JP4762506B2 - ハニカム体及びその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、内燃機関の排気ガス浄化等の目的で用いられるメタル触媒担体用ハニカム体に関するものである。
内燃機関の排気ガスを浄化する目的で、排気ガス経路に触媒を担持した触媒コンバータが配置される。また、メタノール等の炭化水素化合物を水蒸気改質して水素リッチなガスを生成するメタノール改質装置やCOをCO2に改質して除去するCO除去装置、あるいはH2をH2Oに燃焼して除去するH2燃焼装置においても、同様に触媒を担持した担体が用いられる。これら触媒担体は、ガスが通過する多数のセルを有し、各セルの壁面には触媒がコーティングされ、通過するガスと触媒とが広い接触面積で接触することが可能になっている。
これらの目的で用いられる触媒担体としては、セラミックス触媒担体とメタル触媒担体とがある。メタル触媒担体は、図2に示すように、耐熱合金を用いた厚み数十μmの平箔1aと波箔1bとを交互に積層して円筒形のハニカム体4とし、このハニカム体4を円筒形の金属製の外筒7に装入する。ガス通路となるハニカム体のセルの金属箔の表面に、ウォッシュコート層と呼ばれる例えばポーラスなγ−アルミナ層をコーティングする。次に、このウォッシュコート層に貴金属等から成る触媒をしみ込ませる方法、またはあらかじめ触媒を含んだウォッシュコート層をメタル担体にコーティングする方法によって触媒担持層5を形成し、触媒を担持したメタル触媒担体8とする。
触媒担体をガスが通過する際の触媒反応は、触媒担持層とガスとの界面で進行するため、触媒担体においてガスと接触する触媒担持層の表面積が大きいほど反応が推進する。触媒担体のガスが通過する通路に垂直な断面において、ハニカム体の単位断面積あたりのセル個数をセル密度といい、セル/インチ2で表示する。セル密度が高いほど、触媒担体単位断面積あたりにおいて触媒とガスが接触する表面積が増大するため、浄化率の向上が見込まれる。一方、セル密度が高くなると、触媒担体を通過するガスの圧損が増加するため、例えば自動車の排気ガス浄化用触媒担体においては、200〜600セル/インチ2前後のセル密度のメタル担体が用いられており、ガスと接触する触媒担持層の表面積の増大を、セル密度の増大によって実現するには限界があった。
自動車の排気ガス経路に設置される触媒担体は、触媒担体自身が圧力損失を防ぐために大きな直径を必要とし、その前後の排気ガス経路の内径に比較して大きな直径を有する。小径の排気ガス経路から拡管部を経て触媒担体のガス入り側に到達するものの、排気ガスは触媒担体のガス入り側端面で十分に均一な流速分布を持つことができず、触媒担体の半径方向中心部のガス流速が高い状態で触媒担体の各セルに流入する傾向があった。
特許文献1には、メタル触媒担体に適宜数の孔が設けられ、隣接するセルはこの孔を介して互いに連通しているため、各セルに流入した排気ガスの一部は途中で隣のセルに流入し、排気ガスの流れに乱れが生じ、有害成分の浄化能力が向上する考案が記載されている。
特許文献2においては、金属触媒担体のセルのうちの一部を、平板と波板とに複数の孔を有する流量調整層としたものが記載されている。流量調整層に流入した排ガスは各セル間を移動しながら乱流化により流速が遅くなり、結果として流量が減少する。一方流量調整層以外のセルは、この減少した分の流量に相当する排ガスが流入し、ハニカム体内の流速が平滑化されるという効果を発揮する。
特許文献3には、金属質ハニカム体において、通孔壁面に微細孔を有し、通孔同士が三次元的に連通した構造を有し、ハニカムを通す気体の分散混合性が高いのでハニカム壁面での反応効率が向上し、軽量であるものが記載されている。
実開昭62−90742号公報 特開平11−47613号公報 特開平6−296877号公報
