JP4755314B2 - 有機elディスプレイパネルおよびその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、有機ELディスプレイパネルおよびその製造方法に関する。
有機ELディスプレイパネルは、陽極および陰極、ならびに両電極の間に配置された電界発光する有機発光層を含む有機EL素子を有する。電界発光する有機発光層の材料は、低分子有機化合物の組み合わせ(ホスト材料とドーパント材料)と、高分子有機化合物とに大別されうる。電界発光する高分子有機化合物の例には、PPVと称されるポリフェニレンビニレンやその誘導体などが含まれる。
高分子有機化合物を材料とした有機発光層は、比較的低電圧で駆動でき、消費電力が少なく、ディスプレイパネルの大画面化に対応しやすいことから、現在積極的に研究がなされている。また、高分子有機化合物を材料とした有機発光層は、塗布法による作製が可能である。したがって、真空プロセスを使用する低分子有機ELディスプレイよりも、高分子有機ELディスプレイの生産性は顕著に高い。
有機発光層を塗布法で形成する場合、パネル上の障壁(バンク)によって規定された領域内に有機発光層の材料を含むインクを塗布し、乾燥させる。有機ELディスプレイパネルにおける混色を防ぐため、発光層の材料であるインクは、パネル上のバンクによって規定された領域内に正確に塗布されなければならない。このような塗布法の例には、インクを吐出することで塗布するインクジェット法が含まれる。インクジェット法では、通常、インクを吐出する複数のノズルを有するインクジェットヘッドを用いる。
インクジェットヘッドの不使用時には、ノズルの先端部や内部などには、乾燥したインクが付着してしまうことがある。ノズルの先端部などに乾燥したインクが付着すると、ノズルが詰まりノズルがインクを吐出しなくなったり、インクを吐出したとしても、飛翔方向や吐出量が安定せずインクの着弾精度が悪化する。よって、インクの吐出開始直後は、インクの着弾精度が低く、所望量のインクを所望の領域に正確に塗布できない。
このため、インクの着弾精度を向上させるために、インクを実際にパネルに塗布する前に、パネルの外部でインクを吐出(予備吐出)する方法が知られている(例えば特許文献1および特許文献2参照)。
しかし、特許文献1および特許文献2に開示されたように、パネルの外部で予備吐出をする場合、予備吐出した後、インクジェットヘッドをパネルへと移動する間に、ノズルの先端部や内部等に再び乾燥したインクが付着してしまう。このため、パネルにインクを塗布する前に、インクの着弾精度が悪化し、インクをパネル上の所望の位置に正確に塗布できないという問題があった。
このような問題を解決するために、予備吐出のための領域をパネル上に設ける技術が知られている(例えば特許文献3〜6参照)。図1は特許文献3のディスプレイパネルの平面図である。図1に示されるように、特許文献3に記載されたディスプレイパネルは、画素が配置される領域10(以下「素子配列領域1」とも称する)を規定するバンク30と、素子配列領域10を囲むように予備領域20が設けられる。予備領域20はバンク40によって規定されている。
特許文献3に記載の方法では、まず予備領域20上でインクジェットヘッドのノズルからインクを吐出し、予備吐出を行う。その後、一旦インクの吐出を停止し、インクジェットヘッドを素子配列領域10に移動する。そして、再びノズルからインクの吐出を開始し、インクジェットヘッドを走査しながら所望の領域(素子配列領域1)にインクを塗布する。また、図1に示されるディスプレイパネルでは、予備領域20から素子配列領域1にインクが混入することを防止するため、素子配列領域を規定するバンク30の幅が広いことを特徴とする。
また、図2は、発光層が形成される前の特許文献4および5に記載されたプラズマディスプレイパネルの斜視図である。図2に示されるように、特許文献4および特許文献5に記載されたプラズマディスプレイパネルは、副画素11が配列された素子配列領域10と、予備領域20とを有する。予備領域20は、バンク21によって規定された複数の予備吐出領域23を有する。予備吐出領域23の幅は、副画素の幅11と同じである。
図2に示されるように、特許文献4および5のプラズマディスプレイパネルの製造工程では、予備領域20にまず無機粒子の分散溶液である蛍光体ペーストを塗布し、各ノズルからの蛍光体ペーストの吐出量を安定させる。これにより素子配列領域10の各副画素11内に均一量の蛍光体ペーストを塗布することが可能となる。
このようにディスプレイパネルに予備吐出のための領域を設けたことで、予備吐出と素子配列領域へのインクの塗布との間の時間を短くすることができる。
また、画素が配列された発光領域の周りに、ダミーの画素が配置される非発光領域を設けたディスプレイパネルが知られている(例えば特許文献7〜9参照)。発光領域内の画素だけでなく、ダミーの画素にもインクを塗布することで、発光領域内の画素に塗布されたインクの乾燥スピードのバラツキを緩和することができる。
特開2002−264366号公報 特開2008−108570号公報 特開2007−094312号公報 米国特許出願公開第2005/0116643号明細書 米国特許出願公開第2008/0003915号明細書 特開2008−153126号公報 米国特許出願公開第2002/0064966号明細書 特開2002−222695号公報 特開2003−233330号公報
しかしながら、図1に示されるディスプレイパネルのように予備領域が素子配列領域を囲む場合、パネル全体における予備領域(非発光領域)の割合が増加し、有機ELディスプレイパネルにおける素子配列領域(発光領域)の割合が低下してしまう。
また、図2に開示されるように、予備吐出領域が細かくバンクによって規定されると、予備領域が有するバンクの数が多くなる。予備領域が有するバンクが多いと、インクの着弾精度が低い予備吐出の際にインクが予備領域内のバンク上に着弾し、バンク上に残留する恐れがある。特に高い粘度を有するインクをインクジェット法で吐出すると、インクの飛翔方向がばらつきやすく、インクがバンク上に着弾しやすい。バンク上に残留したインクは、乾燥するとパーティクルとなり、ディスプレイの欠陥を生じさせる恐れがある。
本発明の目的は、インクの着弾精度を上げることと、発光領域の割合の向上および欠陥の抑制と、を両立させることができる有機ELディスプレイパネルの製造方法を提供することである。
本発明の第1は、以下に示す有機ELディスプレイパネルに関する。
[1]有機EL素子がマトリクス状に配列された素子配列領域と、1または2以上の予備吐出領域からなる予備領域と、を有する基板と、前記基板上に配置され、前記予備領域と、前記素子配列領域とを区切るバンクと、前記基板上に配置され、前記素子配列領域内に、2以上の互いに平行なライン状領域を規定するライン状バンクと、を有する有機ELディスプレイパネルであって、前記ライン状領域内には、前記有機EL素子が列状に配列され、前記予備領域は、前記ライン状領域のライン方向の端部のみに隣接し、前記予備吐出領域の前記ライン方向と垂直な方向の長さは、前記ライン状領域の前記ライン方向と垂直な方向の長さよりも長く、前記予備領域と、前記素子配列領域とを区切るバンクの幅は、前記ライン状バンクの幅よりも狭く、20μm〜50μmである、有機ELディスプレイパネル。
本発明の第2は、以下に示す有機ELディスプレイパネルの製造方法に関する。
