以下、図面について、本発明の一実施の形態を詳述する。
(1)光ディスク装置の構成
図1において光ディスク装置1は、全体として、ホストコンピュータ50からの指示に基づき、光ディスク200に記録されている情報を読み出して再生し、これを当該ホストコンピュータ50へ送出するようになされている。
この光ディスク装置1は、CD方式・DVD方式・BD方式のうち、ROM型・R型・RW型(RE(Rewritable)型とも呼ぶ)といった複数種類の光ディスク70に対応し得るようになされており、さらにDVD方式及びBD方式の場合における記録層の数については、1層又は2層のいずれの光ディスク70にも対応し得るようになされている。
光ディスク装置1は、制御部2により全体を統括制御するようになされている。この制御部2は、図示しないCPU(Central Processing Unit)を中心に構成されており、不揮発性メモリ3から再生プログラムやディスク種類判別プログラム等の各種プログラムを読み出して実行することにより、再生処理やディスク種類判別処理等を行うようになされている。
実際上、制御部2は、図示しない装填機構を介して光ディスク70が装填されたことを検出すると、当該光ディスク70の種類を判別し、その判別結果に応じた再生処理等を行うようになされている。
このとき制御部2は、光ディスク70の種類を判別するために当該光ディスク70の所定トラックから当該光ディスク70の種類に関する情報(以下、これをディスク種類情報と呼ぶ)を読み出すようになされており、その前の準備として、当該光ディスク70の記録層に対して光ビームの焦点をおおよそ合わせる、いわゆる引き込み(Pull-In)処理を行うようになされている。
具体的に制御部2は、スピンドルドライバ4を介してスピンドルモータ5を回転駆動させることにより、当該光ディスク70を所定の回転速度で回転させる。また制御部2は、レーザパワー制御部6へレーザ光の制御命令を送信することにより、光ピックアップ7内のレーザダイオードからレーザ光を発射させ、これを対物レンズ9から光ディスク70へ照射させる。
ここで、図2を用いて光ピックアップ7の構成について説明する。レーザダイオード11は、レーザパワー制御部6(図1)からの制御命令に従い、発散光でなるレーザ光L1を発射し、コリメータレンズ12により平行光に変換させ、偏光ビームスプリッタ14へ入射させる。
因みにレーザダイオード11は、いわゆる3波長対応型でなり、BD方式に対応した青色でなる波長405[nm]のレーザ光、DVD方式に対応した赤色でなる波長660[nm]のレーザ光、又はCD方式に対応した赤色でなる波長780[nm]のレーザ光といった3種類の波長のレーザ光を切り換えて出射し得るようになされている。
偏光ビームスプリッタ14は、入射される光の偏光方向に応じて反射又は透過させるようになされており、この場合、レーザ光L1の偏光方向に応じて当該レーザ光L1を透過しエキスパンダ18へ入射させる。因みにエキスパンダ18は、エキスパンダアクチュエータ18により一部のレンズが駆動されることにより、球面収差の補正量等を調整し得るようになされている。
その後光ピックアップ7は、エキスパンダ18によりレーザ光L1の球面収差を補正し、1/4波長板19により当該レーザ光L1を直線偏光から円偏光に変換し、対物レンズ9により当該レーザ光L1を光ディスク70の記録面に照射し、当該光ディスク70の内部に形成されている記録層に集光させる。
このとき光ピックアップ7は、レーザ光L1が光ディスク70の表面又は記録層において反射されてなる反射レーザ光L2を対物レンズ9により平行光に変換し、当該反射レーザ光L2を1/4波長板19により直線偏光に変換しエキスパンダ18により球面収差を補正して偏光ビームスプリッタ14へ入射させる。
この場合、偏光ビームスプリッタ14は、反射レーザ光L2の偏光方向に応じて当該反射レーザ光L2を反射し、集光レンズ21により収束光に変換した上でビームスプリッタ22へ入射させる。
ビームスプリッタ22は、波長選択性を有しており、反射レーザ光L2がBD方式に対応した青色でなる場合、これを透過して青色用回折格子23を介して回折させた上で青色用フォトディテクタ24へ照射させる。一方ビームスプリッタ22は、当該反射レーザ光L2がCD方式又はDVD方式に対応した赤色でなる場合、これを反射して赤色用回折格子25を介して回折させた上で赤色用フォトディテクタ26へ照射させる。
青色用フォトディテクタ24は、所定形状でなる複数の検出領域を有しており、各検出領域において検出した光量に応じて検出信号SDをそれぞれ生成し、これらの検出信号SDをサーボエラー信号生成回路30(図1)へ送出する。また赤色用フォトディテクタ26も、同様に複数の検出領域を有しており、各検出領域において検出した光量に応じて検出信号SDをそれぞれ生成しサーボエラー信号生成回路30へ送出する。
また青色用フォトディテクタ24及び赤色用フォトディテクタ26は、各検出領域において検出した光量に対する各検出信号SDの信号レベルの割合(いわゆる感度)を、制御部2の制御に基づいてそれぞれ調整し得るようになされている。
サーボエラー信号生成回路30(図1)は、検出信号SDを基に所定の演算処理を行うことにより、フォーカスエラー信号SFE、トラッキングエラー信号STE及び再生RF信号SRFをそれぞれ生成し(以下、これらをまとめて算出信号群と呼ぶ)、これらをAD(Analog/ Digital)変換器31によりディジタル化した上で制御部2へ送出する。
