<1:スロットマシンの外観構成>
図1は、本発明の一実施形態にかかるスロットマシン1の概観を示す斜視図である。スロットマシン1は、前面が開口した箱状の本体2と本体2の前面に配置した前面扉3を備える。本体2と前面扉3とは片側で蝶番により開閉できるようになっている。前面扉3は、遊技者が遊技を行うためのボタン類が配置された操作部OP、リール可変表示装置RLの図柄を視認させるための後述のリール窓20や遊技を進行するための情報が表示される表示器類が配置されたパネル表示部DP、遊技を進行するための情報が表示される液晶表示器類や電飾装置が配置された演出表示部TP及び受皿部BPを備える。
操作部OPには、操作部OPの上面右側にメダル投入口10が配置され、上面左側にベットボタン11が配置されている。スロットマシン1の遊技は、メダル投入操作かベットボタン操作により開始できる。ベットボタン11の下部位置の前面側には、リールR1〜R3の回転を行うためのスタートレバー12が配置され、その右側には左リールR1の回転を停止させるための左ストップボタン13a、中リールR2の回転を停止させるための中ストップボタン13b及び右リールR3の回転を停止させるための右ストップボタン13cが配置され、遊技の基本操作順序となる、ベットボタン操作→スタートレバー操作→左ストップボタン操作→中ストップボタン操作→右ストップボタン操作の一連の流れの操作を行い易いようになっている。スタートレバー12の左側には、貯留装置に記憶されたクレジットを精算してメダル受皿40にメダルを払い出すための精算ボタン14が配置されている。この精算ボタン14は遊技をやめる場合に使用されるものであり、操作の頻度が低いことや遊技中に誤って操作しないよう、上記一連の操作の流れから外れる位置に配置してある。さらに操作部OPには、プリペイカード式メダル貸機がスロットマシン1に接続されている場合に使用される貸出ボタン15、プリペイカードを返却するための返却ボタン16及びプリペイカードの貸出可能な度数表示が行われる度数表示器17が設けられている。なお、このように、スロットマシン1にプリペイカード式メダル貸機が接続されている場合には、スロットマシン1のこれらのボタン15、16の操作によるプリペイカード式メダル貸機の作動及び度数表示器17による度数表示は、プリペイカード式メダル貸機の制御によって行われる。
パネル表示部DPにおいて、リール窓20は、1つのリールにつき3個の連続した図柄を視認できる透明アクリル板からなり、遊技者は3つのリールで9個分の図柄をリール窓20を通して目視することができる。さらにリール窓20上には、水平ラインの入賞ラインL1〜L3と斜めラインの入賞ラインL4、L5が通っている。このリール窓20の左側には、入賞ラインL1〜L5の各々に対応した入賞ライン表示器21が設けられており、遊技メダルが1枚投入されると入賞ラインL1に対応した入賞ライン表示器21が点灯し、遊技メダルが2枚投入されると入賞ラインL1に加えて入賞ラインL2及びL3に対応した入賞ライン表示器21が点灯し、遊技メダルが3枚投入されると入賞ラインL1〜L3に加えて入賞ラインL4及びL5に対応した入賞ライン表示器21が点灯するようになっている。また、遊技の結果、所定の図柄の組み合わせが成立した場合には、成立した入賞ラインに対応した入賞ライン表示器21を点滅させ、遊技者に知らせるようになっている。また、リール窓20の右側には、入賞した場合に点灯する表示器やゲーム状態に応じて点灯するLEDなどの複数のLEDが配置された遊技ガイド表示器22が設けられている。さらにリール窓20の下側には、貯留装置に蓄えられたクレジット数を表示するクレジット数表示器23a、入賞した場合に付与された配当数を表示する配当数表示器23c、及び所定ゲーム中に付与された配当数を累積して獲得枚数の表示を行う獲得枚数表示器23bから構成される遊技価値情報表示部23を有している。
演出表示部TPには、遊技の進行状態を画像で表示する液晶表示器30、ゲーム状態に応じて色彩や点灯パターンを変化させてゲーム状態を表示する電飾LED31及びゲーム状態に応じて変化させるBGMやボタン操作に応じた操作音、ガイド音声を出力するスピーカ32が配置されている。
受皿部BPには、メダル払出装置が駆動されてメダル払出口40aから排出された遊技メダルを貯めるメダル受皿40が設けられており、メダル受皿40の左側には灰皿41が設けられている。
<2:リール可変表示装置の構成>
図2は、スロットマシン1のリール可変表示装置RLの構造を示す説明図である。図2(A)は、リール可変表示装置RL全体の構造を示し、図2(B)は、右リールの詳細の構造を示す。
リールR1〜R3は、透明なABS(アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン)樹脂等からなり、軸部から放射線状に延びた複数のスポーク部と環状の枠からなるリール枠56a〜56cと、そのリール枠56a〜56cの周面に貼り付けられている21個の各種の図柄(図柄番号PN:1〜21)が印刷されたリール帯58a〜58cから構成される。リールR1〜R3は、ステッピングモータ54a〜54cに固定され回転動作するようになっている。リールR1〜R3の回転動作には、400ステップのパルスの供給で1回転するステッピングモータ54a〜54cを使用し、所定のパルスを供給することで所定の図柄をリール窓20に表示させることができる。さらにLED(図示せず)を設置したバックライト装置53a〜53cを設け、リール帯58a〜58cの内側から光を照射できるようになっている。このように、リール帯58a〜58cの内側からバックライト装置53a〜53cによって光を照射することで、遊技者にリール帯58a〜58c上の図柄を目立たせることができる。
またスポーク部の一つに検知板57a〜57cを取り付け、リール位置検出センサ55a〜55cによって、リールR1〜R3が1回転するごとに1パルスのリール位置検出信号155a〜155cを出力できるようになっている。このリール位置検出信号155a〜155cを検知してから10ステップ進めたときに、図柄番号PN=1がリール窓の中央の入賞ラインL1上に位置するように検知板57a〜57cとリール帯58a〜58cとの位置が設定してある。
リール可変表示装置RLにおいて、リールR1〜R3、リールR1〜R3が固定されたステッピングモータ54a〜54c、バックライト装置53a〜53c及びリール位置検出センサ55a〜55cを、それぞれベース板52a〜52cに固定することで一つのユニット構成としている。また、リール可変表示装置RLは、ベース板52a〜52cをリール可変表示装置RLのケース体50に設けられたガイドレール51a〜51cに沿って挿入してケース体50内に収容するようになっている。
<3:スロットマシンの電気的構成>
図3は、スロットマシン1の電気的構成を示すブロック図である。スロットマシン1は、遊技の主たる制御を行うメイン制御基板100A、液晶表示器に対して表示制御を行い画像表示する表示制御基板100B、パネル表示部DP又は演出表示部TPのLED類や音の演出の制御を行う電飾制御基板100C及び貸出機中継基板100Dを備えている。メイン制御基板100Aは、CPU(central processing unit)101、クロック発生回路a102、クロック発生回路b103、ROM(read-only memory)104、RAM(random-access memory)105、データ送出回路106、入出力ポート107を備える。なお、CPU101としてROMやRAMを内蔵しているものを採用することができる。その場合には、外付けのROM104、RAM105は不要となる。
CPU101は、ROM104に格納されたプログラムを、クロック発生回路a102で発生したCLK信号のタイミングに基づいて読み出し、プログラムを逐次実行する。CPU101は、電源が投入されるとあらかじめ定められたアドレスからメインプログラムを実行し、クロック発生回路a102の周期とは異なるクロック発生回路b103で発生したINTR信号のタイミングで、あらかじめ定められたアドレスから始まる割込みプログラムを実行する。ここで、INTR信号のタイミングは、例えば、2ミリ秒である。CPU101はプログラムの実行に応じて、各種フラグや各種カウンタ又は各種遊技情報をRAM105に保存する。外部から供給される電源が遮断した場合でも、RAM105は電池により記憶情報が保持されており、その後電源が復帰した場合には、電源断発生の直前の状態から再開する。CPU101は、入出力ポート107を介して各種ボタン、センサの状態を読み取り、各種モータ、LEDを駆動する。
ベット操作指示信号111a〜111c、開始操作指示信号112、停止操作指示信号113a〜113c及び精算操作指示信号114は、それぞれ操作部OPに設けられたベットボタン11、スタートレバー12、ストップボタン13a〜13c、精算ボタン14ボタンが遊技者に操作されたことに応じて検知される信号であり、入出力ポート107を介してCPU101に送られる。
