JP4757049B2 - 照明装置、画像読取装置、および画像形成装置 - Google Patents

照明装置、画像読取装置、および画像形成装置 Download PDF

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Description

この発明は、原画を読取る対象物を照明するための照明装置、この照明装置を備えた各種の画像読取装置、およびこの画像読取装置を備えた画像形成装置に関し、この画像形成装置として、複写機、ファクシミリ、プリンタ、およびこれらのいくつかを組合わせた複合機などに適用可能なものである。
一般に、原稿などの読取対象物から原画を読取る画像読取装置は、外部の天候状況に依存して変動する自然光ではなく、人工光源から一定の光を原稿に照射し、原稿から反射光を得て原画を読取るように構成されている。
近年、このような画像読取装置の照明装置では、光源として、LED(Light Emitting Diode:発光ダイオード)の採用例が多くなっている。またこの照明装置では、LEDを実装した基板の実装平面に対して直交した方向に照射するタイプのLEDが用いられることが多い。
すなわち、このタイプのLEDを基板に実装した構成としては、複数の発光素子が列設されてライン状の光を出射する点光源ユニットと被照射面との間に、ライン方向の照度分布を均一化する回折格子を備えた照度均一手段を設けた構成(たとえば特許文献1)や、前記の間に、点光源から出射された光を前記点光源の配列方向と直交する方向に集光させる集光体と光をランダムに拡散する光拡散部とを介在させた構成(たとえば特許文献2)が知られている。また、コンタクトガラス上に位置して読取対象となる原稿の原稿面に向けて光を出射する点光源を有した画像読取装置において、点光源から出射された光を原稿読取時の副走査方向の読取幅内に集光させる集光体を設け、この集光体は、該集光体を通過して照射される全ての光の角度がコンタクトガラスで全反射される臨界角未満となる向きに配置した構成が知られている(たとえば特許文献3)。
特許第3659770号(第4〜7頁、図1,図16) 特開2005−156600号公報(第7〜11頁、図2) 特開2005−102112号公報(第14〜17頁、図2)
しかしながら、上記の従来構成では、実装平面に対して直交方向に発光するLEDを基板上に実装した構成なので、その配置上の制限によって、被照射面にLEDを最も近づいた位置から離れた位置に、LEDを位置させることになり、照明効率が低く、各種の問題が生じていた。
すなわち、上記のいずれの構成でも、LEDの両脇から突出した基板の一方の部分が、被照射面に接しないように該部分に応じた距離だけ被照射面から離す必要があるとともに、他方の部分が、被照射面から得られた読取り画像を含んだ反射光を入力するための読取光軸に接しないように該部分に応じた距離だけ読取光軸から離す必要があり、これらの2つの条件を満たすため、2つの突出部分がない最も近づいた位置から離れた位置に、LEDを位置させている。そして、被照射面とLEDとの間の距離の2乗に反比例して、被照射面に到達する光量は、減少する。
このため、このような距離増加による被照射面での照度不足の防止を目的にしてLEDの個数を増加させる必要が生じたり、フレア成分の低減を目的にして導光体としての導光部材が必要となったりして、コストが嵩む傾向がある。特に、上記のいくつかの構成では、LEDと被照射面との間に、単なる導光体ではなく、照度均一手段や、集光体、集光体および光拡散部からなる光学的構成物、などのように複雑な構成の光学要素を介在させているので、この光学要素単体で既に部品コストが上昇して、コストアップの傾向が促進されている。
したがって、このような導光部材や光学的構成物の追加による部品点数の増加、および導光部材や光学的構成物を保持するための固定部材の追加が避けられないので、さらにコストアップを招いたり、光源の構成として、さらに大型化を招いたりする不具合が生じる。
そこでこの発明は、前記のような従来のものが有する問題点を解決し、簡素な構成で充分な照度を確保でき、フレア成分の低減が図れる照明装置、画像読取装置、および画像形成装置を提供することを目的とする。
前記課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、基板と、この基板上に実装されて該基板に接する面と連接する側面が発光部として発光して実装平面方向に沿って光を照射する発光素子と、を備えた照明装置において、前記発光素子の照射角度が被照射面に対して傾斜した角度から照射するよう規定する支持部材に前記基板が固定されており、前記支持部材の端部は、前記発光素子から光を照射して被照射面から得られた読取り画像を含んだ反射光を入力するための読取り光軸に沿った傾斜面を有するとともに表面が低反射又は非反射に構成され、且つ、前記基板は、前記支持部材の端部から前記読取り光軸側に突出しないよう取り付けられていることを特徴とする。
請求項に記載の発明は、請求項1において、前記基板の実装面の前記発光部側の端部は、高反射率に構成されていることを特徴とする。
また、請求項に記載の発明は、請求項において、前記基板の実装面の前記発光部側の端部は、シルク印刷により高反射率に構成されていることを特徴とする。
請求項に記載の発明は、請求項1において、前記発光素子における少なくとも発光部を除いた部分をカバーするカバー部材が設けられ、このカバー部材は、前記基板の実装面と対向して配置され、前記基板及び前記支持部材の貫通孔とカバー部材の貫通孔とを一致させて前記支持部材に螺合されて止め付けられていることを特徴とする。
請求項に記載の発明は、請求項1において、前記発光素子における少なくとも発光部を除いた部分をカバーするカバー部材が設けられ、このカバー部材は、前記発光素子の配列方向を長手方向とする部材であって、その表面が低反射又は非反射に構成されていることを特徴とする。
請求項に記載の画像読取装置の発明は、前記請求項1ないしのいずれかに記載の照明装置を備えたことを特徴とする。
請求項に記載の画像形成装置の発明は、前記請求項に記載の画像読取装置を備えたことを特徴とする。
また、請求項に記載の画像形成装置の発明は、請求項7において、前記画像読取装置の下方に排紙トレイを有し、該排紙トレイ上に記録媒体を排出することを特徴とする。
この発明は、前記のような構成であるから、光源としての発光素子を、照明対象物の被照射面などに可能な限り近づけて配置して、発光素子からの光を効率よく被照射面に到達させて該被照射面を照射することができるとともに、これに伴いフレア成分を低減させることができる。すなわち、照明対象物を直接、照射した構成の場合には、発光素子の発光部から被照射面に到達するまでの光路の長さを、可能な限り短縮した長さに設定できるので、高い照射効率が得られるとともに、照射光の広がりを極限でき、所定に規定した以外の再照射光が被照射面からの不適切な反射光となって正規の反射光に混入することに起因したフレア成分の発生を抑制できる。
まず、この発明が解決する課題は、上述したとおりであるが、さらに補足すると以下のとおりである。すなわち、原稿などの読取対象物から原画を読取る一般的な画像読取装置は、人工光源としての照明装置を備え、この照明装置が原稿の原稿面に照射して得た反射光を、結像素子によって電気信号に変換して読取っており、この画像読取装置を備えた画像形成装置では、電気信号に変換された画像情報を、所定に各種の処理して、画像形成するように構成されている。なお、この結像素子は、たとえばCCD(Charge coupled device:電荷結合素子)、CMOS(Smetal oxide semiconductor:相補性金属酸化膜半導体)などの光変換素子によって構成されている。
また、たとえば、画像形成装置に搭載された一般的な縮小光学系の画像読取装置70では、図12(a)および図12(b)に示すように、その照明装置である光源としては略円筒形状に形成された直管状のキセノンランプ71を主体に構成されており、このキセノンランプ71の円筒外周面から放射される照射光を、画像読取装置70の外形状の上面のうちその大部分を形成したコンタクトガラス72上に載置された図示しない原稿に照射し、原稿からの反射光を結像レンズ73を介して結像素子74に導き、この結像素子74で電気信号に変換するようにしている。すなわち、このような画像読取装置70では、コンタクトガラス72の下方スペースの所定箇所に、結像素子74を固定配置する一方、ガラス下面に沿って光源および前記の反射光を結像素子74に導く反射面を形成した各ミラーの組合わせを所定に移動するように構成されている。
より詳細には、画像読取装置70は、原稿からの反射光を反射して所定方向に向けさせる第1ミラー75aを有した第1キャリッジ75、第1ミラー75aからの光をさらに反射して所定方向に向けさせる第2ミラー76a、第3ミラー76bを含む第2キャリッジ76を備え、第1キャリッジ75及び第2キャリッジ76は所定に連係して原稿面の全域をスキャン(走査)するように移動し、原稿面からの反射光を結像素子74に入力して原稿面から読取り画像を取得するようにしている。なお、この例では、第1キャリッジ75には、図2に示すように、光源として原稿面における主走査方向に向けて延在するようにその長手方向が向けられたキセノンランプ71と、キセノンランプ71からの光を反射して原稿面に向わせ原稿面を照射するように所定角度で設けた反射板71Aとを備えており、この反射板71Aには適度な乱反射面が形成されて、その反射光として原稿面に到達する照射光は、その原稿面上での照度分布が均一化されている。
このような画像読取装置70において、原稿面の照度として、主走査方向では、図13(a)に示すように、リップルのない照度分布が要求される。すなわち、図13(c)に示すように、リップルとして、その主走査方向の読取範囲全域における照度の変動が規則的であっても、つまりその周期や変動幅が一定であっても、これらの照度変動が読取り画像に反映されて、たとえば読取り画像に規則的な劣化部分が生じて、読取り画像の品質やこの読取り画像に基づき形成する画像の品質が低下してしまう。また、図13(c)に示す規則的に大きく変動する照度分布よりも、たとえリップルを排除しきれていない不規則な周期や変動幅の狭い照度分布であっても、図13(d)に示す照度分布の方が、読取り画像の品質は向上することになり、これよりも図13(a)に示す読取範囲の全域に渡るその頂部が平坦な波形状の均一な照度分布が、その画像品質上、より望ましい。
他方、副走査方向では、図13(b)に示すように、フレア対策として、副走査方向の読取範囲以外の照度が小さい照度分布が要求される。すなわち、一般に読取り画像上のフレア現象は、読取り光軸を中心とした読取範囲以外に入射した原稿面上の拡散反射光が、読取り光軸上に入射してしまい、読取範囲以外の像が重複した画像となってしまう現象とされている。特に、原稿面においてその濃度が急激に変化する部位では、正規の照明によるものとの相違が際立って明瞭に表れ、目立ってしまうことになる。
また、画像読取装置にあっては、光源の立ち上がりのスピード、省エネルギー化、長寿命化の要望があり、光源としてLED(Light Emitting Diode:発光ダイオードのこと、以降、発光素子と称する)を採用する構成が実用化されてきている。
