以下、図面を参照しながら本発明を実施するための形態を、複数の形態について説明する。各形態で先行する形態で説明している事項に対応している部分には同一の参照符を付し、重複する説明を略する場合がある。構成の一部のみを説明している場合、構成の他の部分は、先行して説明している形態と同様とする。実施の各形態で具体的に説明している部分の組合せばかりではなく、特に組合せに支障が生じなければ、実施の形態同士を部分的に組合せることも可能である。
図1は、本発明の第1の実施形態に係るドライブレコーダ1と制御装置2との関係を表す斜視図である。図2は、ドライブレコーダ1を部分的に変更した変更形態の斜視図である。図3は、車両3へのカメラ取付け位置を説明するための図である。図4は、センタ4を表す図であり、図4(a)はセンタ機器構成を表す図であり、図4(b)は、ディスプレイ4aに車両3の走行軌跡、撮像画像およびGセンサ計測値を出力した一態様を表す図である。第1の実施形態では、車両3に予め搭載される運行管理の制御装置2(AVM−ECU2という場合がある)に、ドライブレコーダ1が電気的に接続されて設けられる。たとえば400MHz帯域のデジタル式無線周波数を用いて、制御装置2から車両3の位置、時間および動態情報をセンタ4へ送信可能であり、センタ4は、これらの情報に基づいて、複数の車両3のうち特定車両に配車指示を行うようになっている。またセンタ4は、前記無線周波数などを用いて、制御装置2を介してドライブレコーダ1に画像撮影要求を実施する。ただし適用する無線周波数は400MHz帯域に必ずしも限定されるものではない。たとえば携帯電話機用に割り当てられた周波数帯域を適用する場合もある。デジタル式無線周波数ではなく、アナログ式無線周波数を適用する場合もあり得る。
第1の実施形態に係る運転情報記録装置としてのドライブレコーダ1(第1ドラレコ1と称す)は、制御装置2からの車両3の位置、時間および動態情報(これらを情報等と称す)を記録するとともに、予め定める条件が成立した場合に、前記情報等と関連付けて画像および音声情報を記録するように構成されている。センタ機器は、第1ドラレコ1に記録されたこれらの情報を解析可能かつ出力可能に構成されている。
第1ドラレコ1は、ドライブレコーダ本体5(ドラレコ本体5と称す)、撮像手段であるカメラ6、車室内の音声情報を取得する音声情報取得手段であるマイク7および警告情報を発する情報出力手段であるブザー8を有する。カメラ6およびマイク7は、ドラレコ本体5に電気的に接続されて別体に設けられ、ブザー8はドラレコ本体5に一体に設けられる。当該車両3には少なくとも一台のカメラ6が設けられる。カメラ6はCCDカメラ(CCD:Charge Coupled Device)によって実現される。このカメラ6は、図3の矢符
D1で表記する車両前方方向を撮影すべくたとえばルームミラー裏のフロントガラス3aに、図示外のブラケットを介して貼り付けられる。つまりこのカメラ6は車両前方に向けて固定される。第1ドラレコ1では、オプションとして、当該車両3に二台目または三台目のカメラ6を設けることが可能であり、具体的には車室3内の撮影用カメラ6A、または車両後方の撮影用カメラ6Bを設けることも可能である。ドラレコ本体5には、これらのカメラ6を撮像するための撮影スイッチ9が電気的に接続されて別体に設けられる場合もある。
また図2に示すように、ドラレコ本体5に、GPS(GPS:Global Positioning
System)アンテナ10および図示外のGPSレシーバなどが付加されたドライブレコーダ1Aを車両に適用することも可能である。
図5はドライブレコーダ1の斜視図であり、図6はドライブレコーダ1の正面図である。ドラレコ本体5には、記録媒体であるCFカード11(CF:Compact Flash)が挿抜可能に構成されている。このCFカード11は、通電しなくても記憶が消えないフラッシュメモリと、外部との入出力を受け持つコントローラ回路とを一枚のカードにまとめた構造になっている。ドラレコ本体5のうち後述する第1RAM12(RAM:Random
Access Memory)に、車両周辺画像、車室内のマイクからの音声情報、位置、個人、時間および実空車情報を含む運転情報がエンドレスで順次記録される。予め定める条件が成立した場合に前記CFカード11に、これらの情報の少なくとも一部が記録される。特に、後述する実空車のトリガの場合は、複数の運転情報のうち、音声および実空車情報のみがCFカード11に記録されるようになっている。
図7は、ドライブレコーダ1、制御装置2およびセンタ4の電気的構成を表すブロック図である。図8は、ドライブレコーダ1の電気的構成を表すブロック図である。図9は、制御装置2の電気的構成を表すブロック図である。ドラレコ本体5は、制御手段としての第1CPU13(CPU:Central Processing Unit)と、第1ROM14(ROM:
Read Only Memory)と、記憶手段としての前記第1RAM12と、CFカードインターフェース15と、JPEG IC16(JPEG:Joint Photographic coding Experts
Group、IC:Integrated Circuit)と、ビデオスイッチ17と、発光ダイオード18(略称LED:Light Emitting Diode、図5参照)とを有する。ドラレコ本体5は、USBホスト機能を有する手段であるUSB HOST19(USB:Universal Serial Bus)と、USBインタフェース20と、制御装置2との間で情報のやりとりを行う第1通信用ドライバ21と、LCD操作器コネクタ22(LCD:Liquid Crystal Display)と、第1バッファ23と、制御装置2からの電源起動信号を検出する第1回路24と、ウォッチドッグ機能を有する第1ウォッチドッグIC25と、第1電源部26と、Gセンサ27と、車速パルスを集計する図示外のカウンタとをさらに有する。LCD操作器コネクタ22には、後述するメンテナンスモード用のLCD操作器28が接続可能に構成されている。Gセンサ27は、車両3の前後方向および左右方向に作用する重力加速度いわゆるGセンサ出力値を検出するセンサである。当該車両3の運転席に着座した乗務員の正面方向およびその後方を前後方向とし、当該車両3に着座した乗務員の左および右方向を左右方向とする。前後および左右方向に直交する方向を上下方向とする。前記前後方向をY軸方向と定義し、前記左右方向をX軸方向と定義する。X軸方向のGセンサ出力値とY軸方向のGセンサ出力値とは、独立して検出されて記録される。
前記第1RAM12は第1のSD−RAM29(SD−RAM:Synchronous DRAM)お
