JP4756786B2 - 車両用バッテリ充電制御装置および車両用バッテリの充電制御方法 - Google Patents

車両用バッテリ充電制御装置および車両用バッテリの充電制御方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は車両用のバッテリ充電制御装置および車両用バッテリの充電制御方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
車両に搭載されるバッテリはエンジンのスタータ等の補機や種々の電装品等の電気負荷の電源として用いられ、内燃機関の動力で発電する発電機により充電される。車両用のバッテリ充電制御装置は、発電機によるバッテリの充電を制御するもので、発電機に発電電圧を指令し、バッテリの充電状態を調整する。車両用のバッテリ充電制御装置ではバッテリの残存容量不足を回避することが重要である。
【0003】
発電機への発電電圧の指令において、車両の走行状況が減速状態のときに発電電圧を高くして積極的に発電がなされるようにする一方、加速状態やアイドリング状態のときには発電電圧を低くして発電が抑制されるようにし、燃費の向上を図るようにした車両用のバッテリ充電制御装置がある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、かかる車両用バッテリ充電制御装置は、車両の電気負荷が少なければ有効であるが、実際の車両の電気負荷は、空調装置、カーオーディオ、ヘッドライト、ワイパー等のように使用頻度が高いものが多く、バッテリの残存容量が低下し過ぎ、バッテリ上がりを招くおそれがある。
【0005】
また、これに対して、バッテリの残存容量を監視して、残存容量が低下し過ぎないように発電を加減し、バッテリ上がりの回避と燃費の向上との両立を図ったものもある。残存容量の検出方法として公知の電流を積算していく方法をとった場合、残存容量の検出誤差が積算していくのを回避すべく、所定のタイミングでバッテリを満充電まで充電し、残存容量の検出値を100%に初期設定することが必要になる。この満充電の判定方法としてバッテリの起電圧が満充電近傍で急上昇することを利用することが一般的に知られているが、バッテリの分極状態によっては高精度に起電圧を検出することが困難である。
【0006】
また、満充電の判定だけではなく、バッテリの起電圧を検出することで、これから残存容量を求める公知の方法もある。
【0007】
このようにバッテリの起電圧を検出してバッテリの充電の制御に供するものでは、バッテリの温度の変動でバッテリの起電圧に検出誤差が生じ、満充電の判定やバッテリの残存容量の検出を高精度に行うことができない。
【0008】
本発明は前記実情に鑑みなされたもので、バッテリの充電の適正な制御が可能な車両用バッテリ充電制御装置および車両用バッテリの充電制御方法を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
請求項1記載の発明では、エンジンによる回転駆動で発電し車両の電気負荷およびバッテリに給電する発電機の発電電圧を指令することによりバッテリの充電状態を調整する車両用バッテリ充電制御装置であって、
車両の走行状況が加速状態またはアイドリング状態または定速走行状態のいずれかであるとき、これを検出する走行状況検出手段と、
車両の走行状況の検出結果およびバッテリを流出入する電流の検出結果に基づいて、発電電圧を決定する発電電圧決定手段とを具備せしめ、
該発電電圧決定手段を、
車両の走行状況が加速状態またはアイドリング状態または定速走行状態のいずれかであるときに、バッテリを流出入する電流の電流値を積算する電流積算手段と、
電流の積算値に基づいて前回の発電電圧を補正することにより今回の発電電圧を決定する発電電圧補正手段とを具備する構成とし、
該発電電圧補正手段を、電流積算値が充電方向のときには発電電圧を低圧側に補正し、電流積算値が放電方向のときには発電電圧を高圧側に補正して、バッテリの残存容量が略一定となるように発電電圧を増減させる設定とする。
【0010】
車両の走行状況が加速状態またはアイドリング状態または定速走行状態のいずれかであるときには、発電電圧が、バッテリの残存容量が略一定となるように、充電傾向が強まれば発電電圧が抑制方向の値をとり、放電傾向が強まれば増大傾向の値をとる。すなわち、充電の要求度に応じて発電電圧が増減する。電流積算値が充電方向のときには充電の要求度が低く、放電方向のときには充電の要求度が高いと判断できるので、充電の要求度に応じて、簡単に発電電圧を適正に決定することができる。したがって、バッテリの充電が減速状態に比して燃費の点で必ずしも有利ではない加速状態、アイドリング状態、定速走行状態においては、バッテリの充電が積極的に行われるのが、充電の要求度が強くなる期間に限定される。これにより、バッテリの残存容量の低下の回避と燃費の向上とを両立することができ、バッテリの充電の制御が適正なものとなる。
【0011】
請求項2記載の発明では、請求項1の発明の構成において、前記発電電圧決定手段を、
車両の走行状況が加速状態またはアイドリング状態または定速走行状態のいずれかでないときに、発電電圧が予め設定した所定の電圧値に決定されるように設定する。
【0013】
請求項3記載の発明では、請求項2の発明の構成において、前記発電電圧補正手段を、電流が充電方向のときには発電電圧を低圧側に補正し、電流が放電方向のときには発電電圧を高圧側に補正するように設定する。
【0014】
例えば、大容量の電気負荷のオンで必要な給電量が増大すると、バッテリからの放電電流が大きく変化する。本車両用バッテリ充電制御装置では、これに追随して発電電圧を上昇せしめるから、急な充電要求の増大に応答性よく対応することができる。
【0015】
請求項4記載の発明では、請求項1ないし3の発明の構成において、バッテリにおける分極状態を検出し分極の程度を示す分極指数を求める分極状態検出手段を具備せしめ、