[2]画素電極がマトリクス状に配列された素子配列領域と、1または2以上の予備吐出領域からなる予備領域と、を有する基板と、前記基板上に配置され、前記予備領域と素子配列領域とを区切るバンクと、前記基板上に配置され、前記素子配列領域内に、2以上の互いに平行なライン状領域を規定するライン状バンクと、を有するベースパネルであって、前記ライン状領域内には、前記有機EL素子が列状に配列され、前記予備領域は、前記ライン状領域のライン方向の端部のみに隣接し、前記予備吐出領域の前記ライン領域の前記ライン方向と垂直な方向の長さは、前記ライン状領域の前記ライン方向と垂直な方向の長さよりも長く、前記予備領域と、前記素子配列領域とを区切るバンクの幅は、前記ライン状バンクの幅よりも狭く、20μm〜50μmである、ベースパネルを準備するステップと、2以上のノズルを有し、有機層の材料を含有するインクが供給されるインクジェットヘッドを、前記予備領域上に配置するステップと、前記予備領域上で前記ノズルから前記インクを一定のインターバルごとに吐出し、前記予備吐出領域内にインクを着弾させるステップと、前記インターバルごとの吐出を維持したまま、前記インクジェットヘッドを、前記予備領域から、前記素子配列領域に移動するステップと、前記インクジェットヘッドを前記ライン方向に沿って移動し、前記ライン状領域に前記インクを塗布するステップと、を有する有機ELディスプレイパネルの製造方法。
本発明によれば、パネルに予備吐出のための領域(予備領域)を設けることで、精度よく所望の領域にインクを塗布することができ、混色のない有機ELディスプレイパネルを得られる。
また、本発明では、非発光領域である予備領域を必要最低限に小さくすることで、有機ELディスプレイパネルの発光面積の割合を向上させることができる。
また、本発明によれば、予備領域がバンクを有さないか、または予備領域が有するバンクが少ないので、予備吐出で吐出されたインクがバンク上に着弾する可能性は低い。このためバンク上に残留したインクが乾燥することで生じるパーティクルが、有機ELディスプレイパネルの欠陥となる恐れが低い。
特許文献3に記載された従来の有機ELディスプレイパネルの平面図 特許文献4および5に記載された従来の有機ELディスプレイパネルの斜視図 実施の形態1のベースパネルの平面図 実施の形態1のベースパネルの断面図 実施の形態1の有機ELディスプレイパネルの製造方法を示す図 実施の形態1の有機ELディスプレイパネルの製造方法を示す図 実施の形態1の有機ELディスプレイパネルの製造方法を示す図 実施の形態1の有機ELディスプレイパネルの製造方法を示す図 実施の形態1の有機ELディスプレイパネルの平面図 実施の形態1の有機ELディスプレイパネルの平面図 実施の形態2のベースパネルの平面図 ベースパネルの平面図 実施の形態3のベースパネルの平面図 実施の形態3の有機ELディスプレイパネルの製造方法を示す図 実施の形態4のベースパネルの平面図 実施の形態4の有機ELディスプレイパネルの製造方法を示す図 実施の形態4の有機ELディスプレイパネルの製造方法を示す図 実施の形態4の有機ELディスプレイパネルの製造方法を示す図 実施の形態4の有機ELディスプレイパネルの平面図 実施の形態4の有機ELディスプレイパネルの平面図
1.有機ELディスプレイパネルの製造方法
本発明の有機ELディスプレイパネルの製造方法は、1)予備吐出領域からなる予備領域と、複数のライン状領域を有する素子配列領域と、を有するベースパネルを準備する第1ステップと、2)2以上のノズルを有し、有機層の材料を含有するインクが供給されるインクジェットヘッドを、予備領域上に配置する第2ステップと、3)予備吐出領域内にノズルからインクを吐出(予備吐出)する第3ステップと、4)インクジェットヘッドを予備領域から素子配列領域に移動する第4ステップと、5)ライン状領域にインクを塗布し、有機層を形成する第5ステップと、を有する。
第5ステップで、ライン状領域にインクを塗布する方法には、インクジェットヘッドをライン状領域のライン方向に沿って移動する方法(以下「縦塗り」とも称する)と、ライン状領域のライン方向と垂直な方向に沿って移動する方法(以下「横塗り」とも称する)とがある。本発明では、ライン状領域にインクを塗布する方法として、縦塗りまたは横塗りのいずれを採用してよい。
また、本発明は、第1ステップで準備するベースパネルの構造を工夫することで、発光領域の割合を高くしつつ、混色や欠陥を防止することを特徴とする。以下それぞれのステップについて説明する。
1)第1ステップでは、ベースパネルを準備する。ベースパネルとは、有機層が形成される前の有機ELディスプレイパネルを意味する。ベースパネルは、画素電極が配置された基板と、バンクと、を有する。
基板はその表面に予備領域と、素子配列領域とを有する。素子配列領域には、画素電極がマトリクス状に配置される。素子配列領域は有機ELディスプレイパネルにおいて発光領域となる領域である。画素電極は、例えばスパッタリングなどによって基板上に形成される。
予備領域とは、後述する予備吐出のための領域であり、非発光領域である。このため予備領域は画素電極を有さない。本発明は、予備領域の配置位置および構造に特徴を有する。予備領域の位置および構造については後述する。
バンクは、基板上に配置され、塗布形成される層を規定する障壁である。ベースパネルは、素子配列領域と予備領域とに区切るバンク(以下「境界バンク」とも称する)と、素子配列領域内に、2以上のライン状領域に規定するライン状バンクとを有する。バンクは、インクが塗布される領域を規定することから濡れ性が低いことが好ましい。
ライン状バンクは、素子配列領域内に、複数の互いに平行なライン状領域を規定する(図3参照)。したがって素子配列領域は、複数のライン状領域を有する。ライン状領域は、有機層の材料を含むインクが塗布される領域でもあることから塗布領域とも称する。それぞれのライン状領域には、複数の画素電極が列状に配列される。
また、バンクの代わりに、撥液性の自己組織化単分子膜(Self Assemble Monolayer:SAM)を用いてもよい(実施の形態3参照)。このように、バンクの代わりに撥液性の自己組織化単分子膜を用いる場合、自己組織化単分子膜は、ガラスやシリコン酸化物(SiO)の膜、金属膜、金属酸化物膜などの上に配置されることが好ましい。自己組織化単分子膜の材料としては、有機材料の末端にシランカップリング構造を有する材料が好ましい。シランカップリング結合は、紫外線等の光照射によって、切断できることから、自己組織化単分子膜は、フォトマスクを用いた光照射によって、パターニングされうる。
次に予備領域の構造および配置位置について説明する。予備領域は1または2以上の予備吐出領域からなる。予備吐出領域とは後述する予備吐出によって吐出されたインクが着弾する領域である。
予備領域の配置位置は、本発明で採用するインクの塗布方法(縦塗りまたは横塗り)に応じて適宜選択される。以下、a)縦塗りが採用された場合とb)横塗りが採用された場合とに分けて、予備領域の配置位置について説明する。
a)縦塗りが採用された場合(実施の形態1参照)
縦塗りが採用された場合、予備領域は、ライン状領域のライン方向の端部のみに隣接し、ライン状領域のライン方向の側部に隣接しない(図3参照)。この場合、予備領域は、ライン状領域のライン方向(以下単に「ライン方向」とも称する)と垂直な方向に沿った長軸を有し、ライン方向に沿った短軸を有する。予備領域の長軸は、素子配列領域のライン方向と垂直な方向の長さよりも長くなる(図3参照)。
また縦塗りが採用された場合、予備領域は1つの予備吐出領域からなってもよいし、2以上の予備吐出領域からなってもよい。予備領域が、1つの予備吐出領域からなる場合、予備領域はバンクを有さない(実施の形態1)。一方、予備領域が、2以上の予備吐出領域からなる場合、予備領域は予備吐出領域を規定するバンクを有する(実施の形態2参照)。予備領域が有するバンクは、ライン方向に平行な長軸を有する(実施の形態2参照)。いずれの場合であっても、予備領域が有するバンクの数は、素子配列領域が有するライン状バンクの数よりも少ない(図11参照)。
b)横塗りが採用された場合(実施の形態4参照)
横塗りが採用された場合、予備領域は、ライン状領域のライン方向の側部のみに隣接し、ライン状領域のライン方向の端部に隣接しない(図15参照)。この場合、予備領域は、ライン方向に沿った長軸を有し、ライン方向と垂直な方向に沿った短軸を有する。また、横塗りが採用された場合、予備領域は1つの予備吐出領域からなることが好ましい。
