JP4760369B2 - サスペンション装置 - Google Patents

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Description

本発明は、車高調整装置と減衰特性制御装置との両方を備えたサスペンション装置に関するものである。
特許文献1には、車高調整中に、前輪側の車高と後輪側の車高との差の絶対値が大きくなった場合に、車高が目標車高に近い側における車高調整を中止することが記載されている。特許文献2には、イグニッションスイッチのOFF状態において車高調整要求が満たされた場合には、減衰特性をソフト側の特性とすることにより車高変化速度を大きくすることが記載されている。さらに、特許文献3には、前輪側の懸架シリンダと液圧源とを接続する液通路の直径を、後輪側の懸架シリンダと液圧源とを接続する液通路の直径より大きくすることにより、車高を小さくする車高調整において、前輪側の車高の減少速度が後輪側の車高の減少速度より大きくすることが記載されている。
特開平11−115443 特開平7−237421 特開平9−290614
本発明の課題は、車高調整中に、車体の前後方向の姿勢が予め定められた姿勢となるように制御可能とすることである。
課題を解決するための手段および効果
本願発明に係るサスペンション装置は、(i)車両の前後左右の車輪の各々について、
車輪と車体との間の上下方向の相対位置関係である車高をそれぞれ制御する車高調整装置と、(ii)前記前後左右の車輪の各々について設けられ、前記車高の変化速度に応じた減衰力を発生させる減衰力発生装置各々における減衰特性を制御する減衰特性制御装置とを含むサスペンション装置であって、前記減衰特性制御装置が、前記車高調整装置による車高調整中に、前記車両の前輪側と後輪側との少なくとも一方の側の左右輪についての減衰特性を制御することにより、前記車体の前後方向の姿勢を予め定められた姿勢に近づける車高調整中減衰特性制御部を含むものとされる。
本項に記載のサスペンション装置においては、車高調整装置による車高調整中に、車体の前後方向の姿勢が予め定められた姿勢に近づく向きに、車両の前輪側と後輪側との少なくとも一方の側の左右輪についての減衰力発生装置における減衰特性が制御される。このように、車高調整中に、車体の前後方向の姿勢の変化が抑制されれば、乗員がいる場合には乗り心地を向上させることができる。また、乗員がいない場合には、周囲の人に与える違和感を軽減することができる。
車高調整装置は、車輪側部材と車体側部材との間に設けられた流体室における流体の流入・流出を制御して車高を制御するものである。流体は、エアであっても、作動液であってもよい。
車高調整は、前輪側と後輪側とで、同時に行われるようにしても、別個に行われるようにしてもよい。別個に行われる場合には、前輪側、後輪側の各々において、作動液の流入・流出が断続的に行われる。すなわち、流体室においての流体の流入・流出が行われる(制御)状態と、流入も流出も行われない(非制御)状態とが繰り返されるのであり、前輪側と後輪側とで、流体室においての流体の流入・流出(制御)が交互に行われることになる。このように、本項に記載のサスペンション装置においては、前輪側と後輪側とで、交互に、流体が流入、流出させられる(制御が行われる)のであり、特許文献1に記載のサスペンション装置におけるように、目標車高に遠い側において、流体が流入・流出させられて、近い側において、流入も流出も行われないようにされるのではない。
車高は、予め定められた基準車高からの隔たりを表す量である。基準車高は、標準車高とすることができるが、不可欠ではない。標準車高は、車両の積載状態が標準状態であり、かつ、水平な路面に停車している場合の設計上定められた上下方向の相対位置関係である。基準車高は、車輪と車体との間の上下方向の相対位置関係が予め決められた関係である場合に対応する車高であり、例えば、リバウンド側のストッパやバウンド側のストッパに当接した相対位置関係に対応する車高とすることも可能である。
以下、本明細書においては、車輪と車体とが接近した状態において離間した状態における場合より、車高が小さいとする。
減衰力発生装置は、車高の変化に起因して作動液が流れる場合に、その流れを抑制することによって、その車高の変化の向きとは逆向きに、その変化速度、すなわち、作動液の流速に応じた減衰力を発生させる。減衰力発生装置は、その作動液が流れる液通路に設けられた絞りを含むものであり、絞りの程度が大きい(流路面積が小さい)場合に絞りの程度が小さい(流路面積が大きい)場合より、車高変化速度が同じである場合に発生する減衰力が小さくなる。
減衰力発生装置が、車輪保持装置と車体との間に設けられた液圧シリンダを含むものである場合には、絞りは、(a)液圧シリンダ内をヘッド側室とロッド側室とを仕切るピストンに設けられる場合、(b)液圧シリンダのヘッド側室あるいはロッド側室に、アキュムレータあるいは作動液補償室(ピストンの移動に伴う容積変化分に応じた作動液を補償するために設けられた作動液収容室)等が接続される場合に、その液圧シリンダの液室とアキュムレータや液補償室等との間に設けられる場合等がある。この場合には、液圧シリンダをショックアブソーバと称する。これらの場合には、ショックアブソーバとは別個に車高調整用の流体室が設けられる場合と、ショックアブソーバのヘッド側室が車高調整用の流体室を兼ねる場合とがある。
また、(c)絞りが、車高調整装置の作動液給排装置と液圧シリンダとを接続する制御通路に設けられる場合もある。この場合には、液圧シリンダの液室が車高調整用の流体室と減衰直発生装置の液室とを兼ねることになる。
車高調整装置において、車高調整用流体室からの流体の流出が許容されると、車輪に加わる荷重が車高を小さくする向きの力として作用する。減衰力発生装置において、車高が小さくなることにより生じる作動液の流れが抑制されることにより減衰力が発生する。減衰力は、車高を小さくする向きの力とは反対向きの力で、絞りの程度に応じた大きさである。絞りの程度が大きい場合は小さい場合より減衰力が大きくなり、液圧シリンダにおいてピストンが動き難くなり、車高変化速度が小さくなる。
車高調整装置において、車高調整用流体室へ流体が流入させられると、その車高調整用流体室の液圧に基づく力と、車輪保持装置と車体との間に液圧シリンダと並行に設けられたサスペンションスプリングの弾性力とが、車高を大きくする向きの力として作用する。すなわち、減衰力発生装置において発生させられる、車高を大きくする向きの力とは反対向きで、絞りの程度に応じた大きさの力は、サスペンションスプリングの車高を大きくしようとする力に対して減衰力であるとみなすことができる。なお、このサスペンションスプリングの弾性力等により車高を大きくする向きの力は、車輪に加わる荷重とは反対向きの力である。
いずれにしても、減衰力が大きい場合は小さい場合より車高を変化させる向きの力に抗する力が大きくなり、液圧シリンダにおいてピストンが動き難くなる。
減衰特性は、車高の変化速度が同じである場合に発生する減衰力の大きさで決めたり、絞りの大きさの程度で決めたりすることができる。車高の変化速度が同じである場合に、発生する減衰力が大きい場合は小さい場合より減衰特性がハード側にあると称し、減衰力が小さい場合は大きい場合よりソフト側にあると称する。また、絞りの程度が大きい場合は小さい場合より、車高変化速度が同じである場合に発生する減衰力が大きくなり、ハード側の特性となる。
また、減衰特性を数字で表す場合には、例えば、減衰力発生装置において、制御上、同じ車高変化速度に対して発生させ得る減衰力が最大となる状態、すなわち、絞りの程度が最大値(流路面積が最小値)となる状態において実現される特性を最もハード側の特性とし、数字nmaxで表し、同じ車高変化速度に対して発生させ得る減衰力が最小となる状態、すなわち、絞りの程度が最小値(流路面積が最大値)となる状態において実現される特性を最もソフト側の特性とし、数字nminで表すことができる。そして、数字nmaxで表される特性と、数字nminで表される特性との間は、段階的に制御可能としても、連続的に制御可能としてもよい。また、減衰特性を表す数字と絞りの程度との関係は、前輪側と後輪側とで同じであっても異なっていてもよい。例えば、絞りの程度が同じであっても減衰特性を表す数値が異なる場合があるのである。
特許請求可能な発明
以下に、本願において特許請求が可能と認識されている発明(以下、「請求可能発明」という場合がある。請求可能発明は、少なくとも、請求の範囲に記載された発明である「本発明」ないし「本願発明」を含むが、本願発明の下位概念発明や、本願発明の上位概念あるいは別概念の発明を含むこともある。)の態様をいくつか例示し、それらについて説明する。各態様は請求項と同様に、項に区分し、各項に番号を付し、必要に応じて他の項の番号を引用する形式で記載する。これは、あくまでも請求可能発明の理解を容易にするためであり、請求可能発明を構成する構成要素の組を、以下の各項に記載されたものに限定する趣旨ではない。つまり、請求可能発明は、各項に付随する記載,実施例の記載等を参酌して解釈されるべきであり、その解釈に従う限りにおいて、各項の態様にさらに他の構成要素を付加した態様も、また、各項の態様から構成要素を削除した態様も、請求可能発明の一態様となり得るのである。
(1)車両の前後左右の車輪の各々について、車輪と車体との間の上下方向の相対位置関係である車高をそれぞれ制御する車高調整装置と、
前記前後左右の車輪の各々について設けられ、前記車高の変化速度に応じた減衰力を発生させる減衰力発生装置各々における減衰特性を制御する減衰特性制御装置と
を含むサスペンション装置であって、
前記減衰特性制御装置が、前記車高調整装置による車高調整中に、前記車両の前輪側と後輪側との少なくとも一方の側の左右輪についての減衰特性を制御することにより、前記車体の前後方向の姿勢を予め定められた姿勢に近づける車高調整中減衰特性制御部を含むことを特徴とするサスペンション装置
車高調整中には、前輪側と後輪側とのいずれか一方の側の減衰特性が制御される場合や両方の側の減衰特性が制御される場合があるが、一方の側の減衰特性が制御される場合において、(a)常に同じ側(前輪側あるいは後輪側)の減衰特性が制御される場合や、(b)一方の側の減衰特性が制御されたり、他方の側の減衰特性が制御されたりする場合等がある。
(2)前記車高調整中減衰特性制御部が、前記少なくとも一方の側の減衰特性を制御することにより、前記前輪側の車高の変化速度と前記後輪側の車高の変化速度とを近づける車高変化速度差抑制制御部を含む(1)項に記載のサスペンション装置
前輪側の車高の変化速度と後輪側の車高の変化速度とが近づくように、前輪側と後輪側との少なくとも一方の側の減衰特性が制御されれば、車高調整中の車体の前後方向の姿勢の変化を抑制することができる。
そのため、車高調整開始時に車体の前後方向の傾きが小さい場合には、車高調整中において、前後方向の傾きが大きくなることを回避することができる。
(3)前記車高変化速度差抑制制御部が、前記前輪側と前記後輪側とのうち車高の変化速度が大きい側の減衰特性を、車高の変化速度が小さい側の減衰特性よりハード側の特性とする車高変化速度依拠制御部を含む(2)項に記載のサスペンション装置(請求項1)
車高の変化速度が大きい側の減衰特性を小さい側の減衰特性よりハード側の特性とすれば、前輪側の車高変化速度と後輪側の車高変化速度との差を小さくすることができ、車体の前後方向の姿勢の変化を抑制することができる。
例えば、前輪側と後輪側とで減衰特性の程度が同じである場合において、車高を大きくする場合には、荷重が大きい側においては荷重が小さい側における場合より、車高変化速度が小さくなる。その場合に、荷重が小さい側の減衰特性を大きい側の減衰特性よりハード側の特性とすれば、荷重が小さい側の車高変化速度を小さくすることができ、前輪側と後輪側との車高変化速度の差を小さくすることができる。車高を小さくする場合には、荷重が大きい側の方が車高変化速度が大きくなる。そのため、荷重が大きい側の減衰特性を小さい側よりハード側の特性とすれば、荷重が大きい側の車高変化速度を小さくすることができ、前輪側と後輪側との車高変化速度の差を小さくすることができる。
(4)前記車高変化速度差抑制制御部が、(a)車高の変化速度が大きい側の減衰特性を、それ以前よりハード側の特性とするハード側変更部と、(b)前記車高の変化速度が小さい側の減衰特性を、それ以前よりソフト側の特性とするソフト側変更部との少なくとも一方を含む(2)項に記載のサスペンション装置。
車高変化速度が大きい側において、減衰特性が、それ以前よりハード側とされれば、車高変化速度が小さくなる。車高変化速度が小さい側において、それ以前よりソフト側とされれば、車高変化速度が大きくなる。それによって、前輪側と後輪側とで車高変化速度の差を小さくすることができ、前後方向の姿勢の変化を抑制することができる。
例えば、前輪側の減衰特性の方が後輪側の減衰特性よりソフト側の特性である場合において、車高変化速度が大きい側が前輪側である場合には、前輪側の減衰特性が、それ以前よりハード側とされる。この場合において前輪側の減衰特性は、後輪側の減衰特性よりハード側の特性となるとは限らない。
(5)前記車高変化速度依拠制御部が、前記前輪側と前記後輪側とのうち車高の変化速度が大きい側の減衰特性をそのままとし、車高の変化速度が小さい側の減衰特性をソフト側とするソフト側制御部を含む(3)項または(4)項に記載のサスペンション装置。
(6)前記車高変化速度依拠制御部が、前記前輪側と前記後輪側とのうち車高の変化速度が小さい側の減衰特性をそのままとし、車高の変化速度が大きい側の減衰特性をハード側とするハード側制御部を含む(3)項ないし(5)項のいずれか1つに記載のサスペンション装置。
車高変化速度依拠制御部は、前輪側と後輪側とのうち車高変化速度が小さい側の減衰特性をソフト側としたり(ソフト側制御部)、車高変化速度が大きい側の減衰特性をハード側としたり(ハード側制御部)、車高の変化速度が大きい側の減衰特性をハード側とするとともに変化速度が小さい側の減衰特性をソフト側としたり(ソフト側・ハード側制御部あるいは両側制御部)することができる。
ソフト側制御部によって車高変化速度が小さい側の減衰特性がソフト側とされる場合は、ハード側制御部によって車高変化速度が大きい側の減衰特性がハード側とされる場合より、前輪側、後輪側の車高変化速度の平均値の低下を抑制することができ、車高調整時間を短くすることができる。
(7)前記車高変化速度差抑制制御部が、前記前輪側と前記後輪側とのうち、車高の変化速度が大きい側がいずれであるかを取得する車高変化速度大小取得部を含む(2)項ないし(6)項のいずれか1つに記載のサスペンション装置(請求項2、(5)項に従属する部分が請求項3に対応する)
単位時間当たりの車高の変化量に基づけば車高変化速度を取得することができる。ただし、車高変化速度の値自体を取得する必要性は低く、前輪側と後輪側とで、車高変化速度の大小が取得されればよい。