前記発電電圧決定手段を、分極指数が予め設定したしきい値よりも大きく、かつ、車両の走行状況が加速状態またはアイドリング状態または定速走行状態のいずれかであるときに、前記発電電圧補正手段によりバッテリの残存容量が一定となるように発電電圧が決定され、分極指数が予め設定したしきい値よりも小さいときに、発電電圧が予め設定した所定の電圧値に決定されるように設定する。
【0016】
分極指数が高いときには、バッテリの充電が積極的に行われるのが放電気味のときに限定されるから、分極指数は小さくなる方向に移行する。そして、分極指数が予め設定したしきい値を下回り十分に小さくなれば、発電電圧が予め設定した所定の電圧値の元で発電が実行されることになるが、所定値を十分に高い値にしておけば、バッテリの充電が促進される。これは、バッテリで分極の進行すなわち分極指数の増大を伴う。したがって、分極指数がしきい値の上と下とを行き来しながらバッテリの充電が行われる。これにより、分極が過剰な状態でバッテリの残存容量を検出するのを回避することができ、分極状態が落ちつくのを待つことなくバッテリの残存容量を高精度に検出することができる。満充電の判定も正確に行い得る。
【0017】
請求項5記載の発明では、請求項1ないし4いずれか記載の車両用バッテリ充電制御装置において、
前記走行状況検出手段が、車両の走行状況がレーシング状態であるときに、これを検出する構成とし
前記発電電圧決定手段を、車両の走行状況がレーシング状態であるときに、発電電圧が増大するように設定する。
【0018】
レーシング状態にあれば、運転者がバッテリの起電圧が不足していると感じてバッテリの充電を促進しているものと判断することができる。この場合に発電電圧が高められることで、より、バッテリの充電が促進され、運転者からのバッテリの充電の要求に良好に応えることができる。これにより、バッテリの充電の制御が適正なものとなる。
【0019】
請求項6記載の発明では、請求項1ないし5いずれか記載の車両用バッテリ充電制御装置において、
エンジン始動時におけるバッテリ内部の温度を推定する温度推定手段と、
吸気温がバッテリ内部温度の推定値よりも上昇すると、順次、バッテリ内部温度推定値を吸気温により更新する推定温度更新手段とを具備せしめ、
かつ、前記温度推定手段を、
エンジン始動時におけるバッテリ内部温度の推定値を、エンジン始動時における吸気温と冷却水温との温度差が予め設定した上限値以下のときには、エンジン始動時における吸気温とするように、前記温度差が予め設定した上限値以上のときには、前回エンジン停止時点におけるバッテリ内部温度の推定値とするように設定する。
【0020】
エンジン始動時における吸気温と冷却水温との温度差が小さければ、エンジンやバッテリが略熱平衡の状態にあると判断することができる。したがって、そのときの吸気温は、バッテリ液の温度のようなバッテリ内部温度のよい推定値となる。
【0021】
そして、エンジン始動後には、バッテリ内部温度は吸気温や冷却水温等とともに上昇するが、バッテリの熱容量が大きいことから、バッテリ内部温度は吸気温の上昇に対してやや遅れて上昇する。したがって、推定値は、バッテリの実際の温度上昇を反映しながら、実際のバッテリ内部温度よりも高めの値をとる。
【0022】
また、エンジン停止時点におけるバッテリ内部温度の推定値は、エンジン停止後、始動までに十分な時間がとれずに吸気温と冷却水温との温度差が大きい場合に、バッテリ内部温度のよい推定値となる。
【0023】
したがって、温度センサ等によることなく、バッテリ内部温度の推定値を信頼性十分なデータとして起電圧の補正に供することができる。ここで、推定値は実際のバッテリ内部温度よりも高めの値をとり、実際のバッテリ内部温度との誤差が+側に現れるから、起電圧の誤差は−側となる。したがって、起電圧の誤差に基因してバッテリ上がりを招くことはない。バッテリ内部温度の変動に基因した起電圧の変動が知られるので、適正なバッテリの充電の制御が可能となる。
【0024】
請求項7記載の発明では、請求項6の発明の構成において、前記温度推定手段を、エンジン始動時における吸気温と冷却水温との温度差が予め設定した上限値以下で、かつ、前記吸気温が予め設定した上限温度以下のときにのみ、エンジン始動時におけるバッテリ内部温度の推定値をエンジン始動時における吸気温とするように設定する。
【0025】
エンジン始動時における吸気温が予め設定した上限温度を越えているときには前回エンジン停止時点におけるエンジンルーム内の熱のこもり等でエンジン始動時における吸気温がバッテリ温度を十分に反映していない蓋然性が高いと判断し、前回エンジン停止時点におけるバッテリ温度の推定値を、エンジン始動時における推定温度とすることで、推定温度と実際のバッテリ温度との誤差が大きくなり過ぎるのを回避することができる。
【0026】
請求項8記載の発明では、エンジンによる回転駆動で発電し車両の電気負荷およびバッテリに給電する発電機の発電電圧を指令することによりバッテリの充電状態を調整する車両用バッテリの充電制御方法であって、
車両の走行状況が加速状態またはアイドリング状態または定速走行状態のいずれかであるとき、これを検出する走行状況検出手順と、
車両の走行状況の検出結果およびバッテリを流出入する電流の検出結果に基づいて、発電電圧を決定する発電電圧決定手順とを実行し、
該発電電圧決定手順では、
車両の走行状況が加速状態またはアイドリング状態または定速走行状態のいずれかであるときに、バッテリを流出入する電流の電流値を積算する電流積算手順と、
電流の積算値に基づいて前回の発電電圧を補正することにより今回の発電電圧を決定する発電電圧補正手順とを実行し、
該発電電圧補正手順にて、電流積算値が充電方向のときには発電電圧を低圧側に補正し、電流積算値が放電方向のときには発電電圧を高圧側に補正して、バッテリの残存容量が略一定となるように発電電圧を増減させて発電電圧を決定する。
【0027】