よび第2のSD−RAM30を備え、第1のSD−RAM29は、カメラで撮影した生の画像を一旦記録するもので、記録した画像がJPEG形式の画像データに変換される。第2のSD−RAM30は、JPEG形式に変換された画像データ、前記Gセンサ27からのGセンサ出力値および音声などをエンドレスで巡回的に記録するように構成されている。第1CPU13に、第1ROM14、第2のSD−RAM30、CFカードインターフェース15がそれぞれ電気的に接続され、第1CPU13に、JPEG IC16を介して第1のSD−RAM29およびビデオスイッチ17が電気的に接続されている。前記ビデオスイッチ17は、複数のカメラ6,6A(6B)が設けられる場合に所定時間間隔で撮像するカメラ6,6A(6B)を切換えるための切換えスイッチである。第1CPU13には、USB HOST19を介してUSBインタフェース20が電気的に接続されるとともに、通信用ドライバ21、LCD操作器コネクタ22、第1バッファ23、第1ウォッチドッグIC25、Gセンサ27がそれぞれ電気的に接続されている。第1バッファ23は前記第1回路24に電気的に接続される。第1ウォッチドッグIC25には、第1電源部26が電気的に接続される。また第1CPU13は、制御装置2からの電源オン情報に基づいて、主電源である第1電源部26を立ち上げるように構成される。また制御装置2から電源起動信号が得られない場合、制御装置2とは接続されていないものとして、通信用ドライバ21からの入力をスイッチでGPSアンテナ側への入力に切替える。これによって、制御装置2からの位置情報の代わりに単独でGPSからの位置を検出できる。
制御装置2は、AVM用の第2CPU31、第2ROM32および第2RAM33を備えるマイクロコンピュータと、第2バッファ34と、GPS(GPS:Global
Positioning System)レシーバ35と、GPSアンテナ36と、ASIC37(ASIC:Application Specific Integrated Circuit)と、第2通信用ドライバ38と、LCD操作器39と、第3バッファ40と、車両3からのHi/Lo信号を検出する第2回路41と、第2ウォッチドッグIC42と、第2電源部43とを有する。第2CPU31に、第2ROM32、第2RAM33がそれぞれ電気的に接続されるとともに、第2バッファ40を介してPCMCIA規格に準拠したカードMが電気的に接続される。第2CPU31に、ASIC37を介して第2通信用ドライバ38が電気的に接続され、この第2通信用ドライバ38に400MHz帯域のデジタル式無線周波数で送受信可能なデジタル無線機45が電気的に接続されている。ところで第1の実施形態では、制御装置2にGPSレシーバ35およびGPSアンテナ36が設けられる構成になっているが、図2に示すように、ドラレコ本体5にGPSレシーバおよびGPSアンテナ10が設けられる構成にすることも可能である。
位置情報、時間情報はGPSアンテナ36およびGPSレシーバ35を用いて取得され、乗務員データはLCD操作器39から入力可能になっている。実空車情報は、運転者で操作がなされる実空車操作手段としての実車/空車メータ44から取得される。実車/空車メータ44には、運転者操作によって作動するスイッチが設けられている。乗客が車内に入り、行き先を確認した時点で運転者により実車側にスイッチのスイッチング状態が操作される。目的地に到着すると、運転者により空車側にスイッチのスイッチング状態が操作され、精算がなされる。
これら位置情報や時間情報、乗務員データおよび実空車情報は、一旦第2RAM33に記憶される。センタ4からデジタル無線機45を介して情報送信の要求があると、第2RAM33に記憶されたこれらの情報を、デジタル無線機45を介してセンタ4へ送信する。また定期的に制御装置2が自発的にセンタ4へ送信してもよい。さらに制御装置2はセンタ4からデジタル無線機45を介して配車要求があると、その旨をスピーカSPを介して運転手に伝える。
このような基本的な機能を元々制御装置2は有しているので、制御装置2は、得られた位置情報や時間情報、乗務員データおよび実空車情報をドライバ38を介してドライブレコーダ1へシリアル通信ラインSLで送信する。ドライブレコーダ1は、それらの情報を第1通信用ドライバ21を介して受信し、第2のSD−RAM30に記憶する。
図10は、制御装置2の要部の電気的構成を表すブロック図である。図11は、ドライブレコーダ1の要部の電気的構成を表すブロック図である。図12は、ウォッチドッグパルスが停止または規定の周期で動作しない場合、ハードウェアによりリセットをかける遅延回路を説明する図である。図10に示すように、制御装置2において、論理和回路46つまりOR回路46の入力側一方46aに車両3のアクセサリー電源が接続され、前記OR回路46の入力側他方46bに第2CPU31からの制御信号が供給される。前記OR回路46、第2CPU31間に接続される第2電源部43から、ドライブレコーダ1側に電源オン信号S1が供給される。すなわち図11に示すように、ドライブレコーダ1において、OR回路47の入力側一方47aにアクセサリー電源が接続され、前記OR回路47の入力側他方47bに前記電源オン信号S1が供給される。
ドライブレコーダ1は、アクセサリー電源から供給されるACC信号がオンまたは制御装置2の電源オンで起動する。またドライブレコーダ1は、ACC信号がオフでかつ、制御装置2の第2電源部43がオフ(図12の立ち下がり信号)になっても、データ記録を実施できるように、ソフトウェアにより終了制御するようになっている。図12に示すように、制御装置2の動作中ソフトウェアでウォッチドッグパルス(図12でWDパルスと表記する)を発生させ、該ウォッチドッグパルスが停止または規定の周期で動作しない場合、ハードウェアによりリセットをかけるようになっている。本実施形態では、第2ウォッチドッグIC42および第2CPU31が遅延回路に相当する。
図13は、ドライブレコーダ1を部分的に変更した変更形態に係る、要部の電気的構成を表すブロック図である。本実施形態では、ドライブレコーダ1においてOR回路47の入力側に、ACC信号、電源オン信号S1が供給されるようになっているが必ずしもこの形態に限定されるものではない。つまり図13に示すように、ドライブレコーダ1においてOR回路47の入力側に、ACC信号、電源オン信号および第1CPU13からの制御信号S2が供給される形態であってもよい。この変更形態であっても、ドライブレコーダ1の動作中ソフトウェアでウォッチドッグパルスを発生させ、該ウォッチドッグパルスが停止または規定の周期で動作しない場合、ハードウェアによりリセットをかけることが可能となる。変更形態では、第1ウォッチドッグIC25および第1CPU13が遅延回路に相当する。
図14は、画像情報の一部と位置情報等との関係を表す図である。図15は、Gセンサ出力値に基づいて、静止画像情報が一定間隔δおきにCFカード11に記録される態様を表す図である。第1CPU13は、カメラ6で撮像されドラレコ本体5に入力された入力画像をJPEG IC16によってJPEG変換画像に変換し、その後第1CPU13は、JPEG変換画像を第2のSD−RAM30にエンドレスで順次記録する。このとき一枚の静止画像は、たとえば「画像*.jpg」という形式で記録される。ただし前記「*」は整数である。記録された静止画像の付加情報として、当該車両3のGセンサ出力値、位置、時間、実空車および車速センサ50からの車速情報と、マイク7からの音声情報とを、第2のSD−RAM30にエンドレスで順次記録する。
予め定める記録条件を満たした場合、第1CPU13は、ブザー8に記録開始の合図を出力させる。これとともに第1CPU13は、第2のSD−RAM30に記録されたJPEG変換画像、Gセンサ出力値、位置、時間、実空車および車速センサ50からの車速情報をCFカード11に記録させる。本実施形態では、たとえば1秒間に10枚の静止画像が記録され、1イベント最大30秒間で300枚の静止画像がCFカード11に記録可能に構成されている。1イベントとは、予め定める記録条件を満たした一つの状態と同義である。