発光素子は、上記の要望に応じることが可能な各種の優れた特性を有しているものの、画像読取装置の光源である照明装置として用いるには、発光素子それぞれ1個単位での絶対的な明るさ(発光強度)が不足するため、読取り動作スピードが比較的に低速な低速読取機器などの低速読取装置を中心に用いられてきた。
これらの装置として一般的な等倍光学系の画像読取装置80では、図14に示すように、発光素子81を所定に配列して実装した基板82(発光素子アレイの構成)を、原稿面に対して所定に傾斜角度を設定して配置している。そして、発光素子81の照射光を導光体83を介してコンタクトガラス72上の原稿に照射し、原稿の反射光を、ロッドレンズアレイ84(ロッドレンズ84aを所定配列した構成)、スリット85を介して順次これらを通過させて結像素子86に導き、この結像素子86を構成した光変換素子で電気信号に変換する。なお、複数の発光素子81と、複数の結像素子86との対応関係は、図示を省略するが、発光側の発光素子81の個数よりも多数の受光側の構成であるロッドレンズ84a、結像素子86の組合わせが設けられている。
これらの照明装置では、図15(a)に示すように、発光素子81を実装した基板82の実装平面方向に対して直交した垂直方向に発光するタイプ(以降、トップビュータイプと称する)の発光素子81が使用されている。より詳細には、略扁平な直方体状に形成された発光素子81において、その底面である基板82に接した面とは反対面となる、その上面が光の放射面である発光面81Aに構成され、この上面である発光面81Aからの発光は、発光素子81が設置された基板表面である実装平面方向に対して垂直な方向にその発光方向が向くことになる。
しかし、上記のようなトップビュータイプの発光素子アレイの構成を用いた場合、その構成上、原稿面に発光面を近づけることができないため、原稿面から離れた遠い位置に発光面を配置することになる。すなわち、図15(b)に示すように、副走査方向において、発光素子81の発光面81Aの両脇から、発光素子81を支持した基板82の周縁が、謂わばはみだして突出しているので、この突出した部分を、一点鎖線で示された領域内に収めるためには、発光面を、その発光方向を維持したまま、原稿面および読取り光軸Aに対して近接した位置から離れる方向に後退させて該離れた位置に配置することになり、結局、この離れた分だけ、原稿面と発光面との間の距離が増加する。このため、原稿面に到達する光の照度は、距離の2乗に反比例するので、このように距離が増加すると、大幅な照度の低下を招き、原稿面での照度が不足しやすくなる。これに対し、照度低下を避けるために原稿面との距離を近づけるためには、基板サイズを小さくする必要があり、実装部分が制限され、それにより多層の基板を使用しなくてはならない。結局、トップビュータイプの発光素子アレイの構成では、基板は、小さい基板サイズに制約されているので、多層にするなどの基板自体の構成が複雑化してコストが上昇する傾向がある。
したがって、このような距離増加による照度の低下、および、距離増加によって光の拡散範囲が広がることによる被照射面での照度低下つまり光の利用効率の低下、光源および読取範囲間以外の規定外の入射光に起因したフレア成分の増加、発光強度を強化した大型素子や複列に多数の素子を用いるなどによる照明装置の大型化などの各種の問題が生じてしまう。
そこでこの発明は、前記のような従来のものが有する問題点を解決し、高い光照射効率を確保した簡素な構成で薄型化が図れ、原稿面に充分かつ均一な照度を得るとともに、フレア成分の低減が図れる照明装置、この照明装置を用いた画像読取装置、およびこの画像読取装置を用いた画像形成装置を提供することを目的とする。
次に、この発明の第1の実施形態を図面により説明する。図1は、この発明の原画を読取る対象物を照明するための照明装置に関し、図1(a)は、この照明装置を有した画像読取装置を備えた画像形成装置の概略全体構成を示す斜視図、図1(b)は、画像読取装置の概略構成を示す縦断面図、図2は、第1の実施形態の照明装置を示し、図2(a)は、照明装置の主要部を示す正面図、図2(b)は、同主要部を示す斜視図である。
すなわち、図1(a)に示した画像形成装置は、原稿の原稿面から画像を読取って所定に画像形成用のデジタル処理して複写画像を形成しこの画像を各種の用紙に定着するデジタル複写機100であり、この複写機100は、原稿から取得した原稿画像情報に基づいて所定に画像形成処理する画像形成装置本体200と、この画像形成装置本体200を載置して該装置本体200に記録用シート・OHPフィルムなどの記録媒体である用紙を1枚ずつ供給する給紙装置300と、画像形成装置本体200上に取り付けられ原稿から原稿画像を読取ってデジタル化した原稿画像情報にして該画像形成装置本体200に送出する画像読取装置としての原稿読取り装置(以降、読取り装置と称する)400とを有し、読取り装置400の直下となる画像形成装置本体200における手前側の箇所には、所定に大きな凹部が形成されてこの凹部の底面に排紙トレイ51が設置されており、この排紙トレイ51上に、複写画像が定着された用紙が、排出されて載置するとともに、適宜の枚数を、積層して収納できるようにしている。
また、読取り装置400は手前側に所定に延在され、この延在部分が、表示部および操作入力部450に構成されている。すなわち、この延在部分の上面には、表示画面からなる表示部と、スタートボタンや各種の入力ボタンなどからなる操作入力部とが配置され、複写機100側から使用者に表示画面の表示によって各種の通知をするとともに、使用者が複写機100に入力ボタン操作によって各種の設定を入力して指示できるようにしている。
読取り装置400は、図1(a)に示すように、該装置の上面における所定範囲がコンタクトガラス52で形成され、図1(b)に示すように、同読取り装置400内に、コンタクトガラス52のガラス面のほぼ全範囲を走査対象にして、該ガラス面に載置された原稿の原稿面から光学的に画像を読取って取得する読取り手段が収納されている。
なお、コンタクトガラス52をカバーした閉止位置と、該ガラス52から離れて開放した開放位置とを任意に選択可能に開閉するように構成された図示しない原稿押さえ板が、読取り装置400の上面に設置され、この原稿押さえ板によって、該ガラス52上に載置された原稿を、ガラス52面側に押し付けて安置できるようにしている。すなわち、この原稿押さえ板は、コンタクトガラス52よりも大きな縦横寸法が確保された平板状に形成され、その一端が図示しないヒンジで読取り装置本体400の上面に枢支されている。また、原稿は、その読取り対象となる文字や図像などの画像が記された原稿面を、下向きにしてコンタクトガラス52に載置され、原稿押さえ板によって、原稿は、ガラス面側に押さえつけられて、ガラス52上での位置が安定して固定されるとともに、ガラス面に原稿が平坦に押し広げられて、原稿面の画像が歪むことなく、適正かつ正確に読取れるようにしている。
読取り手段は、少なくとも、第1キャリッジ53と、第2キャリッジ54と、結像レンズ55と、読取りセンサとしての結像素子56とから構成され、第1キャリッジ53には、正確な読取り画像を得るために、原稿の原稿面における読取範囲を一様に照射するように構成した照明装置1が内蔵されている。
すなわち、第1キャリッジ53は、少なくとも、上記のように、コンタクトガラス52上に載置された原稿の原稿面に対して、その下方位置から直接的に上向きの斜め方向に照射する照明装置1と、この照射光が原稿面に到達して反射した原稿面からの反射光を、第2キャリッジ54に向けて反射する第1のミラー53aとを有している。また、第2キャリッジ54は、第1のミラー53aからの反射光を下方に反射する第2のミラー54aと、第2のミラー54aからの反射光を結像素子56に向けて反射する第3のミラー54bとを有している。さらに、第2キャリッジ54と結像素子56との間には、第3のミラー54bからの反射光を、各ミラー同士の相対位置の変化や、結像素子56に固有な焦点距離に応じて調整し、この結像素子56に入力するために適宜変位する結像レンズ55が設けられている。
したがって、読取り装置400は、その読取り動作時に、図示しない駆動機構によって、第1キャリッジ53が、副走査方向である図中の左右方向に移動され、つまり図中の左端位置から右方向に移動され、これに連係して同駆動機構によって、上記の各ミラーを経由して原稿面から結像素子56に至る光路の長さを維持するように、第2キャリッジ54が同じ方向に移動され、この第1キャリッジ53の往路移動の過程で、原稿面の全域から得た反射光を読取り画像として結像素子56に入力するようにしている。
なお、この第1の実施形態の照明装置1を搭載した読取り装置400に、採用可能な光学的な構成としては、縮小光学系か、等倍光学系か、のいずれかに制約されることなく、これらのいずれでもあってもよい。
そして、この第1の実施形態の照明装置1は、図2(a)〜(b)に示すように、その側面を発光部としての発光面2Aにしてこの光の放射面である発光面2Aから照射する構成(以降、サイドビュータイプと称する)の白色LEDの発光素子2を用い、基板3に実装した発光素子2が、基板3に接する面に対して側面となるその発光面2Aから光を放射して、基板3の実装平面方向と平行な方向に照射し、かつ、発光素子2が実装された基板3を、その照射方向が、原稿を載置して原稿面の位置を規定したコンタクトガラス52に向ける、所定角度の姿勢で支持するように構成するとともに、該コンタクトガラス52に対して、発光素子2および基板3からなる構成物を非接触に保ち、かつ、読取り光軸Aに干渉しないという2つの条件を満たして、コンタクトガラス52に配置可能な限り近づけることにより、光源としての発光面2Aと原稿面との間に直線状の照射経路を形成し、かつこの照射経路の長さを可能な限り短縮して、光源からの光を効率よく原稿面に照射し、フレア成分の発生頻度を低減させるようにしている。
換言すれば、コンタクトガラス52の下面から、所定に必要最小限の間隙距離を確保して、この下面と平行に、発光素子2および基板3からなる構成物としての照明装置1を有した第1キャリッジ53を移動させるとともに、該移動の最中に、読取り光軸Aに対して前記の構成物が、遮蔽物とならずに済む必要最小限の間隙距離を維持しながら、発光素子2の発光面2Aを、できる限り原稿面に近接させるように配置されている。
より詳細には、図1(b)に示すように、読取装置を構成した可動部材である第1キャリッジ53には照明装置1が内蔵されており、上記のように読取動作時にコンタクトガラス52に載置された原稿の原稿面に対面して移動する第1キャリッジ53の構成部材としての照明装置1は、図2(a)に示すように、コンタクトガラス52と接触しないように、かつ、読取り光軸Aに沿って進む原稿面からの反射光を遮ったり干渉したりしないように、2つの一点鎖線で区切られた領域内にその構成を収める必要がある。
すなわち、同図2(a)中における左右方向である水平方向に延在されて示された一点鎖線は、コンタクトガラス52下面と平行で、所定の間隙距離が確保されており、また垂直方向に延在された一点鎖線は、読取り光軸Aに平行で、所定の間隙距離が確保されており、これらの2つの線を境界線にして矢印で示した内側の範囲にその構成を収める必要がある。