特許文献1〜3に開示された発明は、メタル担体のセル壁面に図2(a)に示すような貫通孔9を設けることにより、排気ガスを積極的にセル間で移動可能にすることで、排気ガスの流れに乱れを生じさせて浄化能力の向上を図り、ハニカム体内のガス流速の均一化を図るものであるが、このようにセル壁面に大型で多数の貫通孔9を開口するため、かえって触媒担持層の表面積を低下させる結果となり、ガス流の乱れなどによって浄化能力が向上する要因を有する一方で、触媒担持層表面積の低下によって浄化能力の低下をもたらす要因ともなっていた。
本発明は、ガス流れの乱流化による触媒反応効率の向上はもちろんのこと、従来技術ではハニカム体の軽量化と表面積の拡大の両立ができなかったハニカム体の軽量化にともなう熱容量低減を実現しつつかつ、触媒担持層の表面積の増大をも図って触媒反応効率の一層の向上を実現する新しい概念のハニカム体及びその製造方法を提供することを目的とする。
即ち、本発明の要旨とするところは以下のとおりである。
(1)波付け加工したものを含む1種又は2種以上の金属箔1を交互に巻き回しあるいは積層し、該金属箔1の表面に触媒を担持したハニカム体4において、前記2種の金属箔の一部又は全部の表面に貫通する微細孔を有し、該金属箔1の板厚をt1、該金属箔に担持した触媒担持層5の平均厚みをt2とするとき、10μm≦t 1 ≦100μm、t 2 ≦30μmであり、微細孔3の平均直径dが下記(1)式を満たすことを特徴とするハニカム体。
2t 2 d≦2t1+6t2 (1)
)金属箔1の単位表面積に占める前記微細孔3の合計開口面積の比率が40%以上であることを特徴とする上記(1)に記載のハニカム体。
)ハニカム体4のガスが通過するセル6の個数密度が、セル6に垂直な断面において400セル/インチ2以上であることを特徴とする上記(1)又は(2)に記載のハニカム体。
フォトエッチング法又はレーザー加工法のいずれかの手段によって金属箔表面に貫通する微細孔3を設け、該金属箔の一方に波付け加工を行って波箔とし、前記微細孔を設けた金属製平箔と波箔とを交互に積層あるいは巻き回してハニカム形状とし、ロウ付け又は拡散接合によって該平箔と波箔とを接合することを特徴とする上記(1)乃至()のいずれかに記載のハニカム体の製造方法。
厚みt1の金属箔1に直径dの微細孔3を開口し、この金属箔1に厚みt2の触媒担持層5をコーティングしたとき、孔の周辺における触媒担持層5が図4(a)のような形状に形成されると考える。このとき、触媒担持層5によって形成される孔の周壁の面積S1と開口によって減少した触媒担持層5の表層表面積S2を図4(b)に示す。そうすると、
1=π(d−2t2)(t1+2t2) (3)
であり、一方この開口によって減少した触媒担持層5の表層表面積S2は、表裏両面合せて
2=π(d−2t22/2 (4)
である。
メタル触媒担体において、金属箔1に微細孔3を開口するに際して、
1≧S2 (5)
とすることができれば、微細孔3を開口した結果として触媒担持層5がガスと接触する表面積が減少するどころか、逆に表面積を増大することができる。本発明は、この点に着目してなされたものであり、上記(3)〜(5)の3つの式を組み合わせた結果として、本発明の上記(1)のように、
d≦da=2(t1+2t2)+2t2=2t1+6t2 (1)’
となるように微細孔3の直径dを選択する。これにより、結果として微細孔3を開口しない場合と比較して触媒担持層5がガスと接触する表面積を増大させることが可能になることをみいだした。
孔の周辺における触媒担持層5の付着形状をより実態にあわせて正確に表現すると、図5(a)のような形状になる。図5(b)に示される曲面部分の表面積S3は、
3=4πt2(πd/4−t2)+π(d−2t2) (6)
となり、一方金属箔における微細孔の表面積S4は表裏両面で
