以下、本発明の実施の形態における磁気センサについて図面を参照しながら説明する。
図1は、実施の形態の磁気センサのブロック図である。
磁気センサ100は、磁気抵抗素子12と、磁気抵抗素子12と電気的に接続する検出回路10と、を備える。
磁気抵抗素子12は、正弦第1磁気抵抗素子12a、正弦第2磁気抵抗素子12b、正弦第3磁気抵抗素子12c、及び、正弦第4磁気抵抗素子12dを備える。さらに、 磁気抵抗素子12は、余弦第1磁気抵抗素子12e、余弦第2磁気抵抗素子12f、余弦第3磁気抵抗素子12g、及び、余弦第4磁気抵抗素子12hを備える。各磁気抵抗素子は、シリコンなどの基板の上に設けられた、鉄−ニッケル合金を含む磁気抵抗効果素子であり、外部から与えられる磁界の向き及び大きさの変化に応じて電気抵抗が変化する。
正弦第1磁気抵抗素子12a〜正弦第4磁気抵抗素子12dとで第1のブリッジ回路WB1を構成している。すなわち、第1のブリッジ回路WB1は、正弦第1磁気抵抗素子1
2aと正弦第3磁気抵抗素子12cとを直列に接続した回路と、正弦第2磁気抵抗素子12bと正弦第4磁気抵抗素子12dとを直列に接続した回路とが、並列に接続されて形成されている。また、第1のブリッジ回路WB1の一方の端部が電位VSに接続され、他方の端部がグランド(図中のGND)に接地されている。
余弦第1磁気抵抗素子12e〜余弦第4磁気抵抗素子12hとで第2のブリッジ回路WB2を構成している。すなわち、第2のブリッジ回路WB2は、余弦第1磁気抵抗素子12eと余弦第3磁気抵抗素子12gとを直列に接続した回路と、余弦第2磁気抵抗素子12fと余弦第4磁気抵抗素子12hとを直列に接続した回路とが、並列に接続されて形成されている。また、第2のブリッジ回路WB2の一方の端部が電位VCに接続され、他方の端部がグランド(図中のGND)に接地されている。
ここで、第1のブリッジ回路WB1は第2のブリッジ回路WB2に対して、90°回転させて配置されている。別の表現では、第2のブリッジ回路WB2は第1のブリッジ回路WB1に対して、90°回転させて配置されている。
ここで、磁気センサ100は、被測定物である回転部材(例えばステアリングシャフトなど)とはギヤなどを介して連結される磁石の近傍に配置される。このとき、この磁石から与えられる外部磁界(あるいは回転磁界)の変化に応じて各磁気抵抗素子の抵抗値が変化する。よって、第1のブリッジ回路WB1を構成する正弦第1磁気抵抗素子12aと正弦第3磁気抵抗素子12cとの接続部と、正弦第2磁気抵抗素子12bと正弦第4磁気抵抗素子12dとの接続部とから、互いに位相が180°異なる正弦波状の2つの信号が出力される。同時に、前記第2のブリッジ回路WB2を構成する余弦第1磁気抵抗素子12eと余弦第3磁気抵抗素子12gとの接続部と、余弦第2磁気抵抗素子12fと余弦第4磁気抵抗素子12hとの接続部とからも、互いの位相が180°異なる余弦波状の2つの信号が出力される。なお、第1のブリッジ回路WB1から正弦波状の信号が得られるのに対し、第2のブリッジ回路WB2から余弦波状の信号が得られるのは、第1のブリッジ回路WB1が第2のブリッジ回路WB2に対して、90°回転させて配置されているためである。
ここで、第1のブリッジ回路WB1から出力される2つの信号を+sin信号,−sin信号とし、前記第2のブリッジ回路WB2から出力される2つの信号は+cos信号,−cos信号として表記する。
検出回路10は、+sin信号,−sin信号、+cos信号,−cos信号が入力されるとともに、+sin信号,−sin信号、+cos信号,−cos信号に対して増幅、AD変換など各種の信号処理を行う構成を備える。
なお、各磁気抵抗素子からの信号を「第1回転信号」と記載することができる。
以下、検出回路10の構成及び動作について具体的に説明する。
第1増幅器14aは、+sin信号を増幅する。
第2増幅器14bは、−sin信号を増幅する。
第3増幅器14cは、+cos信号を増幅する。
第4増幅器14dは、−cos信号を増幅する。
オフセット調整回路15は、第1増幅器14a、第2増幅器14b、第3増幅器14c、及び第4増幅器14dの入力段にそれぞれ接続され、+sin信号と−sin信号の間の中点電位差、+cos信号と−cos信号の間の中点電位差を0にするようにそれぞれ調整する。
第1差動増幅器16aは、第1のブリッジ回路WB1から出力される+sin信号と−sin信号とを差動増幅して2倍の振幅からなるsin信号を生成する。
なお、第1のブリッジ回路wb1を第1磁気抵抗素子、第1のブリッジ回路wb1からの信号を第1検出信号、と記載することができる。
第2差動増幅器16bは、第2のブリッジ回路WB2から出力される+cos信号と−cos信号とを差動増幅して2倍の振幅からなるcos信号を生成する。
なお、第2のブリッジ回路wb2を第2磁気抵抗素子、第2のブリッジ回路wb2からの信号を第2検出信号、と記載することができる。
ゲイン調整回路17は、第1差動増幅器16aと第2差動増幅器16bのそれぞれに接続し、差動増幅された後のsin信号及びcos信号の振幅が所定の振幅となるように増幅器のゲインを調整する。