表示制御信号123a〜123cは、それぞれパネル表示部DPに設けられたクレジット数表示器23a、獲得枚数表示器23b、配当数表示器23cに表示するための表示信号であり、入出力ポート107を介してCPU101より駆動される。リール位置検出信号155a〜155cはそれぞれリール可変表示装置RLのそれぞれのリールに対応し、リールが1回転するたびに1回検出する信号であり入出力ポート107を介してCPU101に送られる。リール駆動信号154a〜154cは、それぞれリール可変表示装置のそれぞれのリールR1〜R3を駆動するステッピングモータ駆動信号であり、入出力ポート107を介してCPU101より駆動される。
メダル投入信号160aは、メダル投入口10から通ずる前面扉3の内部に設けられたメダル通路でメダルを光学的に検出するメダル投入センサ201aの信号であり、入出力ポート107を介してCPU101に送られる。メダル投入信号160bは、同様にメダル通路でメダルを光学的に検出するメダル投入センサ201bの信号であり、入出力ポート107を介してCPU101に送られる。メダルゲート信号164は、メダル通路でメダルに押されて揺動する可動部材の揺動を検出する信号であり、入出力ポート107を介してCPU101に送られる。また、メダルブロック信号161はメダル通路に設けられたメダルブロックソレノイド200cを駆動する信号であり入出力ポート107を介してCPU101よりメダルブロックソレノイド200cに供給される。メダル払出信号162はメダル払出装置のメダル放出部に設けられたメダルを検出するセンサ信号であり、入出力ポート107を介してCPU101に送られる。また、払出駆動信号163はメダル払出装置に設けられたモータを駆動する信号であり、入出力ポート107を介してCPU101より駆動される。
CPU101は、データ送出回路106を介して表示制御基板100B及び電飾制御基板100Cへ各種コマンドを出力する。電飾制御基板100Cは、メイン制御基板100Aより各種コマンドを受信し、入賞ライン表示器21、遊技ガイド表示器22、電飾LED31による電飾装置の点灯制御、リール可変表示装置RLに設けられたバックライト装置53a〜53cの点灯制御を行い、さらにBGMなどのサウンドをスピーカ32から出力する。
表示制御基板100Bは、CPU(central processing unit)191、クロック発生回路c192、クロック発生回路d193、ROM(read-only memory)194、RAM(random-access memory)195、データ入力回路196及びグラフィックLSIとその周辺回路からなる表示回路197を備えている。このCPU191は、ROM194に格納されたプログラムを、クロック発生回路c192で発生したCLK信号のタイミングに基づいて読み出し、プログラムを逐次実行する。CPU191は、電源が投入されるとあらかじめ定められたアドレスからメインプログラムを実行し、クロック発生回路c192の周期とは異なるクロック発生回路d193で発生したINTR1信号のタイミングで、あらかじめ定められたアドレスから始まる割込みプログラムを実行する。ここで、INTR1信号のタイミングは、例えば、2ミリ秒とする。CPU191のストローブ信号は、プログラムの実行に応じて、各種フラグや各種カウンタ又は各種遊技情報をRAM195に保存する。
また、メイン制御基板100Aのデータ送出回路からのデータ送出タイミングに同期して送出されるストローブ信号に基づいてINTR2信号を発生させ、このINTR2信号のタイミングで、あらかじめ定められたアドレスから始まる割込みプログラムを実行する。
<4:スロットマシンのメダル通路およびその周辺の構成>
図4は、スロットマシンの傾斜メダル通路220およびその周辺の要素を概略的に示す模式図である。メダル投入口10(図1)に投入されたメダルは、メダルがその自重により転がりながら下流に向けて通過する傾斜メダル通路220に落下する。傾斜メダル通路220には、メダル選別器200が設けられている。メダル選別器200は、投入されたメダルが所定の直径(スロットマシン1で使用される正規のメダルの直径)よりも小さい場合に、傾斜メダル通路220からメダルが落下することによりメダルを選別することが可能である。また、スロットマシンの遊技準備が未完了の場合やスロットマシンが稼動状態にない場合には、メダル選別器200は、投入されたメダルをすべて傾斜メダル通路220から落下させるようになっている(この状態をメダル受付不能状態といい、逆に小径のメダルのみが落下する状態をメダル受付可能状態という)。
メダル選別器200から落下した小径メダルはメダル払出口40a(図1)を経てメダル受皿40に排出される。他方、メダル受付可能状態では、正規のメダルはメダル選別器200から落下することなく、傾斜メダル通路220を進行し続け、メダル投入センサ201a,201bを通過する。
傾斜メダル通路220において、メダル選別器200がメダルを選別する位置よりも下流には、メダル投入センサ(第1のセンサ)201aが配置され、さらにその下流にはメダル投入センサ(第1のセンサ)201bが配置されている。メダル投入センサ201a,201bは、自身が設けられた位置でメダルの通過を光学的に検知する光センサ(例えばフォトインタラプタまたはフォトリフレクタ)である。
メダル通路220におけるメダル投入センサ201a,201bよりも下流には、メダルが通過する時にメダルに押されて揺動させられる可動部材202が配置されている。この可動部材202の揺動はメダルゲートセンサ(第2のセンサ)204により検知される。メダルゲートセンサ204は、メダル投入センサ201a,201bと同様に可動部材202による光の遮断または反射を検知する光センサでもよいし、可動部材204により回路を開閉するメカニカルスイッチ式センサ、可動部材204の移動による磁界の変化を検知する電磁誘導センサ、その他のセンサでもよい。メダル投入センサ201a,201bがメダルを直接的に検知するのに対して、メダルゲートセンサ204は可動部材202を介してメダルを間接的に検知する。
傾斜メダル通路220を通過したメダルは、メダルホッパ210に導入される。メダルホッパ210は、スロットマシン1に投入されたメダルを実際に蓄積する。遊技者が精算ボタン14を押して、前記の貯留装置に記憶されたクレジットを精算すると、クレジットに対応する個数のメダルがメダルホッパ210からメダル受皿40に払い出される。
図5は、前面扉3(図1)の裏側から見た傾斜メダル通路220およびその周辺の斜視図であり、図6は図5の右手から見た斜視図である。これらの図は、理解を容易にするために部品の一部を取り去った状態を示す。
図5に示すように、上述した傾斜メダル通路220は、互いに通じた第1の通路部220aと、第2の通路部220bとを備えており、第1の通路部220aと第2の通路部220bは同一直線上にはない。メダル投入口10に投入されたメダルMは、仮想線で示すように第1の通路部220aに導かれ、第1の通路部220aでは、メダルMの表面および裏面が鉛直に保たれた状態でメダルMは自重により転がる。図6に示す開口案内部222を介して、第1の通路部220aと第2の通路部220bは通じており、メダル受付可能状態で、正規のメダルMは第1の通路部220aから開口案内部222を通じて、第2の通路部220bへ排出される。第2の通路部220bは、メダルMが転がるように案内する溝を有するガイドレール205で構成されている。
図5に示すように、上述したメダル選別器200は、鉛直な基準壁200eと、傾斜した直線状の下方ガイド傾斜部200aと、基準壁200eの裏側(図5では紙面手前側)にある規制ガイド板200bと、基準壁200eの表側(図5では紙面奥側)に配置されたメダルブロックソレノイド200c(図1参照)と、可動な突出片200dを有する。基準壁200eと下方ガイド傾斜部200aと規制ガイド板200bは、傾斜メダル通路220の第1の通路部220aの要素でもあり、メダルMをその自重により転がらせるガイドとなる。メダル投入口10に投入されたメダルMは、規制ガイド板200bの下端と基準壁200eの間を通過しながら、基準壁200eに沿って落下して、下方ガイド傾斜部200aに受け止められる。
メダル選別器200の規制ガイド板200bは、その下端縁が基準壁200eと間隔をおいてこれと平行になるように配置されている。また規制ガイド板200bの下端縁は、下方ガイド傾斜部200aとも平行である。規制ガイド板200bは、基準壁200eに近い位置と、遠い位置の間を移動可能になっている。
規制ガイド板200bを移動させる機構についての詳細な説明は省略するが、メダル受付可能状態では、規制ガイド板200bの下端部は、メダルブロックソレノイド200cによって駆動されて、基準壁200eに接近する。基準壁200eに近いこの位置では、規制ガイド板200bの下端部と基準壁200eの間の間隔は、正規のメダルMの厚さよりわずかに大きいだけであり、規制ガイド板200bの下端縁と下方ガイド傾斜部200aの間の間隔は、正規のメダルMの直径より小さい。正規のメダルMは、その上端が規制ガイド板200bの下端部と基準壁200eの間に挟まれた状態でこれらに案内され、メダルMの表面および裏面が鉛直に保たれた状態で自重により下方ガイド傾斜部200aの上を転がる。
