JPH0635932B2 - アブソリュート回転位置検出装置 - Google Patents

アブソリュート回転位置検出装置

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JPH0635932B2
JPH0635932B2 JP4101491A JP4101491A JPH0635932B2 JP H0635932 B2 JPH0635932 B2 JP H0635932B2 JP 4101491 A JP4101491 A JP 4101491A JP 4101491 A JP4101491 A JP 4101491A JP H0635932 B2 JPH0635932 B2 JP H0635932B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、広範囲にわたってア
ブソリュート回転位置を検出位置を検出することのでき
るアブソリュート回転位置検出装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来のアブソリュートエンコーダは1回
転内の絶対位置しか検出することができず、多回転にわ
たる絶対位置を検出するには、別途に回転数検出手段を
設け、これによって検出した回転数と1回転内の絶対位
置とを組合せるようにしている。従来の回転数検出手段
は、回転数をアブソリュートで検出するためにはかなり
大きな減速比の歯車を必要としている。例えば主軸の3
2回転までをアブソリュートで検出し得るようにギアダ
ウン機構を構成する場合、主軸に32歯の歯車を設け、
減速出力軸に1024歯の歯車を設けることが考えられ
るが、その場合、回転数の切り換わり点の応答精度は1
回転を32分割した精度つまり角度にして約11度の精
度しか期待できない。このように、かなり高精度な歯車
機構が要求される反面、検出精度はそれほど期待できな
い、という欠点がある。このような困難を避けるため
に、インクリメンタルパルスをカウントすることによっ
て回転数を得ることも行われているが、その場合は停電
等によって回転数がわからなくなってしまう等の問題が
あった。
【0003】また、特公昭50−23618号公報にお
いては、逆方向の磁化が交互になされた磁気格子(いわ
ば永久磁石の格子)を多数設けた磁気トラックからなる
磁気スケールを使用したリニア位置検出装置が示されて
おり、磁気格子の波長が異なる2個の磁気トラックを設
け、各磁気トラックの位相変調出力信号を位相比較する
ことにより、アブソリュート位置検出範囲を拡大した出
力信号を得ることが示されている。
【0004】更に、特開昭52−76952号公報にお
いては、2つの回転位置トランスジューサを255:2
56のギア比で結合し、両トランスジューサの出力差を
求めることにより一方のトランスジューサの回転数情報
を求めることが開示されている。ここでは求めた出力差
をそのままシャフト回転数データとして用いる。つま
り、255:256のギヤ比により、第1のシャフトが
1回転したとき出力差が丁度1となり、これにより第1
のシャフトの256回転まで検出できるようにしてい
る。このような構成の場合、アブソリュート検出可能範
囲を拡大するには、その分ギヤを大型化しなければなら
ない、という問題があった。例えば、1024回転まで
検出できるようにするには、ギヤ比を1023:102
4にしなければならず、ギヤが大型化し、加工精度に厳
密性が要求される。
【0005】しかも、この従来技術においては、ギヤ歯
数が増すに従って、アブソリュート検出範囲が拡大する
に反比例して検出精度は低下してしまう、という問題点
が生じる。つまり、ギヤ歯数が増すと、1回転に対する
2検出器間の出力値の差が小さくなり、検出器出力デー
タの誤差が回転数検出に誤差をもたらす比率が大きくな
り、そのために検出精度が低下するのである。例えば、
1回転につき1024分解能のエンコーダを検出器とし
て使用した場合、ギヤ比が1023:1024の場合
は、2エンコーダ間の出力差の「1」が1回転に対応す
るので、エンコーダ出力誤差が±1であっても1回転分
の検出誤差となってしまう。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】上述の特公昭50−2
3618号公報に示されたものは、リニア位置検出器で
あり、回転位置検出装置においてこれを如何に適用する
かが全く示されていない。また、仮りにこれを回転位置
検出装置にそのまま適用することを考えてみても、磁気
トラックとして、逆方向の磁化が交互になされた磁気格
子いわば永久磁石の格子を設けねばならないため、製造
・加工が面倒であり、コスト高になるという問題点があ
った。また、使用環境も自ずと限定されるものであっ
た。また、2個以上例えば3個の磁気トラックを設けた
場合に具体的にどのような構成で検出範囲を拡大した出
力信号を得るのか、不明であるため、効率的に検出範囲
を拡大することのできる回転位置検出装置を推考するの
は容易ではなかった。
【0007】上述の特開昭52−76952号公報に示
されたものは回転位置検出型ではあるが、複数の回転位
置検出器を如何にコンパクトにまとめて1つのアブソリ
ュート回転位置検出器として提供するのか、という視点
が全く欠けているため、そのFIG.1を参照してみれ
ば判るように、装置として組み上げた場合に嵩張る大掛
かりなものとなってしまう。また、2つの回転位置トラ
ンスジューサを組合せることは示されているが、3個以
上設けて検出可能範囲を更に拡大使用とする場合にどの
ような工夫をなすべきか、という視点が全くなく、その
意味で検出可能範囲に限界があった。
【0008】この発明は上述の点に鑑みてなされたもの
で、検出対象回転変位に応じてそれぞれ異なる周期から
なる周期的な回転位置検出信号をそれぞれ発生する複数
の回転検出部を使用し、その出力信号を演算することに
より、アブソリュート位置検出範囲を拡大した回転位置
検出信号を得ることができるようにしたアブソリュート
回転位置検出装置において、回転検出部の構成を簡単化
し、コストがかからないようにすると共に、全体として
コンパクトな装置に組み上げて、装置の小型化や使い易
さを実現し、かつ、過大な減速比が要求されることな
く、かつ、従来に比べて機械的に簡単な構成によって、
極めて広い範囲にわたるアブソリュート回転位置を、精
度良く検出できるようにしたアブソリュート回転位置検