4=πd2/2 (7)
である。
3≧S4 (8)
であれば、微細孔3の開口によって触媒担持層5がガスと接触する表面積を増大させることができる。S3=S4として(6)(7)式を用い、dについての二次方程式をつくり、解を求めると以下の式が得られる。
d=(t1+πt2)±√((t1+πt22−4t2(2t1+t2)) (9)
d≧2t2でないと微細孔が触媒担持層によって閉塞してしまうので、そのような条件の解のみを選択すると、
b=(t1+πt2)+√((t1+πt22−4t2(2t1+t2)) (10)
となる。
即ち、
d≦db (11)
となるように微細孔3の直径dを選択すれば、結果として微細孔3を開口しない場合と比較して触媒担持層5がガスと接触する表面積を増大させることが可能になる。
1=0の条件において、
b=πt2+√((πt22−4t2 2
=(π+√(π2−8))t2
≒4.5t2 (12)
一方、
a=2t1+6t2=6t2 (13)
であり、この条件で(1)’のdaを用いて、
b≒0.75da (14)
となる。
2=0の条件では、同様の計算の結果、
b=da (15)
となる。
1、t2ともに有限の値を持つ実際の条件においては、
0.75da≦db≦da (16)
となるので、
0.75da=1.5t1+4.5t2≦db (17)
であり、本発明の上記(1)は、好ましくは、
d≦0.75da=1.5t1+4.5t2 (2)’
となるように微細孔の直径dを選択すれば、d≦dbとなるから(11)式を満足し、結果として微細孔を開口しない場合と比較して触媒担持層がガスと接触する表面積を増大させることが可能になる。
また、触媒担持層の平均厚みt2が金属箔の板厚t1に較べて無視できる程薄い場合は、t2≒0として、図6のように表現でき、金属箔の一方又は両方の表面に微細孔を有し、該微細孔の微細孔1個当りの平均開口面積が、微細孔の周壁面積よりも小さければ、ハニカム体の表面積を増大させることができる。本発明の上記(1)で触媒担持層t2がt2≒0となる場合の別の表現方法は以下のようになる。厚みt1の薄板に直径dの孔を開口したとき、孔の周壁の面積S5
5=πdt1 (18)
であり、一方この開口によって減少した薄板の表面積S6は、表両面合わせて
6=πd2/2 (19)
である。ハニカム体の金属箔に微細孔を開口するに際して、
5≧S6とするには、
d≦2t1 (20)
とすることにより、ハニカム体の表面積を増大させることができる。
本発明は、メタル触媒担体用のハニカム体において、ハニカム体を構成する金属箔に特定の直径範囲を有する微細孔を開口することにより、ハニカム体の軽量化による熱容量の低減と、触媒担持層の表面積の増大を両立でき、ガス流れの乱流化による触媒反応効果と相まって触媒反応効率の一層の向上を実現できる。
ハニカム体4は、図2(b)に示すように、主に耐熱性のステンレス鋼製の平箔1aと、該平箔に波付け加工を行なった波箔1bとを用い、平箔1aと波箔1bとを交互にスパイラル状に巻き回して積層し、あるいは平行に積層して製造する。ハニカム体には平箔1aと波箔1bとで囲まれた多数のセル6が形成され、このセル6を構成する箔の表面に触媒担持層5を形成して触媒を担持し、ガスがこのセルを通過する際に触媒反応によってガスが浄化、改質または除去される。
ハニカム体の積層に際しては、図3に示すように、波形を台形形状とした波箔1bを積層して、セル断面形状が六角形であるハニカム体を形成してもよい。
金属箔1を積層してハニカム体4とした後、該ハニカム体4をステンレス鋼製の外筒7に収納し、平箔1aと波箔1bとが接触している部分の一部又は全部について、ろう付け又は拡散接合によって接合し、触媒担持前のハニカム体が形成される。