記録条件などについて説明する。図16は、閾値を超過したGセンサ出力値48と、CFカード11に記録される画像情報の記録範囲Rhとの関係を表す図である。記録条件としてGセンサ出力値48が閾値Gmax.またはGmin.を超過すると、閾値超過時点を基準として最大30秒間の記録範囲にわたって、第2のSD−RAMにエンドレスで記録されたJPEG変換画像、そのGセンサ出力値、位置、時間、実空車および車速情報と、マイク7からの音声情報とをCFカード11に記録する。閾値超過時点をトリガ発生時という場合がある。トリガ発生前の記録時間Tbef秒に、トリガ発生後の記録時間Taft秒を加えた時間が、1イベントにおける記録範囲の合計時間に相当する。トリガ発生前5秒以上25秒以下、トリガ発生後5秒以上25秒以下の範囲で最大30秒間を設定可能になっている。
図17は、Gセンサ出力値の閾値判定方法を説明するための図である。図7、図8も参照しつつ説明する。第1CPU13は、Gセンサの出力を取得し、閾値Gabeを超えたか否かを判定する。Gセンサ27は、前述のようにX、Y軸方向の二軸タイプであり、車両3の前後方向および左右方向の重力加速度を検出可能に構成されている。したがって前後方向の衝突事故だけでなく、左右方向の衝突事故をも確実に検出することができ、その原因を分析することが可能となる。閾値判定は、前後方向の重力加速度と、左右方向の重力加速度とのベクトル和で実施する。この閾値は、設定により任意の値に変更可能になっている。
本実施形態では、Gセンサ27を内蔵するドラレコ本体5を完全に水平に設置できない状況が考えられるので、Gセンサ27の前後および左右方向のオフセットを補正する処理を行うようになっている。つまり図5に示すように、LCD操作器28をLCD操作器コネクタ22に接続すると、ドラレコ本体5は通常モードから、該ドラレコ本体5を設定、検査するためのメンテナンスモードに移行する。このメンテナンスモードにおいて、Gセンサ27の前後および左右方向のオフセットを補正する処理を実行するようになっている。当該車両3において悪路走行時には、上下方向の振動が不所望に大きくなり、Gセンサ27で前後および左右方向にも重力加速度が検出されることが予想される。したがって悪路走行での上下振動を観測し、誤反応を軽減させる処理をGセンサ出力値に施すようになっている。
図18は、撮影スイッチ9のオン信号S3と、CFカード11に記録される画像情報の記録範囲Rhとの関係を表す図である。記録条件として、乗務員が撮影スイッチ9をオンにして、そのスイッチング態様を切換えると、撮影スイッチオン時点TR1(トリガ発生時と称す)を基準として最大30秒間の記録範囲にわたって、第2のSD−RAM30にエンドレスで記録されたJPEG変換画像、その撮影スイッチオン時点のGセンサ出力値、位置、時間、実空車および車速情報と、マイク7からの音声情報とをCFカード11に記録する。トリガ発生前の記録時間Tbef秒に、トリガ発生後の記録時間Taft秒を加えた時間(Tbef+Taft秒)が、1イベントにおける記録範囲の合計時間に相当する。ただし撮影スイッチ9をトリガとしてJPEG変換画像などをCFカード11に記録する場合には、そのスイッチ操作回数を制限し、所定の操作回数に達すると、以後撮影スイッチ9を操作してもCFカード11に記録しないようにドラレコ本体5を設定することも可能である。
図19は、通信による撮影要求コマンド受信と、CFカード11に記録される画像情報の記録範囲Rhとの関係を表す図である。図7も参照しつつ説明する。記録条件として、センタ4から制御装置2に無線周波数による画像撮影要求があると、ドラレコ本体5の第1CPU13はその信号をコマンド受信する。そうすると、コマンド受信時TR2(トリガ発生時と称す)を基準として最大30秒間の記録範囲にわたって、第2のSD−RAM30にエンドレスで記録されたJPEG変換画像、そのコマンド受信時のGセンサ出力値、位置、時間、実空車および車速情報と、マイク7からの音声情報とをCFカード11に記録する。トリガ発生前の記録時間Tbef秒に、トリガ発生後の記録時間Taft秒を加えた時間(Tbef+Taft秒)が、1イベントにおける記録範囲の合計時間に相当する。たとえば運行データの一つである車速パルスに基づいて求められる当該車両3の速度が、予め定める規定速度よりも大となることをセンタ4が判断すると、センタ4からの画像記録要求が実施される。なお前記トリガ発生に起因するパラメータは、車速パルスだけに限定されるものではない。たとえば定周期記録、急加速、急減速および急ハンドルの少なくともいずれか一方の運行データに基づいて、センタ4から画像記録要求が実施される場合もあり得る。これら複数の運行データを用いることで、センタ4において、乗務員個人の詳細な運転指導を実施することが可能となる。
図20は、実車/空車メータ44からのHi/Lo信号S4に基づいて、CFカード11に記録される音声情報の記録範囲が規定される態様を表す図である。この音声情報の記録条件として、空車状態から実車状態に切換わるHi信号が出力されると、このHi信号が出力される時点TR3よりもTbef秒(Tbef秒は、たとえば数十秒)前から、取得手段である第2のSD−RAM30に記録された音声情報、実空車および車速情報をCFカード11に記録していく。この記録状態で実車状態から空車状態に切換わるLo信号が出力されると、このLo信号が出力された時点TR4よりもTaft秒(Taft秒は、たとえば数十秒)経過した時点まで音声情報などをCFカード11に記録する。実車/空車メータ44からの信号は、制御装置2が検出しているので、制御装置2とのシリアル通信によりドライブレコーダ1はその実空車状態を検出することができる。なお制御装置2と連携していない場合は、ドライブレコーダ1の外部スイッチとして実車/空車メータ44のメータのオン/オフ信号を取り込むようにすればよい。
図21は、実車/空車メータ44からのHi信号が出力される時点の前後にわたって画像情報が記録され、Lo信号が出力される時点の前後にわたって画像情報が記録される態様を表す図である。記録条件として、空車状態から実車状態に切換わるHi信号が出力されると、このHi信号が出力される時点TR3(第1トリガ発生時と称す)を基準として最大30秒間の記録範囲にわたって、第2のSD−RAM30にエンドレスで記録された情報のうち、音声情報、実空車情報をCFカード11に記録する。第1トリガ発生前の記録時間Tbef秒に、第1トリガ発生後の記録時間Taft秒を加えた時間Rh(Tbef+Taft秒)が、1イベントにおける記録範囲の合計時間に相当する。第1トリガ発生前5秒以上25秒以下、第1トリガ発生後5秒以上25秒以下の範囲で最大30秒間を設定可能になっている。
さらに記録条件として、実車状態から空車状態に切換わるLo信号が出力されると、このLo信号が出力される時点TR4(第2トリガ発生時と称す)を基準として最大30秒間の記録範囲にわたって、第2のSD−RAM30に記録された情報のうち、音声情報、実空車情報をCFカード11に記録する。第2トリガ発生前の記録時間Tbef秒に、第2トリガ発生後の記録時間Taft秒を加えた時間Rh(Tbef+Taft秒)が、1イベントにおける記録範囲の合計時間に相当する。第2トリガ発生前5秒以上25秒以下、第2トリガ発生後5秒以上25秒以下の範囲で最大30秒間を設定可能になっている。
