベアー204にトレー146が搬送される際に、本流ベルトコンベアー204の側壁222がトレー146の搬送を妨げることがないようになっている。
図1及び図7に示すとおり、本流ベルトコンベアー204のT字路206に隣接した位置であってT字路206よりも上流側部分には、本流ストッパー228と、トレー146を検出する本流センサー230とが配設されている。本流ストッパー228は、本流ベルトコンベアー204で搬送中のトレー146のT字路206への進入を阻止するストップ位置(図7に示す位置)と本流ベルトコンベアー204で搬送中のトレー146のT字路206への進入を許容する許容位置との間を移動自在に構成された端子232と、ストップ位置と許容位置との間で端子232を移動させるエアシリンダ234とを有する。そして、本流センサー230がトレー146を検出しない時は、本流ストッパー228のエアシリンダ234は端子232をストップ位置に位置づける。また、本流センサー230がトレー146を検出した時であって、本流ベルトコンベアー204で搬送中のトレー146がT字路206を通過する際は、本流ストッパー228のエアシリンダ234は端子232を許容位置に位置づける。
T字路206にはガイド手段236が配設され、ガイド手段236は、支流ベルトコンベアー202から本流ベルトコンベアー204にトレー146を導く湾曲した外ガイド部材238を備える。本流ベルトコンベアー204を跨いで位置づけられた外ガイド部材238は昇降自在に構成され、ガイド手段236は外ガイド部材238を昇降させる駆動部240を更に備える。エアシリンダ等の適宜のアクチュエータから構成され得る駆動部240は、支流ベルトコンベアー202で搬送中のトレー146を本流ベルトコンベアー204に導く際は外ガイド部材238を下降させてガイド位置に位置づける。外ガイド部材238はPTFE等の適宜の低摩擦材料から形成されているのが好ましく、これによって支流ベルトコンベアー202で搬送中のトレー146は外ガイド部材238に引っ掛かることなく滑らかに本流ベルトコンベアー204へとガイドされる。また、本流ベルトコンベアー204で搬送中のトレー146がT字路206を通過する際は、駆動部240は外ガイド部材238を上昇させ、本流ベルトコンベアー204で搬送中のトレー146のT字路206への進入を許容する許容位置に位置づける。なお、図示の実施形態では、ガイド手段236は、外ガイド部材238の下降位置に対向する位置に固定された、湾曲した内ガイド部材242を含む。そして、支流ベルトコンベアー202から本流ベルトコンベアー204へトレー146が移動する際に内ガイド部材242によってトレー146の落下が防止される。
加工装置2で被加工物としての基板10を加工する際は、まず、複数の基板10が収容されたカセット8をカセットテーブル4に載置する。次いで、仮置き手段16がカセット8に隣接するまで、可動片32と共に仮置き手段16を第一の移動手段18の駆動機構34によって第一の経路R1に沿って移動させる。次いで、第一の移動手段18の昇降機構44によって仮置き手段16を昇降させ、カセット8から搬出すべき基板10の近傍に仮置き手段16を位置づける。次いで、仮置き手段16の駆動機構によってフォーク22を前進位置まで前進させ、カセット8から搬出すべき基板10の裏面にフォーク22の上面を位置づける。次いで、フォーク22の吸引孔22aに接続された吸引手段を作動させてフォーク22の上面に吸引力を生成し、カセット8から搬出すべき基板10の裏面をフォーク22の上面に吸着させる。次いで、基板10を吸着したフォーク22を仮置き手段16の駆動機構によって後退位置まで後退させ、基板10を第一の経路R1に引き出すと共に仮置き手段16の仮置きテーブル20に基板10を仮置きする。