因みにフォーカスエラー信号SFEは、光ディスク70の記録層とレーザ光の焦点とのずれ量に応じた信号となり、トラッキングエラー信号STEは、光ディスク70の記録層に螺旋状に形成されたトラックのうち所望のトラックとレーザ光の照射箇所とのずれ量に応じた信号となり、再生RF信号SRFは、反射レーザ光の全光量に応じた信号となる。
またAD変換器31は、制御部2の制御に基づき、アナログ値でなる算出信号群をディジタル化する際のゲインを調整し得るようになされている。これによりAD変換器31は、入力されるアナログ値に対して、生成するディジタル信号における変動幅(ダイナミンクレンジ)を適切に調整し得るようになされている。
これに応じて制御部2は、フォーカスエラー信号SFEに基づいたフォーカス制御処理、トラッキングエラー信号STEに基づいたトラッキング制御処理及びスレッド制御処理を行うことにより、フォーカス制御信号、トラッキング制御信号及びスレッド制御信号を生成し、これらをDA(Digital/Analog)変換器32によってアナログ化した上で、それぞれフォーカスドライバ33、トラッキングドライバ34及びスレッドドライバ35へ供給する。
フォーカスドライバ33及びトラッキングドライバ34は、フォーカス制御信号及びトラッキング制御信号に対してそれぞれ所定のゲインを乗じることによりフォーカス駆動信号SDF及びトラッキング駆動信号SDTを生成し、これらを2軸アクチュエータ8へ送出する。またスレッドドライバ35は、スレッド制御信号に基づいてスレッド駆動信号SDSを生成し、これをスレッドモータ37へ送出する。
この結果、光ピックアップ7は、ディスク種別情報が記録されているトラックに合わせて光ビームを合焦させることができ、これによりサーボエラー信号生成回路30は、当該トラックからの反射レーザ光を基に再生RF信号SRFを生成することができる(以下、一連の制御処理をRFサーボ制御と呼ぶ)。
これに応じて制御部2は、再生RF信号SRFに対して所定の復調化処理等を施すことによりディスク種類情報を再生し、当該ディスク種類情報及びこのときの反射レーザ光の光量(すなわち再生RF信号SRFの信号レベル)に応じて光ディスク70の種類を判別する。
また制御部2は、このとき得られた再生RF信号SRFをレーザパワー制御部6へ供給する。レーザパワー制御部6は、再生RF信号SRFの信号レベルに所定のゲインを乗じ、実際にレーザダイオード11に供給する供給信号SEとの差分をなくすよう制御する、いわゆるフィードバック制御を行うようになされている。
さらに制御部2は、認識した光ディスク70の種類に応じてエキスパンダ18における球面収差の補正量を決定し、当該補正量に応じてエキスパンダアクチュエータ18Aの駆動量を決定する。続いて制御部2は、当該駆動量に応じてエキスパンダ制御信号を生成し、これをDA変換器32によりディジタル化した上でエキスパンダドライバ36へ供給する。
エキスパンダドライバ36は、エキスパンダ制御信号に基づいてエキスパンダ駆動信号SDEを生成し、これを光ピックアップ7内のエキスパンダアクチュエータ18A(図2)へ送出する。
これにより光ピックアップ7は、エキスパンダ18における一部のレンズを駆動し光ディスク70の種類に合わせて調整することができ、結果的に当該光ディスク70におけるカバー層の厚さに応じてレーザ光の球面収差(非点収差)を補正することができる。
因みに制御部2は、判別した光ディスク70の種類に応じて、当該光ディスク70におけるアドレス体系やデータ構造、変調方式や符号化方式、或いは記録層の数等といった再生処理に必要な情報を認識し、以降の再生処理を行うようにもなされている。
このように光ディスク装置1は、光ディスク70が装填されると、引き込み動作を行った上で、ディスク種類情報及び再生RF信号SRFの信号レベルを基に当該光ディスク70の種類を認識し、エキスパンダ18を調整すると共に再生処理に必要な情報を認識するようになされている。
(2)光量変化の検出及びゲイン調整
(2−1)光ディスクに照射されるレーザ光の光量の変化
ところで光ディスク装置1は、上述した従来の光ディスク装置と同様に、経時変化によりレーザダイオード11が徐々に劣化し、所定の供給電流に対して発射するレーザ光の光量が徐々に減少することになる。
また光ディスク装置1は、やはり上述した従来の光ディスク装置と同様に、経時変化により対物レンズ9等の各種光学部品に塵等が徐々に付着することにより、レーザ光の透過率が徐々に低下することになる。
この場合、光ディスク装置1では、反射レーザ光の光量を検出した検出信号SDをそのまま用いて光ディスク70の種類を判別すると、このような光ディスク装置1自体の経時変化に起因して反射レーザ光の光量が減少していることを、光ディスク70における記録層の反射率に起因するものと誤解してしまうため、結果的に当該光ディスク70の種類を誤判別してしまう危険性がある。
さらにレーザダイオード11は、一般的に、周囲の温度に応じてレーザ光の光量が変化するといった出力特性を有している。すなわちレーザダイオード11は、周囲の温度が変化した場合、所定の供給電流に対して発射するレーザ光の光量も変化することになってしまう。
この場合にも、光ディスク装置1は、反射レーザ光の光量を検出した検出信号SDをそのまま用いて光ディスク70の種類を判別すると、当該光ディスク70の種類を誤判別してしまう危険性がある。
(2−2)光ディスクの表面におけるレーザ光の反射
ところで光ディスク装置1の制御部2は、上述した引き込み動作を行う際、2軸アクチュエータ8(図2)により対物レンズ9を一度光ディスク70の遠方(図の下方)へ遠ざけた後、当該対物レンズ9を徐々に当該光ディスク70へ近接させていくことにより、レーザ光の焦点を当該光ディスク70へ近接させていく。