この構成により、増幅器段のそれぞれに対してオフセット・ゲインの調整を行う必要ながないので、オフセット・ゲイン調整ともに1回ずつにて信号を調整することができる。これは特に回路の小型化に貢献する。
なお、オフセット・ゲイン調整を別の表現で記載すると、例えば次の様に記載できる。
本実施の形態の磁気センサ100の補正方法は、ブリッジ回路wb1、wb2の出力を増幅する第1ステップと、ブリッジ回路wb1、wb2の出力のオフセットを補正する第2ステップと、オフセットを補正した出力を増幅する第3ステップと、オフセットを補正した出力のゲインを補正する第4ステップと、を備える。
第1AD変換器18aは、第1差動増幅器16aからの信号を所定のサンプリング周期でA/D変換し、sin信号(デジタル信号)として出力する。
第2AD変換器18bは、第2差動増幅器16bからの信号を所定のサンプリング周期でA/D変換し、cos信号(デジタル信号)として出力する。
第1ホール素子40aは、検出回路10を設ける回路基板に対して垂直、あるいは平行な方向の磁界に対して検出感度をもつホール素子であり、前述した外部磁界(回転磁界)の方向及び大きさの変化を検出し、検出信号を出力する。
第2ホール素子40bは、検出回路10を設ける回路基板に対して垂直あるいは平行な方向の磁界に対して検出感度をもつホール素子であり、前述した外部磁界(回転磁界)の方向及び大きさの変化を検出し、検出信号を出力する。
なお、各ホール素子からの信号を「第2回転信号」と記載することができる。
第1増幅器42aは、第1ホール素子40aからの信号を増幅する。
第2増幅器42bは、第2ホール素子40bからの信号を増幅する。
第1コンパレーター44aは、第1増幅器42aからの信号を矩形波信号である第1パルス信号に変換する。
第2コンパレーター44bは、第2増幅器42bからの信号を矩形波信号である第1パルス信号に変換する。
ここで、第1ホール素子40aは第2ホール素子40bに対して90°回転して配置されている(別の表現では、第2ホール素子40bは第1ホール素子40aに対して90°回転して配置されている)。このため、第1パルス信号(別の表現では、第1ホール素子40a)及び第2パルス信号(第2ホール素子40bからの信号)は、互いに90度の位相差を持つ信号となる。
第1レギュレータ60bは、第1オシレータ80aに電位(第1電位)を供給する。また、第1ホール素子40a、第2ホール素子40b及び各ホール素子からの信号を処理する検出回路10内の増幅器等に電位(第1電位)を供給する。
第2レギュレータ60cは、第2オシレータ80bに電位(第1電位)を供給する。第2レギュレータ60cはホール素子の間欠動作(詳細は後述する)に用いる電位を供給する。
第3レギュレータ60aは、磁気抵抗素子12及び磁気抵抗素子12からの信号を処理する検出回路10内の増幅器等に電位(第1電位)を供給する。
演算回路70は、角度検出回路70a、回転数検出回路70b、オフセット温度特性補正回路70c、ゲイン温度特性補正回路70d、を備える。
角度検出回路70aは、sin信号(デジタル信号)、cos信号(デジタル信号)、第1パルス信号及び第2パルス信号から、前述した磁石の回転角を検出し信号(Vout)を出力する。具体的には、sin信号とcos信号とに対してarctan演算を行うことで回転角を検出する。角度検出回路70aはarctan演算を行った後の回転角を表す角度信号を出力する。
なお、角度検出回路70aをarctan回路と記載してもよい。
回転数検出回路70bは、第1パルス信号と第2パルス信号とから前述した磁石の回転数を計測する。回転数を計測する方法は後述する。
オフセット温度特性補正回路70cは、各磁気抵抗素子の抵抗バラツキなどに起因してsin信号(デジタル信号)、あるいはcos信号(デジタル信号)に生じるDCオフセットを補正する。補正の方法は後述する。
ゲイン温度特性補正回路70dは、各磁気抵抗素子の温度変化に起因してsin信号(デジタル信号)、あるいはcos信号(デジタル信号)に生じるゲイン(振幅)のオフセットを補正する。その方法としては例えば、sin信号(デジタル信号)、あるいはcos信号(デジタル信号)が温度に応じてどのように変化するか予め測定しておき、その測定値を検出回路10内のメモリが保持する。そして、温度センサ80dから得られる温度情報に基づいて、メモリ内の測定値が読み出される。そして、メモリから読み出された測定値がsin信号(デジタル信号)、あるいはcos信号(デジタル信号)に重畳される
。これにより温度オフセットの補正が達成される。
第1オシレータ80aは、検出回路10で用いる内部クロックを生成するための発振回路である。第1オシレータ80aで生成した内部クロックは、磁気抵抗素子12及び各ホール素子の検出に用いられる。
第2オシレータ80bは、検出回路10で用いる別の内部クロックを生成するための発振回路である。
ここで、第1オシレータ80aが生成する信号(別の表現では、第1クロック信号)が第1の周波数を有し、第2オシレータ80bが生成する信号(別の表現では、第2クロック信号)が第2の周波数を有するとしたとき、第2の周波数は第1の周波数よりも低い。
メモリ80cは、前述した回転数検出回路70bで計測された回転数や、温度オフセットの補正に用いる測定値などが保存される。