このように本発明の有機ELディスプレイパネルでは、縦塗りが採用された場合および横塗りが採用された場合のいずれの場合であっても、予備領域は、従来のディスプレイパネルのように(図1参照)素子配列領域を囲まない。これにより、有機ELディスプレイパネルにおける非発光領域である予備領域の割合を小さくし、発光領域である素子配列領域の割合を大きくすることができる。
2)第2ステップでは、インクジェットヘッドを予備領域上に配置する。インクジェットヘッドは、複数のノズルを有する。インクジェットヘッドには、有機層の材料を含むインクが供給される。インクは、高分子有機EL材料を含むことが好ましい。高分子有機EL材料は、所望の発色(R,G,B)が生じるように、適宜選択されることが好ましい。
上述のように予備領域の位置は、縦塗りを採用する場合と、横塗りを採用する場合とで異なる。このため、第2ステップでインクジェットヘッドを予備領域上に配置する位置も縦塗りを採用する場合と、横塗りを採用する場合とで異なる。
予備領域上に配置するインクジェットヘッドの数は1つであってもよいが(図5A参照)、2以上であってもよい。2以上のインクジェットヘッドを用いることで、より広い領域を一度に塗布することが可能になる。また、3つのインクジェットヘッドを重ね、それぞれのインクジェットヘッドに、R、GまたはBのインクを供給すれば、R、GおよびBのインクを同時に塗布することが可能になり、より短時間で全てのライン状領域にインクを塗布することができる。
3)第3ステップでは、予備領域上でノズルからインクを吐出(予備吐出)し、予備吐出領域内にインクを着弾させる。予備吐出は、ノズルの詰りが解消されかつ、メニスカス振動の周期が安定するまで続けることが好ましい。ノズルの詰りが解消されかつ、メニスカス振動の周期が安定することで、インクの吐出量および飛翔方向が安定し、インクの着弾精度が安定する。予備吐出で得られるメニスカス振動の周期は、第5ステップまで維持されることが好ましい。
予備吐出の時間は通常、0.01s〜5sである。また、1のノズルが1度に吐出するインクの量(ノズルが吐出するインク一滴の量)は、通常3pl〜20plである。
第3ステップでは、インクジェットヘッドを素子配列領域方向に移動しながら、予備吐出領域にインクを着弾させることが好ましい(図6A参照)。予備吐出をする間、インクジェットヘッドを素子配列領域方向へ移動することで、後述する第4ステップおよび第5ステップにおけるインクジェットの移動速度が安定する。
また、本発明では、第3ステップ〜第5ステップにおけるインクジェットヘッドが動く方向は同一である。したがって、縦塗りが採用された場合、インクジェットヘッドは、常にライン方向に沿って移動し;横塗りが採用された場合、インクジェットヘッドは、常にライン方向と垂直な方向に沿って移動する。このようにインクジェットヘッドの移動方向を統一することで、インクジェットヘッドの走査が安定する。
インクジェットヘッドを移動するには、インクジェットヘッド自体を移動させてもよいし、ベースパネルを搬送してもよいし、両方を移動させてもよい。
このように、インクの吐出量および飛翔方向が安定するまで、予備吐出を行うことで、インクの着弾精度が向上し、後述する第5ステップでライン状領域にインクを正確に塗布することができる。ここで「着弾精度が安定する」とは、インクの飛翔方向および吐出量が安定することを意味する。
また、上述のように予備領域が有するバンクの数が少ないため、インクの飛翔方向が不安定な予備吐出中に飛翔したインクが、バンク上に着弾し、バンク上に残存するおそれが少ない。これにより、有機ELディスプレイパネルの欠陥の原因となるパーティクルの発生を防止することができる。
4)第4ステップでは、インクジェットヘッドを、予備領域から、素子配列領域に移動する。インクジェットヘッドの予備領域から、素子配列領域への移動は、予備吐出で得られた安定なメニスカス振動の周期を維持したまま行うことが好ましい。安定なメニスカス振動の周期を維持しながら、インクジェットヘッドを予備領域から、素子配列領域へ移動するには、移動中も、各ノズルのアクチュエータを駆動すればよい。このように、インクジェットヘッドの予備領域から、素子配列領域への移動中も、予備吐出で得られた安定なメニスカス振動の周期を維持することで、予備領域で得られた着弾精度を維持することができる。
インクジェットヘッドを移動するには、インクジェットヘッド自体を移動させてもよいし、ベースパネルを搬送してもよいし、両方を移動させてもよい。インクジェットヘッドのベースパネルに対する移動速度は、1mm/s〜100mm/sであることが好ましい。
また、第3ステップで、予備吐出をする間もインクジェットヘッドを移動する場合、第4ステップのインクジェットヘッドの移動速度は、第3ステップのインクジェットヘッドの移動速度と同じであることが好ましい。
5)第5ステップでは、インクジェットヘッドで、ライン状領域にインクを塗布する。インクジェットヘッドで、ライン状領域にインクを塗布するには、インクジェットヘッドで素子配列領域を走査しながら、ノズルから吐出されたインクをライン状領域に着弾させればよい。インクジェットヘッドの走査方向は、縦塗りを採用するか、横塗りを採用するかで異なる。塗布されたインクを乾燥させることで、有機層が形成される。第5ステップのインクジェットヘッドの移動速度は、第4ステップのインクジェットヘッドの移動速度と同じであることが好ましい。
さらに、有機層上に対向電極をスパッタリングなどで形成し、有機ELディスプレイパネルを形成すればよい。
このように本発明によれば、予備吐出によって、ライン状領域にインクを正確に塗布することができ、混色のない有機ELディスプレイパネルが得られる。また、本発明では、予備領域内で、インクがバンク上に残留し、パーティクルの原因となる恐れが少ない。このため、本発明によれば欠陥が少ない有機ELディスプレイパネルが提供される。
2.本発明の有機ELディスプレイパネルについて
次に上述した有機ELディスプレイパネルの製造方法によって製造された有機ELディスプレイについて説明する。本発明の有機ELディスプレイパネルは、基板と、基板上に配置されたバンクと、基板上にマトリクス状に配置された有機EL素子と、を有する。
本発明の有機ELディスプレイパネルは、パッシブマトリックス型であっても、アクティブマトリックス型であってもよい。さらに本発明の有機ELディスプレイパネルは、ボトムエミッション型(光を画素電極および基板を通して取り出すタイプ)であっても、トップエミッション型(光を対向電極および封止膜を通して取り出すタイプ)であってもよい。
基板について
基板は、素子配列領域と予備領域とを有する。素子配列領域では有機EL素子がマトリクス状に配置されている。素子配列領域は後述のライン状バンクによって規定され、かつ互いに平行な複数のライン状領域を有する。ライン状領域内には有機EL素子が列状に配列されている。また、素子配列領域内では、基板は有機EL素子を駆動するための駆動TFTを内蔵していてもよい。
予備領域は、1または2以上の予備吐出領域からなる。予備吐出領域内には、有機EL素子が配置されず、レッド、グリーンおよびブルーに発光する有機発光材料の残渣が混在している。
基板の材料は、本発明の有機ELディスプレイパネルが、ボトムエミッション型であるか、トップエミッション型かあるかによって異なる。有機ELディスプレイパネルがボトムエミッション型の場合、基板が透明であることが求められるので、基板の材料の例には、PET(ポリエチレンテレフタレート)やPEN(ポリエチレンナフタレート)、PI(ポリイミド)などの透明樹脂やガラスなどが含まれる。一方、有機ELディスプレイパネルがトップエミッション型の場合、基板が透明である必要はないので、基板の材料は絶縁性を有するものであれば任意である。
バンクについて
バンクは、基板上に配置され、塗布形成される層を規定する障壁である。バンクの高さ(基板面からバンクの頂点までの距離)は0.5μm〜2μmであることが好ましい。