他方、メダル受付不能状態では、規制ガイド板200bの下端部は、メダルブロックソレノイド200cの駆動力が解除されることによって、基準壁200eから離間する。基準壁200eから遠いこの位置では、規制ガイド板200bの下端部と基準壁200eの間の間隔は、正規のメダルMの厚さよりかなり大きくなり、規制ガイド板200bの下端縁と下方ガイド傾斜部200aの間の間隔も大きくなる。下方ガイド傾斜部200aの上に受け止められた正規のメダルよりも小径のメダルは、このようにして規制ガイド板200bの規制を失い、下方ガイド傾斜部200aから落下する。
メダル選別器200の突出片200dは、下方ガイド傾斜部200a上の第1の通路部220aに突き出したり、第1の通路部220aから退避したりできるように移動可能に支持されている。突出片200dは、平常時は図示しないバネに押されて、基準壁200eから第1の通路部220a内に向けて突出している。正規なメダルMが規制ガイド板200bの下端部と基準壁200eの間に挟まれた状態で下方ガイド傾斜部200aの上を転がると、これに押されて突出片200dは第1の通路部220aから退避する。他方、正規のメダルよりも小径のメダルが下方ガイド傾斜部200aの上を転がった場合には、このメダルは規制ガイド板200bに規制されていないので、バネ力が与えられた突出片200dにより基準壁200eから離れる方向に押される。このように突出片200dは、確実に小径のメダルを下方ガイド傾斜部200aから落下させることに寄与する。
突出片200dでメダルMが押される位置よりも下流に、メダル投入センサ201a,201bが配置されている。より正確には、メダル投入センサ201a,201bはフォトリフレクタであって、図5中の符号201a,201bは、それぞれ二つのフォトリフレクタの発光素子を示している。これらの発光素子に対して、第1の通路部220aを挟んで対向する位置には、対向素子支持部201cが設けられ、ここには二つの発光素子にそれぞれ対応する受光素子が設けられている。ただし、発光素子と受光素子の位置は逆でもよい。メダル投入センサ201aまたは201bの位置で第1の通路部220aを通過するメダルMは、発光素子から発せられる光を遮り、この時その発光素子に対応する受光素子は、メダル投入信号160aまたは160b(図3)を生成してCPU101に供給する。
メダル投入センサ201a,201bよりも下流に、可動部材202が配置されている。図6に示すように、可動部材202は、第1の通路部220aから開口案内部222を通過するメダルMにより揺動させられる。可動部材202は、開口案内部222の両脇に立てられた二つのポスト230,231に支持されたシャフト203に懸垂されており、シャフト203を中心にして揺動可能である。可動部材202は、概略的に幅の短い平板状の短片部202cを有しており、短片部202cのポスト230側の端部からは被検知片202aが短片部202cと同じ方向に延びており、短片部202cのポスト231側の端部からは被検知片202aと釣り合うバランサ片202bが短片部202cと同じ方向に延びている。
図6の実線および図7(A)に示すように、可動部材202は、メダルMに押されない初期状態ではメダル通路220に短片部202cの一端が存在するように懸垂されている。しかし、開口案内部222に案内されてメダルMがメダル通路220を転動してくると、図6の仮想線および図7(B)で示すように短片部202cがメダルMの外周面に押されて初期状態から可動部材202の一端が持ち上がるように揺動させられる。メダルMが可動部材202を通過した後は、図6の実線および図7(C)に示すように、可動部材202は自重により初期状態に復帰する。従って、可動部材202はメダルMに追従して揺動する性能が高い。初期状態への復帰作用をさらに改善するために、復帰する方向に力を与えるバネを可動部材202に取り付けてもよい。従って、可動部材202の揺動方向は、メダルMが転がって進行する方向とほぼ平行である。可動部材202を通過した後、メダルMはガイドレール205によって進行方向を変え、ガイドレール205に案内されて、図4のメダルホッパ210に落下する。
可動部材202の揺動は、図6に示すメダルゲートセンサ204により検知される。図示の例では、メダルゲートセンサ204は、可動部材202の被検知片202aの両側に配置された発光素子204aと受光素子204bを備えるフォトリフレクタである。発光素子204aと受光素子204bの位置は逆でもよい。可動部材202がメダルMに押されない初期状態では、被検知片202aは発光素子204aと受光素子204bの間に介在し、発光素子204aから発する光を遮断して、受光素子204bが受ける光を少ない状態にする。可動部材202の短片部202cがメダルMの外周面に押されて初期状態から一端が持ち上がるように揺動させられると、仮想線で示すように被検知片202aも持ち上がり、発光素子204aから発する光が十分に受光素子204bで受光され、この時受光素子204bは、メダルゲート信号164(図3)を生成してCPU101に供給する。
好ましくは、可動部材202の揺動範囲を規制する揺動規制部が設けられている。図7に示すように、可動部材202が持ち上がった時に、可動部材202の短片部202cに接触してさらなる持ち上がりを規制する揺動規制部234が固定的に設けられている。揺動規制部234に代えてあるいはこれに加えて、可動部材202が持ち上がった時に、可動部材202の被検知片202aに接触して可動部材202のさらなる持ち上がりを規制する揺動規制部236を固定的に設けてもよい。このようにして、可動部材202の持ち上がりを規制することにより可動部材202の復帰が促されるので、連続して複数のメダルMが傾斜メダル通路220を通過する場合に、後続のメダルMによって可動部材202が再び揺動する確実性を高めることができる。
また、図7に示すように、可動部材202が自重で初期位置に戻る時に、被検知片202aに接触して可動部材202の戻り過ぎを規制する揺動規制部233を固定的に設けると好ましい。このようにして、可動部材202の戻り過ぎを規制することにより可動部材202がより初期位置に復帰する確実性が高まる。従って、連続して複数のメダルMが傾斜メダル通路220を通過する場合に、後続のメダルMによって可動部材202が再び揺動する確実性をさらに高めることができる。
さらに揺動規制部233には、被検知片202aに接触する部分に、クッション232を設けると好ましい。これにより可動部材202が自重で初期位置に戻る時に、被検知片202aが揺動規制部233に跳ね返されることが抑制される。従って、連続して複数のメダルMが傾斜メダル通路220を通過する場合に、後続のメダルMによって可動部材202が再び揺動する確実性をさらに高めることができる。
図8を参照しながら、センサによるメダルMの検知をさらに確実にするためにスロットマシン1のCPU101(図3)で行われる処理内容を説明する。以下の説明では、メダルMがセンサ201a,201b,204の各々の検知位置を通過する時(メダルまたは可動部材202の被検知片202aを検知する時)に、センサはローレベル(0)の信号(メダル投入信号160a,160b、メダルゲート信号164のいずれか)をCPU101に供給し、メダルまたは可動部材202の被検知片202aを検知していない時にはセンサはハイレベル(1)の信号をCPU101に供給することを前提とする。但し、メダルを検知する時だけハイレベルの信号がセンサからCPU101に供給されるようにしてもよい。
上述のようにメダルMが傾斜メダル通路220に沿って進行し、さらに可動部材202が初期位置に迅速に復帰するように各種の工夫がされていても、センサ201a,201b,204の出力信号が不安定になることを完全に防止するのは困難である。出力信号が不安定になる原因には、例えば電気的なノイズの発生や傾斜メダル通路220での異物の通過がある。
図8(A)は、センサ201a,201b,204の出力信号に共通に施される外乱対策を示す。これらの信号は、上述のようにメイン制御基板100AのCPU101に供給される。CPU101は、これらの信号がローレベルの状態が一定期間(例えば4つの監視期間)継続すると、センサでメダルまたは可動部材202の被検知片202aが検知されたとして取り扱い、これらの信号がハイレベルの状態が一定期間(例えば4つの監視期間)継続すると、メダルまたは可動部材202の被検知片202aの検知が終了したとして取り扱う。これによれば、外乱により瞬間的にセンサの出力信号が変動しても、この変動を無視することが可能である。
また後述するように、CPU101はメダルMの検知に応じてメダルMの通過数(メダル投入枚数カウンタ値Cm)を計数し、可動部材202の揺動の検知に応じて可動部材202の揺動数(ゲート通過数カウンタ値Cg)を計数する。すなわちCPU101は、メダルMの通過枚数のカウンタとしての機能と可動部材202の揺動枚数のカウンタとしての機能を有する。図8(B)に示すように、メダル投入枚数カウンタ値Cmについては、メダル投入センサ201aがローレベルのメダル投入信号160aを継続的に出力し、さらにこの後の所定の短期間内に、メダル投入センサ201bがローレベルの信号160bを継続的に出力した場合に、CPU101はメダル投入枚数カウンタ値Cmをインクリメントする。これによれば、メダル投入枚数カウンタ値Cmの精度を高めることができる。メダル投入センサの個数を増やして、メダル投入枚数カウンタ値Cmの精度をさらに高めてもよい。ゲート通過数カウンタ値Cgについては、メダルゲートセンサ204がローレベルのメダルゲート信号164を継続的に出力した場合に、CPU101はゲート通過数カウンタ値Cgをインクリメントする。