図2(a)は、磁気センサ100を用いた回転検出装置150の模式図である。
回転検出装置150は、磁気センサ100と、検知対象磁石142と、検知対象磁石142を支持する回転軸144と、回転軸144を支持する軸受け146と、回転軸144を回転させるモータ158とを備える。
図2(b)は、回転検出装置150を用いた制御システムの一例を示す模式図である。制御システムは、ステアリングホイール152、操舵トルク154、トルクセンサ156、モータ158、磁気センサ100、ECU160(電子制御装置)を備える。運転者が自動車の方向を切り替えるために、ステアリングホイール152を回転させると、連結された操舵トルク154が回転と同方向に回転する。トルクセンサ156はステアリングホイール152の回転に伴う入力軸、出力軸の相対回転変位を検出し、電気信号をECU160へと送信する。モータ158はステアリングホイール152と操舵トルク154を補助するためのモータであり、運転手が手軽に自動車の方向を切り替えるためのアシストを行う。モータ158には磁気センサ100が取り付けられ、モータの回転角を検出することでモータを制御する。
図3は、本実施の形態の磁気センサ100が備える磁気センサ100の動作を説明する図である。図3は、イグニッションオン(以下、「IGon」と表記する場合がある)の間において磁気センサ100がステアリングの動きを検出する動作を説明する為のフローチャートである。
まず、磁気センサ100センサ起動(S300)の後、磁気センサ100は回転角の検出(S302及びS303)を開始する。そして、磁気センサ100の各磁気抵抗素子は回転角検出の演算を実行する(S302)。そして、磁気センサ100は、各ホール素子の出力を元に象限判別と回転数検知の2つの検出を実行する(S303)。以上の演算(S302とS303の演算)により得られた回転角や回転数などが磁気センサ100から外部のマイコンなどに送信する。
図4は、本実施の形態の磁気センサ100の別の動作を説明する図である。図4は、イグニッションオフ(以下、「IGoff」と表記する場合がある)の間において磁気センサ100がステアリングの動きを検出する動作を説明する為のフローチャートである。
まず、IGoffされた時に車体側に設けられた制御システム(例えばステアリングシステム)から制御命令信号が磁気センサ100に入力される(S401)。そして、この
制御命令信号が入力されることで磁気センサ100は間欠動作モード(別の表現では、低消費電力モード)に移行する(S402)。そして、磁気センサ100は、間欠動作モード移行時に、通常時の回転数(すなわち間欠動作モード移行前の最終回転数)を保持する(S403)。同時に、磁気抵抗素子12及び磁気抵抗素子12からの信号処理に用いられる検出回路10の構成(例えば、第1〜第4増幅器、オフセット調整回路15、ゲイン調整回路17、第1、第2AD変換器など)をスリープ(即ち通電を停止)する(S404)。そして、磁気センサ100は、各ホール素子の出力信号を用いて被検出部材の回転数のみを一定時間毎に検出する(S405)。そして、磁気センサ100は、間欠動作モード中に検出した回転数をメモリ80cに保持する(S406)。そして、IGonされた時に車体側に設けられた制御システム(例えばステアリングシステム)から制御命令信号が磁気センサ100に入力される(S408)。そして、磁気センサ100は、この制御命令信号を受けて通常モードに移行する(S409)。そして、通常モード移行時に一度だけ、各磁気抵抗素子と各ホール素子の信号を用いて、その時の被検出部材の角度を検出する(S410,S411)。そして、この検出結果と間欠動作モード開始時の回転数(すなわち間欠動作モード移行前の最終回転数)とを同時に外部のマイコンなどに送信する。なお、ここで言う「同時」とは、2つの出力が完全に同じ時間に出力されるという意味に限定して解釈されず、実質的に同じ時間に出力される場合を含む。
なお、間欠動作モードにおいては、第2オシレータ80bが生成する第2クロック信号が、検出回路10の各種動作(処理)に用いられる。これは、間欠動作周期に合わせて第2オシレータの周波数を決めている為に消費電力などの効率が良いことと、また2つのオシレータを用いることでオシレータの相互監視(診断)を行うことが出来る。
図5は、本実施の形態の磁気センサが備える検出回路10の更に別の動作を説明する図である。図5は、イグニッションオフの間において磁気センサ100の各ホール素子がステアリングの動きを検出する動作を説明する為の波形図である。
まず、一般に磁気抵抗素子では被検出部材の回転角θに対してSin2θ、Cos2θの波形からなる信号が得られる。この為、磁気抵抗素子のみを備え磁気センサでは180度までしか検出できない(このような磁気センサでは、例えば90度と270度が同じ信号となり判別ができない)。
一方で、一般にホール素子では、図5に示すように、被検出部材の回転角θに対してSinθ、Cosθの波形からなる信号が得られる。この為、ホール素子を備える磁気センサでは360度まで検出できる。
本実施の形態の磁気センサ100は、磁気抵抗素子とホール素子とを併用することによって被検出部材の回転角を360度で検出する。