図22は、ドライブレコーダ1において、トリガの各種とりこみについて説明するブロック図である。本実施形態では、ドライブレコーダ1は、実空車情報を該ドライブレコーダ1に付設のスイッチなどで直接入力するのではなく、制御装置2からのシリアル通信から取得し、それをトリガとして記録する。したがってトリガ入力は、Gセンサ27、通信(センタ4、実空車)、撮影スイッチおよび外部スイッチ49となる。
制御装置2からの情報は定期的に送信され、時間軸上では定期的に監視している状態となる。ただし通信では、割り込みとしてのトリガとなる。つまりセンタ4からのトリガ、実空車のトリガは割り込みとなる。外部スイッチ49入力は、他のスイッチのオンオフ信号を入力可能であるので、実空車スイッチのオンオフ信号を当該外部スイッチ入力として採用してもよいし、また、撮影スイッチ(運転者による強制スイッチ)のオンオフ信号を当該外部スイッチ入力として採用してもよい。外部スイッチ入力はトリガおよび状態の両方を検知できる。たとえば実空車の場合、実空車の変化をトリガとして入力するとともに、その実空車の状態を記録のために取り込むことができる。
図23は、運行データの閾値に基づいて警告情報を発する態様を表す図である。当該車両3の速度、定周期記録、急加速、急減速および急ハンドルの少なくともいずれか一方の運行データに基づいて、第1CPU13が当該車両3の異常運転を検出すると、ブザー8によって乗務員に警告情報を通知する。この警告情報通知後、異常運転が継続している間はたとえば30秒毎に警告する。ただし第1CPU13は、センタ4から当該車両3に配車指示中ブザー8による警告を禁止する。異常運転であるか否かの判定基準は、予めCFカード11で指定する。図23に示すように、異常検出閾値の上限E1および下限E2、異常判定時間Teがパラメータとして規定される。上限オーバは、予め定める「異常判定時間」以上継続したときに、異常運転であると判断する。本実施形態ではブザー8によって警告情報を通知しているが、これに限定されるものではない。制御装置2または第1ドラレコ1に情報出力手段としてスピーカSP(図7参照)を設け、該スピーカSPから音声合成出力(たとえば「規定の速度を超過しています。減速してください」などの音声合成出力)をすることも可能である。
急加速、急減速に基づいて異常運転を検知する場合について説明する。第1CPU13は、たとえば0.1秒毎に車速パルスによって当該車両3の速度つまり車速を取得し、1秒間の加速度にて判定する。第1CPU13は、この加速度が判定値を超えた場合に、ブザー8によって乗務員に警告情報を通知し、該加速度をCFカード11に記録する。第1CPU13は、指定の加速度以上の場合には「急加速」と判定し、指定の減速度以上の場合には「急減速」と判定する。判定基準となる加速度、減速度は、実車/空車毎の二種類を設定可能になっている。
速度超過によって異常運転を検知する場合について説明する。第1CPU13は、たとえば0.1秒毎に車速パルスによって車速を取得し、規定の速度オーバ判定速度を超えてかつ規定の警告開始時間を経過した場合に、ブザー8によって乗務員に警告情報を通知する。車速が規定の速度オーバ判定速度を超え、異常判定時間Teを経過を経過した場合には、ブザー8によって警告情報を通知するとともに、該車速3をCFカード11に記録する。車速が速度オーバ判定速度以下になったが、一般道路か高速道路かの道路区分がいずれか一方から他方に変わったとき、速度オーバを解除するようになっている。判定速度、警告開始時間は、前記道路区分毎の二種類を設定可能になっている。
図24は、Gセンサ出力値と検知時間との関係を表す図である。図25は、Gセンサ出力値の大小とその検知時間との関係に基づく傾向を表す図表である。第1CPU13は、CFカード11の記録容量に必要十分な空き容量がなく、該CFカード11にすでに記録したGセンサ出力値が新たに検出されるGセンサ出力値よりも小さいとき、すでに記録したGセンサ出力値を消去し、該検出されるGセンサ出力値をCFカード11に記録させる制御を行う。CFカード11の記録容量の空き容量が必要十分であれば、CFカード11にすでに記録したGセンサ出力値が新たに検出されるGセンサ出力値よりも小さいときであっても、すでに記録したGセンサ出力値を消去することなく、該検出されるGセンサ出力値をCFカード11に記録させるようになっている。
前記Gセンサ出力値が小さく(たとえば0.4G以上2G未満)、その検知時間が短い(たとえば数十ミリsec)場合には、当該車両3が段差または悪路などを通過したことを意味する。Gセンサ出力値が小さく、その検知時間が長い(たとえば100ミリsec以上)場合には、当該車両3が急ブレーキをかけたことを意味する。そしてGセンサ出力値が大きく(たとえば2G以上)、その検知時間が短い場合には、当該車両3が事故を起こしたことを意味する。本件出願人は、このようなGセンサ出力値の大小とその検知時間との関係に基づく傾向のデータを実験などによって、センタ機器のメモリなどにストアしている。
図26は、Gセンサと外部スイッチ検出による基本動作を表すフローチャートである。図27は、Gセンサ出力の閾値とその判定時間との関係を表す図である。図28は、Hi/Lo信号とその判定時間との関係を表すタイミングチャートである。アクセサリー電源から供給されるACC信号がオンまたは制御装置2の電源オンとなる条件で、本フローが開始する。開始後ステップa1において、第1CPU13は、Gセンサ27の定期的な感知タイミングt1(t1は、たとえば10ミリsec)経過したか否かを判断する(図27参照)。「否」との判断でステップa2に移行する。t1経過したとの判断でステップa3に移行して、第1CPU13は、Gセンサ出力値を第2のSD−RAM30に記録させ、ステップa4にてそのGセンサ出力値が閾値よりも大か否かを判断する。「否」との判断でステップa2に戻る。
「否」との判断でステップa5に移行し、第1CPU13は、予め定める閾値判定時間Tg経過したか否かを判断する。閾値判定時間Tgは、感知タイミングt1よりも大きく設定される。Gセンサ出力値が閾値を超えた時点から閾値判定時間Tgの計時が開始され、閾値を超えている連続時間が時間Tgに達すると、閾値判定時間Tg経過したと判断する。閾値判定時間Tg経過していないと判断されると、ステップa2に戻る。閾値判定時間Tg経過したと判断されると、ステップa6に移行する。ここで第1CPU13は、当該車両3が危険運転をしている旨検知する。次にステップa7に移行して第1CPU13は、第2のSD−RAM30に記録された画像情報をCFカード11に記録させる。その後ステップa1に戻る。このような閾値判定時間Tgを設けることで、ノイズ等の誤動作を防止することができる。