以上のようにハニカム体4を形成した後、セル6の金属箔の表面にウォッシュコート液をコーティングする。次いでウォッシュコート液は高温熱処理の過程で担体に焼き付けられ、図1(a)、図3(b)に示すように各セル6の金属箔1表面に触媒担持層5が形成される。
本発明においては、ハニカム体4の形成に用いられる金属箔1は、図1に示すように表面に微細孔3を有している。ハニカム体4に用いられるすべての金属箔1に微細孔3が形成されていることが望ましいが、例えば平箔1aと波箔1bとを巻き回して積層するハニカム体において、平箔あるいは波箔のいずれかのみに微細孔3を設けて積層しても良い。
微細孔3の形状は、真円、楕円、その他の形状とすることができる。真円以外の形状において、微細孔の径dは、微細孔と同一面積の真円とみなしたときの換算直径とする。
金属箔1に微細孔3を設ける方法としては、溶解法又はレーザー加工法のいずれかの手段を用いることができる。
溶解法とは、例えば、「フォトエッチング技術」を用いる。まず、金属箔の両面にフォトレジストとなる溶液を数μm単位で塗布し、乾燥させ、その後微細孔をあけない領域を専用マスクで覆い、光をあてて感光させる。感光された微細孔予定部位のフォトレジストは感光によりなくなり、金属箔の地金をむき出しにする。その後、酸性溶液で露出した金属箔部を溶蝕させ、微細孔をあける。最後に、残ったフォトレジスト部を別の溶液で剥離させれば、均一寸法で規則正しい微細孔加工ができる。
別の方法としてレーザー加工法がある。レーザー加工法とは、例えばYAGレーザー機を使い、金属箔の厚みにあわせてレーザービームの出力パワー/エネルギー量を変えてビームを溶射することで微細孔を形成する。溶融した金属箔の残塊がドロス状となり箔表面に残り、均一の形状孔は作りにくいものの、安価な設備投資で加工できるメリットがある。一方、微細な凹凸ポンチを用いてプレス加工をした場合、金属箔の厚みが100μm以下と薄いため、金属箔が変形してしまう問題点がある。また、凹凸ポンチの寿命が短く、量産製造方法に不向きであることがわかった。
本発明においては、好適な微細孔3の直径dは、金属箔1の板厚t1、該金属箔に担持した触媒担持層5の平均厚みt2との関係において定まる。即ち、微細孔周辺の触媒担持層5の付着状況を図4のように想定した場合には、本発明の上記(1)のように、d≦2t1+6t2とすることにより、微細孔を設けた結果として触媒担持層5がガスと接触する表面積を増大し、触媒反応効率を向上することができる。より正確には、微細孔周辺の触媒担持層の付着状況は図5のような形状になっているので、好ましくは、d≦1.5t1+4.5t2とすることにより、微細孔3を設けた結果として触媒担持層5がガスと接触する表面積を増大し、触媒反応効率を向上することができる。
一方、微細孔3の直径dが触媒担持層5の厚みとの関係で2t2よりも小さいと、触媒担持層5を形成する際に、微細孔3が触媒担持層5で埋まってしまうので、本発明の上記(2)のようにd≧2t2とすると好ましい。
金属箔1の表面に設ける微細孔3の数が少なすぎると、微細孔3による触媒担持層表面積の増大効果、軽量化によるハニカム熱容量低減効果及びガス乱流化促進効果を十分に発揮することができない。本発明の上記(3)のように、微細孔3の合計開口面積が金属箔1の表面積に占める比率(以下「微細孔開口率」ともいう。)が40%以上となるように微細孔3を設ければ、ハニカム体の軽量化による低熱容量効果と触媒担持層表面積の増大効果を最大限に生かしつつ、軽量化によるハニカム熱容量低減効果及びガス乱流化促進効果も十分に発揮することができる。微細孔開口率は、50%以上とするとより好ましい。一方、微細孔開口率が大きすぎると、微細孔同士がラップしてしまい、金属箔1の強度を保持することが困難となる。微細孔の断面形状が円形の場合の微細孔開口率の上限は80%である。一方、微細孔の断面形状を六角形とし、規則的に配置することにより、微細孔開口率の上限を90%とすることが可能となる。本発明のメタルハニカム体は金属箔を用いているため、微細孔開口率を上限の90%まで増大しても触媒担体として機能させることが可能である。そこで、本発明においては微細孔開口率の上限を、丸孔であれば80%、六角形であれば90%とすると好ましい。