ここで、制御部2が引き込み動作の際に生成するプルイン信号SPIの波形は、図3に模式的に示すような形状となる。因みにプルイン信号SPIとは、再生RF信号SRFのエンベロープを抽出したものである。また図3において、横軸は本来時間軸であるものの、引き込み動作時は対物レンズ9を等速で駆動しているため、この横軸が対物レンズ9の焦点の位置を表しているとみなすことができる。
図3に示されているように、プルイン信号SPIは、レーザ光の焦点が光ディスク70の記録層の位置p2に達する際に大きなピークを形成することに加え、当該レーザ光の焦点が当該光ディスク70の表面の位置p1に達する際にも比較的小さなピークを形成する。
すなわち光ディスク装置1では、記録層における反射レーザ光L2(図2)を基に情報を再生するといった光ディスク装置の基本原理に従い、光ディスク70の記録層においてレーザ光が比較的高い反射率で反射されることに加え、当該光ディスク70の表面においても、当該レーザ光が比較的低い反射率で反射されることになる。
因みにこのことは、光ディスク70の表面が平滑に形成されることと、物質の境界面におけるレーザ光の振る舞いとによる物理現象と推察される。
そこで、光ディスク装置1がBD、DVD又はCDでなる光ディスク70(便宜上、それぞれBDディスク、DVDディスク、CDディスクと呼ぶ)に対して引き込み動作を行う際に得られるプルイン信号SPIをそれぞれ測定し、レーザ光が当該光ディスク70の表面において反射される際の信号レベルを比較した。
まず、波長405[nm]でなるレーザ光を用いた場合の、BDディスク、DVDディスク及びCDディスクにおけるプルイン信号SPIの測定結果を図4(A)〜(C)に示す。また、参考にフォーカスエラー信号SFEの測定結果を併記している。
ここで図4(A)〜(C)では、図3と同様、横軸が対物レンズ9の焦点の位置に相当する。また縦軸は信号レベルを表しており、一目盛りが200[mV]を表している。
BDディスクにおけるプルイン信号SPIを示す図4(A)では、レーザ光の焦点が光ディスク70の表面に合焦した位置p1において約100[mV]のピークが現れ、またレーザ光の焦点が光ディスク70の記録層に合焦した位置p2において約700[mV]の大きなピークが現れている。
またDVDディスクにおけるプルイン信号SPIを示す図4(B)では、レーザ光の焦点が光ディスク70の表面に合焦した位置p3において約100[mV]のピークが現れている。同様にCDディスクにおけるプルイン信号SPIを示す図4(C)でも、レーザ光の焦点が光ディスク70の表面に合焦した位置p5において約100[mV]のピークが現れている。
因みに図4(B)及び(C)において、レーザ光の焦点が光ディスク70の記録層に合焦する位置ではピークが現れていないが、これは、カバー層(すなわち光ディスク70における表面から記録層までの部分)の厚さが、BDディスクの約0.1[mm]に対して、DVDディスクでは約0.6[mm]、CDディスクでは約1.2[mm]と互いに異なっていること、及びレーザ光の波長(405[nm])が、光ディスク70に照射すべき本来の波長(660[nm]又は780[nm])と異なるためと推測される。
すなわち光ディスク装置1では、レーザ光の波長が405[nm]の場合、光ディスク70がBDディスク、DVDディスク又はCDディスクのいずれであっても、光ディスク70の表面において約100[mV]のピークを検出できることがわかる。因みに、これらの約100[mV]のピークは、レーザ光の反射率に換算すると約4〜5%に相当する。
また、光ディスク装置1において、任意の種類の光ディスク70についてプルイン信号SPIを同様に測定したところ、当該光ディスク70の種類に拘わらず、当該光ディスク70の表面においてほぼ同レベルのピークが得られた。
次に、波長780[nm]でなるレーザ光を用いた場合の、BDディスク、DVDディスク及びCDディスクにおけるプルイン信号SPIの測定結果を図4(D)〜(F)に示す。
BDディスクにおけるプルイン信号SPIを示す図4(D)では、レーザ光の焦点が光ディスク70の表面に合焦した位置p1において信号レベルが約50[mV]となっているものの、レーザ光の焦点が光ディスク70の記録層に合焦した位置p2における大きなピークに埋もれかけている。
因みに、このように位置p1の信号レベルが位置p2における大きなピークに埋もれかけているのは、レーザ光の波長(780[nm])が、BDディスクでなる光ディスク70に照射すべき本来の波長(405[nm])とは異なるためと推測される。
またDVDディスクにおけるプルイン信号SPIを示す図4(E)では、レーザ光の焦点が光ディスク70の表面に合焦した位置p3において約50[mV]のピークが現れ、またレーザ光の焦点が光ディスク70の記録層に合焦した位置p4において約800[mV]の大きなピークが現れている。
さらにCDディスクにおけるプルイン信号SPIを示す図4(F)では、レーザ光の焦点が光ディスク70の表面に合焦した位置p5において約50[mV]のピークが現れ、またレーザ光の焦点が光ディスク70の記録層に合焦した位置p6において約800[mV]以上の大きなピークが現れている。
すなわち光ディスク装置1では、レーザ光の波長が780[nm]の場合、光ディスク70がBDディスク、DVDディスク、CDディスクのいずれであっても、光ディスク70の表面において、約50[mV]のピークを検出できることがわかる。
また光ディスク装置1において、任意の種類の光ディスク70についてプルイン信号SPIを同様に測定したところ、波長405[nm]の場合と同様、当該光ディスク70の種類に拘わらず、当該光ディスク70の表面においてほぼ同レベルのピークが得られた。