車両の走行状況が加速状態またはアイドリング状態または定速走行状態のいずれかであるときには、発電電圧が、バッテリの残存容量が略一定となるように、充電傾向が強まれば発電電圧が抑制方向の値をとり、放電傾向が強まれば増大傾向の値をとる。すなわち、充電の要求度に応じて発電電圧が増減する。したがって、バッテリの充電が減速状態に比して燃費の点で必ずしも有利ではない加速状態、アイドリング状態、定速走行状態においては、バッテリの充電が積極的に行われるのが、充電の要求度が強くなる期間に限定される。これにより、バッテリの残存容量の低下の回避と燃費の向上とを両立することができ、バッテリの充電の制御が適正なものとなる。
【0028】
請求項9記載の発明では、請求項8記載の車両用バッテリ充電制御方法において、
前記走行状況検出手順が、車両の走行状況がレーシング状態であることを検出するとともに、
前記発電電圧決定手順では、車両の走行状態がレーシング状態であるときに、発電電圧を増大する。
【0029】
レーシング状態にあれば、運転者がバッテリの起電圧が不足していると感じてバッテリの充電を促進しているものと判断することができる。この場合に発電電圧が高められることで、より、バッテリの充電が促進され、運転者からのバッテリの充電の要求に良好に応えることができる。これにより、バッテリの充電の制御が適正なものとなる。
【0030】
請求項10記載の発明では、請求項8または9いずれか記載の車両用バッテリ充電制御方法において、
エンジン始動時におけるバッテリ内部の温度を推定する温度推定手順と、
吸気温がバッテリ内部温度の推定値よりも上昇すると、順次、バッテリ内部温度推定値を吸気温により更新する推定温度更新手順とを実行し、
かつ、前記温度推定手順では、
エンジン始動時におけるバッテリ内部温度の推定値を、エンジン始動時における吸気温と冷却水温との温度差が予め設定した上限値以下のときには、エンジン始動時における吸気温とし、前記温度差が予め設定した上限値以上のときには、前回エンジン停止時点におけるバッテリ内部温度の推定値とする。
【0031】
エンジン始動時における吸気温と冷却水温との温度差が小さければ、エンジンやバッテリが略熱平衡の状態にあると判断することができる。したがって、そのときの吸気温は、バッテリ液の温度のようなバッテリ内部温度のよい推定値となる。
【0032】
そして、エンジン始動後には、バッテリ内部温度は吸気温や冷却水温等とともに上昇するが、バッテリの熱容量が大きいことから、バッテリ内部温度は吸気温の上昇に対してやや遅れて上昇する。したがって、推定値は、バッテリの実際の温度上昇を反映しながら、実際のバッテリ内部温度よりも高めの値をとる。
【0033】
また、エンジン停止時点におけるバッテリ内部温度の推定値は、エンジン停止後、始動までに十分な時間がとれずに吸気温と冷却水温との温度差が大きい場合に、バッテリ内部温度のよい推定値となる。
【0034】
したがって、温度センサ等によることなく、バッテリ内部温度の推定値を信頼性十分なデータとして起電圧の補正に供することができる。ここで、推定値は実際のバッテリ内部温度よりも高めの値をとり、実際のバッテリ内部温度との誤差が+側に現れるから、起電圧の誤差は−側となる。したがって、起電圧の誤差に基因してバッテリ上がりを招くことはない。バッテリ内部温度の変動に基因した起電圧の変動が知られるので、適正なバッテリの充電の制御が可能となる。
【0035】
【発明の実施の形態】
(第1実施形態)
図1に本発明の第1の車両用バッテリ充電制御装置の構成を示す。バッテリ5には発電機3が接続され、発電機3からの発電出力で充電される。発電機3は内燃機関であるエンジン1の動力により回転して発電するレギュレータ付きの一般的な構成のものが用いられる。エンジン1は、エンジン制御コンピュータ2が、車速、エンジン回転数、スロットル開度等の入力信号に基づいて燃料の噴射や点火等を制御する。バッテリ5にはスタータ等の負荷4が接続される。
【0036】
車両用バッテリ充電制御装置6は、バッテリ5から発電機3および電気負荷4に到るケーブルの途中に、バッテリ5を流出入する電流(充電電流と放電電流)を検出するための電流センサ62が設けてある。
【0037】
また、バッテリ5の両端間電圧(以下、バッテリ電圧という)を検出する電圧センサ63が設けてある。
【0038】
電流センサ62および電圧センサ63の検出信号を入力としてマイクロコンピュータ61が設けてある。マイクロコンピュータ61はCPU、メモリ(RAM、ROM)を備えた一般的な構成のものが用いられ得る。
【0039】
マイクロコンピュータ61は、発電電圧の指令値を発電機3に出力し励磁電流を加減して発電機3の発電量を制御する(以下、適宜、単に発電電圧の指令値を発電電圧というものとする)。
【0040】
図2にマイクロコンピュータ61で実行される制御フローを示す。本制御フローはキースイッチがオンしエンジンが始動すると立ち上がるようになっている。ステップS100では種々の初期設定を行う。電流積算値SC=0、仮発電電圧Vreg'=13.0とする。これらについては後述する。
【0041】
ステップS101では、電流センサ62により検出された電流Ib を取り込む。ここで電流Ib の符号は充電方向の場合を+にとるものとする。
【0042】
続くステップS102,S103は走行状況検出手段としての手順(走行状況検出手順)で、ステップS102では、エンジン制御コンピュータ2から車速、エンジン回転数、スロットル開度を受信し、取り込む。
【0043】
ステップS103では、取り込まれた車速等に基づいて走行状況を判定する。判定の手順を示すフローを図3に示す。ステップS200ではエンジン回転数=0か否かを判定する。肯定判断されると、走行状況は「エンジン停止状態」と判定する(ステップS201)。
【0044】
ステップS200が否定判断されるとステップS202に進み、車速=0か否か、すなわち車両停止状態が否かを判定する。肯定判断されると、ステップS203でエンジン回転数が予め設定したアイドリング状態とみなせるエンジン回転数の上限値(以下、アイドリング回転数という)を越えているか否かを判定する。また、スロットル開度が0よりも大きいか否かで判定してもよい。否定判断されると、走行状況は「アイドリング状態」と判定し(ステップS204)、肯定判断されると、走行状況は「レーシング(空吹かし)状態」と判定する(ステップS205)。