出装置を提供することを目的とする。また、3個の回転
位置検出部を組合せて効果的に拡大された範囲での検出
を行うことがてきるようにしたアブソリュート回転位置
検出装置を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】第1の発明に係るアブソ
リュート回転位置検出装置は、回転入力軸に与えられる
回転運動を検出部に与えるための回転伝達手段と、この
回転伝達手段により前記回転入力軸の回転変位に対応し
た運動がそれぞれ与えられ、該入力軸の回転変位に応じ
て周期的な回転位置検出信号をそれぞれ発生するもので
あり、それぞれの1周期に対応する該入力軸の回転変位
量には差がある第1及び第2の回転検出部と、前記第1
の回転検出部で発生した第1の回転位置検出信号と前記
第2の回転検出部で発生した第2の回転位置検出信号と
の差を求め、更にこの差に基づき前記第1の回転検出部
に関する原点からの周期数を決定する演算を行い、決定
した周期数を示す周期数信号を出力する演算手段とを具
え、前記各回転検出部が、円周方向に所定の角度間隔で
配置された複数相のコイル手段を具えたステータと、与
えられた回転変位に応じて回転変位し、前記ステータの
各相コイル手段の磁気回路に対して回転位置に応じた磁
気抵抗変化を与えるロータとを有すると共に、前記コイ
ル手段が、互いに逆相関係の磁気抵抗変化を示すように
配置された1対の相を少なくとも2対含んでなり、更
に、前記各回転検出部が、前記各相のコイル手段を位相
のずれた複数の基準交流信号によって個別に励磁する共
に前記対をなす2相間では同相又は逆相励磁によって差
動加算出力が得られるようにしてなり、かつ各対の差動
加算出力を合成することにより前記基準交流信号を前記
ロータの回転位置に応じて位相シフトした出力交流信号
を前記コイル手段に生ぜしめる回路と、この出力交流信
号と前記基準交流信号との位相ずれを測定することによ
り前記回転位置検出信号を得る回路とを有しており、
記第1及び第2の回転検出部のステータ及びロータの部
分と前記回転伝達手段を一体的に収納してなることを特
徴とするものである。
【0010】また、この出願の第2の発明によれば、第
3の回転検出部が設けられ、各回転検出部の1周期に対
応する前記入力軸の回転変位量に関する相互の差は、第
1の回転検出部と第2の回転検出部との間の差(第1の
差)が第1の回転検出部と第3の回転検出部との間の差
(第2の差)よりも大であるようになっている。そし
て、第1の回転検出部で発生した第1の回転位置検出信
号と第2の回転検出部で発生した第2の回転位置検出信
号との差である第1の差を求め、この第1の差に基づき
第1の回転検出部に関する原点からの周期数を決定する
演算を行い、決定した周期数を示す第1の周期数信号を
出力する第1の演算手段と、第1の回転検出部で発生し
た第1の回転位置検出信号と第3の回転検出部で発生し
た第3の回転位置検出信号との差を第2の差として求
め、この第2の差に基づき前記第1の周期数信号の周期
数を決定する演算を行い、決定した周期数を示す第2の
周期数信号を出力する第2の演算手段とを具えており、
第1、第2及び第3の回転検出部のステータ及びロータ
の部分と前記回転伝達手段を一体的に収納してなること
を特徴としている。
【0011】
【作用】各回転検出部の1周期に対応する回転入力軸の
回転変位量には差があるため、例えば、第1の回転検出
部から発生する第1の回転位置検出信号が丁度1周期分
変化したとき、第2の回転検出部の回転位置検出信号は
丁度1周期分の変化を示していず、各位置検出信号の間
には差が生じている。この差は原点からの回転変位が増
すに従って次第に広がっていくものであり、この差がど
れだけあるかによって、第1の回転検出部が原点から何
周期目であるかが判明する。そこで、演算手段におい
て、第1の回転位置検出信号と第2の回転位置検出信号
との差を求め、この差に基づき第1の回転検出部に関す
る原点からの周期数を決定する演算を行う。こうして決
定した周期数を示す周期数信号と第1の回転位置検出信
号との組合せにより、原点からの絶対回転位置を特定す
ることができる。
【0012】回転検出部の構造は、ロータがステータの
磁気回路に対して回転位置に応じた磁気抵抗変化を与え
るようにしたものであり、格段の磁化(永久磁石化)の
必要性がなく、従って、製造・加工が簡単であり、かつ
低コストでもある。また、使用環境の制限も受けない。 また、第1及び第2の回転検出部のステータ及びロータ
の部分と回転伝達手段を一体的に収納してなるものであ
るから、1つの前記回転入力軸を具えた1個の回転検出
器の外観を装置にもたせることができ、全体としてコン
パクトな装置に組み上げて、装置の小型化や使い易さを
実現することができる。更に、本発明では、前記各回転検出部のステータのコイ
ル手段が、互いに逆相関係の磁気抵抗変化を示すように
配置された1対の相を少なくとも2対含んでなるもので
あり、各相のコイル手段を位相のずれた複数の基準交流
信号によって個別に励磁する共に前記対をなす2相間で
は同相又は逆相励磁によって差動加算出力が得られるよ
うにしてなり、かつ各対の差動加算出力を合成すること
により前記基準交流信号を前記ロータの回転位置に応じ
て位相シフトした出力交流信号を前記コイル手段に生ぜ
しめるようにしたので、前記ロータ回転に応じた磁気抵
抗変化の1周期全体にわたって360度の位相変化を生
じさせることができるようになり、極めて有効である。
【0013】第2の発明によれば、第1の回転検出部と
第2の回転検出部との間の位置検出信号の差(第1の
差)の方が第1の回転検出部と第3の回転検出部との間
の位置検出信号の差(第2の差)よりも大である。ま
た、これらの差は原点からの変位が増すに従って次第に
広がっていくものであり、これらの差がどれだけあるか
によって、第1の回転点検出部が原点から何周期目であ
るかが判明する。しかも、これらの差はいずれも周期性
を示す。つまり、差は原点からの変位が増すに従って次
第に広がっていくが、位置検出信号それ自体が周期性を
持つが故に、これらの差も周期性を持つ。第1の差の方
が第2の差よりも変化率が大であるが故に、データとし
ての精度は良好であり、第1の回転検出部が原点から何
周期目であるかを検出するのに適している。しかし、第
1の差の周期は第2の差の周期よりも早く到来するが故
に、検出可能範囲を拡大するには、より遅い周期を持つ
第2の差を利用することが望ましい。
【0014】そこで、第2の演算手段により、第2の差
