JP2009234453A - サスペンション特性制御装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 車体1と各車輪3との間に設けられたダンパ6の減衰力を制御することによってサスペンション特性を変化させる減衰力制御装置50において、路面の傾斜を検出する路面傾斜判定部56と、各車輪3の輪荷重Leを検出する輪荷重算出部63と、路面傾斜判定部56によって路面の傾斜が検出された場合、輪荷重算出部63の検出結果に基づいて車体1の振動が小さくなるようダンパ6の減衰力を制御する減衰力設定部52とを備えるように構成する。
【選択図】 図5
Description
以下、本発明を4輪自動車に適用した第1実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。図1は第1実施形態に係る4輪自動車の概略構成図であり、図2は第1実施形態に係るダンパの縦断面図であり、図3は第1実施形態に係る減衰力制御装置の概略構成を示すブロック図であり、図4は第1実施形態に係るスカイフック演算制御部の要部構成を示すブロック図であり、図5は第1実施形態に係るスカイフックゲイン設定部の要部構成を示すブロック図である。なお、説明にあたり、4本の車輪やそれらに対して配置された部材、すなわち、タイヤやサスペンション等については、それぞれ数字の符号に前後左右を示す添字を付して、例えば、車輪3fl(左前)、車輪3fr(右前)、車輪3rl(左後)、車輪3rr(右後)と記すとともに、総称する場合には、例えば、車輪3と記す。
先ず、図1を参照して、第1実施形態に係る自動車の概略構成について説明する。同図
に示すように、自動車(車両)Vの車体1にはタイヤ2が装着された車輪3が前後左右に設置されており、これら各車輪3がサスペンションアーム4や、コイルスプリング5、減衰力可変式ダンパ(以下、単にダンパと記す)6等からなるサスペンション7によって車体1に懸架されている。自動車Vには、各種の制御に供されるECU(Electronic Control Unit)8の他、車速センサ9や横Gセンサ10、前後Gセンサ11、ヨーレイトセンサ12等が車体1の適所に設置されている。また、自動車Vには各車輪3fl〜3rrごとに、上下Gセンサ13がダンパ6の車体1側連結部近傍の車体部位に設置され、ストロークセンサ14がダンパ6に対して設置されている。
図2に示すように、本実施形態のダンパ6は、モノチューブ式(ド・カルボン式)であり、MRF(Magneto-Rheological Fluid:磁気粘性流体)が充填された円筒状のシリンダ22と、このシリンダ22に対して軸方向に摺動するピストンロッド23と、ピストンロッド23の先端に装着されてシリンダ22内を上部油室24と下部油室25とに区画するピストン26と、シリンダ22の下部に高圧ガス室27を画成するフリーピストン28と、ピストンロッド23等への塵埃の付着を防ぐカバー29と、フルバウンド時における緩衝を行うバンプストップ30とを主要構成要素としている。
図3に示すように、ECU8には、ダンパ6の制御を行う減衰力制御装置50(サスペンション特性制御装置)が内装されている。減衰力制御装置50は、上記した各センサ9〜14が接続する入力インタフェース51と、各センサ9〜13の検出信号から得られたロールモーメントやピッチモーメント、ばね上速度等に基づき各ダンパ6の目標減衰力を設定する減衰力設定部52(駆動制御手段)と、減衰力設定部52から入力した目標減衰力とストロークセンサ14から入力したストローク速度Ssとに応じて各ダンパ6(MLVコイル42)への駆動電流を生成する駆動電流生成部53と、駆動電流生成部53が生成した駆動電流を各ダンパ6に出力する出力インタフェース54とから構成されている。
図4にその概略構成を示すように、スカイフック演算制御部55は、車速センサ9から入力した車速信号v、上下Gセンサ13から入力した上下加速度信号Gl(ばね上速度加速度検出値Gld)に基づいてスカイフック制御ベース値Dsb(制御パラメータ)を設定するスカイフック制御ベース値設定部60と、スカイフックゲイン設定部59で設定されたスカイフックゲインGshをスカイフック制御ベース値Dsbに乗じてスカイフック制御目標値Dshを算出するスカイフック制御目標値算出部61とを各車輪3ごとに備えている。
図5にその概略構成を示すように、スカイフックゲイン設定部59は、車速センサ9から入力した車速Vsと、ストロークセンサ14から入力したストローク速度Ssと、ヨーレイトセンサ12から入力したヨーレイトγとに基づき、各車輪3の輪荷重Leを算出する輪荷重算出部63と、輪荷重算出部63の算出結果に基づいて各車体部位の固有振動数Fnを算出する固有振動数算出部64と、固有振動数算出部64の算出結果に基づいてスカイフックゲインGshを設定する制御ゲイン設定部65を備えている。