【0045】
車両が停止状態が否かを判ずるステップS202が否定判断されるとステップS206に進み、スロットル開度=0か否かを判定する。肯定判断されると、走行状況は「減速状態」と判定する(ステップS207)。
【0046】
ステップS207が否定判断されると、ステップS208に進み、車速が増大しているか否かを判定する。肯定判断されると、走行状況は「加速状態」と判定し(ステップS209)、否定判断されると、走行状況は「定速状態」と判定する(ステップS210)。この場合、緩い加速は「定速状態」に含めてもよい。
【0047】
各判定(ステップS204,S205,S207,S209,S210)の後はリターンにぬける。
【0048】
かかる走行状況の判定(ステップS103)に続くステップS104,S105は電流Ib を検出する前記ステップS101とともに発電電圧決定手段としての一連の手順(発電電圧決定手順)を構成する。ステップS104は、電流積算手段としての手順で、「減速状態」および「レーシング状態」以外のときの電流Ib を積算する。図4はステップS104における電流の積算手順を示すもので、ステップS300では、ステップS103で判定された走行状況が「減速状態」または「レーシング状態」か否かを判定する。肯定判断されるとリターンにぬける。否定判断されると、電流積算値SCに、ステップS101で検出された電流Ib を加算して、電流積算値SCを更新する。すなわち、電流積算値SCは、走行状況が「減速状態」または「レーシング状態」を除く、「アイドリング状態」、「加速状態」、「定速状態」のいずれかのときにのみにおける電流Ib が積算されることになる。
【0049】
電流の積算(ステップS104)に続くステップS105は発電電圧補正手段としての手順で、発電機3に出力する発電電圧Vreg を算出する。図5はステップS105における発電電圧Vreg の算出手順を示すもので、ステップS400では、ステップS103で判定された走行状況が「減速状態」または「レーシング状態」か否かを判定する。肯定判断されるとステップS401で発電電圧Vreg =14.5Vとしてリターンにぬける。否定判断されると、ステップS402で発電電圧の補正値dVを式(1)にしたがって算出する。
dV=−α×SC−β×Ib ・・・(1)
【0050】
続くステップS403では、仮発電電圧Vreg'に補正値dVを加算して、仮発電電圧Vreg'を更新する。この仮発電電圧Vreg'は、走行状況が「減速状態」または「レーシング状態」以外のときの発電電圧となるものであり、更新された今回の仮発電電圧Vreg'は、メモリに一時記憶されて、次回、仮発電電圧Vreg'を更新する際の前回の仮発電電圧Vreg'となる。初回における前回の仮発電電圧Vreg'はステップS100で取り込んだ13.0Vである。そして、ステップS404で発電電圧Vreg に仮発電電圧Vreg'の値を代入し、リターンにぬける。
【0051】
発電電圧の算出(ステップS105)に続くステップS106では、発電電圧Vreg を発電機3に出力する。
【0052】
そして、ステップS107で、キースイッチの状態からエンジンがオフされたか否かを判定し、否定判断されると、ステップS101〜S106の手順が所定周期で繰り返される。肯定判断されると、本制御フローを終了する。
【0053】
これにより、次の効果を奏する。「減速状態」のときには発電電圧Vreg がバッテリ5の起電圧よりも十分に高い電圧となり(ステップS401)、充電能力が高められるので、減速時の余剰エネルギーを有効利用して、効率よくバッテリ5に充電される。また、「レーシング状態」にあれば、運転者がヘッドライトが普段よりも暗い等の事情からバッテリ5の充電を促しているサインと判断されるから、この場合も発電電圧Vreg が高められ、バッテリ5の充電が促進される。
【0054】
一方、走行状況が「減速状態」や「レーシング状態」以外のときには、電流積算値SCにしたがって、発電電圧Vreg が適宜増減する。ここで、電流積算値SCが充電側の値(+側)をとり、その値が大きいほど、発電電圧Vreg は小さくなる。これはバッテリ5の充電が抑制される方向に作用する。また、電流Ib が充電側の値(+側)をとるときにも、その値が大きいほど、発電電圧Vreg は小さくなり、バッテリ5の充電が抑制される方向に作用する。反対に、電流積算値SCが放電側の値(−側)をとり、その値が大きいほど、発電電圧Vreg は大きくなり、バッテリ5の充電が促進される方向に作用する。また、電流Ib が放電側の値(−側)をとるときにも、その値が大きいほど、発電電圧Vreg は大きくなり、バッテリ5の充電が促進される方向に作用する。
【0055】
したがって、電気負荷4が増大し放電傾向が認められる場合にのみ、発電電圧Vreg が増大補正されて、バッテリ5の充電が促進されるので、車両の電気負荷4の変動に追随して適正に充電がなされ、必要以上に高い発電電圧で燃費を悪化させたり、バッテリ上がりを招いたりすることを回避することができる。
【0056】
なお、α、βは電気負荷4の特性等に応じて実験やシミュレーション等により適当な値に設定する。また、発電電圧Vreg の補正値dVを(SC,Ib )の線型な関数により定めているが、必ずしもこれに限定されるものではなく、SC,Ib が充電側で大きいほど補正値dVが−方向に大きくなるような関数、例えば(−α×SC−β×Ib )の値に応じて非線形に単調増加する関数であればよく、電気負荷4の特性等に応じて実験やシミュレーション等により適当な関数形を求めるのがよい。
【0057】
また、電流積算値SC、仮発電電圧Vreg'は、「減速状態」または「レーシング状態」を挟んで値を保持するのではなく、「減速状態」または「レーシング状態」になったら一旦、電流積算値SCは0に、仮発電電圧Vreg'は13.0Vにリセットするのでもよい。
