JP4759845B2 - 回転角度検出装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、自動車の車体制御システムなどに用いられる多回転のハンドルの回転角度検出装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、自動車用ハンドルなどのように1回転以上に有限で回転する回転体の回転角度を検出する検出装置として、特表平11−500828号公報に開示されている回転体における角度測定装置が知られている。この装置においては、位相差を有する2つの回転体の角度から回転角度を検出している。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述の装置においては、歯車のがたつきなどにより2つの歯車の角度がそれぞれずれた場合、特に装置の動作開始時に大きな測定誤差が発生する可能性があり、また回転角度を算出するにあたり、複雑な計算処理を必要としていた。
【0004】
本発明はこの課題を解決するためのものであり、大きな誤差を発生することなく、また簡単な計算処理で多回転する回転体の回転角度を高分解能で検出でき、回転体や検出手段の異常検出もでき、温度特性の優れた高信頼性の回転角度検出装置を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明の請求項1に記載の発明は、多回転可能な外周に歯車を持った第1の回転体と、前記第1の回転体の歯車に接続され第1の回転体より高速に回転する外周に歯車を持った第2の回転体と、前記第2の回転体の回転角度を検出する第1の検出手段と、前記第2の回転体と共に回転するウォームギヤに接続され前記第1の回転体より低速で回転する外周にホイールギヤを持った第3の回転体と、前記第3の回転体の回転角を検出する第2の検出手段とを備え、第1、第2の検出手段により前記第1の回転体の回転角度を検出すると共に、前記第1の検出手段と第2の検出手段が磁気検出素子であり、各磁気検出素子が前記第2、第3の回転体に結合された磁石を走査し、各磁石の形状が磁極方向よりもこれと垂直に交わる方向の長さを長くしたことを特徴とする回転角度検出装置としたものであり、多回転可能な回転体を大きな誤差の発生無く回転角度を算出できると共に、各磁石の形状が磁極方向よりもこれと垂直に交わる方向の長さを長くしたことにより、各磁気検出素子上の磁界方向の平行度及び磁界強度を高めて磁界方向の検出精度を高めることができるので、上述の磁気検出素子と上述の磁石との相対位置が若干ずれても大きな角度検出誤差を発生することなく、回転体の回転角度を検出することができるという作用を有する。
【0007】
本発明の請求項2に記載の発明は、多回転可能な外周に歯車を持った第1の回転体と、前記第1の回転体の歯車に接続され第1の回転体より高速に回転する外周に歯車を持った第2の回転体と、前記第2の回転体の回転角度を検出する第1の検出手段と、前記第2の回転体と共に回転するウォームギヤに接続され前記第1の回転体より低速で回転する外周にホイールギヤを持った第3の回転体と、前記第3の回転体の回転角を検出する第2の検出手段とを備え、第1、第2の検出手段により前記第1の回転体の回転角度を検出すると共に、前記第1の検出手段と第2の検出手段が磁気検出素子であり、各磁気検出素子が前記第2、第3の回転体に結合された磁石を走査し、各磁石に磁極方向と垂直に交わる方向の長さが長くなるようにヨークを設置したことを特徴とする回転角度検出装置としたものであり、多回転可能な回転体を大きな誤差の発生無く回転角度を算出できると共に、各磁石に磁極方向と垂直に交わる方向の長さが長くなるようにヨークを設置したことにより、各磁気検出素子上の磁界方向の平行度及び磁界強度を高めて磁界方向の検出精度を高めることができるので、上述の磁気検出素子と上述の磁石との相対位置が若干ずれても大きな角度検出誤差を発生することなく、回転体の回転角度を検出することができるという作用を有する。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について、図1から図9を用いて説明する。