(8)前記車高変化速度大小取得部が、前記車高調整装置による車高調整の開始からの車高の変化量が予め定められた設定量に至るまでの時間が短い方の側を、車高の変化速度が大きい側とする車高調整開始時大小取得部を含む(7)項に記載のサスペンション装置。
本項に記載のサスペンション装置においては、車高調整開始からの車高の変化量が予め定められた設定量に至るまでの時間が短い側が、車高の変化速度が大きい側とされる。前輪側と後輪側とで車高調整が同時に行われる場合には、車高の変化量が先に設定量に至った側が車高変化速度が大きい側とされる。
この場合において、予め定められた設定量が小さい場合は大きい場合より、車高調整中の、より早期に、車高変化速度が大きい側が前輪側と後輪側とのいずれの側であるかを取得することが可能となり、車高調整中に姿勢を予め定められた姿勢に保持する場合に適している。その意味において、予め定められた設定量は、例えば、車高調整の開始時の車高から目標車高に至るまでの車高変化量である目標ストロークの1/6以下,1/5以下,1/4以下とすることが望ましい。この意味において、車高調整開始時大小取得部は、初期大小取得部と称することができる。
(9)前記車高調整中減衰特性制御部が、前記少なくとも一方の側の減衰特性を制御することにより、前記前輪側の車高と前記後輪側の車高との差を予め定められた設定範囲内に保つ前後車高差規制部を含む(1)項ないし(8)項のいずれか1つに記載のサスペンション装置
前輪側の車高と後輪側の車高との差が予め定められた設定範囲内に保たれれば、車体の前後方向の傾き角度の絶対値を設定範囲内に保つことができる。車高調整中に、車体の前後方向の傾きが大きくならないようにすることが可能となる。
(10)前記前後車高差規制部が、前記前輪側の車高と前記後輪側の車高との差が予め定められた設定範囲から外れた場合に、前記前輪側と前記後輪側とで、実際の車高が目標車高に近い側の減衰特性をハード側の特性とする手段と、目標車高に遠い側の減衰特性をソフト側の特性とする手段との少なくとも一方を含む(9)項に記載のサスペンション装置。
前輪側と後輪側とで、目標車高から遠い側の車高の変化速度を大きくし、目標車高に近い側の車高の変化速度を小さくすることにより、車高の前後方向の姿勢の変化を小さくすることは妥当なことである。
なお、目標車高に近い側については、減衰特性をハード側の特性としたり、車高調整を停止させたりすることも可能である。
(11)前記前後車高差規制部が、車高を大きくする車高調整中に、前記後輪側の車高から前記前輪側の車高を引いた値である前後差が予め定められた正のしきい値以上になった場合に、前記後輪側の減衰特性をそれ以前よりハード側の特性とする手段と、前記前輪側の減衰特性をそれ以前よりソフト側の特性とする手段との少なくとも一方を含む第1制御部を含む(9)項または(10)項に記載のサスペンション装置。
車高を大きくする車高調整中に、後輪側の車高から前輪側の車高を引いた値が正のしきい値以上となった場合には、後輪側の車高変化速度が前輪側の車高変化速度に対して大きいと考えられる。その場合に、後輪側の減衰特性をハード側としたり、前輪側の減衰特性をソフト側としたり、後輪側の減衰特性をハード側とするとともに前輪側の減衰特性をソフト側としたりすれば、後輪側の車高変化速度を前輪側の車高変化速度に対して小さくすることができ、前後差が大きくなることを抑制することができる。
車高を小さくする車高調整中に、後輪側の車高から前輪側の車高を引いた値が正のしきい値以上となった場合には、後輪側の車高変化速度が前輪側の車高変化速度に対して小さいと考えられる。その場合に、後輪側の減衰特性をソフト側としたり、前輪側の減衰特性をハード側としたり、後輪側の減衰特性をソフト側とするとともに前輪側の減衰特性をハード側としたりすれば、後輪側の車高変化速度を前輪側の車高変化速度に対して大きくすることができる。
このしきい値、すなわち、設定範囲は、車高調整中、一定としても可変としてもよい。例えば、目標車高に近づくにつれて、設定範囲を狭くすることができる。また、乗員等によって設定可能としたり、車高調整毎に変更可能としたりすることもできる。
(12)前記前後車高差規制部が、車高を大きくする車高調整中に、前記後輪側の車高から前記前輪側の車高を引いた値である前後差が予め定められた負のしきい値以下となった場合に、前記後輪側の減衰特性をそれ以前よりソフト側の特性とする手段と、前記前輪側の減衰特性をそれ以前よりハード側の特性とする手段との少なくとも一方を含む第2制御部を含む(9)項ないし(11)項のいずれか1つに記載のサスペンション装置(請求項4)
車高を大きくする車高調整中に、前後差が負のしきい値以下となった場合には、後輪側の車高変化速度が前輪側の車高変化速度に対して小さいと考えられる。後輪側の減衰特性をソフト側としたり、前輪側の減衰特性をハード側としたりすれば、後輪側の車高変化速度を前輪側に対して大きくすることができる。
車高を小さくする車高調整中に、前後差が負のしきい値以下となった場合には、後輪側の車高変化速度が前輪側の車高変化速度に対して大きいと考えられる。後輪側の減衰特性をハード側としたり、前輪側の減衰特性をソフト側としたりすることが望ましい。
(13)前記車高調整中減衰特性制御部が、前記車高調整中の、前記前輪側と前記後輪側とのうちの一方の側の車高の他方の側の車高に対する相対的な変化に基づいて、前記少なくとも一方の側の減衰特性を制御する車高相対変化依拠制御部を含む(1)項ないし(12)項のいずれか1つに記載のサスペンション装置(請求項5)
前輪側と後輪側とのうちの一方の側の車高の他方の側の車高に対する相対的な変化に基づけば、車体の前後方向の姿勢の変化を取得することができる。また、車高の相対的な変化に基づいて前輪側と後輪側との少なくとも一方の減衰特性を制御すれば、車体の姿勢を予め定められた姿勢に近づけることができる。
(14)前記車高相対変化依拠制御部が、(a)前記相対的な車高の変化量と、前記前輪側と前記後輪側との少なくとも一方の側の減衰特性との関係である減衰特性対応パターンと、(b)前記相対的な車高の変化量と、前記前輪側と前記後輪側との少なくとも一方の側の減衰特性を表す値の変化量との関係である減衰特性変化量対応パターンとの少なくとも一方を記憶する減衰特性制御パターン記憶部を含む(13)項に記載のサスペンション装置。
減衰特性制御パターン記憶部には、減衰特性対応パターンと減衰特性変化量対応パターンとの少なくとも一方が記憶される。使用されるパターンは、予め定められている場合、その都度選択される場合等がある。
減衰特性制御パターン記憶部には、パターンがテーブル化されて記憶される場合や、式(相対的な車高の変化量を入力すると減衰特性を表す値や減衰特性を表す値の変化量が出力される式)が記憶される場合等がある、
なお、減衰特性対応パターン、減衰特性変化量対応パターンにおいて、相対的な車高の変化量の代わりに、相対的な車高変化速度、相対的な車高とすることができる。
(15)前記車高相対変化依拠制御部が、その減衰特性制御パターン記憶部に記憶された前記少なくとも一方のパターンと、実際に検出された前記相対的な車高の変化量とに基づいて、前記前輪側と後輪側との少なくとも一方の側の減衰特性を制御するパターン依拠制御部を含む(14)項に記載のサスペンション装置(請求項6)
パターンに従って減衰特性が制御されるようにすれば、減衰特性の制御を簡単にすることができる。
なお、予定されない相対的な車高変化が生じた場合には、パターンとは異なる制御が行われるようにすることができるが、予定されない相対的な車高変化が生じても、パターンに従って制御されるようにすることも可能である。
(16)前記車高調整中減衰特性制御部が、前記車両の前輪側と後輪側との少なくとも一方の側における車高が、前記車高調整装置において設定されている目標車高に近い場合に遠い場合より、前記減衰特性を表す値の変化量を小さくする車高偏差対応制御部を含む(1)項ないし(15)項のいずれか1つに記載のサスペンション装置(請求項7)
目標車高に近づき、車高調整の終了間近においては開始当初における場合より、減衰特性を表す値の変化量が小さくされる。車高調整の開始当初において、減衰特性を表す値の変化量を大きくすれば、車体の傾きを確実に抑制することが可能となる。また、その後、減衰特性を表す値の変化量を小さくすれば、車高変化速度の変化を小さくすることができる。
(17)前記車高調整中減衰特性制御部が、前記車両の前輪側と後輪側との少なくとも一方の側における車高が、前記車高調整装置において設定されている目標車高に近い場合に遠い場合より、前記前輪側と前記後輪側との減衰特性の差を小さくする減衰特性差制御部を含む(1)項ないし(16)項のいずれか1つに記載のサスペンション装置。
車高調整の開始当初においては、姿勢の傾きを是正するために、前輪側と後輪側とで、減衰特性を表す値の差が大きくされるが、その後、減衰特性の差、すなわち、減衰特性を表す値の差の絶対値が小さくされる。例えば、通常走行時に、前輪側と後輪側とで、減衰特性を同じ特性にする場合、換言すれば、車高調整終了時に、減衰特性を同じ特性にする場合に、効果的である。
(18)前記車高調整中減衰特性制御部が、前記車両の前輪側における減衰特性を表す値と後輪側における減衰特性を表す値とを互いに異ならせる減衰特性相違化制御部を含む(1)項ないし(17)項のいずれか1つに記載のサスペンション装置(請求項8)
前輪側と後輪側との減衰特性が車高調整中の少なくとも一時期において互いに異なる特性とされる。本項に記載のサスペンション装置においては、車高調整中に、前輪側と後輪側とで、減衰特性が、必ずしも同時に同じように制御されるのではないのである。
(19)前記車高調整中減衰特性制御部が、前記車両に設けられたイグニッションスイッチがONである状態において前記車高調整装置によって車高調整が行われる場合に、前記前輪側と後輪側との少なくとも一方の側の減衰特性を制御するイグニッションスイッチON時減衰特性制御部を含む(1)項ないし(18)項のいずれか1つに記載のサスペンション装置。
車高調整装置は、イグニッションスイッチのON状態で行われる場合もOFF状態で行われる場合もある。それに対して、車高調整中に減衰特性の制御(姿勢の制御)を行う必要性はON状態における場合の方が高い。乗員がいる可能性が高いからである。そのため、イグニッションスイッチのON状態では、姿勢制御を行いつつ車高調整が行われるようにすることが望ましい。
(20)前記車高調整中減衰特性制御部が、車両の走行速度が設定速度以上である場合に前記車高調整装置によって車高調整が行われる場合には前記減衰特性の制御を行わないで、前記車両の走行速度が車両が停止状態にあるとみなし得る設定速度より小さい場合に前記車高調整装置によって車高調整が行われる場合に、前記減衰特性の制御を行う停止中減衰特性制御部を含む(1)項ないし(19)項のいずれか1つに記載のサスペンション装置。
車両の走行速度が設定速度以上である状態においては設定速度より小さい状態における場合より、車高調整中に姿勢が変化した場合に感じる乗員の違和感は小さい。そこで、車両の停止中に車高調整が行われる場合には、姿勢制御が行われるようにすることが特に望ましい。
(21)前記車高調整中減衰特性制御部が、前記車高調整装置によって車高調整が行われる場合において、車高調整開始時の車高から目標車高に達するまでの車高の変化量である目標ストロークが設定ストロークより小さい場合に前記減衰特性の制御を行わないで、前記目標ストロークが設定ストローク以上である場合に、前記減衰特性の制御を行う目標ストローク大時減衰特性制御部を含む(1)項ないし(20)項のいずれか1つに記載のサスペンション装置(請求項10)
目標ストロークが小さい場合には、車高調整中の車体の前後方向の傾きが過大となることが少ないため、減衰特性を制御する必要性は低い。それに対して、目標ストロークが大きい場合には、車体の前後方向の傾きが大きくなる可能性が高く、減衰特性を制御する必要性が高い。そのため、目標ストロークが大きい場合に減衰特性が制御されるようにすることが望ましい。
(22) 前記車両がフロントライティング装置を備え、前記車高調整中減衰特性制御部が、前記フロントライティング装置が点灯状態にある場合に、前記少なくとも一方の側の減衰特性を制御することにより、前記車体の姿勢を前記前輪側の車高が前記後輪側の車高より予め定められた設定値以上小さくなる前傾姿勢とするライティング点灯時制御部を含む(1)項ないし(21)項のいずれか1つに記載のサスペンション装置(請求項9)
フロントライティング装置の点灯状態においては、予め定められた前傾姿勢とされる。その結果、対向車線を走行する車の乗員、周辺の人へ影響を小さくすることができる。また、前傾姿勢とすれば、照射領域を車両に近い領域とすることができるという利点もある。
フロトントライティング装置には、複数のランプ(例えば、ヘッドランプ、フォグランプ、ターンシグナルランプ等が該当する)を含む。フロントライティング装置の点灯状態は、これら複数のランプのうちの少なくとも1つの点灯状態を表しても、ヘッドランプの点灯状態を表してもよい。
(23)前記車両がフロントライティング装置を備え、前記車高調整中減衰特性制御部が、前記フロントライティング装置が点灯状態にある場合に、前記少なくとも一方の側の減衰特性を制御することにより、消灯状態にある場合に比較して、前記車体の姿勢を前傾姿勢とするライティング点灯時制御部を含む(1)項ないし(22)項のいずれか1つに記載のサスペンション装置。
フロントライティング装置の点灯状態において、消灯状態における場合に比較して、前傾姿勢とされる。
(24)前記車高調整中減衰特性制御部が、前記車両の前輪側と後輪側との少なくとも一方の側の左右輪についての減衰力発生装置における減衰特性を制御することにより、前記前輪側と後輪側との各々における左右輪に加わる荷重と減衰特性との関係を互いに近づける荷重対応減衰特性制御部を含む(1)項ないし(23)項のいずれか1つに記載のサスペンション装置。
前輪側と後輪側とで、車輪に加わる荷重と減衰特性との関係が同じであれば、車高変化速度は同じになると考えられる。しかし、車輪に加わる荷重を検出することは困難である。そこで、車高変化速度が大きい側の減衰特性をハード側とすれば、荷重と減衰特性との関係を、前輪側と後輪側とで近づけることができる。左右に加わる荷重として、左右輪の荷重の平均値等を採用することができる。
車高を小さくする場合には、荷重が大きい場合は小さい場合より車高の変化速度が大きくなる。そのため、前輪側と後輪側とのうちで荷重が大きい側において減衰特性をハード側とすれば、前輪側と後輪側とで、荷重と減衰特性との関係を近づけることができ、車高の変化速度の差を小さくすることができる。
車高を大きくする場合には、荷重が大きい場合は小さい場合より車高の変化速度が小さくなる。荷重が大きく、車高変化速度が小さい側において減衰特性をソフト側とすれば、前輪側と後輪側とで、荷重と減衰特性との関係を近づけることができる。