仮置きテーブル20に基板10を仮置きした後、被加工物離脱手段50のエアシリンダ54によって被加工物離脱手段50の保持部52を下降させ、保持部52の吸着片58を仮置きテーブル20に仮置きした基板10の表面10aに密着させる。次いで、保持部52の吸着片58に接続された吸引手段を作動させて吸着片58に吸引力を生成し、基板10の表面10aを吸着片58に吸着させる。次いで、被加工物離脱手段50のエアシリンダ54によって保持部52を上昇させることにより、保持部52の吸着片58で保持した基板10を上昇させて仮置き手段16の仮置きテーブル20から離脱させる。次いで、第一の移動手段18の駆動機構34によって仮置き手段16を第一の経路R1に沿って移動させることにより、仮置き手段16を被加工物離脱手段50の直下から離間させ、基板10の下方にチャックテーブル60を露出させる。次いで、第二の移動手段(図示していない。)によってチャックテーブル60を第二の経路R2に沿って移動させ、被加工物離脱手段50の吸着片58で保持した基板10の直下にチャックテーブル60を位置づける。次いで、被加工物離脱手段50のエアシリンダ54によって保持部52を下降させ、吸着片58で保持した基板10をチャックテーブル60の上面に載置する。基板10をチャックテーブル60の上面に載置する際は、被加工物離脱手段50の吸着片58の吸引力を解除すると共に、チャックテーブル60の吸引孔64に接続された吸引手段を作動させてチャックテーブル60の上面に吸引力を生成し、チャックテーブル60の上面に基板10を吸着させる。
チャックテーブル60の上面に基板10を吸着させた後、第二の移動手段によってチャックテーブル60を第二の経路R2に沿って移動させ、チャックテーブル60を撮像手段102の下方に位置づける。次いで、駆動機構104によって撮像手段102を第一の経路R1の方向に沿って移動させると共に、第二の移動手段によってチャックテーブル60を第二の経路R2に沿って移動させながら、撮像手段102によって基板10を撮像する。次いで、撮像手段102によって撮像された画像に基づいて、切削すべき基板10の領域である分割予定ライン12を検出する。次いで、第二の移動手段によってチャックテーブル60を第二の経路R2に沿って移動させ、第二の経路R2の方向における分割予定ライン12の先端部を切削手段76の切削ブレード100の下方に位置づける。
なお、基板10の分割予定ライン12を検出した際に、分割予定ライン12とチャックテーブル60の逃がし溝62とが一致していない場合には、分割予定ライン12と逃がし溝62とを一致させるための位置ズレ補正を行う。位置ズレ補正では、まず、チャックテーブル60を切削手段76の下方に位置づける前に、チャックテーブル60を被加工物離脱手段50の下方に第二の移動手段によって移動させる。そして、第二の経路R2の方向において分割予定ライン12と逃がし溝62とが一致していない場合や、上方からみて分割予定ライン12と逃がし溝62との相対角度が許容角度以上であり角度ズレが生じている場合には、被加工物離脱手段50の吸着片58で基板10を保持して上昇させる。次いで、第二の移動手段及び回転手段(図示していない。)によってチャックテーブル60を移動及び回転させて逃がし溝62の位置を調整する。これによって、逃がし溝62を分割予定ライン12に一致させ、第二の経路R2の方向における位置ズレ及び角度ズレを補正することができる。他方、第一の経路のR1の方向において分割予定ライン12と逃がし溝62とが一致していない場合には、チャックテーブル60を被加工物離脱手段50の下方に第二の移動手段によって移動させた後、第一の移動手段18の駆動機構34によって仮置き手段16を第一の経路R1に沿って移動させ、チャックテーブル60の上方に仮置き手段16を位置づける。次いで、第一の移動手段18の昇降機構44によって仮置き手段16を下降させ、仮置き手段16の吸引パッド24の下面を基板10の表面10aに密着させる。次いで、チャックテーブル60の上面の吸引力を解除すると共に、吸引パッド24の吸引孔24aに接続された吸引手段を作動させて吸引パッド24の下面に吸引力を生成し、吸引パッド24の下面に基板10の表面10aを吸着させる。次いで、第一の移動手段18の昇降機構44によって仮置き手段16を上昇させることにより、吸引パッド24で保持した基板10を上昇させる。次いで、第一の移動手段18の駆動機構34によって仮置き手段16を第一の経路R1に沿って移動させて基板10の分割予定ライン12の位置を調整する。これによって、分割予定ライン12を逃がし溝62に一致させ、第一の経路R1の方向における位置ズレを補正することができる。位置ズレを補正した後は、再度チャックテーブル60の上面に基板10を吸着させる。