より詳細には、水平方向の一点鎖線によって、原稿を載置しない通常のコンタクトガラス52下面の位置を基準にして、つまりこの通常の位置のガラス下面に対して平行移動する第1キャリッジ53の上面およびその一部としての照明装置1の主要部である基板3およびこの基板3に実装した発光素子2が、接触しない必要最小限の間隙距離が、あらかじめ設定されている。すなわち、コンタクトガラス52に原稿を載置して、原稿面をガラス面に密着させて平坦に広げるように使用者が上方から押圧したり、書物などの原稿自体の自重が重かったりすると、コンタクトガラス52がたわみ、該ガラス下面が、無荷重の通常位置から下方に所定量だけ変位しても、この変位したガラス下面が、間隙距離内に留まって、該変位したガラス下面が、移動する第1キャリッジ53の上面およびその一部に接触しないようにしている。
他方、垂直方向の一点鎖線によって、原稿面から読取り光軸Aに向う反射光を遮ったり干渉したりしない程度の境界が規定されている。
なお、この読取り光軸Aは、読取り画像を含んだ原稿面からの反射光を、所定に導いて、結像素子56に入力するために、原稿面および各ミラー間にいくつかの光路を構成したうち、光学的な読取り軸として、原稿面を起点にして図2(a)中には図示されない第1ミラー53aに至るまでの最初の仮想的な直線であり、この読取り光軸Aの中心線は、コンタクトガラス52の上面を基準にし、かつ、このガラス上面にあらかじめ設定された副走査方向の読取範囲の中心点を起点にし、この中心点からガラス上面に直交する下方向に向かう垂直な軸線とされている。
このため、トップビュータイプのLEDを使用した従来構成の照明装置では、上述したように、その構成上、発光面2Aから原稿面までの距離が制限される。すなわち、図15(a)に示されるように、トップビュータイプの発光素子81を基板82に実装して該実装に対して直交する方向に発光させた構成では、謂わば発光素子81の発光面81Aの両脇からそれぞれ基板82の周縁が突出しているので、両周縁を上記の範囲内に収めるため、それぞれの突出量に応じた分だけ、各境界線から離れた前記の範囲の内奥側に引き込んだ位置に、発光面82Aを位置させることになる。したがって、このように引き込んだ分だけ、原稿面から離れて距離が増加する。このため、上述したように、各種の問題が生じてしまう。
これらの問題を一挙に解消するため、この第1の実施形態では、図2(b)に示すような、基板3に実装する発光素子2として上記したサイドビュータイプの発光素子2を用い、図2(a)に示すように、この基板3に実装した発光素子2の発光方向と同じ方向をそのまま照射方向にするように該基板3を所定の傾斜姿勢で支持し、かつ、この傾斜姿勢のまま、2つの境界線で区画された範囲内で可能な限り境界線に近づけた配置とした。
なお、サイドビュータイプのLEDは、液晶ディスプレイのバックライト用の発光素子2として導光板とともに用いることが多い。すなわち、このバックライトのような使用方法では、導光板などによって光を屈折させて所定に偏光させ、発光素子2単体の発光方向とは異なる方向を、バックライト用の照射方向にしている。より詳細には、液晶表示面の背後に導光板を設け、この導光板によって、液晶表示面の背後から該表示面に向けて、面状の背景光を照射するように構成され、このように導光板を介在させて、背景光の照射方向と発光素子2単体での発光方向とは、同一方向ではなく、互いに異なる方向の関係にしている。
より詳細には、照明装置1の主要な光源の構成としては、同一形状かつ同一性能を有した複数の発光素子2をそのすべての向きを、図2(b)に示される副走査方向に揃え、かつ、この副走査方向に直交した主走査方向には、互いに所定の等間隔を設けて、配列した1次元アレイの構成とされている。
発光素子2は、その概略外形状が扁平な直方体形状に形成され、長辺を有した一側面が発光面2Aに構成され、この発光面2Aに連接した短辺を有した2つの側面における、発光面2Aに近いそれぞれの箇所には、接続端子となる導電性電極2bが突設されている。
基板3は、非導電性の材料によって、その長さが、コンタクトガラス52の短辺長さと、ほぼ同程度の長さが確保されている。
また、基板3は、その厚さ方向の中間層として、所定の配線パターンが形成されており、この配線パターンの所定部位が、該基板3の実装面としての実装平面3Aの所定箇所に露出されて設置された導電性パッド3bに接続されて、それぞれの発光素子2に電気的に接続可能な通電経路を構成している。なお、基板3上の適宜箇所には、いくつかの発光素子2をグループ化したものを保護対象にして、図示を省略した抵抗器および電流制御回路が該基板3上の他の箇所に設置されて所定に配線接続されており、これらによって、発光素子2に過電流が流れることを防止するようにしている。
そして、発光素子2が、その隣接した素子同士の中心間距離を所定距離を確保しながら、その平面視における中心を、基板3表面における長手方向に沿った1つの直線上に揃え、かつ、この直線に直交した同じ向きにその発光面2Aが揃うように、実装平面3Aとしての基板表面に設置され、基板3の配線パターンに電気的に接続されて通電経路を確保して、該基板3に実装されている。
したがって、基板3に実装された各発光素子2の発光面2Aは、基板3の実装平面3Aに対して略垂直面となり、かつ、基板3の長手方向に向けて縦長となる略長方形状に設置されることになる。
そして、このように発光素子2を実装した基板3は、平面視において、その長手方向が、該コンタクトガラス52の短辺と略平行な向きとなるように、第1キャリッジ53内に、設置されている。
同時に、側面視においては、上記したように、発光素子2を実装した基板3を、所定の傾斜姿勢を採らせて、設置可能な境界に可能な限り近づけて、第1キャリッジ53内に、設置している。
このように光源としてサイドビュータイプの発光素子2を基板3に実装した構成を所定に配置しているので、図2(a)に示すように、設置可能な限界距離まで発光素子2の発光面2Aを原稿面に近づけることができ、発光面2Aおよび原稿面間の距離による照度の低下が極めて少なくなるので、効率的に原稿面を照射することができる。
すなわち、発光素子2の発光面2Aを基準にしてこの基準面を延在した仮想的な面を越える基板端部3Cの突出量は、トップビュータイプの発光素子を用いた構成に比べて、はるかに少なくなり、一方の端部だけとなる。したがって、この突出した端部が、一点鎖線で示された境界線を越えることなく、一点鎖線で示された2つの境界線に、できる限り発光面2Aを近づけて、つまり2つの境界線の交差ポイントに、できる限り発光面2Aを近づけて、原稿面を適切に照射する所定の照射方向となるように、所定角度で傾斜した姿勢を確保して発光素子2を設置することができる。
結局、謂わば、同図において、交差ポイントを起点にした所定角度の線上に、発光素子2および基板3からなる一体構成物の延在方向を揃えて、この一体構成物における一端側を、交差ポイントに無理なく近づけて配置することができ、しかもこの一体構成物における交差ポイントに近い一端側に、発光素子2の発光面2Aを位置させていることになる。
なお、第1キャリッジ53内の基板3には、図示しないフレキシブル・ハーネスの一端が接続され、その他端が読取装置側の固定箇所に接続され、このハーネスは所定長さ、かつその一端から他端に至る所定数の電路を並列的に形成した所定幅の薄膜フィルム状に形成されて、そのフィルム厚さ方向に柔軟に変形可能な構成とされている。したがって、第1キャリッジ53の移動に伴う該第1キャリッジ53および固定箇所の間の距離変化に追従してハーネスのたるみ具合や折り重なり具合などを変化させ、両者間の電気的な接続を維持するようにしている。このため、このハーネスを介して、読取り装置側から発光用の電流が、該読取装置側の固定箇所との相対位置が変化する基板3に対しても適宜供給でき、この基板3上に設置された各発光素子2の発光動作が制御されている。
以上、説明したようにこの第1の実施形態の照明装置の光源の構成によれば、サイドビュータイプの発光素子を用いて、コンタクトガラスに可能な限り近づけて配置しているので、光源として発光素子からの光を効率よく原稿面に到達させて照射できるとともに、フレア成分を低減させることができる。
特に、このように構成された照明装置を搭載した画像読取装置によれば、基板の実装平面方向に照射する発光素子を用いて、この発光素子の照射方向に、被照射面が位置するように基板を支持した構成としているので、その読取り動作時には、読取り光軸に干渉させずに、コンタクトガラス上に載置された読取対象物である原稿の原稿面に対して、直射光を照射するすべての発光素子の発光面を同一面にかつその発光面の中心を同一線上に揃えながら、可能な限り近接させて位置させることができる。すなわち、その読取り動作の経過中には、固定された原稿面の全域を走査するように、発光素子および読取り光軸が移動するのに拘わらず、すべての発光素子の発光面と原稿面と間の距離を、常時、発光面を整列させながら、可能な限り短い距離に保つことができる。
したがって、光源からの光の強度は、光源および被照射面間の距離の2乗に反比例して急激に低下するので、この構成によれば、高い光強度を確保して被照射面としての原稿面を照射できる。すなわち、この構成では、サイドビュータイプの発光素子を用いて、発光素子自体および実装基板の延在方向を傾斜した姿勢で配置していることから、謂わば、発光素子の発光面の周辺に、近接配置を妨げる部材を有していないので、上記の領域内の隅部に近接させやすくなり、可能な限り2つの面間の距離を短くした配置にでき、原稿面に到達した照明光の強度つまり原稿面での照度を、高くできる。つまり従来に比べて近接させた距離の分に応じて、倍増させた照度を原稿面に確保できる。この結果、発光素子からの光を効率よく原稿面に到達させて該原稿面を照射できることになる。
また、フレアなどのように読取り画像に異常部分が生じることを抑制できる。すなわち、上記の発光面と原稿面との間の距離を、可能な限り短い距離に保持するようにしたので、原稿面でその照射範囲が広がることを抑止して極限できる。このため、副走査方向の照射範囲も、その広がりが抑制され、読取範囲以外の照度を小さくでき、読取対象となる範囲とこの範囲以外との照度差を、充分に確保できる。換言すれば、発光素子の発光面と原稿面との間に形成される光の拡散範囲は、両面間の距離を短縮していることから、より減縮されるので、上記した再照射光が生じる機会を削減できる。このため、拡散範囲によって所定に規定した以外の原稿面から反射光が、光軸に入射して混入したことに起因するフレア成分の発生を低減できる。これらの結果として、読取り画像の品質向上が図れる。
他方、このように可能な限り謂わば光源の発光面と被照射面である原稿面との2つの面間の距離を短くして、該原稿面での照度を充分に確保するとともに、発光面からの光の広がり具合を可能な限り小さくなるように限定しているので、発光素子からの発光を原稿面に集束させて原稿面での照度を確保するための集光体や集光部材を、不要にでき、光源の構成としては必要最小限の構成となり、照明装置としての構成を簡素化できる。
さらに、この照明装置では、サイドビュータイプの発光素子を用いたことにより、上記の所定範囲内に収めるという条件下で、発光素子を実装する基板形状の制約が少なくなるので、従来構成よりも、基板サイズを大きくすることができる。すなわち、トップビュータイプの発光素子を用いた従来構成では、上記したように2つの一点鎖線で示された設計可能範囲内に収めるため、基板サイズを小さくする必要があるのに対して、発光面方向の逆側に制約が少ないので、謂わばこの逆側に基板を延在した形状の大きな基板を使用することができる。つまり少なくとも、サイドビュータイプの発光素子を基板に実装し、上記の条件下で所定に発光素子の発光面を近接配置すれば、必ず、この近接させた分だけ発光方向とは逆の反対側に空きスペースが生じることになるとともに、この空きスペースを支持部材によって占有させずに、近接させた位置の基板を、無理なく安定して支持した構成にできる。