このように光ディスク装置1では、光ディスク70の種類に拘わらず、当該光ディスク70の表面における反射率がほぼ一定となっており、また波長780[nm]のレーザ光よりも波長405[nm]のレーザ光を用いた場合の方が高い信号レベルを得られることが判明した。
(2−3)光量の補正
上述したレーザ光の反射に関する傾向を踏まえ、光ディスク装置1の制御部2は、図5に示すように、信号レベル測定部41及び比較部42といった複数の機能ブロックにより構成されている。
信号レベル測定部41は、光ディスク70の表面における反射レーザ光L2(すなわちプルイン信号SPI)の信号レベルを測定し、その検出結果を不揮発性メモリ3へ供給して記憶させ、又は比較部42へ供給するようになされている。
比較部42は、不揮発性メモリ3に記憶している信号レベルと、信号レベル測定部41から供給される信号レベルとを比較し、その比較結果に応じて、両者の差分値を算出してゲイン調整部43へ供給するようになされている。
これに応じてゲイン調整部43は、比較部42から供給された差分値を基に、青色用フォトディテクタ24又は赤色用フォトディテクタ26における感度を調整することにより、検出信号SDの信号レベルを変化させるようになされている。
すなわち光ディスク装置1は、制御部2によってフォーカスサーボ、トラッキングサーボ等(以下、これらRFサーボと呼ぶ)におけるゲインを調整することになる。
実際上、光ディスク装置1の制御部2は、経時変化前(例えば工場出荷時等)において、信号レベル測定部41により光ディスク70(例えばBD−ROMディスク)の表面における反射レーザ光L2(すなわちプルイン信号SPI)の信号レベルを予め測定し、これを不揮発性メモリ3に記憶させておく(以下、このときの信号レベルを基準信号レベルV0と呼ぶ)。
また制御部2は、その後の実使用状態において、光ディスク70が装填された際に、信号レベル測定部41により光ディスク70の表面における反射レーザ光L2(すなわちプルイン信号SPI)の信号レベルを再度測定し(以下、このときの信号レベルを経時信号レベルV1と呼ぶ)、比較部42により当該経時信号レベルV1が基準信号レベルV0よりも低下しているか否かを判定する。
ここで制御部2は、経時信号レベルV1が基準信号レベルV0よりも低下していた場合、青色用フォトディテクタ24又は赤色用フォトディテクタ26に対して、経時信号レベルV1を基準信号レベルV0に近づけさせるよう感度を調整するための制御信号を供給する。
これに応じて青色用フォトディテクタ24又は赤色用フォトディテクタ26は、検出した光量に対する検出信号SDの信号レベルを変化させる。この結果、制御部2は、信号レベルが調整された算出信号群(すなわちフォーカスエラー信号SFE、トラッキングエラー信号STE及び再生RF信号SRF)を供給されることになる。
すなわち光ディスク装置1は、経時変化によりレーザダイオード11が劣化し、又は塵等により対物レンズ9等の各種光学部品におけるレーザ光L1又は反射レーザ光L2の透過率が低下することにより、青色用フォトディテクタ24又は赤色用フォトディテクタ26に照射される反射レーザ光L2の光量が減少していたとしても、制御部2に供給される算出信号群の変動幅を経時変化前とほぼ同等に補正することができる。
このことは、光ディスク装置1において、実際に反射レーザ光L2の光量が工場出荷時よりも減少している場合に、当該反射レーザ光L2の光量そのものは変化させないものの、算出信号群の信号レベルを経時変化前と同等に補正することにより、制御部2に対して反射レーザ光L2の光量が工場出荷時と同等であるように認識させることになる。
この場合、光ディスク装置1は、当該光ディスク70の表面におけるレーザ光の反射率が光ディスク70の種類に拘わらずほぼ一定であることを利用しているため、基準信号レベルV0と経時信号レベルV1との測定条件を実質的に統一でき、両者を適正に比較することができる。
また光ディスク装置1は、青色レーザ光を用いて青色用フォトディテクタ24の感度を調整するだけでなく、当該青色レーザ光を用いて赤色用フォトディテクタ26の感度も調整するようになされている。
これは、光ディスク装置1において青色レーザ光及び赤色レーザ光が多くの光学部品を共有するため、両者における塵等による光量低下の度合いがほぼ同等であるとの推測、及びレーザダイオード11の劣化が青色レーザ光及び赤色レーザ光に対してほぼ同様に影響するとの推測に基づくものである。
この結果、光ディスク装置1は、光ディスク70の記録層において反射された反射レーザ光L2の光量(すなわちプルイン信号SPIの信号レベル)と、所定の基準値とを比較し、青色用フォトディテクタ24又は赤色用フォトディテクタ26の感度を調整することにより、当該記録層における反射率を高精度に算出することができるので、当該反射率を基に当該光ディスク70の種類を高精度に判別することができる。
(3)処理手順
次に、光ディスク装置1における具体的な処理手順について説明する。
(3−1)工場出荷時における基準信号レベルの測定
まず、光ディスク装置1の製造時に行われる基準信号レベル測定処理について、図6のフローチャートを用いて説明する。この場合、光ディスク装置1は、工場等で製造される過程において組み立て処理が一通り完了した後、所定の基準信号レベル設定治具(図示せず)が制御部2(図1)に接続されているものとする。
光ディスク装置1の制御部2は、基準信号レベル設定治具(図示せず)から所定の基準信号レベル設定プログラムを取得し実行することにより、図6に示す基準信号レベル設定処理手順RT1を開始し、ステップSP1へ移る。