【0058】
また、簡単には、補正値dVのうち電流Ib の項は省略することもできる。
【0059】
また、本実施形態では走行状況が「レーシング状態」のときに発電電圧Vreg が14.5Vと、バッテリ5の通常の起電圧よりも十分に高く調整され(ステップS401)、充電能力が高められて速やかにバッテリ5を充電することができる。
【0060】
なお、本実施形態では走行状況が「レーシング状態」のときに発電電圧を高くして、運転者のバッテリの充電の要求に十分に応え得るようにしている(ステップS103,S401)が、要求される仕様によっては省略することもできる。また、「加速状態」等のときに残存容量が一定となるようにする(ステップS104,S402〜S404)のを省略することはなく、「レーシング状態」のときに発電電圧を増大する制御のみを実行することはしない。
【0061】
(第2実施形態)
図6に本発明の第2の車両用バッテリ充電制御装置の構成を示す。車両用バッテリ充電制御装置6Aは第1実施形態において、マイクロコンピュータ内で実行される制御プログラムを別のものに変更したものである。図中、第1実施形態と実質的に同じ作動をする部分には第1実施形態と同じ番号を付して第1実施形態との相違点を中心に説明する。
【0062】
図7は、マイクロコンピュータ61Aで実行される制御プログラムを示す制御フローで、イグニッションスイッチオンで起動する。ステップS500では、初期設定を行うとともに、前回の本制御フロー終了時にマイクロコンピュータ61AのメモリにバックアップしたSOC(State Of Charge)を読み出す。
【0063】
ステップS501では、バッテリ電圧Vb 、電流Ib を検出する。
【0064】
ステップS501では、電流Ib を式(2)に代入してSOCを算出する。なお、式中、QはSOC100%に対応する満充電時のバッテリ5の容量であり、dtは充放電電流Ib のサンプリング間隔である。また、SOC(前回値)は通常は前回のSOCであるが、初回のみステップS500の初期設定で読み込まれる初期値を用いる。
SOC=SOC(前回値)+Ib ×(dt/Q)×100・・・(2)
【0065】
ステップS503は分極状態検出手段としての手順で、式(3)にしたがって分極指数Pを算出する。式中、Iは電流センサ62の検出電流である。tは時間であり、t1 は今回の制御周期の時点を示している。γは、バッテリ5の充電効率の変動に対する補正係数であり、バッテリ5の充電時に正値をとる。Idはバッテリ5内部の電解液の濃度変化に基因する補正項である。そして、P0 をt1 の直前における分極指数Pの値とし、a,bをそれぞれ定数とすると、P0 >0のときId=a・P0 であり、P0 =0のときId=0であり、P0 <0のときId=b・P0 である。なお、式(3)は予めマイクロコンピュータ61のROMに格納されている。
【0066】
【数1】
Figure 0004756786
【0067】
ステップS504,S505,S506では、第1実施形態のステップS102〜S104と同様に、車速等を取り込み(ステップS504)、走行状況を判定し(ステップS505)、走行状況が「減速状態」および「レーシング状態」以外であれば、検出された電流Ib により電流積算値SCを更新する(ステップS506)。ステップS504,S505は走行状況検出手段としての一連の手順(走行状況検出手順)であり、第1実施形態のステップS102,S103と同様の手順を実行する。また、ステップS506は後述するステップS509〜S513とともに電圧決定手段としての一連の手順(電圧決定手順)を構成する。
【0068】
ステップS507では、バッテリ5が満充電か否かを判定する。満充電の判定は、バッテリ電圧Vb が予め設定した基準電圧Vbs以上で、かつ、分極指数Pが予め設定した基準分極指数Ps 以下であれば満充電と判定する。満充電の判定方法には種々の方法があるが、本実施形態は、バッテリ5の起電圧が満充電近傍で急増することを利用する公知の方法である。なお、バッテリ電圧Vb を基準電圧Vbsと比較する条件に付加された、分極指数Pが予め設定した基準分極指数Ps 以下という条件は、バッテリ電圧Vb の検出において分極の影響を受けにくく、バッテリ電圧Vb が正確に起電圧を反映した範囲で満充電を判定するようにしたものである。
【0069】
ステップS507で満充電と判定されると、ステップS508でSOCを初期値である100パーセントに修正し、ステップS509に進む。満充電でなければステップS508はスキップし、ステップS509に進む。
【0070】
ステップS509では、先回満充電と判定された時から所定時間以上経過したか否かを内蔵のタイマのカウント値から判定する。
【0071】
ステップS509で先回満充電判定時から所定時間以上経過していなければステップS510に進み、回生制御モードで発電電圧を設定する。図8は回生制御モードの手順を示すもので、ステップS600では走行状況が「減速状態」または「レーシング状態」か否かを判定し、肯定判断されるとステップS601で発電電圧Vreg =14.5Vとして、ステップS602に進む。これはバッテリ5の定格電圧12Vに比して十分に高く、高い充電能力を発揮する電圧である。ステップS600が否定判断されるとステップS601をスキップしてステップS602に進む。
【0072】
ステップS602では走行状況が「加速状態」か否かを判定し、肯定判断されるとステップS603で発電電圧Vreg =12.0Vとして、ステップS604に進む。12.0Vはバッテリ5の定格電圧であり、「加速状態」のときにはバッテリ5が相当程度放電気味でない限り充電は抑制され、エンジン1の負担を軽減して燃費を向上せしめる。ステップS602が否定判断されるとステップS603をスキップしてステップS604に進む。
【0073】