しかし、図8(A)を参照して説明した外乱対策および図8(B)を参照して説明したメダル投入枚数カウンタ値Cmの精度向上策は、CPU101の処理量を増大させている。後述するように、この実施の形態では、通常でも処理量が多いCPU101の負担の増加を抑制しながら、光センサに対する偽装を行う不正行為の有無を推定するができる。
次に図9を参照しながら、メダルゲートセンサ204が出力するメダルゲート信号164の精度について説明する。図9において、時刻T1,T5はメダル投入センサ201aを2枚のメダルMがそれぞれ通過開始する時刻であり、時刻T2,T6はメダル投入センサ201bを2枚のメダルMがそれぞれ通過開始する時刻である。時刻T3,T7はメダル投入センサ201aを2枚のメダルMがそれぞれ通過終了する時刻であり、時刻T4,T8はメダル投入センサ201bを2枚のメダルMがそれぞれ通過終了する時刻である。時刻T9,T11は可動部材202を2枚のメダルMがそれぞれ通過開始する時刻であり、時刻T10,T12は可動部材202を2枚のメダルMがそれぞれ通過終了する時刻である。
図9(A)は、断続的にメダルMが投入された場合のセンサの出力を示すタイムチャートであり、図9(B)は連続的にメダルMが投入された場合のセンサの出力を示すタイムチャートである。上述のように可動部材202が初期位置に迅速に復帰するように各種の工夫がされていても、図9(B)に示すようにメダルMの間隔が狭い場合には、先行するメダル可動部材202を通過終了する時刻T11と同時に後続のメダルが可動部材202を通過開始する場合がありうる。このような場合には、先行するメダルにより揺動された可動部材202が後続のメダルの通過までに初期位置に復帰できないことがありうる。また、メダルゲート信号164がハイレベルの状態が一定期間持続しないので、後続のメダルが通過してもゲート通過数カウンタ値Cgがインクリメントされない。
後述するように、この実施の形態では、不確実性のあるメダルゲートセンサ204のメダルゲート信号164を使用しながらも、光センサに対する偽装を行う不正行為の有無を推定することができる。
<5:スロットマシンの遊技方法>
図10は、本発明の一実施形態にかかるスロットマシン1の遊技方法のうち遊技メダルの流れを示す説明図である。
(1)投入ベット処理
スロットマシン1での遊技は、まずメダル投入口10に遊技メダルを投入すること(投入操作)で始まる。この投入操作により、遊技メダルの1枚目の投入で入賞ラインを1本(L1)選択して有効化し、2枚目の投入で入賞ラインをさらに2本(L2、L3)選択して有効化し、3枚目の投入で入賞ラインをさらに2本(L4、L5)選択して有効化する。投入ベット処理があると、スタートレバー12からの開始操作指示信号112の受信に応じて遊技を開始可能になる。つまり投入ベット処理は、開始操作指示信号112を受け付ける条件である。
(2)投入クレジット処理
遊技メダルをさらに投入すると、貯留装置にクレジットとして遊技メダル50枚分まで貯留を行う。50枚を超えた50枚目より後に投入された遊技メダルはメダル受皿40に戻す。
(3)貯留ベット処理
遊技を開始するには、投入ベット操作のほか貯留装置に貯留されたクレジットをベットボタン11の押下により入賞ラインを有効にする入賞ライン賭けがされる。貯留ベット処理があると、スタートレバー12からの開始操作指示信号112の受信に応じて遊技を開始可能になる。つまり貯留ベット処理は、開始操作指示信号112を受け付ける条件である。
(4)配当クレジット処理
その後スタートレバー12の押下により3つのリールR1〜R3の回転が開始され、ストップボタン13a〜13cの押下によりリールR1〜R3が停止する。リールR1〜R3が停止したときに、あらかじめ定められた図柄組み合わせが有効化された入賞ライン上に揃うと入賞となり図柄組み合わせによって定められた配当数に基づいて配当が付与され、まず配当が貯留装置にクレジットとして貯留される。
(5)配当払出処理
クレジット数が上限である50枚に到達した場合は、メダル払出装置を駆動して50枚を超えた分の遊技メダルをメダル受皿40に払い出す。
(6)自動ベット処理
また、再遊技賞の入賞となった場合は、前ゲームと同じ賭け数が自動的にベットされる。
(7)返却払出処理
精算ボタン14の押下により、メダル払出装置を駆動して入賞ライン賭けされた分の遊技メダルをメダル受皿40に払い出す。
(8)精算払出処理
さらに貯留装置に貯留されたクレジット数の遊技メダルを、メダル払出装置を駆動してメダル受皿40に払い出す。
(9)貸出クレジット処理
また、スロットマシン1がメダル貸機に接続されている場合には、貸出ボタン15の押下により貸出処理が行われ、貸出分を貯留装置にクレジットとして貯留する。
(10)貸出払出処理
又は、貸出分の遊技メダルを、メダル払出装置を駆動してメダル受皿40に払い出す。
<6:スロットマシンの動作>
次に、スロットマシン1の全体動作の詳細を説明する。CPU101は、電源投入後初期化処理を行い、図11および図12に示すフローチャートの処理を実行する。
<6−1:1ゲームの流れ>
図11および図12は、1ゲームの流れの内容を示すフローチャートを構成する。まずCPU101は、メダル投入センサ201a,201bからローレベルのメダル投入信号160a,160bが所定の短期間に入力されたか否か判定し(S100)、入力されたと判定した場合にはメダル投入枚数カウンタ値Cmをインクリメントする(S101)。次に、メダル投入枚数カウンタ値Cmが最大ベット枚数(例えば3)を越えたか否か判定する(S102)。最大ベット枚数を越えていないと判定された場合には、ライン賭け処理を行う(S103)。ライン賭け処理では、遊技メダルが1枚投入されれた場合には入賞ラインL1を有効化してこれに対応した入賞ライン表示器21を点灯させ、遊技メダルが2枚投入されれた場合には入賞ラインL1に加えて入賞ラインL2及びL3を有効化してこれらに対応した入賞ライン表示器21を点灯させ、遊技メダルが3枚投入されれた場合には入賞ラインL1〜L3に加えて入賞ラインL4及びL5を有効化してこれらに対応した入賞ライン表示器21を点灯させる。
この後、CPU101は、ベット操作(この場合、投入ベット操作)が完了したことを示すベット操作フラグをセットし(S104)、処理はステップS110に進む。ベット操作フラグがセットされていれば、CPU101はスタートレバー12からの開始操作指示信号112を受け付けることが可能になる。つまり投入ベット処理は、開始操作指示信号112を受け付ける条件である。また、ステップS100でメダル投入信号160a,160bが所定の短期間に入力されなかったと判断した場合にも、処理はステップS110に進む。さらに、ステップS102でメダル投入枚数が最大ベット枚数(例えば3)を越えたと判定した場合には、クレジット加算処理を行う(S105)。クレジット加算処理では、貯留装置にメダルが1枚加算されたことを記憶させ、この後、処理はステップS110に進む。
ステップS110では、CPU101は、メダルゲートセンサ204からローレベルのメダルゲート信号164が入力されたか否か判定し、入力されたと判定した場合にはゲート通過数カウンタ値Cgをインクリメントする(S111)。
次に、CPU101はベット操作指示信号111a〜111cが入力されたか否か、すなわちベットボタン11の押下による貯留ベット操作が行われたか否かを判定し(S120)、ベット操作指示信号111a〜111cのいずれかを検知した場合は、ライン賭け処理を行う(S121)。このライン賭け処理では、ベット操作指示信号111aが入力されれた場合には入賞ラインL1を有効化してこれに対応した入賞ライン表示器21を点灯させ、ベット操作指示信号111bが入力されれた場合には入賞ラインL1に加えて入賞ラインL2及びL3を有効化してこれらに対応した入賞ライン表示器21を点灯させ、ベット操作指示信号111cが入力されれた場合には入賞ラインL1〜L3に加えて入賞ラインL4及びL5を有効化してこれらに対応した入賞ライン表示器21を点灯させる。
この後、CPU101は、ベット操作(この場合、貯留ベット操作)が完了したことを示すベット操作フラグをセットし(S122)、処理はステップS130に進む。ベット操作フラグがセットされていれば、CPU101はスタートレバー12からの開始操作指示信号112を受け付けることが可能になる。また、ステップS120で貯留ベット操作が行われなかったと判断した場合にも、処理はステップS130に進む。
ステップS130では、遊技者により精算ボタン14が押下された精算操作があったか否かを判定し、精算操作があった場合には、CPU101はサブルーチンとしてのメダル投入不正チェックを行う(S132)。後述するようにメダル投入不正チェックは、不正メダルが投入されたか否かをチェックする。このチェックにより不正メダルが投入されたと判定された場合にはCPU101は遊技の動作を停止する。他方、正規メダルのみが投入されたと判定された場合には、処理はクレジット払出処理(S132)に進む。
