JP4767113B2 - シロアリ防除剤 - Google Patents
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Description
これまでに、有効成分として塩化カルシウムを使用する家害虫駆除および忌避剤が知られている(特許文献1、2)。この駆除ないし忌避作用は、塩化カルシウムが家害虫の細胞内に吸収されると、細胞内の電解バランスが崩れて、細胞膜が破壊されてしまうことによる。
しかし、土壌処理と木部処理とで異なる防除剤を使用する場合、それぞれを散布する噴霧器を複数、現場に用意するか、あるいは、薬液を変えるたびに噴霧器の洗浄等を行う必要があり、コスト面でも、労力面でも改善が求められていた。
そこで本発明は、上記問題点を解決し、家害虫、特にシロアリに対する防除効果が高く、かつ、人体に対して安全な防除剤を提供することを目的とする。
別の本発明は、上記本発明に係る害虫防除剤を土壌処理および/または木部処理に使用するシロアリ防除方法に関する。
さらに、この害虫防除剤は、シロアリに対して特に有用であり、土壌処理と木部処理の双方に適用できるため、現場での施工を容易に、効率よく行うことができる。
塩化カルシウムは、無水塩でも含水塩(1〜6水塩)でも、どちらも用いることができる。
界面活性剤の種類は特に限定されず、アニオン界面活性剤、非イオン界面活性剤等を使用することができる。なかでも、浸透性、乳化・分散性などの観点から、非イオン界面活性剤が好ましく、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシプロピレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシプロピレンアルキルフェニルエーテル等のエーテル型の非イオン界面活性剤が特に好ましい。
界面活性剤の配合量は、特に限定されないが、害虫防除剤中に1〜5重量%程度であることが望ましく、2〜4重量%であることがより望ましい。
防錆剤の種類は特に限定されず、無機系、有機系のどちらの化合物でもよい。具体的には、たとえば、タングステン酸ナトリウム、モリブデン酸ナトリウム、亜硝酸ナトリウム、安息香酸ナトリウム、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、1,2,3−ベンゾトリアゾール等が挙げられる。
さらに、乳化・分散性、操作性の観点から、界面活性剤系の防錆剤(あるいは、防錆効果を有する界面活性剤)を用いることが好ましい。防錆効果を有するものである限り、特に限定はされないが、非イオン界面活性剤系防錆剤が好ましく、なかでも、アルキルアミンの忌避効果も加わるために、ポリオキシエチレンアルキルアミン、ジポリオキシエチレンアルキルアミン等のアルキルアミン系防錆剤を好ましく用いることができる。
界面活性剤系の防錆剤を使用することにより、防錆効果に加えて、上述の界面活性剤の効果も得られるため、防除効果をより高めることができる。
防錆剤の配合量は、特に限定されないが、害虫防除剤中に0.1〜20重量%程度であることが好ましく、0.2〜10重量%であることがより好ましく、0.5〜5重量%であることが一層好ましい。
トロポロン誘導体は、下記一般式(1)で示される化合物である。7員環の水酸基やカルボニル基が金属錯体や金属塩を形成したり、水酸基がエステルまたはエーテルを形成したりしていてもよい。
好ましくは、ヒノキチオールとして、青森ヒバ等のヒバ材(端材、大鋸屑等)の水蒸気蒸留等により得られるヒバ油(ヒバ精油)を使用できる。ヒバ油は、通常、ヒノキチオールを約2重量%含み、その他に様々な成分を含んでいる。 これらのヒノキチオール以外の成分も、害虫防除効果に寄与することが考えられるため、好ましい実施形態として、ヒバ油と塩化カルシウムと水とを含む構成、必要に応じてさらに界面活性剤および/または防錆剤を含む構成が挙げられる。
具体的には、ヒノキチオール等のトロポロン誘導体の害虫防除剤への配合量は、5ppm(0.0005重量%)以上であることが好ましく、10ppm以上であることがより好ましく、20ppm以上であることがさらに好ましい。その配合量の上限値は、特に限定はされないが、あまり多量に配合しても得られる効果に相違はないため、1000ppm(0.1重量%)以下程度であることが好ましく、200ppm(0.02重量%)以下程度であることがより好ましく、100ppm以下程度であることが一層好ましい。
このように、ヒバ油を配合する場合でも、その配合量を従来に比べて極めて低量に、最少量に抑えることができるため、処理後に不快感を与えることがない。
この特定の補助剤は、硫酸塩またはアルギン酸塩であり、たとえば硫酸カルシウム、硫酸バリウム、またはアルギン酸ナトリウムを用いることが好ましい。これらの2種以上の化合物を併用してもよい。
その配合量は、1〜20重量%であることが好ましく、5〜15重量%であることがより好ましい。
害虫防除剤は、塩化カルシウムと水に、必要に応じて添加される上記任意の成分を混合して、水溶液または分散液の形態で調製される。実際の施工には大量の薬剤の散布が必要となるため、害虫防除剤の調製は、施工現場で行うようにすることが好ましい。
以下、シロアリ駆除に使用する場合を例に、適用方法等を説明する。
土壌処理の場合は、一般に、土壌表面に薬剤を散布して防蟻層を形成するようにする。木部処理は、木材表面に薬剤を噴霧器を用いて吹き付け処理するか、あるいは、刷毛等で塗布する方法と、木材や壁体に穿孔して薬液を注入する方法がある。または、害虫防除剤をシートに適用し、そのシートを土壌表面に敷設することもできる。