ステップa2において、第1CPU13は、外部スイッチ49の定期的な感知タイミングt2(t2は、たとえば100ミリsec)経過したか否かを判断する(図28参照)。「否」との判断でステップa1に戻る。t2経過したとの判断でステップa8に移行して、第1CPU13は外部スイッチ49がオンしたか否かを判断し、「否」との判断でステップa1に戻る。オンしたと判断されるとステップa9に移行し、第1CPU13は、予め定める信号判定時間Tswしたか否かを判断する。この信号判定時間Tswは、感知タイミングt2よりも大きく設定される。オフからオンに切換えられた時点から信号判定時間Tswの計時が開始され、オンとなっている連続時間が時間Tswに達すると、信号判定時間Tsw経過したと判断する。信号判定時間Tsw経過していないと判断されると、ステップa1に戻る。信号判定時間Tsw経過したと判断されると、ステップa10に移行して第1CPU13は外部スイッチ49を検知した後、ステップa7に移行する。前記信号判定時間Tswを設けることで、ノイズ等の誤動作を防止することができる。
図29は、音声データを記録する処理を表すフローチャートであり、図29(a)は、実空車変化前後にわたって音声データを記録する処理を表すフローチャート、図29(b)は、実車中の音声データを記録する処理を表すフローチャートである。アクセサリー電源から供給されるACC信号がオンまたは制御装置2の電源オンとなる条件で、本フローが開始する。図29(a)に示すように、開始後ステップb1で第1CPU13は、音声データ(音声情報と同義)を第2のSD−RAM30にエンドレスで記録させる。次にステップb2に移行して、第1CPU13は制御装置2からの信号に基づき実空車スイッチのオンオフを検出する。つまり制御装置2からは実/空車状態しか送ってこないので、ドライブレコーダ1側で実車、空車が変化したことを検出する。
ドライブレコーダ1ではステータスを監視するので、あるタイミングでは空車を検出したなら、これを記憶しておき、その次のタイミングで実車を検出したなら、記憶しておいた「空車」の情報と、今回検出した「実車」の情報との比較により、「空車から実車」に変化したことをドライブレコーダ1が検出できる。このようにしてドライブレコーダ1は、間接的に実空車スイッチのオンオフを検出可能になっている。
ステップb2において「否」との判断でステップb1に戻る。変化したとの判断でステップb3に移行し、第1CPU13は、実車と判断された時点より前の空車時間(Tbef秒)と実車後時間(Taft秒)とを含む経過時間であって、実/空スイッチ44のスイッチング態様の変化前後x秒(x秒は、たとえば30秒)経過したか否かを判断する。「否」との判断でステップb1に戻る。経過したとの判断で、第1CPU13は、前記変化前後x秒(つまり図21で表記する時間Rh)にわたる第2のSD−RAM30に記憶された音声データをCFカード11に記録させる。その後ステップb1に戻る。
実車中の音声データをCFカード11に記録させる処理を実行する場合もある。図29(b)に示すように、前記と同じ開始条件でステップc1に移行して、音声データを第2のSD−RAM30にエンドレスで記録させる。次にステップc2で、第1CPU13は制御装置2からの信号に基づき実空車スイッチのオンオフを検出する。つまり制御装置2からは実/空車状態しか送ってこないので、前記ステップb2と同様にドライブレコーダ1側で実車、空車が変化したことを検出する。
ステップc2で「否」との判断でステップc1に戻る。空車から実車に変化したとの判断でステップc3に移行する。ここで第1CPU13は、空車状態から実車状態に切換わる信号が出力される時点よりもx1秒(図20ではTbef秒前から第2のSD−RAM30にエンドレスで記録された音声データをCFカード11に記録させる。次にステップc4で第1CPU13は、CFカード11に実車判断後の音声データを継続的に追加記録させる。次にステップc5において、第1CPU13は実車、空車が変化したか否かを判断する。「否」との判断でステップc4に戻る。ステップc5で実車、空車が変化したとの判断でステップc6に移行し、第1CPU13は、CFカード11に空車判断後の音声データを追加記録させる。その後ステップc7に移行して、第1CPU13は、実車状態から空車状態に切換わる信号が出力される時点よりもx2秒(図20ではTaft秒)経過したか否かを判断する。「否」との判断でステップc6に戻る。x2秒経過したとの判断でステップc1に戻る。
図30は、AVM−ECUで合成音声を出力する第1の処理を表すフローチャートである。アクセサリー電源から供給されるACC信号がオンまたは制御装置2の電源オンとなる条件で、本フローが開始する。開始後ステップd1において、第1CPU13が当該車両3の危険運転を検知すると、ステップd2に移行して第1CPU13は、制御装置2の第2CPU31に警告音声出力要求を行う。
制御装置2側において、ステップE1で第2CPU31が警告音声出力要求を受信すると、ステップEoutにおいて、第2CPU31はスピーカSP(図7参照)に音声合成(たとえば「規定の速度を超過しています。減速してください」などの音声合成)を出力させる。当該車両3がセンタ4から配車指示受信中(ステップE2:YES)は、第2CPU31はスピーカSPに音声を出力させることなく本処理を終了する。配車指示受信中でなければスピーカSPに音声合成を出力させる。
図31は、AVM−ECUで合成音声を出力する第2の処理を表すフローチャートである。制御装置2側において、ステップE1で第2CPU31が警告音声出力要求を受信するとステップEmに移行し、第2CPU31は、実車/空車メータ44から現在実車中か否かを判断する。「否」との判断でステップEoutに移行し、第2CPU31はスピーカSPに音声合成を出力させる。ステップEmで実車中と判断されると、第2CPU31はスピーカSPに音声を出力させることなく本処理を終了する。
以上説明した本実施形態に係るドライブレコーダ1によれば、第2のSD−RAM30に複数の運転情報(画像、G値、位置、時間、実空車、車速、音声など)をエンドレスで記録する。実空車以外のトリガ(Gセンサなど)の場合は、画像、G値、位置、時間、実空車、車速、音声をカードに記録する。実空車のトリガの場合は、そのうち、音声・実空車のみをCFカード11に記録する。つまり実空車では、乗客に対する運転者の接客態度を見るため、必要とする運転情報は車内のマイクからの運転者の音声、実空車情報で充分であり、画像や車速などは不要である。なぜなら、実空車変化時の運転者の乗客に対する接客態度は、運転者の音声でわかるためである。したがってCFカード11の空き容量を極力確保できる。このように複数のトリガをCFカード11に取り込むにあたっても、実空車に最適な運転情報を取り込み、記録容量の無駄をなくすことが可能となる。
ただしカメラが車内、つまり運転者に向けられている場合は、画像もCFカード11に記録する。すなわち、複数のトリガを取り込んで複数の運転情報を記録する際、そのトリガの内容に応じた適切な運転情報を記録することができる。実空車時は、実車時および空車時の両方を必須とするものではなく、実車時あるいは空車時のどちらかを適用してもよい。空車時から実車時への変化時に、実車時の運転者の接客態度のみ記録するようにしてもよい。実車時から空車時への変化時に、運転者の接客態度のみ記録するようにしてもよい。このような場合には、CFカード11の空き容量を一層確保でき、記録容量の無駄をなくすことが可能となる。乗客の乗り降りに対応した乗客に対する接客態度に関する情報などを確実に記録できるので、運転者の運転指導を効果的に行うことができる。