【0017】
(実施の形態1)
図1は本発明の実施の形態1における回転角度検出装置を示す平面図であり、図2はその正面図、図3はその側面図、図4〜図6は第1、第2の検出手段の構成斜視図であり、図7は同回転角度検出装置のブロック図であり、図8は第1、第2の検出手段3,5、図9は第1の検出手段3の出力信号を示す波形図である。図10は第1または第2の検出手段の回転角度に対する出力信号を示す波形図である。
【0018】
図1〜図3において、1は外周に歯車がついた第1の回転体、2は外周に歯車がついた第2の回転体、3は第2の回転体2とともに回転する第2の回転体2の中央部に組み込まれた磁石4の磁界方向を検出する第1の検出手段(異方性磁気検出素子)、5は第3の回転体7の中央部に組み込まれた第3の回転体7とともに回転する第3の回転体7の中央部に組み込まれた磁石6の磁界方向を検出する第2の検出手段(異方性磁気検出素子)、8は第2の回転体2に固定されたウォームギヤ9を有する軸であり、ケース10に設けられた軸受け12,13により位置規制されている。ウォームギヤ9は軸8に固定されており、第3の回転体7の外周に切られたホイールギヤと連結されている。第3の回転体7はケース10に設けられた軸受け11により位置規制されている。
【0019】
第1の回転体1の歯車は第2の回転体2の歯車と連結されており、第2の回転体2は第1の回転体1が回転すると各歯車の歯数の比による増速比で回転する。第3の回転体7のホイールギヤはウォームギヤ9と連結されており、第2の回転体2が回転すると軸8、ウォームギヤ9が回転しウォームとホイールの減速比で回転する。
【0020】
図7において、21はマイクロコンピュータ(演算回路部)であり、第1の検出手段3と第2の検出手段5にAMP(増幅器)20a〜20dを介して接続されており、それぞれの出力信号をマイクロコンピュータ21へ入力して回転角度を演算し、その結果をシリアル信号として送信する。また、マイクロコンピュータ21には前記第1、第2の検出手段3,5としての各異方性磁気検出素子から出力されるsin信号とcos信号の感度等を記憶する不揮発性のメモリ(EEPROM)22が接続されている。
【0021】
次に、以上の構成により回転体の回転角度検出の方法について説明する。図1〜図3において、第1の回転体1が回転したとき、その外周にある歯車と第2の回転体2の外周にある歯車によって第2の回転体2を回転させる。第1の回転体1の歯車の歯数をa、第2の回転体2の歯車の歯数をb、ウォームギヤ9と第3の回転体7の外周に切られたホイールギヤとの減速比をcとすると、第2の回転体2は第1の回転体1に対してa/b倍の速さで回転する。第2の回転体2は軸8を回転させ、ウォームギヤ9も同等の速さで回転する。次にウォームギヤ9は第3の回転体7を回転させ、第3の回転体7はウォームギヤ9に対してc倍の速さで回転する。
【0022】
一方、回転数で見ると、第1の回転体1が1回転すると第2の回転体2はa/b回転し、第3の回転体7は(a/b)*c回転する。また、この際、歯車の歯数をa,b及び減速比cを適切に選択することにより、第3の回転体7は第1の回転体1よりも十分低速回転し、第2の回転体2は第1の回転体1よりも十分高速回転する。第1の検出手段3は第2の回転体2に組み込まれている磁石4の真下に配置されているため、第2の回転体2が回転すると第1の検出手段3を貫く磁界の方向が変化し、出力が変化する。同様に第2の検出手段5も第3の回転体7が回転すると検出手段5を貫く磁界の方向が変化し、出力は変化する。
【0023】
さらに、第1の検出手段3と第2の検出手段5の出力を演算回路部21(マイクロコンピュータ)内のA/Dコンバータを介して入力する。第2の回転体2が初期位置から何回転目であるかという粗い絶対角度検出を第2の検出手段5の出力から、第1の回転体1の回転角度の細かい絶対角度検出を第1の検出手段3の出力から演算する。
【0024】