クレジット払出処理では、CPU101は、返却払出処理および精算払出処理を実行する。すなわち、メダル払出装置を駆動して入賞ライン賭けされた分の遊技メダルをメダル受皿40に払い出し、さらに貯留装置に貯留されたクレジット数の遊技メダルを、メダル払出装置を駆動してメダル受皿40に払い出す。この後、処理はステップS140に進む。また、ステップS130で精算操作がなかったと判定された場合にも処理はステップS140に進む。
ステップS140で、CPU101は開始操作指示信号112に基づいてスタートレバー操作が行われたか否かを判定し、開始操作指示信号112が検出されなければ、処理はステップS100に戻る。開始操作指示信号112を検出した場合には、すでにベット操作フラグがセットされているか否か判定し(S141)、セットされていなければ、処理はステップS100に戻る。
ベット操作フラグがセットされている場合には、ベット操作を禁止する(S142)。具体的には、メダルブロック信号161によりメダル選別器200のメダルブロックソレノイド200cをOFFにし、規制ガイド板200bを基準壁200eから離間させて、遊技メダルがメダル投入口10から投入された場合でもメダル受皿40に排出されるようにする。つまりメダル受付不能状態を実現する。また、ベット操作指示信号111a〜111cも受け付けないようにする。
続いて、CPU101はサブルーチンとしてのメダル投入不正チェックを行う(S143)。このチェックにより不正メダルが投入されたと判定された場合にはCPU101は遊技の動作を停止する。他方、正規メダルのみが投入されたと判定された場合には、処理は図12のステップS150に進む。
ステップS150では、CPU101は、0000Hから3FFFHの範囲で10ナノ秒毎に順次インクリメントし、約1.6ミリ秒で1巡回するするカウンタ回路から入力ポート107を介してカウンタ値を取得し乱数値とする。次にゲーム種別データを参照して、当ゲームの種類に応じた賞抽選テーブルを選択する(S151)。選択された賞抽選テーブルを使用して、取得した乱数値が賞抽選テーブル上の賞ごとに設定されたどの数値の範囲に属するかの判定を行い、その賞の当選フラグをセットする(S152)。次にステップS152で設定された当選フラグに基づき停止制御で参照する停止データテーブル群を選択する(S153)。
この実施形態では1ゲームの最小消費時間を4.1秒としているため、1ゲームの経過時間を示す2ミリ秒毎に0までカウントダウンするタイマ値を参照して、タイマ値が0まで到達するまで待機する(S154)。1ゲームの経過時間を計測する基点としてリールの回転開始とするためタイマ値が0に到達した場合には、タイマ値を4.1秒に相当する初期値(2050)をセットし、3つのリールを駆動するためリール駆動信号154a〜154cにパルスを供給して、ステッピングモータを同時又は順次回転させる(S155)。具体的には、リール駆動信号154a〜154cは複数の巻線相を励磁するための複数本の駆動信号ラインを備え、各駆動信号ラインにパルス信号を所定の位相パターンで供給することによりリールは回転する。また、ステップS140でスタートレバーが操作されたと判定されても、前のゲームのリールの回転開始から4.1秒経過していないと、直ちにリールR1〜R3は回転しないで待機状態になり、待機状態になったことをランプや音で遊技者に知らせる。
次にCPU101は、10ステップの加速期間を経て3つのリールR1〜R3を全て一定回転速度に到達させた後、ストップボタン13a〜13cの受け付けができることを知らせるために、ストップボタンに内蔵したLEDを点灯させる。停止操作指示信号113a〜113cを検出し、ストップボタンの操作があった場合は、ステップS106で選択した停止データテーブル群に基づき、ストップボタンの操作の位置と停止データテーブル群の停止データから停止させる図柄番号PNを決定し、全ての巻線相を同時に励磁する全相励磁によってブレーキ力を与えて、全相励磁を開始してから15ステップ相当分の惰性で回転して停止させるリール停止処理をそれぞれのリールに対して行う(S156)。リールR1〜R3の回転開始後、30秒経過しても停止操作が行われなかったリールに対しては自動的にリールを停止させる。
次にCPU101は、全てのリールが停止した場合、有効な入賞ライン上に役が成立して入賞したかを判定し(S157)、入賞している場合には役毎に設定した遊技価値を付与する。次にゲーム種別データを参照して、BBゲーム中、EBゲーム中、RBゲーム中又はCBゲーム中か否かを判定し(S158)、ゲーム中であると判定した場合には、特別ゲーム終了判定処理を行い(S159)、続いて当選フラグクリア処理を行う(S160)。ここでは、そのゲームで成立した当選フラグがフラグの持ち越しできる開始賞であれば、入賞した場合にだけ当選フラグをクリアし、入賞せずに取りこぼした場合には当選フラグをクリアせずそのままとする。一方そのゲームで成立した当選フラグがフラグの持ち越しできない開始賞又は小役賞であれば、入賞又は取りこぼしを問わずその当選フラグをクリアする。
さらにステップS104またはステップS122でセットしたベット操作フラグをクリアする(S161)。続いてステップS142で行ったベット操作の禁止を解除し(S162)、遊技メダルの投入又はベットボタン11の入力の受け付けを行えるようにする。メダルの受付可能状態にするには、具体的には、メダルブロック信号161によりメダル選別器200のメダルブロックソレノイド200cをONにし、規制ガイド板200bを基準壁200eに接近させて、正規の遊技メダルがメダル投入口10から投入された場合に傾斜メダル通路220に沿ってメダル投入センサ201a,201bへと転がるようにする。この後、次のゲームの開始に備えるため、ステップS100へ戻る。
<6−2:メダル投入不正チェック処理>
図13は、ステップS131およびステップS143のメダル投入不正チェック処理の内容を示すフローチャートである。このメダル投入不正チェック処理では、ステップS101で加算したメダル投入枚数カウンタ値CmとステップS111で加算したゲート通過数カウンタ値Cgに基づいて、不正行為の有無を推定する。
まずCPU101は、これらのカウンタ値の差分(絶対値)すなわちメダルMの通過数と可動部材202の揺動数との相違が許容範囲を算出し(S200)、この差分が許容範囲(閾値)未満であるか否か判定する(S201)。図では許容範囲として10を例示しているが、他の値でもよい。
差分が許容範囲である場合には、CPU101はメダル投入枚数カウンタ値Cmをクリアし(S202)、ゲート通過数カウンタ値Cgもクリアし(S203)、この処理を終了する。
他方、差分が許容範囲でない場合には、CPU101はエラー表示を行い(S204)、遊技動作を停止して遊技不可能にし(S205)、その状態で休止する。エラー表示としては、例えばCPU101は、クレジット数表示器23a、獲得枚数表示器23b、および配当数表示器23cのいずれかまたはこれらの組み合わせを通常と異なる態様で点灯させてもよい。あるいは、CPU101は表示制御基板100BのCPU191にエラー表示コマンドを送信し、これを受けてCPU191が液晶表示器30で異常状態を表示するようにしてもよい。あるいは、CPU101は電飾制御基板100Cにエラー表示コマンドを送信し、これを受けて電飾制御基板100Cが遊技ガイド表示器22または電飾LED31を通常と異なる態様で点灯させてもよい。なお、差分が許容範囲でない場合には、CPU101はエラー信号を外部に出力したり、異常であったことをRAM105に記憶したりしてもよい。
以上のように、本実施形態によれば、センサによるメダルMの直接的または間接的な検知のたびに複数のセンサのオン/オフ時間に基づいて不正行為を判断するのではなく、メダルMの直接的かつ光学的な検知に起因するメダルMの通過数(メダル投入枚数カウンタ値Cm)と、メダルの間接的な検知に起因する可動部材202の揺動数(ゲート通過数カウンタ値Cg)との相違が許容範囲にあるか否かを判断することにより不正行為の有無を推定する。このようにカウンタ値の相違に基づいて不正行為の有無を推定することにより、複数のセンサのオン/オフ時間に基づいて不正行為を判断する場合に比べて、CPUの処理量の増加を抑えることが可能である。上述したように、図8(A)を参照して説明した外乱対策および図8(B)を参照して説明したメダル投入枚数カウンタ値Cmの精度向上策はCPUの処理量を増加させているが、本実施の形態では、不正行為の有無の判定に伴うさらなるCPUの処理量の増加を抑えることができるので有利である。
さらに、メダルMの通過数と可動部材202の揺動数との相違の許容範囲を0、すなわち両者の完全一致ではなくすることにより、図9を参照して上述したような不確実性のあるメダルゲートセンサ204による検知の誤りを許容することが可能である。すなわちメダルが連続投入されたときに、メダルゲートセンサ204が一部のメダルに反応しない場合でも、これを不正行為と誤認することを回避できる。
また、センサによるメダルMの直接的または間接的な検知のたびに不正行為の有無を判断するのではなく、開始操作指示信号112をCPU101が受け付けて遊技者が遊技開始可能になった(ステップS140)後で、かつ遊技の入賞を判定する(ステップS157)前に、メダルMの通過数と可動部材202の揺動数を比較することにより、不正な遊技行為または不正な遊技行為に起因するメダルの払出しを防止できるとともに、メダルの投入に関する不正行為の推定の回数を削減することができるので、CPUの処理量の増加を抑えることが可能である。