を求める。ここで、第2の差に基づき、第1の回転検出
部に関する原点からの周期数を直接求めたのでは、その
変化率が小さいが故に、第1の差に基づきこれを求めた
場合に比べてはるかに精度が悪くなってしまう。そこ
で、精度良く、しかも検出可能範囲を拡大するために、
どうするかと言うと、この第2の演算手段では、この第
2の差に基づき、第1の周期数信号の周期数を決定する
演算を行うのである。もとより、各回転検出部の出力信
号の周期に相関性があり、第1の差と第2の差との間に
も相関性があるので、第2の差に基づき、第1の周期数
信号の周期数つまりは第1の差の周期数を決定すること
ができるのである。こうして決定した第1の周期数信号
の周期数を示す信号を第2の周期数信号として出力す
る。つまり、第1の周期数信号の周期自体が第1の位置
検出信号の周期に比べてはるかに長いものであるので、
変化率の小さな第2の差に基づく第1の周期数信号の周
期数の決定は、この第2の差に基づき第1の検出部に関
する検出対象の原点からの周期数を直接求める場合に比
べて、はるかに精度良く行なえるのである。
【0015】こうして、求められた第1の周期数信号
は、第1の回転位置検出信号の周期数を示しており、ま
た、第2の周期数信号は、第1の周期数信号の周期数を
示しているが故に、これら第1の回転位置検出信号、第
1の周期数信号及び第2の周期数信号の3者の組合せ
は、検出対象の原点からの絶対位置を広範囲にわたって
且つ精密に特定するものである。
【0016】このように、第2の発明では、第2の演算
手段により決定するものが、第1の回転検出部に関する
原点からの周期数ではなく、第1の周期数信号の周期数
を決定するものであるが故に、伝達手段に例えばギヤ列
を用いた場合にあってはそのギヤ歯数を増すことなく、
アブソリュート回転位置検出範囲を拡大することがで
き、また、機械的構造も簡単化かつ小型で済み、かつ精
度も良くなるのである。
【0017】つまり、第1,第2の回転検出部の関係に
おいては、アブソリュート位置検出範囲は比較的狭くて
もよく、これに伴い、上述の理由により、機械的構造を
簡単化すると共に精度を良くすることができ、アブソリ
ュート位置検出範囲の更なる拡大は第3の回転検出部を
設けると共に第2の演算手段を設けたことにより達成し
ているのである。ここで、第2の周期数信号は、第1の
周期数信号の周期数を示すものであるが故に、その精度
は粗いもので十分であり、このことは逆に検出器の多少
のエラーは第1の周期数信号の周期数の計算精度に全く
影響を与えないことを意味し、それ故に検出精度が良く
なるのである。
【0018】従って、この第2の発明によれば、例えば
伝達手段にギヤ列等の減速機構を用いた場合でも従来の
ように過大な減速比が要求されることなく、かつ、従来
に比べて機械的に簡単な構成によって、極めて広い範囲
にわたるアブソリュート位置を、精度良く検出すること
ができるのである。
【0019】第1の発明と以下で説明する実施例との対
応関係を示すと、第1及び第2の回転検出部に対応する
ものは第1及び第2のロータリエンコーダRE1,RE
2、回転伝達手段に対応するものはギア1,2、演算手
段に対応するものは引算器5及び割算器7、である。ま
た、第2の発明と以下で説明する実施例との対応関係を
示すと、第1乃至第3の回転検出部に対応するものは第
1乃至第3のロータリエンコーダRE1〜RE3、回転
伝達手段に対応するものはギア1〜4、第1の演算手段
に対応するものは引算器5及び割算器7、第2の演算手
段に対応するものは引算器6及び割算器8、である。
【0020】以下添付図面を参照してこの発明の実施例
につき詳細に説明しよう。まず図1を参照してこの発明
を原理的に説明する。図1に示されたアブソリュート回
転位置検出装置は、3つのアブソリュートロータリエン
コーダRE1,RE2,RE3によって構成される。各
エンコーダRE1〜RE3は1回転N分割(ただしNは
任意の整数)であり、各々のロータ(図示せず)の回転
位置を1回転内に絶対番地にて指示する回転位置検出信
号を夫々出力する。第1のロータリエンコーダRE1は
主軸に連結され、この主軸の回転を検出するようになっ
ている。検出対象である回転はこの主軸に与えられる。
第1のロータリエンコーダRE1の回転軸に歯数n−1
(ただしnは任意の整数)のギア1が設けられており、
このギア1が第2のロータリエンコーダRE2の回転軸
に設けられた歯数nのギア2に噛合っている。更に第2
のエンコーダRE2には歯数n+1のギア3が設けられ
ており、このギア3が第3のエンコーダRE3の回転軸
に設けられた歯数nのギア4に噛合っている。
【0021】従って、主軸が1回転すると、RE1は1
回転、RE2は(n−1)/n回転、RE3は{(n−
1)(n+1)}/n2回転する。ここで、各エンコー
ダRE1,RE2,RE3によって検出した回転位置
(1回転内の絶対番地)を夫々D1,D2,D3とする
と、主軸が1回転したときのD1の値はN(ただし、最
大回転位置を示す値Nは0と等価値である)であり、D
2,D3は次のようになる。 D1=N D2={N(n−1)}/n D3={N(n−1)(n+1)}/n2
…(1)
【0022】換言すれば、各エンコーダRE1〜RE3
の出力D1〜D3は、主軸の機械的変位(原点からの多回
転にわたる回転変位)に従って夫々所定の周期で変化
し、かつ、各周期に対応する主軸の機械的変位量(1回
転未満もしくはそれ以上の回転角度)は各エンコーダR
E1〜RE3間で夫々異なっている。つまり、第1のエ
ンコーダRE1の1周期に対応する主軸の機械的変位量
P1すなわち回転角度は2πラジアン(つまり1回転)
であるが、第2のエンコーダRE2の1周期に対応する
主軸の機械的変位量P2すなわち回転角度は{n/(n
−1)}・2πラジアン(つまり(n−1)/n回
転)、第3のエンコーダRE3の1周期に対応する主軸
の機械的変位量P3すなわち回転角度はn2/{(n−
1)(n+1)}・2πラジアン(つまり{(n−1)
(n+1)}/n2回転)、である。
【0023】主軸の機械的位置すなわち原点からの多回
転にわたる絶対回転角度を横軸にとり、各出力信号D
1,D2,D3の値をたて軸にとり、各エンコーダRE1
〜RE3の出力信号D1〜D3の周期的な変化状態を図7
(a),(b),(c)に示す。主軸が或る機械的絶対
位置(すなわち絶対回転角度)で静止したとき、その位
置に対応する出力信号D1〜D3が各エンコーダRE1〜