図4、図5、図6でもって、第1、第2の検出手段3,5について説明する。図4は第1の検出手段3と第2の回転体2に組み込まれている磁石4及び第2の検出手段5と第3の回転体7に組み込まれている磁石6を拡大したものである。前記第1の検出手段3と第2の検出手段5が異方性磁気検出素子であり、各異方性磁気検出素子が前記第2、第3の回転体に固定された磁石4,6を走査する。
【0025】
図4では各磁石4,6の形状が磁極方向の長さ15よりも、これと垂直に交わる方向の長さ14が短いが、図5に示す各磁石4,6の形状は磁極方向の長さ17よりもこれと垂直に交わる方向の長さ16を長くして第2、第3の回転体2,7に固定し、各異方性磁気検出素子3,5上の磁界方向の平行度及び磁界強度を高めて磁界方向の検出精度を高める。又図6に示すように各磁石4,6に磁極方向と垂直に交わる方向の長さが長くなるようにヨーク18,19を取付けて第2、第3の回転体2,7に固定する。
【0026】
次に前記異方性磁気検出素子3,5及び増幅部20a〜20dの感度バラツキを抑え、装置動作時の回転検出誤差発生を防止する方法について説明する。
【0027】
図1〜図3において、第2の回転体2が回転すると磁石6も回転する。この磁石6の回転と共に磁界方向も回転し、この磁界方向を第1の検出手段(異方性磁気検出素子)3で検出する。第1の検出手段(異方性磁気検出素子)3からはこの磁界方向の回転角に対してsin信号24とcos信号23を出力する。図8にこれらの出力信号を示す。x軸に第1の回転体1の回転角をとってそれぞれの信号を示している。これらの信号は図8(a)に示すようにマイクロコンピュータ(演算回路部)21に入力され、sin信号24とcos信号23よりtan信号25を算出する。図8(a),(b)に示すように第2の回転体2は第1の回転体1に対して増速されているので第1の検出手段3の信号周期は短くなっており、逆に第3の回転体7は第1の回転体1に対して減速されているので第2の検出手段5の信号周期は長くなっている。しかし、図9に示すようにsin信号レベル27とcos信号レベル26が素子や増幅部の感度バラツキにより微妙に異なると、算出されたtan信号25の精度が落ちてくる。そこで、図7に示すスイッチ28をONして感度記憶モードにした時のみ、第2の回転体2及び第3の回転体7を180deg以上回転するように第1の回転体1を回転させ、sin信号24とcos信号23の最大、最小レベルを算出し、それぞれの信号レベル(感度)を不揮発性のメモリ(EEPROM)22に記憶する。次にスイッチ28をOFFして舵角値を算出する時には記憶した感度によりsin信号24とcos信号23の最大、最小レベルが一致するように調整してtan信号25を算出して舵角値を求める。
【0028】
また、図10の第1または第2の検出手段(異方性磁気検出素子)の出力の最大値、最小値が28や29のように基準範囲に無い場合、温度特性などによって出力が変化しなかったり、必要な分解能が得られないことが発生する。そこで、出力が30のように基準範囲内に最大値、最小値があることを比較確認する手段(図示しない)で確認することにより誤出力の防止が可能になる。なお、第1または第2の検出手段(異方性磁気検出素子)の出力の振幅中心を比較確認する手段(図示しない)で確認することにより特性ばらつきによる誤出力の防止が可能になる。さらに、このとき複数回ずつ入力を行い、平均値を取る、もしくは最大値、最小値を除いた平均値を取るなどすればより高い精度で誤出力の防止が可能となる。
【0029】
また、任意の特定位置での第1の検出手段3、第2の検出手段5の出力を記憶することにより任意の特定位置からの絶対角度の検出も可能となる。また、このとき、図11の特定位置決定用信号線31のように電気信号で特定位置であることの信号を送れば、機械的な動作無しで特定位置の確定ができる。さらに、電気信号を複数回読み込みチェックする、または、シリアル信号などで送るようにすれば、ノイズなどにより誤った信号が入った場合に除去することができる。なお、特定位置決定用信号線31は信号出力線32と入出力を切り替えて、同じ端子を使っても同様の効果が得られる。
【0030】