本発明の有機ELディスプレイパネルは、基板表面を予備領域と素子配列領域とに区切るバンクと、素子配列領域内に、2以上のライン状領域に規定するライン状バンクとを有する。
ライン状バンクは、素子配列領域内に複数のライン状領域を規定する(図3参照)。したがって素子配列領域は、複数のライン状領域を有する。ライン状バンクの幅は10μm〜50μmであり、例えば、約30μmである。
上述のようにバンクは、インクが塗布される領域を規定することから濡れ性が低いことが好ましい。バンクの濡れ性を低くするには、バンクをフッ素ガスでプラズマ処理してもよいし、バンクの材料をフッ素含有樹脂としてもよい。フッ素含有樹脂は、その高分子繰り返し単位のうち、少なくとも一部の繰り返し単位にフッ素原子を有するものであればよい。
バンクをフッ素ガスでプラズマ処理する場合、バンクの材料は、ポリイミドまたはアクリル樹脂であることが好ましい。また、フッ素含有樹脂の例には、フッ素化ポリイミド樹脂、フッ素化ポリメタアクリル樹脂、含フッ素フェノール・ノボラック系樹脂などが含まれる。
有機EL素子について
上述のように有機EL素子は、素子配列領域のそれぞれのライン状領域内に列状に配列される。それぞれ有機EL素子は、レッド、グリーンまたはブルーのいずれかの色の光を発する副画素として機能する。同一のライン状領域内に配置された有機EL素子は全て同色の光を発する。有機EL素子は、基板上に配置された画素電極、画素電極上に配置された有機層、および有機層上に配置された対向電極を有する。
画素電極は、基板上に配置される導電性の部材である。画素電極は通常陽極として機能するが陰極として機能してもよい。有機ELディスプレイパネルがボトムエミッション型の場合、画素電極が透明であることが求められるので、画素電極の材料の例には、ITO(Indium Tin Oxide)やIZO(Indium Zinc Oxide)、酸化スズなどが含まれる。一方、有機ELディスプレイパネルがトップエミッション型の場合、画素電極に光反射性が求められるので、画素電極の材料の例には、APC合金(銀、パラジウム、銅の合金)やARA(銀、ルビジウム、金の合金)、MoCr(モリブデンとクロムの合金)、NiCr(ニッケルとクロムの合金)などが含まれる。画素電極の厚さは、通常、100nm〜500nmであり、約150nmでありうる。
また、本発明の有機ELディスプレイパネルが、パッシブマトリクス型である場合、複数の有機EL素子が1のライン状の画素電極を共有する。画素電極がライン状である場合、ライン状バンクのラインの方向と、画素電極のラインの方向とは直交することが好ましい。一方、本発明の有機ELディスプレイパネルがアクティブマトリクス型である場合、画素電極は有機EL素子ごとに独立して配置され(図3参照)、駆動TFTと接続される。
有機層は、画素電極上に塗布法によって形成された、少なくとも有機発光層を含む層である。有機層は、さらに正孔注入層、中間層、電子輸送層などを含んでいてもよい。このように本発明では、有機層は塗布法によって形成されることを特徴とする。有機層は、バンクによって規定された領域内に配置される。すなわち、ライン状の有機層が、ライン状領域内に形成される。したがって、ライン状領域内の有機EL素子の有機層は連結している。有機層の厚さは、約50nm〜100nm(例えば70nm)であることが好ましい。
有機発光層は、有機発光材料を含む層である。有機発光層に含まれる有機発光材料は低分子有機発光材料であっても、高分子有機発光材料であってもよいが、高分子有機発光材料であることが好ましい。高分子有機発光材料を含む有機発光層は、塗布形成しやすいからである。高分子有機発光材料の例には、ポリフェニレンビニレンおよびその誘導体、ポリアセチレン(Polyacetylene)およびその誘導体、ポリフェニレン(Polyphenylene)およびその誘導体、ポリパラフェニレンエチレン(Polyparaphenylene ethylene)およびその誘導体、ポリ3−ヘキシルチオフェン(Poly−3−hexylthiophene(P3HT))およびその誘導体、ポリフルオレン(Polyfluorene(PF))およびその誘導体などが含まれる。
有機発光材料は各副画素(有機EL素子)から所望の発色(レッド、グリーンまたはブルー)が生じるように、適宜選択される。例えば、レッド副画素の隣にグリーン副画素を配置し、グリーン副画素の隣にブルー副画素を配置し、ブルー副画素の隣にレッド副画素を配置する。
対向電極は有機層上に配置された導電性部材である。対向電極は通常陰極として機能するが陽極として機能してもよい。本発明の有機ELディスプレイパネルがトップエミッション型の場合、対向電極の材料の例には、ITOやIZO、Ba、Al、WOxなどが光透過性の材料が含まれる。一方、本発明の有機ELディスプレイパネルがボトムエミッション型の場合、対向電極の材料は特に限定されないが、例えば、BaやBaO、Alなどである。
また、有機ELディスプレイパネルがアクティブマトリクス型の場合、全ての有機EL素子が1つの対向電極を共有していてもよい(図3参照)。アクティブマトリクス型の有機ELディスプレイパネルでは、各副画素は独立したTFTによって駆動されるからである。一方、有機ELディスプレイパネルがパッシブマトリクス型の場合、複数のライン状の対向電極がパネル上に配置される。この場合、ライン状バンクがカソードセパレータとして機能する。またライン状の対向電極のライン方向は、ライン状の画素電極のライン方向と直交することが好ましい。
このように本発明の有機ELディスプレイパネルでは、非発光領域である予備領域が、従来のディスプレイパネルのように(図1参照)発光領域である素子配列領域を囲まない。これにより、有機ELディスプレイパネルにおける非発光領域である予備領域の割合を小さくし、発光領域である素子配列領域の割合を大きくすることができる。
以下図面を参照して本発明の有機ELディスプレイパネルの実施の形態について説明する。
[実施の形態1]
実施の形態1では、縦塗りを採用した有機ELディスプレイパネルの製造方法について説明する。また、実施の形態1で製造される有機ELディスプレイパネルは、アクティブマトリクス型である。
実施の形態1の有機ELディスプレイパネルの製造方法は、1)ベースパネルを準備する第1ステップ(図3参照)と、2)インクジェットヘッド120を、予備領域107上に配置する第2ステップ(図5A参照)と、3)予備領域107上でノズル121からインクを一定インターバルごとに吐出し、インクを予備吐出領域108に着弾させる第3ステップ(図6A参照)と、4)一定のインターバルごとの吐出を維持したまま、インクジェットヘッド120を予備領域107から素子配列領域105に移動する第4ステップ(図6B参照)と、5)ライン状領域(塗布領域)104にインクを塗布する第5ステップ(図8A参照)と、を有する。
本実施の形態は、第4ステップで予備吐出の吐出インターバルを維持したままインクジェットヘッド120を予備領域107から素子配列領域105に移動することを特徴とする。
また、本実施の形態では、第3ステップから第5ステップにおいてインクジェットヘッドが移動する方向が同一である。すなわち本実施の形態では、インクジェットヘッドをライン方向に沿って移動する。以下それぞれのステップについて説明する。
1)第1ステップでは、ベースパネルを準備する。図3は、第1ステップで準備するベースパネルの平面図である。図3に示されるように、ベースパネル110は、基板101と、画素電極102と、バンク(境界バンク103およびライン状バンク106)とを有する。
基板101は、その表面に素子配列領域105と、予備領域107とを有する。素子配列領域105内には、画素電極102がマトリクス状に配列されている。