RE3で得られる。図7から明らかなように各出力信号
D1〜D3は常に1周期未満の値を示す。しかし、各出力
信号D1〜D3の1周期に対応する主軸の機械的変位量
(回転角度)が夫々異なっているので、図7横軸に示さ
れた主軸の個々の絶対位置に対応して各出力信号D1〜
D3の値は夫々固有の組合せを示す。具体的には、主軸
の回転に1:1で対応している第1のエンコーダRE1
の出力信号D1の周期数(つまり原点から数えた主軸の
絶対的回転数)が、各出力信号D1〜D3の値の固有の組
合せによって一意に決定される。この決定にあたって
は、勿論、単に信号D1〜D3の現在値のみならず、これ
らの各信号D1〜D3に差異を生ぜしめる要因となったと
ころの各信号D1〜D3の1周期に夫々対応する主軸の機
械的変位量(もしくはそれらの差異)に関連する情報も
関与する。こうして決定した第1のエンコーダRE1の
出力信号D1の周期数と該信号D1の現在値との組合せに
より主軸の絶対位置が特定できる。
【0024】第1のエンコーダRE1の出力信号D1の
周期数は、各信号D1〜D3の現在値と、各信号D1〜D3
の1周期に夫々対応する主軸の機械的変位量に関連する
情報(すなわち主軸の機械的運動の各エンコーダRE1
〜RE3への伝達度に関連する情報)とを用いて、代数
的もしくは数学的手法によって決定することができる。
そのための演算手法は種々考えられるが、その中でも、
演算時間及び演算回路構成の点で最も効率的な手法を次
に示す。それは、第1のエンコーダRE1の1周期と他
のエンコーダRE2,RE3の1周期との差異に関連す
る定数と、第1のエンコーダRE1の出力信号D1の現
在値と他の出力信号D2,D3の現在値との差異とを用い
る方法である。一例として、上述の定数は、第1のエン
コーダRE1の1周期を基準に考え、該エンコーダRE
1の出力信号D1に1周期分の変化を生ぜしめる主軸の
変位量(つまり1回転)に対応する他のエンコーダRE
2,RE3の出力信号D2,D3の変化分を考慮すること
により確立される。つまり、第1のエンコーダRE1の
出力信号D1の1周期分の変位(主軸の1回転)に対応
する他のエンコーダRE2,RE3の出力信号D2,D3
の値は予め判明しており、そのときの第1のエンコーダ
出力D1に対する他のエンコーダ出力D2,D3の差「D1
−D2」,「D1−D3」を上記定数として確立すること
ができる。
【0025】こうして、主軸が1回転したときのつまり
第1のロータリエンコーダRE1の1周期当りの該エン
コーダRE1と第2のロータリエンコーダRE2の出力
D1,D2の差「D12=D1−D2」は上記(1)式から次の
ように表わせる。主軸1回転(RE1の1周期)当りの
D12の変化分=N/n …(2)
【0026】従って、両エンコーダRE1,RE2の現
出力D1,D2の差D12を1回転当りの該差D12を示す上
記定数N/nによって下記のように割算すれば、原点か
ら数えた主軸の回転数(これを絶対回転数ということに
する)Rxを求めることができる。このRxは第1のエン
コーダRE1の出力D1の周期数に対応している。尚、
原点とは全エンコーダRE1,RE2,RE3の出力D
1,D2,D3が共に零の点である。
【0027】 Rx=D12÷(N/n) …(3) 上記(3)式で、 D12=D1−D2 …(4) であるが、D1及びD2が共に回転に伴ってモジュロNで
変化する値であり、かつその変化レートはD2の方がD1
よりも(n−1)/nの比率で遅いので、単純な差「D
1−D2」は負の数になることがある。この単純差「D1
−D2」が負の数になったときはその単純差にNを加算
したものをD12とし、D12が常にD1とD2の実効的な差
を示すようにする。実際演算上では、特別のN加算は不
要であり、「−D2」を補数で表わし、Nを桁上り値と
する補数演算によって「D1−D2」を実行し、そのサイ
ンビットを無視すれば、N加算を行なったのと等価の実
効的な差D12を求めることができる。主軸の絶対位置に
対する実効的な差D12の状態が図7(d)に示されてい
る。
【0028】上記(3)式によって求めた絶対回転数Rxの
整数部と第1のロータリエンコーダRE1の回転位置検
出出力D1とを組合せる(すなわち(3)式によって求めた
Rxの少数部を切捨て、D1を少数部として用いる)こと
により、多回転型の絶対回転位置検出値が得られる。
【0029】ところで、主軸の絶対回転数Rxがnにな
ったとき、差D12はN(すなわち0)となり、それ以上
の絶対回転数の検出は不可能となる。従って、第1及び
第2のロータリエンコーダRE1,RE2を用いただけ
では、n回転までの絶対回転位置しか検出することがで
きない。第3のロータリエンコーダRE3は絶対回転位
置検出範囲を拡大するために設けられたものである。換
言すれば、第1及び第2のエンコーダRE1,RE2の
現在値の差D12にもとづき求めた回転数(つまりRE1
の周期数)Rxは、所定値nを1周期とする周期的信号
であり、この周期的信号の周期数を更に求め、これによ
って絶対位置検出範囲を更に拡大するために第3のエン
コーダRE3が設けられる。
【0030】主軸1回転当りの第1の及び第3のエンコ
ーダRE1,RE3の出力D1,D3の差「D13=D1−
D3」は前記(1)式から次のように表わせる。 主軸1回転当りのD13の変化分=N/n2…(5) 前記(2)式と(5)式から、主軸1回転当りのD12の変化分
とD13の変化分の関係は次のように表わせる。
【0031】 D13=D12/n …(6) つまり、差D13は差D12の1/nのレートで、主軸の回
転に伴って変化する。また、上記(5)式から、第1,第
3のエンコーダRE1,RE3の現出力D1,D3の差D
13を1回転当りの該差D13を示す上記定数N/n2によ
って下記のように割算すれば、絶対回転数R'xが求まる
ことが判かる。 R'x=D13÷(N/n2) …(7)
【0032】しかし、上記(7)式の演算は前記(3)式に比
べて除数が1/nになっているので、分解度が粗くな
り、D13の誤差がR'xに比較的大きな影響を及ぼす。そ
こで、上記(6)式からD12が最大値N(すなわち0)に
なったときのD13の値N/nを求め、これによって差D
13を割算すれば、 D13÷(N/n)=Ry …(8) となり、Ryの演算精度は(3)式のRxの演算精度と同じ
になる。ここで、(7)式と(8)式から、次の関係が導かれ
る。
【0033】 R'x=Ry・n …(9)すなわち、