また、センサによるメダルMの直接的または間接的な検知のたびに不正行為の有無を判断するのではなく、精算ボタン14から精算操作指示信号114が発せられた(ステップS130)後で、かつ貯留装置からメダルMが払い出される(ステップS132)前に、メダルMの通過数と可動部材202の揺動数を比較する。従って、メダルの投入に関する不正行為に起因するメダルの払出しを防止できるとともに、メダルの投入に関する不正行為の推定の回数を削減することができるので、CPUの処理量の増加を抑えることが可能である。
上記の実施の形態では、投入されたメダルMが所定の直径よりも小さい場合に、メダル通路220からメダルMが落下することによりメダルMを選別可能なメダル選別器200が、メダル投入センサ201a,201bでのメダルMの検知位置および可動部材202の位置よりも、メダル通路220における上流の位置でメダルMを選別する。従って、メダル選別器200で正規であると選別されたメダルMの通過数およびこのメダルによる可動部材202の揺動数が計数される。
<7.メダル投入不正チェックに関する第2の実施の形態>
次にメダル投入不正チェックに関する第2の実施の形態を説明する。第2の実施の形態の機械的構成は第1の実施の形態と同じでよい。
図14は、第2の実施の形態に係るスロットマシン1の電気的構成を示すブロック図である。上述した実施の形態では、遊技の手順を実行するメイン制御基板100AのCPU101で、メダルMの通過数(メダル投入枚数カウンタ値Cm)と、可動部材202の揺動数(ゲート通過数カウンタ値Cg)とを比較し、その相違が許容範囲にあるか否かを判断するが、第2の実施の形態では、表示制御基板100Bに配置されたCPU191でメダルMの通過数と、可動部材202の揺動数とを比較し、その相違が許容範囲にあるか否かを判断する。このため、メダルゲートセンサ204から出力されるメダルゲート信号164は、図示しない入出力ポートを介してCPU191に入力される。
また、メイン制御基板100AのCPU101は、メダルMの通過を検知したことを示すメダル投入センサ201a,201bからのメダル投入信号160a,160bを受信すると、表示制御基板100Bの第2のCPU191にメダル投入検知コマンドを送信する。またCPU101は、スタートレバー12から開始操作指示信号112を受信すると、表示制御基板100Bの第2のCPU191に開始操作コマンドを送信する。さらにCPU101は、精算ボタン14から精算操作指示信号114を受信すると、表示制御基板100BのCPU191に精算操作コマンドを送信する。
より正確には、これらのコマンドはCPU101からデータ送出回路106を介して、表示制御基板100Bのデータ入力回路196で受信され、表示制御基板100BのCPU191はデータ入力回路196で受信されたコマンドをクロック発生回路d193で発生したINTR1信号のタイミングで読み取って解釈し、その解釈に応じて動作する。
表示制御基板100Bの第2のCPU191は、メダル投入検知コマンドを受信すると、メダル通過数のカウンタとして機能してメダルMの通過数を計数する。またCPU191は、可動部材202の揺動を検知したことを示すメダルゲートセンサ204からの信号を受信すると、可動部材202の陽動数のカウンタとして機能し可動部材202の揺動数を計数する。さらにCPU191は、CPU101から開始操作コマンドを受信すると、メダルMの通過数と可動部材202の揺動数との相違が許容範囲にあるか否かを判断して、判断結果に応じた処理を実行する。さらにまたCPU191は、CPU101から精算操作コマンドを受信すると、メダルMの通過数と可動部材202の揺動数との相違が許容範囲にあるか否かを判断して、判断結果に応じた処理を実行する。スロットマシン1の電気的構成の他の点は、上述した第1の実施の形態と同様である。
第2の実施の形態のスロットマシン1のCPU101で実行される1ゲームの流れは、図11および図12に示す第1の実施の形態のフローチャートと類似するが、上記のように処理をCPU101,191に配分したことにより、図11に示した処理内容が図15に示す処理内容に置き換えられる。すなわち、この第2の実施の形態では、CPU101は、電源投入後初期化処理を行い、図15および図12に示すフローチャートの処理を実行する。
以下、図15を参照し、第2の実施の形態のスロットマシン1のCPU101で実行される1ゲームの流れを説明する。図15中、図11と共通する処理の説明は省略する。
まずCPU101は、メダル投入信号160a,160bが入力されたか否か判定し(S100)、入力されたと判定した場合には、メダル投入検知コマンドを生成し、これをデータ送出回路106を介して表示制御基板100Bに送信する(S300)。メダル投入検知コマンドは、CPU191にメダルが傾斜メダル通路220を通過したことを認識させるコードである。この場合も、図8(A)に示して上述したように、ローレベルの状態が一定期間(例えば4つの監視期間)継続すると信号を有効とみなし、図8(B)に示して上述したように、ローレベルのメダル投入信号160a,160bが所定の短期間に入力された場合にメダル投入信号160a,160bが入力されたとみなす。
次に、CPU101はメダル投入枚数カウンタ値Cmをインクリメントする(S101)。この実施の形態でも、メイン制御基板100AのCPU101でメダルの通過枚数を計数するのは、クレジット加算処理(S105)およびライン賭け処理(S103)を実行するために必要だからである。
また、ステップS130では、CPU101は、遊技者により精算ボタン14が押下された精算操作があったか否かを判定し、精算操作があった場合には、CPU101は、精算操作コマンドを生成し、これをデータ送出回路106を介して表示制御基板100Bに送信する(S301)。精算操作コマンドは、CPU191に精算操作がされたことを認識させるコードである。
この後、CPU101は、メダル投入枚数カウンタ値Cmをクリアし(S302)、処理はクレジット払出処理(S132)に進む。
また、スタートレバー12から開始操作指示信号112を受信したことによりスタートレバー操作が行われたことを判定(S140)した後、ベット操作を禁止した(S142)後に、CPU101は、開始操作コマンドを生成し、これをデータ送出回路106を介して表示制御基板100Bに送信する(S303)。開始操作コマンドは、CPU191にスタートレバー操作がされたことを認識させるコードである。
この後、CPU101は、メダル投入枚数カウンタ値Cmをクリアし(S304)、処理は図12のステップS150に進む。図12に示す処理内容は、第2の実施の形態でも第1の実施の形態と同じである。
次に、図16を参照し、第2の実施の形態のスロットマシン1の表示制御基板100BのCPU191で実行される処理の流れを説明する。
図16に示すように、CPU191は、データ入力回路196でメダル投入検知コマンドを受信したか否か判定し(S400)、受信したと判定した場合にはメダル投入枚数カウンタ値Cm’をインクリメントする(S401)。
また、CPU191は、メダルゲートセンサ204からローレベルのメダルゲート信号164が入力されたか否か判定し(S402)、入力されたと判定した場合にはゲート通過数カウンタ値Cgをインクリメントする(S403)。
さらにCPU191は、データ入力回路196で精算操作コマンドと開始操作コマンドを受信したか否か判定し(S404,S405)、精算操作コマンドと開始操作コマンドの両方とも受信しない場合には、処理はステップS400に戻る。
精算操作コマンドと開始操作コマンドのいずれかを受信した場合には、CPU191は、メダル投入枚数カウンタ値Cm’とゲート通過数カウンタ値Cgの差分(絶対値)すなわちメダルMの通過数と可動部材202の揺動数との相違が許容範囲を算出し(S500)、この差分が許容範囲(閾値)未満であるか否か判定する(S501)。図では許容範囲として10を例示しているが、他の値でもよい。
差分が許容範囲である場合には、CPU191はメダル投入枚数カウンタ値Cm’をクリアし(S502)、ゲート通過数カウンタ値Cgもクリアし(S503)、処理はステップS400に戻る。
他方、差分が許容範囲でない場合には、CPU191はエラー表示を行い(S504)、その状態で休止する。エラー表示としては、例えばCPU191は、液晶表示器30で異常状態を表示するとよい。なお、差分が許容範囲でない場合には、CPU191はエラー信号を外部に出力したり、異常であったことをRAM195に記憶したりしてもよい。
以上のように、第2の実施の形態では、メイン制御基板100AのCPU101ではサブルーチンとしてのメダル投入不正チェックを行わずに、表示制御基板100BのCPU191でメダル投入不正チェックを行う。このように、遊技の手順を実行するCPU101とは別個のCPU191によって、メダルの投入に関する不正行為の推定を実行するので、CPU101の負担を軽減することができる。