(25)前記車高調整中減衰特性制御部が、前記車高調整装置による1回の車高調整中において、前記車両の前輪側と後輪側との少なくとも一方の側の減衰特性を制御する回数を予め定められた設定回数以下に制限する減衰特性制御制限部を含む(1)項ないし(24)項のいずれか1つに記載のサスペンション装置(請求項11)
1回の車高調整とは、車高調整要求が満たされてから、車高調整が終了するまでの間をいう。この間に、車体の姿勢が予め定められた姿勢に保たれるのであるが、減衰特性の制御回数が少ない場合は車高変化速度の変化回数が少なくなる。また、減衰特性を制御するのに要するエネルギが少なくて済む。
したがって、1回の車高調整における減衰特性の制御回数を制限すれば、車高変化速度の変化回数を抑制し、消費エネルギの低減を図ることが可能となる。


(26)車両の前後左右の各輪において、車輪保持装置と車体との間に設けられた懸架シリンダと、
それら懸架シリンダの各々における作動液の流入・流出を制御することにより、前記車輪の各々と車体との間の上下方向の相対位置関係である車高を制御する作動液給排装置と、
その作動液給排装置による車高調整中に、前記車体の前後方向の姿勢が予め定められた姿勢となる向きに、前輪側と後輪側との少なくとも一方の側において、左右輪に対応する懸架シリンダにおける前記作動液の流量を制御する流量制御装置と
を含むことを特徴とするサスペンション装置。
車高調整中においては、作動液給排装置から懸架シリンダに作動液が流入させられることにより車高が大きくなり、懸架シリンダから作動液が流出させられることにより車高が小さくなる。そのため、作動液給排装置から供給される作動液の流量が小さい場合は大きい場合より車高増加速度が小さくなり、作動液給排装置から流出させられる作動液の流量が小さい場合は大きい場合より車高減少速度が小さくなる。
このように、作動液の流量が小さくされることが減衰特性がハード側に制御されることに対応し、流量が大きくされることが減衰特性がソフト側に制御されることに対応するのであり、このように、置き換えることにより、本項に記載のサスペンション装置に、(1)項ないし(25)項のいずれか1つに記載の技術的特徴を採用することができる。
(27)前記作動液給排装置が、(a)液圧源と、(b)その液圧源と前記懸架シリンダの各々とを接続し、途中に車高調整弁が設けられた個別制御通路とを含み、前記流量制御装置が、(c)前記複数の個別制御通路の各々に設けられ、その通路の流路面積を制御可能な可変絞りと、(d)その可変絞りの制御により流路面積を制御する可変絞り制御部とを含む(26)項に記載のサスペンション装置。
(28)車両の前後左右の車輪の各々について、車輪と車体との間の上下方向の相対位置関係である車高をそれぞれ制御する車高調整装置と、
前記前後左右の車輪の各々について設けられ、前記車高の変化速度に応じた減衰力を発生させ、その減衰力を制御可能な減衰力発生装置と、
前記車高調整装置による車高調整中に、前記車両の前輪側と後輪側との少なくとも一方の側の左右輪についての前記減衰力発生装置を利用して、前記車体の前後方向の姿勢を予め定められた姿勢に近づける姿勢制御装置と
を含むことを特徴とするサスペンション装置。
本項に記載のサスペンション装置においては、減衰力発生装置を利用して、車高調整中の車体の前後方向の姿勢が予め定められた姿勢とされる。減衰力を制御可能な減衰力発生装置は、車両に、普通設けられるものである。したがって、専用の装置を設けることなく、姿勢制御を行うことが可能となるのであり、コストアップを抑制することができる。
本項に記載のサスペンション装置には、(1)項ないし(27)項のいずれか1つに記載の技術的特徴を採用することができる。
(29)車両の前後左右の車輪の各々について、車輪と車体との間の上下方向の相対位置関係である車高をそれぞれ制御する車高調整装置と、
前記前後左右の車輪の各々について設けられ、前記車高の変化速度に応じた減衰力を発生させる減衰力発生装置各々における減衰特性を制御する減衰特性制御装置と
を含むサスペンション装置であって、
前記減衰特性制御装置が、前記車高調整装置による車高調整中に、前記車両の前輪側と後輪側との少なくとも一方の側の左右輪についての減衰力発生装置における減衰特性を制御することにより、前輪側と後輪側との間の相対的な車高変化速度を制御する車高変化速度制御部を含むことを特徴とするサスペンション装置。
本項に記載のサスペンション装置においては、減衰力発生装置における減衰特性の制御により、車高調整中の前輪側と後輪側との相対的な車高変化速度が制御される。車高変化速度の制御により、例えば、車体の前後方向の姿勢を予め定められた姿勢とすることができる。
本項に記載のサスペンション装置には、(1)項ないし(28)項のいずれか1つに記載の技術的特徴を採用することができる。
以下、本発明の一実施例であるサスペンション装置について図面に基づいて詳細に説明する。
最初に、後述する複数の実施例を実施可能な共通のサスペンション装置の構造について説明する。
本サスペンション装置は、図1に示すように、前後左右輪4FL、FR、RL、RRの各々において、車輪4を保持する車輪保持装置6FL、FR、RL、RRと車体8との間に、それぞれ、懸架シリンダ10FL、FR、RL、RRがサスペンションスプリング21とともに設けられる。懸架シリンダ10FL、FR、RL、RRは流体としての作動液により作動させられる。前後左右輪4FL、FR、RL、RRは駆動輪であり、本サスペンション装置が搭載された車両は4輪駆動車両である。以下、車輪位置で区別する必要がある場合には、車輪位置を表す符号FL、FR、RL、RRを付して使用し、区別する必要がない場合に符号を付さないで使用する。
懸架シリンダ10FL、FR、RL、RRは、互いに構造が同じものであり、それぞれ、ハウジング11と、ハウジング11の内部に相対移動可能に嵌合されたピストン12と、ピストンロッド14とを含み、ピストンロッド14が車体8に、ハウジング11が車輪保持装置6に、それぞれ上下方向に相対移動不能に連結される。ピストン12には、そのピストン12により仕切られた2つの液室16(ヘッド側室),18(ロッド側室)を連通させる連通路20が設けられ、連通路20には固定絞りが設けられる。固定絞りにより、ピストン12のハウジング11に対する相対移動速度(絞りを流れる作動液の流速)に応じた減衰力が発生させられる。懸架シリンダ10はショックアブソーバとして機能する。
図1に示すように、ピストンロッド14は、サスペンションスプリング21を保持するスプリングリテーナ22にゴム等の弾性部材を介して取り付けられ、スプリングリテーナ22が車体8に上下方向に相対移動不能に取り付けられる。また、スプリングリテーナ22には、バウンド側ストッパ24が取り付けられる。バウンド側ストッパ24にシリンダ本体11の外側上端面26が当接することによってバウンド側の移動限度が規定される。
それに対して、ピストン12のピストンロッド14が設けられた側にはリバウンド側ストッパ28が設けられる。リバウンド側ストッパ28に本体11の内側上端面30が当接することにより、リバウンド側の移動限度が規定される。
懸架シリンダ10FL、FR、RL、RRの液室16には、それぞれ、個別制御通路32FL、FR、RL、RRが接続される。
個別制御通路32FL、FR、RL、RRの各々には、懸架シリンダ10FL、FR、RL、RRの各々に対応して、互いに並列にアキュムレータ34FL、FR、RL、RRとアキュムレータ36FL、FR、RL、RRとが接続される。また、懸架シリンダ10FL、FR、RL、RRとアキュムレータ36FL、FR、RL、RRとの間には、それぞればね定数切換弁38FL、FR、RL、RRが設けられる。
これらアキュムレータ34、36は、いずれもばねとしての機能を有するものであり、例えば、ハウジングとそのハウジングの内側を仕切る仕切部材とを含み、その仕切部材の一方の容積変化室に個別制御通路32が連通させられ、他方の容積変化室に弾性体が設けられたものであり、一方の容積変化室の容積の増加に起因して他方の容積変化室の容積が減少し、それによって弾性力を発生させるものとすることができる。アキュムレータ34,36は、ベローズ式のものとしたり、ブラダ式のものとしたり、ピストン式のものとしたりすること等ができる。
本実施例においては、アキュムレータ34の方がアキュムレータ36よりばね定数が大きいものとされており、以下、アキュムレータ34を高圧アキュムレータと称し、アキュムレータ36を低圧アキュムレータと称する。ばね定数切換弁38は、常開の電磁開閉弁である。
個別制御通路32FL、FR、RL、RRには、それぞれ、可変絞り40FL、FR、RL、RRが設けられる。前述のように、車輪保持装置6の車体8に対する相対的な上下動により液室16において作動液が流入・流出させられるが、この場合に、可変絞り40によって個別制御通路32の流路面積が制御されることにより、懸架シリンダ10において発生させられる減衰力が制御されるのであり、減衰特性が制御される。
個別制御通路32FL、FR、RL、RRには作動液給排装置70が接続される。
作動液給排装置70は、高圧源72、低圧源74としてのリザーバを備えた液圧源76、個別制御弁装置80等を含む。
高圧源72は、ポンプ81とポンプモータ82とを備えたポンプ装置84、蓄圧用アキュムレータ86等を含む。ポンプ装置84,蓄圧用アキュムレータ86等は制御通路88に設けられる。ポンプ81によってリザーバ74の作動液が汲み上げられて吐出され、蓄圧用アキュムレータ86において加圧した状態で蓄えられる。
蓄圧用アキュムレータ86は常閉の電磁開閉弁である蓄圧制御弁90を介して制御通路88に接続される。
蓄圧制御弁90は、蓄圧用アキュムレータ86における作動液の流入・流出を許容する開状態と蓄圧用アキュムレータ86における作動液の流入・流出を阻止する閉状態とに切り換え可能なものである。
制御通路88には液圧源液圧センサ92が設けられる。液圧源液圧センサ92は、ポンプ81の吐出液圧を検出したり、アキュムレータ液圧を検出したりする。
制御通路88のポンプ81の吐出側には、逆止弁94,消音用アキュムレータ96が設けられる。また、ポンプ81の高圧側と低圧側とを接続する流出通路104が設けられ、流出通路104に流出制御弁106が設けられる。
流出制御弁106は、ポンプ吐出液圧をパイロット圧とするメカ式の開閉弁である。ポンプ81の非作動時には連通状態にあるが、ポンプ81の作動により吐出液圧が高くなると遮断状態とされる。ポンプ81はギアポンプである。
個別制御弁装置80は、個別制御通路32FL、FR、RL、RRに設けられた個別制御弁としての車高調整弁110FL、FR、RL、RRを含む。また、個別制御通路32FL、FRを接続する前輪側左右連通路111に左右連通弁112が設けられ、個別制御通路32RL、RRを接続する後輪側左右連通路113に左右連通弁114が設けられる。
これら車高調整弁110FL、FR、RL、RR、左右連通弁112,114は、常閉の電磁開閉弁であり、左右連通弁112,114の遮断状態において車高調整弁110FL、FR、RL、RRを個別に制御することにより、各車輪4FL、FR、RL、RRの各々において、車輪保持装置6FL、FR、RL、RRとそれに対応する車体8の部分(懸架シリンダ10FL、FR、RL、RRに対応する部分)との間の距離である車高が独立に制御可能とされる。
本車高調整装置は、コンピュータを主体とするサスペンションECU200によって制御される。サスペンションECU200は、実行部204,記憶部206,入出力部208等を含み、入出力部208には、ばね定数切換弁38、可変絞り40のコイル、作動液給排装置70(蓄圧用制御弁90,車高調整弁110,左右連通弁112、114のコイル、ポンプモータ82等)が図示しない駆動回路を介して接続されるとともに、液圧源液圧センサ92,前後左右の各輪毎に設けられ、車高をそれぞれ検出する車高センサ220,車高調整モード選択スイッチ224,車高調整指示スイッチ226、イグニッションスイッチ228,走行状態検出装置230,フロントライティングコントローラ232等がそれぞれ接続される。
車高調整モード選択スイッチ224は、運転者によって操作されるものであり、スイッチ224の操作により、自動モードとマニュアルモードとのいずれか一方が選択される。
車高調整指示スイッチ226は、車高を増大させる場合、車高を減少させる場合等に操作されるスイッチで、運転者のマニュアル操作によって切り換えられる。
走行状態検出装置230は、車両の走行状態を検出するものであり、走行速度センサ等を含む。
フロントライティングコントローラ232は、運転者によって操作可能なものであり、コントローラの操作位置によってヘッドランプ234、フォグランプ、ターンシグナルランプ等のフロントライティングの各々が点灯、消灯される。
車高センサ220は、前後左右の各輪において、車体8と車輪4との間の上下方向の相対位置関係である車高を検出するものである。車高センサ220は、標準高さを基準として車高を検出するものとすることができるが、本実施例においては、車体8と車輪保持装置6との間が接近している状態で離間した状態における場合より車高が小さい値とされる。すなわち、バウンド側においてはリバウンド側における場合より車高が小さい値とされる。
記憶部206には、車高調整プログラム等が記憶される。
以上のように構成されたサスペンション装置における作動について説明する。
ばね定数切換弁38の制御によりばね定数が切り換えられる。
ばね定数切換弁38が連通状態とされた場合には、液室16に2つのアキュムレータ34,36が連通させられて、ばね定数が小さい状態とされ、ばね定数切換弁38が遮断状態とされた場合には、液室16から低圧アキュムレータ36が遮断されて高圧アキュムレータ34が連通させられるため、ばね定数が大きい状態とされる。
懸架シリンダ10の各々において、減衰特性が可変絞り40の制御により制御される。
可変絞り40により個別制御通路32の流路面積が小さくされた場合(絞りが大きい場合)には、サスペンションの減衰特性がハード(車輪4と車体8との上下方向の相対移動速度が同じ場合の減衰力が大きくなる状態)となり、流路面積が大きくされた場合(絞りが小さい場合)にはソフト(相対移動速度が同じ場合の減衰力が小さくなる状態)となる。
このように、減衰特性は、可変絞り40の絞りの程度で決まるが、本実施例においては、16段階で調整可能とされており、減衰特性が段数で表されるようにされている。絞りの程度が最も大きく、同じ相対移動速度に対して発生する減衰力が最も大きい減衰特性(最もハード側の特性)が16段で表される特性に対応し、絞りの程度が最も小さく、発生する減衰力が最も小さい減衰特性(最もソフト側の特性)が1段で表される特性に対応する。このように、絞りの程度が高く、段数が大きい場合の特性がハード側の特性に対応するため、減衰特性をハード側に変更することを、減衰特性を高めると称することもある。同様に、減衰特性をソフト側に変更することを、減衰特性を低くすると称することがある。