ステップSP1において制御部2は、作業者等により光ディスク70が装填されると、当該光ディスク70が装填されたことを検出し、次のステップSP2へ移る。因みにこの光ディスク70は、表面におけるレーザ光L1の反射率が一般的な光ディスクと同等となるようになされている。
ステップSP2において制御部2は、レーザパワー制御部6(図1)を介してレーザダイオード11に所定電流を供給することにより所定光量でなる青色レーザ光を発射させ、次のステップSP3へ移る。
ステップSP3において制御部2は、引き込み動作の場合と同様、フォーカスドライバ13を介して2軸アクチュエータ8を制御することにより、レーザ光L1の焦点を光ディスク70のカバー層へ近づけさせながらプルイン信号SPIを取得し、次のステップSP4へ移る。
ステップSP4において制御部2は、プルイン信号SPIの波形が最初にピークを形成したとき、レーザ光L1の焦点が光ディスク70の表面に合焦していると認識し、このときのプルイン信号SPIの信号レベルを基準信号レベルV0として不揮発性メモリ3に書き込んだ後、次のステップSP5へ移って基準信号レベル測定処理手順RT1を終了する。
(3−2)光ディスクの判別
次に、光ディスク装置1が工場等から出荷され実際に使用される際、光ディスク70が装填されたときに当該光ディスク70の種類を判別する光ディスク種類判別処理手順RT2について、図7〜図9のフローチャートを用いて説明する。因みに光ディスク装置1の制御部2は、光ディスク70が装填されていない間、所定周期(例えば0.5秒)ごとに光ディスク種類判別処理手順RT2を実行するようになされている。
光ディスク装置1の制御部2は、光ディスク種類判別処理手順RT2を開始するとステップSP11へ移り、光ディスク70が装填されているか否かを判定する。ここで否定結果が得られると、制御部2はステップSP18へ移って光ディスク種類判別処理手順RT2を一旦終了し、当該光ディスク種類判別処理手順RT2を繰り返すことにより光ディスク70の装填を待ち受ける。
一方、ステップSP11において肯定結果が得られると、制御部2は次のステップSP12へ移り、所定のBDディスク判定処理を行うことにより、装填された光ディスク70がBDディスクであるか否かを判定する。
ここで肯定結果が得られると、このことは光ディスク70が波長405[nm]でなる青色レーザ光を前提に設計されたBDディスクであることを表しており、このとき制御部2は、次のステップSP13へ移る。
ステップSP13において制御部2は、サブルーチンとして光量補正処理手順SRT3(図8)を開始し、ステップSP21へ移る。ステップSP21において制御部2は、ステップSP2(図6)と同様、レーザパワー制御部6(図1)を介してレーザダイオード11に所定電流を供給することにより、青色のレーザ光L1を発射させ、次のステップSP22へ移る。
因みにレーザダイオード11は、この時点では劣化している可能性があるため、所定電流に対して実際に発射するレーザ光L1の光量が工場出荷時よりも減少している可能性がある。
ステップSP22において制御部2は、ステップSP3(図6)と同様、フォーカスドライバ13を介して2軸アクチュエータ8を制御することにより、レーザ光L1の焦点を光ディスク70のカバー層へ近づけさせながらプルイン信号SPIを取得し、次のステップSP23へ移る。
ステップSP23において制御部2は、プルイン信号SPIの波形が最初にピークを形成したとき、レーザ光L1の焦点が光ディスク70の表面に合焦していると認識し、このときのプルイン信号SPIの信号レベルを経時信号レベルV1として、次のステップSP24へ移る。
ステップSP24において制御部2は、不揮発性メモリ3に記憶している基準信号レベルV0と経時信号レベルV1とを比較し、次のステップSP25へ移る。
ステップSP25において制御部2は、基準信号レベルV0に対する経時信号レベルV1の比(V1/V0)が値「0.4」以下であるか否かを判定する。ここで肯定結果が得られると、このことは、本来であれば値「1」となるべき比(V1/V0)が大きく低下していること、すなわち経時変化により光ディスク70の表面に到達するレーザ光L1の光量がある程度減少していることを表しており、このとき制御部2は、次のステップSP26へ移る。
ステップSP26において制御部2は、青色用フォトディテクタ24(図2)の感度(すなわちサーボのゲイン)を+6[dB]増加させることにより、算出信号群(すなわちフォーカスエラー信号SFE、トラッキングエラー信号STE及び再生RF信号SRF)の変動幅を変化させ、この結果として当該算出信号群の信号レベルを工場出荷時に近い値にまで回復させて、次のステップSP29へ移る。
一方、ステップSP25において否定結果が得られると、このことは少なくとも比(V1/V0)が値「0.4」よりも大きいことを表しており、このとき制御部2は次のステップSP27へ移る。
ステップSP27において制御部2は、比(V1/V0)が値「0.6」以下であるか否かを判定する。ここで肯定結果が得られると、このことは、本来であれば値「1」となるべき比(V1/V0)が多少低下していること、すなわち経時変化により光ディスク70の表面に到達するレーザ光L1の光量がやや減少していることを表しており、このとき制御部2は、次のステップSP28へ移る。
ステップSP28において制御部2は、青色用フォトディテクタ24の感度(すなわちRFサーボのゲイン)を+3[dB]増加させることにより、算出信号群の変動幅を変化させ、この結果として当該算出信号群の信号レベルを工場出荷時に近い値にまで回復させて、次のステップSP29へ移る。