図6は、本実施の形態の磁気センサ100が回転を検出する方法を説明する図である。図6は、イグニッションオフの間において検出回路10の各磁気抵抗素子がステアリングの動きを検出する動作を説明する為の波形図である。
まず、エンコーダのA相、B相出力のように、各ホール素子からの信号がパルス化された信号である第1パルス信号と第2パルス信号とを生成する。
そして、第1パルス信号と第2パルス信号は象限判別に使用する為、1(Pulse/Revolution)であり、4(Counts/Revolution)の信号が生成されるようになっている。具体的には、第1パルス信号の立上り及び立下りの時に、第2パルス信号の状態を確認してカウントする。以下、回転数の計算例を説明する。
第1パルス信号が立上った時に第2パルス信号が0の状態から、第1パルス信号がたち下がったときに第2パルス信号がHighの状態から、第1パルス信号が立上った時に第2パルス信号が0の状態へと遷移した場合に「正転+1回転」と検出する。
第1パルス信号が立上った時に第2パルス信号がHigh、第1パルス信号が立下がった時に第2パルス信号が0、第1パルス信号が立上った時に第2パルス信号がHigh、と状態が遷移した場合に「反転+1回転」と検出する。
この構成により、IGoffの間に動いたモータの回転角を検出する場合において、再びIGonになった時に従来よりも高精度、低電力で検出することができる。
図7は、本実施の形態の磁気センサ100が備える検出回路10の更に別の動作を説明する図である。図7は、検出回路10が磁気抵抗素子12からの出力を補正する動作を説明するための図であり、図7(a)は、自動補正回路70eの動作を説明するフローチャート、図7(b)は、補正の動作を説明する概念図である。
ところで、磁気センサ100の演算回路70は、磁気抵抗素子12から出力されるsin信号、cos信号を補正する為の、「オートキャリブレーションモード(第1の補正モードあるいは、アクティブ補正モード)」と「温特補正モード(第2の補正モードあるいは、パッシブ補正モード)」とを搭載している。
まず、「温特補正モード(第2の補正モードあるいは、パッシブ補正モード)」について説明する。
メモリ80cは、磁気抵抗素子12から出力されるsin信号、cos信号のそれぞれについて、オフセットの温度に対する依存性を多項式関数で近似したときの係数を保存している。また、A/D変換後のsin信号、cos信号それぞれのゲイン(即ち振幅)の温度に対する依存性を多項式関数で近似したときの係数を保存している。
オフセット温度特性補正回路70cは、温度センサ80dから入力される温度情報(デジタル信号)と、メモリ80cに保存されているオフセットの温度依存性に関する係数を用いて演算処理することで、sin信号・cos信号のオフセットの温度特性を補正する。
ゲイン温度特性補正回路70dは、温度センサ80dから入力される温度情報(デジタル信号)と、メモリ80cに保存されているゲインの温度依存性に関する係数を用いて演算処理することで、sin信号・cos信号のゲインの温度特性を補正する。
次に、「オートキャリブレーションモード(第1の補正モードあるいは、アクティブ補正モード)」について説明する。
自動補正回路70eは、被検出部材が1回転するごとに、磁気抵抗素子12からのsin信号及びcos信号のオフセット及びゲインの補正に用いる補正値を生成・更新する。そして、更新された補正値を用いて磁気抵抗素子12からのsin信号及びcos信号が常に一定の中点・振幅となるようにする。この様な、被検出部材が1回転する間に得られる磁気抵抗素子12からの信号に基づいて補正値を生成・更新し、被検出部材が次の1回転をする間に得られる磁気抵抗素子12からの信号を補正する動作が「オートキャリブレーション」の動作である。
オートキャリブレーションがONの時は常に磁気抵抗素子12からのsin信号及びcos信号の最大値Vmax・最小値Vminを保持(ピークホールド、S703)し、被回転部材が1回転した時点で、オフセットについては(Vmax+Vmin)/2、ゲインについては(Vmax−Vmin)の演算を行い、オフセット・ゲインを補正する補正値を生成し、それぞれ更新する(S705)。これと同時に、Vmax・Vmin値を0にリセットする(S706)。
そして、次の1回転が完了するまでの間、この更新されたオフセット・ゲインの値に基いてsin信号及びcos信号が補正される。
そして再び、次の1回転が完了するまでの間ずっとVmax、Vmin値を保持し続け、以降同じ動作を繰り返す。
なお、“1回転”されたかどうかの判定は、arctan後の角度出力値が360度から0度にジャンプするとき(正転)、もしくは0度から360度にジャンプするとき(反転)に行うが、正転/反転の向きが前回値と異なる場合には“1回転”とみなさず、この様な場合には補正値の更新を行わない。より具体的には以下の様に説明される、
図7(b)Aの様な、前回正転(図(7b)の矢印1)、今回正転(図(7b)の矢印2)の場合は、“1回転”とみなし、自動補正回路70eは補正値を更新する動作を行う。
図7(b)Bの様な、前回正転(図(7b)の矢印2)、今回正転(図(7b)の矢印3)の場合は、“1回転”とみなし、自動補正回路70eは補正値を更新する動作を行う。