好ましくは、メダル投入不正チェックを行った後に、クレジット払出処理を行うようにするために、CPU101の処理において図15の精算操作コマンド送信(S301)からクレジット払出処理(S132)の間に、メダル投入不正チェックに要する時間よりも十分に長い待機時間を設けるとよい。これにより、精算ボタン14から精算操作指示信号114が発せられた(ステップS130)後で、かつ貯留装置からメダルMが払い出される(ステップS132)前に、メダルMの通過数と可動部材202の揺動数を比較することができる。
また、好ましくは、メダル投入不正チェックを行った後に、実際の遊技を行うようにするために、CPU101の処理において図15の開始操作コマンド送信(S303)から図12の乱数値取得(S150)の間に、メダル投入不正チェックに要する時間よりも十分に長い待機時間を設けるとよい。これにより、スタートレバー12から開始操作指示信号112が発せられて遊技者が遊技開始可能になった(ステップS140)後で、かつ遊技の入賞を判定する(ステップS157)前に、メダルMの通過数と可動部材202の揺動数を比較することができる。
また、本実施形態によれば、センサによるメダルMの直接的または間接的な検知のたびに複数のセンサのオン/オフ時間に基づいて不正行為を判断するのではなく、メダルMの直接的かつ光学的な検知に起因するメダルMの通過数(メダル投入枚数カウンタ値Cm)と、メダルの間接的な検知に起因する可動部材202の揺動数(ゲート通過数カウンタ値Cg)との相違が許容範囲にあるか否かを判断することにより不正行為の有無を推定する。このようにカウンタ値の相違に基づいて不正行為の有無を推定することにより、複数のセンサのオン/オフ時間に基づいて不正行為を判断する場合に比べて、CPUの処理量の増加を抑えることが可能である。
さらに、メダルMの通過数と可動部材202の揺動数との相違の許容範囲を0でなくする(すなわち両者の完全一致を要求しない)ことにより、図9を参照して上述したような不確実性のあるメダルゲートセンサ204による検知の誤りを許容することが可能である。すなわちメダルが連続投入されたときに、メダルゲートセンサ204が一部のメダルに反応しない場合でも、これを不正行為と誤認することを回避できる。また、CPU101からCPU191にメダル投入検知コマンドを送信するタイミングと、CPU101がメダルゲートセンサ204のメダルゲート信号164を検知するタイミングは異なっているが、メダルMの通過数と可動部材202の揺動数との相違の許容範囲を0でなくすることにより、タイミングの相違によりメダル投入枚数カウンタ値Cm’とゲート通過数カウンタ値Cgが不一致であっても、これを不正行為と誤認することを回避できる。
また、センサによるメダルMの直接的または間接的な検知のたびに不正行為の有無を判断するのではなく、開始操作指示信号112をCPU101が受け付けて遊技者が遊技開始可能になった(ステップS140)後で、かつ遊技の入賞を判定する(ステップS157)前に、メダルMの通過数と可動部材202の揺動数を比較することにより、不正な遊技行為または不正な遊技行為に起因するメダルの払出しを防止できるとともに、メダルの投入に関する不正行為の推定の回数を削減することができるので、CPUの処理量の増加を抑えることが可能である。
また、センサによるメダルMの直接的または間接的な検知のたびに不正行為の有無を判断するのではなく、精算ボタン14から精算操作指示信号114が発せられた(ステップS130)後で、かつ貯留装置からメダルMが払い出される(ステップS132)前に、メダルMの通過数と可動部材202の揺動数を比較する。従って、メダルの投入に関する不正行為に起因するメダルの払出しを防止できるとともに、メダルの投入に関する不正行為の推定の回数を削減することができるので、CPUの処理量の増加を抑えることが可能である。
<8.メダル投入不正チェックに関する第3の実施の形態>
次にメダル投入不正チェックに関する第3の実施の形態を説明する。第3の実施の形態のスロットマシン1の機械的構成は第1の実施の形態および第2の実施の形態と同じでよい。また、第3の実施の形態のスロットマシン1の電気的構成は、上述した第2の実施の形態(図14)と同様である。
上述した第2の実施の形態では、CPU101はメダル投入センサ201a,201bからのメダル投入信号160a,160bを受信すると、第2のCPU191にメダル投入検知コマンドを送信し、CPU191は、メダル投入検知コマンドを受信すると、メダルMの通過数を計数する。一方、第3の実施の形態では、メダル投入センサ201a,201bからのメダル投入信号160a,160bに基づいてCPU101がメダルMの通過数をメダル投入枚数カウンタ値Cmとして計数すると、第2のCPU191にメダル投入枚数カウンタ値Cmを示すメダル通過数指示コマンドを送信する。より正確には、メダル通過数指示コマンドは、CPU101からデータ送出回路106を介して、表示制御基板100Bのデータ入力回路196で受信される。表示制御基板100BのCPU191はデータ入力回路196で受信されたメダル通過数指示コマンドをクロック発生回路d193で発生したINTR1信号のタイミングで読み取って、メダル通過数指示コマンドからメダルの通過数としてのメダル投入枚数カウンタ値Cmを解釈する。
第3の実施の形態のスロットマシン1のCPU101で実行される1ゲームの流れは、図15および図12に示す第2の実施の形態のフローチャートと類似するが、図15に示した処理内容が図17に示す処理内容に置き換えられる。すなわち、この第3の実施の形態では、CPU101は、電源投入後初期化処理を行い、図17および図12に示すフローチャートの処理を実行する。
以下、図17を参照し、第2の実施の形態のスロットマシン1のCPU101で実行される1ゲームの流れを説明する。図17中、図15と共通する処理の説明は省略する。
まずCPU101は、メダル投入センサ201a,201bからローレベルのメダル投入信号160a,160bが所定の短期間に入力されたか否か判定し(S100)、入力されたと判定した場合にはメダル投入枚数カウンタ値Cmをインクリメントする(S101)。この場合も、図8(A)に示して上述したように、ローレベルの状態が一定期間(例えば4つの監視期間)継続すると信号を有効とみなし、図8(B)に示して上述したように、ローレベルのメダル投入信号160a,160bが所定の短期間に入力された場合にメダル投入信号160a,160bが入力されたとみなす。
次にCPU101は、メダル投入枚数カウンタ値Cmからメダル通過数指示コマンドを生成し、これをデータ送出回路106を介して表示制御基板100Bに送信する(S310)。メダル通過数指示コマンドは、CPU191にメダルの通過数を認識させるコードである。
この後、処理はステップS102に進む。以降の図17および図12に示す処理内容は、第3の実施の形態でも第2の実施の形態と同じである。
次に、図18を参照し、第3の実施の形態のスロットマシン1の表示制御基板100BのCPU191で実行される処理の流れを説明する。図18中、図16と共通する処理の説明は省略する。
図18に示すように、CPU191は、データ入力回路196でメダル通過枚数指示コマンドを受信したか否か判定し(S410)、受信したと判定した場合にはメダル通過枚数指示コマンドからメダル投入枚数カウンタ値Cmを解釈する(S411)。
精算操作コマンドと開始操作コマンドのいずれかを受信した場合には、CPU191は、メダル投入枚数カウンタ値Cmとゲート通過数カウンタ値Cgの差分(絶対値)すなわちメダルMの通過数と可動部材202の揺動数との相違が許容範囲を算出する(S510)。他の処理内容は、第2の実施の形態と同じであり、この第3の実施の形態でも、第2の実施の形態と同様の効果を奏することが可能である。
なお、第3の実施の形態では、メダル投入枚数カウンタ値Cmをインクリメントした(S101)直後に、メダル通過数指示コマンドを生成し表示制御基板100Bに送信する(S310)。しかし、メダル通過数指示コマンドを表示制御基板100Bに送信する時期は、これに限定されず、例えば、精算操作コマンドの送信(S301)および開始操作コマンドの送信(S303)と同時にメダル通過数指示コマンドを表示制御基板100Bに送信してもよい。
<9.メダル投入不正チェックに関する第4の実施の形態>
次にメダル投入不正チェックに関する第4の実施の形態を説明する。第4の実施の形態のスロットマシン1の機械的構成は第1〜第3の実施の形態と同じでよい。また、第4の実施の形態のスロットマシン1の電気的構成は、上述した第1の実施の形態(図3)と同様である。
第4の実施の形態では、メダル投入センサ201a,201bによるメダルMの検知後、所定時間内にメダルゲートセンサ204によって可動部材202の揺動が検知されるか否かを判断して、判断結果に応じた処理を実行する。
第4の実施の形態のスロットマシン1のCPU101で実行される1ゲームの流れは、図11および図12に示す第1の実施の形態のフローチャートと類似するが、図11に示した処理内容が図19に示す処理内容に置き換えられる。すなわち、この第4の実施の形態では、CPU101は、電源投入後初期化処理を行い、図19および図12に示すフローチャートの処理を実行する。
以下、図19を参照し、第4の実施の形態のスロットマシン1のCPU101で実行される1ゲームの流れを説明する。図19中、図11と共通する処理の説明は省略する。