一方、ステップSP27において否定結果が得られると、このことは少なくとも比(V1/V0)が値「0.6」よりも大きいことを表しており、このとき制御部2は光ディスク70の表面に到達するレーザ光L1の光量が充分であるものとみなし、青色用フォトディテクタ24の感度を特に調整することなく、次のステップSP29へ移る。
ステップSP29において制御部2は、光量補正処理手順SRT3を終了し、元の光ディスク判別処理手順RT2(図7)のステップSP13へ戻った上で、その次のステップSP14へ移る。
ステップSP14において制御部2は、ディスクチェック処理として、青色のレーザ光L1が光ディスク70の記録層において反射された反射レーザ光L2の光量等を基に、所定のBDディスク判別処理を行うことにより、少なくともBDディスクであることが判別されている当該光ディスク70がBD−ROM、BD−R又はBD−RE等のうちいずれであるか、及び記録層が1層又は2層のいずれであるか等を判別して、次のステップSP18へ移って光ディスク判別処理手順RT2を終了する。
一方、ステップSP12において否定結果が得られると、このことは光ディスク70がDVDディスク又はCDディスクのいずれかであること、すなわち当該光ディスク70から情報を読み出すには波長660[nm]又は780[nm]でなる赤色レーザ光を用いるべきであることを表しており、このとき制御部2は次のステップSP15へ移る。
ステップSP15において制御部2は、ステップSP13の場合と同様、光量補正処理手順SRT3(図8)を実行し、次のステップSP16へ移る。
このとき制御部2は、光ディスク70がDVDディスク又はCDディスクのいずれかであることが判別しているものの、光量補正処理手順SRT3において、敢えて青色のレーザ光L1を用いて経時信号レベルV1を測定し、基準信号レベルV0に対する比(V1/V0)を基に、RFサーボのゲインとして赤色用フォトディテクタ26の感度を調整する。
ステップSP16において制御部2は、タスク変更処理として、レーザダイオード11から発射するレーザ光を青色レーザ光から赤色レーザ光に切り換え、次のステップSP17へ移る。
ステップSP17において制御部2は、赤色のレーザ光L1が光ディスク70の記録層において反射された反射レーザ光L2の光量等を基に、所定のDVD/CDディスク判別処理を行う。これにより制御部2は、少なくともDVDディスク又はCDディスクのいずれかである当該光ディスク70が、DVD−ROM、DVD−R若しくはDVD−RW、又はCD−ROM、CD−R若しくはCD−RW等のうちいずれであるかを判別し、さらにDVDディスクの場合には記録層が1層又は2層のいずれであるか等を判別して、次のステップSP18へ移って光ディスク判別処理手順RT2を終了する。
(4)動作及び効果
以上の構成において、光ディスク装置1は、工場出荷時に青色のレーザ光L1を光ディスク70の表面において反射させた反射レーザ光L2の光量(プルイン信号SPI)を測定し、このときの信号レベルを基準信号レベルV0として不揮発性メモリ3に記憶させておく。
その後光ディスク装置1は、光ディスク70が装填された際、同様に青色のレーザ光L1を当該光ディスク70の表面において反射させた反射レーザ光L2の光量(プルイン信号SPI)を測定して経時信号レベルV1とし、これを基準信号レベルV0と比較することにより、当該光ディスク70の表面に到達する光量の減少度合いを認識する。
さらに光ディスク装置1は、認識した光量の減少度合いに応じて青色用フォトディテクタ24又は赤色用フォトディテクタ26の感度を調整することにより、算出信号群の信号レベルを工場出荷時における信号レベルに近づけさせる。
従って光ディスク装置1は、光ディスク70の表面における反射レーザ光L2の光量を比較して青色用フォトディテクタ24又は赤色用フォトディテクタ26の感度を調整することにより、RFサーボのゲインを調整し、当該レーザダイオード11の劣化や対物レンズ9等の光学系部品に付着した塵等の経時的な要因による光量の低下を制御部2に認識させることなく、当該制御部2に対して工場出荷時と同様の算出信号群を供給することができる。
このとき光ディスク装置1は、基準信号レベルV0の測定に使用した光ディスク70の種類と経時信号レベルV1の測定に使用した光ディスク70の種類とが互いに異なっていたとしても、当該光ディスク70の表面におけるレーザ光L1の反射率が当該光ディスク70の種類に拘わらずほぼ一定であることを利用しているため(図4)、任意の種類の光ディスク70を用いた場合であっても基準信号レベルV0と経時信号レベルV1との測定条件を実質的に統一することができ、反射レーザ光L2の光量の減少度合いを高精度に認識することができる。
この結果、光ディスク装置1は、反射レーザ光L2の光量を基に光ディスク70の種類を判別する際に、経時変化の影響を受けることなく、光ディスク70の記録層における反射率の違いに起因する、反射レーザ光L2の光量の違いを正しく検出することができる。
すなわち光ディスク装置1は、光ディスク70の記録層における反射率を高精度に算出することができるので、当該反射率を基に当該光ディスク70の種類を高精度に判別することができる。
ところで、例えば光ディスク装置1において、フォーカスエラー信号SFEが描く、いわゆる「S字曲線」(図4)の振幅を比較することによりレーザ光L1の光量を調整する手法も考えられる。
しかしながらこの手法では、光ディスク70におけるカバー層の厚さにより「S字曲線」が大きく変化するため、当該光ディスク70の種類によりレーザ光L1の光量の調整結果が異なる可能性が高い。