したがって、層数の少ない基板を使用でき、コストダウンできる。すなわち、基板の面積が拡充されて、回路用の層数が少なくても拡大した基板面に回路を配置できるので、基板の構成が簡素化され、該基板自体の部品コストを低下できる。
他方、制御素子などを同一基板上に実装できる。すなわち、たとえば、このように基板面積を増加した基板に、給電機能以外の適宜の制御機能を実現した回路および該回路に関連した電気部品を搭載して、該基板および発光素子からなる光源構成物の高機能化や多機能化を図ったり、基板外に配置されていた回路を、この増積化した基板に搭載して、光源に関する構成物としてその部品点数の削減を図ったりすることもできる。
これらに加えて、原稿の原稿面に対面した照明装置において、この照明装置はトップビュータイプの発光素子を用いて、しかも原稿面に可能な限り近づけた構成としているので、該原稿の厚さ方向に相当する照明装置の寸法を、従来のトップビュータイプの発光素子を用いた照明装置に比べて、短くでき、謂わば薄型化を図れる。これに伴い、この照明装置を搭載した画像読取装置を薄型化でき、省スペース消費化が図れるので、画像読取装置の周囲に位置した他の部材や装置を圧迫せずに済む。
特に、画像形成装置として上記の複写機が、画像読取装置の直下に排出トレイを有して、この排出トレイ上に、読取り画像に基づき形成した画像が定着された記録媒体としての用紙を排出し、また積層して収納できるようにした構成では、この排出トレイ周辺のスペースをより大きく確保できるので、排出トレイ上に載置された用紙を使用者が取り出しやすくなり、また多くの用紙を積層して多数枚を一時的に保管でき、しかもこの積層された多数枚の用紙を積層したまま無理なく取り出すこともでき、これらによって複写機としてその利便性の向上が図れる。
なお、サイドビュータイプの発光素子をいくつか並列的に配置した1次元アレイの構成に適用したが、サイドビュータイプの発光素子であれば、その配置する個数は、装置構成に応じて適宜選択してよく、また基板と同様な長板状のサイドビュータイプの発光素子をこの素子単体で基板に実装して、上記のようにその第1キャリッジ内での配置位置や姿勢を確保するように構成してもよい。
次にこの発明の第2の実施形態を説明する。なお、上記の第1実施形態と同一の構成部材には、同一の符号を付して、説明を省略または簡略化することにする。すなわち、特に記載しないが、この第2の実施形態で説明しない構成や図示しない構成、つまり画像読取装置や画像形成装置の構成、および各装置の動作は、上記の第1実施形態と同一とされている。図3(a)〜(c)は、この第2の実施形態に係る照明装置を示し、図3(a)は、照明装置の主要部を示す概略正面図、図3(b)は、同主要部を示す概略側面図であり、図3(c)は、第2の実施形態の変形例を示す照明装置の主要部の正面図である。
この第2の実施形態では、図3(a),(b)に示されるように、基板3の実装面とは反対側の面に、接して支持するように支持部材である受台5を設け、この受台5における基板3が接する面に、高い面精度を確保して、基板3上に実装した複数の発光素子2の発光面2Aの整列度を高く維持できるように、基板3の取付け面の平面度を高く設定した構成としている。
すなわち、発光素子2が実装された基板3を支持し所定姿勢に保持した台座である受台5は、少なくとも、基板3を形成した材料よりも高い剛性強度を有した材料を用いて、所定形状に形成され、その図示しない下方の基端が、同図には図示されない第1キャリッジ53の外形状を形成した図示しないケーシング部材や図示しないフレーム部材を介してケーシング部材に固定されている。この受台5は、同図(a)中の上面となる取付け面が、基板3の底面と同様な形状に形成されて同程度の所定面積を確保した傾斜面を構成している。
すなわち、トップビュータイプの発光素子アレイを用いた構成の場合には、これらの発光素子の発光面の整列度は、基板上での発光素子の実装精度に依存することになる。他方、サイドビュータイプの発光素子2のアレイ構成を用いた場合には、図4に示すように、発光に伴う僅かな発熱によって基板3に反りが発生してしまう。すなわち、熱の影響を受けた基板3における部分ごとの僅かな変形が累積して、結局、長手方向の末端となる図中の左端として示される一端が正常位置から浮き上がって、基板3のその長手方向の形状が、直線状ではなく、凹状となる湾曲した形状となってしまう。このため、基板3上に発光素子2を正確に設置して、実装精度を充分に確保したにも拘わらず、発光面2Aの整列度が低下してしまう。
そこで、この第2の実施形態では、面精度の良い部材に、サイドビュータイプの発光素子アレイとして実装した基板3を、添わせた構成とすることにより、これらの発光面2Aの整列度を良好に確保し維持するようにしている。
より詳細には、この第2の実施形態の照明装置1は、図3(a),(b)に示すように、基板3の接する面が面精度の良い部材を受台5とし、このように面精度を確保した受台5の面にサイドビュータイプの発光素子2を実装した基板3を添わせて、取付けるように構成している。すなわち、受台5における、基板3の下面となる対向面が接する面を、発光素子2の照射方向を規定した所定角度の姿勢を採らせる傾斜した取付け面に構成して謂わば光放射方向の設定機能だけを担わせるのではなく、この取付け面に平坦面として一様に高い面精度を確保して、この取付け面に、該放射方向にすべての発光素子2の発光方向を正確に同一方向に揃えて一致させる度合いを高め、かつ発光方向における発光位置も同一位置に揃えて一致させる度合いを高めて確保する規制機能を担わせるようにしている。
すなわち、基板3は、少なくとも、この発光素子2が設置される平坦な表面である実装平面3Aと、基板3が受台5に接する反対側の面である底面とは、所定の平坦面に形成されているだけではなく、互いに平行な面となるように形成されている。
また、基板3を押え付けるための部材は、合成樹脂などやわらかい材料の部材を使用したり、ネジ等による直止めをしたりするが、あくまでも整列度に関して主となる平面は前記受台5の面としている。すなわち、発光面2Aの整列度は、剛性強度を充分に確保して所定形状に形成した受台5において、その受台5に設けた取付け面の平面度に依存してこの受台5の取付け面によって厳密に規定されることになるので、基板3の反り等を防止して発光面2Aの整列度を良好に確保することができる。
また、この受台5は、少なくともその露出された表面が、低反射率の構成にするか、もしくは、黒色などの暗色による謂わば非反射の構成にするかの、いずれかとしており、これによって受台5も生成要因の1つにしたフレア現象を防止する対策をしている。
すなわち、たとえば低反射率の構成としては、金属材料で受台5を形成した場合、その表面に適宜の表面処理を施して少なくとも金属光沢を除去したり、適宜の表面処理によって表面を平滑面ではなく粗くして適度に粗雑な粗面化した構成にしてもよく、また、その表面を低い明度の着色塗料で塗装して低明度化した構成にしてもよく、これらを組合わせてもよい。他方、黒色などの暗色の構成としては、黒色のマイラーなどのように、該部材とは別部材の非反射特性を有したフィルム状部材で表面を覆って該表面に貼着などで定着させたり、つや消し処理などが施された無光沢の黒色に着色印刷したりしてもよい。
したがって、このような構成としない受台の表面が高反射の場合には、光源としての発光素子3からの光や、一旦他の部材で反射した光が、該受台における高反射の表面に入射して、その反射光が結像素子に入力され、フレアの発生要因となる可能性を排除できないのに対して、この受台5の表面を、低反射率や黒色の構成としたので、少なくとも前記のフレアを発生させる程度の反射光を得る反射率よりも低い反射率を該表面に必ず確保でき、これによって前記の可能性を確実に除外して、該受台5の表面を要因の1つにしたフレアを防止できる。
なお、この第2の実施形態では、発光素子2を実装した基板3を受台5に、この基板3の長手方向の数箇所でネジ6によるネジ止め固定して取付けた構成としたが、これに限られることなく、ネジ以外の適宜の各種の固定手段によって、受台5に、基板3を取付け固定してよい。
また、金属材料を用いて受台5を構成すれば、特にアルミニウム等の伝熱性に優れた軽合金材料で受台5を形成すれば、基板3からの熱が金属部分に効率的な伝達されて、該金属部分による効率的な放熱作用を得て、受台5を放熱部材に兼用させることができる。
すなわち、この第2の実施形態では、金属製の受台5とすることにより、上記の設定機能と規制機能との2つの機能に加えて、新たな受台5の第3の機能として、謂わば発光素子2を実装した基板3の冷却機能を受台5を担わせるように構成し、基板3の平面度を低下させてしまう基板3自体に対する熱的な影響をすみやかに除去するようにして、上記の発光面2Aの整列度を高く確保しこれらの発光面2Aそれぞれによる発光方向の同一度を維持できるようにしている。
すなわち、このように長板状の基板3は、その発光素子2を設置した実装面とは反対側の面を受台5に接する面にして、該基板3の外形状を構成した各面のうち、最も広い面を選択しており、これによって、基板3と受台5との接触面積をその一面接触で可能な限り広く確保する一方、基板3の反り等を阻止できる程度に基板3が受台5に強く固定されて、基板3と受台5とは密着するようにしている。したがって、基板3から受台5への熱伝達効率は、充分に高く確保できる。すなわち、基板3はその一面接触で可能な限り広く受台5に面接触し、かつ、この面接触で隙間を生じさせないように密着しているので、両者間の高い熱伝達効率が得られる。
そして、この金属製の受台5における基板3が接した面以外のすべての表面を、放熱面として作用させることができるとともに、この受台5を取付けた対象部材であるたとえば画像読取装置本体などのような他の部材にさらに伝熱させて、放熱することも可能となる。これらによって、基板3に熱が滞留して基板3が反り返る程度に基板3上に温度差が生じることを抑制でき、この結果として、該基板3に実装された複数の発光素子2における発光面2Aの整列度を良好に維持できる。
なお、このような金属製の受台5としては、所定形状に形成した板金加工品や、アルミの押出し材といった同一の横断面形状をその長手方向に連続した構成の押出し成形品などが、挙げられ、特に列設された発光素子2の発光面2A同士におけるその整列度に高精度が要請される場合には、精密な金型成形品であるダイキャスト成形品が、好ましい。
このように構成した第2の実施形態の照明装置によれば、発光素子2を実装した基板3が、面精度の良い支持部材である受台5によって保持されているので、発光素子2の発光面2Aの整列度を良くすることができ、リップルのない光を照射することができる。すなわち、たとえ基板3に反りやねじれがあっても、または反りやねじれが生じるような外力や熱的な影響を基板3に受けても、上記の受台5の高い面精度を確保した取付け面に、基板3を面状に密着させるように固定しているので、反りやねじれを解消するように矯正して、または反りやねじれが生じることを未然に回避して、受台5の取付け面と同様な基板3の面精度を確保できる。このため、該基板3上に配列されたすべての発光素子2の発光面2Aを、良好な整列度に保持できる。この結果、原稿面上におけるリップル成分の少ない照度を確保できる。