CPU101は、メダル投入枚数カウンタ値Cmをインクリメントした(S101)後、内蔵するタイマを監視してステップS100またはステップS101から所定期間経過したか否か判定する(S600)。この所定期間は、正規のメダルMが転がってメダル投入センサ201bからメダルゲートセンサ204までの距離を通過するのに通常要する期間よりもわずかに長い期間である。
所定期間経過後、CPU101は、メダルゲートセンサ204からローレベルのメダルゲート信号164が入力されたか否か判定し(S601)、入力されたと判定した場合は、処理はステップS102に進む。他方、ステップS601の判定でローレベルのメダルゲート信号164が入力されなかったと判定した場合、CPU101はエラー表示を行い(S604)、遊技動作を停止して遊技不可能にし(S605)、その状態で休止する。エラー表示としては、第1の実施の形態に関連して上述したいずれかの方法を行えばよい。
このように第4の実施の形態では、メダル投入不正チェック処理は1ゲームの流れの中で実行する。従って、第1の実施の形態(図11)のサブルーチンとしてのメダル投入不正チェック処理(ステップS131,S143、図13)は実行しない。また、ゲート通過検知(ステップS601)は上記の段階で行い、ゲート通過数カウンタ値Cg(可動部材202の揺動数)の計数は行わない。よって、図11のステップS110,S111に相当する処理は図19のフローチャートには存在しない。他の処理内容は、第4の実施の形態でも第1の実施の形態と同じである。
第4の実施の形態では、上流の位置でメダル投入センサ201a,201bがメダルを光学的に検知してメダルの通過数をカウントしても、下流の位置でメダルゲートセンサ204が所定時間内に可動部材202の揺動を検知しないと、メダルの投入に関する不正行為があったと推定できる。このように、簡易にメダルの投入に関する不正行為を推定できるので、CPU101の処理量の増加を抑えることが可能である。この場合には、メダル投入センサ201a,201bによるメダルMの検知のたびに不正行為の有無を判断しても、処理量は大幅には増加しない。この実施の形態では、メダルゲートセンサ204により検知された可動部材202の揺動数は計数しないが、計数してもよい。
<10.変形例>
以上、現時点において、最も、実践的であり、かつ、好ましいと思われる実施形態に関連して本発明を説明したが、本発明は、本願明細書中に開示された実施形態に限定されるものではなく、請求の範囲および明細書全体から読み取れる発明の要旨あるいは思想に反しない範囲で適宜変更可能であり、そのような変更を伴うメダル遊技機もまた本発明の技術的範囲に包含されるものとして理解されなければならない。例えば、以下に述べる変形例は、本発明に包含されることは勿論である。
(1)上述した実施形態において、メダル遊技機の一例として、スロットマシンを取り上げて説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、雀球遊技機を含む。
(2)上述した実施形態では、メダル投入センサ201a,201bは第1の通路部220aをメダルMが通過する時にメダルMを検知し、第1の通路部220aのすぐ下流にある可動部材202は開口案内部222を通過するメダルMにより揺動させられる。しかし、第1の通路部220aと同一直線上にはない第2の通路部220bに可動部材202を配置し、第2の通路部220bをメダルMが通過する時にメダルMにより可動部材202が揺動させられるようにしてもよい。この場合には、メダル投入センサ201a,201bがメダルMを検知する第1の通路部220aと、メダルが可動部材202を揺動させる第2の通路部220bが同一直線上にないために、不正行為を行うことが非常に困難になる。
(3)上述した実施形態では、メダル投入センサ201a,201bおよび可動部材204は、メダル選別器200がメダルを選別する位置の下流に配置されているが、可動部材204はメダル選別器200がメダルを選別する位置の上流に配置してもよい。
(4)上述した第1および第4の実施形態では、遊技の処理を実行するメイン制御基板100AのCPU101でメダル投入不正チェック処理を実行し、第2および第3の実施の形態では、遊技の処理を実行するCPU101から表示制御基板100BのCPU191に対してメダルの通過数に関連する情報を送信する。しかし、表示制御基板100BのCPU191に、メダルの通過を直接的に検知するメダル投入センサ201a,201bのメダル投入信号160a,160bと、可動部材202の揺動を検知するメダルゲートセンサ204のメダルゲート信号164を入力するようにしてもよい。メダル投入センサ201a,201bの種類は限定しないが、上記と同様に光センサであると好ましい。この場合、CPU101は、スタートレバー12から開始操作指示信号112を受信すると、開始操作があったことを示す開始操作コマンドをCPU191に送信し、精算ボタン14から精算操作指示信号114を受信すると、精算操作があったことを示す精算操作コマンドをCPU191に送信する。CPU191は、メダルMを検知したことを示すメダル投入センサ201a,201bのメダル投入信号160a,160bを受信するたびに、メダルの通過数を計数し、可動部材202の揺動を検知したことを示すメダルゲートセンサ204からのメダルゲート信号164を受信するたびに、可動部材の揺動数を計数し、開始操作コマンドまたは精算操作コマンドを受信すると、メダルの通過数と可動部材の揺動数との相違が許容範囲にあるか否かを判断して、判断結果に応じた処理を実行するとよい。
あるいは、CPU191は、CPU101が送信するコマンドと関わりなく、上流のメダル投入センサ201a,201bによるメダルMの検知後、所定時間内にメダルゲートセンサ204によって下流の可動部材202の揺動が検知されるか否かを判断して、判断結果に応じた処理を実行してもよい。
これらの場合には、CPU101からCPU191に対してメダルの通過数に関連する情報を送信する必要がなく、遊技の手順を実行するCPU101とは別個のCPU191によって、メダルの投入に関する不正行為の推定を実行するので、CPU101の負担を極めて軽減することができる。遊技に必要とされるメダルの投入枚数は、メダル投入センサ201a,201bおよびメダルゲートセンサ204とは別個のセンサの出力に基づいてCPU101で計数すればよい。遊技のためにCPU101でメダルの投入枚数を計数するためのセンサは、メダル投入センサ201a,201bと同様に光センサが好ましく、そのセンサがメダルを検知する位置はメダル投入センサ201a,201bがメダルを検知する位置と同じかまたはメダル投入センサ201a,201bの検知位置よりも上流である。
(5)上述した第1〜第3の実施形態について、メダルの投入に関する不正行為を判断するCPU101または191は、メダルMの通過数または可動部材202の揺動数に応じて、メダルの通過数と可動部材の揺動数の相違の許容範囲を設定してもよい。すなわち、メダル投入センサ201a,201bに検知されたメダルMの通過数またはメダルゲートセンサ204に検知された可動部材202の揺動数が小さい場合には、通過数と揺動数との相違の許容範囲を小さくし、通過数または揺動数が大きい場合には許容範囲を大きくする。これによれば、通過数または揺動数の程度に応じて、より適切な判断が可能となる。第1の実施の形態に関していえば、図13のステップS200の直前に、メダル投入枚数カウンタ値Cmまたはゲート通過数カウンタ値Cgに応じて、許容範囲(図13ではステップS201の固定値10)を設定するステップを設ける。例えば、Cm>3なら許容範囲は1、3≦Cm<10なら許容範囲は2、10≦Cm<20なら許容範囲は4、20≦Cm<30なら許容範囲は6、30≦Cm<40なら許容範囲は6、40≦Cm<50なら許容範囲は8というようにである。ステップS201では、このようにして設定された許容範囲とカウント差分を比較する。第2または第3の実施の形態に関していえば、図16のステップS500または図18のステップS510の直前に、メダル投入枚数カウンタ値Cmまたはゲート通過数カウンタ値Cgに応じて、許容範囲(図16または図18ではステップS501の固定値10)を設定するステップを設け、ステップS501では、このようにして設定された許容範囲とカウント差分を比較する。
(6)上記の実施の形態では、1ゲームおきに(すなわちベット操作禁止(ステップS142)のあるたびに)、メダルの投入に関する不正行為を判断するが、これに加えて複数ゲームにわたってメダルMの通過数と可動部材204の揺動数の相違を累積し、累積した相違が許容範囲(1ゲームごとの許容範囲よりも大きい)にあるか否かを判断して、判断結果に応じた処理を実行してもよい。例えば1ゲームごとの許容範囲を10とし、過去10ゲーム分の許容範囲を30とし、10ゲームにわたってメダルMの通過数と可動部材204の揺動数の相違の絶対値を累積する。1ゲームでのメダルMの通過数と可動部材204の揺動数の相違が常に10未満でも、過去10ゲームの相違の絶対値の累積値が30に達していれば、何らかの異常がある可能性が高いので、エラー報知等を行う。これにより、さらに不正行為の発見を確実に行うことができる。