路面傾斜判定部56は、車速センサ9から入力する車速Vsと、前後Gセンサ11から入力する前後加速度Gxとに基づいて、車体前後方向についての路面の傾斜を判定するとともに、前後方向傾斜角度θxを算出する。また、路面傾斜判定部56は、横Gセンサ10から入力する横加速度Gyと、ヨーレイトセンサ12から入力するヨーレイγとに基づいて、車幅方向についての路面の傾斜を判定するとともに、車幅方向傾斜角度θyを算出する。
<減衰力制御>
自動車が走行を開始すると、減衰力制御装置50は、所定の処理インターバル(例えば、10ms)をもって、図6のフローチャートにその手順を示す減衰力制御を車輪ごとに実行する。減衰力制御を開始すると、減衰力設定部52は、路面傾斜判定部56において、路面の傾斜を判定するとともに、路面の傾斜角度θx,θyを算出する(ステップ1)。ステップ1で路面に傾斜なしと判定された場合(No)、減衰力設定部52は、スカイフック演算制御部55において、後に詳説する姿勢変化抑制制御を行う(ステップ4)。なお、この姿勢変化抑制制御においては、各ダンパ6の目標減衰力であるスカイフック制御目標値Dshが設定される。
次に、図7を参照して上記した傾斜路振動抑制制御について説明する。同図に示すように、減衰力設定部52は、先ず、スカイフック制御ベース値設定部60において、スカイフック制御ベース値Dsbを設定する(ステップ11)。次に、減衰力設定部52は、スカイフックゲイン設定部59内の輪荷重算出部63において、各車輪3の輪荷重Leを算出し(ステップ12)、同じく固有振動数算出部64において、ステップ12で算出した輪荷重Leに基づいて各車体部位の固有振動数Fnを算出し(ステップ13)、同じく制御ゲイン設定部65において、ステップ13で算出した固有振動数Fnに基づいて各車輪3のスカイフックゲインGshを設定する(ステップ14)。
図8を参照して上記した姿勢変化抑制制御について説明する。同図に示すように、減衰力設定部52は、先ず、スカイフック演算制御部55において、横Gセンサ10、前後Gセンサ11、および上下Gセンサ13から得られた車体1の加速度や、車速センサ9から入力した車体速度、操舵角センサ(図示せず)から入力した操舵速度等に基づいて自動車Vの運動状態(各車輪3におけるばね上速度等)を判定する(ステップ21)。
上記したように、サスペンション7の固有振動数Fnは、水平路走行時に前後左右すべてについて同一となるように設定されているが、傾斜路走行時には、各車輪3の輪荷重Leが変化して傾斜路の下側で大きくなり、傾斜路の上側で小さくなる。ところが、本実施形態では図10に示すように、傾斜路走行時の輪荷重Leの変化に起因して下側および上側(例えば、フロント側およびリア側)で異なる固有振動数となった車体部位のうち、固有振動数が高くなった傾斜路上側の車体部位の振幅が小さくなるように、スカイフックゲインGshを補正しているため、乗り心地に影響するとされる2〜8Hzの周波数領域の振動が低減され、傾斜路走行時の乗り心地が改善される。
次に、本発明の第2実施形態について説明する。なお、説明にあたっては第1実施形態と本質的に異なる点を重点的に説明し、構成や作用が同様の事項についてはその説明を省略する。図12は、第2実施形態に係る四輪自動車の概略構成図であり、図13は第2実施形態に係るエアサスペンション特性制御装置の概略構成を示すブロック図である。
本実施形態のエアスプリング105は、公知の構成を有しるものであるため、詳細な図示は省略するが、その主要構成要素として、ダンパ6のシリンダ22の外周に結合される筒状のエアピストンや、ダンパ6のピストンロッド23に連結され、エアピストンより大径な筒状のエアチャンバ、エアピストンとエアチャンバとに連結されるとともに、エアピストンとエアチャンバとの軸方向相対移動を許容する可撓性のダイヤフラム、エアチャンバの下端に連結され、ダイヤフラムを収容する筒状のカバー等を有している。そして、エアピストン、エアチャンバおよびダイヤフラムによって画成されたエア室には、その一端がエアコンプレッサまたはエアタンクに接続された送気管の他端が接続されており、エア室にエアを供給またはエア室からエアを排出することによってエア室内の圧力を可変制御し、エアスプリング105のばね定数を調整できるようになっている。
図13に示すように、ECU8には、ダンパ6の制御を行うサスペンション特性制御装置150が内装されている。サスペンション特性制御装置150は、各センサ9〜13の検出信号に基づき各ダンパ6の目標減衰力を設定する減衰力設定部52(駆動制御手段)と、同じく各センサ9〜13の検出信号に基づき各エアスプリング105の目標ばね定数を設定するばね定数制御部101(駆動制御手段)と、減衰力設定部52から入力した目標減衰力に応じて各ダンパ6への駆動電流を生成する駆動電流生成部53と、ばね定数制御部101から入力した目標ばね定数に応じて、各エアスプリング105に対する圧力を制御するエアコンプレッサまたは圧力制御バルブへの駆動電流を生成する駆動電流生成部102と、駆動電流生成部53および駆動電流生成部102が生成した駆動電流を各ダンパ6に出力する出力インタフェース54とから構成されている。