前述のとおり、触媒担体としては本発明のメタル触媒担体の他にセラミックス触媒担体が用いられている。セラミックス触媒担体を構成するセラミックスは気孔を有しており、セラミックスの気孔率が本発明における微細孔3の合計開口面積が金属箔1の表面積に占める比率(微細孔開口率)に相当する。触媒担体用セラミックスハニカムの気孔率上限は35%である。35%を超えると壁の強度(アイソスタテック強度)が低く、担体として耐久性を保持することができない。本発明のメタル触媒担体であって微細孔開口率を40%以上とするものについては、セラミックス触媒担体の気孔がはたす機能を超えて良好な効果を発揮させることができる。
さらに、微細孔3の開口箇所については、ハニカム体1の一方のガス入り側端面からハニカム体全長の1/2以下の範囲とすると好ましい。
自動車のエンジン始動直後、あるいはアイドリングから高出力に変動した直後においては、通過する排気ガスの温度及び触媒担体は冷えた状態からのスタートであり、触媒担体の温度を急速に上昇させて触媒に着火させる必要がある。さもないと、定常状態に達するまでの間に十分に浄化されていない排気ガスを排出することとなる。触媒担体の温度を急速に上昇させるためには、ハニカム体の熱容量が低く表面積が大きいほど好ましい。ハニカム体のガス入り側において触媒に着火すれば、その下流側のガス温度は急速に上昇するので、ハニカム体のガス入り側を低熱容量化し、表面積を大きくするとより一層効果的である。そこで、ハニカム体のガス入り側端面の側に微細孔を開口することによって、この部分の熱容量を低下させ、表面積を増大させることができ、触媒担体の初期浄化性能を向上させることができた。
更に、たとえハニカム体のガス入り側からガス出側までの全長にわたって微細孔を設けたとしても、ハニカム体の全長が乱流域になるわけではなく、セルの途中から下流側は層流に変化してしまい、乱流化による触媒反応の活発化効果を得ることはできない。そして、微細孔3の数が増大するほど製造コストが上昇するので、ガス出側に微細孔3を設けることは費用対効果の点で得策ではない場合がある。このような意味からも、微細孔3の開口箇所が、ハニカム体4の一方のガス入り側端面からハニカム体全長の1/2以下の範囲とすると、微細孔3によって乱流域を増大することによる触媒反応効率の向上効果を得つつ、製造コストを低減することができる。
本発明の上記(4)のように、ハニカム体のガスが通過するセル6の個数密度が、セルに垂直な断面において400セル/インチ2以上とすると好ましい。セル密度が低くて1個あたりのセル断面積が大きすぎると、ガス抜けが発生する。ガス抜けとは、セル内を流れる排ガスの流速が速すぎて、ハニカム内の触媒と排ガスが化学反応を十分行う前に通過してしまう現象をいう。このようなガス抜けが起こりうるような低セル密度で低圧損のハニカム体にしてしまうと、たとえ微細孔を設けても、微細孔を設置した効果が十分に発揮することができない。セル密度が400セル/インチ2以上であれば、ガス抜けの発生もなく微細孔設置効果を十分に発揮することができる。また、400セル/インチ2未満であると、もともとセル直径が大きいのでセル内の乱流化がある程度期待できる。一方、セル密度が400セル/インチ2以上であると、セル直径が小さくなる結果としてセル内流れの層流化が進むので、本発明の微細孔を設けることによる乱流化効果が顕著に表れることとなる。さらに、微細孔を有しないハニカム体においては、セル密度が増大するほどハニカム体の重量が増大する。それに対し、微細孔を有する本発明のハニカム体は、400セル/インチ2以上の高密度であっても重量の増加を少なくすることができるので、軽量化による低熱容量および高表面積化の意味からますます微細孔をあける効果が顕著となる。セル密度は600セル/インチ2以上であるとより好ましい。一方、セル密度が1200セル/インチ2を超えるとセル断面積が小さくなり過ぎるので、上限は1200セル/インチ2とすると好ましい。