同様に、前回反転、今回反転の場合は、“1回転”とみなし、自動補正回路70eは補正値を更新する動作を行う。
図7(b)のC様な、前回正転(図(7b)の矢印4)、今回反転(図(7b)の矢印5)の場合は、“1回転”とみなさず、自動補正回路70eは補正値を更新する動作を行わない。
なお、補正値を更新する動作を行わないと説明したが、補正値を生成する動作を停止してもよい。
図7(b)のE様な、前回反転(図(7b)の矢印6)、今回正転の場合は、(図(7b)の矢印7)“1回転とみなさず、自動補正回路70eは補正値を更新する動作を行わない。
この構成により、磁気センサ素子のsin信号及びcos信号のオフセット・ゲイン(振幅)の経時的な変化があった場合でも逐一調整値を更新することにより、常に一定のオフセット・ゲイン(振幅)にすることができる。同時に、被検出部材が正転と反転の両方の回転をする場合にあっても、正確にオフセットの更新を行うことができる。
なお、「オートキャリブレーションモード(第1の補正モードあるいは、アクティブ補正モード)」がONの状態では「温特補正モード(第2の補正モードあるいは、パッシブ補正モード)」がOFF、
「オートキャリブレーションモード(第1の補正モードあるいは、アクティブ補正モード)」がOFFの状態では「温特補正モード(第2の補正モードあるいは、パッシブ補正モード)」がON、となるように動作させる事が好ましい。別の表現では、磁気センサ10
0は、「オートキャリブレーションモード(第1の補正モードあるいは、アクティブ補正モード)」と「温特補正モード(第2の補正モードあるいは、パッシブ補正モード)」とを切り替え動作をする。この構成により、オートキャリブレーションモードがONの状態では、温特も含めた全ての経時的な変化に対して補正がかかるため、温特補正モードをOFFにすることができる。一方で、オートキャリブレーションモードは被回転部材が1回転されるまで補正値が更新されないため、1回転しないアプリケーション、あるいは1回転するまでの間にオフセット・ゲイン値の変化が大きいアプリケーションにおいてはオートキャリブレーションモードよりもパッシブ補正モードを用いるのが望ましい。
なお、オートキャリブレーションモードの説明において、オフセットとゲインの両方を補正する場合について説明したがこれに限らない。即ち、オフセットだけ、あるいはゲインだけの補正を行うモードでもよい。
なお、オートキャリブレーションモードと温特補正モードの説明において、磁気抵抗素子からの磁気抵抗素子のsin信号及びcos信号に対して補正する場合を説明したがこれに限らない。被検出部材の回転に応じてsin信号及びcos信号を出力する磁気に反応する素子であれば磁気抵抗でなくてよい。すなわち、オートキャリブレーションモードと温特補正モードは、磁気素子のsin信号及びcos信号に対する補正に用いることができる。
なお、オートキャリブレーションモードにおける自動補正回路70eの動作を別の表現で表すことができる。具体的には次の様に記載できる。自動補正回路70eは、角度検出回路70aから出力される角度信号が360度から0度に変化するときを正転、0度から360度に変化するときを反転とした時、正転から正転、または反転から反転と変化した時に補正値の生成及び又は更新を実行する。
なお、オートキャリブレーションモードにおける自動補正回路70eの動作を更に別の表現で表すことができる。具体的には次の様に記載できる。
オートキャリブレーションモードは、sin信号及びcos信号の差動信号から補正値を生成、更新する第1ステップと、被検出部材が「正転から反転」又は「反転から正転」の順に回転するか検出する第2ステップと、この第2ステップにおいて「正転から反転」又は「反転から正転」の順に回転したと検出された場合に第1ステップを停止する第3ステップと、を含む回転検出装置の補正方法である。
図8は、本実施の形態の磁気センサの変形例を示すブロック図である。以下、図8の変形例について説明する。
正弦第1磁気抵抗素子12aの一端と正弦第2磁気抵抗素子12bの一端とは電位Vsに接続される。
正弦第3磁気抵抗素子12cの一端と正弦第4磁気抵抗素子12dの一端とはグランド(図中のGND)に接続される。
正弦第1磁気抵抗素子12aの他端は配線100a1を介して検出回路10と接続される。
正弦第2磁気抵抗素子12bの他端は配線100a2を介して検出回路10と接続される。
正弦第3磁気抵抗素子12cの他端は配線100a3を介して検出回路10と接続される。
正弦第4磁気抵抗素子12dの他端は配線100a4を介して検出回路10と接続される。
別の表現では、正弦第1〜第4磁気抵抗素子それぞれの他端は、配線100a1〜100a4を介して検出回路10と接続される。
検出回路10の内部において、正弦第1磁気抵抗素子12aの他端と正弦第3磁気抵抗素子12cの他端との接続点A(別の表現では、第1のブリッジ回路wb1を構成する中点A)が形成される。
接続点A(中点A)の信号は第1増幅器14aに入力、増幅され、第1差動増幅器16aに入力される。
検出回路10の内部において、正弦第2磁気抵抗素子12bの他端と正弦第4磁気抵抗素子12dの他端との接続点B(別の表現では、第1のブリッジ回路wb1を構成する中点B)が形成される。