ライン状バンク106は、素子配列領域105内に、ライン状領域(塗布領域)104を規定する。したがって素子配列領域105は複数のライン状領域104を有する。ライン状バンク106の幅106wは10μm〜50μmであることが好ましい。ライン状領域104は1列に配列された複数の画素電極102を有する。
境界バンク103は、予備領域107と素子配列領域105とを区切る。本実施の形態では、境界バンク103の幅103wが狭いことが好ましい。ここで「バンクの幅」とはバンクの底面の短手方向の長さを意味する(図4B参照)。例えば、境界バンク103の幅103wは、有機ELディスプレイパネルの副画素の幅(80μm〜200μm)やライン状バンク106の幅106wよりも狭いことが好ましい。より具体的には、境界バンク103の幅103wは、10μm〜300μmであることが好ましく、20μm〜50μmであることがさらに好ましい。このように本実施の形態では、境界バンク103の幅103wが、比較的狭いことを特徴とする。
図4Aは図3に示したベースパネル110のAA線による断面図である。図4Bは、図4Aに示した四角Xの拡大図である。図4Bに示されるように境界バンク103の形状は、順テーパ状である。境界バンク103のテーパ角αは20°〜50°であることが好ましい。また、境界バンク103の断面は、図4Cに示されるように三角形であってもよいし、図4Dに示されるように半円であってもよい。また、境界バンク103は撥液性を有することが好ましい。具体的には、境界バンク103の頂点におけるアニソールの接触角は30°〜70°であることが好ましく、40°〜50°であることがより好ましい。
次に、図3を参照しながら予備領域107の構造および配置位置について説明する。予備領域107は、1つの予備吐出領域108からなる。このため本実施の形態では、予備領域107は、予備吐出領域を区切るバンクを有さない。
予備領域107は、ライン状領域104のライン方向の一方の(図面上方の)端部のみに隣接する。また、予備領域107が、ライン状領域104のライン方向の側部に隣接しないのであれば、予備領域107は、素子配列領域105を挟むように、素子配列領域105の両側に配置されてもよい。すなわち予備領域107は、ライン状領域104のライン方向の端部の両方に隣接していてもよい。
このように、本実施の形態では、予備領域107は、素子配列領域105を囲まず、ライン状領域104のライン方向の端部にのみ隣接する。これにより、有機ELディスプレイパネルにおける非発光領域(予備領域)の割合を小さくし、発光領域(素子配列領域)の割合を大きくすることができる。
予備領域107の長軸は、ライン方向と垂直である。予備領域107の短軸は、ライン方向と平行である。
予備領域107のライン方向と垂直な方向の長さ107L(予備領域107の長軸の長さ)は、素子配列領域105のライン方向と垂直な方向の長さ(以下、「素子配列領域105の幅」とも称する)105Lよりも長いことが好ましい。本実施の形態では予備領域107は、1つの予備吐出領域108からなるので、予備吐出領域108の長軸の長さも、素子配列領域105の幅105Lよりも長いことが好ましい。予備領域107の長軸の長さ107Lが、素子配列領域105の幅105Lよりも短い場合、後述する予備吐出の際に、インクが予備吐出領域108以外の領域に着弾するおそれがあるからである。
予備領域107のライン方向の長さ107S(予備領域107の短軸の長さ)は、例えば、有機ELディスプレイパネルの副画素の長軸の長さ(例えば300μm)以上であることが好ましい。同様に予備吐出領域108の短軸の長さも、300μm以上であることが好ましい。予備領域107の短軸の長さ107Sが副画素の長さ未満である場合、後述する予備吐出の際に、インクが予備吐出領域108以外の領域に着弾するおそれがあるからである。
2)図5Aは、ベースパネルの平面図を用いて第2ステップを示した図であり、図5Bは、図5AのベースパネルのAA線による断面図を用いて第2ステップを示した図である。図5Aおよび図5Bに示されるように、第2ステップでは、2以上のノズル121を有し、有機層の材料を含有するインクが供給されるインクジェットヘッド120を予備領域107上に配置する。
図5Aに示されるように、第2ステップでは、インクジェットヘッド120のノズル121の配列方向が、ライン方向と垂直な方向に沿うように配置される。また、ライン方向と垂直な方向に対して、ノズル121の配列方向を傾けてもよい。
3)図6Aは、ベースパネルの断面図を用いて第3ステップを示す。図6Aに示されるように、第3ステップでは、予備領域107上で、ノズル121からインクを一定インターバルごとに吐出(予備吐出)し、予備吐出領域108内にインクを着弾させる。
吐出のインターバル(1の吐出から次の吐出までの時間)は、駆動周波数によって異なるが、通常は(駆動周波数1kHz〜20kHzの範囲)0.05ms〜1.0msである。
また、予備吐出の際、インクジェットヘッド120を素子配列領域105方向に移動する。インクジェットヘッドの移動方向は、ライン方向と平行である。予備吐出をする間、インクジェットヘッドを素子配列領域方向へ移動することで、後述する第4ステップおよび第5ステップにおけるインクジェットの移動速度が安定する。
インクジェットヘッドのベースパネルに対する移動速度は、1mm/s〜100mm/sであることが好ましい。
このようにライン状領域にインクを塗布する前に予備領域上で予備吐出を行うことで、ノズル詰りが解消され、かつメニスカス振動の周期が安定し、インクの飛翔方向および吐出量が安定する。これにより、着弾精度が向上し、後述する第5ステップでライン状領域にインクを正確に塗布することができる。また、上述のように予備領域107は予備吐出領域を区切るバンクを有さない。このため、予備吐出におけるインクの着弾精度が低くても、吐出されたインクは全て予備吐出領域108内に着弾する。このため、バンク上に着弾したインクが、パーティクルとなる恐れはない。
4)図6Bは、べースパネルの断面図を用いて第4ステップを示す。図6Bに示されるように、第4ステップでは、予備吐出における一定のインターバルごとの吐出を維持したまま、インクジェットヘッド120を、予備領域107から、素子配列領域105に移動する。
インクジェットヘッド120を予備領域107から素子配列領域105へ移動する間も、一定のインターバルごとの吐出が維持されることから、インクジェットヘッド120は予備吐出によって得られた安定なメニスカス振動の周期が維持される。このため、予備吐出によって得られたインクの着弾精度を保ったまま、ライン状領域104にインクを塗布することができる(第5ステップ)。
一方、一定のインターバルごとの吐出を維持したまま、インクジェットヘッド120を予備領域107から素子配列領域105に移動した場合、インクが境界バンク103の頂面に残留することも考えられる。境界バンク103の頂面に残留したインクは、乾燥してパーティクルとなりディスプレイパネルの不良の原因ともなりうる。
しかし本実施の形態では、上述のように境界バンク103の形状を工夫しているため、一定のインターバルごとの吐出を維持したまま、インクジェットヘッド120を予備領域107から素子配列領域105に移動したとしても境界バンク103の頂面にインクが残留しない。
図7Aは、第4ステップ後の境界バンク103の拡大断面図である。図7Aに示されるように、一定のインターバルごとの吐出を維持したまま、インクジェットヘッド120を移動させた場合、境界バンク103の頂面にもインク130が塗布され、境界バンク103の頂面に、一時的にインク130が残留することがある。
しかし上述したように本実施の形態では、境界バンク103は、撥液性を有し、幅が狭く、かつテーパ状であることから、境界バンク103の頂面に塗布されたインク130は、矢印方向に引っ張られ、ライン状領域104側と、予備吐出領域108側とに引きちぎられて、分断される(図7B)。矢印方向にインク130を引っ張る力は、バンクが順テーパ状であることによってさらに強められる。境界バンク103の頂面に塗布されたインク130が引きちぎられて、分断されると、インク130は、境界バンク103の側面に滑り落ち、最終的にライン状領域104または予備吐出領域108のいずれかに滑り落ちる(図7C)。