第二の経路R2の方向における分割予定ライン12の先端部を切削手段76の切削ブレード100の下方に位置づけた後は、基板10を個々のチップに分割する切削工程を実施する。切削工程では、まず、一対の切削手段76の各割り出し送り機構80を作動させ、第一の経路R1の方向において基板10の片端部に位置する分割予定ライン12の上方に一方の切削ブレード100を位置づけると共に、第一の経路R1の方向において基板10の中間部に位置する分割予定ライン12の上方に他方の切削ブレード100を位置づける。次いで、各スピンドルユニット86のモータによって各切削ブレード100を回転させる。次いで、チャックテーブル60の逃がし溝62に各切削ブレード100の外周縁が達するまで、各切り込み送り機構84によって各スピンドルハウジング98を下降させ、基板10の分割予定ライン12に各切削ブレード100の刃先を切り込ませると共に、チャックテーブル60を所定の加工送り速度で第二の移動手段によって第二の経路R2に沿って移動させ、第二の経路R2の方向における分割予定ライン12の終端部に切削ブレード100が達したら各切り込み送り機構84によって各スピンドルハウジング98を上昇させる切削加工を行う。この切削加工の際は、切削水供給ノズル101に接続された切削水供給手段を作動させ、切削水供給手段から供給された切削水を切削水供給ノズル101から供給することに加えて、上面洗浄手段110の各噴射孔に接続された洗浄液供給手段を作動させ、洗浄液供給手段から供給された洗浄液を上面洗浄手段110の各噴射孔から噴射して、基板10を切削することで発生する切削屑を基板10の表面10a(上面)から除去し洗浄する。切削工程では、上記切削加工と、隣接する分割予定ライン12の間隔の分だけ割り出し送り機構80によって切削ブレード100を割り出し送りする割り出し送りとを交互に行う。上記のとおり、第一の経路R1の方向において基板10の片端部に位置する分割予定ライン12の上方に一方の切削ブレード100を位置づけると共に、第一の経路R1の方向において基板10の中間部に位置する分割予定ライン12の上方に他方の切削ブレード100を位置づけた場合には、割り出し送りにおいては第一の経路R1の方向において基板10の他端部に向かって各切削ブレード100を移動させる。なお、切削加工の開始する際にあたって、第一の経路R1の方向において基板10の片端部に位置する分割予定ライン12の上方に一方の切削ブレード100を位置づけると共に、第一の経路R1の方向において基板10の他端部に位置する分割予定ライン12の上方に他方の切削ブレード100を位置づけ、そして、割り出し送りにおいて第一の経路R1の方向において基板10の中間部に向かって各切削ブレード100を移動させてもよい。そして、切削加工と割り出し送りとを交互に繰り返すことにより、第二の経路R2に沿って位置づけられた全ての分割予定ライン12に切削加工を施した後は、回転手段によってチャックテーブル60を90度回転させた上で、切削加工を施した分割予定ライン12に直交する全ての分割予定ライン12についても切削加工と割り出し送りとを交互に繰り返すことにより切削加工を施す。これによって、基板10を個々のチップに分割することができる。なお、上述のとおり、チャックテーブル60の吸引孔64の配置及び数量は基板10のデバイス14の配置及び数量に対応しているから、チャックテーブル60においては基板10がチップに分割された後においても基板10の形状を保ちつつ各チップを吸着して保持することができる。また、チャックテーブル60は、板状の被加工物のサイズ、デバイスのサイズに対応して適宜取り替えられるようになっている。