(8)式によって求めた値Ryは絶対回転数R'xの1/nの
値であり、いわば、主軸が原点から数えてn回転する毎
に1増加する値である。一方、前記(3)式によって差D1
2にもとづき求めた値Rxは前述の通りn回転までの絶対
回転数しか示さず、n回転以上の絶対回転数に対しては
0からn(ただしnは0と等価値であるため、厳密には
「n−1」)までの値を繰返す。従って、(8)式によっ
て求めたRyの整数部を絶対回転数のn回転を1単位と
する上位の絶対回転数とし、(3)式によって求めたRxの
整数部を絶対回転数1回転を1単位とする下位の絶対回
転数とし、両者を組合せれば、広範囲で絶対回転数を検
出することができる。この組合せによって求めた絶対回
転数R'xは次のように表わせる。
【0034】 R'x=Ry・n+Rx …(10) 尚、上記(8)式で、 D13=D1−D3 …(11) であるが、上述の(4)式のD12と同様に、単純差「D1−
D3」は負の数になることがある。その場合、上述のD1
2と同様に、単純差「D1−D3」が負数のときはNを加
算したものを実効的な差D13として用いるものとし、か
つ実際演算上では特別のN加算操作が不要なことも上述
の通りである。ところで、上記(5)式から、主軸の絶対
回転数R'xがn2になったとき、差D13はN(すなわち
0)となり、それ以上の絶対回転数の検出は不可能とな
る。従って、第3のロータリエンコーダRE3を追加し
た場合は、絶対回転数検出範囲はn2回転まで拡大され
る。図7(e)には、主軸の絶対位置に対する実効的な
差D13の状態が示されている。同図から明らかなように
D12の1周期はD1のn(例えば32)周期に相当し、
D13の1周期はD1のn2(例えば1024)周期に相当
する。
【0035】上述のとおり、3つのロータリエンコーダ
RE1,RE2,RE3から出力される1回転内の絶対
回転位置検出信号D1,D2,D3にもとづき、前記(3)式
及び(8)式の演算を実行すれば、原点からn2回転までの
多回転型絶対回転位置を求めることができる。その場合
の多回転型絶対回転位置信号のフォーマットはD1,R
x,Ryから成り、かつ、第1のエンコーダRE1出力D
1を最下位の重みとし、前記(3)式で求めたRxをD1の上
位の重みとし、前記(8)式で求めたRyをRxの上位の重
みとするものである。従って、これら3種のデータD
1,Rx,Ryの組合せによる絶対回転位置検出信号は、
1回転をN分割した精度で、n2回転までの絶対回転位
置を表現することができるものである。図2は前記(3)
及び(8)式の演算を実行する基本的な回路構成ブロック
図で示したもので、5及び6は引算器、7及び8は割算
器、である。
【0036】尚、定数N及びnは適宜定めることができ
るが、精度を上げるためにNは比較的大きな値であるの
が普通であり、検出範囲を広げるにはnも比較的大きな
値であることが望ましい。しかし、nをNにあまり近づ
けると前記(3)及び(8)式の除数N/nが小さくなり、R
x,Ryの精度が悪くなる。また、演算の都合上、nはN
の約数であれば好ましい。以上のような点を考慮し、好
ましい一例としてN=n2となるように各定数N,nを
定めるとよい。例えば、N=1024のときn=32と
すれば、1回転当り1024分割の精度で、1024回
転の範囲で絶対回転位置を検出することが可能となる。
【0037】上述では、第1と第2のロータリエンコー
ダRE1,RE2の間では「n−1対n」の比率で減速
し、RE2とRE3の間では「n+1対n」の比率で増
速しているが、逆に、RE1とRE2の間では「n対n
−1」の比率で増速し、RE2とRE3の間では「n対
n+1」の比率で減速するようにしてもよい。その場合
の演算式は前記(1)乃至(11)式と全く同一ではないにし
てもこれらの類推によって容易に導くことができるが、
ここでは特に示さない。また、各エンコーダRE1,R
E2,RE3の間の増減比を「n−1対n」あるいは
「n+1対n」とせずに、「n−a対n」あるいは「n
+a対n」としてもよい。但し、aはnよりも十分小さ
く、かつnの約数であるとすれば、演算の都合上好まし
い。その場合、前記(3)式及び(8)式の除数はaN/nと
する。
【0038】ところで、単に前記(3)式、(8)式だけで絶
対回転数Rx,Ryを求めると、それとエンコーダ出力D
1とを組合せたとき次のような誤りが生ずることがあ
る。例えばN=1024,n=32とし、主軸の回転が
1回転目から2回転目に切換わる部分の各エンコーダ出
力D1,D2の状態を図3(a),(b),(c)に夫々
示す。同図(a)は各エンコーダ出力D1,D2,D3に
誤差が生じていない場合を示し、同図(b)はエンコー
ダ出力D2に進み方向に誤差が生じている場合を示し、
同図(c)はエンコーダ出力D2に遅れ方向に誤差が生
じている場合を示す。(a)に示すように、正常な場合
でも回転数の切換わり直前の或る範囲では「D1−D2」
が「32すなわちn」となる部分が一部に生じ、この部
分では前記(3)式によって求めた回転数Rxが「1」とな
ってしまう。これは、理論上「D1−D2」はD1,D2の
変化に伴って連続的に変化する数ではあるが、「D1−
D2」の変化ステップはD1のnステップにつき1ステッ
プであり、かつD1とD2の変化ステップは一致している
わけではなく徐々にずれてゆくため、「D1−D2」の理
論上の1変化ステップ(つまりD1のnステップ)の
間、実際の「D1−D2」は一定値を維持するわけでな
く、理論上の値とその値に1プラスした値とを交互に繰
返し、次第に1プラスした値の方が現われる比率が高く
なり、やがて理論上の変化ステップが切換わるとき実際
の「D1−D2」も理論値(前ステップの理論値に1プラ
スした値)に切換わる、ということに起因する。従っ
て、D12の理論値が31から32に切換わる範囲つまり
「992≦D1≦1023(一般的にはN−n≦D1≦N
−1)」の範囲では、図3(a)のようにD12=n=3
2となることもある。そのため、例えば、D1=102
3,D2=991の位置は本当は1回転目(Rx=0)の
1023番地目であるが、単純に前記(3)式を適用する
と、D12=32によってRx=1となり、2回転目の1
023番地目となってしまう。また、同図(b)に示すよ
うな誤差が生じている場合は、D1=0,D2=992の
位置では単純に前記(3)式を適用してもRx=1となり、
2回転目の0番地目という正しい絶対回転位置が求まる