さらに、この第2の実施形態の変形例としては、図3(c)に示すように、段付きネジ7によって、基板3は受台5に、取付けてネジ止め固定した構成としてもよい。
すなわち、基板3のその長手方向における基板3上に実装された発光素子2を回避したいくつかの所定箇所には、その板厚方向に貫通孔が形成され、各箇所に対応した受台5の所定箇所には、同様に、基板3の貫通孔径よりも小径の貫通孔が形成されており、受台5のこれらの貫通孔には、それぞれ螺旋状のネジ溝が形成されている。
他方、段付きネジ7は、ヘッド部7aと太径部7bと小径部7cとがこの順序で同一軸線上に揃えられて一体に形成されており、ヘッド部7aには、基板3の貫通孔径よりも大径の寸法が設定され、太径部7bは、基板3の貫通孔径とほぼ同径の寸法が設定され、小径部7cには、受台5の貫通孔径とほぼ同径の寸法が設定されており、この小径部7cの外周面だけに、螺旋状のネジ山が刻設されている。
したがって、基板3を受台5に両者の貫通孔を略一致させるように位置決めし、同一中心線上に揃えられた各箇所の貫通孔に、それぞれ段付きネジ7を挿入して、各段付きネジ7をネジ止め方向に回転させれば、段付きネジ7の小径部7cが受台5の貫通孔に螺合して、両者は互いにその軸方向の相対移動が不可に嵌合され、これらの段付きネジ7によって、基板3上の数箇所を結合ポイントにして、基板3が受台5に固定される。このため、略長尺状部材としての基板3を、その長手方向で一様に、平坦面としての面精度を高く確保した受台5の取付け面に密着させて、受台5に固定できる。この結果、すべての発光素子2の発光面2Aによって規定される上記の整列度を、この取付け面によって充分に高く規制して維持することができる。
他方、段付きネジ7におけるその太径部7bの軸長方向の長さによって、段付きネジ7から基板3に供給する固定力を、精密に制御できるので、基板3の材質や上記の基板3の熱変形を勘案した両者間に必要な結合の程度などの諸条件に応じて、適切な固定力を確保できる。すなわち、基板3の板厚よりも太径部7bの軸長さを短くすれば、この短くした長さ分に応じた分だけ、ヘッド部7aが基板3をより強く受台5側に押圧するので、固定力を任意に設定できる。これとともに、この段付きネジ7は螺合部分である小径部7cよりも拡径された大径部を有しているので、大径部が熱の影響を受けてその軸長方向に長くなるように変形することが、謂わばヘッド部7a以外の全長に渡って螺合部分と同径に構成された単一径のネジに比べて、その熱容量が大きいことからも緩和され、また太径部7bと基板3とは両者間のある程度の滑りを許容して太径部7bの軸長が変化しても該変化が直接的に基板3に伝達されずに済んでおり、これらによって、熱の影響による固定力の減少を抑制できる。
したがって、このように構成した第2の実施形態の変形例によれば、段付きネジ7によって、基板3を受台5に、ネジ止め固定したので、上記した発光素子2の発光に起因した基板3の熱変形を阻止して、その発光時にも、発光面2Aの整列度を、確実に高く保持することができる。
なお、段付きネジ7としては、ネジ止め作業およびネジ止め解除作業の際に、ドライバやプライヤなどの工具を必要とせずに、作業者の手動操作でネジ止めおよび解除が可能な「手動式ネジ」である蝶型段付きネジを、用いてもよい。すなわち、具体的には、段付きネジ7のヘッド部分を、作業者が手動操作で把持して回転させることが可能な程度の大きさに形成した段付きネジの構成としてもよい。したがって、この蝶型段付きネジを用いた場合には、前記の2つの作業が容易化され、組立て作業性を向上できるとともに、実際の装置使用時に、発光素子2や基板3が故障した際には、部品交換による修理も容易化されて、保守整備性の向上が図れる。すなわち、発光素子2および基板3からなる故障部品を、工具を用いることなく手動操作で取り外し、および新品部品を取り付けることができる。
さらに、上記の第2の実施形態とこの変形例との両者では、基板3の実装面3Aとは反対側の面に、接して支持するように支持部材である受台5を設けたが、基板3の実装面3Aに、接して支持するように支持部材である受台5を設けた構成としてよい。すなわち、受台5を基板3の上部に位置させて、基板3のその発光素子2を設置した実装面3Aのうち、発光素子2やその他の電気部品を設置した表面以外の表面が、受台5に接するように、受台5側の取付け面を構成し、かつ、取付け面に上記の面精度を確保して、この受台5に、適宜、発光素子2を実装した基板3を、上記のネジ6や段付きネジ7を用いて、取り付け固定してもよい。
次にこの発明の第3の実施形態を説明する。なお、上記の第1実施形態と同一の構成部材には、同一の符号を付して、説明を省略または簡略化することにする。すなわち、特に記載しないが、この第3の実施形態で説明しない構成や図示しない構成、つまり画像読取装置や画像形成装置の構成、および各装置の動作は、上記の第2実施形態と同一とされている。図5は、この第3の実施形態の照明装置を示し、照明装置の主要部を示す発光素子を所定に配列して実装した基板を該基板実装平面に対面するように視た平面図である。
この第3の実施形態では、基板3上における発光素子2の配列間隔を所定に設定することによって、導光部材等を使用しなくても、被照射面としての原稿の原稿面をリップルなく照射できるようにしている。
すなわち、この第3の実施形態の照明装置1は、図5に示すように、発光素子2のピッチ間隔をP、発光素子2の相対光度が0.5となる放射角度をθ、被照射面までの距離をLとしたとき、L=P/(2・tanθ)以内となるように、各発光素子2を基板3上に配置する構成とした。
換言すれば、該発光素子2に固有な発光特性に基づき、発光素子2の発光中心線上の光度を基準にして相対光度が0.5となる角度範囲を示した放射角度がθであり、発光素子2の発光面2Aから被照射面としてのコンタクトガラス52上に載置された原稿の原稿面までの距離がLである場合には、基板2平面上の発光素子2の中心同士の間の距離としてのピッチ間隔を、上記の関係式によって決定されるP以下の値を、任意に選択するようにしている。より詳細には、発光素子2の発光面2Aから被照射面に到達した発光中心線上の照射光を計測し、この計測した照度を1とし、この被照射面における、1とした照度に対して0.5以上となる照度が計測される範囲を判別して、この範囲の境界が、発光中心線に対してなす角度を放射角度θとする。
したがって、導光部材等を使用しなくても、被照射面である原稿面をほぼムラなく照射することができる。
すなわち、換言すれば、発光素子2の発光特性と、発光素子2の発光面2Aから被照射面までの距離とに基づき、謂わば被照射面における、ある発光素子2の相対光度が0.5になる照射範囲に対して、隣の発光素子2からの照射光については、その相対光度が0.5よりも低い照射光が入射するように、発光素子2の設置間隔を設定したので、前記の照射範囲での照度分布を均一化することができる。謂わば、ある発光素子2の照射範囲において、その発光方向の中心線から離れるほど弱まる照度を、隣の発光素子2の照射光で補完することができ、しかも謂わばこの重複させる境界線の基準を、相対光度0.5を選択しているので、補完する光同士における照度をバランスさせることができ、結果として、少なくともそれぞれの発光素子において照度の基準とした発光中心線を起点にして照度が相対値として0.5になるまでの照射範囲での照度を、発光中心線上の照度1となるように揃えて、均一化することが可能となる。つまり、相対光度の略中央値である0.5を基準にしたある発光素子2の照射範囲において、この範囲境界から、この発光素子2の中心線に向うほど強まる照度を、概略これに応じて該方向に向うほど弱まる隣の発光素子2の照度によって、補償できる。
このように構成した第3の実施形態の照明装置によれば、導光部材を不要できるので、導光板を保持するための関連部材も不要となり、部品点数を削減できて、導光部材および関連部材に要する部品コストを削減できるとともに、これらの導光部材および関連部材を所定に組付ける手間を省けて組立てコストも削減され、照明装置として、コストダウンが図れる。
すなわち、照度均一化手段や導光部材等を、発光素子と被照射面である原稿面との間に介在させなくても、この照明装置によれば、発光素子の配列間隔を所定に設定して隣り合った発光素子同士で、原稿面上の照度が一定値の均一な照度になるように補償し合うことができ、これによって原稿面をほぼムラなく照明できる。このため、照度均一化手段や導光部材を追加することなく、光源の構成として最小限の構成を維持しながら、照度の均一化作用が得られる。このように、追加部材を不要としながら、照度の均一化作用が新たに得られるので、照明装置としての構成は、より一層の簡素化が図れることになる。
他方、照明装置を構成する部品点数を削減できて、構造が簡略化されるので、特に、このように画像読取り時に移動される可動部としての第1キャリッジ部に搭載された照明装置としては、この移動に起因して該照明装置内にトラブルが生じることを回避できるとともに、その移動の際に急発進や急停止させても該装置内のトラブル発生を抑制できて、高速移動させたことによる読取り時間の短縮を図ることも可能となる。
さらに、このように上記の式に基づき、ほぼムラなく照射できるピッチ間隔Pを判定し、基板上に実装する発光素子の個数を決定できるので、過不足ない最適な個数を選択できる。
次にこの発明の第4の実施形態を説明する。なお、上記の第2実施形態と同一の構成部材には、同一の符号を付して、説明を省略または簡略化することにする。すなわち、特に記載しないが、この第2の実施形態で説明しない構成や図示しない構成、つまり画像読取装置や画像形成装置の構成、および各装置の動作は、上記の第2実施形態と同一とされている。図6は、この第4の実施形態の照明装置を示し、(a)は、照明装置の主要部を示す発光素子を所定に配列して実装した基板を該基板実装平面に対面するように視た平面図、(b)は、同主要部を示す正面図、図7は、この第4の実施形態に対比する従来構成の照明装置を示し、(a)は、従来構成の照明装置の主要部を示す平面図、(b)は、従来構成の同主要部を示す正面図である。
この第4の実施形態の照明装置1は、基板3上での発光素子2の固定箇所を発光方向に前進させた位置とすることによって、発光素子2の発光面2Aと基板端部3Cとの相対位置を変更し、基板端部3Cによる光の損失を少なくした。つまり、基板端部3Cの形状を変更することなく、両者の相対位置を変更するだけで、照明に供されない光の損失量を低下させるようにしている。
すなわち、図7に示すように、基板3の周縁である基板端部3Cから、発光素子2の電極2bつまりこの電極2bが電気的に接続される基板3上の接続箇所である基板3に設けたパッド3bまでの間隙距離としての間隔は、はんだの流出によるショートを回避する、および実装を容易化するという要請に基づいた観点から、0.8mm程度の間隔を、必要最小限、確保する必要がある。
このため、発光面2A側に電極2bを有した発光素子2を使用した場合、発光面2Aから基板端部3Cに至るまでの基板表面領域によって原稿面の照射に供される光のうちの一部が遮られてしまい、原稿面の照度が低下していた。すなわち、基板3側の接続端子である電極パッド3bの位置は、前記の基板端部3Cから0.8mm程度の間隙距離を設けて、固定配置されているのに対して、発光素子2側の接続端子である該発光素子2が有した接続端子としての電極2bは、該発光素子2上の発光面2A側に近い箇所に配置されているので、前記のはんだ付けなどで両者を電気的に接続した場合には、基板端部3Cから離れた基板3上の位置に、発光面2Aが位置することになる。