基板10を個々のチップに分割する切削工程を実施した後、第二の移動手段によってチャックテーブル60を第二の経路R2に沿って移動させ、被加工物離脱手段50の下方にチャックテーブル60を位置づけると共に、第一の移動手段18の駆動機構34によって仮置き手段16を第一の経路R1に沿って移動させ、チャックテーブル60の上方に仮置き手段16を位置づける。この際は、上下方向にみて、仮置き手段16の吸引パッド24の各吸引孔24aの位置と各チップの位置とを整合させる。次いで、第一の移動手段18の昇降機構44によって仮置き手段16を下降させ、吸引パッド24の下面をチップの上面に密着させる。次いで、チャックテーブル60の上面の吸引力を解除すると共に吸引パッド24の下面に吸引力を生成し、吸引パッド24の下面に各チップを吸着させる。なお、上述のとおり、吸引パッド24の吸引孔24aの配置及び数量は基板10のデバイス14の配置及び数量に対応しているから、チャックテーブル60と同様に、吸引パッド24においても基板10の形状を保ちつつ各チップを吸着して保持することができる。また、吸引パッド24は、チャックテーブル60と同様に、板状の被加工物のサイズ、デバイスのサイズに対応して適宜取り替えられるようになっている。
吸引パッド24の下面に各チップを吸着させた後、第一の移動手段18の昇降機構44によって仮置き手段16を上昇させることにより、各チップの下面が下面洗浄手段112のブラシ114及びローラー118に接触する高さまで、吸引パッド24で保持した各チップを上昇させる。次いで、第一の移動手段18の駆動機構34によって仮置き手段16を第一の経路R1に沿って搬出機構120に向かって移動させ、各チップを下面洗浄手段112の上方を通過させる。各チップが下面洗浄手段112の上方を通過する際は、ブラシ114が各チップの下面に接触すると共に、洗浄液供給手段から供給された洗浄液を噴射手段116の各噴射孔116aから各チップの下面に向かって噴射するので、各チップの下面に付着した切削屑を除去し洗浄することができ、また、ローラー118が各チップの下面に接触して各チップの下面から洗浄液を除去することができる。
下面洗浄手段112の上方を仮置き手段16が通過して吸引パッド24が搬出機構120の受け取りテーブル122の上方に到達したら、第一の移動手段18の駆動機構34を停止させる。この際は、上下方向にみて、受け取りテーブル122の各吸引孔122aの位置と各チップの位置とを整合させる。次いで、第一の移動手段18の昇降機構44によって仮置き手段16を下降させ、各チップの下面を受け取りテーブル122の上面に密着させる。次いで、吸引パッド24の吸引力を解除すると共に、受け取りテーブル122の吸引孔122aに接続された吸引手段を作動させて受け取りテーブル122の上面に吸引力を生成し、受け取りテーブル122の上面に各チップの下面を吸着させる。なお、上述のとおり、受け取りテーブル122の吸引孔122aの配置及び数量は基板10のデバイス14の配置及び数量に対応しているから、チャックテーブル60及び吸引パッド24と同様に、受け取りテーブル122においても基板10の形状を保ちつつ各チップを吸着して保持することができる。また、受け取りテーブル122は、チャックテーブル60及び吸引パッド24と同様に、板状の被加工物のサイズ、デバイスのサイズに対応して適宜取り替えられるようになっている。
続いて、加工装置2の搬出機構120によって加工装置2の外部にチップを搬出する搬出工程について説明する。受け取りテーブル122の上面に各チップを吸着させた後、第三の移動手段124によって受け取りテーブル122を第三の経路R3に沿って移動させ、トレー移し替え手段126の下方に受け取りテーブル122を位置づける。次いで、トレー移し替え手段126のエアシリンダ142によって吸着部材140を下降させ、吸着プレート144の下面をチップの上面に密着させる。次いで、受け取りテーブル122の上面の吸引力を解除すると共に、吸着プレート144の吸引孔に接続された吸引手段を作動させて吸着プレート144の下面に吸引力を生成し、トレー146の幅に対応する分の数量のチップを吸着プレート144の下面に吸着させる。なお、上述のとおり、吸着プレート144のサイズはトレー146の幅に対応し、かつ吸着プレート144の吸引孔の配置は基板10のデバイス14の配置に対応しているから、受け取りテーブル122に保持されたチップのうち、トレー146の幅に対応する分の数量のチップを区分けしつつ吸着して保持することができる。また、吸着プレート144は、デバイスのサイズに対応して適宜取り替えられるようになっている。次いで、トレー移し替え手段126のエアシリンダ142によって吸着プレート144を上昇させることにより、吸着プレート144で保持した各チップを上昇させる。