ばね定数制御部101は、減衰力設定部52と共に協調制御され、路面傾斜判定部56によって路面の傾斜が検出された場合に、輪荷重Leの変化に伴って変化した各車体部位の固有振動数Fnが水平路走行時の固有振動数Fnに近づくように、各エアスプリング105のばね定数を可変制御する。
次に、ばね定数制御手順について説明する。図6のフローチャートにおいて、サスペンション特性制御装置150は、ステップ2で路面の傾斜角度が所定角度以上である場合(No)、スカイフック演算制御部55における姿勢変化抑制制御(ステップ3)と平行して、ばね定数制御部101において、各センサ9〜13の検出信号に基づいて各エアスプリング105の目標ばね定数を設定することにより、輪荷重Leの変化と共に変化した各車体部位の固有振動数Fnが水平路走行時の固有振動数に近づくように、各エアスプリング105のばね定数制御を行う。
第1実施形態の構成では、ダンパ6の減衰力を補正することによって各車体部位の振幅を変化させて乗り乗り心地を向上させることができたが、コイルスプリング5自体の固有振動数Fnを変更することはできないため、傾斜路走行によって輪荷重Leの分布が変化した際に、車体部位の固有振動数Fnを制御することはできなかった。ところが、本実施形態では、エアスプリング105のばね定数を変更することによって輪荷重Leに拘わらず各車体部位の固有振動数Fnを変更することができるため、図14に示すように、各車体部位の固有振動数を、水平路走行時の固有振動数に近づけるようにエアスプリング105を駆動制御することで、傾斜路走行時においても、水平路走行時と同様の乗り心地が実現される。
3 車輪
5 コイルスプリング
6 ダンパ
7 サスペンション
50 減衰力制御装置(サスペンション特性制御装置)
52 減衰力設定部(駆動制御手段)
55 スカイフック演算制御部
56 路面傾斜判定部
57 ロール演算制御部
58 ピッチ演算制御部
59 スカイフックゲイン設定部
60 スカイフック制御ベース値設定部
62 スカイフック制御目標値算出部
63 輪荷重算出部
64 固有振動数算出部
65 制御ゲイン設定部
105 エアスプリング
107 エアサスペンション
Dsb スカイフック制御ベース値(制御パラメータ)
Claims (7)
- 車体と各車輪との間に設けられたサスペンション要素を駆動制御することによってサスペンション特性を変化させるサスペンション特性制御装置であって、
路面の傾斜を検出する路面傾斜検出手段と、
各車輪の輪荷重を検出する輪荷重検出手段と、
前記路面傾斜検出手段によって路面の傾斜が検出された場合、前記輪荷重検出手段の検出結果に基づいて車体の振動が小さくなるように前記サスペンション要素を駆動制御する駆動制御手段と
を備えたことを特徴とするサスペンション特性制御装置。 - 前記駆動制御手段は、車体の運動量に基づいて制御パラメータを設定し、該制御パラメータに基づいて車輪ごとに前記サスペンション要素を制御し、更に、前記輪荷重検出手段の検出結果に基づいて前記制御パラメータを補正することを特徴とする、請求項1に記載のサスペンション特性制御装置。
- 前記輪荷重検出手段の検出結果に基づいて、前記サスペンション要素が設けられた各車体部位の固有振動数を算出する固有振動数算出手段を更に備え、
前記駆動制御手段は、前記固有振動数算出手段の算出結果に基づいて前記サスペンション要素を駆動制御することを特徴とする、請求項1または請求項2に記載のサスペンション特性制御装置。 - 前記サスペンション要素は減衰力可変ダンパであり、
前記駆動制御手段は、前記路面傾斜検出手段によって路面の傾斜が検出された場合、前記各車体部位のうち、上側に位置する少なくとも1つの車体部位の固有振動数の振幅が小さくなるように前記減衰力可変ダンパの減衰力を制御することを特徴とする、請求項3に記載のサスペンション特性制御装置。 - 前記サスペンション要素は減衰力可変ダンパであり、
前記駆動制御手段は、前記路面傾斜検出手段によって路面の傾斜が検出された場合、前記各車体部位のうち、下側に位置する少なくとも1つの車体部位の固有振動数の振幅が大きくなるように前記減衰力可変ダンパの減衰力を制御することを特徴とする、請求項3または請求項4に記載のサスペンション特性制御装置。 - 前記駆動制御手段は、前記路面傾斜検出手段によって路面の傾斜が検出された場合、前記各車体部位の固有振動数を、水平路走行時の固有振動数に近づけるように前記サスペンション要素を駆動制御することを特徴とする、請求項3に記載のサスペンション特性制御装置。
- 前記駆動制御手段は、前記路面傾斜検出手段によって検出された路面の傾斜が所定量以上の場合、車体の姿勢変化を抑制する制御に切り替えることを特徴とする、請求項1〜請求項6のいずれか一項に記載のサスペンション特性制御装置。
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