そこで、この第4の実施形態は、このような基板端部3Cによる光の損失を少なくするため、図6に示すように、発光面2Aとは離れた反対側に電極2bを有した構成の発光素子2を用いて、上記した発光素子2の基板3への電気的な接続箇所の制約を緩和して、この発光素子2の発光面2Aを基板端部3Cに、より近づけて位置させるように、発光素子2を設置している。すなわち、少なくとも、この発光素子2は、発光面2Aと反対側の背面に近い該発光素子2上の箇所に、接続端子である電極2bを突設した構成としている。
より詳細には、発光素子2側の電極2bを、発光面2Aとは離れた反対側に移動した発光素子2上の箇所に配置した構成の発光素子2を、基板3に実装している。なお、基板3上の電極パッド3bの位置は、変更せずにそのままにしている。
したがって、この構成の場合には、基板3の構成を変更することなくそのまま用いて、上記の基板端部3Cから基板3上の接続箇所を、たとえば0.8mm以上の間隙距離を確保して、発光素子2および基板3の双方の電気的な接続端子を接続でき、この接続のための、はんだ付けなどを良好かつ確実にでき、かつ、容易に実装できるうえ、発光素子2の発光面2Aを、基板端部3Cに近づけて位置させることができる。
このように構成した第4の実施形態の照明装置によれば、基板端部に発光面を近づけることができるので、基板端部による遮光が少なくなり、この少なくなった分だけ、原稿面における照度の低下を防ぐことができる。すなわち、発光面と基板端部との間の距離を短縮できるので、少なくとも、照明に供される照射光のうち、発光面と基板端部との間に介在した基板表面が遮光部となっていたことによる光の損失量を削減できる。換言すれば、発光面の前方に位置した、発光面から基板端部に至るまでに相当する基板表面領域の面積を減少でき、この減少した分だけ、遮光量を低下して、原稿面における照度の低下を抑制できる。
特に、この実施形態では、基板自体には、なんら形状的な加工も所定の処理を施さずに、一般的な基板をそのまま用いることができるので、コスト面で有利となる。すなわち、基板の接続端子位置を変更せずに、発光素子の接続端子位置を該発光素子上で発光面から離れる方向に所定量変位させた構成にすれば、この所定量の分だけ、発光素子を基板端部側に前進させて該基板上に設置できる。
また、発光素子の種類によっては、つまり発光素子上での発光面から接続端子までの距離で区別した種類によっては、照明光に関連した位置関係として、基板の端部に発光素子の発光面をほぼ同一位置に揃えるか、もしくは、端部から発光面を突き出すか、のいずれかとでき、これらのいずれによっても、上記した基板端部による光損失を実質的に皆無とすることができる。
次にこの発明の第5の実施形態を説明する。なお、上記の第2実施形態と同一の構成部材には、同一の符号を付して、説明を省略または簡略化することにする。すなわち、特に記載しないが、この第5の実施形態で説明しない構成や図示しない構成、つまり画像読取装置や画像形成装置の構成、および各装置の動作は、上記の第2実施形態と同一とされている。図8は、この第5の実施形態の照明装置を示し、図8(a)は、この第5の実施形態の照明装置における傾斜部を設けた主要部を示す正面図、図8(b)は、同照明装置における曲率部を設けた主要部を示す正面図、図8(c)は、半値角を説明するための概念説明図、図8(d)は、この第5の実施形態の照明装置の変形例を示し、全体構成の概略正面図である。
この第5の実施形態では、基板端部3Cによる光の損失を少なくするために、図8(a)に示す傾斜部8か、図8(b)に示す曲率部9か、のいずれかを、通常の基板3の角状の基板端部3Cの替わりに、発光素子2の発光部側の基板端部3Cとして、発光素子2の発光面2Aの前方に位置させて設けている。
すなわち、この第5の実施形態の照明装置1では、基板3に発光素子2を実装し、次にこの発光素子2を実装した基板3の基板端部3Cを、直線的な除去加工である面取り加工、もしくは、曲面形成するための除去加工である丸め加工を施して、基板3上にその横断面形状として、傾斜部8か曲率部9か、のいずれかを形成している。謂わば、基板端部3Cを削り取って、この基板端部3Cの替わりに、傾斜部8か曲率部9か、のいずれかが、発光面2Aの前方に位置するようにしている。つまり発光面2Aから光が進む方向での発光面2Aの前方位置かつ発光方向の中心線に対して所定の角度線に接しないように該角度線から所定に離れるように、傾斜部8か曲率部9か、のいずれかを設けた。
より詳細には、傾斜部8または曲率部9は、発光素子2の半値角で規定された該発光素子2に固有な発光範囲の外に位置するように、設けられている。
この「半値角」の意味は、以下のとおりである。図8(c)は、発光素子2の出射光の配光分布を示す説明図である。この配光分布は、発光素子2の発光面2Aの中心点を通る法線に沿った一仮想面上において、その発光面2Aの中心点から等距離にある該仮想面上の各地点の光量レベルを上記法線上に位置する地点の光量レベルを100としたときの、相対値で示したものである。すなわち、図8(c)のグラフは、発光面2Aの中心点から該発光面2Aに直交する方向に延在された基準線を起点にして、この基準線から仮想面上における同図中の右側の90度の角度範囲までの光量レベルの変化を相対値で示すとともに、同図中の左側の90度の角度範囲までの光量レベルの変化を、相対値で示している。
なお、発光素子2は、その法線上に位置する地点で最大光量を発生させることになる。発光素子2が理想的な配向分布をもつものであれば、発光素子2の出射光の配光分布は円形になるが、この実施形態の発光素子2では、同図に示すように楕円状となる。
そして、同図中の光量レベルが50すなわち最大光量の半分となる地点から発光面2Aの中心点までを結ぶ仮想直線と、この発光面2Aの中心点を通る法線と、がなす角度γ0を、半値角という。
なお、曲率部9としての湾曲面は、所定半径を設定した円弧状でも、所定の長軸および短軸の長さを設定した楕円弧状でも、その他の曲線で形成した弧状の断面形状を有してもよく、これらの曲率部9を、直線状の傾斜部8はその一部として、部分的に含んでいてもよい。また、適宜、発光素子2を設置する前に、予めこれらのいずれかを基板3に形成しておいてもよい。
このように構成した第5の実施形態によれば、遮光部としての基板端部の替わりに、傾斜部か曲率部かのいずれかを設けているので、基板端部に起因した光の損失を少なくすることができる。すなわち、画像読取に供されずに失われていた光を、傾斜部または曲率部を設けたことにより、概略、被照射面方向に向わせることができる。換言すれば、発光面から放射される半値角内の主要な強度の発光を、遮断することなく、そのまま被照射面に到達させることができる一方、半値角を越えた残余の低い発光を、傾斜部か曲率部かによって反射して、被照射面に向わせることができる。このため、発光面から放射された発光の全体量のうち、画像読取に供される率を増加できる。特に、曲率部の構成とした場合には、この曲率部の曲面によって光が反射されるので、この反射光は適度な拡散光となって、被照射面としての原稿面側に向うことになり、該原稿面上での一様な照度アップが図れる。
また、単なる曲率部とした場合、および発光素子側に部分的な曲率部を形成した傾斜部とした場合には、発光素子が接した基板の面から、連続的になめらかに変化して、曲率部および傾斜部に向うようにしていることから、なんらかの理由で発光素子が曲率部および傾斜部側にずれて押圧されても、この発光素子が当接してしまう角部が形成されてないので、発光素子が損傷することを防止できる。
なお、上記の第4の実施形態と、この第5の実施形態とを組合わせた構成としてもよい。すなわち、第4の実施形態において、発光素子2を基板端部3C側に、この基板端部3Cと発光素子2の発光面2Aとの間に基板表面部分がある程度残るように、前進させて設置し、かつ、この残余の表面部分を除去するように、適宜の上記の加工を施し、この第6の実施形態の傾斜部8か、曲率部9か、のいずれかを形成した構成としてもよい。
さらに、この第5の実施形態の変形例を説明する。すなわち、図8(d)に示すように、この変形例では、反射部11を設け、この反射部11によって、被照射面としての原稿面から離れる方向側に向う発光素子2の発光を反射して被照射面に向わせるようにしており、上記したいずれかの傾斜部8または曲率部9は、上記の発光素子2の半値角で規定された位置ではなく、発光面2Aと該反射部11の反射面とを結んだ線Bを遮らない外側の位置を占めるように、設けている。つまり、発光面2Aと反射部11が形成した反射面とを最短経路の直進進路で結んだ線に、接することなく、この線上を進む光を遮らない位置を占めるように、傾斜部8か曲率部9かのいずれかを設けた。謂わば、コンタクトガラス52に向わない発光を、新たに設けた反射部11によって捕捉できるように、この反射部11に対する遮光部となる基板端部を除去して、この基板端部の替わりに、傾斜部8または曲率部9を形成した。
より詳細には、上記のように結んだ線Bから退避するように形成した傾斜部8または曲率部9に加えて、反射板などで構成した反射部11は、読取り光軸Aを中心にして、発光素子2の発光面2Aに対峙して設けられている。すなわち、反射部11は、読取り光軸Aに干渉しない位置に、原稿読取範囲に向わせる所定の傾斜姿勢を確保して固定配置されている。
したがって、傾斜部8または曲率部9が未形成の基板端部3Cによって以前は通過を阻止されていた、被照射面から離れる方向に向う発光素子2の発光が、その反射面を形成した反射部11に到達し、そしてこの反射部11によって、所定方向に反射され、被照射面としての原稿読取範囲に向わせることができる。
このように構成した第5の実施形態の変形例によれば、傾斜部8または曲率部9が未形成の以前の基板端部3Cによって損失していた光を、傾斜部8または曲率部9の反射作用の代替手段としての反射部11によって、被照射面としての原稿読取範囲に、向かわせることができる。このため、基板3上に形成した傾斜部8または曲率部9に比べて、反射部11はその構成上の制約が少ないので、より多く基板端部3Cを除去加工して、より大きな反射面を形成するなどによって、傾斜部8または曲率部9が未形成な以前は損失していた光をより多く捕捉して、原稿読取範囲に向わせることが可能になるとともに、反射部11は、捕捉した光を、原稿読取範囲に向う角度にその反射角度を、より適切かつ正確に設定できる。この結果、原稿読取範囲における照度アップに貢献でき、発光素子2が生成した発光の利用効率を高めることが可能となる。
次にこの発明の第6の実施形態を説明する。なお、上記の第2実施形態と同一の構成部材には、同一の符号を付して、説明を省略または簡略化することにする。すなわち、特に記載しないが、この第6の実施形態で説明しない構成や図示しない構成、つまり画像読取装置や画像形成装置の構成、および各装置の動作は、上記の第2実施形態と同一とされている。図9は、この第6の実施形態の照明装置を示し、図9(a)は、照明装置の主要部を示す平面図、図9(b)は、同主要部を示す正面図である。
この第6の実施形態は、基板3における基板端部3Cの形状を変更することなく、上記した基板端部3Cによる光の損失を少なくし、このように光をそのまま損失させることなく照明に供される光として再利用が図れるようにしている。