なお、減衰特性が、16段階で調整可能とされるようにすることは不可欠ではない。例えば、2段階(ハード、ソフト)、3段階(ハード、ミディアム、ソフト)、8段階・・・・等に調整可能なものであっても、無段階、すなわち、連続的に調整可能なものであってもよい。
本実施例においては、減衰特性は、図示しないモード選択スイッチの運転者による操作に応じて切り換えられたり、車両の走行状態に基づいて制御されたり、車高調整中の車体8の前後方向の姿勢に応じて制御されたりする。
4つの車輪4FL,FR,RL,RRに対応する車高が作動液給排装置70の制御により制御される。
車高調整は、車高調整モード選択スイッチ224によって自動モードが選択された場合において、予め定められた条件が満たされた場合(車高調整要求が満たされた場合)に行われたり、マニュアルモードが選択された場合において、車高調整指示スイッチ226の指示があった場合(車高調整要求が満たされた場合)に、その指示に応じて行われたりする。
例えば、車両が停止した後の、イグニッションスイッチ228がON状態からOFF状態に切り換えられた場合に車高が小さくされる。乗員が降り易い高さまで車高が小さくされるのである。また、車両の停止中において、イグニッションスイッチ228がOFF状態からON状態に切り換えられた場合に車高が大きくされる。走行に適した高さまで車高が大きくされるのである。また、車両の走行中においては、走行速度が設定速度以上である場合には車高が小さくされる。
本実施例においては、前輪側、後輪側の各々について車高調整が行われる。前輪側の車高、すなわち、左右前輪4FL,4FRの車高の平均値が目標車高に近づくように懸架シリンダ10FL,10FRにおける作動液の流入・流出が同様に制御され、後輪側の車高、すなわち、左右後輪4RL,4RRの車高の平均値が目標車高に近づくように懸架シリンダ10RL,10RRにおける作動液の流入・流出が同様に制御される。前輪側の車高調整弁110FL,110FRおよび後輪側の車高調整弁110RL,110RRは、それぞれ、同様に開閉させられることになる。
例えば、左右前輪4FL、4FRについて車高を大きくする場合(以下、アップ制御が行われる場合と略称することがある)には、ポンプ81が作動させられ、車高調整弁110FL、110FRが連通状態とされる。ポンプ81の作動により流出制御弁106が遮断状態とされるため、ポンプ81から吐出された作動液が懸架シリンダ10FL、10FRに供給され、車高が大きくなる。左前輪4FL、右前輪4FRの各々の実際の車高の平均値が目標値に達すると、車高調整弁110FL、110FRが遮断状態とされ、ポンプ81の作動が停止させられる。なお、車高を大きくする車高調整中においては、蓄圧用制御弁90を開状態に切り換え、蓄圧用アキュムレータ86からも懸架シリンダ10に作動液が供給されるようにすることができる。
車高を小さくする場合(以下、ダウン制御が行われる場合と略称することがある)は、車高調整弁110FL、110FRが連通状態とされる。ポンプ81は停止状態にあるため、流出制御弁106は連通状態にある。懸架シリンダ10FL、10FRからリザーバ74に作動液が流出させられる。左前輪4FL、右前輪4FRの各々の実際の車高の平均値が目標値に達すると、車高調整弁110FL、110FRが遮断状態とされる。
左右後輪4RL、RRについて車高調整が行われる場合についても同様である。
車高調整中には、車体8の前後方向の姿勢が予め定められた姿勢となるように、前輪側、後輪側の各々において減衰特性が制御される。予め定められた姿勢としては、車体8の前後方向の傾きが小さい姿勢(ピッチ角度の絶対値が設定値以下である姿勢)としたり、予め定められた前傾姿勢(前輪側の車高が後輪側の車高より設定値以上小さくなる姿勢)としたりすること等ができる。
例えば、前輪側、後輪側の減衰特性が同じである場合に、前輪側、後輪側の各々の左右輪について同時にアップ制御が行われる場合には、前輪側と後輪側とで荷重が小さい側の車高増加速度が荷重が大きい側の車高増加速度より大きくなるため、車体8が前後方向に傾斜する。それに対して、荷重が小さい側の減衰特性をハード側とすれば、車高増加速度が小さくなる。それによって、車体8の前後方向の傾きが小さくなる。
ダウン制御が行われる場合には、荷重が小さい側の車高減少速度が荷重が大きい側の車高減少速度より小さくなり、それによって車体8が傾斜する。それに対して、荷重が大きい側の減衰特性をハード側とすれば、車高減少速度が小さくなり、車体8の傾きが小さくなる。
以下の実施例の各々について、車高調整中に行われる減衰特性の制御の態様について説明するが、以下の実施例において、車高調整は、前輪側、後輪側について同時に開始されるものとする。ただし、車高調整が開始される場合の前輪側の車高と後輪側の車高とは同じであるとは限らない。また、目標車高値、車高調整開始時から目標車高値に達するまでのストローク(目標ストローク)も前輪側と後輪側とで同じであるとは限らない。しかし、以下の図において、簡単のため、車高調整開始時の車高、目標車高値、目標ストロークが前輪側と後輪側とで同じである場合について記載した。また、前輪側、後輪側の車高、ストロークは、それぞれの側の左右輪についての平均値であり、目標車高値、目標ストロークは、前輪側、後輪側の各々について設定される。
なお、以下の各実施例は、車高調整が、前輪側と後輪側とに対して順番に行われる場合にも適用することができる。例えば、最終的な目標車高に達するまで、複数回(例えば、n回)に分けて懸架シリンダ10における作動液の流入・流出が行われるのであり、第m回目の車高調整(作動液の流入・流出)が行われる場合の目標ストロークは、最終的な目標車高HFに至るまでの目標ストロークΔHFに基づいて
ΔHF(m)=ΔHF・m/n
とされる。
また、減衰特性の制御は、前輪側、後輪側で各々行われるため、左右前輪4FL,4FRに対応する可変絞り40FL,40FRおよび左右後輪4RL,4RRに対応する可変絞り40RL,40RRは、それぞれ、同様に制御される。さらに、原則として、車高調整開始時の前輪側、後輪側の減衰特性は同じ特性で、段数8で表される減衰特性にあるとする。なお、減衰特性が、通常走行中、段数8で表される特性とされることは不可欠ではない。
以下、実施例1〜7において、車高調整中に車体8の前後方向の傾きが小さくなるように、前輪側、後輪側の各々において、減衰特性が制御される。
〔実施例1〕
実施例1においては、車高調整が開始された後、前輪側、後輪側とで、実際のストロークが予め定められた設定ストロークΔHs(例えば、5mmとすることができる。設定ストロークは、目標ストロークより小さい値である。また、設定ストロークは、目標ストロークの1/n以下の大きさとすることができる。n:4〜8)に先に到達した側が、車高変化速度が大きい側であるとされる。そして、車高変化速度が大きい側について減衰特性がハード側に変更されたり、車高変化速度が小さい側について減衰特性がソフト側に変更されたり、車高変化速度が大きい側について減衰特性がハード側に変更されるとともに車高変化速度が小さい側について減衰特性がソフト側に変更されたりする。
実施例1においては、車高調整中に減衰特性の制御が原則として1回行われる。すなわち、減衰特性の制御が2回以上行われることは予定されていないのである。また、姿勢を制御する必要がない場合には、減衰特性が変更されることはない。
図3のフローチャートで表される車高調整プログラムは、予め定められた設定時間毎に決定される。
ステップ1(以下、S1と略称する。他のステップについても同様とする)において、車高調整要求が満たされたか否かが判定され、車高調整要求が満たされた場合に、S2において、車高調整開始時の車高が検出されて、記憶され(HR0、HF0)、S3において、車高調整開始処理が行われる。車高を大きくする場合には、ポンプモータ82が作動させられるとともに車高調整弁110FR、FL、RR、RLが開状態とされる。車高を小さくする場合には、車高調整弁110FR、FL、RR、RLが開状態とされる。以下、S4〜12において姿勢制御が行われ、S13〜17において車高制御が行われる。
S4において、実際の車高HR、HFが検出され、S5において減衰特性変更済みフラグがセット状態にあるか否かが判定される。減衰特性変更済みフラグは初期状態においてリセット状態にあるが、減衰特性が変更された場合あるいは減衰特性を変更する必要がないとされた場合にセットされるフラグである。最初にS5が実行される場合には、判定はNOとなり、S6において、車高調整開始時からのストロークの絶対値が求められる。
ΔHR=|HR−HR0|
ΔHF=|HF−HF0|
次に、S7〜9において、実際のストロークの絶対値ΔHF、ΔHRが設定ストロークΔHSに先に至った側が前輪側であるのか後輪側であるのかが判定される。
S7において、後輪側のストロークの絶対値ΔHRが設定ストロークΔHS以上であり、前輪側のストロークの絶対値ΔHFが設定ストロークΔHSより小さいか否かが判定される。厳密に言うと、前輪側については設定ストロークΔHSより設定値以上小さいか否かが判定される。設定値は、検出誤差等に起因することなく、前輪側と後輪側との間でストロークの絶対値の差を明確に認め得る大きさとする。以下、同様とする。
S8において、前輪側のストロークの絶対値ΔHFが設定ストロークΔHS以上であり、後輪側のストロークの絶対値ΔHRが設定ストロークΔHSより小さいか否かが判定され、S9において、前輪側のストロークの絶対値ΔHFも後輪側のストロークの絶対値ΔHRも設定ストロークΔHS以上であるか否かが判定される。
S7〜9のいずれの判定もNOである場合には、S4に戻され、S4〜9が繰り返し実行される。上述のように、設定ストロークΔHSは、通常の車高調整が行われる場合の目標ストロークより小さい値であるため、目標車高に達する以前に、必ず、S7〜9のいずれかのステップにおける判定がYESとなる。
後輪側の方が前輪側より車高変化速度が大きい場合には、そのうちに、S7の判定がYESとなる。S10において、車高変化速度が大きい側(後輪側)の減衰特性がハード側に変更されたり、車高変化速度が小さい側(前輪側)の減衰特性がソフト側に変更されたり、後輪側の減衰特性がハード側に変更されるとともに前輪側の減衰特性がソフト側に変更されたりする。例えば、後輪側の減衰特性を表す値が8段から12段に変更されたり、前輪側の減衰特性を表す段数が8段から4段に変更されたり、後輪側の減衰特性を表す段数が8段から12段に変更されるとともに前輪側の減衰特性を表す段数が8段から4段に変更されたりする(図のステップにおいて、and/orと記載した内容については、以下、同様であり、単に、『車高変化速度が大きい側の減衰特性がハード側に変更されたり、小さい側の減衰特性がソフト側に変更されたりする』と略称する)。いずれにしても、前輪側と後輪側とで、減衰特性を表す段数が異なる値とされる。
前輪側の方が後輪側より車高変化速度が大きい場合には、そのうちに、S8の判定がYESとなり、S11において、車高変化速度が小さい側(後輪側)の減衰特性がソフト側に変更されたり、車高変化速度が大きい側(前輪側)の減衰特性がハード側に変更されたりするのであり、例えば、後輪側の減衰特性を表す段数が8段から4段に変更されたり、前輪側の減衰特性を表す段数が8段から12段に変更されたりする。
後輪側、前輪側の車高変化速度の差が小さく、ほぼ同じである場合には、そのうちに、S9の判定がYESとなる。この場合には、減衰特性を変更する必要性は低いと考えられるため、減衰特性が変更されることがない。
車高を大きくする車高調整が行われる場合であっても、車高を小さくする車高調整が行われる場合であっても、ストロークの絶対値が先に設定ストロークに達した方が車高変化速度が大きい側であり、減衰特性がハード側にされる。
S7〜9のいずれかの判定がYESとなると、S12において、減衰特性変更済みフラグがセットされ、S13,14において、後輪側、前輪側において、それぞれ、実際の車高が目標車高に達したか否かが判定され、S15において、すべての車高調整弁110FR、FL、RR、RLが閉状態にされたか否か、すなわち、前輪側、後輪側の両方の側において車高調整が終了したか否かが判定される。
最初にS13〜15が実行される場合にはいずれの判定もNOとなり、S4に戻される。ここでは、減衰特性変更済みフラグはセット状態にあるため、S5の判定がYESとなり、S13〜15が実行される。S4,5,13〜15が繰り返し実行されるうち、後輪側の車高が目標車高に達すると、S13の判定がYESとなり、S16において、左右後輪の車高調整弁110RR,110RLが閉状態に切り換えられる。また、前輪側の車高が目標車高に達すると、S14の判定がYESとなり、S17において、左右前輪の車高調整弁110FR,110FLが閉状態に切り換えられる。そして、すべての車高調整弁110FR、FL、RR、RLが閉状態に切り換えられると、S15の判定がYESとなり、S18において終了処理が行われる。車高を大きくする車高調整においては、ポンプモータ82が停止させられるとともに、減衰特性変更済みフラグがリセットされ、車高を小さくする車高調整においては、減衰特性変更済みフラグがリセットされる。
具体的な制御の一例を図2に示す。図2には、後輪側の方が前輪側より車高変化速度が大きい場合のストロークの変化を示す。図2(a)〜(c)の各々において、時点TAにおいて、車高変化速度が大きい側が後輪側であると取得される。そして、図2(a)に示すように、車高変化速度が大きい側について減衰特性を表す段数がハード側に変更されたり、図2(b)に示すように、車高変化速度が小さい側について減衰特性を表す段数がソフト側に変更されたり、図2(c)に示すように、車高変化速度が大きい側について減衰特性を表す段数がハード側に変更されるとともに車高変化速度が小さい側について減衰特性を表す段数がソフト側に変更されたりする。
それによって、車高調整中に、前輪側と後輪側とで、車高変化速度の差を小さくすることができ、車体8の前後方向の傾きが大きくなることを回避することができる。本実施例においては、車体8の前後方向の傾きが大きくならない姿勢が予め定められた姿勢であり、制御目的の姿勢は、前後方向の傾き角度が設定値以下である姿勢である。
また、前輪側と後輪側とで、ストロークの絶対値が先に設定ストロークに至った方が車高変化速度が大きい側であると決定されるため、車高変化速度が大きい側が前輪側と後輪側とのいずれの側であるかを、早期に、かつ、確実に取得することができる。特に、車高を大きくする車高調整が行われる場合において、車高調整開始当初に、蓄圧用アキュムレータ86に蓄えられた作動液が利用される場合には、車高調整開始当初において、懸架シリンダ10にポンプ装置84と蓄圧用アキュムレータ86との両方から作動液が供給されるため、前輪側も後輪側も車高変化速度が同様に大きくなる。そのため、ストロークの絶対値が設定ストロークに至るまでの時間は短くなるのであり、より早期に、車高変化速度の大きい側が前輪側、後輪側のいずれの側であるかを検出することが可能となる。