ドライブレコーダ1によれば、実車中車両3の室内の音声を記録するが、実車前x1秒の音声データをCFカード11に記録するうえ、空車後x2秒経過後の音声データもCFカード11に記録するので、次のような効果を奏する。タクシーを運行管理する管理者は、実車/空車メータ44を実車にする前から乗客に対して規律ある態度で乗客の希望するサービスを実施するように乗務員を運転指導することができる。管理者は、実車/空車メータ44を空車にした後も、同様のサービスを実施するように乗務員を運転指導することができる。
図32は、他機器接続用シリアルポート51などを含むドライブレコーダ1の電気的構成を表すブロック図である。ドライブレコーダ1において、Gセンサ27、センタ4からの指令または制御装置2からの実空車情報、撮影スイッチ49をトリガとしている。ただし、その他のトリガでもCFカード11に記録するトリガとして実現可能に、ドライブレコーダ1には、シリアル(通信)ポート51、および入力手段としてのオンオフポート52が他機器と接続可能なように空きポートとして設けられている。外部スイッチは、他のスイッチだけでなく、オンオフ信号を出力するECUであれば接続可能になっている。
トリガを監視する周期は、Gセンサ27による事故検知の場合、遅れなく早く検知する必要があるため、たとえば10msecに設定されている。制御装置2、他のシリアルポート51は割込み、撮影スイッチ49および外部スイッチ入力ポート52は、Gセンサ27より優先度が低く、それらのトリガを監視する周期はたとえば100msecに設定(通常設定と称す)されている。たとえば外部スイッチ入力として、実空車スイッチを入力した場合も、トリガを監視する周期はたとえば100msecに設定されている。
図33は、エアバッグECU53との接続例を表すブロック図である。車両状態検出手段であるエアバッグECU53は、GセンサからのG値に基づき、一定以上の衝撃があると、点火装置であるスクイブ54を点火するためのオン信号を出力する。本ドライブレコーダ1では、このオン信号を外部スイッチ入力として取り込むように構成されている。エアバッグECU53の場合、衝突検知であり遅れなくトリガを検出する必要があるため、エアバッグECU53が接続された場合、トリガ監視周期を100msecから10msecに変更する。このトリガ監視周期を変更する際には、CFカード11を使ってバージョンアップを行う。すなわちCFカード11には、車両状態検出手段からの信号の種別に応じて運転情報を記録媒体に記録する条件である、対応するポート番号、トリガ周期およびトリガの内容を記録しておき、それをドライブレコーダ1がインストールして変更する。
図34は、トリガ監視周期などを変更する処理を表し、図34(a)はそのフローチャート、図34(b)は各種トリガに対応したトリガ周期を表すマップである。アクセサリー電源から供給されるACC信号がオンとなる条件で、本フローが開始する。開始後、ステップf1に移行して、第1CPU13は、新しいトリガが追加したか否かを判断する。「否」との判断で本処理を終了する。追加したとの判断でステップf2に移行して、第1CPU13は、CFカード11に記録された前記ポート番号、トリガ周期(100msecから10msecへの変更)およびトリガの内容(エアバッグ起動など)を、第1ROM(フラッシュROM)14に書き込む。その後本処理を終了する。ただし図34(a)のフローチャートに代えて、図34(b)に示すように、各種トリガに対応したトリガ周期を、ドライブレコーダ1の第1ROM14にマップとして保存させておくことも可能である。
図35は、エアバッグが起動したとき、画像および音声をCFカード11に記録する処理を表すフローチャートである。アクセサリー電源から供給されるACC信号がオンとなる条件で、本フローが開始する。開始後ステップg1において、第1CPU13は、第1ROM14のプログラム等を読込み、次にステップg2に移行する。実際にはそのプログラムに沿って第1CPU13が動作する。ここで第1CPU13は、トリガ監視周期が10msec毎か否か、すなわち監視タイミングになったか否かを判断する。「否」との判断でステップg2に戻る。10msec毎との判断で、ステップg3に移行し、第1CPU13は、エアバッグ起動が有りか否かを判断する。「否」との判断でステップg2に戻る。有りとの判断でステップg4に移行し、第1CPU13は、画像および音声をCFカード11に記録させる。その後ステップg2に戻る。また図示はしないが、Gセンサ27等のその他のトリガも予め定められたトリガ監視周期で監視される。
図36は、セキュリティECU55との接続例(1)を表すブロック図である。セキュリティの場合には、ドアロックかつIGオフで監視モードに移行する。ドアがロック状態か否かは、ドアロック/アンロック検知スイッチ60により判断する。車両状態検出手段であるセキュリティECU55は、監視モードにおいてガラス割れや車内侵入がセンサ58、59により検知されると、ブザー56を鳴らすようにオン信号を出力する。本実施形態に係るドライブレコーダ1は、前記オン信号を外部入力として取り込めば、セキュリティ作動時に画像(車内外の画像)と音声とをCFカード11に記録する。セキュリティでは、IGオフ時に監視モードに移行するので、ドライブレコーダ1には、セキュリティECU55からドライブレコーダ1にIGオフでも起動信号を出力してドライブレコーダ1を起動させておく。
セキュリティの場合には、トリガの監視周期は100msecであるが、IGオフ時の監視するポートは外部入力スイッチだけでGセンサ27および制御装置2等の他のポートをみる必要がない。車両は停止しており、監視する必要がないからである。したがって第1CPU13の処理負荷を軽減して、電力消費の低減を図ることができる。セキュリティECU55を新たに接続する方法は、エアバッグECU53の場合と同様であるので省略する。
図37は、外部入力SWだけを監視する処理を表すフローチャートである。セキュリティECU55からドライブレコーダ1に起動信号を出力してドライブレコーダ1を起動させておく条件(ACC ON)で本処理が開始する。開始後ステップh1に移行して、第1CPU13は、第1ROM14の内容等を読込み、次にステップh2に移行する。ここで第1CPU13は、IGがオンが否かを判断する。「否」、すなわちIGオフで車両運転停止との判断でステップh3に移行し、IGがオンとの判断でステップh4に移行する。ステップh4において、第1CPU13は、通常のトリガ入力があるとCFカード11に記録させる処理を実行する。
ステップh3では、第1CPU13は、トリガの周期が100msec毎か否か、すなわち監視タイミングか否かを判断する。「否」との判断でステップh2に戻る。100msec毎との判断でステップh5に移行し、第1CPU13は、セキュリティ起動が有るか(警報信号があるか)否かを判断する。「否」との判断でステップh2に戻る。セキュリティ起動有りとの判断でステップh6に移行し、第1CPU13は画像および音声をCFカード11に記録させる。その後ステップh2に戻る。したがってIGオフ時は、ステップh4には進まず、その他のトリガの監視が無視される。
図38は、複数機器との接続例を表すブロック図である。ドライブレコーダ1のシリアル通信ポート51を適用すれば、トリガ入力だけでなく、情報の入出力が可能となる。たとえばエアバッグからのトリガがあった場合、エアバッグECU53からの衝撃度およびオーディオ・ナビゲーションシステム57からの交通情報(渋滞情報など)を取込み、ドライブレコーダ1がこれらをCFカード11に記録することで、事故分析をより詳細に行える。