すなわち、上述したように、各種の電気部品を搭載して回路を構成する基板3は、少なくともその地色が、緑色等の暗色であることが多く、一般的な基板3とされている。
このように一般的な緑色などの基板3を使用した場合には、第3の実施形態に記したように、基板端部3Cと発光素子2の発光面2Aとの間に介在した基板3上の表面部分によって、発光面2Aからの照射光のうち、その一部が減殺されていた。すなわち、発光面2Aから前記の基板3の表面部分に向けて照射された光は、たとえ、この表面部分で反射されて原稿面に向う照射光になるとしても、該表面部分は暗色なので、この反射した照射光の強度は弱まることになる。
他方、白色などの明色状の基板3は、上記したように、あまり一般的でないので、このような明色状の基板3たとえば白地の基板3を、照明装置に採用すると、この基板3自体のコストが嵩み、照明装置全体のコストアップを招いてしまう。
そこで、この第6実施形態の照明装置1では、図9に示すように、文字や線を印刷するのに用いるシルク印刷を、印刷色として白色を選択して、基板3上における前記表面部分である端部周辺に施し、発光素子2を基準にして発光素子2の発光面2A側に位置した基板端部表面の所定領域13を、高反射率の構成とした。
すなわち、基板3上の所定領域部分13に対して、あらかじめ簡易で低コストなシルク印刷を施し、このシルク印刷の印刷色として、白もしくは白に類似した明るい色が、選択されている。より詳細には、基板3上における該基板3に設置される発光素子2の発光面2Aと端部との間で、かつ、その端部が属した基板3周縁部の長手方向に沿って、略帯状に、明色のシルク印刷が施されており、該基板3上の発光素子2の配置に応じて、該基板3上におけるその長手方向の一端から他端まで連続した略帯状の領域部分が、高反射率に形成されている。
したがって、このように上記した基板3から原稿面に向う反射光に影響を与える基板端部3Cの所定領域部分13に、白色シルク印刷を施した構成にすれば、該表面部分13の反射率が高くなり、光損失を少なくできるので、緑色等の低反射率となる基板3を使用しても、基板端部3Cに起因した光損失を防ぎ、所謂、光を再利用することができる。すなわち、遮光部となっていた以前の基板端部3Cで失われていた光を、このように高反射率の構成とした所定領域部分13によって、強く反射して画像読取りに供することができるという意味で光の再利用が図れる。謂わば、破棄されていた光を回収して有効に利用している。
このように構成した第6の実施形態の照明装置によれば、緑色等の一般的な基板3を用いて、発光素子の発光面からその照射方向に進む前方に位置した基板端部の表面部分に明色印刷を施して該表面部分に高反射率を確保した構成としたので、低コストな明色印刷を所定に施すだけで、一般的な緑色などの暗色状の基板をそのまま用いて、該表面部分からの反射光を強化して、原稿面の照明に供することができ、コスト上昇を抑制しながら、原稿面の照度アップが図れる。
他方、組立て時や、故障や定期点検などの部品交換時に、発光素子が実装された基板を受台に取付ける際には、この基板の向き、つまり該基板上の発光素子の発光方向を、表面部分の着色によって作業者に明示でき、作業者の取付けミスを防止できる。すなわち、発光面から前方に位置して基板地色と異なる色に着色された基板端部の表面部分を、作業者に、発光素子と基板とからなる一体構成物としてのその発光方向を指示した標識として用いることができる。
なお、上記の第4の実施形態と、この第6の実施形態とを組合わせた構成としてもよい。すなわち、第4の実施形態において、発光素子2を基板端部3C側に、この基板端部3Cと発光素子2の発光面2Aとの間に基板表面部分がある程度残るように、前進させて設置し、かつ、この残余の表面部分に、適宜、この第6の実施形態の明色印刷を施した構成としてもよい。したがって、この構成によれば、発光素子2の電極2bが、その発光素子2上で発光面2A側からなんらかの理由で充分な程度に離れるように位置変更できない場合や、基板3側のなんらかの理由で発光素子2の位置が変更できない場合、前記したような残余の表面部分が生じても、この表面部分に明色印刷を施すことによって、該表面部分が遮光部分となることを抑制できる。
また、上記の第5の実施形態と、この第6の実施形態とを組合わせた構成としてもよい。すなわち、第5の実施形態において、基板3に所定に形成した傾斜部8か、曲率部9か、のいずれかの表面に、適宜、この第6の実施形態の明色印刷を施した構成としてもよい。したがって、この構成によれば、半値角を越えて傾斜部8か曲率部9かの表面に入射した弱い光を、明色印刷を施さない表面に比べて、より多く反射でき、照度アップに貢献できる。さらに、第4ないし第6の実施形態を、適宜、組合わせた構成としてもよい。
次にこの発明の第7の実施形態を説明する。なお、上記の第2実施形態と同一の構成部材には、同一の符号を付して、説明を省略または簡略化することにする。すなわち、特に記載しないが、この第7の実施形態で説明しない構成や図示しない構成、つまり画像読取装置や画像形成装置の構成、および各装置の動作は、上記の第2実施形態と同一とされている。図10は、この第7の実施形態の照明装置の主要部を示す正面図である。
この第7の実施形態は、基板3に実装した発光素子2における少なくとも発光面2Aを除いた部分をカバーするカバー部材15を設けることによって、基板3を受台5に、安定して保持するとともに、副走査方向における照明範囲以外の発光素子2からの発光を確実に排除して、よりフレア防止が図れるようにしている。
すなわち、第7の実施形態の照明装置1では、図10に示すように、このカバー部材15は、基板3よりも所定に柔らかく、かつ、適宜の遮光性を有した材料を用いて、少なくとも基板3の長手方向の長さと同程度の長さ寸法と発光素子2の高さよりも厚い厚さ寸法とを確保した長板状の長尺部材に構成され、その基板3に対向した面における、基板3上に実装された各発光素子2に対向した箇所には、該発光素子2の外形状に応じた内形状に形成されて発光素子2を収容可能な凹部が形成され、また基板3および受台5に設けた各貫通孔に対応した各箇所には、貫通孔が形成されている。なお、カバー部材15における発光素子2の発光面2Aに近い周辺部分は、同図中に水平な一点鎖線で示されたコンタクトガラス52の下面との間隙距離を規定した線を越えないように切り欠かれている。
したがって、カバー部材15とネジ6とを用いて、発光素子2を実装した基板3を、受台5に取付け固定する際には、基板3を受台5に載置し、この載置した基板3にカバー部材15をさらに載置して、これらの3者の貫通孔を略一致させるように位置決めし、同一中心線上に揃えられた各箇所の貫通孔に、それぞれネジを挿入して、各ネジ6をネジ止め方向に回転させれば、ネジ6の小径部が受台5の貫通孔に螺合して、両者が互いにその軸方向の相対移動が不可に嵌合され、これらのネジから供給される押圧力が、カバー部材15を介して、基板3に伝達されて、基板3が受台5に固定される。このようにカバー部材15から基板3に押圧力が伝達される際には、カバー部材15が基板3に比べて適度に柔らかい材料で形成しているので、カバー部材15側の接触面が、基板3側の接触表面に追従するように適度に変形して、これにより両者間の接触面積を広く確保できて、押圧力を局部的に集中せずに伝達できるとともに、基板3の無用な損傷を防止できる。
したがって、略長尺状部材としての基板3を、その長手方向の全域に渡ってより一層の均一的に、平坦面の面精度が高い受台5の取付け面に密着させて、受台5に固定できる。この結果、発光面2Aの整列度を、この取付け面によってより一層の高い精度に規制し、かつ、安定的に保持することができる。
また、カバー部材15は、少なくとも、このように取付けた状態でその外部に面して露出された表面が、上述した受台5と同様に、低反射率の構成にするか、もしくは、黒色などの暗色による謂わば非反射の構成にするかの、いずれかとされ、これによって、カバー部材15の表面によるフレアを防止するようにしている。すなわち、このようなカバー部材15の表面は、その遮光性の材料で得られる反射率よりも、少なくとも、低反射率の構成か、謂わば非反射の構成か、のいずれかとされ、上述した受台5と同様に、適宜の表面処理や着色が施されたり、非反射の別部材で覆われたりしている。したがって、発光素子3からの光や、一旦他の部材で反射した光が、このように構成した表面に入射しても、少なくとも、上述したフレアを発生させる程度には反射せずに済み、該カバー部材15の表面を生成要因の1つにしたフレアを確実に防止できる。
このように構成した第7の実施形態の照明装置によれば、基板3を受台5に、安定して強固に保持できる。すなわち、謂わば、このようにカバー部材15を介して、発光素子2を実装した基板3を、受台5にネジ止め固定していることから、基板3を受台5に、ネジで直接固定した構成に比べて、基板3を受台5側に押し付ける固定力を供給する部材として、カバー部材15と基板3との接触面積を大幅に拡充できるとともに、該接触面は、基板3の長手方向に連続した面となる。このため、より安定して受台5が基板3を保持できるとともに、該基板3に対して、その長手方向の全域で変動が小さいある程度均一化した押圧力を供給できる。より詳細には、上述した第2の実施形態のように、ネジで直接固定した構成では、該ネジのヘッド部7aが、基板3に接するリング状の面が押圧面となり、しかも基板3の長手方向における間欠的なスポット状の箇所に分散しているのに対して、この第7の実施形態のように、カバー部材15を介して、ネジ止め固定した構成では、基板3の長手方向に一貫して連続する押圧面を確保でき、少なくとも、カバー部材15にネジが接した箇所を中心にしてカバー部材15が基板3に接した周囲の面状部分に押圧力を伝達することができる。
したがって、基板3を受台5の取付け面により密着させて、取付け面の面精度により添わせることができ、基板3に実装した発光素子2におけるすべての発光面2Aについての整列度を、より一層高く確保できる。このため、原稿面上の照射範囲における主走査方向の全域に渡って照度の変動幅をより低減させることができる。この結果、読取り画像の品質を、より一層の高品質化が図れる。
なお、単なるネジの替わりに、上述した段付きネジ7を用いてもよく、さらに単なる段付きネジ7の替わりに蝶型段付きネジ7を用いてもよく、これらの場合のいずれも、ヘッド部7a以外の径が2段階で変わるのではなく、カバー部材15を追加したのに応じて3段階で変わるように構成してもよい。したがって、これらの場合には、少なくともそれぞれの構成に対応した上述した作用効果が得られる。同様に、上述した第2の実施形態以降の第3ないし第6の実施形態の照明装置1のいずれにも、適宜、段付きネジ7や蝶型段付きネジを適用してよい。
他方、基板3自体の厚さ方向の変形に関する剛性強度が低い薄型の基板3を用いても、連続的な押圧面が確保されていることから、この薄型の基板3に実装した発光素子2の発光面2Aの整列度を充分に確保できる。すなわち、薄型の基板3は、高い面精度を確保した受台5の面に、より柔軟に追従して変形できるので、発光面2Aの整列度を、より良好に確保できる。他方、基板3単体での薄型軽量化を図ることもできる。
また、基板3が許容できる大型のネジを用いて、この大型ネジから供給する押圧力を強化する一方、ネジ止め箇所同士の間隔を広げることにより、取付けに必要なネジの個数を削減した取付け構成にすることも可能となる。したがって、この構成の場合には、削減した個数に応じて、基板3の取付け取外しの際の作業の手間を軽減でき、上述した組立て時や定期点検時での、作業性や保守整備性を、より一層向上させることができる。