さらに、減衰特性が2回以上変更されないように制限されているため、車高調整中に減衰特性の変更回数を少なくし、安定して車高調整を行うことができ、減衰特性を変更するのに要する消費エネルギの低減を図ることができる。
以上のように、本実施例においては、作動液給排装置70およびサスペンションECU200の図3のフローチャートで表される車高調整プログラムのS1〜4,13〜18を記憶する部分、実行する部分等により車高調整装置が構成され、懸架シリンダ10,可変絞り40等により減衰力発生装置が構成され、サスペンションECU200の図3のフローチャートで表される車高調整プログラムのS7〜11を記憶する部分、実行する部分等により減衰特性制御装置が構成される。減衰特性制御装置は、車高調整中減衰特性制御部、車高速度差抑制制御部、車高変化速度依拠制御部、車高相対変化依拠制御でもある。また、設定ストロークに達した場合の減衰特性の制御態様が予め決められているため、パターン依拠制御部でもある。車高調整中減衰特性制御部のうちのS2,4〜9を記憶する部分、実行する部分等により車高変化速度決定部が構成される。さらに、S10,11を記憶する部分、実行する部分等により減衰特性相違化対応制御部が構成される。
なお、上記実施例においては、車高変化速度が大きい側の減衰特性を表す段数が8段から12段に変更され、小さい側の減衰特性を表す段数が8段から4段に変更されるようにされていたが、それに限らない。例えば、車高変化速度が大きい側においては、減衰特性を表す段数を8段から14段に変更したり、16段に変更したりする等9段以上の任意の段数に変更することができる。車高変化速度が小さい側においても、減衰特性を表す段数を8段から3段に変更したり、2段に変更したりする等7段以下の任意の段数に変更することができる。
また、車高変化速度が大きい側と小さい側との両方の側について減衰特性が制御される場合と、いずれか一方の側について減衰特性が制御される場合とで、変更段数を異ならせることができる。例えば、(i)車高変化速度が大きい側において、減衰特性を表す段数が8段から12段に変更される場合、(ii)車高変化速度が小さい側において、減衰特性を表す段数が8段から4段に変更される場合、(iii)車高変化速度が大きい側において、段数が8段から10段に変更されるとともに、車高変化速度が小さい側において、段数が8段から6段に変更される場合のいずれかとされるようにすることができる。
さらに、予め定められた段数に変更するのではなく、前輪側と後輪側との車高変化速度の差に応じて決める段数に変更されるようにすることができる。いずれか一方の側のストロークの絶対値が設定ストロークに達した場合の他方の側のストロークの絶対値が小さい場合は大きい場合より車高変化速度の差が大きいとすることができるが、車高変化速度の差が大きい場合は小さい場合より、車高変化速度が大きい側の減衰特性をよりハード側の段数に変更したり、車高変化速度が小さい側の減衰特性をよりソフト側の段数に変更したりするのである。具体的には、車高変化速度の差が大きい場合は、車高変化速度が大きい側の減衰特性を表す段数を8段から12段に変更したり、車高変化速度が小さい側の減衰特性を8段から4段に変更したりして、車高変化速度の差が小さい場合は、車高変化速度が大きい側の減衰特性を表す段数を8段から9段に変更したり、車高変化速度が小さい側の減衰特性を表す段数を8段から7段に変更したりするのである。変更される段数は、変化速度の差に応じて、複数段階で決定されるようにすることができる。
また、前輪側と後輪側とで順番に車高調整が行われる場合には、最初に1回ずつ車高調整が行われた場合に要する時間に基づいて、車高変化速度が大きい側がいずれの側であるかを取得することができる。
〔実施例2〕
本実施例においては、後輪側の車高から前輪側の車高を引いた値である前後差eが、予め定められた設定範囲内にあるように、すなわち、正のしきい値ethと負のしきい値−ethとの間の範囲内にあるように、前輪側、後輪側の減衰特性が制御される。
図5のフローチャートで表される車高調整プログラムは予め定められた設定時間毎に実行される。
車高調整要求が満たされた場合には、S51の判定がYESとなり、S52において、車高調整開始時処理が行われる。そして、S53〜60において姿勢制御が行われ、S61〜66において車高制御が行われる(実施例1のS13〜18に対応)。
S53において、前輪側、後輪側の各々について車高HF、HRが検出される。S54において、減衰特性変更済みフラグがセット状態にあるか否かが判定される。最初にS54が実行される場合には、判定はNOであるため、S55において、前後差eが求められ、
e=HR−HF
S56,57においてそれぞれ、正のしきい値eth以上であるか否か、負のしきい値−eth以下であるか否かが判定される。いずれでもない場合には、S61〜63が実行される。以下、S53〜57,61〜63が繰り返し実行される。
アップ制御が行われる場合において、後輪側の方が前輪側より車高変化速度が大きく、前後差eが正のしきい値eth以上になった場合には、S56の判定がYESとなり、S58において、後輪側の減衰特性がハード側に変更されたり、前輪側の減衰特性がソフト側に変更されたりする。
前輪側の方が後輪側より車高変化速度が大きく、前後差eが負のしきい値−eth以下になった場合には、S57の判定がYESとなり、S59において、後輪側の減衰特性がソフト側に変更されたり、前輪側の減衰特性がハード側に変更されたりする。
ダウン制御が行われる場合において、後輪側の方が前輪側より車高変化速度が大きく、前後差eが負のしきい値−eth以下になった場合には、S57の判定がYESとなり、S59において、後輪側の減衰特性がハード側に変更されたり、前輪側の減衰特性がソフト側に変更されたりする。
前輪側の方が後輪側より車高変化速度が大きく、前後差eが正のしきい値eth以上になった場合には、S56の判定がYESとなり、S58において、後輪側の減衰特性がソフト側に変更されたり、前輪側の減衰特性がハード側に変更されたりする。
このように、アップ制御が行われる場合にもダウン制御が行われる場合にも、目標車高に近い側の減衰特性がハード側に変更され、目標車高から遠い側の減衰特性がソフト側に変更されることになる。
その後、S60において、減衰特性変更済みフラグがセットされる。本実施例においては、車高調整中に2回以上減衰特性が変更されないようにされている。そのため、減衰特性を表す段数が1回変更されると減衰特性変更済みフラグがセットされるのである。
それに対して、車高調整中に、減衰特性を変更しなくても、前後差が設定範囲から外れない場合もある。その場合には、減衰特性変更済みフラグはリセット状態のままである。
その後、S53,54,S61〜63あるいはS53〜57,61〜63が繰り返し実行され、後輪側、前輪側の車高が目標車高に達すると、S64,65において、車高調整弁110が閉状態とされるのであり、すべての車高調整弁が閉状態に切り換えられると、S63の判定がYESとなり、S66において、車高調整終了処理が行われる。
図4には、アップ制御が行われる場合の車高の変化と、前後差の変化とを示す。前後差eが正のしきい値eth以上となって、後輪側の減衰特性がハード側に変更されて前輪側の減衰特性がソフト側に変更される。
このように、本実施例においては、前後の車高差eが設定範囲内となるように減衰特性が制御される。それによって、車高調整中に、車体の前後方向の傾きが大きくなることを回避することができる。
また、本実施例においては、車高調整中に、前後差eが設定範囲内にある限り減衰特性が変更されることはない。そのため、真に車体8の前後方向の傾きが大きくなった場合、すなわち、姿勢制御が真に必要になった場合にのみ減衰特性が変更されるのであり、減衰特性が不要に変更されることを回避することができる。
さらに、本実施例においては、車高調整中に、減衰特性が2回以上変更されることがないように、設定範囲、減衰特性の変更段数が決められる。その結果、車高調整中の車高変化速度お変化回数を少なくすることができる。例えば、設定範囲が広い場合は狭い場合より、前後差eが設定範囲から外れ難くなる。設定範囲は、制御回数等を考慮して決めることができる。
また、前述のように、車高調整開始時の前輪側の車高と後輪側の車高とは同じであるとは限らないが、本実施例においては、設定範囲を規定するしきい値の大きさ(正のしきい値)ethは、車高調整開始時の車高差eの絶対値|HR0−HF0|より大きくなるように設定される。
|HR0−HF0|<eth
車高調整開始時の車高差eの絶対値がしきい値より大きいと、実際に、車高変化速度が大きいか否かとは関係なく、車高調整開始後直ちに、S56あるいは57の判定がYESとなって、減衰特性が変更される可能性があり、望ましくないからである。
さらに、本実施例においては、車高の前後差が設定範囲から外れても、そのことに起因して車高調整が中止させられることがない。そのため、車高調整に要する時間が長くなることを回避することができる。また、車高調整が中止させられる回数が少なくなれば、乗員の違和感を小さくすることもできる。
以上のように、本実施例においては、サスペンションECU200の図5のフローチャートで表される車高調整プログラムのS53〜59を記憶する部分、実行する部分等により車高調整中減衰特性制御部が構成される。車高調整中減衰特性制御部は、前後車高差規制部でもある。また、前後車高差規制部のうち、S56,58を記憶する部分、実行する部分等により第1制御部が構成され、S57,59を記憶する部分、実行する部分等により第2制御部が構成される。
なお、前後差eの代わりに、ピッチ角度を採用することができる。ピッチ角センサあるいはピッチレイトセンサを設け、前後方向の傾き角度が設定範囲から外れた場合に減衰特性の制御が行われるようにするのである。
〔実施例3〕
本実施例は、実施例1と実施例2とを組み合わせた実施例である。すなわち、前輪側と後輪側とのうち、ストロークの絶対値ΔHが設定ストロークΔHSに先に到達した方が車高変化速度が大きい側であると決定し、車高変化速度が大きい側の減衰特性をハード側に変更するとともに、車高変化速度が小さい側の減衰特性をソフト側に変更する。その後、前後差eが設定範囲内となるように減衰特性が制御される。図6には、車高を大きくする車高調整が行われる場合についての態様を示す。本実施例においては、図3のフローチャートのS1〜12と、図5のフローチャートのS54〜66とを組み合わせたフローチャートで表される車高調整プログラムが実行される。
本実施例においては、早期に、車高変化速度が大きい側が前輪側であるか後輪側であるかを検出することができ、それに応じて、減衰特性を制御することができる。そして、その後、車体8の前後方向の傾きが大きくなった場合に、減衰特性が制御されるようにされているため、車高調整中に、車体8の前後方向の傾きが大きくなることを良好に回避することができる。
〔実施例4〕
本実施例においては、前輪側と後輪側との間の実際の相対的な車高の変化と、予め定められた減衰特性対応パターンとに基づいて減衰特性が制御される。減衰特性対応パターンの一例としての減衰特性制御テーブルを表すマップを図7(b)に示す。相対的な車高の変化が条件1を満たした場合に、車高変化速度が大きい側の減衰特性を表す段数を14段とするとともに車高変化速度が小さい側の減衰特性の段数を4段とする。相対的な車高変化が条件2を満たした場合に、車高変化速度が大きい側の減衰特性を表す段数を10段とし、小さい側の減衰特性を表す段数を3段とする。車高調整に要する時間を短くするために、条件2が満たされた後には、減衰特性を表す段数が前輪側も後輪側もソフト側に変更されるのである。
条件1は、実施例1における場合と同様に、前輪側と後輪側とのうち車高変化速度が大きい方の側のストロークの絶対値が設定ストロークに到達し、小さい方の側のストロークの絶対値が設定ストロークより設定値以上小さいことであり、条件2は、車高変化速度が大きい方の側のストロークの絶対値は設定ストローク以上にあり、かつ、車高変化速度が小さい方の側のストロークの絶対値が設定ストロークに達した(両側のストロークの絶対値が設定ストローク以上である)ことである。
なお、テーブルに、条件1,2と減衰特性を表す段数{例えば、(14段、4段),(10段、3段)}とが関係付けられている場合には減衰特性対応パターンに対応し、減衰特性を表す段数の変化量{例えば、(+6段、−4段),(−4段、−1段)}とが関係付けられている場合には、減衰特性変化量対応パターンに対応する(図7(b)において括弧内に記載)。
図8のフローチャートで表される車高調整プログラムは予め定められた設定時間毎に実行される。
車高調整要求が満たされた場合には、S101の判定がYESとなり、S102において車高の初期値HR0,HF0が記憶され、S103において、車高調整開始処理が行われる。以下、S104〜117において姿勢制御が行われる。姿勢制御のうち、S104〜113において条件1を満たすか否かが判定されるとともに、それに応じた減衰特性の制御が行われ、S114〜117において条件2を満たすか否かが判定されるとともに、それに応じた減衰特性の制御が行われる。S118〜123において車高調整が行われる。S118〜123は〔実施例1〕におけるS13〜18と同様である。
S104〜109において、〔実施例1〕におけるS4〜9と同様に、条件1が満たされたか否かが判定される。条件1が満たされた場合には、図7(b)に示す減衰特性対応パターン(減衰特性変化量対応パターン)に従って減衰特性が制御される。後輪側の方が車高変化速度が大きい場合には、S110において、後輪側の減衰特性を表す段数が14段とされ、前輪側の減衰特性を表す段数が4段とされる。前輪側の方が車高変化速度が大きい場合には、S111において、後輪側の減衰特性を表す段数が4段とされ、前輪側の減衰特性を表す段数が14段とされる。
本実施例においては、S110,111において減衰特性を表す段数が制御された場合には、S112において、第1減衰特性変更済みフラグがセットされる。また、前輪側と後輪側とで車高変化速度の差が小さく、両方とも設定ストロークΔHSに達して、S109の判定がYESとなった場合には、S113において第2減衰特性制御フラグがセットされ、S112において第1減衰特性変更済みフラグがセットされる。前輪側と後輪側との間の車高変化速度の差が小さい場合には、第1、第2の両方の減衰特性変更済みフラグがセットされるのであり、この場合には減衰特性の変更が行われないことになる。
S114において、第2減衰特性変更済みフラグがセット状態にあるか否かが判定される。リセット状態にある場合には、S115において、前輪側も後輪側も(車高変化速度が大きい側も小さい側も)ストロークの絶対値ΔHR,ΔHFが設定ストロークΔHSに達したか否かが判定される。換言すれば、車高変更速度が小さい側のストロークの絶対値も設定ストロークΔHSに達したか否かが判定されるのである。両方とも、設定ストロークΔHSに達した場合には、S115の判定がYESとなり(条件2が満たされ)、S116において、前輪側の減衰特性も後輪側の減衰特性もソフト側に変更される。例えば、車高変化速度が大きい側の減衰特性を表す段数が14段から10段に変更され、車高変化速度が小さい側の減衰特性を表す段数が4段から3段に変更されるのである。