が、D1=0,D2=993の位置では単純に(3)式を適
用するとRx=0となり、1回転目の0番地目つまり原
点という誤った位置が求められてしまう。また、同図
(c)に示すような誤差が生じている場合は、D1=1
023,D2=990の位置では1回転目の1023番
地目であるにもかかわらず、単純に(3)式を適用すると
Rx=1となり、2回転目の1023番地目になってし
まう。
【0039】上述のような誤動作を改善するために、前
記(3)式でD12をそのまま用いずに、主軸の回転位置す
なわちエンコーダRE1の出力D1の範囲に応じて下記
のように変更して用いるものとする。 0≦D1≦511(一般的には0≦D1≦(N/2)−1)のとき Rx=(D12+k)÷(N/n) …(3−1) 512≦D1≦1023(一般的にはN/2≦D1≦N−1)のとき Rx=(D12−k)÷(N/n) …(3−2) 但し、kは許容誤差範囲に応じて任意に設定する整数で
ある。例えば、8分割単位までの誤差を許容する場合は
k=8に設定する。
【0040】前記(3)式を上記(3−1)式または(3−
2)式のように変更することにより、上述の誤動作が次
のように改善される。まず、図3(a)の場合、回転数
の切換わり直前の回転角度範囲は「512≦D1≦10
23」に当てはまり、上記(3−2)式を適用して、
「D1−D2=D12」から定数k(例えば8)を引算した
ものを定数N/nで割算する。そうすると、例えばD1
=1023,D2=991の位置では、「D12−k=1
023−991−8=24」となるため、Rx=0とな
り、1回転目の1023番地という正しい位置が求めら
れる。また、図3(a)の場合の「0≦D1≦511」
の範囲では上記(3−1)式を適用し、例えばD1=0,
D2=992の位置では「D12+k=1024−992
+8=40」となるためRx=1となり、問題なく正し
い回転位置が求まる。図3(b)の場合、誤差の影響を
受ける回転数切換わり直後の範囲では上記(3−1)式が
適用され、例えばD1=0,D2=993の位置では「D
12+k=1024−993+8=39」となるためRx
=1となり、正しい位置が求まる。また、誤差の影響を
受けない領域で上記(3−1)または(3−2)式が適用さ
れても支障なく正しい位置が求まる。図3(c)の場
合、誤差の影響を受ける回転数切換わり直前の範囲では
上記(3−2)式が適用され、例えばD1=1023,D2=
990の位置では「D12−k=1023−990−8=
25」となるためRx=0となり、正しい位置が求ま
る。また、誤差の影響を受けない領域で上記(3−1)ま
たは(3−2)式が適用されても支障なく正しい位置が求
まる。
【0041】1回転毎の切換わり直前または直後に生ず
るおそれのあるD12に関連する上述の誤動作と同様の誤
動作がD13に関しても生じることがある。但し、D13の
場合は、D12の桁上り(すなわちD12がN−1からN=
0に切換わるとき)の直前または直後にそのような誤動
作が生じるおそれがある。そこで、その誤動作を改善す
るために上述と同様に、前記(8)式でD13をそのまま用
いずに、D12の範囲に応じて下記のように変更して用い
るものとする。
【0042】 0≦D12≦511(一般的には0≦D12≦(N/2)−1)のとき Ry=(D13+k)÷(N/n) …(8−1) 512≦D12≦1023(一般的にはN/2≦D12≦N−1)のとき Ry=(D13−k)÷(N/n) …(8−2) 前記(3−1),(3−2),(8−1),(8−2)式を実行
するようにするには図2を図4のように変更すればよ
い。引算器5,6と割算器7,8との間に加算器9,1
0を夫々設け、一方、比較器11,34でD1,D12が
どの範囲に属するかを判別し、その判別結果に応じてゲ
ート12または13,35または36を開放して「+
k」または「−k」を加算器9,10に与え、D12及び
D13にkを加算もしくは減算する。尚、前記(3−1),
(3−2),(8−1),(8−2)式を適用するD1の範囲
を回転数切換わり直前、直後の比較的狭い範囲に限り、
それ以外の範囲では(3)式、(8)式を用いてもよいのは勿
論である。
【0043】尚、エンコーダ出力D1,D2,D3に全く
誤差がない場合は図3(b),(c)のような誤りは生
じず、その場合は図3(a)のような誤りのみを考慮す
ればよいことはいうまでもない。そのためには、D1が
「0≦D1<N−n」か「N−n≦D1≦N−1」のどち
らに属するかを判別し、前者のときは前記(3)式をその
まま用い、後者のときは前記(3)式でD12の代わりに
「D12−1」を用いればよい。その場合、D13に関して
も同様に、「0≦D12<N−n」か「N−n≦D12≦N
−1」かの判別を行ない、前記(8)式そのまま、または
同式でD13の代わりに「D13−1」を用いればよい。
【0044】ロータリエンコーダRE1,RE2,RE
3としては、特開昭57−70406号公報に示された
ような可変磁気抵抗型の位相シフト式回転角度検出装置
等、任意のアブソリュートエンコーダを用いることがで
きる。上記公報に示されたような可変磁気抵抗型位相シ
フト式回転角度検出装置を用いて本発明を実施した一例
を図5及び図6に示す。
【0045】図5において、VRE1,VRE2,VR
E3は可変磁気抵抗型位相シフト式回転角度検出装置の
センサー部分(以下単にエンコーダという)を夫々示す
もので、図1のRE1,RE2,RE3に相当するもの
である。図6(a)はこれら3つのエンコーダVRE
l,VRE2,VRE3の構造を示す軸方向断面図であ
り、同図(b)は1つのエンコーダVRE1の径方向断
面図である。図6(a)で、第1のエンコーダVRE1
は断面で示してあるが、第2,第3のエンコーダVRE
2,VRE3は側面で示してある。VRE2,VRE3
の直径はVRE1のほぼ半分である。主軸14にVRE
1のロータ15が取付けられており、この主軸14の一
端にギア16が設けられている。このギア16はVRE
2の回転軸20に設けられたギア17に噛合い、軸20
に更に設けられたギア18はVRE3の回転軸21に設
けられたギア19に噛合う。ギア16,17,18,1
9の歯数は図1のギア1,2,3,4と同じく、n,n
−1,n+1,nである。
【0046】22はVRE1のケーシング、23,24
は軸受である。25はVRE1のステータ鉄心である。
図6(b)に示すように、エンコーダVRE1は、ステー
タ25に複数の極A,B,C,Dを具えており、各極A