このように、境界バンク103の形状や撥液性を調整することで、一定のインターバルごとの吐出を維持したまま、インクジェットヘッドを移動させた場合であっても境界バンク103の頂面にインクが残留しない。
一方、境界バンクの幅が300μm以上であった場合、境界バンク103の頂面にインクが残留するおそれがある。また、境界バンク103の幅が10μm以下であった場合、境界バンク103は塗布されるインクを完全に区切ることができず、ライン状領域104と予備吐出領域108とでインクが混ざり合うおそれがある。また、境界バンクの形状が順テーパ状でない場合(例えば逆テーパ状の場合)境界バンク103の頂面に塗布されたインクは、境界バンク103の側面に移動しにくく、境界バンク103の頂面に残留するおそれが高い。
5)図8Aは、ベースパネルの平面図を用いて第5ステップを示し;図8Bは、図8AのベースパネルのAA線による断面図を用いて第5ステップを示す。図8Aおよび図8Bに示されるように第5ステップでは、インクジェットヘッド120をライン方向に沿って移動し、ライン状領域にインクを塗布する。塗布されたインクを乾燥させることで、有機層が形成される。
第3ステップ〜第5ステップを繰り返すことで、全てのライン状領域を塗布し、有機層が形成される。さらに、形成された有機層上に、例えばスパッタリング法で対向電極を形成することで、図9に示されたような本実施の形態の有機ELディスプレイパネル100が製造される。
上述のように、本実施の形態では、第3ステップから第5ステップにおいてインクジェットヘッド120の移動方向が同一である。このため、インクジェットヘッド120の走査が安定し、安定してインクをライン状領域104に塗布することができる。
このように、本実施の形態によれば、ライン状領域にインクを正確に塗布することができ、混色のない有機ELディスプレイパネルが得られる。また、本発明では、境界バンクの頂面にインクが残留しないことから、不良の少ない有機ELディスプレイパネルを提供することができる。
次に本実施の形態の有機ELディスプレイパネルの製造方法によって製造された有機ELディスプレイパネルについて説明する。
図9は、実施の形態1の有機ELディスプレイパネル100の平面図である。図10は、対向電極109を省略した有機ELディスプレイパネル100の平面図である。
図10に示されるように、有機ELディスプレイパネル100は、基板101と、境界バンク103と、ライン状バンク106と、有機EL素子140とを有する。
基板101は、有機EL素子140がマトリクス状に配列された素子配列領域105と、予備吐出領域108からなる予備領域107とを有する。予備領域107は、素子配列領域105を囲まず、ライン状領域104のライン方向の端部にのみ隣接する。また予備領域107内には、R、GおよびBの有機発光材料の残渣が混在している。
境界バンク103は、素子配列領域105と予備領域107とを区切り、ライン状バンク106は、素子配列領域105内に、複数のライン状のライン状領域104を規定する。ライン状領域104内には、有機EL素子140が列状に配列されている。
有機EL素子140には、赤色の光を発する有機EL素子140Rと、緑色の光を発する有機EL素子140Gと、青色の光を発する有機EL素子140Bと、が含まれる。1つのライン状領域104内に配列された有機EL素子140は、同一の光を発する。また、有機EL素子140Rと、有機EL素子140Gと、有機EL素子140Bとから1つの画素が構成される。
このように、本実施の形態の有機ELディスプレイパネル100では、予備領域107は、素子配列領域105を囲まないので、有機ELディスプレイパネルにおける非発光領域(予備領域)の割合を小さくし、発光領域(素子配列領域)の割合を大きくすることができる。
[実施の形態2]
実施の形態1では、予備領域が1つの予備吐出領域からなる形態について説明した。実施の形態2では、予備領域が複数の予備吐出領域からなる形態について説明する。
図11は、実施の形態2の有機ELディスプレイパネルの製造方法で準備されるベースパネル210の平面図である。ベースパネル210は、予備領域207が複数の予備吐出領域208からなる以外は、実施の形態1のベースパネル110と同じである。したがって、ベースパネル110と同一の構成要素については、同一の符号を付し説明を省略する。
図11に示されるように、ベースパネル210では、予備領域207が予備吐出領域108を区切るバンク203を有する。バンク203の長軸は、ライン状バンク106のライン方向と平行である。
予備領域207が有するバンク203の数は、素子配列領域105が有するライン状バンク106の数よりも少ない。この結果、それぞれの予備吐出領域208のライン方向と垂直な方向の長さ208Lは、ライン状領域104のライン方向と垂直な方向の長さ104w(ライン状領域104の短軸の長さ)よりも長くなる。
このように、本実施の形態では予備領域207がバンク203を有する。このため、バンクを有さない実施の形態1の予備領域107と比較して、バンク203が占める面積の分、予備領域207の単位面積辺りの予備吐出領域208の面積が、小さくなる。
このため、予備吐出で予備吐出領域に着弾するインク量が一定であると仮定すると、予備領域107がバンクを有さない実施の形態1と比較して、予備吐出領域208の単位面積辺りの、インク量が増加する。このため予備吐出領域208内のインク表面の高さが高くなる。これにより、素子配列領域105の予備領域107付近の溶媒蒸気濃度を平準化することができ、素子配列領域105の予備領域107付近の乾燥スピードが選択的に高くなることを防止することができる。素子配列領域105の予備領域107付近のインクの乾燥スピードが選択的に高くなることを防止することで、乾燥ムラを低減することができ、均一な膜厚を有する有機EL層が得られる。
一方、図12に示されるように、予備領域207が有するバンク203の数を、素子配列領域105が有するライン状バンク106の数と同じにし、予備吐出領域208のライン方向と垂直な方向の長さ208Lを、ライン状領域104の短軸の長さ104wと同じにすることも考えられる。しかし、予備領域207が有するバンク203の数を、素子配列領域105が有するライン状バンク106の数と同じにすると、予備吐出の際にインクがバンク203の頂面に着弾し、残留するおそれがあるので好ましくない。
実施の形態2の有機ELディスプレイパネルの製造方法は、ベースパネルの準備後は、実施の形態1の有機ELディスプレイパネルと同じであってよい。
このように実施の形態2の有機ELディスプレイパネルによれば、乾燥ムラを低減することができることから、より均一な膜厚を有する有機ELディスプレイパネルが得られる。
[実施の形態3]
実施の形態3では、バンクの代わりに自己組織化単分子膜(SAM)を用いた例について説明する。
図13は、実施の形態3の有機ELディスプレイパネルの製造方法で準備されるベースパネル310の平面図である。ベースパネル310は、バンクの代わりにSAMを用いる以外は、実施の形態1のベースパネル110と同じである。したがって、ベースパネル110と同一の構成要素については、同一の符号を付し説明を省略する。
図13に示されるようにベースパネル310は、予備領域107と素子配列領域105を有する。予備領域107と素子配列領域105とは境界SAM303によって区切られている。
境界SAM303の幅303wは、境界バンク103の幅103wと同程度であることが好ましい。素子配列領域105は、ライン状SAM306を有し、ライン状SAM306はライン状領域104を規定する。