本発明の上記(5)のように、金属箔1の厚みが100μm以下とすると好ましい。金属箔の厚みが厚くなるほど、ハニカム体の重量の増大を招き、たとえ微細孔を設置してもベースの熱容量が増大するために微細孔を設置した効果が十分に発揮することができない。逆に、微細孔の数を多くしなければならず、孔加工するコストの上昇を招く。金属箔の厚みが100μm以下であれば、これらの悪影響を受けずに良好なハニカム体とすることが可能である。金属箔1の厚みは50μm以下とするとより好ましい。一方、金属箔1の厚みが10μm未満となると、薄すぎて孔あけ加工、特に加工時の位置決め精度不良が生じ、均一な孔あけ加工ができなくなることから、下限は10μmとすると好ましい。
まず、板厚50μmのステンレス鋼からなる平板に、直径0.2mmの孔を1cm2当たり1600個、開口面積比約50%で穿設する。孔を穿設した平板の一つをピッチ2mmの波状に加工して波板としたのち、平板と波板を重ね合わせて渦巻状に巻き、セル密度600セル/inch2のハニカム体にし、ステンレス鋼からなる外筒に入れて、ろう付けして、容積0.7リットルの金属担体を形成する。この金属担体にアルミナを主成分とするウォッシュコート液を通し、余分なウォッシュコート液を除去した後、200℃で1時間乾燥し、続いて700℃で2時間焼成することにより、金属担体に触媒担持層としてのアルミナ層厚み30μmを形成した。
このアルミナ層を形成した金属担体を蒸留水に浸漬して十分吸水させた後、引き上げて余分な水分を吹き払い、ジニトロジアンミン白金および塩化ロジウムを含む水溶液に浸漬した。取り出して乾燥することにより、図1に示すように、アルミナ層に触媒成分としての白金とロジウムがそれぞれ0.9g/リットル、0.1g/リットル担持されたメタル触媒Aが得られた。
このメタル触媒Aを触媒容器に装填して自動車排気ガス浄化用触媒とした。
(比較例)
比較例として、板厚50μmのステンレス鋼からなる平板に、直径1.5mmの貫通孔9を1cm2当たり4個(開口面積比約7%)穿設する。孔を穿設した平板の一つをピッチ2mmの波状に加工して波板1bとしたのち、平板1aと波板1bを重ね合わせて渦巻状に巻き、図2(a)に部分斜視図を示すようにセル密度600セル/inch2のハニカム体にし、ステンレス鋼からなる外筒に入れて、ろう付けして、上記実施例と同寸法の容積0.7リットルの金属担体を形成する。この金属担体に上記実施例と同様にアルミナを主成分とするウォッシュコート液を通し、余分なウォッシュコート液を除去した後、200℃で1時間乾燥し、続いて700℃で2時間焼成することにより、金属担体に触媒担持層としてのアルミナ層厚み30μmを形成した。
このアルミナ層を形成した金属媒体に実施例と同様のプロセスで同様の貴金属量を含浸させたメタル触媒B(図2(a))を作った。
このメタル触媒Bを、メタル触媒Aと同様の方法で、触媒容器に装填して自動車排ガス浄化用触媒とした。
(性能評価)
a.エンジンダイナモテスト(定常試験)
上記実施例で得られたメタル触媒Aを装着した触媒コンバータと、上記比較例で得られたメタル触媒Bを装着した触媒コンバータを、それぞれ2リットルエンジンの排気系に接続し、耐久試験を行った。このとき、耐久試験条件は、エンジン回転数:3000rpm、エンジン負荷:−280mmHg、触媒温度:700℃、耐久時間:500時間とした。