その後、S118〜123において、〔実施例1〕のS13〜18における場合と同様に実際の車高が目標車高に達したか否かが判定され、車高調整の終了処理が行われる。S123においては、第1減衰特性変更済みフラグ、第2減衰特性変更済みフラグがリセットされる。
図7(a)に示すように、時点TAにおいて、前輪側と後輪側とのうちの車高変化速度が大きい側のストロークの絶対値が設定ストロークΔHSに到達して、条件1が満たされた場合場合には、図7(b)の減衰特性対応パターンに従って、後輪側の減衰特性が14段とされるとともに前輪側の減衰特性が4段とされる。また、時点TBにおいて、前輪側と後輪側との両方のストロークの絶対値が設定ストロークΔHSに到達して、条件2が満たされた場合には、後輪側と前輪側との両方の側において、減衰特性がソフト側に変更されるのであり、それぞれ、10段、3段とされる。
このように、本実施例においては、図7(b)に示す予め定められた減衰特性対応パターンに従って、減衰特性が制御される。また、条件2が満たされた場合には、前輪側も後輪側も減衰特性がソフト側に変更されるため、車高調整に要する時間が短くなるという利点がある。車高調整中に、車体8の前後方向の傾きを抑制しつつ、車高調整が早期に行われるようにすることができる。
また、車高調整中に、原則として、2回減衰特性が変更されるようにされているため、1回変更される場合に比較して、車体8の前後方向の傾きを小さくすることができる。
車高調整中の減衰特性の制御回数が少ない場合と多い場合とを比較すると、制御回数が多い場合の方が、車体の姿勢をきめ細かに制御することができるのに対して、制御回数が少ない場合の方が、車高変化速度の変化回数を少なくし得、減衰特性を変更するのに要する消費エネルギを少なくすることができる。したがって、これらを考慮して、1回の車高調整中の減衰特性の制御回数を決定することが望ましい。
さらに、減衰特性を表す段数の変化量が、条件1が満たされた場合より条件2が満たされた場合の方が小さくされている。実際の車高が目標車高に遠い場合は近い場合より、減衰特性の変化量が大きくされるのであり、その結果、車高調整の開始当初において、車体8の前後方向の傾きを確実に小さくすることができる。また、目標車高に近い場合には、減衰特性の変化量が小さくされるため、車高調整の終了間近に車高変化速度の変化を小さくすることができる。
以上のように、本実施例においては、サスペンションECU200の図7(b)のマップで表される制御パターンを記憶する部分、実行する部分および図8のフローチャートで表される車高調整プログラムのS104〜117を記憶する部分、実行する部分等により車高調整中減衰特性制御部が構成される。車高調整中減衰特性制御部はパターン依拠制御部、目標車高偏差対応制御部でもある。
なお、上記実施例においては、条件2が満たされた場合に(S116)、前輪側、後輪側のいずれの側においても減衰特性がソフト側に変更されるようにされていたが、予め定められた同じ段数(例えば、段数6,8等)に設定されるようにすることもできる。
また、条件2が満たされた場合には、前輪側も後輪側も段数の減少量を同じにすることもできる。例えば、条件2が満たされた場合の段数の変化量を(−2)とした場合、車高変化速度が大きい側の段数が14段から12段に変更され、車高変化速度が小さい側の減衰特性を表す段数が4段から2段に変更されることになる。
さらに、条件1が満たされた場合には、前輪側、後輪側の両方において減衰特性を変更しなくても、いずれか一方の側についてのみ減衰特性が変更されるようにすることもできる。〔実施例1〕における場合と同様に、車高変化速度が大きい側の減衰特性をハード側に変更するか、車高変化速度が小さい側の減衰特性をソフト側に変更するかのいずれか一方のみが行われるようにすることもできる。
また、減衰特性対応パターン、減衰特性変化量対応パターン(条件1,2の内容、それに応じた減衰特性の制御態様)の態様については上記実施例に限定されない。例えば、条件2は、車高変化速度が大きい側と小さい側との間の車高の差あるいは車高変化速度の差が設定値以下となった場合に満たされる条件とすることもできる。
さらに、制御パターンを式で表して、予め記憶しておくこともできる。
〔実施例5〕
本実施例においては、段落〔実施例4〕とは異なるパターンに従って減衰特性を表す段数が制御される。減衰特性対応パターン(減衰特性変化量対応パターン)の一例を図9(b)に示す。条件1,2は、実施例4における条件1,2と同様であり、前輪側と後輪側とのうち一方の側のストロークの絶対値ΔHが先に設定ストロークΔHS1に達したこと、前輪側と後輪側との両方のストロークの絶対値ΔHが設定ストロークΔHS1に達したことであり、条件3は、前輪側と後輪側とのうち一方の側のストロークの絶対値が設定ストロークΔHS2に達し、他方の側のストロークの絶対値が設定ストロークΔHS2に達していないことであり、条件4は、前輪側と後輪側とのうちの一方の側のストロークの絶対値が設定ストロークΔHS3に達し、他方の側のストロークの絶対値が設定ストロークΔHS3に達していないことである。
図9(b)に示すように、条件1が満たされた場合には、車高変化速度が大きいとされた側の減衰特性を表す段数が16段とされるとともに車高変化速度が小さい側の段数が4段とされる。条件2が満たされた場合には、車高変化速度が大きいとされた側の減衰特性を表す段数が14段とされるとともに小さい側の段数が6段とされる。車高変化速度が大きい側、小さい側は、条件1が満たされた場合に決定されるのであり、本実施例において、1回の車高調整において、車高変化速度が大きい側、小さい側が変わることはない。車高変化速度が大きい側は、アップ制御においては荷重が小さい側であり、ダウン制御においては荷重が大きい側である。
条件3が満たされた場合には、車高変化速度が大きい側の段数が10段とされ、小さい側の段数が8段とされる。条件4が満たされた場合には、車高変化速度が大きい側も小さい側も8段とされる。
なお、条件1〜4と変更後の減衰特性を表す段数との関係が記憶されている場合には、図9(b)のテーブルは減衰特性対応パターンに対応し、条件1〜4と減衰特性を表す段数の変更量との関係が記憶されている場合には減衰特性変化量対応パターンに対応する。
図10のフローチャートで表される車高調整プログラムは、予め定められた設定時間毎に実行される。
車高調整要求が満たされた場合には、S201の判定がYESとなり、S202、203において車高初期値が記憶され、車高調整開始処理が行われる。その後、S204において、車高が検出され、S205〜209,230において、車高調整が行われ、S210〜229において姿勢制御が行われる。S205〜209,230は、〔実施例1〕のS13〜18に対応する。
姿勢制御において、S211〜217において、条件1が満たされるか否かが判定され、満たされた場合には、それに応じて減衰特性が変更される。減衰特性が変更された場合、あるいは、減衰特性を変更する必要性が低い場合には、第1減衰特性変更済みフラグがセットされる。
前輪側と後輪側とで、車高変化速度の差が小さく、ほぼ同時に、ストロークの絶対値が設定ストロークΔHS1に達した場合には、S214の判定がYESとなり、S204に戻される。この場合には、減衰特性を変更する必要性が低いため、減衰特性が変更されることなく、S204〜214が繰り返し実行される。そのうち、車高が目標車高に達すると、S208,209において、車高調整弁110が閉状態に切り換えられて、減衰特性を表す段数が変更されることなく、S230において、車高調整が終了される。
前輪側も後輪側のストロークの絶対値が設定ストロークΔHS1に達する以前においては、S214の判定がNOとなるが、前輪側と後輪側とで、車高変化速度差がある場合には、S204〜214が繰り返し実行されるうちに、S212,213のいずれか一方の判定がYESとなる。S214のステップはプログラムの実行において不要であるが、上述のように、S214の判定がYESである場合とNOである場合とでは、事情が異なるため、そのことを説明するために便宜上設けたステップである。
S218〜221において、条件2が満たされるか否かが判定され、条件2が満たされた場合には、それに応じて、減衰特性が変更される。条件2が満たされたことにより減衰特性が変更された場合には、第2減衰特性変更済みフラグがセットされる。
S222〜225において条件3が満たされるか否かが判定され、満たされた場合にはそれに応じて減衰特性を表す段数が変更される。減衰特性を表す段数が変更されると第3減衰特性変更済みフラグがセットされる。
S226〜229において条件4が満たされるか否かが判定される。条件4が満たされると、車高変化速度が大きい側も小さい側も減衰特性を表す段数が8段とされる。減衰特性を表す段数が変更されると、第4減衰特性変更済みフラグがセットされる。
その後、S204に戻され、目標車高に達したか否かが判定されるのであるが、前輪側、後輪側のいずれの側においても目標車高に達すると、S230において車高調整終了処理が行われる。車高調整終了処理においては、第1〜第4減衰特性変更済みフラグがリセットされる。
また、条件1〜4が順番に満たされない場合もあるが、本実施例においては、条件1〜4が順番に満たされない場合であっても、その条件が満たされた場合には、その条件に対応する減衰特性の制御が行われる。例えば、条件1,3,2,4の順に満たされた(条件2より条件3が先に満たされた)場合について説明する。条件1が満たされ、第1減衰特性変更済みフラグがセットされた後、S204〜207,210,211,218,219,222,223,226,227が繰り返し実行されるが、S219の判定がYESとなるより先にS223の判定がYESとなり、S224において減衰特性が制御され、S225において、第3減衰特性変更済みフラグがセットされて、S226以降が実行される。その後、S204〜207,210,211,218,219,222,226,227が繰り返し実行されることになる。
車高変化速度が大きい側において、減衰特性対応パターンに従う場合には、条件1が満たされた場合に減衰特性を表す段数が16段とされ、条件3が満たされた場合には10段とされる。その後、条件2が満たされると段数が14とされ、条件4が満たされると8段とされる。
それに対して、減衰特性変化量対応パターンに従う場合には、条件3が満たされた場合には、12段に変更される。段数の変化量が(−4)であるため、16段から12段に変更されるのである。その後、条件2が満たされると、段数が10(12−2)とされ、条件4が満たされると、段数が8(10−2)とされる。
図9(a)の時点T1〜時点T4がそれぞれ条件1〜4が満たされた時である。条件1が満たされた場合には、車高変化速度が大きい側が前輪側であるか後輪側であるかが決まる。図9(a)には、車高変化速度が大きい側が後輪側である場合のストロークの変化を示した。条件1が満たされた場合には、後輪側の減衰特性を表す段数が16段とされるとともに前輪側の減衰特性を表す段数が4段とされる。条件2が満たされた場合には、後輪側の減衰特性を表す段数が14段とされるとともに前輪側の段数が6段とされる。条件3が満たされた場合には、後輪側の減衰特性を表す段数が10段とされるとともに前輪側の段数が8段とされる。この条件3は、図9(a)に示すように、後輪側のストロークの絶対値が設定ストロークΔHS2に達したことによって満たされる場合や、前輪側のストロークの絶対値が設定ストロークΔHS2に達したことによって満たされる場合がある。いずれの場合であっても、減衰特性は同様に制御される。条件4が満たされた場合には、後輪側、前輪側の減衰特性を表す段数が両方とも8段とされる。条件4も、条件3と同様に、後輪側のストロークの絶対値が設定ストロークΔHS3に達したことによって満たされる場合や、前輪側のストロークの絶対値が設定ストロークΔHS3に達したことによって満たされる場合もある。
このように、本実施例においては、減衰特性制御パターンが、実施例4における場合より細かく作成されているため、車高調整中の姿勢をきめ細かに制御することが可能となる。
また、本実施例においては、車高調整終了時に減衰特性を表す段数が8段とされる。そのため、標準状態において、減衰特性を表す段数が8段に設定されるようにされている場合に都合がよい。
さらに、設定ストロークΔHS1、ΔHS2、ΔHS3が目標ストロークとの関係に基づいて、例えば、目標ストロークΔHfの1/6,1/3、2/3等に設定することができる。
また、条件1〜4が順番に満たされない場合には、パターンに従って制御が行われないようにすることもできる。例えば、減衰特性の変化量を大きくすることができるのであり、条件1の次に、条件3が満たされた場合には、車高変化速度が大きい側の減衰特性を表す段数を16段のままとするのである。それによって、車体8の前後方向の姿勢の変化を良好に抑制することができる。
〔実施例6〕
本実施例においては、前輪側の車高から後輪側の車高を引いた値である前後差eに基づいて減衰特性が制御されるのであるが、車高調整中の減衰特性の制御は2回に制限されている。
設定範囲が広い場合は狭い場合より、1回の車高調整中の減衰特性の制御回数を少なくすることができるが、設定範囲を狭くすれば、制御回数が多くなる可能性が高くなるが、車体の前後方向の姿勢を予め定められた姿勢により近づけることが可能となる。そこで、これらを考慮して、設定範囲(制御回数)を決めることが望ましい。例えば、減衰特性の制御回数を2回とすれば、減衰特性の制御回数が1回に制限されている場合に比較して、前後差eの設定範囲を狭くすることができる。
図12のフローチャートで表す車高調整プログラムは、予め定められた設定時間毎に実行される。S301において車高調整要求があるか否かが判定され、S302において車高調整開始処理が行われ、S303においてカウンタCのカウント値が0とされる。
その後、S304〜315において姿勢制御が行われ、S316〜321において車高調整が行われる。S316〜321は、〔実施例2〕のS61〜66に対応する。
S304において、前輪側、後輪側の車高が検出され、S305において、カウンタが2以上であるか否かが判定される。2より小さい場合、すなわち、0あるいは1である場合には、〔実施例2〕における場合と同様に、S306において車高の前後差eが取得され、S307において前後差eが正のしきい値eth以上であるか否か、S308において負のしきい値−eth以下であるか否かが判定される。いずれでもない場合、すなわち、設定範囲内にある場合には、S316〜318が実行される。