ステップS604では走行状況が「定速状態」または「アイドリング状態」か否かを判定し、肯定判断されるとステップS605で発電電圧Vreg =12.8Vとして、リターンにぬける。「加速状態」の12.0Vよりもやや高めとしたのは、「定速状態」または「アイドリング状態」のときは「加速状態」のときよりはエンジン1の負担が軽いからである。この場合も、バッテリ5が放電気味でない限り充電は抑制され、エンジン1の負担を軽減して燃費を向上せしめる。ステップS604が否定判断されるとステップS605をスキップして、リターンにぬけ、ステップS514に進む。
【0074】
ステップS514ではキースイッチの状態からエンジン1がオフされているか否かを判定する。肯定判断されると、ステップS515でSOCをメモリにバックアップして、次回の本制御フロー立ち上がり時に備え、本制御フローを終了する。
【0075】
エンジン1がオフか否かを判ずるステップS514が否定判断されると、ステップS501に戻り、ステップS501以降の手順が繰り返される。そして、満充電判定時からの経過時間が所定時間を越えると、ステップS509からステップS511に進み、分極指数Pが予め設定した所定値以下か否かを判定する。
【0076】
ステップS511が否定判断されると、ステップS512でSOC増大制御モードで発電電圧を設定する。図9はSOC増大制御モードでの発電電圧の設定手順を示すもので、ステップS700では発電電圧を算出する。この算出はステップS505,S506のデータを用いて第1実施形態のステップS105と同様の手順にしたがって行う。ステップS701では、発電電圧を、算出されたVreg とし、リターンにぬけ、ステップS514に進む。
【0077】
ステップS511が肯定判断されると、ステップS513で定電圧制御モードで発電電圧を設定する。図10は定電圧制御モードでの発電電圧の設定手順を示すもので、ステップS800では発電電圧を最高の14.5Vとして、リターンにぬけ、ステップS514に進む。
【0078】
本実施形態では、前回満充電としてから所定時間経過するまでは、回生制御モードで発電電圧が設定される。ここでは、「減速状態」または「レーシング状態」のときには発電電圧が高めに設定されて、高い充電能力にてバッテリ5の充電がなされ、「減速状態」に比してエンジン1の負担が重い「加速状態」または「定速状態」または「アイドリング状態」のときには、発電電圧は低めの値をとり、バッテリ5が放電気味でない限り、充電は抑制され、燃費の向上が図られる。
【0079】
そして、所定時間を経過すると、分極指数Pが高めの値(所定値以上)をとる間は、SOC増大制御モードで発電電圧が設定される。ここでは、第1実施形態と同様に、「減速状態」、「レーシング状態」以外のときに電流積算値SCが0、すなわち、残存容量が略一定値をとるように制御され、第1実施形態のごとく、バッテリ5に放電傾向が認められない限り、発電電圧が抑制される。かかるSOC増大制御モードで分極指数Pが所定値以下まで減じられると、定電圧制御モードで発電電圧が最高値(14.5V)に設定され、バッテリ5の充電が加速される。そして、再び分極指数Pが高めになるとSOC増大制御モードに切り替わる。したがって、分極指数Pが所定値を挟んで行き来することになる。これにより、分極指数Pを大きくなることなく、バッテリ5が徐々に満充電に近づけられ、分極の影響が抑制された状態で満充電となる。
【0080】
したがって、ステップS507における満充電の判定は高精度なものとなる。
【0081】
(第3実施形態)
図11に本発明の第3の車両用バッテリ充電制御装置の構成を示す。車両用バッテリ充電制御装置6Bは、第2実施形態の構成において、マイクロコンピュータが、満充電の判定においてバッテリ電圧Vb にバッテリ内部温度であるバッテリ5の電解液(バッテリ液)の温度(以下、適宜、バッテリ液温もしくはバッテリ温度という)の違いによる誤差を解消する補正を行うようにしたもので、第2実施形態との相違点を中心に説明する。
【0082】
図12は温度推定手段としての手順であるバッテリ温度の推定手順(温度推定手順)を示す制御フローで、エンジン始動時に起動する。ステップS900ではエンジン制御コンピュータ2からエンジン吸気温、冷却水温を取り込む。
【0083】
ステップS901では|吸気温−冷却水温|<5°C、かつ吸気温<40°Cであるか否かを判定する。肯定判断されると、ステップS902でバッテリ内部温度の推定値であるバッテリ温度代替値に吸気温を代入しリターンにぬける。
【0084】
ステップS901が否定判断されると、前回のバッテリ温度代替値を読み込みリターンにぬける。前回のバッテリ温度代替値は、後述するバッテリ温度代替値の更新手順で更新されるバッテリ温度代替値の、前回エンジン停止時点における最終値である。
【0085】
図13は推定温度更新手段としての手順であるバッテリ温度代替値の更新手順(推定温度更新手順)を示す制御フローで、バッテリ温度を推定する前記制御フローが起動後、所定の周期で起動する。ステップS1000では、バッテリ温度代替値>吸気温か否かを判定し、肯定判断されると、バッテリ温度代替値に吸気温を代入し(ステップS1001)リターンにぬける。ステップS1000が否定判断されるとステップS1001をスキップして、すなわちバッテリ温度代替値をそのままにリターンにぬける。
【0086】
バッテリ温度代替値は前記のごとくバッテリ5の満充電判定に供するバッテリ電圧Vb の補正に用いられる。補正は、例えば、公知の、予め記憶した補正値と温度との対応関係を示すマップに基づいてなされる。バッテリ5の起電圧は温度が高いほど高く現れるから、バッテリ温度代替値が高いほどバッテリ電圧Vb は低圧側に補正されることになる。バッテリ温度は急激な変化はしないから、発電電圧を決定する周期ほど短周期である必要はないのは勿論である。
【0087】
図14に外気温−5°Cにおける吸気温、冷却水温、バッテリ液温の変化を測定した結果を示す。測定は、エンジン停止後、十分に時間が経過してから開始している。エンジン停止後、熱平衡状態に達したと判断することができれば、そのときのバッテリ5の周囲温度を代表する温度によりバッテリ液温を推定することができることになる。本実施形態のステップS901は、吸気温と冷却水温とが僅差で接近していれば熱平衡状態に達したと判断するものであり、ステップS902はこの熱平衡状態におけるバッテリ液温を吸気温から推定するものである。