ベースパネル310の準備後は、実施の形態1の有機ELディスプレイパネルの製造方法と同様に、1)インクジェットヘッド120を、予備領域107上に配置し(図14A)、2)予備領域107上で、ノズル121からインクを一定インターバルごとに吐出し、予備吐出領域108にインクを着弾させ(図14B)、3)一定のインターバルごとの吐出を維持したまま、インクジェットヘッド120を予備領域107から素子配列領域105に移動し(図14C)、4)インクジェットヘッド120をライン方向に沿って移動させ、ライン状領域104にインクを塗布すればよい。
また、本実施の形態では予備領域107と素子配列領域105とを区切る境界SAM303は、境界バンクと同等の幅を有するが、境界バンク103と異なり順テーパ状でない。このため、境界SAM303上にインクが残留することも考えられる。しかし、境界SAM303は段差を有さないことから、境界SAM303上に塗布されたインクは、境界SAM303の撥液性の影響を受けやすい。このため、境界SAM303が順テーパ状でなくとも、境界SAM303上に塗布されたインクは、境界SAM303の撥液性によって引きちぎられて、分断し、境界SAM303上にインクは残留しない。
このように、本実施の形態によればバンクの代わりにSAMを用いることで、実施の形態1の効果に加えて有機ELディスプレイパネルの構造を単純化することができる。
[実施の形態4]
実施の形態1〜3では、縦塗りを採用した形態について説明した。実施の形態4では、横塗りを採用した有機ELディスプレイパネルの製造方法について説明する。
実施の形態4の有機ELディスプレイパネルの製造方法は、1)ベースパネルを準備する第1ステップ(図15参照)と、2)インクジェットヘッド120を、予備領域407上に配置する第2ステップ(図16A参照)と、3)予備領域407上でノズル121からインクを吐出し、インクを予備吐出領域408に着弾させる第3ステップ(図17A参照)と、4)インクジェットヘッド120を予備領域407から素子配列領域105に移動する第4ステップ(図17B参照)と、5)ライン状領域104にインクを塗布する第5ステップ(図18A)と、を有する。
本実施の形態では、第3ステップから第5ステップにおいてインクジェットヘッドが移動する方向が同一である。すなわち本実施の形態では、インクジェットヘッドがライン方向と垂直な方向に沿って移動される。
1)第1ステップでは、ベースパネルを準備する。図15は、第1ステップで準備するベースパネル410の平面図である。実施の形態1のベースパネル110と同一の構成要素については、同一の符号を付し説明を省略する。
図15示されるようにベースパネル410は、基板101と、画素電極102と、バンク(境界バンク403およびライン状バンク106)とを有する。
基板101は、その表面に素子配列領域105と、予備領域407とを有する。素子配列領域105内には、画素電極102がマトリクス状に配列されている。
境界バンク403の幅は、ライン状バンク106の幅と同じであってよい。境界バンク403の形状は、予備吐出領域408内からのインクの漏れを防止できるのであれば特に限定されない。
予備領域407は、1つの予備吐出領域408からなる。このため本実施の形態では、予備領域407は、予備吐出領域408を区切るバンクを有さない。
予備領域407は、図面左側のライン状領域104のライン方向の側部にのみ隣接する。また、予備領域407が、ライン状領域104のライン方向の端部に隣接しないのであれば、予備領域407は、素子配列領域105を挟むように素子配列領域105の両側に配置されてもよい。このように、本実施の形態では、予備領域は、素子配列領域を囲まず、ライン状領域104のライン方向の側部にのみ隣接する。これにより、有機ELディスプレイパネルにおける非発光領域(予備領域)の割合を小さくし、発光領域(素子配列領域)の割合を大きくすることができる。
予備領域407の長軸は、ライン方向と平行である。予備領域107の短軸は、ライン方向と垂直である。
予備領域407のライン方向の長さ407L(予備領域407の長軸の長さ)は、ライン状領域104のライン方向の長さ(ライン状領域104の長軸の長さ)よりも長いことが好ましい。本実施の形態では予備領域407は、1つの予備吐出領域408からなるので、予備吐出領域408の長軸の長さも、ライン状領域104の長軸より長いことが好ましい。予備領域407の長軸の長さ407Lが、ライン状領域104の長軸よりも短い場合、後述する予備吐出の際に、インクが予備吐出領域408以外の領域に着弾するおそれがあるからである。
予備領域407のライン方向と垂直な方向の長さ407S(予備領域407の短軸の長さ)は、例えば、ライン状領域104のライン方向と垂直な方向の長さ(ライン状領域104の短軸の長さ)の2倍以上であることが好ましく、RGB3つの副画素からなる画素の幅(約300μm)以上であることが特に好ましい。同様に予備吐出領域408の短軸の長さも、画素の幅(約300μm)以上であることが好ましい。
予備領域407の短軸の長さ407Sがライン状領域104の短軸の2倍未満である場合、予備吐出の際に、インクが予備吐出領域408以外の領域に着弾するおそれがある。
また、予備領域407の短軸の長さ407Sが、画素の幅以上であると、R、BまたはGの異なるインクを供給された3つのインクジェットヘッドを重ねて用いる場合であっても、予備吐出の際にそれぞれのインクジェットヘッドのノズルから吐出されたインクが予備吐出領域408以外の領域に着弾することを防止することができる。
2)図16Aは、ベースパネルの平面図を用いて第2ステップを示した図であり、図16Bは、図16AのベースパネルのAA線による断面図を用いて第2ステップを示した図である。図16Aおよび図16Bに示されるように、第2ステップでは、2以上のノズル121を有し、有機層の材料を含有するインクが供給されるインクジェットヘッド120を予備領域407上に配置する。
図16Aに示されるように、第2ステップでは、インクジェットヘッド120のノズル121の配列方向が、ライン方向に沿うように配置される。また、ライン方向に対して、インクジェットヘッド120のノズル121の配列方向を傾けてもよい。また、インクジェットヘッド120のノズルの配列方向の長さは、ライン状領域104の長軸の長さ以上である。
3)図17Aは、ベースパネルの断面図を用いて第3ステップを示す。図17Aに示されるように第3ステップでは、予備領域407上で、ノズル121からインクを吐出(予備吐出)し、予備吐出領域408内にインクを着弾させる。予備吐出におけるインクの吐出インターバルおよび吐出回数は、第5ステップにおけるインクの吐出インターバルおよび吐出回数と同じであることが好ましい。このように、予備領域で第5ステップと同じインターバルで同じ回数インクを吐出することで、メニスカス振動の周期を安定させることができる。
また、予備吐出の際、インクジェットヘッド120を素子配列領域105方向に移動する。インクジェットヘッドの移動方向は、ライン方向と垂直である。予備吐出をする間、インクジェットヘッド120を素子配列領域105方向へ移動することで、後述する第4ステップおよび第5ステップにおけるインクジェットの移動速度が安定する。
このようにライン状領域にインクを塗布する前に予備領域上で予備吐出を行うことで、ノズルによるインクの着弾精度を向上させることができ、後述する第5ステップでライン状領域にインクを正確に塗布することができる。また、上述のように予備領域407は予備吐出領域を区切るバンクを有さないことから、予備吐出されたインクは全て予備吐出領域408内に着弾する。このため、バンク上にインクが着弾する恐れがない。
4)図17Bは、べースパネルの断面図を用いて第4ステップを示す。図17Bに示されるように、第4ステップでは、インクジェットヘッド120を、予備領域407から、素子配列領域105に移動する。インクジェットヘッド120を、予備領域407から、素子配列領域105に移動する際、予備吐出で得られた安定なメニスカス振動の周期を維持するために、ノズルのアクチュエータを駆動し続けることが好ましい。一方、実施の形態1と異なり、本実施の形態では、インクジェットヘッド120を、予備領域407から、素子配列領域105に移動する間は、ノズル121からインクを吐出させない。