接続点B(中点B)の信号は第2増幅器14bに入力、増幅され、第1差動増幅器16aに入力される。
余弦第1磁気抵抗素子12eの他端は配線100b1を介して検出回路10と接続される。
余弦第2磁気抵抗素子12fの他端は配線100b2を介して検出回路10と接続される。
余弦第3磁気抵抗素子12gの他端は配線100b3を介して検出回路10と接続される。
余弦第4磁気抵抗素子12hの他端は配線100b4を介して検出回路10と接続される。
別の表現では、余弦第1〜第4磁気抵抗素それぞれの他端は、配線100b1〜100b4を介して検出回路10と接続される。
なお、配線は例えば、金属ワイヤ(ワイヤボンディング)である。
検出回路10の内部において、余弦第1磁気抵抗素子12eの他端と余弦第3磁気抵抗素子12gの他端との接続点C(別の表現では、第2のブリッジ回路wb2を構成する中点C)が形成される。
接続点C(中点C)の信号は第3増幅器14cに入力、増幅され、第2差動増幅器16bに入力される。
検出回路10の内部において、余弦第2磁気抵抗素子12fの他端と余弦第4磁気抵抗素子12hの他端との接続点D(別の表現では、第2のブリッジ回路wb2を構成する中点D)が形成される。
接続点D(中点D)の信号は第4増幅器14dに入力、増幅され、第2差動増幅器16bに入力される。
なお、第2のブリッジ回路wb2を第2磁気抵抗素子、第2のブリッジ回路wb2からの信号を第2検出信号、と記載することができる。
磁気抵抗素子12と検出回路10を接続する配線100a1〜a4及び100b1〜b4の断線検知について説明する。
通常動作において、磁気抵抗素子12からの入力信号である接地点A,B、C及びDの電位は中点電位付近となり、その結果、第1増幅器14a〜第4増幅器14d、第1差動増幅器16a及び第1AD変換器18a出力は中点付近が出力される。一方で、配線100a1〜a4及び100b1〜b4のいずれか1つが切断された場合、磁気抵抗素子12の切断箇所の接地点は、High(VSもしくはVC)もしくはLow(GND)に固着するため、第1増幅器14a〜第4増幅器14d、第1差動増幅器16a、第2差動増幅器16b及び第1AD変換器18a、18b出力はHighもしくはLowに固定される。その結果、診断回路A90は、第1AD変換器18aもしくは第2AD変換器18bの出力が通常動作レンジから外れたことを検出し異常判定と診断して異常信号を出力する。この構成により、磁気抵抗素子12と検出回路10を接続部の断線検知することができる。
なお、第1AD変換器18aもしくは第2AD変換器18bの出力が通常動作レンジ(別の表現では、所定のレンジ、所定の電圧レンジなど記載され得る)から外れたことを検出し異常判定と診断して異常信号を出力する場合について説明したがこれに限らない。例えば、第1差動増幅器16aもしくは第2差動増幅器の出力が通常動作レンジから外れたことを検出し異常判定と診断して異常信号を出力してもよい。
なお、図8の構成を別の記載で表現すると以下の様に記載できる。第1〜第4磁気抵抗素子(正弦第1〜4磁気抵抗素子又は余弦第1〜4磁気抵抗素子)からなるブリッジ回路(wb1又はwb2)を備える第1基板と、この第1〜第4磁気抵抗素子に接続される検出回路10を備える第2基板と、第1、2、3、4磁気抵抗素子それぞれの一端と検出回路10との間を接続する第1、2、3、4配線(100a1〜100a4または100b1〜100b4)と、を備える。ここで、ブリッジ回路の中点を前記第2基板に設けている。
次に、磁気抵抗素子12の抵抗値異常検知について説明する。
磁気抵抗素子12は、切替スイッチ110a、110bにより電流検出抵抗112a、112bを介して接続もしくは直接接続(抵抗無し)で検出回路10内部の第3レギュレータ60aに接続される。通常時は切替スイッチ110a、110bは第3レギュレータ60aに直接接続される電流経路が選択されており、磁気抵抗素子12の抵抗値診断時のみ、切替スイッチ110a、110bは抵抗112a、112bを介して第3レギュレータ60aに接続される電流経路となる。ここで、診断回路B91は、第3レギュレータ60aに接続されており、抵抗112a、112bの抵抗両端の電圧を測定する。あるいは、各抵抗を流れる電流値を測定する。この時、磁気抵抗素子12に何らかの不具合が生じて抵抗値に異常が発生している場合、あるいは、VS及びVCのワイヤが断線している場合には、抵抗112a、112bを流れる電流量が通常のレンジを外れる。診断回路B91は、このレンジを外れたことで異常が発生したと判定し、異常信号を出力する。この構成により、磁気抵抗素子12の抵抗値異常及びVS、VCとのワイヤ断線検知を行うこと
ができる。磁気抵抗素子12のシート抵抗が変化する(すなわち、ブリッジ回路を構成する4つの磁気抵抗素子の抵抗が同時に変化する)場合でも故障を検知できる。
なお、抵抗112aを介して第3レギュレータ60aに接続される電流経路が選択されている期間(即ち、第1のブリッジ回路wb1の診断が行われている期間)の後に、抵抗112bを介して第3レギュレータ60aに接続される電流経路が選択されている期間(即ち、第2のブリッジ回路wbの診断が行われている期間)を設ける事が好ましい。これにより、診断回路B91には第1のブリッジ回路wb1を流れる電流値と第2のブリッジ回路wb2を流れる電流値とが順次入力されるので、診断回路B91の回路規模を大きくすることなく、第1のブリッジ回路wb1と第2のブリッジ回路wb2とを診断することができる。