またこの手法では、エキスパンダ18(図2)の補正状態により当該「S字曲線」の振幅が変化してしまう可能性が高く、さらにレーザ光L1の波長と光ディスク70の種類(光ディスク70を構成する材料の種類)によっては、当該「S字曲線」をうまく検出できない可能性もある(図4(D)等)。
これに対して、光ディスク装置1のように光ディスク70の表面における反射レーザ光L2の光量(すなわちプルイン信号SPIの信号レベル)を用いる場合、エキスパンダ18の補正状態による変動の影響が比較的小さいといった利点がある。
また光ディスク装置1では、レーザ光L1(反射レーザ光L2)が光ディスク70の内部を透過する前に表面で反射したときの信号レベルを用いることから、当該光ディスク70を構成する材料の種類の影響を殆ど受けずに済む。この結果、光ディスク装置1は、実質的にこれらの影響を無視することができるので、基準信号レベルV0と経時信号レベルV1とを正しく比較することができ、レーザ光L1の光量を精度良く調整することができる。
また光ディスク装置1は、当該光ディスク装置1内の温度変化等に起因してレーザダイオード11の出力特性が変化していたとしても、実際に測定した経時信号レベルV1と基準信号レベルV0との比較結果に基づいて青色用フォトディテクタ24又は赤色用フォトディテクタ26の感度を調整するため、このときの温度に拘わらず、制御部2に供給される算出信号群の信号レベルを工場出荷時とほぼ同等に揃えることができる。
さらに光ディスク装置1は、基準信号レベルV0及び経時信号レベルV1を測定する際に波長405[nm]の青色レーザ光を用いることにより、波長780[nm]の赤色レーザ光を用いた場合よりも高い信号レベルを得ることができるので(図4)、当該経時信号レベルV1と当該基準信号レベルV0との比較精度を高めることができる。
以上の構成によれば、光ディスク装置1は、光ディスク70の表面におけるレーザ光L1の反射率が当該光ディスク70の種類に拘わらずほぼ一定であることを利用し、青色のレーザ光L1を任意の光ディスク70の表面において反射させた反射レーザ光L2の光量を測定して経時信号レベルV1とし、これを工場出荷時に測定した基準信号レベルV0と比較して当該光ディスク70の表面に到達する光量の減少度合いを認識し、その減少度合いに応じてRFサーボのゲインとして青色用フォトディテクタ24又は赤色用フォトディテクタ26の感度を調整することにより、経時的な要因により低下した算出信号群の信号レベルを工場出荷時と同程度まで補正することができるので、光ディスク70の記録層における反射率を高精度に認識でき当該光ディスク70の種類を高い確度で判別することができる。
(5)他の実施の形態
なお上述した実施の形態においては、青色用フォトディテクタ24又は赤色用フォトディテクタ26の感度を調整することによりRFサーボのゲインを調整するようにした場合について述べたが、本発明はこれに限らず、例えばAD変換器31においてフォーカスエラー信号SFE、トラッキングエラー信号STE及び再生RF信号SRFをAD変換処理する際のゲインやオフセット等を調整するようにし、又はサーボエラー信号生成回路30においてアナログ信号としてのフォーカスエラー信号SFE、トラッキングエラー信号STE及び再生RF信号SRFを生成する際に係数を乗じるようにし、当該係数を制御部2の制御に基づき変更することにより算出信号群の信号レベルを調整するようにしても良い。
また、例えばレーザパワー制御部6におけるゲインを調整することにより、実際のレーザ光L1及び反射レーザ光L2の光量を変更して算出信号群の信号レベルを調整する等しても良く、さらにはこれらを適宜組み合わせてRFサーボのゲインを調整するようにしても良い。
さらに上述した実施の形態においては、工場出荷時に基準信号レベルV0を測定する際に用いる光ディスク70をBD−ROMディスクとするようにした場合について述べたが、本発明はこれに限らず、他の種類の光ディスク70を用いて基準信号レベルV0を測定するようにしても良い。
さらに上述した実施の形態においては、基準信号レベルV0を1種類のみ用いるようにした場合について述べたが、本発明はこれに限らず、例えばBDディスクでなる光ディスク70を用いて測定した基準信号レベルV0bdと、DVDディスクでなる光ディスク70を用いて測定した基準信号レベルV0dvdとを記憶しておき、光ディスク装置1に装填された光ディスク70がBDディスクであるか否かを判定した後、その判定結果に応じて基準信号レベルV0bd又は基準信号レベルV0dvdを切り換えて用いるようにしても良い。
これにより、例えばBDディスクと、DVDディスク及びCDディスクとの間で表面の反射率が微妙に異なる傾向があったとしても、基準信号レベルV0bd又は基準信号レベルV0dvdと経時信号レベルV1とを高精度に比較することができる。
さらに上述した実施の形態においては、光ディスク装置1がBDディスク、DVDディスク又はCDディスクでなる光ディスク70の種類を判別するようにした場合について述べたが、本発明はこれに限らず、例えばHD DVD(登録商標)ディスク、BDディスク、DVDディスク又はCDディスクでなる光ディスク70の種類を判別する等、他の種類でなる光ディスク70を判別するようにしても良い。
この場合、図4に示した傾向から、光ディスク70の表面における反射レーザ光の光量を測定する際に、レーザダイオード11が発射し得るレーザ光L1のうち、波長が最も短いレーザ光を用いるようにすれば、良好な信号レベルを得られると推測される。