【0088】
バッテリ液温は、エンジン1が始動した後、上昇していく。したがって、前記ステップS902で推定されたバッテリ液温はエンジン作動期間中の最低値である。そして、バッテリ5は熱容量が大きいため、周囲温度が上昇してもすぐには温度が上昇せず、ゆっくりと周囲温度を代表する温度である吸気温の上昇に追随する。したがって、バッテリ液温は、その最低値としてのステップS902で推定されたバッテリ液温と吸気温とで挟まれた範囲にある。
【0089】
本実施形態では、吸気温が上昇するとバッテリ温度代替値が吸気温によって更新されるので、バッテリ液温の上昇に応じてバッテリ温度代替値も上昇していく。ここで、実際のバッテリ液温は吸気温を上回ることがないから、バッテリ液温代替値は、実際のバッテリ液温を越えない範囲で、その変化(上昇)を反映したものということができる。
【0090】
これにより、実際のバッテリ液温の変化がバッテリ5の残存容量に反映されて、バッテリ液に温度センサを浸漬したり、バッテリ液温とよい対応を示すバッテリ5の表面の温度を検出すべくバッテリ5の表面に温度センサを貼り付けることなく、バッテリ液温の変化に基因したバッテリ5の残存容量の算出誤差を低減することができる。
【0091】
しかも、バッテリ液温代替値は吸気温により推定しているので実際のバッテリ液温よりも高温側に現れるから、バッテリ5の残存容量は、バッテリ温度代替値に基づく前記補正によって、傾向としては実際の残存容量よりも多めの値となり、少なめになることはない。したがって、バッテリ温度代替値と実際のバッテリ液温との誤差により、バッテリ上がりを引き起こすことはない。
【0092】
また、温度センサを用いないので、構成が簡単であり、メインテナンスも不要となる。
【0093】
なお、ステップS901において、吸気温<40°Cという加重条件を追加しているのは、エンジン1の停止後、熱平衡状態に達していれば吸気温は通常の外気温程度であるから、吸気温が外気温度としてとり得る温度範囲を越えて高い温度になっていれば、吸気温と冷却水温との差が僅少であっても、その時の吸気温によりバッテリ液温を推定するのは適当ではないからである。すなわち、吸気温がかかる高温度に検出されるのは、エンジン1の停止状態において吸気管に外気の流通がないことにより熱のこもり等が生じた結果等と考えられ、その時の吸気温によりバッテリ液温を推定すると、バッテリ温度代替値と実際のバッテリ液温との誤差が大きすぎることになって、バッテリ温度代替値が実際のバッテリ液温よりも高温側に現れるとはいえ、得られる残存容量値が不正確なものになってしまうためである。
【0094】
なお、ステップS901において、バッテリ温度代替値を吸気温とすることが許容される|吸気温−冷却水温|の上限値は5°Cに限らず、要求される残存容量の測定精度に応じて適宜設定し得る。また、吸気温についても、その上限温度は40°Cに限られない。
【0095】
なお、本実施形態は、基本的な制御内容は第2実施形態のものであるが、かかる第2実施形態の基本的な制御内容を有しない車両用バッテリ充電制御装置にも適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】エンジンに付設された本発明の車両用バッテリ充電制御装置の構成図である。
【図2】前記車両用バッテリ充電制御装置のマイクロコンピュータにおける制御を示す第1のフローチャートである。
【図3】前記車両用バッテリ充電制御装置のマイクロコンピュータにおける制御を示す第2のフローチャートである。
【図4】前記車両用バッテリ充電制御装置のマイクロコンピュータにおける制御を示す第3のフローチャートである。
【図5】前記車両用バッテリ充電制御装置のマイクロコンピュータにおける制御を示す第4のフローチャートである。
【図6】エンジンに付設された本発明の別の車両用バッテリ充電制御装置の構成図である。
【図7】前記車両用バッテリ充電制御装置のマイクロコンピュータにおける制御を示す第1のフローチャートである。
【図8】前記車両用バッテリ充電制御装置のマイクロコンピュータにおける制御を示す第2のフローチャートである。
【図9】前記車両用バッテリ充電制御装置のマイクロコンピュータにおける制御を示す第3のフローチャートである。
【図10】前記車両用バッテリ充電制御装置のマイクロコンピュータにおける制御を示す第4のフローチャートである。
【図11】エンジンに付設された本発明のさらに別の車両用バッテリ充電制御装置の構成図である。
【図12】前記車両用バッテリ充電制御装置のマイクロコンピュータにおける制御を示す第1のフローチャートである。
【図13】前記車両用バッテリ充電制御装置のマイクロコンピュータにおける制御を示す第2のフローチャートである。
【図14】前記車両用バッテリ充電制御装置の作動を説明するグラフである。
【符号の説明】
1 エンジン
2 エンジン制御コンピュータ
3 発電機
4 電気負荷
5 バッテリ
6,6A,6B 車両用バッテリ充電制御装置
61 マイクロコンピュータ(走行状況検出手段、発電電圧決定手段、電流積算手段、発電電圧補正手段)
61A マイクロコンピュータ(走行状況検出手段、発電電圧決定手段、電流積算手段、発電電圧補正手段、分極状態検出手段)
61B マイクロコンピュータ(走行状況検出手段、発電電圧決定手段、電流積算手段、発電電圧補正手段、分極状態検出手段、温度推定手段、推定温度更新手段)
62 電流センサ
63 電圧センサ

Claims (10)

  1. エンジンによる回転駆動で発電し車両の電気負荷およびバッテリに給電する発電機の発電電圧を指令することによりバッテリの充電状態を調整する車両用バッテリ充電制御装置であって、
    車両の走行状況が加速状態またはアイドリング状態または定速走行状態のいずれかであるとき、これを検出する走行状況検出手段と、