なお、切替スイッチ110aを第1スイッチ、切替スイッチ110bを第2スイッチ、抵抗112aを第1抵抗、抵抗112bを第2抵抗、と記載してもよい。また、第1抵抗112aを通らず磁気抵抗素子12へ至る電気経路を第1電流経路、第1抵抗112aを通って磁気抵抗素子12へ至る電気経路を第2電流経路、第2抵抗112bを通らず磁気抵抗素子12へ至る電気経路を第3電流経路、第2抵抗112bを通って磁気抵抗素子12へ至る電気経路と第4電流経路、と記載してもよい。また、診断回路B91は第2電流経路及び第4電流経路に接続されている、と記載してよい。また、第2電流経路は第1電流経路より抵抗値が大きい。第4電流経路は第3電流経路より抵抗値が大きいといえる。
なお、診断回路B91の動作を別の表現で記載することができる。例えば、以下の様に記載できる。
診断回路B91が実施する診断方法は、次の第1から第6ステップを含む方法である。
第1ステップは、第3レギュレータ60aから第1のブリッジ回路wb1へ第1電流経路を介して電位を供給する。
第2ステップは、第3レギュレータ60aから第1のブリッジ回路wb1へ(第1電流経路より抵抗の大きい)第2電流経路を介して電位を供給する。
第3ステップは、第3レギュレータ60aから第2のブリッジ回路wb2への第3電流経路を介して電位を供給する。
第4ステップは、第3レギュレータ60aから第2のブリッジ回路wb2へ(第3電流経路より抵抗の大きい)第4電流経路を介して電位を供給する。
第5ステップは、第2ステップの電流値が所定の値より大きい/小さい場合に、エラー信号を生成する。
第6ステップは、第4ステップの電流値が所定の値より大きい/小さい場合に、エラー信号を生成する。
なお、第2、5ステップと、第4、6ステップは、同時ではなく、互いに前後して実施されることが好ましい。これにより、診断回路B91には第1のブリッジ回路wb1を流れる電流値と第2のブリッジ回路wb2を流れる電流値とが順次入力されるので、診断回路B91の回路規模を大きくすることなく、第1のブリッジ回路wb1と第2のブリッジ回路wb2とを診断することができる。
図9は、磁気センサ100の上面図である。図10は、磁気センサ100の正面図である。図9では一部の構成を省略している。図9では、検出回路10を設ける回路基板に平行な方向の磁界を検出する縦型ホール素子を用いる場合の磁気センサ100が記載されている。なお、以下の説明において、正弦第1磁気抵抗素子12a〜12dを総称して「第1磁気抵抗素子群12i」、余弦第1磁気抵抗素子12e〜12hを総称して「第2磁気抵抗素子群12j」と記載する場合がある。
磁気センサ100は、磁気抵抗素子12、検出回路10、ダイパッド130、ワイヤ134、封止樹脂138、リード132、を備える。
ダイパッド130には、磁気抵抗素子12及び検出回路10が置かれる。
封止樹脂138、磁気抵抗素子12、検出回路10及びダイパッド130を封止する。
リード132は、封止樹脂138から延出して外部との電気的接続を行う。
図9の直線L1は、正弦第1磁気抵抗素子12a〜正弦第4磁気抵抗素子12dと、余弦第1磁気抵抗素子12e〜余弦第4磁気抵抗素子12hとの略中心を通る。ここで、第1ホール素子40aと、第2ホール素子40bとは互いに、直線L1に対して線対称に設けられる。より詳細には、第1ホール素子40aと第2ホール素子40bとは直線L1に対して45°傾いて設けられる。別の表現では、第1ホール素子40aの略中心を通る直線L3の略中心を通る直線L4は、正弦第1磁気抵抗素子12a〜正弦第4磁気抵抗素子12dのいずれかが有する磁気抵抗パターンと平行である。第2ホール素子40bの略中心を通る直線L5は、正弦第1磁気抵抗素子12a〜正弦第4磁気抵抗素子12dのいずれかが有する磁気抵抗パターンと平行である。
また、第2ホール素子40bは、第1ホール素子40aを90°回転したものである。
第1ホール素子40aと第2ホール素子40bとは共に検出回路10を設ける回路基板に平行な方向の磁界を検出する縦型ホール素子であるので、回路基板に平行な方向の磁界が得やすい回路基板の中心付近に設ける事が好ましい。
図11は、本実施の形態の別の磁気センサ100aの正面図である。図12は、磁気センサ100aの上面図である。図12では一部の構成を省略している。なお、以下の説明において、磁気抵抗素子121が有する正弦第1磁気抵抗素子12a〜正弦第4磁気抵抗素子12dを総称して「第1磁気抵抗素子群121a」、磁気抵抗素子121が有する余弦第1磁気抵抗素子12e〜余弦第4磁気抵抗素子12hを総称して「第2磁気抵抗素子群121b」と記載する場合がある。同様に、磁気抵抗素子122が有する正弦第1磁気抵抗素子12a〜正弦第4磁気抵抗素子12dを総称して「第1磁気抵抗素子群122a」、磁気抵抗素子122が有する余弦第1磁気抵抗素子12e〜余弦第4磁気抵抗素子12hを総称して「第2磁気抵抗素子群122b」と記載する場合がある。なお、検出回路10aを「第1回路基板」、検出回路10bを「第1回路基板」と記載する場合がある。