さらに上述した実施の形態においては、波長405[nm]でなる青色レーザ光を用いて基準信号レベルV0及び経時信号レベルV1をそれぞれ測定するようにした場合について述べたが、本発明はこれに限らず、例えば波長780[nm]や波長660[nm]でなる赤色のレーザ光L1を用いて基準信号レベルV0及び経時信号レベルV1をそれぞれ測定するようにしても良い。この場合、図4に示したように、青色のレーザ光L1を用いた場合よりもプルイン信号SPIの信号レベルが低減するため、比較時の精度が低下することになるものの、基準信号レベルV0及び経時信号レベルV1自体は測定することができるので、信号レベルの比(V1/V0)を算出してゲインを調整することも可能となる。
さらに上述した実施の形態においては、光ディスク70の表面における反射レーザ光L2の光量を測定する際に波長405[nm]でなる青色のレーザ光L1を用いるようにした場合について述べたが、本発明はこれに限らず、例えばBlu−ray Disc(登録商標)の規格等に則った波長405[nm]±5[nm]程度の範囲でなる青色のレーザ光L1であっても良く、要はBDディスクからの情報の再生又は記録に用いられる波長であれば良い。
さらに上述した実施の形態においては、光ディスク70の表面における反射レーザ光L2の光量を測定する際に、レーザ光L1の波長を、BDディスク用の405[nm]又はCDディスク用の780[nm]等の光ディスク70から情報を再生する際に使用する波長とするようにした場合について述べたが、本発明はこれに限らず、例えばレーザダイオード11が波長500[nm]、すなわちBDディスク、DVDディスクまたはCDディスクのいずれにおいても情報の再生時に使用しない波長でなるレーザ光L1をも発射し得る場合に、当該波長500[nm]のレーザ光L1を用いて光ディスク70の表面における反射レーザ光L2の光量を測定するようにしても良い。
さらに上述した実施の形態においては、光ピックアップ7において、BDディスク用の405[nm]、DVDディスク用の660[nm]及びCDディスク用の780[nm]といった3種類の波長でなるレーザ光L1をいずれも対物レンズ9から光ディスク70へ照射する、すなわち光学経路を1系統とした場合について述べたが、本発明はこれに限らず、例えば光ピックアップにBDディスク用の青色用対物レンズとDVDディスク・CDディスク用の赤色用対物レンズとの2つの対物レンズが設けられ、2系統の光学経路を有するようにしても良い。
この場合、波長405[nm]の青色レーザ光が通過する光学部品と波長660[nm]又は波長780[nm]の赤色レーザ光が通過する光学部品とは別個のものとなるが、同一の光ディスク装置内に設けられていることから、両者における塵等の付着具合やレーザダイオードの劣化具合がほぼ同様であると推測される。このため、青色レーザ光を用いて測定した基準信号レベルV0及び経時信号レベルV1を基に、青色用フォトディテクタ24のみでなく赤色用フォトディテクタ26の感度を調整したとしても、充分に有効な調整を行うことができる。
さらに上述した実施の形態においては、工場出荷時に実際に光ディスク装置1において基準信号レベルV0を測定するようにした場合について述べたが、本発明はこれに限らず、例えばレーザダイオード11の特性のばらつきや各光学部品のばらつき等が小さいことが判明している場合に、基準信号レベルV0を測定することなく、予め決定した基準信号レベルV0を工場出荷時に不揮発性メモリ3に記憶させるようにしても良い。
さらに上述した実施の形態においては、信号レベルの比(V1/V0)が値0.4未満、値0.4以上値0.6未満、又は値0.6以上の3通りに分類してゲインを補正するようにした場合について述べたが、本発明はこれに限らず、例えば2通り又は4通り以上に分類してゲインを補正してもよい。この場合の閾値となる信号レベルの比(V1/V0)は、適宜選定すれば良い。
またゲインの補正手法としては、+3[dB]や+6[dB]のように一定のゲインにより補正するのみでなく、所定の係数や関数を用いた演算処理によりゲインを補正し、或いは予め信号レベルの比(V1/V0)とゲインとの対応テーブルを作成しておき、当該対応テーブルに従ってゲインを補正する等しても良い。
さらに上述した実施の形態においては、光ディスク装置1が光ディスク70から情報を再生する際に本発明を適用するようにした場合について述べたが、これに限らず、当該光ディスク装置1が当該光ディスク70に情報を記録する際に本発明を適用するようにしても良い。
さらに上述した実施の形態においては、対物レンズとしての対物レンズ9と、駆動手段としての2軸アクチュエータ8と、受光手段としての青色用フォトディテクタ24及び赤色用フォトディテクタ26と、測定手段としての信号レベル測定部41と、サーボ制御手段としての制御部2と、記憶手段としての不揮発性メモリ3と、比較手段としての比較部42と、調整手段としての制御部2及び青色用フォトディテクタ24及び赤色用フォトディテクタ26とによって光ディスク装置としての光ディスク装置1を構成する場合について述べたが、本発明はこれに限らず、その他種々の回路構成でなる対物レンズと、駆動手段と、受光手段と、サーボ制御手段と、測定手段と、記憶手段と、比較手段と、調整手段とによって光ディスク装置を構成するようにしても良い。
1……光ディスク装置、2……制御部、3……不揮発性メモリ、6……レーザパワー制御部、7……光ピックアップ、8……2軸アクチュエータ、9……対物レンズ、11……レーザダイオード、24……青色用フォトディテクタ、26……赤色用フォトディテクタ、30……サーボエラー信号生成回路、31……AD変換器、41……信号レベル検出部、42……比較部、70……光ディスク、SRF……再生RF信号、SPI……プルイン信号。