以上説明したドライブレコーダ1によれば、オンオフポート52がエアバッグECU53またはセキュリティECU55などからの信号を入力すると、第1CPU13は入力された信号をトリガとしてCFカード11に記録するよう制御する。特にオンオフポート52は、車両3が所定の状態になったことを検出する検出手段とは異なる別の車両状態検出手段からの信号を入力可能になっているので、最初からドライブレコーダを製造し直す必要がなく、その分コスト低減を図ることができる。したがってトリガが追加要求されても、簡単に追加できる汎用性の高いドライブレコーダを提供することができる。
エアバッグを展開させることを示す信号があるか否かを監視するタイミングを、予め設定されている監視タイミングより早く設定可能であるので、トリガの内容に応じてトリガの監視周期を適切に変更することができる。車両運転停止時に警報を行わせる信号があるか否かの監視を行ない、車両運転停止時に不要なその他のトリガの監視を無視するので、車両状態に応じて監視トリガの内容を限定することができる。したがって第1CPU13の処理負荷を低減することができる。
図39は、本発明の実施形態に係り、セキュリティECU55とドライブレコーダ1との接続例(2)を表すブロック図である。本実施形態に係る説明は、運転情報記録方法の説明をも含む。図8も参照しつつ説明する。セキュリティECU55は、車両のガラス割れなどを検知するガラス割れセンサ58、車両への侵入を電波や超音波により検知する侵入センサ59、ドアの開閉状態を検出するドアカーテシスイッチ66、車両バッテリ(図においてBATTと表記)、イグニッションスイッチ(図においてIG SWと表記)などと電気的に接続されている。セキュリティECU55は、送信機RSからロックまたはアンロック要求信号を受け、車両ドアをロック状態とアンロック(非ロック)状態とにわたって切換えるように制御する。セキュリティECU55は、ブザー56を鳴らす信号を出力するため該ブザー56と電気的に接続され、さらにドアロック機構を駆動する(つまりロックする)駆動源61と電気的に接続されている。ドライブレコーダ1には、セキュリティECU55から前記駆動源61へのいわゆるロック信号を外部入力として取り込むポート62等が予め設けられている。
セキュリティECU55は、送信機RSからIDコード(ID:Identification)とともにロック要求信号を受信すると、セキュリティECU55自身に予め記憶されているIDコードと受信したIDコードとを比較し、両者が一致した場合、駆動源61にロック信号を出力してドアをロックするとともに、盗難監視モードに移行する。盗難監視モードでは、ガラス割れセンサ58、侵入センサ59、ドアカーテシスイッチ66により盗難が発生したか否かを判断する。盗難の発生を検出すると警報モードに移行し、セキュリティECU55はブザー56を鳴動すべくアラーム信号を出力する。
ドライブレコーダ1はたとえば前記ロック信号によっても起動するように構成される。そのため、ロック信号は図13のOR回路47に他の入力(ACCなど)とともに入力されている。つまりOR回路47の入力側に、ACC信号、パワーオン信号や本実施形態に係るロック信号がそれぞれ供給可能に構成される。当該ドライブレコーダ1の第1CPU13は、前記ロック信号でドライブレコーダ1が起動した状態においてアラーム信号があるか否かを監視するように構成されている。第1CPU13は、アラーム信号ありと判断すると、該アラーム信号をトリガとして第2のSD−RAM30に巡回的に記憶された画像、音声などを、トリガ発生前後にわたって、書換え可能なフラッシュROMである第1ROM14に記録するよう制御する。第1ROM14が、運転情報記録装置内部の記憶媒体に相当する。
図40は、ロック信号などに基づき、画像などを第1ROM14に記録する処理を表すフローチャートである。ACCなどまたはロック信号等によるドライブレコーダ本体5の電源投入で本処理が開始する。本処理開始後ステップi1に移行し、第1CPU13は電源制御信号S2を出力する(図13参照)。次にステップi2に移行し、運転中か否かを区別するため、第1CPU13はIGがオンか否かを判断する。
ここでIGオンつまり運転中との判断でステップi3に移行する。運転中ではないとの判断でステップi4aに移行する。本ステップi4aにおいて、第1CPU13は、図12に示す通常制御か否か区別するため、ロック信号を外部入力として取り込んだか否かを判断する。「否」との判断でステップi7に移行し、ACC信号がオフになってもドライブレコーダ1がデータ記録できるように、第1CPU13は、ACC信号オフ(図41、PL1)後、T1秒経過後に電源制御信号S2をオフにするように制御する(つまり図12に示す通常制御を実行する)。その後ステップi2に戻る。
ステップi4aにおいて、第1CPU13は、セキュリティECU55から前記駆動源61へのロック信号を外部入力として取り込むとセキュリティセットと判断し、次にステップi8に移行し、定期的にセキュリティ起動すなわちアラーム信号出力の有無を判断するため、第1CPU13はたとえば「100msec」毎か否かを判断する。ただし必ずしも100msec毎に限定されるものではない。「否」との判断でステップi2に戻る。
100msec毎であるとの判断でステップi9に移行し、画像、音声などを記録するトリガとして、第1CPU13はアラーム信号の有無を判断する。アラーム信号出力なしとの判断で、ステップi2に戻る。アラーム信号出力あり、すなわち盗難発生との判断で、ステップi10に移行する。該ステップにおいて、第1CPU13は、第2のSD−RAM30に記憶されたたとえば画像、音声などの運転情報を第1ROM14に記録させる処理を実行する。その後ステップi2に戻る。盗難発生時に運転情報をCFカード11ではなく第1ROM14に記録することで、記録媒体が泥棒によって持ち去られることを防止できる。
ステップi2でIGオンつまり運転中との判断で、第1CPU13は、車両運転中における通常の記録処理を行う。すなわち、トリガ入力があると第2のSD−RAM30に記憶されたたとえば画像などの運転情報をCFカード11に記録させる処理を実行する。次にステップi5に移行し、第1CPU13は、第1ROM14に記録した運転情報の出力指示の有無を判断する。出力指示なしの判断でステップi2に戻る。出力指示ありとの判断でステップi6に移行し、ステップi10で第1ROM14に記録した運転情報すなわちセキュリティの記録をCFカード11に記録させる処理を実行する。
図41はタイミングチャートを表し、図41(a)は、ACC信号オフ(PL1)後、T1秒経過後に電源制御信号S2がオフとなった状態で、第1CPU13はロック信号ありと判断した形態を表すタイミングチャート、図41(b)は、ACC信号オフ(PL1)後T1秒経過前に、第1CPU13はロック信号ありと判断した形態を表すタイミングチャートである。