次いで、トレー移し替え手段126の移動機構によって吸着プレート144を第三の経路R3の方向と直交する方向に移動させ、トレー搬出手段128の第三の搬出手段160に置かれた空のトレー146の上方に吸着プレート144を位置づける。次いで、トレー移し替え手段126のエアシリンダ142によって吸着プレート144を下降させ、各チップの下面をトレー146の没入した収容部の上面に密着させると共に、吸着プレート144の吸引力を解除する。これによって受け取りテーブル122からトレー146に区分けしたチップを移し替えることができる。そして、トレー搬出手段128の第三の搬出手段160において各被加工物受け取り位置でトレー146を停止させながら、トレー移し替え手段126によって受け取りテーブル122からトレー146へのチップの移し替えを所定回数(たとえば3回)行った後、第三の搬出手段160の回転機構によって搬出ローラー174を回転させ、これによって搬送装置200にトレー146を搬出することができる。
ここで、搬出機構120において、トレー供給手段130からトレー搬出手段128の第三の搬出手段160に空のトレー146を供給する動作について説明する。まず、作業者によってトレー供給手段130の無端ベルト152に空のトレー146を搭載し、トレー供給手段130の回転機構によって無端ベルト152を作動させる。そうすると、空のトレー146は、トレー搬出手段128に供給するための供給位置においてストッパー154によって停止される。また、第二の搬出手段158においては、エアシリンダ172によって片側受け取り部材168及び他側受け取り部材170をトレー146の通過が可能な開位置に移動させておく。次いで、第一の搬出手段156の昇降機構によってアーム164を下降させ、トレー供給手段130の供給位置に位置づけられた空のトレー146の上面に第一の搬出手段156の吸着片166の下面を密着させる。次いで、吸着片166に接続された吸引手段を作動させて吸着片166の下面に吸引力を生成し、吸着片166の下面にトレー146の上面を吸着させる。次いで、第一の搬出手段156の昇降機構によってアーム164を上昇させ、吸着片166で吸着した空のトレー146を第二の搬出手段158の上方に位置づける。次いで、第二の搬出手段158のエアシリンダ172によって片側受け取り部材168及び他側受け取り部材170をトレー146の受け取りが可能な閉位置に移動させる。次いで、第一の搬出手段156の昇降機構によってアーム164を下降させ、第二の搬出手段158の片側受け取り部材168及び他側受け取り部材170に空のトレー146を載せると共に、第一の搬出手段156の吸着片166の吸引力を解除する。これによって第二の搬出手段158は、第一の搬出手段156から空のトレー146を受け取ることができる。なお、第二の搬出手段158が空のトレー146を受け取った状態においては、第二の搬出手段158の搬出ローラー174の外周面と空のトレー146の外面とが接触している。次いで、第二の搬出手段158の回転機構によって搬出ローラー174を回転させ、これによって空のトレー146を第三の搬出手段160に搬出する。そして、第三の搬出手段160においては、空のトレー146が第二の搬出手段158から搬出されトレーセンサー182が空のトレー146を検出すると、搬出ローラー174の回転が停止する。これによって第三の搬出手段160は、第二の搬出手段158から搬出された空のトレー146を、トレー移し替え手段126からチップを受け取る受け取り位置で停止させることができる。以上のとおり加工装置2においては、FOWLPと称される大型の基板10でも個々のチップに効率よく分割でき、分割したチップを区分けして搬送用のトレー146に収容することができる。