    車両の走行状況の検出結果およびバッテリを流出入する電流の検出結果に基づいて、発電電圧を決定する発電電圧決定手段とを具備せしめ、
    該発電電圧決定手段を、
    車両の走行状況が加速状態またはアイドリング状態または定速走行状態のいずれかであるときに、バッテリを流出入する電流の電流値を積算する電流積算手段と、
    電流の積算値に基づいて前回の発電電圧を補正することにより今回の発電電圧を決定する発電電圧補正手段とを具備する構成とし、
    該発電電圧補正手段を、電流積算値が充電方向のときには発電電圧を低圧側に補正し、電流積算値が放電方向のときには発電電圧を高圧側に補正して、バッテリの残存容量が略一定となるように発電電圧を増減させる設定としたことを特徴とする車両用バッテリ充電制御装置。
  2. 請求項1記載の車両用バッテリ充電制御装置において、前記発電電圧決定手段を、
    車両の走行状況が加速状態またはアイドリング状態または定速走行状態のいずれかでないときに、発電電圧が予め設定した所定の電圧値に決定されるように設定した車両用バッテリ充電制御装置。
  3. 請求項2記載の車両用バッテリ充電制御装置において、前記発電電圧補正手段を、電流が充電方向のときには発電電圧を低圧側に補正し、電流が放電方向のときには発電電圧を高圧側に補正するように設定した車両用バッテリ充電制御装置。
  4. 請求項1ないし3いずれか記載の車両用バッテリ充電制御装置において、バッテリにおける分極状態を検出し分極の程度を示す分極指数を求める分極状態検出手段を具備せしめ、
    前記発電電圧決定手段を、分極指数が予め設定したしきい値よりも大きく、かつ、車両の走行状況が加速状態またはアイドリング状態または定速走行状態のいずれかであるときに、前記発電電圧補正手段によりバッテリの残存容量が一定となるように発電電圧が決定され、分極指数が予め設定したしきい値よりも小さいときに、発電電圧が予め設定した所定の電圧値に決定されるように設定した車両用バッテリ充電制御装置。
  5. 請求項1ないし4いずれか記載の車両用バッテリ充電制御装置において、
    前記走行状況検出手段が、車両の走行状況がレーシング状態であるときに、これを検出する構成とし、
    前記発電電圧決定手段を、車両の走行状況がレーシング状態であるときに、発電電圧が増大するように設定したことを特徴とする車両用バッテリ充電制御装置。
  6. 請求項1ないし5いずれか記載の車両用バッテリ充電制御装置において、
    エンジン始動時におけるバッテリ内部の温度を推定する温度推定手段と、
    吸気温がバッテリ内部温度の推定値よりも上昇すると、順次、バッテリ内部温度推定値を吸気温により更新する推定温度更新手段とを具備せしめ、
    かつ、前記温度推定手段を、
    エンジン始動時におけるバッテリ内部温度の推定値を、エンジン始動時における吸気温と冷却水温との温度差が予め設定した上限値以下のときには、エンジン始動時における吸気温とするように、前記温度差が予め設定した上限値以上のときには、前回エンジン停止時点におけるバッテリ内部温度の推定値とするように設定したことを特徴とする車両用バッテリ充電制御装置。
  7. 請求項6記載の車両用バッテリ充電制御装置において、前記温度推定手段を、エンジン始動時における吸気温と冷却水温との温度差が予め設定した上限値以下で、かつ、前記吸気温が予め設定した上限温度以下のときにのみ、エンジン始動時におけるバッテリ内部温度の推定値をエンジン始動時における吸気温とするように設定した車両用バッテリ充電制御装置。
  8. エンジンによる回転駆動で発電し車両の電気負荷およびバッテリに給電する発電機の発電電圧を指令することによりバッテリの充電状態を調整する車両用バッテリの充電制御方法であって、
    車両の走行状況が加速状態またはアイドリング状態または定速走行状態のいずれかであるとき、これを検出する走行状況検出手順と、
    車両の走行状況の検出結果およびバッテリを流出入する電流の検出結果に基づいて、発電電圧を決定する発電電圧決定手順とを実行し、
    該発電電圧決定手順では、
    車両の走行状況が加速状態またはアイドリング状態または定速走行状態のいずれかであるときに、バッテリを流出入する電流の電流値を積算する電流積算手順と、
    電流の積算値に基づいて前回の発電電圧を補正することにより今回の発電電圧を決定する発電電圧補正手順とを実行し、
    該発電電圧補正手順にて、電流積算値が充電方向のときには発電電圧を低圧側に補正し、電流積算値が放電方向のときには発電電圧を高圧側に補正して、バッテリの残存容量が略一定となるように発電電圧を増減させて発電電圧を決定することを特徴とする車両用バッテリの充電制御方法。
  9. 請求項8記載の車両用バッテリ充電制御方法において、
    前記走行状況検出手順が、車両の走行状況がレーシング状態であることを検出するとともに、
    前記発電電圧決定手順では、車両の走行状況がレーシング状態であるときに、発電電圧を増大することを特徴とする車両用バッテリの充電制御方法。
  10. 請求項8または9いずれか記載の車両用バッテリ充電制御方法において、
    エンジン始動時におけるバッテリ内部の温度を推定する温度推定手順と、
    吸気温がバッテリ内部温度の推定値よりも上昇すると、順次、バッテリ内部温度推定値を吸気温により更新する推定温度更新手順とを実行し、
    かつ、前記温度推定手順では、
    エンジン始動時におけるバッテリ内部温度の推定値を、エンジン始動時における吸気温と冷却水温との温度差が予め設定した上限値以下のときには、エンジン始動時における吸気温とし、前記温度差が予め設定した上限値以上のときには、前回エンジン停止時点におけるバッテリ内部温度の推定値とすることを特徴とする車両用バッテリの充電制御方法。
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