5)図18Aは、ベースパネルの平面図を用いて第5ステップを示し;図18Bは、図8AのベースパネルのAA線による断面図を用いて第5ステップを示す。図18Aおよび図18Bに示されるように第5ステップでは、インクジェットヘッド120をライン方向と垂直な方向に沿って移動し、ライン状領域104にインクを塗布する。
図18Bに示されるように、横塗りの場合、ノズル121は、常時インクを吐出するのではなく、一定インターバルでインクを吐出する状態と、インクの吐出を停止する状態とが交互に繰り返される。具体的には、インクジェットヘッド120が所望の発色をするライン状領域上に位置するときのみ、ノズル121は一定インターバルでインクを所定回数吐出し、インクジェットヘッド120がその他のライン状領域上に位置するときには、ノズル121はインクを吐出しないように調整される。また、インクを吐出しないときであっても、安定なメニスカス振動の周期を維持するために、ノズルのアクチュエータを駆動することが好ましい。
横塗りの場合、複数のノズル121から吐出されたインクで、1つのライン状領域が塗布されることから、ノズルごとのインクの吐出量の差によって生じる、ライン状領域間の有機層の膜厚ムラが防止される。
第3ステップ〜第5ステップを繰り返すことで、全てのライン状領域を塗布し、有機層が形成される。さらに、形成された有機層上に、例えばスパッタリング法で対向電極を形成することで、図19に示されるような有機ELディスプレイパネル400が製造される。
上述のように、本実施の形態では、第3ステップから第5ステップにおいてインクジェットヘッド120の移動方向が同一である。このため、インクジェットヘッド120の走査が安定し、安定してインクをライン状領域104に塗布することができる。
次に本実施の形態の有機ELディスプレイパネルの製造方法によって製造された有機ELディスプレイパネルについて説明する。
図19は、実施の形態4の有機ELディスプレイパネル400の平面図である。図20は、対向電極109を省略した有機ELディスプレイパネル400の平面図である。実施の形態1の有機ELディスプレイパネル100と同一の構成要素については同一の符号を付し、説明を省略する。
図20に示されるように、有機ELディスプレイパネル400は、基板101と、境界バンク103と、ライン状バンク106と、有機EL素子140とを有する。
基板101は、有機EL素子140がマトリクス状に配列された素子配列領域105と、予備吐出領域408からなる予備領域407とを有する。予備領域407は、素子配列領域105を囲まず、ライン状領域104のライン方向の側部のうち、一方にのみ隣接する。
このように、本実施の形態の有機ELディスプレイパネル400では、予備領域407は、素子配列領域105を囲まないので、有機ELディスプレイパネルにおける非発光領域(予備領域)の割合を小さくし、発光領域(素子配列領域)の割合を大きくすることができる。
本出願は、2009年3月6日出願の特願2009−053520に基づく優先権を主張する。当該出願明細書に記載された内容は、すべて本願明細書に援用される。
本発明の有機ELディスプレイパネルは、例えば、有機ELディスプレイ(大画面テレビ、携帯電話などの情報機器端末のモニタなど)に適用可能である。
100、400 有機ELディスプレイパネル
ベースパネル110、210、310、410
101 基板
102 画素電極
103 境界バンク
104 ライン状領域
105 素子配列領域
106 ライン状バンク
107、207 予備領域
108、208、 予備吐出領域
109 対向電極
120 インクジェットヘッド
121 ノズル
130 インク
140 有機EL素子
203 予備吐出領域を規定するバンク
303、306 SAM

Claims (11)

  1. 有機EL素子がマトリクス状に配列された素子配列領域と、1または2以上の予備吐出領域からなる予備領域と、を有する基板と、
    前記基板上に配置され、前記予備領域と、前記素子配列領域とを区切るバンクと、
    前記基板上に配置され、前記素子配列領域内に、2以上の互いに平行なライン状領域を規定するライン状バンクと、を有する有機ELディスプレイパネルであって、
    前記ライン状領域内には、前記有機EL素子が列状に配列され、
    前記予備領域は、前記ライン状領域のライン方向の端部のみに隣接し、
    前記予備吐出領域の前記ライン方向と垂直な方向の長さは、前記ライン状領域の前記ライン方向と垂直な方向の長さよりも長く、
    前記予備領域と、前記素子配列領域とを区切るバンクの幅は、前記ライン状バンクの幅よりも狭く、20μm〜50μmである、有機ELディスプレイパネル。
  2. 前記予備領域と前記素子配列領域とを区切るバンクの形状は、順テーパ状である、請求項1に記載の有機ELディスプレイパネル。
  3. 前記予備領域と前記素子配列領域とを区切るバンクのテーパ角度は、20°〜50°である、請求項2に記載の有機ELディスプレイパネル。
  4. 前記予備領域と前記素子配列領域とを区切るバンクの頂面におけるアニソールの接触角は、30°〜70°である、請求項1に記載の有機ELディスプレイパネル。
  5. 前記予備領域は、1の前記予備吐出領域からなる請求項1に記載の有機ELディスプレイパネル。
  6. 前記予備領域は、2以上の前記予備吐出領域からなる請求項1に記載の有機ELディスプレイパネル。
  7. 画素電極がマトリクス状に配列された素子配列領域と、1または2以上の予備吐出領域からなる予備領域と、を有する基板と、前記基板上に配置され、前記予備領域と素子配列領域とを区切るバンクと、前記基板上に配置され、前記素子配列領域内に、2以上の互いに平行なライン状領域を規定するライン状バンクと、を有するベースパネルであって、前記ライン状領域内には、前記有機EL素子が列状に配列され、前記予備領域は、前記ライン状領域のライン方向の端部のみに隣接し、前記予備吐出領域の前記ライン領域の前記ライン方向と垂直な方向の長さは、前記ライン状領域の前記ライン方向と垂直な方向の長さよりも長く、前記予備領域と、前記素子配列領域とを区切るバンクの幅は、前記ライン状バンクの幅よりも狭く、20μm〜50μmである、ベースパネルを準備するステップと、
    2以上のノズルを有し、有機層の材料を含有するインクが供給されるインクジェットヘッドを、前記予備領域上に配置するステップと、
    前記予備領域上で前記ノズルから前記インクを一定のインターバルごとに吐出し、前記予備吐出領域内にインクを着弾させるステップと、
    前記インターバルごとの吐出を維持したまま、前記インクジェットヘッドを、前記予備領域から、前記素子配列領域に移動するステップと、
    前記インクジェットヘッドを前記ライン方向に沿って移動し、前記ライン状領域に前記インクを塗布するステップと、を有する有機ELディスプレイパネルの製造方法。
  8. 前記インターバルは、0.05ms〜1msである、請求項7に記載の有機ELディスプレイパネルの製造方法。
  9. 前記インクジェットヘッドを、前記素子配列領域方向に移動しながら、前記インクを前記予備領域上で吐出する、請求項7に記載の有機ELディスプレイパネルの製造方法。
  10. 前記ノズルの1つが一度に吐出するインクの量は、3pl〜20plである、請求項7に記載の有機ELディスプレイパネルの製造方法。
  11. 前記インクジェットヘッドのベースパネルに対する移動速度は、1mm/s〜100mm/sである、請求項7に記載の有機ELディスプレイパネルの製造方法。
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