アップ制御中において、カウンタCのカウント値が0であり、かつ、前後差eが正のしきい値eth以上になった場合には、S307、309の判定がYESとなり、S310において後輪側の減衰特性を表す段数が8段から12段とされたり、前輪側の減衰特性を表す段数が8段から4段とされたりする。S311において、カウンタCのカウント値が1増加させられて1となる。このように、後輪側の減衰特性がハード側に変更されたり、前輪側の減衰特性がソフト側に変更されたりする場合には、前後差eは小さくなるため、その後、S304〜308、S316〜318が繰り返し実行される。そのうちに、前後差eが負のしきい値−eth以下になった場合には、S308の判定がYESとなるが、カウンタCのカウント値は1であるため、S312の判定がNOとなり、S313において、後輪側の減衰特性を表す段数が12段から10段とされたり、前輪側の減衰特性を表す段数が4段から6段とされたりする。次に、カウンタCのカウント値が1増加させられて、2となる。
それに対して、カウンタCのカウント値が0である場合に、前後差eが負のしきい値−eth以下になった場合には、S308,312の判定がYESとなり、S314において後輪側の減衰特性を表す段数が8段から4段とされたり、前輪側の減衰特性を表す段数が8段から12段とされたりして、S311において、カウンタCのカウント値が1増加させられて1となる。前後差eの絶対値が小さく(前後差eが大きく)なるため、S304〜308,316〜318が繰り返し実行される。そのうちに、正のしきい値eth以上になると、S307の判定がYES、S309の判定はNOとなり、S315において、後輪側の減衰特性を表す段数が4段から6段とされたり、前輪側の減衰特性を表す段数が12段から10段とされたりする。その後、カウンタCのカウント値が2となる。
ダウン制御において、カウンタCのカウント値が0である場合に、前後差eが正のしきい値eth以上になった場合には、S307、309の判定がYESとなり、S310において後輪側の減衰特性がソフト側に変更されたり、前輪側の減衰特性がハード側に変更されたりする。その後、カウント値が1とされる。そのうちに、前後差eが負のしきい値−eth以下になった場合には、S308の判定がYES,S312の判定がNOとなり、S313において後輪側の減衰特性がハード側とされたり、前輪側の減衰特性がソフト側とされたりして、カウント値が2とされる。
それに対して、カウンタCのカウント値が0である場合に、先に、前後差eが負のしきい値−eth以下になった場合には、S308、312の判定がYESとなり、S314において、後輪側の減衰特性がハード側とされたり、前輪側の減衰特性がソフト側とされたりする。カウンタCのカウント値が1になった後に、前後差eが正のしきい値eth以上になった場合には、S307の判定がYES、S309の判定がNOとなり、S315において、後輪側の減衰特性がソフト側とされたり、前輪側の減衰特性がハード側とされたりする。カウント値は2とされる。
カウンタCのカウント値は2になると、S305の判定がYESとなるため、それ以降、姿勢制御が行われることはない。車高が目標車高に近づくまで、S304,305,S316〜318が繰り返し実行され、前輪側においても後輪側においても車高調整が終了すると、S321において終了処理が行われる。終了処理においては、カウンタCがクリアされる。
図11には、車高を大きくする車高調整が行われる場合の車高の変化、前後差の変化を示す。
図11(a)の実線、図11(b)に示すように、車高調整が開始されてから、最初に前後差eが正のしきい値eth以上になった場合には(時点TA)、後輪側の減衰特性がハード側に変更されて、前輪側の減衰特性がソフト側に変更される(A:S310)。前後差eの絶対値は小さくなり、そのうちに、負のしきい値−eth以下になった場合(時点TB)には、後輪側の減衰特性はソフト側に変更され、前輪側の減衰特性はハード側に変更される(B:S313)。この場合には、後輪側においては、減衰特性を表す段数が8段から12段に変更され、その後、12段から10段に変更される。また、前輪側においては、減衰特性を表す段数が8段から4段に変更され、次に、4段から6段に変更されることになる。実際の車高が目標車高に近い場合は遠い場合より、段数の変化量が小さくされるのであり、それによって、車高調整終了間近において車高変化速度の変化をより小さくすることができる。
また、図11(a)の一点鎖線のように、車高調整が開始されてから最初に前後差eが負のしきい値−eth以下になった場合には、後輪側の減衰特性はソフト側に変更され、前輪側の減衰特性はハード側に変更される(C:S314)。前後差eが正のしきい値eth以上になった場合には、後輪側の減衰特性がハード側に変更されて、前輪側の減衰特性がソフト側に変更される(D:S315)。
いずれにしても、目標車高から遠い方の側の減衰特性がソフト側に変更されたり、目標車高に近い方の側の減衰特性がハード側に変更されたりすることになる。
本実施例においては、実施例2における場合と同様に、車高調整中に、前後差eが1回しか設定範囲から外れない場合、2回外れる場合、1回も外れない場合等がある。いずれにしても、設定範囲から外れた場合に減衰特性を表す段数が変更されることになる。
このように、本実施例においては、車高調整中の減衰特性の制御が2回行われることが予定されているため、1回予定されている場合より、例えば、設定範囲を狭くすることができ、その分、車体8の前後方向の傾きを小さく抑制することができる。
なお、図12のフローチャートのS305のステップの後に、カウンタCのカウント値が1増加させられてから、設定時間が経過したか否かを判定するステップを設け、設定時間が経過する以前においては、S306〜315が実行されないで、S316が実行され、設定時間が経過した場合に、S306が実行されるようにすることもできる。前後差eが設定範囲から外れることによって減衰特性が制御されても、直ちに、前後差eの絶対値が小さくなるとは限らず、設定時間が経過する以前においては、連続して、S307あるいはS308の判定がYESとなって、S310,315あるいはS314,313が、連続して実行されるおそれがある。そこで、減衰特性を表す段数が変更されていから設定時間が経過した後に、S306が実行されるようにようにするのである。
〔実施例7〕
なお、上記実施例においては、車高調整中の減衰特性の制御回数が制限されていたが、制限を解除し、車高調整中に前後差eが設定範囲から外れる毎に減衰特性を表す段数が変更されるようにすることができる。
本実施例においては、図14のフローチャートで表される車高調整プログラムが予め定められた設定時間毎に実行される。
本実施例においては、減衰特性の変更回数の制限がないため、図12のフローチャートのS305のステップに対応するステップがない。しかし、最初に設定範囲から外れた場合と2回目以降に外れた場合とで、減衰特性を表す段数の変化量が異なるようにされているため、カウンタCは必要である。
カウンタCのカウント値が0である場合、すなわち、前後差eが設定範囲から最初に外れた場合には、目標車高に近い側の減衰特性を表す段数を8段から16段(+8)に変更し,目標車高から遠い側の減衰特性を表す段数を8段から4段(−4)に変更する(S310′,314′)が、カウンタCのカウント値が1以上である場合、すなわち、2回目以降においては、その時点において、目標車高に近い側の減衰特性を表す段数を2大きくし(+2)、目標車高に遠い側の減衰特性を表す段数を2小さく(−2)する(S313′,315′)。
図13に、制御の一例を示す。図13に示す場合においては、車高調整中に減衰特性の制御が3回行われたが、減衰特性の制御回数に制限がないため、車体8の前後方向の傾きをきめ細かに制御することができる。
なお、上記実施例においては、前後差が設定範囲から最初に外れた場合と2回目以降に外れた場合とで、減衰特性を表す段数の変化量が異なるようにされたが、2回目、3回目・・・で異なるようにすることもできる。例えば、2回目に外れた場合の変化量を(±3)とし、3回目に外れた場合の変化量を(±2)とし、4回目以降に外れた場合の変化量を(±1)とするのである。
なお、上記各実施例においては、車高調整中に、車体8の前後方向の傾きが小さくなるように減衰特性が制御されるようにされていたが、本実施例においては、車体8が予め定められた前傾姿勢に保たれるように減衰特性が制御される。
〔実施例8〕
本実施例においては、車高調整中において、ヘッドランプ234が点灯状態にある場合には、車体8が予め定められた前傾姿勢とされる。後輪側の車高から前輪側の車高を引いた値である前後差eが予め定められた設定範囲内となるように減衰特性が制御されるのである。設定範囲は、正の第1しきい値eth1と第2しきい値eth2とで規定される範囲である。
eth1<e<eth2
0<eth1<eth2
予め定められた前傾姿勢とすることにより、対向車線を走行中の車両の乗員、周辺の人の、ヘッドランプ234による眩惑が防止される。なお、前傾角度が大きすぎることも望ましくないため、第2しきい値eth2より小さくされる。
図15のフローチャートで表される車高調整プログラムは予め定められた設定時間毎に実行される。
車高調整要求が有る場合には、S401の判定がYESとなり、S402において、フロントライティングコントローラ232の状態に応じてヘッドランプ234が点灯しているか否かが判定される。点灯状態にある場合には、S403において、車高調整開始処理が行われる。
その後、S404〜407,414,415において姿勢制御が行われ、S408〜413において車高調整が行われる。
S404において、前輪側、後輪側の車高が検出され、S405において、前後差eが検出される。S406、407において、前後差eが上述の設定範囲内にあるか否かが判定される。第1しきい値eth1より大きいか否か、第2しきい値eth2より小さいか否かが判定されるのである。前後差eが第1しきい値eth1と第2しきい値eth2との間、すなわち、設定範囲内にある場合には、S408〜410が実行される。
それに対して、前後差が設定範囲内にない場合、例えば、アップ制御において、前後差eが第1しきい値eth1以下である場合には、前傾角度が不足しているため、S406の判定がNOとなり、S414において後輪側の減衰特性がソフト側に変更されたり、前輪側の減衰特性がハード側に変更されたりする。それによって、後輪側の車高増加速度が相対的に大きくなり、前傾角度が大きくなる。また、前後差eが第2しきい値eth2以上である場合には、前傾角度が大きすぎる。S407の判定がNOとなり、S415において後輪側の減衰特性がハード側に変更されたり、前輪側の減衰特性がソフト側に変更されたりする。それによって、後輪側の車高増加速度が相対的に小さくなり、前傾角度が小さくなる。
ダウン制御において、前後差eが第1しきい値eth1以下である場合には、S406の判定がNOとなり、S414において後輪側の減衰特性がハード側に変更されたり、前輪側の減衰特性がソフト側に変更されたりする。後輪側の車高減少速度が相対的に小さくされるため、前傾角度が大きくなる。前後差eが第2しきい値eth2以上である場合には、S407の判定がNOとなり、S415において後輪側の減衰特性がソフト側に変更されたり、前輪側の減衰特性がハード側に変更されたりする。後輪側の車高減少速度が相対的に大きくされるため、前傾角度が小さくなる。
その後、前輪側、後輪側において、実際の車高が目標車高に達すると、S411,412により車高調整弁110が閉状態とされて、S413において終了処理が行われる。車高調整が終了した時点においても姿勢は前傾姿勢のままである。
それに対して、ヘッドランプ234が点灯状態にない場合、すなわち、消灯している場合には、S402の判定がNOとなり、S416において車高調整が行われる。例えば、上述の〔実施例1〕〜〔実施例7〕のいずれかが実行されるのである。
また、ヘッドランプ234の消灯状態においては、車体8の前後方向の傾きが小さい姿勢が予め定められた姿勢(目標となる姿勢であり、ほぼ水平となる姿勢である)とされるのに対して、点灯状態においては、車体8の前傾姿勢が予め定められた姿勢(目標となる姿勢)とされるため、点灯状態においては消灯状態における場合より前傾姿勢となるように減衰特性が制御されると考えることができる。
以上のように、本実施例においては、サスペンションECU200の図15のフローチャートで表される車高調整プログラムのS404〜407,414,415を記憶する部分、実行する部分等により車高調整中減衰特性制御部としてのライティング点灯時制御部が構成される。
なお、上記実施例においては、前後差eが第1しきい値eth1より大きく第2しきい値eth2より小さい設定範囲内にあるように減衰特性が制御されるようにされていたが、第1しきい値eth1は、実施例2,6における設定範囲の正のしきい値ethより大きい値とすることもできる。
eth<eth1
それに対して、第1しきい値eth1が正のしきい値ethより小さく、第2しきい値eth2が正のしきい値ethより大きい値とすることもできる。
eth1<eth<eth2
また、ヘッドランプ234のみならず、フォグランプ等のフロントライティング類の少なくとも1つが点灯状態にある場合に、S402の判定がYESとなるようにすることもできる(点灯状態にあるとみなし得る)。
〔実施例9〕
なお、上記〔実施例1〕〜〔実施例8〕に示すように、姿勢制御は、車高調整が行われる場合には常に行われるようにしても、車高調整において、車体8の姿勢制御を行う必要性が高い場合に行われ、姿勢制御を行う必要性が低い場合には行われないようにすることもできる。その場合の一例について説明する。
図16のフローチャートで表される車高調整プログラムにおいて、S501において、車高調整要求が有るか否かが判定され、要求がある場合には、S502において、車両の停止中であるか否か、S503において、車高調整要求に応じた目標ストロークの絶対値が設定値以上であるか否か、S504において、イグニッションスイッチ228がONであるか否かが判定される。
S502〜504のすべての判定がNOである場合には、S505において、減衰特性の制御が行われない車高調整、すなわち、車体8の姿勢制御が行われない車高調整が実行される。
それに対して、S502〜504のいずれか1つにおける判定がYESである場合には、S506において、減衰特性制御付き車高調整が行われる。例えば、上述の〔実施例1〕〜〔実施例8〕のいずれかが実行される。
車両の走行中においては、車高調整中に車体8が前後方向に傾いても、違和感は小さい。それに対して、車両の停止中においては、車高調整中に車体8の傾くと、走行中より違和感を強く感じる。そこで、停止中に車高調整が行われる場合の姿勢制御の必要性は高いが、走行中においては低いと考えられる。
車高調整における目標ストロークの絶対値が小さい場合には、車体8の前後方向の傾斜角度が大きくなることはないため、姿勢制御の必要性は低いが、目標ストロークの絶対値が大きい場合には、傾斜角度が大きくなる可能性が高いため、姿勢制御の必要性は高いと考えられる。したがって、目標ストロークが、車高調整において違和感を感じるほどの傾きが生じる可能性がある設定値以上である場合に、姿勢制御の必要性が高いとされる。