図41(a),(b)に示すように、第1CPU13は、ACC信号オフ(PL1)を起算時として計時する。ACC信号オフ時点で電源制御信号S2はオン状態を維持する。図41(b)に示すように、第1CPU13は、ACC信号オフ(PL1)後T1秒経過前にロック信号あり(つまりセキュリティセット)と判断すると、電源制御信号S2のオン状態を維持する。図41(a)に示すように、第1CPU13は、ACC信号オフ(PL1)後T1秒経過後、電源制御信号S2をオン状態からオフにする。その後第1CPU13は、ロック信号があるつまりセキュリティセットされると、電源制御信号S2をオンにする。
以上説明したセキュリティECU55とドライブレコーダとの接続例(2)によれば、セキュリティECUが出力するロック信号によってドライブレコーダ1が起動する、換言すれば専用信号ではなく、元々の盗難監視状態になったことを表す信号を用いてドライブレコーダ1を起動することができる。図40のステップi4aに示すように、第1CPU13は、セキュリティECU55から駆動源61へのロック信号を外部入力として取り込むとセキュリティセットされたと判断する(ステップi4a:YES)。したがって前記専用信号を用いるものに比べて、(セキュリティECU55など一切改造することなく)ドライブレコーダ1の配線接続を簡単化でき、部品点数の低減および工数の低減を図ることができる。
セキュリティセットされた後(ステップi4a:YES)、微小時間毎(たとえば100msec毎)にアラーム信号出力の有無を判断するので、セキュリティ性を高めることができる。図40のステップi10において、ドライブレコーダ内部の第1ROM14に記録したセキュリティの記録を、ステップi6においてCFカード11に記録させるので、センタ機器または各種機関などにCFカード11を容易にかつ確実に提供することができる。
第1ROM14に記録した運転情報を、ACC信号オンからオフ後、たとえば一定時間(T2秒=15秒)以内に撮影スイッチ9を長押し(たとえば4秒以上15秒以下)するなどの操作によって、CFカード11に複写または移動することも可能である。その後CFカード11に記録された運転情報をセンタなどにおいて容易にかつ迅速に解析することができる。つまりドライブレコーダ1を車両から取り外すことなく、運転情報を容易にかつ迅速に解析でき、利便性を高めることが可能となる。
車両に設けられるバッテリとは異なる二次電池BATT2(図39参照)をドライブレコーダ内部に設け、IGオフでかつセキュリティが起動したときは、該二次電池BATT2によってドライブレコーダ1の起動状態を継続する構成にしてもよい。または第1CPU13は、前記バッテリが予め定める電圧値(たとえば10V以下)になったと判断すると、ドライブレコーダ1の電源を車両付属のバッテリから二次電池BATT2に切換える制御を行うようにしてもよい。このような構成によれば、ドライブレコーダ1の起動状態を継続する確実性を高めることができる。
図42は、本発明の実施形態に係り、セキュリティECU55とドライブレコーダ1との接続例(3)を表すブロック図である。前述の図39に示す接続例(2)では、ドライブレコーダは、セキュリティECU55から出力されるロック信号を外部入力として取り込んでいるが、本実施形態に係る接続例(3)では、ドライブレコーダ1は、セキュリティECU55から、盗難監視モードの間たとえば車両のダッシュボードなどに設けられる発光ダイオード63(略称LED:Light Emitting Diode)に出力される監視信号を外部入力として取り込む。
本実施形態に係るドライブレコーダ1には、前記監視信号を外部入力として取り込むポート64が予め設けられている。ドライブレコーダ1はたとえば前記監視信号によって起動するように構成され、当該ドライブレコーダ1の第1CPU13は、前記監視信号でドライブレコーダ1が起動した状態においてアラーム信号があるか否かを監視するように構成されている。本実施形態に係る接続例(3)においても、前記専用信号を用いるものに比べて、ドライブレコーダ1の配線接続を簡単化でき、部品点数の低減および工数の低減を図ることができる。
前述の図39に示した接続例(2)では、図40のステップi4aにおいて、第1CPU13がロック信号を外部入力として取り込んだか否かを判断していた。これに対して図42に示す本接続例(3)では、図40のステップi4aにおいて、第1CPU13が前記監視信号を外部入力として取り込んだか否かを判断している。「否」との判断でステップi7に移行する。前記監視信号を取り込むと、次にステップi8に移行する。本接続例(3)のフローチャートでは、ステップi4a以外、図40のフローチャートと同一の開始条件でかつ、同一ステップとなっている。
第1CPU13は、前記監視信号およびロック信号の少なくともいずれか一つを外部入力として取り込んだか否かを判断してもよい。この場合には、LED63への配線が断線した場合においても、接続例(2)と同様にステップi4aにおいて第1CPU13はロック信号を外部入力として取り込んだか否かを判断することが可能となる。したがって監視信号だけを外部入力として取り込む形態よりもセキュリティ性を一層高めることができる。
図43は、本発明の実施形態に係り、セキュリティECU55とドライブレコーダとの接続例(4)を表すブロック図である。本実施形態に係る接続例(4)のドライブレコーダ1には、セキュリティECU55が電気的接続されるか否かを設定する設定スイッチ65が設けられている。
図44は、設定スイッチ65などに基づき、画像などを第1ROM14に記録する処理を表すフローチャートである。本処理の開始条件は、ACC信号などによるドライブレコーダ本体5の電源投入である。本フローチャートにおいて、図40で説明したフローチャートと同一のステップについては同一のステップ番号を付し、その説明を省略する。ステップi2で運転中ではないとの判断で、ステップi4bに移行し、第1CPU13は設定スイッチ65に基づきセキュリティECU55が電気的に接続されるか否かを判断している。
具体的にステップi4bにおいて、第1CPU13は、セキュリティECU55と電気的に接続されていないと判断すると(ステップi4b:NO)、ステップi7に移行し、第1CPU13は、ACC信号オフ後、T1秒経過後に電源制御信号S2をオフにするように制御する、つまり図12に示す通常制御を実行する。ステップi4bにおいて、第1CPU13は、セキュリティECU55と電気的に接続されていると判断すると(ステップi4b:YES)、ステップi8に移行する。
以上説明した接続例(4)によれば、セキュリティECU55との電気的接続を自由にかつ簡単に選択できるシステムを実現できる。このように汎用性の高いドライブレコーダを実現できる。前記設定スイッチ65をたとえば撮影スイッチ9などと兼用することも可能である。たとえばメンテナンスモードにおいて、撮影スイッチ9を設定スイッチに切換えてもよい。この場合には、ドライブレコーダの部品点数の低減を図り、製造コストを低減することができる。ドライブレコーダ1において、CFカード11に記録された設定プログラムに基づいて、セキュリティECU55との電気的接続を維持するか解消するかを設定してもよい。センタ機器を用いて、CFカード11に前記設定プログラムを記録することができる。ドライブレコーダ本体5のたとえば第1ROM14に、前記設定プログラムを予め記録させておくことも可能である。このような構成によっても、セキュリティECU55との電気的接続を自由にかつ簡単に選択できるシステムを実現できる。