次に、トレー搬出手段128の第三の搬出手段160から搬出されたトレー146を搬送装置200で搬送する動作について説明する。第三の搬出手段160の回転機構によって搬出ローラー180を回転させることによって、トレー搬出手段128の第三の搬出手段160から搬出されたトレー146は、第三の搬出手段160に連結された支流ベルトコンベアー202のベルト212に搭載され、本流ベルトコンベアー204に向かって搬送される。搬送装置200では、支流ベルトコンベアー202と本流ベルトコンベアー204とのT字路206において、(1)支流ベルトコンベアー202で搬送中のトレー146よりも本流ベルトコンベアー204で搬送中のトレー146を優先してT字路206を通過させる場合と、(2)本流ベルトコンベアー204で搬送中のトレー146よりも支流ベルトコンベアー202で搬送中のトレー146を優先してT字路206を通過させる場合とがある。まず上記(1)の場合について図8を参照して説明すると、本流ストッパー228のエアシリンダ234によって本流ストッパー228の端子232が許容位置に位置づけられ、かつガイド手段236の駆動部240によって外ガイド部材238が許容位置に位置づけられると共に、支流ストッパー214のエアシリンダ220によって支流ストッパー214の端子218がストップ位置に位置づけられる。これによって、支流ベルトコンベアー202で搬送中のトレー146を支流ストッパー214の端子218で停止させることができ、支流ベルトコンベアー202で搬送中のトレー146よりも本流ベルトコンベアー204で搬送中のトレー146を優先してT字路206を通過させることができる。次に上記(2)の場合について図9を参照して説明すると、支流ストッパー214のエアシリンダ220によって支流ストッパー214の端子218が許容位置に位置づけられ、かつガイド手段236の駆動部240によって外ガイド部材238がガイド位置に位置づけられると共に、本流ストッパー228のエアシリンダ234によって本流ストッパー228の端子232がストップ位置に位置づけられる。これによって、本流ベルトコンベアー204で搬送中のトレー146を本流ストッパー228の端子232で停止させることができると共に、支流ベルトコンベアー202で搬送中のトレー146は外ガイド部材238によってガイドされて本流ベルトコンベアー204に移動するので、本流ベルトコンベアー204で搬送中のトレー146よりも支流ベルトコンベアー202で搬送中のトレー146を優先してT字路206を通過させることができる。
本流センサー230がトレー146を検出しない時は本流ストッパー228がストップ位置に位置づけられ、支流センサー216がトレー146を検出しない時は支流ストッパー214がストップ位置に位置づけられているところ、本流センサー230がトレー146を検出し、かつ支流センサー216がトレー146を検出しない場合(すなわち、本流ベルトコンベアー204で搬送中のトレー146がT字路206に差し掛かっている一方、支流ベルトコンベアー202ではトレー146を搬送していないか又は搬送中のトレー146がT字路206に差し掛かっていない場合)は、本流ストッパー228の端子232が許容位置に移動されると共に、外ガイド部材238が許容位置に移動される一方、支流ストッパー214の端子218はストップ位置のまま移動されない。このため、本流ベルトコンベアー204で搬送中のトレー146はT字路206で停止することなく搬送される。他方、支流センサー216がトレー146を検出し、かつ本流センサー230がトレー146を検出しない場合(すなわち、支流ベルトコンベアー202で搬送中のトレー146がT字路206に差し掛かっている一方、本流ベルトコンベアー204ではトレー146を搬送していないか又は搬送中のトレー146がT字路206に差し掛かっていない場合)は、支流ストッパー214の端子218が許容位置に移動されると共に、外ガイド部材238がガイド位置に移動される一方、本流ストッパー228の端子232はストップ位置のまま移動されない。このため、支流ベルトコンベアー202で搬送中のトレー146は、T字路206で停止することなく、外ガイド部材238によってガイドされて本流ベルトコンベアー204に移動する。以上のとおり搬送装置200においては、加工装置2から搬出されたトレー146を次の工程に搬送することができるので、作業者がトレー146を次の工程に搬送する必要がなく生産性の向上が図られる。なお、図示の実施形態では、加工装置2と本流ベルトコンベアー204とを連結する単一の支流ベルトコンベアー202について説明したが、2以上の加工装置2に対応して、2以上の加工装置2のそれぞれに支流ベルトコンベアー202が配設されていてもよい。