イグニッションスイッチ228がOFF状態にある場合には、乗員がいない可能性が高い。そのため、姿勢制御を行う必要性は低いと考えられる。それに対して、イグニッションスイッチがON状態にある場合には、乗員がいる可能性が高く、姿勢制御を行う必要性が高いと考えられる。
このように、車高調整中に姿勢制御を行う必要性が高い場合に減衰特製の制御が行われるようにすれば、無駄な制御が実行されることを回避し、その分、消費エネルギの低減を図ることができる。
なお、S502〜504のすべてのステップは不可欠ではない。S502〜504のうちの1つのステップがあればよい。
また、S505においては、姿勢制御なし車高調整が行われるのではなく、S506とは異なる姿勢制御付き車高調整が行われるようにすることもできる。例えば、S505においては、S506における場合より、減衰特性の制御回数が少なくされるようにすることができる。
さらに、目標ストロークが大きい場合と小さい場合とで、減衰特性の制御態様を異ならせることもできる。例えば、〔実施例2〕等における場合のように、前後差eが設定範囲内となるように減衰特性が制御される場合において、目標ストロークが大きい場合は設定範囲を狭くし、目標ストロークが小さい場合は設定範囲を広くするのである。目標ストロークが大きい場合は車高調整に要する時間も長くなるため、車両の傾きを小さくすれば、乗員の乗り心地の低下を抑制することができる。
また、前述の各実施例を実施可能なサスペンション装置の構造は、図1に示す構造のものに限らない。
例えば、図17に示すサスペンション装置においては、懸架シリンダ10の液室16に個別制御通路32を介して作動液給排装置70が接続されるとともに、個別通路310を介してアキュムレータ34,36が接続される。そして、個別通路310に可変絞り312が設けられ、可変絞り312の絞りの程度の制御により減衰特性が制御される。本実施例においては、懸架シリンダ10および可変絞り312等により減衰力発生装置が構成される。
なお、アキュムレータ36は、シリンダ本体11と一体的に設けることもできる。
図18に示すサスペンション装置においては、液室16に個別制御通路32を介して作動液給排装置70が接続され、ピストン12に減衰特性制御バルブ314が設けられる。減衰特性制御バルブ314は、液室16,18を接続する液通路20の流路面積を制御可能なものであり、減衰特性制御アクチュエータとしてのモータ316による制御される。減衰特性制御バルブ314を制御することにより、減衰特性が制御される。本実施例においては、懸架シリンダ10および減衰特性制御バルブ314等により減衰力発生装置が構成される。
図19に示すように、車高調整装置は、流体としてエアを利用するものとすることができる。本実施例におけるサスペンション装置においては、車輪保持装置6と車体8との間に、エアばね320とショックアブソーバ322とが並列に設けられる。エアばね320は、車体8とショックアブソーバ322のシリンダ本体323との間に設けられたハウジング324を含み、ハウジング324の内部がエアチャンバ326とされる。
エアチャンバ326には、エア給排装置330が個別通路332を介して接続される。エア給排装置330は、コンプレッサ、高圧タンク等を含む高圧源338、排気バルブ340、個別通路332に設けられた車高調整弁340等を含み、高圧源338から高圧のエアがエアチャンバ326に供給されることにより車高が大きくされ、エアチャンバ326のエアが排気バルブ340から大気に放出されることによって車高が小さくされる。
ショックアブソーバ322は、シリンダ本体323に相対移動可能に嵌合されたピストン352を含み、シリンダ内部がピストン352によりヘッド側室とロッド側室とに仕切られる。ピストン352には減衰特性制御バルブ354が設けられ、減衰特性制御バルブ354の開度が減衰特性制御アクチュエータとしての電動モータ360により制御される。電動モータ360は、図示しないサスペンションECUの指令に基づいて制御されるのであり、それによって、減衰特性が制御される。本実施例においては、ショックアブソーバ322および減衰特性制御バルブ354等により減衰力発生装置が構成される。
さらに、図20に示すように、可変絞り400を、個別制御通路32のアキュムレータ34と作動液給排装置70との間に部分に設けることもできる。可変絞り400によって個別制御通路32の流路面積が変更され、車高調整中の、懸架シリンダ10における作動液の流入流量・流出流量が制御される。
以上のように、本発明を実施可能な複数の実施例について説明したが、その他、当業者の知識に基づいて種々の変更、改良を施した態様で実施することができる。
本発明の一実施例であるサスペンション装置全体を示す図である。 上記サスペンション装置を備えた車両において、図3のフローチャートで表される車高調整プログラムが実行された場合の前輪側、後輪側の車高の変化を示す図である。 上記サスペンション装置のサスペンションECUの記憶部に記憶された車高調整プログラムを表すフローチャートである。 上記車両において、図5のフローチャートで表される車高調整プログラムが実行された場合の前輪側、後輪側の車高の変化状態を示す図である。 上記サスペンション装置のサスペンションECUの記憶部に記憶された別の車高調整プログラムを表すフローチャートである。 上記サスペンション装置を備えた車両において、さらに別の態様で車高調整が行われた場合の前輪側、後輪側の車高の変化を示す図である。 (a)上記サスペンション装置を備えた車両において、図8のフローチャートで表される車高調整プログラムが実行された場合の前輪側、後輪側の車高の変化を示す図である。(b)上記サスペンション装置のサスペンションECUの記憶部に記憶された減衰特性制御テーブルを表すマップである。 上記サスペンション装置のサスペンションECUの記憶部に記憶された別の車高調整プログラムを表すフローチャートである。 (a)上記サスペンション装置を備えた車両において、図10のフローチャートで表される車高調整プログラムが実行された場合の前輪側、後輪側の車高の変化を示す図である。(b)上記サスペンション装置のサスペンションECUの記憶部に記憶された別の減衰特性制御テーブルを表すマップである。 上記サスペンション装置のサスペンションECUの記憶部に記憶されたさらに別の車高調整プログラムを表すフローチャートである。 上記サスペンション装置を備えた車両において、図12のフローチャートで表される車高調整プログラムが実行された場合の前輪側、後輪側の車高の変化を示す図である。 上記サスペンション装置のサスペンションECUの記憶部に記憶された別の車高調整プログラムを表すフローチャートである。 上記サスペンション装置を備えた車両において、図14のフローチャートで表される車高調整プログラムが実行された場合の前輪側、後輪側の車高の変化状態を示す図である。 上記サスペンション装置のサスペンションECUの記憶部に記憶されたさらに別の車高調整プログラムを表すフローチャートである。 上記サスペンション装置のサスペンションECUの記憶部に記憶された別の車高調整プログラムを表すフローチャートである。 上記サスペンション装置のサスペンションECUの記憶部に記憶されたさらに別の車高調整プログラムを表すフローチャートである。 本発明を適用可能な別のサスペンション装置の一部を表す図である。 本発明を適用可能なさらに別のサスペンション装置の一部を表す図である。 本発明を適用可能な別のサスペンション装置の一部を表す図である。 本発明を適用可能なさらに別のサスペンション装置の一部を表す図である。
符号の説明
10:懸架シリンダ 36:アキュムレータ 40,312,400:可変絞り 70:作動液給排装置 110:車高調整弁 200:サスペンションECU 220:車高センサ 232:フロントライティングコントローラ 234:ヘッドランプ 314,354:減衰特性制御バルブ 322:ショックアブソーバ 320:エアばね 330:エア給排装置

Claims (11)

  1. 車両の前後左右の車輪の各々について、車輪と車体との間の上下方向の相対位置関係である車高をそれぞれ制御する車高調整装置と、 前記前後左右の車輪の各々について設けられ、前記車高の変化速度に応じた減衰力を発生させる減衰力発生装置各々における減衰特性を制御する減衰特性制御装置と
    を含むサスペンション装置であって、
    前記減衰特性制御装置が、前記車高調整装置による車高調整中に、前記車両の前輪側と後輪側との少なくとも一方の側の左右輪についての減衰特性を制御することにより、前記車体の前後方向の姿勢を予め定められた姿勢に近づける車高調整中減衰特性制御部を含むとともに、その車高調整中減衰特性制御部が、前記前輪側と前記後輪側とのうち車高の変化速度が大きい側の減衰特性を、車高の変化速度が小さい側の減衰特性よりハード側の特性とする車高変化速度依拠制御部を含むことを特徴とするサスペンション装置。
  2. 車両の前後左右の車輪の各々について、車輪と車体との間の上下方向の相対位置関係である車高をそれぞれ制御する車高調整装置と、
    前記前後左右の車輪の各々について設けられ、前記車高の変化速度に応じた減衰力を発生させる減衰力発生装置各々における減衰特性を制御する減衰特性制御装置と
    を含むサスペンション装置であって、
    前記減衰特性制御装置が、前記車高調整装置による車高調整中に、前記車両の前輪側と後輪側との少なくとも一方の側の左右輪についての減衰特性を制御することにより、前記車体の前後方向の姿勢を予め定められた姿勢に近づける車高調整中減衰特性制御部を含むとともに、その車高調整中減衰特性制御部が、(i)前記車高調整装置による車高調整中に、前記前輪側と前記後輪側とのうち車高の変化速度が大きい側がいずれの側であるかを取得する車高変化速度大小取得部と、(ii)その車高変化速度大小取得部によって車高の変化速度が大きい側が取得された場合に、(a)その車高の変化速度が大きい側の減衰特性を、それ以前よりハード側の特性とする手段と、(b)前記車高の変化速度が小さい側の減衰特性を、それ以前よりソフト側の特性とする手段との少なくとも一方とを含むことを特徴とするサスペンション装置。
  3. 前記車高調整中減衰特性制御部が、前記車高変化速度大小取得部によって取得された車高の変化速度が大きい側の減衰特性をそのままとし、前記車高変化速度大小取得部によって取得された車高の変化速度が小さい側の減衰特性をソフト側の特性とする手段を含む請求項2に記載のサスペンション装置。
  4. 車両の前後左右の車輪の各々について、車輪と車体との間の上下方向の相対位置関係である車高をそれぞれ制御する車高調整装置と、
    前記前後左右の車輪の各々について設けられ、前記車高の変化速度に応じた減衰力を発生させる減衰力発生装置各々における減衰特性を制御する減衰特性制御装置であって、前記車高調整装置による車高調整中に、前記車両の前輪側と後輪側との少なくとも一方の側の左右輪についての減衰特性を制御することにより、前記車体の前後方向の姿勢を予め定められた姿勢に近づける車高調整中減衰特性制御部を含むものと
    を含むサスペンション装置であって、
    前記車高調整中減衰特性制御部が、車高を大きくする車高調整中に、前記前輪側の車高と前記後輪側の車高との差を予め定められた設定範囲内に保つ前後車高差規制部を含み、その前後車高差規制部が、(a)前記後輪側の車高から前記前輪側の車高を引いた値である前後差が予め定められた正のしきい値以上になった場合に、前記後輪側の減衰特性をそれ以前よりハード側の特性とする手段と、前記前輪側の減衰特性をそれ以前よりソフト側の特性とする手段との少なくとも一方を含む第1制御部と、(b)前記前後差が予め定められた負のしきい値以下となった場合に、前記後輪側の減衰特性をそれ以前よりソフト側の特性とする手段と、前記前輪側の減衰特性をそれ以前よりハード側の特性とする手段との少なくとも一方を含む第2制御部とを含むことを特徴とするサスペンション装置。
  5. 前記車高調整中減衰特性制御部が、前記車高調整中の、前記前輪側と前記後輪側とのうちの一方の側の車高の他方の側の車高に対する相対的な変化に基づいて、前記少なくとも一方の側の減衰特性を制御する車高相対変化依拠制御部を含む請求項1ないしのいずれか1つに記載のサスペンション装置。
  6. 前記車高相対変化依拠制御部が、(i)(a)前記相対的な車高の変化量と、前記前輪側と前記後輪側との少なくとも一方の側の減衰特性との関係である減衰特性対応パターンと、(b)前記相対的な車高の変化量と、前記前輪側と前記後輪側との少なくとも一方の側の減衰特性を表す値の変化量との関係である減衰特性変化量対応パターンとの少なくとも一方を記憶する減衰特性制御パターン記憶部と、(ii)その減衰特性制御パターン記憶部に記憶された前記少なくとも一方のパターンと、実際に検出された前記相対的な車高の変化量とに基づいて、前記前輪側と後輪側との少なくとも一方の側の減衰特性を制御するパターン依拠制御部とを含む請求項5に記載のサスペンション装置。
  7. 前記車高調整中減衰特性制御部が、前記車両の前輪側と後輪側との少なくとも一方の側における車高が、前記車高調整装置において設定されている目標車高に近い場合に遠い場合より、前記減衰特性を表す値の変化量を小さくする車高偏差対応制御部を含む請求項1ないしのいずれか1つに記載のサスペンション装置。
  8. 前記車高調整中減衰特性制御部が、前記車両の前輪側における減衰特性を表す値と後輪側における減衰特性を表す値とを互いに異ならせる減衰特性相違化制御部を含む請求項1ないしのいずれか1つに記載のサスペンション装置。
  9. 前記車両がフロントライティング装置を備え、前記車高調整中減衰特性制御部が、前記フロントライティング装置が点灯状態にある場合に、前記少なくとも一方の側の減衰特性を制御することにより、前記車体の姿勢を前記前輪側の車高が前記後輪側の車高より予め定められた設定値以上小さくなる前傾姿勢とするライティング点灯時制御部を含む請求項1ないしのいずれか1つに記載のサスペンション装置。
  10. 前記車高調整中減衰特性制御部が、前記車高調整装置によって車高調整が行われる場合において、車高調整開始時の車高から目標車高に達するまでの車高の変化量である目標ストロークが設定ストロークより小さい場合に前記減衰特性の制御を行わないで、前記目標ストロークが設定ストローク以上である場合に、前記減衰特性の制御を行う目標ストローク大時減衰特性制御部を含む請求項1ないし9のいずれか1つに記載のサスペンション装置。
  11. 前記車高調整中減衰特性制御部が、前記車高調整装置による1回の車高調整中において、前記車両の前輪側と後輪側との少なくとも一方の側の減衰特性を制御する回数を予め定められた設定回数以下に制限する減衰特性制御制限部を含む請求項1ないし10のいずれか1つに記載のサスペンション装置。
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