磁気センサ100aは、磁気抵抗素子121、磁気抵抗素子121、検出回路10a、検出回路10b、ダイパッド130、ワイヤ134、封止樹脂138リード132、を備える。
ダイパッド130には、磁気抵抗素子121、122及び検出回路10a、10bが置かれる。
封止樹脂138は、磁気抵抗素子121、122及び検出回路10a、10b及びダイパッド130を封止する。
リード132は、封止樹脂138から延出して外部との電気的接続を行う。 検出回路10aは、磁気抵抗素子121からの信号が入力される。検出回路10aの構成及び動作は検出回路10の構成及び動作を同じである。
検出回路10bは、磁気抵抗素子122からの信号が入力される。検出回路10bの構成及び動作は検出回路10の構成及び動作を同じである。
磁気抵抗素子121と磁気抵抗素子122は図12の直線L1に対して互いに対象である。あるいは第1磁気抵抗素子群121aの略中心、第2磁気抵抗素子群121bの略中心、第1磁気抵抗素子群122aの略中心及び第2磁気抵抗素子群122bの略中心は、直線L2を通る。この様にして、磁気抵抗素子121と磁気抵抗素子122とを設けることで、センサの冗長性を向上することができるので信頼性が向上する。
また、磁気センサ100aに近い側において、磁気抵抗素子121の端面と検出回路10aの(第1回路基板の)端面とが一致するように設けられている。別の表現では、上面視において、磁気抵抗素子121の端面と検出回路10aの(第1回路基板の)端面とが直線L3を通る。
また、磁気センサ100aに近い側において、磁気抵抗素子122の端面と検出回路10bの(第2回路基板の)端面とが一致するように設けられている。別の表現では、上面視において、磁気抵抗素子122の端面と検出回路10bの(第2回路基板の)端面とが直線L4を通る。
また、検出回路10aと検出回路10bはそれぞれ、磁気抵抗素子やリードと電気的に接続する電極群を有する。ここで、この電極群は、第1電極群126a、第2電極群126bからなる。第1電極群126a及び第2電極群126bは直線L5、直線L6に平行である。この様にして、電極群(及びそれに接続されるワイヤ)を直線L5(すなわち各磁気抵抗素子の中心)から遠ざけるようにしている。これにより、電極群(及びそれに接続されるワイヤ)からの干渉を受け難くなり、磁気センサの精度が向上する。
図13は、本実施の形態の更に別の磁気センサ100bの正面図である。
磁気センサ100bは、磁気抵抗素子121、磁気抵抗素子121、検出回路10a、検出回路10b、ダイパッド130、ワイヤ134、封止樹脂138、リード132、を備える。
磁気センサ100bは、磁気抵抗素子122が磁気抵抗素子121の上に配置されている。ここで、磁気抵抗素子121の中心と磁気抵抗素子122の中心とが略一致するように配置されている。別の表現では、磁気抵抗素子121の中心と磁気抵抗素子122の中心とが直線C1を通る。この様にすることで、磁気抵抗素子121の中心と磁気抵抗素子122の中心と近いので、磁気抵抗素子121と磁気抵抗素子122とから得られる信号を略同一にできるので好ましい。
また、磁気センサ100bは、上面視で磁気抵抗素子122と重ならない部分136、別の表現では、磁気抵抗素子121から張り出した部分136、を有する。部分136は、磁気抵抗素子121を構成する基板が延長されたものである。別の表現では、第1磁気抵抗素子121を構成する基板の幅は、第2磁気抵抗素子122を構成する基板の幅より
も長く、この第2磁気抵抗素子122を構成する基板の幅よりも長い部分が張り出した部分136である。部分136はワイヤ134bを設けるための領域を得る為の部分であり、部分136を設けることにより、磁気抵抗素子121と磁気抵抗素子122との中心を略一致させることができるので、磁気抵抗素子121と磁気抵抗素子122とから得られる信号を略同一にできるので好ましい。なお、図14に示したように、ダイパッド130は分割されていてもよい。この様なダイパッドが分割される構造は、図11の磁気センサ100aにも採用され得る。
図15は磁気センサ100bの斜視図、図16は、磁気センサ100bの別の斜視図である。図15では一部の構成を省略、あるいは簡単化している。図16では図15から一部の構成を省略している。
第1磁気抵抗素子121は第3電極群127aを有する。第2磁気抵抗素子122は第4電極群127bを有する。
第3電極群127aは第1磁気抵抗素子121から張り出した部分136に設けられる。第3電極群127aは直線L7に沿って並ぶ。
第4電極群127bは第2磁気抵抗素子122に設けられる。第4電極群127bは直線L8に沿って並ぶ。ここで、直線L7と直線L8とは互いに平行である。
なお、磁気センサ100をステアリングホイール152と操舵トルク154を補助するためのモータに取り付けるとして説明したが、これに限らない。例えば、車のシフトレバーのレバー位置を検出するために用いることができる。すなわち、磁気センサ100はそれ単体で独立して用いることができる。
なお、診断回路90Aは、演算回路70の中の一部であってよい。