塩化カルシウム(無水塩換算)の重量としては、0.1〜3kg/m2の散布量となるように処理することが好ましく、0.2〜2kg/m2の散布量となるように処理することがより好ましい。
硫酸カルシウム、硫酸バリウム、またはアルギン酸ナトリウムの処理量は、特に限定されず、その有効成分の濃度や適用箇所により適宜設定すればよい。たとえば、粉体形態での事前散布の場合は、0.1〜1kg/m2程度の補助剤を用いることが好ましく、水溶液または水懸濁液での事後散布の場合は、0.1〜1kg/m2程度の補助剤が散布されるように、その散布量(通常は1〜5L/m2程度)と濃度を調整することが好ましい。
<土壌貫通試験>
直径5cm、高さ3cmのポリエチレン容器に、砂壌土を1cmの高さに詰めた。その砂壌土の中心部分に、内径1.5cmの透明アクリル円筒を立て、その中に砂壌土を4cmの高さに詰めて、上部から処理量5L/m2の試験液をしみこませた。風乾後、透明アクリル円筒の砂壌土には2.5mlの水を、ポリエチレン容器内の砂壌土には1mlの水をそれぞれ加えて湿らせ、透明アクリル円筒の上部に、シロアリの餌となるα−セルロースを1cmの高さに詰め、上端をラップフィルムで密封した。ポリエチレン容器内にイエシロアリ職蟻50頭を入れ、21日後までの土壌貫通状態を調べた。
シロアリが透明アクリル円筒内の土壌処理層を貫通しなかった場合を○、シロアリが土壌処理層を貫通し、α−セルロース層へ到達した場合を×として評価した。
試験液25mlを50ml蓋付ガラス瓶に入れ、鉄製テストピース(SS−400、40mm×20mm×2mm)を浸漬後、密閉し40℃、30日間恒温機内で静置した。その後、テストピースを取り出し、錆の発生程度を観察した。
鉄腐食の程度は、以下の基準に従って判断した。5:極めて激しい腐食あり、4:激しい腐食あり、3:腐食あり、2:わずかに腐食あり、1:ほとんど腐食なし。
表1に示す各実施例、参考例および比較例の試験液を調製した。コントロールとして、試験液で処理しない土壌も試験した。試験区はそれぞれ3区とした。
補助剤の事前散布は、粉体形態で行い、0.5kg/m2となる量の補助剤を砂壌土に散布し、その後試験液をしみこませるようにした。補助剤の事後散布は、補助剤を水懸濁液として調製し、試験液を砂壌土にしみこませてから、0.5kg/m2となる量の補助剤が散布されるように砂壌土に加えた。
得られた結果を表2〜3に示す。
塩化カルシウム(讃岐化成株式会社製試薬;CaCl2)
界面活性剤:ポリオキシエチレンアルキルエーテル(ミヨシ油脂株式会社製「ペレソフト NSC」)
防錆剤:ポリオキシエチレンアルキルアミン(ミヨシ油脂株式会社「ミューロン」)
補助剤A:硫酸カルシウム:和光純薬工業株式会社製試薬(CaSO4)
補助剤B:硫酸バリウム:和光純薬製工業株式会社試薬(BaSO4)
補助剤C:アルギン酸ナトリウム:和光純薬工業株式会社製試薬
さらに、上記各実施例の試験液を用いて、ヤマトシロアリ100頭に対し、同様の土壌貫通試験を行った結果、土壌処理層の貫通は見られなかった。
Claims (7)
- 塩化カルシウムと水を含む害虫防除剤であって、前記塩化カルシウムの含有量が10〜50重量%であり、
添加剤として、界面活性剤、防錆剤、硫酸塩、およびアルギン酸塩からなる群から選ばれる1種または2種のみを含み、かつ、少なくとも防錆剤を含み、
前記防錆剤はポリオキシエチレンアルキルアミンを含み、かつ
前記防錆剤の含有量が0.1〜20重量%であることを特徴とするシロアリ防除剤。 - 塩化カルシウムと水を含む害虫防除剤であって、前記塩化カルシウムの含有量が10〜50重量%であり、
添加剤として、界面活性剤、防錆剤、硫酸塩、およびアルギン酸塩からなる群から選ばれる1種または2種のみを含み、かつ、少なくとも硫酸塩またはアルギン酸塩を含み、
前記硫酸塩またはアルギン酸塩が、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、およびアルギン酸ナトリウムからなる群から選ばれた1種以上の塩であって、その含有量が1〜20重量%であることを特徴とするシロアリ防除剤。 - 前記防錆剤を含む場合の防錆剤の含有量が0.1〜20重量%である請求項2記載のシロアリ防除剤。
- 前記界面活性剤を含む場合の界面活性剤の含有量が1〜5重量%である請求項1または2記載のシロアリ防除剤。
- 請求項1〜4のいずれか1項記載のシロアリ防除剤を土壌処理および/または木部処理に使用するシロアリ防除方法。
- 塩化カルシウムと水を含み、前記塩化カルシウムの含有量が10〜50重量%であり、添加剤として、界面活性剤または防錆剤を含み、前記防錆剤はポリオキシエチレンアルキルアミンを含むシロアリ防除剤を散布または塗布する工程を含むシロアリ防除方法であって、
前記シロアリ防除剤の散布または塗布の前に、散布または塗布と同時に、あるいは散布または塗布の後に、硫酸塩またはアルギン酸塩を散布または塗布する工程を含むシロアリ防除方法。 - 前記硫酸塩またはアルギン酸塩が、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、およびアルギン酸ナトリウムからなる群から選ばれた1種以上の塩である請求項6記載のシロアリ防除方法。
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