なお、第1の実施の形態においては第1の回転体1に対して増速結合した第2の回転体2に第3の回転体7を減速結合し、第2の回転体2および第3の回転体7の回転検出を第1、第2の検出手段3,5により行うことにより、第1の回転体1の絶対舵角を検出したが、他に第1の回転体1に対して減速結合した第3の回転体7と、その減速結合系列以外に第1の回転体1に対して増速結合した第2の回転体2を有し、それらの第1、第2の回転体2を第1、第2の検出手段35より、第1の回転体1の絶対舵角を接触するようにしてもよいことはいうまでもない。
【0031】
【発明の効果】
以上のように本発明によれば、少ない部品点数で大きな誤差を発生することなく、また簡単な計算処理で温度補正することもなく多回転する回転体の絶対回転角度を精度よく検出することができる回転角度検出装置を実現できるという有利な効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態による回転角度検出装置の平面図
【図2】その正面図
【図3】その側面図
【図4】同装置における検出手段の構成斜視図
【図5】同装置における検出手段の他の例を示す構成斜視図
【図6】同装置における検出手段の他の例を示す構成斜視図
【図7】同装置を示すブロック図
【図8】同装置における第1の回転体の回転角度に対する第1、第2の検出手段の出力信号を示す波形図
【図9】同じく第2の回転体の回転角度に対する第1の検出手段の出力信号を示す波形図
【図10】同じく第1または第2の検出手段の回転角度に対する出力信号を示す波形図
【図11】本発明の回転角度検出装置の他の事例を示すブロック図
【符号の説明】
1 第1の回転体
2 第2の回転体
3 第1の検出手段
4 磁石
5 第2の検出手段
6 磁石
7 第3の回転体
8 軸
9 ウォームギヤ
10 ケース
11 軸受け
12 軸受け
13 軸受け
14 磁石の磁極方向と垂直に交わる方向の長さ
15 磁石の磁極方向の長さ
16 磁石の磁極方向と垂直に交わる方向の長さ
17 磁石の磁極方向の長さ
18 ヨーク
19 ヨーク
20a〜20d 増幅部
21 マイクロコンピュータ
22 EEPROM
23 cos信号
24 sin信号
25 tan信号
26 cos信号レベル
27 sin信号レベル
28 検出手段の出力
29 検出手段の出力
30 検出手段の出力
31 特定位置決定用信号線
32 信号出力線

Claims (2)

  1. 多回転可能な外周に歯車を持った第1の回転体と、前記第1の回転体の歯車に接続され第1の回転体より高速に回転する外周に歯車を持った第2の回転体と、前記第2の回転体の回転角度を検出する第1の検出手段と、前記第2の回転体と共に回転するウォームギヤに接続され前記第1の回転体より低速で回転する外周にホイールギヤを持った第3の回転体と、前記第3の回転体の回転角を検出する第2の検出手段とを備え、第1、第2の検出手段により前記第1の回転体の回転角度を検出すると共に、前記第1の検出手段と第2の検出手段が磁気検出素子であり、各磁気検出素子が前記第2、第3の回転体に結合された磁石を走査し、各磁石の形状が磁極方向よりもこれと垂直に交わる方向の長さを長くしたことを特徴とする回転角度検出装置。
  2. 多回転可能な外周に歯車を持った第1の回転体と、前記第1の回転体の歯車に接続され第1の回転体より高速に回転する外周に歯車を持った第2の回転体と、前記第2の回転体の回転角度を検出する第1の検出手段と、前記第2の回転体と共に回転するウォームギヤに接続され前記第1の回転体より低速で回転する外周にホイールギヤを持った第3の回転体と、前記第3の回転体の回転角を検出する第2の検出手段とを備え、第1、第2の検出手段により前記第1の回転体の回転角度を検出すると共に、前記第1の検出手段と第2の検出手段が磁気検出素子であり、各磁気検出素子が前記第2、第3の回転体に結合された磁石を走査し、各磁石に磁極方向と垂直に交わる方向の長さが長くなるようにヨークを設置したことを特徴とする回転角度検出装置。
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