〜Dに1次コイル2A〜2Dと2次コイル3A〜3Dと
を巻回している。ロータ15は、一例として偏心ロータ
であり、回転角度に応じて各極のリラクタンスを変化さ
せる形状である。半径方向で対を成している極A,C及
びB,Dの一方の1次コイル2A,2Cを正弦波信号で
励磁し、他方の1次コイル2B,2Dを余弦波信号で励
磁すると、2次コイル3A〜3Dの合成出力Y1として
下記の信号が得られる。他のエンコーダVRE2,VR
E3も同様の構造であり、2次出力Y2,Y3として下記
の信号が得られる。
【0047】Y1=sin(ωt−θ1) Y2=sin(ωt−θ2) Y3=sin(ωt−θ3) …(12) θ1,θ2,θ3は各エンコーダVRE1〜VRE3の回
転軸14,20,21の回転角度であり、各々の回転角
度に対応する位相角だけ基準交流信号sinωtを位相シ
フトした出力Y1,Y2,Y3が夫々得られる。従って、
これらの出力信号Y1,Y2,Y3における位相ずれθ1,
θ2,θ3を夫々測定することにより1回転内の回転位置
を示す絶対値データD1,D2,D3が夫々求まる。
【0048】図5において、カウンタ27はクロック発
振器26の出力クロックパルスをカウントする。そのカ
ウント出力の一部が正弦波発生器28と余弦波発生器2
9に与えられ、カウント出力にもとづきそのカウント出
力に同期した正弦波信号sinωtと余弦波信号cosωtが
発生される。これらの信号は前述の通り、各エンコーダ
VRE1〜VRE3の1次側に供給される。その2次側
出力信号Y1,Y2,Y3はゲート回路30に与えられ
る。ゲート回路30はタイミング信号T1,T2,T3に
従って各信号Y1,Y2,Y3を時分割的に選択し、多重
化してラッチ回路31のロード制御入力に与える。ラッ
チ回路31はカウンタ27のカウント値をゲート回路3
0から与えられる信号Y1またはY2またはY3の立上り
タイミングに同期してラッチする。実行回路32は中央
処理ユニット(CPU)33に制御されて各種機能を実
行するものである。各エンコーダVRE1,VRE2,
VRE3の出力D1,D2,D3をストアするためのレジ
スタR1,R2,R3を含んでおり、ラッチ回路31に
ラッチされたディジタルデータをゲート回路30で選択
した信号(Y1またはY2,Y3のうち1つで、これはタ
イミング信号T1,T2,T3によってわかる)に対応す
るレジスタR1またはR2,R3にストアする。実行回
路32では、各レジスタR1,R2,R3にストアされ
た各エンコーダ出力D1,D2,D3並びに所定の演算定
数N,n,N/n,k等にもとづき前記(4)式及び(11)
式及び(3−1)式または(3−2)式及び(8−1)
式または(8−2)式の演算及びそれに附随するD1の
範囲の比較判断等を実行し、n2回転の範囲の絶対回転
位置を示すデータD1,Rx,Ryを出力する。
【0049】上記実施例では各エンコーダRE1〜RE
3の出力信号D1〜D3の1周期が各々のロータの1回転
に一致しているが、これに限らず、各々のロータの1回
転につき複数周期で出力信号D1〜D3を発生するものを
エンコーダRE1〜RE3として用いてもよいことは本
発明の原理から明白であろう。例えば、各々のロータの
1回転につき9周期で出力信号D1〜D3を発生するエン
コーダRE1〜RE3(つまり40度の回転範囲内での
絶対位置検出が可能なもの)を使用した場合、図7(a)
の1周期が2πラジアンではなく2π/9ラジアンすな
わち40度に対応し、n2周期分のアブソリュート検出
可能範囲は「(1024/9)・2π」となる。1回転に
つき複数周期の出力を生じるエンコーダとしては、特開
昭57−88317号公報で本出願人が開示したものを
用いることができる。
【0050】
【発明の効果】以上の通りこの発明によれば、検出対象
回転変位に応じてそれぞれ異なる周期からなる周期的な
回転位置検出信号をそれぞれ発生する複数の回転検出部
を使用し、その出力信号を演算することにより、アブソ
リュート位置検出範囲を拡大した回転位置検出信号を得
ることができるようにしたアブソリュート回転位置検出
装置において、回転検出部の構造は、ステータの磁気回
路に対して回転位置に応じた磁気抵抗変化をロータによ
って与えるようにしたものであるから、格段の磁化(永
久磁石化)の必要性がなく、従って、製造・加工が簡単
であり、かつ低コストでもあり、また、使用環境の制限
も受けない、という効果を奏する。更に、この発明によれば、前記各回転検出部のステータ
のコイル手段が、互いに逆相関係の磁気抵抗変化を示す
ように配置された1対の相を少なくとも2対含んでなる
ものであり、各相のコイル手段を位相のずれた複数の基
準交流信号によって個別に励磁する共に前記対をなす2
相間では同相又は逆相励磁によって差動加算出力が得ら
れるようにしてなり、かつ各対の差動加算出力を合成す
ることにより前記基準交流信号を前記ロータの回転位置
に応じて位相シフトした出力交流信号を前記コイル手段
に生ぜしめるようにしたので、前記ロータ回転に応じた
磁気抵抗変化の1周期全体にわたって360度の位相変
化を生じさせることができるようになり、これにより位
相測定方式によって精度の良い回転位置検出信号を得る
ことを実現することができるので、極めて有効である。 また、第1及び第2の回転検出部(さらには第3の回転
検出部)のステータ及びロータの部分と回転伝達手段を
一体的に収納してなるものであるから、1つの前記回転
入力軸を具えた1個の回転検出器の外観を装置にもたせ
ることができ、全体としてコンパクトな装置に組み上げ
て、装置の小型化や使い易さを実現することができる、
という効果を奏する。また、3個の回転検出部を設ける
ことにより、第1の周期数信号の周期数を更に求めるよ
うにしたため、伝達手段に例えばギヤ列を用いた場合に
あってはそのギヤ歯数を増すことなく、アブソリュート
回転位置検出範囲を拡大することができ、また、機械的
構造も簡単化かつ小型で済み、従来に比べて機械的に簡
単な構成によって、極めて広い範囲にわたるアブソリュ
ート位置を、精度良く検出することができるようにな
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の一実施例を原理的に示す概略構成
図。
【図2】同実施例における演算処理を原理的に示すブロ
ック図。
【図3】回転数切換わり点付近における誤差の可能性を
説明するために第1及び第2のロータリエンコーダの出
力の一例を時間経過に伴って示す図。