また、発光素子2の発光特性やその構造にもよるが、発光素子2の上面とこの上面に最も近いガラス下面つまり原稿面との間には、必ずカバー部材15が介在されて、このカバー部材15によって、発光素子2の上面から前記の原稿面側に直接的に向う漏洩光を、確実に遮断できるので、この漏洩光が、副走査方向における所定の照明範囲に影響を与えることを皆無できる。この結果、よりフレア防止が図れる。
さらに、少なくともカバー部材15によって、このように発光素子2の上部部分が露出されずにカバーされ、保護できるので、コンタクトガラス52自体を交換修理する場合などに、発光素子2の不要な損傷を防止できる。また同様に、この発光素子2を実装した基板3も、カバー部材15によって、ほぼカバーされるので、基板3の損傷防止が図れる。
なお、この第7の実施形態のカバー部材15は、上述した第2の実施形態以降の各実施形態の照明装置1のいずれにも、適用して追加してもよく、それぞれの実施形態の作用効果に加えて、上記したカバー部材15の作用効果が得られる。
上述した各実施形態の照明装置1においては、導光板を除外した構成としたが、適宜必要があれば、導光板を追加した構成としてもよい。すなわち、図11に示すように、発光素子2の発光面の前方位置に導光板17を設けた構成としてもよい。
なお、各実施形態においては、それぞれの実施形態の照明装置を有した画像読取装置の構成として、コンタクトガラス上に載置されて固定された原稿面に対して、画像読取り部が所定に移動して、読取り画像を得るようにした画像形成装置に適用した例を説明したが、手動で原稿面上を移動させて読取り画像を得るようにしたハンディ・スキャナなどの画像読取り装置に適用してもよく、これとは逆に、画像読取り部が固定され、適宜、原稿が画像読取り部の近傍を所定に移動して通過するように構成した画像読取り装置や画像形成装置の構成に適用してもよく、これらの両方を適宜、組合わせて両方が移動するようにした画像読取り装置や、この画像読取り装置を搭載した画像形成装置に適用してよい。すなわち、原稿面を走査する方式に依存することなく、適用してよい。
また、各実施形態の照明装置を有した画像読取装置を備えた画像形成装置として、結像素子(撮像素子)を用いて読取り画像を電子化し以降の画像形成処理するデジタル複写機に適用した例を説明したが、アナログ複写機に適用してもよい。
さらに、複写機、ファクシミリ、画像読取り機能を有したプリンタ、およびこれらのいくつかを組合わせた複合機である画像形成装置に適用した例を説明したが、このような画像形成装置だけではなく、フィルムスキャナなどのように、画像読取装置を搭載した適宜の装置構成に適用してよく、それぞれの装置構成で、上記した作用効果を得ることができる。すなわち、画像形成装置以外の、画像読取装置を搭載した構成としては、たとえばほぼ平坦面状の対象物や平坦状の部位を有した対象物を観察し該対象物の変化を該変化が反映された物理量を計測して記録する観測機器や実験機材などのように、その主要な機能として、画像読取り機能ではなく計測や記録機能を有して、補助的な機能として対象物自体や対象物の平坦部分の画像を読取り記録する機能を有した構成であれば、適宜、広く適用してよい。
たとえば、黒板面に描かれた文字や図像などからなる原稿画像を、画像読取装置で読取って適宜、記録したり、印刷物を作成したりするように構成した電子黒板に、採用してもよい。特に、電子黒板に採用した画像読取装置に用いる照明装置としては、上述したように、原稿面としての黒板面を基準にしてこの黒板面からの厚さ方向が薄型の照明装置となるので、この照明装置のために、単なる黒板としての厚みを不用に増加させずに済み、単なる黒板としての違和感を解消できる。
請求項及びに記載の発明によれば、基板の実装面の発光部側の端部を高反射率の構成にしているので、基板端部による光の損失を少なくし、それを再利用することができる。すなわち、基板端部で失われていた光を、反射して画像読取りに供することができるという意味で光の再利用が図れる。
請求項及びに記載の発明によれば、基板をより安定化して保持できるとともに、カバー部材によって、フレアの要因となる余計な光が被照射面に向うことを防止できる。
請求項に記載の発明によれば、画像読取装置が、前記請求項1ないしのいずれかの照明装置を備えているので、少なくとも、上記請求項1に記載した作用効果を得ることができる。
請求項に記載の発明によれば、画像形成装置が、前記請求項記載の画像読取装置を備えているので、少なくとも、上記請求項1に記載した作用効果を得ることができる。すなわち、少なくとも画像読取装置を薄型化でき、省スペース消費化が図れるので、画像読取装置周囲に位置した他の部材や装置を圧迫せずに済む。
また、請求項に記載の発明によれば、画像形成装置が、画像読取装置の直下に排出トレイを有して、この排出トレイ上に、読取り画像に基づき形成した画像が定着された記録媒体を排出し、また積層して載置できるようにした構成となっているので、この排出トレイ周辺のスペースをより大きく確保でき、排出トレイ上の記録媒体を使用者が取出しやすくなる。また、多数の記録媒体を積層して一時的に保管でき、これらによって画像形成装置としてその利便性の向上が図れる。
この発明の第1の実施形態を示し、この第1の実施形態の照明装置を用いた画像形成装置の概略全体構成を示す斜視図である。 この第1の実施形態を示し、この第1の実施形態の照明装置を用いた画像読取装置の概略を示す断面図である。 この第1の実施形態を示し、照明装置の主要部を示す概略正面図である。 この第1の実施形態の照明装置の主要部を示す被照射側から照明装置の主要部を視た概略側面図である。 この発明の第2の実施形態を示し、照明装置の主要部を示す概略正面図である。 この第2の実施形態を示し、同主要部を示す概略側面図である。 この第2の実施形態の変形例を示す照明装置の主要部の正面図である。 この発明の第2の実施形態に係る比較例を示し、従来構成の照明装置の主要部を示す概略側面図である。 この第3の実施形態の照明装置を示し、照明装置の主要部を示す発光素子を所定に配列して実装した基板を該基板実装平面に対面するように視た概略平面図である。 この発明の第4の実施形態を示し、(a)は、照明装置の主要部を示す発光素子を所定に配列して実装した基板を該基板実装平面に対面するように視た概略平面図、(b)は、同主要部を示す概略正面図である。 この第4の実施形態に対比する従来構成の照明装置を示し、(a)は、従来構成の照明装置の主要部を示す平面図、(a)は、従来構成の同主要部を示す正面図である この発明の第5の実施形態の照明装置を示し、傾斜部を設けた主要部を示す正面図である。 この発明の第5の実施形態の照明装置を示し、曲率部を設けた主要部を示す正面図である。 この第5の実施形態の照明装置が用いた半値角を説明するための概念説明図である。 この第5の実施形態の照明装置の変形例を示し、全体構成の概略正面図である。 この発明の第6の実施形態を示し、(a)は、照明装置の主要部を示す発光素子を所定に配列して実装した基板を該基板実装平面に対面するように視た概略平面図、(b)は、同主要部を示す概略正面図である。 この発明の第7の実施形態の照明装置の主要部を示す概略正面図である。 この発明のすべての実施形態に係る変形例を示す概略正面図である。 従来構成の画像読取装置を示し、画像読取装置の全体構成を示す概略縦断面図である。 従来構成の画像読取装置を示し、画像読取装置が搭載した照明装置の主要部を示す概略正面図である。 照明装置が係る照度分布を示し、(a)は、主走査方向の所定範囲でのリップルのない照度分布を示すグラフ、(b)は、副走査方向の所定範囲での理想的な照度分布を示すグラフ、(c)は、主走査方向の所定範囲での大きなリップルがある照度分布を示すグラフ、(d)は、主走査方向の所定範囲での小さなリップルがある照度分布を示すグラフである。 一般的な等倍光学系の画像読取装置に採用された従来構成の照明装置を示し、発光素子アレイの構成を用いた照明装置の主要部を示す概略正面図である。 基板面に対して直交方向に照射するタイプの発光素子を用いた従来構成の照明装置を示し、この照明装置の主要部を示す概略斜視図である。 基板面に対して直交方向に照射するタイプの発光素子を用いた従来構成の照明装置の主要部を示す概略正面図である。
符号の説明
1 照明装置
2 発光素子(基板に接する面に連接した側面を発光面にして該基板の実装平面と平行な方向に照射する発光素子)
2A 発光面 2b 電極(発光素子側の接続端子)
3 基板 3A 実装平面(実装面)
3b パッド(基板側の接続端子) 3C 基板端部
5 受台(支持部材) 6 ネジ
7 段付きネジ 7a ヘッド部
7b 太径部 7c 小径部
8 傾斜部 9 曲率部
11 反射部(反射板)
13 白色のシルク印刷領域(高反射率を構成した部分)
15 カバー部材 17 導光板
51 排出トレイ 52 コンタクトガラス
53 第1キャリッジ 54 第2キャリッジ
55 結像レンズ 56 結像素子
100 デジタル複写機(画像形成装置) 200 画像形成装置本体
300 給紙装置 400 原稿読取り装置(画像読取装置)
A 読取り光軸 B 発光面と反射部の反射面とを結んだ線

Claims (8)

  1. 基板と、この基板上に実装されて該基板に接する面と連接する側面が発光部として発光して実装平面方向に沿って光を照射する発光素子と、を備えた照明装置において、
    前記発光素子の照射角度が被照射面に対して傾斜した角度から照射するよう規定する支持部材に前記基板が固定されており、
    前記支持部材の端部は、前記発光素子から光を照射して被照射面から得られた読取り画像を含んだ反射光を入力するための読取り光軸に沿った傾斜面を有するとともに表面が低反射又は非反射に構成され、
    且つ、前記基板は、前記支持部材の端部から前記読取り光軸側に突出しないよう取り付けられていることを特徴とする照明装置。
  2. 前記基板の実装面の前記発光部側の端部は、高反射率に構成されていることを特徴とする請求項1に記載の照明装置。
  3. 前記基板の実装面の前記発光部側の端部は、シルク印刷により高反射率に構成されていることを特徴とする請求項に記載の照明装置。
  4. 前記発光素子における少なくとも発光部を除いた部分をカバーするカバー部材が設けられ、
    このカバー部材は、前記基板の実装面と対向して配置され、前記基板及び前記支持部材の貫通孔とカバー部材の貫通孔とを一致させて前記支持部材に螺合されて止め付けられていることを特徴とする請求項1に記載の照明装置。
  5. 前記発光素子における少なくとも発光部を除いた部分をカバーするカバー部材が設けられ、
    このカバー部材は、前記発光素子の配列方向を長手方向とする部材であって、その表面が低反射又は非反射に構成されていることを特徴とする請求項1に記載の照明装置。
  6. 前記請求項1ないしのいずれかに記載の照明装置を備えたことを特徴とする画像読取装置。
  7. 前記請求項に記載の画像読取装置を備えたことを特徴とする画像形成装置。
  8. 前記画像読取装置の下方に排紙トレイを有し、該排紙トレイ上に記録媒体を排出することを特徴とする請求項に記載の画像形成装置。
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