耐久試験後の触媒コンバータを用い、実施例と比較例の浄化性能を比較した。即ち、上記耐久試験の後、2リットルエンジンの排気系に装着し、エンジン回転数:2400rpm、エンジン負荷:−360mmHgの一定条件で、触媒温度のみを変えて窒素酸化物(NOx)の浄化率を調べた。この結果を図7に示す。
図7から明らかなように、実施例のメタル触媒Aは比較例のメタル触媒Bに比べ、各温度におけるNOxの浄化率が向上していることが判る。なお、図7ではNOxの浄化率についてのみ示したが、炭化水素(HC)や一酸化炭素(CO)に関しても、同様な傾向を示した。
b.10モードエミッションテスト
上記実施例で得られたメタル触媒Aを装着した触媒コンバータと、上記比較例で得られたメタル触媒Bを装着した触媒コンバータを、それぞれ2リットルエンジンの排気系に接続し、国内の排気ガス耐久試験パターンに基づき、耐久試験を行った。耐久試験後の触媒コンバータを用い、実施例と比較例の浄化性能を比較した。即ち、上記耐久試験の後、2リットルエンジンの排気系に装着し、10モードエミッションテストを行った。この結果を表1に示す。
Figure 0004762506
表1より、本実施例のメタル触媒Aは従来のメタル触媒Bに比べ、浄化性能が大幅に向上していることが判る。
以上、本発明の特定の実施例について説明したが、本発明は上記実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲内において種々の実施態様を包含するものである。
本発明の微細孔を有するハニカム体を示す図であり、(a)は部分断面図、(b)は全体斜視図である。 ハニカム体を示す図であり、(a)は従来例の部分斜視図、(b)は全体を示す斜視図である。 六角形セルを有するハニカム体の断面図であり、(a)は触媒担持前、(b)は触媒担持後の状況を示す図である。 本発明のハニカム体の微細孔を示す概念図であり、(a)は断面図、(b)は表面積の関係を示す図である。 本発明のハニカム体の微細孔を示す概念図であり、(a)は断面図、(b)は表面積の関係を示す図である。 本発明のハニカム体の微細孔を示す概念図である。 触媒温度と窒素酸化物(NOx)の浄化率の関係を示す図である。
符号の説明
1 金属箔
1a 平箔
1b 波箔
3 微細孔
4 ハニカム体
5 触媒担持層
6 セル
7 外筒
8 触媒担体
9 貫通孔

Claims (4)

  1. 波付け加工したものを含む1種又は2種以上の金属箔を交互に巻き回しあるいは積層し、該金属箔の表面に触媒を担持したハニカム体において、前記金属箔の一部又は全部の表面に貫通する微細孔を有し、該金属箔の板厚をt1、該金属箔に担持した触媒担持層の平均厚みをt2とするとき、10μm≦t 1 ≦100μm、t 2 ≦30μmであり、微細孔の平均直径dが下記(1)式を満たすことを特徴とするハニカム体。
    2t 2 d≦2t1+6t2 (1)
  2. 金属箔の単位表面積に占める前記微細孔の合計開口面積の比率が40%以上であることを特徴とする請求項に記載のハニカム体。
  3. ハニカム体のガスが通過するセルの個数密度が、セルに垂直な断面において400セル/インチ2以上であることを特徴とする請求項1又は2に記載のハニカム体。
  4. フォトエッチング法又はレーザー加工法のいずれかの手段によって金属箔表面に貫通する微細孔を設け、該金属箔の一方に波付け加工を行って波箔とし、前記微細孔を設けた金属製平箔と波箔とを交互に積層あるいは巻き回してハニカム形状とし、ロウ付け又は拡散接合によって該平箔と波箔とを接合することを特徴とする請求項1乃至のいずれかに記載のハニカム体の製造方法。
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