【図4】図2の演算処理の改良例を原理的に示すブロッ
ク図。
【図5】ロータリエンコーダとして可変磁気抵抗型の回
転角度検出器を用いた場合のこの発明に係る一実施例の
電気的処理系統を略示するブロック図。
【図6】(a)は図5における3つのエンコーダの構造
例を示す軸方向断面図であり、 (b)は1つのエンコーダの径方向断面図。
【図7】(a),(b),(c)は図1における3のエ
ンコーダの出力信号の状態を主軸の絶対位置を横軸に出
力信号の値をたて軸にとって示す図であり、(d)は第
1のエンコーダと第2のエンコーダの出力信号の差の状
態を主軸の絶対位置を横軸に差の値をたて軸にとって示
す図、(e)は第1のエンコーダと第3のエンコーダの
出力信号の差の状態を主軸の絶対位置を横軸に差の値を
たて軸にとって示す図。
【符号の説明】
RE1,RE2,RE3…ロータリエンコーダ、VRE
1,VRE2,VRE3…可変磁気抵抗型回転角度検出
器、1,2,3,4,16,17,18,21…ギア、
5,6…引算器、7,8…割算器、D1,D2,D3…各
エンコーダの出力。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 回転入力軸に与えられる回転運動を検出
    部に与えるための回転伝達手段と、 この回転伝達手段により前記回転入力軸の回転変位に対
    応した運動がそれぞれ与えられ、該入力軸の回転変位に
    応じて周期的な回転位置検出信号をそれぞれ発生するも
    のであり、それぞれの1周期に対応する該入力軸の回転
    変位量には差がある第1及び第2の回転検出部と、 前記第1の回転検出部で発生した第1の回転位置検出信
    号と前記第2の回転検出部で発生した第2の回転位置検
    出信号との差を求め、更にこの差に基づき前記第1の回
    転検出部に関する原点からの周期数を決定する演算を行
    い、決定した周期数を示す周期数信号を出力する演算手
    段とを具え、前記各回転検出部が、円周方向に所定の角度間隔で配置
    された複数相のコイル手段を具えたステータと、与えら
    れた回転変位に応じて回転変位し、前記ステータの各相
    コイル手段の磁気回路に対して回転位置に応じた磁気抵
    抗変化を与えるロータとを有すると共に、前記コイル手
    段が、互いに逆相関係の磁気抵抗変化を示すように配置
    された1対の相を少なくとも2対含んでなり、更に、前
    記各回転検出部が、前記各相のコイル手段を位相のずれ
    た複数の基準交流信号によって個別に励磁する共に前記
    対をなす2相間では同相又は逆相励磁によって差動加算
    出力が得られるようにしてなり、かつ各対の差動加算出
    力を合成することにより前記基準交流信号を前記ロータ
    の回転位置に応じて位相シフトした出力交流信号を前記
    コイル手段に生ぜしめる回路と、この出力交流信号と前
    記基準交流信号との位相ずれを測定することにより前記
    回転位置検出信号を得る回路とを有しており、 前記第1及び第2の回転検出部のステータ及びロータの
    部分と前記回転伝達手段を一体的に収納してなることを
    特徴とするアブソリュート回転位置検出装置。
  2. 【請求項2】 回転入力軸に与えられる回転運動を検出
    部に与えるための回転伝達手段と、 この回転伝達手段により前記回転入力軸の回転変位に対
    応した運動がそれぞれ与えられ、該入力軸の回転変位に
    応じて周期的な回転位置検出信号をそれぞれ発生するも
    のであり、それぞれの1周期に対応する該入力軸の回転
    変位量には差があり、第1の回転検出部と第2の回転検
    出部との間の差は該第1の回転検出部と第3の回転検出
    部との間の差よりも大である第1、第2及び第3の回転
    検出部と、 前記第1の回転検出部で発生した第1の回転位置検出信
    号と前記第2の回転検出部で発生した第2の回転位置検
    出信号との差を第1の差として求め、この第1の差に基
    づき前記第1の回転検出部に関する原点からの周期数を
    決定する演算を行い、決定した周期数を示す第1の周期
    数信号を出力する第1の演算手段と、 前記第1の回転検出部で発生した第1の回転位置検出信
    号と前記第3の回転検出部で発生した第3の回転位置検
    出信号との差を第2の差として求め、この第2の差に基
    づき前記第1の周期数信号の周期数を決定する演算を行
    い、決定した周期数を示す第2の周期数信号を出力する
    第2の演算手段とを具え、前記各回転検出部が、円周方向に所定の角度間隔で配置
    された複数相のコイル手段を具えたステータと、与えら
    れた回転変位に応じて回転変位し、前記ステータの各相
    コイル手段の磁気回路に対して回転位置に応じた磁気抵
    抗変化を与えるロータとを有すると共に、前記コイル手
    段が、互いに逆相関係の磁気抵抗変化を示すように配置
    された1対の相を少なくとも2対含んでなり、更に、前
    記各回転検出部が、前記各相のコイル手段を位相のずれ
    た複数の基準交流信号によって個別に励磁する共に前記
    対をなす2相間では同相又は逆相励磁によって差動加算
    出力が得られるようにしてなり、かつ各対の差動加算出
    力を合成することにより前記基準交流信号を前記ロータ
    の回転位置に応じて位相シフトした出力交流信号を前記
    コイル手段に生ぜしめる回路と、この出力交流信号と前
    記基準交流信号との位相ずれを測定することにより前記
    回転位置検出信号を得る回路とを有しており、 前記第1、第2及び第3の回転検出部のステータ及びロ
    ータの部分と前記回転伝達手段を一体的に収納してなる
    ことを特徴とするアブソリュート回転位置検出装置。
  3. 【請求項3】 前記第1の回転検出部のロータ回転軸が
    前記回転入力軸に直結されて伝達比が1であり、前記回
    転伝達手段はギア列を有し、このギア列を介して前記第
    1の回転検出部のロータ回転軸の回転を前記第2及び第
    3の回転検出部のロータ回転軸にそれぞれ1未満の異な
    る伝達比で伝達するようにした請求項2に記載のアブソ
    リュート回転位置検出装置。
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